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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046739
(43)【公開日】2024-04-04
(54)【発明の名称】電磁コアのための保持機構
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/26 20060101AFI20240328BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20240328BHJP
   H01F 30/12 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
H01F27/26 130A
H01F41/02 B
H01F30/12 U
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132500
(22)【出願日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】2213879.6
(32)【優先日】2022-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トルクス
(71)【出願人】
【識別番号】523283966
【氏名又は名称】エノダ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ENODA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スコビー, アンドリュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, イーホン
【テーマコード(参考)】
5E062
【Fターム(参考)】
5E062AA06
5E062AC05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】所定数の肢部を有する電磁コアのための保持機構を提供する。
【解決手段】保持機構200は、軸線208を有するハブ202を備える。ハブは、電磁コアの円弧形肢部に対応する数のアパーチャ204を備える。各アパーチャは、軸線を中心とした半径方向に円弧形肢部夫々の端部分106を受容する。ハブの軸線は、円弧形肢部がアパーチャ内に受容されているときに電磁コアの中心軸線と一致する。保持機構はまた、円弧形肢部に対応する数の顎部206を備え、各顎部は、円弧形肢部がアパーチャ内に受容されているときに円弧形肢部夫々の端部分を夫々のアパーチャ内に維持する。保持機構は、さらに、複数の顎部をハブの軸線に対して半径方向に調整可能に移動させる調整機構(歯付きキー210、スクロールプレート212及びベベルギヤ)を備え、円弧形肢部がアパーチャ内に受容されているとき、調整により、各円弧形肢部が電磁コアの半径方向に移動する。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として配置された所定数の肢部を有する電磁コアのための保持機構であって、
ハブと、前記所定数の肢部に対応する複数の顎部と、調整機構とを備え、
前記ハブは、
軸線、および
前記所定数の肢部に対応する複数のアパーチャであって、前記アパーチャの各々が、前記軸線を中心とした半径方向にそれぞれの肢部の端部分を受容するように構成されており、前記軸線が、前記所定数の肢部が前記複数のアパーチャ内に受容されているときに前記中心軸線と一致する、複数のアパーチャ
を備え、、
前記複数の顎部は、これらの顎部の各々が、前記所定数の肢部が前記複数のアパーチャ内に受容されているときにそれぞれの肢部の前記端部分をそれぞれのアパーチャ内に維持するように構成されており、
前記調整機構は、前記複数の顎部を前記ハブの前記軸線に対して半径方向に調整可能に移動させるように構成されている、保持機構。
【請求項2】
前記調整機構が、前記所定数の肢部に対応する複数の歯付きキーと、第1の側面および第2の側面を有するスクロールプレートと、を備え、
前記第1の側面が、前記顎部の各々の前記歯付きキーに係合するための螺旋状突起を備え、前記第2の側面が、第1のベベルギヤを備え、各歯付きキーが、それぞれの顎部に結合されている、請求項1に記載の保持機構。
【請求項3】
軸を有し前記第1のベベルギヤに係合するように構成された、第2のベベルギヤを備え、
前記ハブが、前記第2のベベルギヤを回転可能に支持するための開口部を備え、前記軸の端部が、前記第2のベベルギヤを回転させるための工具と係合可能である、請求項2に記載の保持機構。
【請求項4】
前記ハブが、前記所定数の肢部に対応する複数のスロットを備え、前記顎部の各々の前記歯付きキーが、前記複数のスロットのそれぞれのスロット内に受容されている、請求項2に記載の保持機構。
【請求項5】
前記顎部の各々の各歯付きキーが、複数の歯を含み、前記複数の歯が、前記スクロールプレートの前記螺旋状突起に係合するための円弧状突起を備える、請求項2に記載の保持機構。
【請求項6】
前記調整機構が、前記顎部の半径方向外側に係合する、請求項1に記載の保持機構。
【請求項7】
前記調整機構が、前記顎部の前記半径方向外側に係合するためのバンドを備え、前記バンドが、第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の端部および前記第2の端部が、閉鎖手段を使用して接合されている、請求項6に記載の保持機構。
【請求項8】
前記閉鎖手段が、ねじ付きナットに係合するように配置構成されたねじ付き締結具を含む、請求項7に記載の保持機構。
【請求項9】
前記閉鎖手段が、前記第1の端部および前記第2の端部を一緒に付勢するように配置構成された付勢部材を含む、請求項7に記載の保持機構。
【請求項10】
前記顎部の各々が、前記顎部の前記半径方向外側上に前記バンドを維持するためのフランジを備える、請求項7に記載の保持機構。
【請求項11】
中心軸線を中心として配置された所定数の肢部を有する電磁コアと、
請求項1~10のいずれか一項に記載の保持機構と
を備える組立体であって、
前記所定数の肢部が、前記保持機構の前記複数のアパーチャ内に受容されている、組立体。
【請求項12】
前記所定数の肢部が、3つである、請求項11に記載の組立体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]以下の開示は、電磁コア、特に、中心軸線を中心として配置された複数の肢部を有する電磁コアのための保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]磁気コアは、変圧器、電気モータ、発電機、およびインダクタなどの様々な電磁装置にわたって利用されている。配電系統では三相電力が用いられることが多い。英国特許出願第2115649.2号明細書の例示的な三相磁気コアについて、図1Aから図1Cを参照して簡単に説明する。電磁コア100は、中心軸線104を中心として等間隔に配置された3つの円弧形状肢部102を備える。各肢部102は、実質的に同一である。円弧形状肢部102は、180度の円弧である。各肢部102は、第1の端部および第2の端部を有する。各第1の端部は、中心軸線104に沿って位置する第1の縁部を有する。各第2の端部は、中心軸線に沿って位置する第2の縁部を有する。各肢部102は、1つ以上のボビン105(図1Aから図1Cには図示せず)上の一次巻線、二次巻線、および変調巻線のうちの1つ以上によって巻き付かれ得る。各肢部102は、湾曲させられて一緒に積層された複数の電磁鋼帯を備え得る。薄鋼積層構造の使用により、正弦波電圧が巻線に印加されたときに誘導される渦電流によって引き起こされる電力損失が低減する。積層電磁鋼帯の幅は、円に近似する断面を有する肢部102をもたらす配置において異なり得る。あるいは、肢部102における積層電磁鋼帯の幅は、肢部が矩形断面を有するように一定であってもよい。
【0003】
[0003]コアの最適な電磁性能のために肢部の端部が互いに直接または密接に接触するように、各肢部102の第1の端部106は、一緒にしっかりと保持またはクランプされるべきであり、各肢部102の第2の端部108は、一緒にしっかりと保持またはクランプされるべきである。本開示は、そのような要望に対処するための保持機構に関する。
【発明の概要】
【0004】
[0004]中心軸線を中心として配置された所定数の肢部、例えば、3つの肢部を有する電磁コアのための保持機構が提供される。保持機構は、軸線を有するハブを備える。ハブは、電磁コアの所定数の肢部に対応する複数のアパーチャ(開口)、すなわち、電磁コアの肢部ごとのハブ内にアパーチャを備える。アパーチャの各々は、軸線を中心とした半径方向にそれぞれの肢部の端部分を受容するように構成されている。ハブの軸線は、所定数の肢部が複数のアパーチャ内に受容されているときに電磁コアの中心軸線と一致する。保持機構は、所定数の肢部に対応する複数の顎部、すなわち、電磁コアの肢部ごとに顎部を備える。顎部の各々は、所定数の肢部が複数のアパーチャ内に受容されているときにそれぞれの肢部の端部分をそれぞれのアパーチャ内に維持するように構成されている。保持機構は、複数の顎部をハブの軸線に対して半径方向に調整可能に移動させるように構成された調整機構を備える。したがって、所定数の肢部が複数のアパーチャ内に受容されているとき、調整機構の調整により、各肢部がハブの軸線、したがって電磁コアの中心軸線に向かってまたは電磁コアの中心軸線から離れるように半径方向に移動する。調整機構は、ハブの軸線と同軸の軸線を有し得るリングを備え得る。
【0005】
[0005]調整機構は、所定数の肢部に対応する複数の歯付きキー、すなわち、電磁コアの肢部ごとまたは保持機構の顎部ごとに歯付きキーを備え得る。調整機構は、第1の側面および第2の側面を有するスクロールプレートを備え得る。各歯付きキーは、それぞれの顎部に結合され得る。スクロールプレートの第1の側面は、顎部の各々の歯付きキーに係合するための螺旋状突起を備え得る。スクロールプレートの第2の側面は、第1のベベルギヤを備え得る。保持機構は、軸(axle)を有し第1のベベルギヤに係合するように構成された、第2のベベルギヤを備え得る。ハブは、第2のベベルギヤを回転可能に支持するための開口部を備え得、軸の端部は、第2のベベルギヤを回転させるために、例えば、駆動ソケットを有し、工具と係合可能であり得る。保持機構は、各々が第1のベベルギヤに係合するように構成されておりかつ各々が工具と係合可能な端部を有する軸を有する、第3のベベルギヤおよび/または第4のベベルギヤを備え得る。好適には、これにより、工具を使用して第2、第3、または第4のベベルギヤのうちのいずれかを回すことによってスクロールプレートが回ることが可能になる。ハブは、所定数の肢部に対応する複数のスロットを備え得、顎部の各々の歯付きキーは、複数のスロットのそれぞれのスロット内に受容され得る。顎部の各々の各歯付きキーは、複数の歯を含み得、複数の歯は、スクロールプレートの螺旋状突起に係合するための円弧状突起を備える。
【0006】
[0006]代替的または追加的に、調整機構は、顎部の半径方向外側に係合し得る。調整機構は、顎部の半径方向外側に係合するためのバンドまたはストラップを備え得、バンドまたはストラップは、第1の端部および第2の端部を有する。第1の端部および第2の端部は、閉鎖手段を使用して接合され得る。閉鎖手段は、ねじ付きナットに係合するように配置構成されたねじ付き締結具を含み得る。例えば、ねじ付きナットは、バレルナットであってもよく、ねじ付き締結具は、ボルトであってもよい。あるいは、閉鎖手段は、第1の端部および第2の端部を一緒に付勢するように配置構成された、ばねなどの付勢部材を含み得る。顎部の各々は、顎部の半径方向外側上にバンドを維持するためのフランジを備え得る。
【0007】
[0007]ハブは、一体的に形成されてもよく、すなわち単一部品で形成されてもよい。あるいは、ハブは、一緒に結合された2つ以上の部品から形成されてもよい。アパーチャおよび/または顎部は、肢部の形状に適合するように成形され得る。
【0008】
[0008]中心軸線を中心として配置された所定数の肢部を有する電磁コアと、上述の保持機構と、を備える組立体が提供される。所定数の肢部は、保持機構の複数のアパーチャ内に受容されている。保持機構は、電磁コアの肢部の第1の端部を受容するように構成された第1の保持機構であり得、組立体は、上述のように、電磁コアの肢部の第2の端部を受容するように構成された第2の保持機構を備え得る。所定数の肢部は、3つであり得る。
【0009】
[0009]本発明のさらなる詳細、態様、および実施形態は、図面を参照して、単なる例として説明される。図中の要素は、簡単かつ明瞭にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていない。理解を容易にするために、同様の参照番号がそれぞれの図面内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】磁気コアの概略図である。
図1B】磁気コアの概略図である。
図1C】磁気コアの概略図である。
図2A】保持機構の概略図である。
図2B】保持機構の概略図である。
図2C】保持機構の概略図であり、図示を明瞭にするために特徴を省略している。
図2D】保持機構の概略図であり、図示を明瞭にするために特徴を省略している。
図3図2Aから図2Dの保持機構のための調整機構の構成要素の概略図である。
図4A】保持機構の概略図である。
図4B】保持機構の概略図である。
図4C】保持機構の概略図であり、分解図である。
図5】保持機構を使用して電磁コアを組み立てるためのプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0010]本開示は、図1Aから図1Cを参照して説明した電磁コアなどの多肢電磁コアの肢部を一緒にクランプまたは保持するための保持機構に関する。保持機構は、肢部を互いに直接または密接に接触させて維持して、そうでなければ電磁コア内の磁束の流れに弊害となり得る肢部間の隙間によって引き起こされ得るあらゆる不連続性を最小限に抑える。特定の例示的な保持機構について、図2Aから図2Dおよび図4Aから図4Cを参照して論述する。
【0012】
[0011]図2Aから図2Dを参照すると、保持機構200は、電磁コア100など3つの肢部を有する電磁コアを保持する。保持機構200は、ハブ202を備える。ハブ202は、第1の部分202a、第2の部分202b、および第3の部分202cを備える。第1の部分202a、第2の部分202b、および第3の部分202cは、例えば締結具によって一緒に結合されている。
【0013】
[0012]ハブ202は、3つのアパーチャ204を有し、各アパーチャ204は、電磁コア100の各肢部102の端部分106を受容するためのものである。アパーチャ204は、ハブ202の第2の部分202bおよび第3の部分202cにわたって形成されている。保持機構200は、3つの顎部またはウェッジ206を備え、各3つの顎部またはウェッジ206は、電磁コア100の各肢部を3つの顎部またはウェッジ206のそれぞれのアパーチャ204に係合および/またはその中に維持するためのものである。ハブ202は、電磁コア100の軸線104と同軸の軸線208を有する。
【0014】
[0013]各顎部206は、顎部206と肢部102との間の接触面積を最大にするために顎部206が係合する肢部102の端部分106の形状に実質的に対応しかつ一致する形状を有する。同様に、各アパーチャ204は、アパーチャ204と肢部102との間の接触面積を最大にするためにアパーチャ204が係合する肢部102の端部分106の形状に実質的に対応しかつ一致する形状を有する。
【0015】
[0014]軸線208からの顎部206の半径方向距離は、調整機構を使用して調整することができ、それによって、肢部102が保持機構200によって保持されているときの軸線104に対する肢部102の位置が調整される。したがって、顎部206の半径方向位置の調整により、電磁コア100の肢部102が電磁コア100の軸線104で交わることが可能になる。
【0016】
[0015]調整機構は、各顎部206に対する歯付きキー210と、スクロールプレート212と、3つのベベルギヤ214と、を備える。各歯付きキー210は、それぞれの顎部206に結合されている。あるいは、各歯付きキー210は、それぞれの顎部206の一部として一体的に形成されてもよい。ハブ202、具体的には第2の部分202bは、それぞれの歯付きキー210を位置合わせしかつ受容するための3つのスロットを備える。
【0017】
[0016]スクロールプレート212は、第1の側面および第2の側面を有する環形を有する。環形は、ハブ202の軸線208と同軸の軸線を有する。スクロールプレートの第1の側面は、歯付きキー210に係合するための螺旋状突起216を備える。螺旋状突起216は、螺旋状の突起間に所定の距離を有する。スクロールプレートの第2の側面は、ベベルギヤ218を備える。各歯付きキー210の歯は、螺旋状突起216に係合するように構成された円弧状突起を形成する。換言すれば、円弧状突起の間隔および形状は、螺旋状突起216の間隔および形状に対応する。
【0018】
[0017]ベベルギヤ214は各々、スクロールプレートのベベルギヤ218に係合するように構成されている。換言すれば、ベベルギヤ214のギヤ歯の間隔および形状は、ベベルギヤ218のギヤ歯の間隔および形状に対応する。ベベルギヤ214の各々は、軸を有する。ハブ202は、第1の部分202aと第2の部分202bとの間に形成された3つの開口部220を有する。各開口部220は、それぞれのベベルギヤ214の軸を受容するためのものである。開口部220は、ベベルギヤ214の回転を可能にしながら、それぞれの軸を支持する。軸が回転するときの摩擦を低減するために、軸受を各開口部220内に位置させてもよい。各軸の端部222は、例えばユーザがハブ202の外側からアクセス可能である。各端部222は、工具によって駆動され得るヘッドを備える。端部222は、ロバートソンソケットを有するものとして示されているが、六角形ソケット、フィリップスソケット、トルクスソケット、またはペンタローブソケットなどの任意の好適な駆動ソケットが代替的に使用されてもよい。
【0019】
[0018]適切な工具を使用して端部222のうちのいずれか1つの駆動ヘッドを回転させることによって、ベベルギヤ218に係合するそれぞれのベベルギヤ214が回転してスクロールプレート212が回り、それによって螺旋状突起216が回転し、それにより歯付きキー210が軸線208に対して半径方向に移動する。歯付きキー210が歯付きキー210のそれぞれの顎部206に結合されているため、ベベルギヤ214の端部222が回転させられたときに、顎部206も軸線208に対して半径方向に移動する。
【0020】
[0019]図2Aから図2Dの保持機構は、3つのベベルギヤ214を備え、そのいずれも、顎部206と軸線208との間の半径方向距離を調整するために回され得るが、単一のベベルギヤ214でもこの調整を可能にし得ることは明らかである。複数のベベルギヤを有する保持機構では、顎部と軸線との間の半径方向距離は、端部のうちのいずれかを使用して調整することができ、これは、ユーザが他のベベルギヤの端部よりもベベルギヤのうちの1つの端部にアクセスすることがより容易であり得る場合に有利であり得る。さらに、複数のベベルギヤ214により、スクロールプレート212上の維持力をスクロールプレート212中の異なる位置に均等に分散させることが可能になり得る。
【0021】
[0020]図4Aから図4Cを参照すると、保持機構300は、電磁コア100など3つの肢部を有する電磁コアを保持する。保持機構300は、ハブ302を備える。ハブ302は、3つのアパーチャ304を有し、各アパーチャ304は、電磁コア100の各肢部102の端部分106を受容するためのものである。保持機構300は、3つの顎部306を備え、各3つの顎部306は、電磁コア100の各肢部を3つの顎部306のそれぞれのアパーチャ304に係合および/またはその中に維持するためのものである。ハブ302は、電磁コア100の軸線104と同軸の軸線308を有する。
【0022】
[0021]各顎部306は、顎部306と肢部102との間の接触面積を最大にするために顎部306が係合する肢部102の端部分106の形状に実質的に対応しかつ一致する形状を有する。同様に、各アパーチャ304は、アパーチャ304と肢部102との間の接触面積を最大にするためにアパーチャ304が係合する肢部102の端部分106の形状に実質的に対応しかつ一致する形状を有する。
【0023】
[0022]軸線308からの顎部306の半径方向距離は、調整機構を使用して調整することができ、それによって、肢部が保持機構によって保持されているときの軸線104に対する肢部の位置が調整される。したがって、顎部306の半径方向位置の調整により、電磁コア100の肢部102が電磁コア100の軸線104で交わることが可能になる。
【0024】
[0023]調整機構は、顎部306の半径方向外側に係合するストラップまたはバンド310を備える。各顎部306は、バンド310を定位置に保持するためのフランジ312を備える。バンド310は、第1の端部314および第2の端部316を有する。第1の端部314および第2の端部316は、閉鎖手段318を使用して互いに接続されている。閉鎖手段318は、ねじ付きナットに係合するように配置構成されたねじ付き締結具を含む。例えば、ねじ付きナットは、バレルナットであってもよく、ねじ付き締結具は、ボルトであってもよい。あるいは、閉鎖手段318は、第1の端部314および第2の端部316を一緒に付勢するように配置構成された、ばねなどの付勢部材を含み得る。閉鎖手段318は、軸線308に向かう半径方向の力を顎部306の半径方向外側上に加える。閉鎖手段318は、顎部306の半径方向外側に加えられる軸線308に向かう半径方向の力の大きさを調整するために、例えば、ねじ付きナットに係合するねじ付き締結具の場合、締め付けまたは緩められるように調整され得る。
【0025】
[0024]保持機構のさらなる構成は、保持機構200と実質的に同一であり、スクロールプレートを備える調整機構と、保持機構の顎部の半径方向外側に係合するバンド310と実質的に同じストラップまたはバンドを備える第2の調整機構と、を有する。顎部は各々、バンドを定位置に保持するための、フランジ312と実質的に同じフランジを備え得る。
【0026】
[0025]図5は、保持機構200または300を使用した電磁コア100などのコアを製造するプロセス500を示している。
【0027】
[0026]ステップ502において、電磁鋼帯のセットが形成され、帯の1つのセットは、コアの1つの肢部用である。帯は、例えば、電磁鋼のシートから各帯の幅および長さを打ち抜くか、スタンピングするか、またはレーザ切断することによって形成され得る。電磁鋼は、例えば、Thyseen-Krupp powercore(登録商標)Cまたはpowercore(登録商標)Hであり得る。
【0028】
[0027]ステップ506において、帯の各セットが積層体に配置される。ステップ510において、各積層体は、例えば治具を使用して湾曲させられて円弧形状の肢部にされる。積層体は、帯の長さおよび幅によって形成された平面に対して垂直な方向に外部荷重を加えることによって湾曲させられる。
【0029】
[0028]電磁鋼帯は、電気絶縁材料の表面コーティングを含み得る。表面コーティングは、ワニスまたは塗料など、硬化性であり得る。帯の積層体における硬化性表面コーティングは、ステップ514において硬化させられ得る。例えば、硬化性表面コーティングは、積層体をオートクレーブ内で加熱することによって硬化させられ得る。電気絶縁性表面コーティングは、電磁鋼帯の焼鈍中に形成されてもよい。例えば、電磁鋼帯は、ローラ炉内の空気雰囲気下において、最高温度860℃で1~2分の浸漬時間にわたって焼鈍を受け得る。空気雰囲気に起因して、電磁鋼帯の切断縁部が酸化し、絶縁コーティングが形成される。2~5マイクロメートルのコーティング厚は、良好な電気抵抗および高い積層係数を提供する。
【0030】
[0029]各肢部は、第1の端部および第2の端部を有する。ステップ518において、肢部の端部が機械加工されて、肢部が互いに緊密に嵌合することを可能にする角度付き端部が生成され得る。例えば、製造されているコアが3つの肢部を有する場合、端部は120度の角度に機械加工される。機械加工は、サンディング、研削、フライス加工、およびウォータージェット切断またはレーザ切断などの切断のうちの1つ以上を含み得る。ステップ518の代わりに、またはそれに加えて、ステップ502において角度付き端部を有する肢部用の帯が形成されてもよい。いくつかの例では、肢部の端部が機械加工されて、肢部が互いに緊密に嵌合することを可能にする重ね継手が作成され得る。
【0031】
[0030]ステップ522において、肢部が焼鈍され得る。硬化性表面コーティングがステップ514で熱硬化される場合、ステップ522の焼鈍はステップ514に含まれてもよい。いくつかの例では、肢部が接合された後にステップ534においてコアが焼鈍され得る。焼鈍は、肢部の磁気特性を改善するための磁気焼鈍であってもよい。追加的または代替的に、焼鈍は、例えば、ステップ510における湾曲に起因する肢部の内部機械的応力を緩和するための応力除去焼鈍であり得る。例えば、焼鈍は、好ましくは100%の窒素の保護雰囲気を有する箱型炉に820℃~850℃で2時間浸漬し、続いて炉内で約200℃~300℃に冷却することを含み得る。
【0032】
[0031]ステップ526において、一次巻線、二次巻線、および、変調巻線のうちの1つ以上が、各肢部に適用され得る。肢部への巻線の適用は、ステップ538において各肢部の両端部が一緒に接続される前に、換言すれば、少なくとも1つの開放端部があるときに、任意の時点で実行され得る。肢部の周りに巻線を適用することは、肢部の周りにワイヤを巻き付けて巻線を形成することを含み得る。あるいは、肢部の周りに巻線を適用することは、ワイヤをボビン上にスピンさせ、肢部をボビン内に挿入することを含み得る。肢部を一緒に接合する前に肢部を巻き付けることによって、巻付けプロセスが単純化される。巻線は、スペーサの有無にかかわらず肢部上に分配され得る。
【0033】
[0032]ステップ534において、肢部の第1の端部は、保持機構200または300などの第1の保持機構のそれぞれのアパーチャ内に挿入される。ステップ536において、第1の保持機構の顎部が第1の保持機構のそれぞれのアパーチャ内に挿入され、第1の保持機構の調整機構が、第1の保持機構のハブの軸線に対する顎部の半径方向位置を調整するために採用され、電磁コアの肢部の第1の端部を電磁コアの軸線で交わらせる。
【0034】
[0033]ステップ538において、肢部の第2の端部が、保持機構200または300などの第2の保持機構のそれぞれのアパーチャ内に挿入され得る。ステップ540において、第2の保持機構の顎部が第2の保持機構のそれぞれのアパーチャ内に挿入され得、第2の保持機構の調整機構が、第2の保持機構のハブの軸線に対する顎部の半径方向位置を調整するために採用され得、電磁コアの肢部の第2の端部を電磁コアの軸線で交わらせる。
【0035】
[0034]ステップ534および538において肢部の端部を一緒に接続することは、金属間構造用接着剤などの接着剤を使用することを含み得る。ステップ534および538は、順次または同時に実行され得る。ステップ536および540は、順次または同時に実行され得る。
【0036】
[0035]本発明をいくつかの実施形態に関連して説明してきたが、本発明は本明細書に記載の特定の形態に限定されることは意図されていない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、特徴が特定の実施形態に関連して記載されているように見える場合があるが、当業者は、記載された実施形態の様々な特徴は本発明に従って組み合わせられ得ることを認識するであろう。特許請求の範囲において、「備える」または「含む」という用語は、他の要素の存在を排除しない。
【0037】
例示的な実施形態
[0036]既に述べたように、本明細書で述べた技術は様々な態様で実施可能である。これに関しては、上記は、以下の例示的な実施形態で述べる装置、方法、その組み合わせおよびその下位の組み合わせを含むが、これに限定されないことを意図している。以下のパラグラフでは好適な実施形態が開示されている。
[パラグラフ1]
中心軸線を中心として配置された所定数の肢部を有する電磁コアのための保持機構であって、
ハブであって、
軸線、および
前記所定数の肢部に対応する複数のアパーチャであって、前記アパーチャの各々が、前記軸線を中心とした半径方向にそれぞれの肢部の端部分を受容するように構成されており、前記軸線が、前記所定数の肢部が前記複数のアパーチャ内に受容されているときに前記中心軸線と一致する、複数のアパーチャ
を備えるハブと、
前記所定数の肢部に対応する複数の顎部であって、前記顎部の各々が、前記所定数の肢部が前記複数のアパーチャ内に受容されているときにそれぞれの肢部の前記端部分をそれぞれのアパーチャ内に維持するように構成されている、複数の顎部と、
前記複数の顎部を前記ハブの前記軸線に対して半径方向に調整可能に移動させるように構成された調整機構と
を備える、保持機構。
[パラグラフ2]
前記調整機構が、前記所定数の肢部に対応する複数の歯付きキーと、第1の側面および第2の側面を有するスクロールプレートと、を備え、前記第1の側面が、前記顎部の各々の前記歯付きキーに係合するための螺旋状突起を備え、前記第2の側面が、第1のベベルギヤを備え、各歯付きキーが、それぞれの顎部に結合されている、パラグラフ1に記載の保持機構。
[パラグラフ3]
軸を有し前記第1のベベルギヤに係合するように構成された、第2のベベルギヤを備え、前記ハブが、前記第2のベベルギヤを回転可能に支持するための開口部を備え、前記軸の端部が、前記第2のベベルギヤを回転させるための工具と係合可能である、パラグラフ2に記載の保持機構。
[パラグラフ4]
前記ハブが、前記所定数の肢部に対応する複数のスロットを備え、前記顎部の各々の前記歯付きキーが、前記複数のスロットのそれぞれのスロット内に受容されている、パラグラフ2または3に記載の保持機構。
[パラグラフ5]
前記顎部の各々の各歯付きキーが、複数の歯を含み、前記複数の歯が、前記スクロールプレートの前記螺旋状突起に係合するための円弧状突起を備える、パラグラフ2~4のいずれかに記載の保持機構。
[パラグラフ6]
前記調整機構が、前記顎部の半径方向外側に係合する、パラグラフ1~5のいずれかに記載の保持機構。
[パラグラフ7]
前記調整機構が、前記顎部の前記半径方向外側に係合するためのバンドを備え、前記バンドが、第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の端部および前記第2の端部が、閉鎖手段を使用して接合されている、パラグラフ6に記載の保持機構。
[パラグラフ8]
前記閉鎖手段が、ねじ付きナットに係合するように配置構成されたねじ付き締結具を含む、パラグラフ7に記載の保持機構。
[パラグラフ9]
前記閉鎖手段が、前記第1の端部および前記第2の端部を一緒に付勢するように配置構成された付勢部材を含む、パラグラフ7に記載の保持機構。
[パラグラフ10]
各顎部が、前記顎部の前記半径方向外側上に前記バンドを維持するためのフランジを備える、パラグラフ7~9のいずれかに記載の保持機構。
[パラグラフ11]
中心軸線を中心として配置された所定数の肢部を有する電磁コアと、
パラグラフ1~10のいずれかに記載の保持機構と、
を備え、
前記所定数の肢部が、前記保持機構の前記複数のアパーチャ内に受容されている、組立体。
[パラグラフ12]
前記所定数の肢部が、3つである、パラグラフ11に記載の組立体。
【符号の説明】
【0038】
100…電磁コア、102…円弧形状肢部、104…中心軸線、105…ボビン、106…第1の端部、端部分、108…第2の端部、200…保持機構、202…ハブ、202a…第1の部分、202b…第2の部分、202c…第3の部分、204…アパーチャ、206…顎部またはウェッジ、208…軸線、210…歯付きキー、212…スクロールプレート、214…ベベルギヤ、216…螺旋状突起、218…ベベルギヤ、220…開口部、222…端部、300…保持機構、302…ハブ、304…アパーチャ、306…顎部、308…軸線、310…ストラップまたはバンド、312…フランジ、314…第1の端部、316…第2の端部、318…閉鎖手段、500…プロセス、502…ステップ、506…ステップ、510…ステップ、514…ステップ、518…ステップ、522…ステップ、526…ステップ、534…ステップ、536…ステップ、538…ステップ、540…ステップ

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図5
【外国語明細書】