(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046756
(43)【公開日】2024-04-04
(54)【発明の名称】トランジスタ構造
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240328BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240328BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240328BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
H01L29/78 301S
H01L29/78 301R
H01L29/78 301P
H01L27/088 B
H01L27/092 E
H01L27/088 331A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023158447
(22)【出願日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】63/409,243
(32)【優先日】2022-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522295047
【氏名又は名称】發明與合作實驗室有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盧 超群
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 立平
【テーマコード(参考)】
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AA03
5F048AB01
5F048AC03
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5F140BJ27
5F140BK09
5F140BK18
5F140CB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ラッチアップを回避するためにNMOSおよびPMOS間のレイアウトアイソレーションに使用される平面領域を最小にする。
【解決手段】初期半導体表面(OSS)と並び、その水平方向の境界を有する半導体基板であって、NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタのソース/ドレイン領域の第2の半導体領域(たとえばN+ドーピングされた領域431および432)を成長させるための、より安定した(平面の)ベースをもたらす。第1の半導体領域430および第2の半導体領域(たとえばN+ドーピングされた領域431および432)は、選択エピタキシャルシリコン(Si)またはシリコン/ゲルマニウム(SiGe)により、形成され、SiGeの場合、それは、ソース/ドレイン領域に圧縮ひずみを与えて、NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタのイオンを10~20%改善する。
【選択図】
図12B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期半導体表面(OSS)を備えた半導体基板と、
第1のゲート領域と、
前記半導体基板において、前記初期半導体表面の下に形成された第1の凹部と、
前記第1の凹部内で、前記半導体基板の側壁の縦方向に沿って形成された、湾曲形状または凹状の開口部と、
前記第1の凹部内に形成され、第1のドーピング領域および第2のドーピング領域を含む第1の導電領域
を備え、
前記第1のドーピング領域は、前記半導体基板の前記側壁の前記縦方向に沿った前記湾曲形状または凹状の開口部をベースとして形成された、
トランジスタ構造。
【請求項2】
前記第2のドーピング領域の上面が平坦または平面状である、請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項3】
前記湾曲形状または凹状の開口部が、シグマ(Σ)形状のアンダーカットである、請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項4】
前記トランジスタ構造がさらに、前記第2のドーピング領域の上面および最側方側壁に接触するメタルプラグを備え、前記第2のドーピング領域は、高濃度にドーピングされた領域である、請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項5】
前記湾曲形状または凹状の開口部が、複数の非縦方向の半導体部分側壁を含み、前記第1のドーピング領域は前記複数の非縦方向の半導体部分側壁をベースとして選択的に成長させられる、請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項6】
前記トランジスタ構造がさらに、前記第1の凹部内に、第1のアイソレーション領域を備え、前記第1の導電領域が前記第1のアイソレーション領域の上にある、請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項7】
前記湾曲形状または凹状の開口部が、前記第1のゲート領域の下にある、請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項8】
OSSを備えた半導体基板と、
第1のトランジスタであって、
前記OSSの上の第1のゲート領域、
前記半導体基板において、前記OSSの下に形成された第1の凹部、
前記半導体基板において、前記第1のゲート領域の下に形成され、前記第1の凹部と連通する、湾曲した、または凹状の第1のアンダーカット、および
第1のドーピング領域および第2のドーピング領域を有する第1の導電領域であって、前記第1のドーピング領域の少なくとも一部分が、前記湾曲した、または凹状の第1のアンダーカット内にある、第1の導電領域
を備える、第1のトランジスタと、
第2のトランジスタであって、
前記OSSの上の第2のゲート領域、
前記半導体基板において、前記OSSの下に形成された第2の凹部、
前記半導体基板において、前記第2のゲート領域の下に形成され、前記第2の凹部と連通する、湾曲した、または凹状の第2のアンダーカット、および
第3のドーピング領域および第4のドーピング領域を有する第2の導電領域であって、前記第3のドーピング領域の少なくとも一部分が、前記湾曲した、または凹状の第2のアンダーカット内にある、第2の導電領域
を備える、第2のトランジスタと
を備える、トランジスタ構造。
【請求項9】
前記トランジスタ構造がさらに、
前記第2のドーピング領域の上面および最側方側壁に接触する第1のメタルプラグであって、前記第2のドーピング領域が、高濃度にドーピングされた領域である、第1のメタルプラグと、
前記第4のドーピング領域の上面および最側方側壁に接触する第2のメタルプラグであって、前記第4のドーピング領域が、高濃度にドーピングされた領域である、第2のメタルプラグと
を備える、請求項8に記載のトランジスタ構造。
【請求項10】
前記トランジスタ構造がさらに、
前記第1の凹部内の第1のアイソレーション領域であって、前記第1の導電領域が前記第1のアイソレーション領域の上にある、第1のアイソレーション領域と、
前記第1の凹部内の第2のアイソレーション領域であって、前記第2の導電領域が前記第2のアイソレーション領域の上にある、第2のアイソレーション領域
を備える、請求項8に記載のトランジスタ構造。
【請求項11】
前記第2のドーピング領域の上面が平坦または平面状であり、前記第4のドーピング領域の上面が平坦または平面状である、請求項8に記載のトランジスタ構造。
【請求項12】
前記湾曲した、または凹状の第1のアンダーカットは、複数の非縦方向の半導体部分側壁を含み、前記第1のドーピング領域は前記複数の非縦方向の半導体部分側壁をベースとして選択的に成長させられ、前記湾曲した、または凹状の第2のアンダーカットは、別の複数の非縦方向の半導体部分側壁を含み、第3のドーピング領域は前記別の複数の非縦方向の半導体部分側壁をベースとして選択的に成長させられる、請求項8に記載のトランジスタ構造。
【請求項13】
前記第1のドーピング領域のドーピング濃度は、前記第3のドーピング領域のドーピング濃度と異なる、請求項8に記載のトランジスタ構造。
【請求項14】
前記第2のドーピング領域のドーピング濃度は、前記第4のドーピング領域のドーピング濃度と同じであるか、または実質的に同じである、請求項8に記載のトランジスタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たなトランジスタ、および/または新たな相補型MOSFET(CMOS)構造に、特に、電流リークを低減させ、短チャネル効果を低減させ、およびラッチアップを防止し得る、たとえばDRAMの周辺回路またはセンスアンプ内で利用される、新たなプレーナトランジスタおよび/または新たな相補型プレーナMOSFET(CMOS)構造に関する。
【背景技術】
【0002】
(人工知能(AI)、CPU、GPU等などの)高性能コンピューティングアプリケーションにおいては、(3~7nmなどの)高度テクノロジノードが使用されることが多いが、電力管理IC、MCU、またはDRAMチップなどの多くのICアプリケーションにおいては、(20~30nmなどの)成熟したテクノロジノードがなお一般的である。DRAMを一例として使用すれば、今日では、カスタマイズされたDRAMの大半はなお、(12~30nmなどの)成熟したテクノロジノードにより、製造されており、(データ/アドレスI/O回路、アドレスデコーダ、コマンドロジック、リフレッシュ回路等を少なくとも含む)周辺回路171内のもの、および、(ストレージメモリアレイ、センスアンプ等を含む)アレイコア回路172内のものを含む、(
図1Aに示されるような)DRAMチップ17内のすべてのトランジスタはなお、プレーナトランジスタである。
【0003】
図1Bは、DRAMチップの周辺回路内で、および、DRAMチップのアレイコア回路のセンスアンプ内で最も広範囲に使用されている、従来水準のプレーナ相補型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(CMOSFET)10の断面図を示す。CMOSFET10はプレーナNMOSトランジスタ11およびプレーナPMOSトランジスタ12を含んでおり、シャロートレンチアイソレーション(STI)領域13がNMOSトランジスタ11とPMOSトランジスタ12との間に位置している。(酸化物、酸化物/窒化物、もしくは特定の高誘電率(high-k)誘電体等などの)絶縁体の上の、(金属、ポリシリコン、またはシリサイド等のような)特定の導電材料を使用したNMOSトランジスタ11またはPMOSトランジスタ12のゲート構造14は、絶縁材料(たとえば、酸化物もしくは酸化物/窒化物、または他の誘電体)を使用することにより、他のトランジスタのものから側壁が分離されたCMOSの最上部上に形成される。プレーナNMOSトランジスタ11の場合、n型ドーパントをp型基板(またはp-ウェル)内に注入し、それが、よって、離間している2つのn+/p接合領域をもたらすためのイオン注入および熱アニーリング手法により形成されたソースおよびドレイン領域が存在している。プレーナPMOSトランジスタ12の場合、ソースおよびドレイン領域はいずれも、p型ドーパントをn-ウェル内にイオン注入し、それが、よって、2つのp+/n接合領域をもたらすことにより、形成される。さらに、高濃度にドーピングされたn+/pまたはp+/n接合前のインパクトイオン化およびホットキャリア注入を減らすために、低濃度にドーピングされたドレイン(LDD)領域15をゲート構造の下に形成することが一般的である。
【0004】
一方で、前述された熱アニーリングプロセス中に、CMOSFET10内の、注入されたn型またはp型ドーパントは、不可避的に、異なる方向に拡散し、ソースおよびドレイン領域の面積を拡大する。さらに、別の熱アニーリングプロセスがDRAMチップのアレイコア回路内のアクセストランジスタの上のキャパシタの形成中に起きて、キャパシタとアクセストランジスタとの間の接続抵抗を低減させる。そうした第2の熱アニーリングプロセスはこの場合もまた、n型またはp型ドーパントの拡散をもたらし、ソースおよびドレイン領域の面積を増加させる。熱アニーリングプロセスにより、ソースおよびドレイン領域の面積が大きくなるほど、ソースおよびドレイン領域間の有効チャネル長(
図1Bに示されるLeff)は短くなり、そうした低減させられた有効チャネル長Leffは、短チャネル効果(SCE)を招く。したがって、SCEの影響を低減させるために、熱アニーリングによる、n型またはp型ドーパントの拡散を収容するために、より長いゲート長を確保することが一般的である。一例として25nmのテクノロジノード(λ)を使用すれば、確保されるゲート長は、テクノロジノードλの約4倍である約100nmになる。
【0005】
他方で、NMOSトランジスタ11およびPMOSトランジスタ12はそれぞれ、近傍において互いに隣接して形成されているp-基板およびn-ウェルの一部の隣接領域内に位置しているので、n+/p/n/p+(
図1B中、破線が付されたパスはn+/p/n/p+ラッチアップパスと呼ばれる)寄生バイポーラデバイスと呼ばれる寄生接合構造は、NMOSトランジスタ11のn+領域から始まって、p-ウェルへの、近傍のn-ウェルへの、そしてさらにPMOSトランジスタ12のp+領域までのその輪郭で形成される。
【0006】
大きなノイズがn+/p接合またはp+/n接合上に一旦、発生すると、非常に大きな電流がこのn+/p/n/p+接合を異常に流れる場合があり、それは、場合によっては、CMOS回路の一部の動作を停止させ、チップ全体の誤動作を引き起こし得る。ラッチアップと呼ばれるそうした異常現象は、CMOS動作にとって有害であり、避けられなければならない。確かにCMOSの弱点である、ラッチアップに対する耐性を向上させる1つのやり方は、(
図1B中、ラッチアップ距離と付された、)n+領域からp+領域までの距離を増加させることであり、n+およびp+領域いずれも、通常、STI(シャロートレンチアイソレーション)領域13であるアイソレーション領域としての特定の縦に向けられた酸化物(または他の好適な絶縁体材料)により、分離されるように設計されなければならない。一例として25nmのテクノロジノード(λ)を使用すれば、確保されるラッチアップ距離は、テクノロジノードλの約20倍である約500nmになる。ラッチアップを回避するための、より真剣な取り組みでは、n+領域およびp+領域間の距離をさらに増加させるガードバンド構造を設計しなければならず、および/または、ノイズ源からの異常電荷を収集するために余分なn+領域またはp+領域を追加しなければならない。これらのアイソレーション手法は常に、CMOS回路のダイサイズを犠牲にして、余分な平面領域を増加させる。
【0007】
プレーナトランジスタまたはCMOSFETを備えた現行のDRAM設計においては、他の問題がもたらされ、または悪化している。
【0008】
(1)基板/ウェル領域内へのLDD(低濃度にドーピングされたドレイン)構造、p-基板内へのn+ソース/ドレイン構造、およびn-ウェル内へのp+ソース/ドレイン構造の形成などの接合形成プロセスにより生じる接合リークはすべて、制御することが、より難しくなっているが、それは、イオン注入により生じた格子欠陥のために、正孔および電子の空トラップなどの余分な損傷を修復することがより困難な周辺および底部領域いずれをも介してリーク電流が発生するからである。
【0009】
(2)さらに、LDD構造(またはn+/p接合もしくはp+/n接合)を形成するためのイオン注入が、シリコン表面の最上部から基板へ下方にまっすぐイオンを挿入するためにボンバードメントのような働きをするので、ソースおよびドレイン領域からチャネルおよび基板-ボディ領域への、欠陥がより少ない一様な材料界面を形成することは困難である。というのは、ドーパント濃度は、ドーピング濃度がより高い最上面から下方にドーピング濃度がより低い接合領域まで縦方向に非一様に分布しているからである。
【0010】
(3)ゲート、スペーサ、およびイオン注入の形成を使用する従来のセルフアラインメント方法を使用することのみにより、完璧な位置においてトランジスタのゲート構造のエッジにLDD接合のエッジを揃えることが、より困難になっている。さらに、イオン注入による損傷を除去するための熱アニーリングプロセスは、種々のエネルギ源または他の熱プロセスを使用することによる、高速熱アニーリング方法などの高温処理手法に頼らなければならない。よって生じている1つの問題は、ゲート誘起ドレインリーク(GIDL)電流である。(A. SenおよびJ. Das,「MOSFET GIDL Current Variation with Impurity Doping Concentration - A Novel Theoretical Approach」IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS, VOL. 38, NO. 5, MAY 2017から引用された)
図1Cに示されるように、ゲートおよびドレイン/ソース領域に近い、薄い酸化物を備えたMOSFET構造には、寄生メタルゲートダイオードが存在しており、問題のGIDLは、ゲートツーソース/ドレイン領域内に形成された寄生メタルゲートダイオードにより誘起され、リーク電流を低減させるために最小にされるべきであることにかかわらず制御することが困難である。生じているもう1つの問題は、有効チャネル長を制御することが困難であり、よってSCEを最小にすることが困難であるということである。
【0011】
(4)STI構造の縦方向の長さは、より深くすることがより困難である一方、デバイスアイソレーションの平面幅は小さくされなければならない(さもなければ、エッチング、充填、および平坦化を行う統合プロセスのために、より悪い深さ対開口アスペクト比がもたらされる)ので、縮小されるλに対する、ラッチアップを防止するために確保される近傍トランジスタのn+およびp+領域間の平面分離距離の比例する比率は、低減され得ることなく、CMOSデバイスを小さくする場合にダイ面積低減を損なうように増加され得る。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、特に、DRAMチップの周辺回路内に、およびDRAMチップのアレイコア回路のセンスアンプ内に使用される新たなプレーナトランジスタおよびプレーナCMOSFET構造を実現するいくつかの新たな概念を開示しており、それは、電流リークを最小にすること、チャネル伝導性能および制御を向上させること、金属相互接続に対するそれらのコンダクタンス、およびチャネル領域に対するそれらの最も密接な物理的接触をシームレスな規則正しい結晶格子整合で向上させることのようなソースおよびドレイン領域の機能を最適化すること、ラッチアップに対するCMOS回路のより高い耐性を増加させること、ならびに、ラッチアップを回避するためにNMOSおよびPMOS間のレイアウトアイソレーションに使用される平面領域を最小にすることなどの、上述されたような問題の大半を大幅に改善し、または解決さえする。
【0013】
本開示の一目的は、トランジスタ構造を提供することであり、上記トランジスタ構造は、初期半導体表面(OSS)を備えた半導体基板と、第1のゲート領域と、上記半導体基板において、上記初期半導体表面の下に形成された第1の凹部と、上記第1の凹部内で、上記半導体基板の側壁の縦方向に沿って形成された、湾曲形状または凹状の開口部と、上記第1の凹部内に形成され、第1のドーピング領域および第2のドーピング領域を含む第1の導電領域を備えている。上記第1のドーピング領域は、上記半導体基板の上記側壁の上記縦方向に沿った上記湾曲形状または凹状の開口部をベースとして形成されている。
【0014】
本発明の一態様によれば、上記第2のドーピング領域の上面は平坦または平面状である。
【0015】
本発明の一態様によれば、上記湾曲形状または凹状は、シグマ(Σ)形状のアンダーカットである。
【0016】
本発明の一態様によれば、上記トランジスタ構造は、上記第2のドーピング領域の上面および最側方側壁に接触するメタルプラグを含み、上記第2のドーピング領域は、高濃度にドーピングされた領域である。
【0017】
本発明の一態様によれば、上記湾曲形状または凹状の開口部が、複数の非縦方向の半導体部分側壁を含み、上記第1のドーピング領域は上記複数の非縦方向の半導体部分側壁をベースとして選択的に成長させられる。
【0018】
本発明の一態様によれば、上記トランジスタ構造がさらに、上記第1の凹部内に、第1のアイソレーション領域を含み、上記第1の導電領域が上記第1のアイソレーション領域の上にある。
【0019】
本発明の一態様によれば、上記湾曲形状または凹状の開口部は、上記第1のゲート領域の下にある。
【0020】
本開示の別の目的は、トランジスタ構造であって、上記トランジスタ構造が、OSSを備えた半導体基板と、第1のトランジスタと、第2のトランジスタとを含む、トランジスタ構造を提供することである。上記第1のトランジスタは、上記OSSの上の第1のゲート領域、上記半導体基板において、上記OSSの下に形成された第1の凹部、上記半導体基板において、上記第1のゲート領域の下に形成され、上記第1の凹部と連通する、湾曲した、または凹状の第1のアンダーカット、および第1のドーピング領域および第2のドーピング領域を有する第1の導電領域を含んでいる。上記第1のドーピング領域の少なくとも一部分は、上記湾曲した、または凹状の第1のアンダーカット内にある。上記第2のトランジスタは、上記OSSの上の第2のゲート領域、上記半導体基板において、上記OSSの下に形成された第2の凹部、上記半導体基板において、上記第2のゲート領域の下に形成され、上記第2の凹部と連通する、湾曲した、または凹状の第2のアンダーカット、および第3のドーピング領域および第4のドーピング領域を有する第2の導電領域を含んでいる。上記第3のドーピング領域の少なくとも一部分が、上記第2の湾曲した、または凹状のアンダーカット内に形成される。
【0021】
本発明の一態様によれば、上記トランジスタ構造は、第1のメタルプラグおよび第2のメタルプラグをさらに含んでいる。上記第1のメタルプラグは、上記第2のドーピング領域の上面および最側方側壁に接触し、上記第2のドーピング領域は、高濃度にドーピングされた領域であり、上記第2のメタルプラグは、上記第4のドーピング領域の上面および最側方側壁に接触し、上記第4のドーピング領域は、高濃度にドーピングされた領域である。
【0022】
本発明の一態様によれば、上記トランジスタ構造は、第1のアイソレーション領域および第2のアイソレーション領域をさらに備えている。上記第1のアイソレーション領域は上記第1の凹部内にあり、上記第1の導電領域は上記第1のアイソレーション領域の上にあり、上記第2のアイソレーション領域は上記第1の凹部内にあり、上記第2の導電領域は上記第2のアイソレーション領域の上にある。
【0023】
本発明の一態様によれば、上記第2のドーピング領域の上面は平坦または平面状であり、上記第4のドーピング領域の上面は平坦または平面状である。
【0024】
本発明の一態様によれば、上記湾曲した、または凹状の第1のアンダーカットは、複数の非縦方向の半導体部分側壁を含み、上記第1のドーピング領域は上記複数の非縦方向の半導体部分側壁をベースとして選択的に成長させられ、上記湾曲した、または凹状の第2のアンダーカットは、別の複数の非縦方向の半導体部分側壁を含み、第3のドーピング領域は上記別の複数の非縦方向の半導体部分側壁をベースとして選択的に成長させられる。
【0025】
本発明の一態様によれば、上記第1のドーピング領域のドーピング濃度は、上記第3のドーピング領域の濃度と異なる。
【0026】
本発明の一態様によれば、上記第2のドーピング領域のドーピング濃度は、前記第4のドーピング領域の上記濃度と同じであるか、または実質的に同じである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示の上記および他の態様は、好ましいが、限定でない(複数の)実施形態の以下の詳細な説明に関して、よりよく理解されるであろう。以下の説明は添付図面を参照して行われる。
【0028】
【
図1A】従来技術によるDRAMチップの回路図を示す図である。
【
図1C】従来技術による、MOSFETのゲートツーソース間/ドレイン領域内に形成される寄生メタルゲートダイオード、およびMOSFET内のGIDL問題を示す図である。
【
図2A】パッド窒化物層が堆積させられ、およびNMOSおよびPMOSトランジスタの活性領域を画定するようにSTIが半導体基板内に形成された後の処理構造を示す上面図である。
【
図2B】
図2Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図3A】ゲート長が画定された後の処理構造を示す上面図である。
【
図3B】
図3Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図3-1A】チャネル領域を形成するためのシャロートレンチが形成された後の処理構造を示す上面図である。
【
図3-1B】
図3-1Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図3-2A】チャネル領域が選択的に形成された後の処理構造を示す上面図である。
【
図3-2B】
図3-2Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図3-3A】チャネル領域を形成するための、丸みを帯びた形状を備えたシャロートレンチが形成された後の処理構造を示す上面図である。
【
図3-3B】切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図3-4A】丸みを帯びた形状を備えたシャロートレンチ内にチャネル領域が選択的に形成された後の処理構造を示す上面図である。
【
図3-4B】
図3-4Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図4A】ゲート導電領域が形成された後の処理構造を示す上面図である。
【
図4B】
図4Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図5A】ゲートキャップ領域が形成された後の処理構造を示す上面図である。
【
図5B】
図5Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図6A】ゲート領域外側のパッド窒化物およびパッド酸化物が除去された後の処理構造を示す上面図である。
【
図6B】
図6Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図7A】ゲート領域の側壁の上のスペーサが形成された後の処理構造を示す上面図である。
【
図7B】
図7Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図8A】ゲート領域外側の凹部が形成された後の処理構造を示す上面図である。
【
図8B】
図8Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図9A】凹部内の局所分離層が形成された後の処理構造を示す上面図である。
【
図9B】
図9Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図10A】凹部内の局所分離層の一部分が除去されて縦方向の半導体側壁を露呈させた後の処理構造を示す上面図である。
【
図10B】
図10Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図11A】複数のシグマ(Σ)形状のアンダーカットを画定するように、縦方向の半導体側壁がエッチングされた後の処理構造を示す上面図である。
【
図11B】
図11Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図11B-1】本開示の別の実施形態による、複数の湾曲形状または凹状の開口部、たとえば複数のシグマ(Σ)形状のアンダーカットを画定するように、縦方向の半導体側壁がエッチングされた後の処理構造を示す断面図である。
【
図12A】複数の湾曲形状または凹状の開口部、たとえば複数のシグマ(Σ)形状のアンダーカット内の、露呈させられたシリコン側壁から側方に半導体領域が伸びた後の処理構造を示す上面図である。
【
図12B】
図12Aに示されたような切断線(X軸)に沿って得られる断面図である。
【
図12B-1】
図11B-1に示されたような、複数の湾曲形状または凹状の開口部、たとえば複数のシグマ(Σ)形状のアンダーカット内の、露呈させられたシリコン側壁から側方に半導体領域が伸びた後の処理構造を示す断面図である。
【
図12C】本開示の別の実施形態による、複数の凹部内の、露呈させられたシリコン側壁から側方に半導体領域が伸びた後の処理構造を示す断面図である。
【
図12C-1】本開示のなお別の実施形態による、複数の凹部内の、露呈させられたシリコン側壁から側方に半導体領域が伸びた後の処理構造を示す断面図である。
【
図13A】本発明の一実施形態による新たなCMOS構造の上面図である。
【
図13B】
図13A中の切断線(Y軸)に沿った、新たなCMOS構造の断面を示す図である。
【
図14】絶縁体により、完全に分離されている訳でないn+およびp+領域を備えた従来のCMOS構造を示す図である。
【
図15A】NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタを備えた新たなCMOS構造の上面図である。
【
図15B】
図15A中の水平方向の破線切断線に沿った、新たなCMOS構造の断面を示す図である。
【
図16】従来のCMOS構造のn+/p接合からp-ウェル/n-ウェルを通ってn/p+接合構造までの考えられるラッチアップパスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示には、トランジスタ構造およびその処理方法を記載している。本開示の上記および他の態様は、好ましいが限定でない(複数の)実施形態の以下の詳細な説明により、よりよく理解されることになるであろう。以下の説明は、添付図面を参照しながら行われる。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態は、添付図面を参照しながら以下に開示されている。しかし、上記実施形態に開示された構造および内容は例示的な、および説明的な目的のために過ぎず、および本開示の保護の範囲は上記実施形態に限定されるものでない。なお、本開示は考えられる実施形態すべてを示すものでなく、および本開示の技術分野における熟練者であれば、本開示の趣旨を逸脱することなく、実際の必要性を満たすために、以下に開示された本明細書に基づいて好適な修正または変更を行うことができるであろう。本開示は、本明細書に開示されていない他の実現形態にも適用可能である。
【0031】
本発明は、特に、DRAMチップの周辺回路内で、およびDRAMチップのアレイコア回路のセンスアンプ内で使用されるトランジスタおよびCMOSFET構造を開示している。提案されたNMOSおよびPMOSトランジスタの製造方法は以下のように例示的に示される。
工程10: 開始する。
工程20: 半導体基板に基づいて、NMOSおよびPMOSトランジスタの活性領域を画定し、および、深いシャロートレンチアイソレーション(STI)構造を形成する。
工程30: 半導体基板の初期半導体表面の上にゲート構造を形成する。
工程40: ゲート構造を覆うスペーサを形成し、半導体基板内に凹部を形成する。
工程50: 複数の局所的絶縁層を凹部内に形成する。
工程60: 凹部内のシリコンの側壁を露出させ、凹部内の露出するシリコン側壁から横方向に半導体領域を成長させてNMOSおよびPMOSトランジスタのソース領域およびドレイン領域を形成する。
【0032】
図2Aおよび
図2Bを参照されたく、工程20は以下を含み得る。
工程202: パッド酸化物層22が形成され、およびパッド窒化物層23が堆積させられる。
工程204: パターン化されたフォトレジスタンス(PR)を使用してプレーナNMOSおよびプレーナPMOSトランジスタの活性領域を画定し、ならびに、それらの活性領域パターン外側の半導体基板内のシリコン材料の一部を除去して、一時的なトレンチを作り出す。
工程206: 作り出された一時的なトレンチ内に酸化物層を堆積させ、次いで、酸化物層をエッチバックし、および平坦化して、シャロートレンチアイソレーション(STI)21を形成し、
図2A中のx軸切断線に沿った断面図である
図2Bに示されるように、STI21の上面が、パッド窒化物層23の上面と揃えられる。
【0033】
図3~5を参照されたく、ゲート構造を形成する工程30は以下を含み得る。
工程302:
図3A、および
図3A中のx軸切断線に沿った断面図である
図3Bに示されるように、パターン化された別のフォトレジスタンス(PR)31を使用してNMOSおよびPMOSトランジスタのゲート領域のゲート長(Lgate)を画定し、次いで、PRにより覆われていないパッド酸化物層302およびパッド窒化物層304の部分が除去されて、ゲート収容トレンチ32を形成する。
工程304:
図4A、および
図4A中のx軸切断線に沿った断面図である
図4Bに示されるように、その後、ゲート収容トレンチ32内に、(熱酸化物または高誘電率(Hi-K)材料などの)ゲート誘電体層331、高濃度にドーピングされたポリシリコン(MOS用N+ポリシリコンおよびMOS用P+ポリシリコン)を含み得るゲート導電層332、Ti/TiN層333、ならびにタングステン層334を形成する。
工程306:
図5A、および
図5A中のx軸切断線に沿った断面図である
図5Bに示されるように、タングステン層334の上に窒化物キャップ層335および酸化物キャップ336を形成して、NMOSおよびPMOSトランジスタのゲート領域またはゲート構造を完成させる。
【0034】
次いで、
図6~8を参照されたく、工程40は以下を含み得る。
工程402:
図6A、および
図6A中のx軸切断線に沿った断面図である
図6Bに示されるように、STI層21と上記ゲート領域との間のパッド酸化物層22およびパッド窒化物層23を除去して、半導体基板のOSSを露わにする。
工程404:
図7A、および
図7A中のx軸切断線に沿った断面図である
図7Bに示されるように、上記ゲート領域の両側にスペーサ層を形成し、スペーサ層は、半導体基板のOSS上で熱成長させられた薄い酸化物サブ層343、薄い酸化物サブ層343の上にある薄い窒化物サブ層341および薄い酸化物サブ層342を含み得る。
工程406:
図8A、および
図8A中のx軸切断線に沿った断面図である
図8Bに示されるように、半導体基板の一部分をエッチングして、半導体基板内に複数の凹部311~314を形成する。各凹部311~314は、半導体基板がシリコン基板である場合に、工程404中のスペーサ層の直下の(110)配向を備えた、露出する縦方向の側面36を含んでいる。
【0035】
図9Aおよび
図9Bを参照されたく、工程50は以下を含み得る。工程406中の、前述の凹部311~314の側壁を覆う縦方向の酸化物-3V層411と、前述の凹部311~314の底部を覆う水平方向の酸化物-3B層412とを含む酸化物-3層41を熱成長させることを含み得る。その後、
図9A、および
図9A中のx軸切断線に沿った断面図である
図9Bに示されるように、前述の凹部311~314を完全に埋めるのに十分な厚さで窒化物-3材料を堆積させ、次いで、エッチバックプロセスを使用して窒化物-3材料の不必要な部分を除去して、前述の凹部311~314内側に、好適な窒化物-3層42のみを残す。なお、窒化物-3層42は、任意の好適な絶縁材料により、置き換えられ得る。
【0036】
なお、
図9Bおよび後続の図中に描かれた酸化物-3V層411および酸化物-3B層412の厚さは例証目的のみで示されているが、酸化物-3V層411の厚さが、正確に制御された熱酸化温度、タイミングおよび成長速度いずれもの下で非常に正確に制御されるようにこの熱成長させられる酸化物-3層41を設計することが、非常に重要である。明確に画定されたシリコン表面上の熱酸化により、酸化物-3V層411の厚さの40%が、前述の露出する(110)縦方向側面36からシリコン基板の一部分を取り去り、および、酸化物-3V層411の厚さの残りの60%が、前述の露出する(110)縦方向側面36外側の追加とみなされる(そうした、酸化物-3V層411の40%および60%の分布は、
図9B中に特に明確に描かれている)ことになるはずである。酸化物-3V層411の厚さは熱酸化プロセスに基づいて非常に正確に制御されるので、酸化物-3V層411のエッジは、ゲート領域のエッジと揃えられ得る。当然、エッチング条件、および熱酸化物の成長の条件に応じて、別の実施形態では、(5~10%未満などの)酸化物-3V層411の一部はゲート構造の下にあり得る。
【0037】
図10Aおよび
図10Bを参照されたく、工程60は以下を含み得る。
工程602:
図10Aおよび
図10Bに示されるように、窒化物-3層42の上にある、酸化物-3V層411の一部分が除去されて、凹部311および312内で縦方向の半導体側壁501および502を露出させ、この場合もまた、それらの縦方向の半導体側壁501および502は、半導体基板がシリコン基板である場合、(110)結晶配向を有している。残りの酸化物-3層41および窒化物-3層42は、シリコン基板内への局所的アイソレーション(「LISS」)という名で呼ばれ得る。
工程604: (110)結晶配向を有する、縦方向の半導体側壁501および502はエッチングされ、チャネル領域の一部分を除去し、側壁の縦方向に沿って、または、NMOSおよびPMOSトランジスタのゲート領域の下に、湾曲形状または凹状の開口部(複数の円弧形状の開口部、または複数のシグマ(Σ)形状のアンダーカット512および513などの)を画定し、たとえば、
図11Aおよび
図11Bに示されるように、シグマ(Σ)形状のアンダーカット512および513のそれぞれは、対応する凹部311および312とそれぞれ連通し、複数の非縦方向の半導体部分側壁を含んでいる。
工程606: 第1の半導体領域430を、シグマ(Σ)形状のアンダーカット513および514の露出された非縦方向の半導体側壁501および502それぞれから横方向に成長させる。第1の半導体領域430それぞれは、対応するシグマ(Σ)形状のアンダーカット513または514を少なくとも埋め、低濃度にドーピングされた領域(または低濃度にドーピングされたドレイン、「LDD」)を含み、または、ドーピングされていない領域および低濃度にドーピングされた領域を含み得る。第1の半導体領域430は、選択エピタキシャル成長(SEG)手法または原子層堆積(ALD)法などの、選択的に成長させられる方法により、形成され得る。
工程608: 第2の半導体領域を、それらの第1の半導体領域430から成長させる。第2の半導体領域それぞれは、選択的に成長させられる方法によっても形成され得る、高濃度にドーピングされた領域を含む。よって、NMOSトランジスタのドレイン領域は、N-LDD領域、およびN+ドーピングされた領域431を含んでおり、NMOSトランジスタのソース領域は、別のN-LDD領域、およびN+ドーピングされた領域432を含んでいる。同様に、PMOSトランジスタのドレイン領域は、P-LDD領域、およびP+ドーピングされた領域441を含んでおり、PMOSトランジスタのソース領域は、別のP-LDD領域、およびP+ドーピングされた領域442を含んでいる。なお、P+ドーピングされた領域441(442)またはN+ドーピングされた領域431(432)の上面は平坦もしくは平面状、または、半導体基板のOSSに略平行であり得る。
【0038】
なお、一実施形態では、SEG手法またはALD法により、形成された、N-LDD領域およびP-LDD領域(たとえば、第1の半導体領域430)それぞれは、
図12Bに示されるように、半導体基板のOSSと並んだ(実質的に並んだ)、その水平方向の境界を有している。よって、半導体基板のOSSと並んでいることで、NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタのソース/ドレイン領域の第2の半導体領域(たとえば、P+ドーピングされた領域441および442、またはN+ドーピングされた領域431および432)を成長させるための、より安定した(平面の)ベースをもたらし得る。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態では、第1の半導体領域430および第2の半導体領域(たとえば、P+ドーピングされた領域441および442、またはN+ドーピングされた領域431および432)は、選択エピタキシャルシリコン(Si)、またはシリコン/ゲルマニウム(SiGe)により、形成され得る。SiGeの場合、それは、ソース/ドレイン領域に圧縮ひずみを与えて、NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタのイオンを10~20%改善し得る。
【0040】
さらに、トランジスタの形成中には、イオン注入および熱アニーリングは必要でない。LDD領域またはソース/ドレイン領域を形成するためにイオン注入を使用する必要はなく、熱アニーリングプロセスを使用して欠陥を低減させる必要はない。したがって、誘起され、アニーリングプロセスによっても完全に除去することが困難な余分な欠陥は一度も引き起こされないので、予期せぬリーク電流源は大幅に、最小にされるはずである。
【0041】
いくつかの実施形態では、NMOSおよびPMOSトランジスタのソース/ドレイン領域は、NMOSトランジスタのソース/ドレイン領域のN+ドーピングされた領域431および432、およびPMOSトランジスタのソース/ドレインのP+ドーピングされた領域441および442の上に形成された金属領域351をさらに含んでいる。本実施形態では、
図12C-1に示されるように、NMOSトランジスタのソース/ドレイン領域のN+ドーピングされた領域431および432、および、PMOSトランジスタ内のソース/ドレインのP+ドーピングされた領域441および442は、凹部311~314を完全に埋めておらず、金属領域351は、N+ドーピングされた領域431および432、およびP+ドーピングされた領域441および442上に形成されて、それぞれ、凹部311~314を完全に埋め、N+ドーピングされた領域431および432、およびP+ドーピングされた領域441および442の複数の側壁を取り囲む。
【0042】
さらに、本開示のいくつかの他の実施形態では、(酸化物-3層41および窒化物-3層42を含む)LISSは、省略され得る。たとえば、NMOSおよびPMOSトランジスタのゲート領域の下の複数のシグマ(Σ)形状のアンダーカット513’および514’は、(
図11B-1に示されるように、)凹部311~314の露出した底面および縦方向側面36を直接エッチングすることにより、形成され得る。
【0043】
次いで、上記第1の半導体領域および第2の半導体領域は選択的に成長され得る。たとえば、NMOSトランジスタのドレイン/ソース領域のN-LDD領域430’およびPMOSトランジスタのドレイン/ソース領域のP-LDD領域(図示せず)は、複数のシグマ(Σ)形状のアンダーカット(たとえば、NMOSトランジスタのシグマ(Σ)形状のアンダーカット513’および514’)の複数の非縦方向の半導体部分側壁をベースとして選択的に成長させられる手法により、形成され得る。ドレイン領域のN+ドーピングされた領域431’およびソース領域のN+ドーピングされた領域432’は次いで、(
図12B-1に示されるように)NMOSトランジスタのドレイン/ソース領域のN-LDD領域430’をベースとして選択的に成長させられる方法により、形成され得る。PMOSトランジスタのドレイン/ソース領域のP-LDD領域(図示せず)およびP+ドーピングされた領域(図示せず)は、同様の方法により、形成され得る。
【0044】
一方、
図12Bの例では、本発明によるトランジスタのソースおよびドレイン領域それぞれは、底部構造上の絶縁材料(窒化物-3層42、および残りの酸化物-3層41)により分離されており、3つの側壁に沿ってSTI層21により分離されており、接合リークの可能性は、第1の半導体領域430における、(トランジスタのゲート領域直下の)チャネル領域への非常に小さな領域にのみ生じ、よって大幅に低減されることがある。
【0045】
別の実施形態では、チャネル領域は、ゲート構造の形成前に(イオン注入などにより)、半導体基板の初期シリコン表面(OSS)の下に、および近くに形成され得る。しかし、イオン注入により形成されるチャネル領域に加えて、本発明によるチャネル領域は選択成長により形成されてもよい。たとえば、
図4B中のゲート誘電体層331を形成する前に、
図3-1Aおよび
図3-1Bに示されるように、露呈されているシリコン表面が、1.5nm~3nmの深さを有するシャロートレンチを形成するようにエッチングされてもよい。次いで、
図3-2Aおよび
図3-2Bに示されるように、チャネル領域24がシャロートレンチ内に、選択的に成長させられる。
【0046】
その後、
図4/
図4B~
図12A/
図12B中に示されるゲート領域、ソース領域、およびドレイン領域を形成するためのプロセスが同様に適用されて、
図12Cに示される別のトランジスタ構造が形成され得る。
【0047】
なお別の実施形態では、
図4B中のゲート誘電体層331を形成する前に、露呈されているシリコン表面は、
図3-3Aおよび
図3-3Bに示されるように、丸いまたは湾曲した形状を有するシャロートレンチを形成するようにエッチングされてもよい。次いで、半導体チャネル領域24は、
図3-4Aおよび
図3-4Bに示されるように、シャロートレンチの側壁に沿って選択的に成長させられる。半導体チャネル領域24が、湾曲した、または丸い形状であるシャロートレンチの側壁に沿って選択的に成長させられるので、本実施形態におけるチャネル長はより長くなり得る。その後、
図4A/
図4B~
図12A/
図12B中に示されるゲート領域、ソース領域、およびドレイン領域を形成するためのプロセスが同様に適用されて別のトランジスタが形成され得る。
【0048】
別の実施形態(たとえば、
図12C-1)では、ソース(またはドレイン)領域は、選択的に成長させられたソース(またはドレイン)領域の高濃度にドーピングされた領域の上面および最側方側壁に接触している、TiN/タングステンまたは他の好適な金属材料などのメタルプラグをさらに備え得る。よって、ソース(またはドレイン)領域は複合ソース(またはドレイン)領域である。よって、外部の金属コンタクトは複合ソース(またはドレイン)領域の金属領域に接続され、そうした金属間コンタクトは、従来のシリコンと金属との間のコンタクトよりもはるかに低い抵抗を有する。
【0049】
さらに、
図13A~13Bに示されるように、
図13Aは本発明の一実施形態による新たなCMOS構造の上面図であり、
図13Bは、
図13A中の切断線(Y軸)に沿った、新たなCMOS構造の断面を示す図である。
図13A~13B中のPMOSおよびNMOSトランジスタは、縦方向に並んで位置している。
図13Aでは、新たなCMOS構造の4つの側はSTI21により取り囲まれている。さらに、
図13Bに示されるように、(酸化物-3層412および窒化物-3層42を含む)局所的複合アイソレーションがPMOSのP+ソース領域442(またはP+ドレイン領域441)とn型N-ウェルとの間に存在しており、(酸化物-3B層412および窒化物-3層42を含む)別の局所的複合アイソレーションもNMOSのN+ソース領域432(またはN+ドレイン領域431)とp型P-ウェルまたは基板との間に存在している。
【0050】
すなわち、新たなCMOS構造のドレイン領域およびソース領域それぞれは、3つの側壁上のSTI21により、および、底壁上の、局所的複合アイソレーションにより、取り囲まれている。よって、PMOSのP+領域の底部からNMOSのN+領域の底部への、考えられるラッチアップパスが、局所的アイソレーションにより、完全にブロックされる。したがって、(プレーナ表面上で測定される)ラッチアップ距離Xp+Xnを、重大なラッチアップ問題を引き起こすことなく、できる限り小さくすることができる。他方で、従来のCMOS構造では、n+およびp+領域は、
図1Bまたは
図14に示されるように絶縁体により完全に分離されず、n+/p接合からp-ウェル/n-ウェル接合を通ってn/p+接合まで存在している、考えられるラッチアップパスは、長さa、長さb、および長さcを含んでいる。
【0051】
さらに、本発明の別の実施形態による
図15A~15Bを参照されたい。
図15AはNMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタを備えた新たなCMOS構造の上面図であり、
図15Bは、
図15A中の水平方向の破線の切断線に沿った新たなCMOS構造の断面を示す図である。
図15A~15B中のPMOSおよびNMOSトランジスタは、横方向に並んで位置している。
図15Bに示されるように、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとの間に交差形状のLISS70が存在していると単純化することができる。交差形状のLISS70は、縦方向に延在しているアイソレーション領域71(たとえば、STI21、
図15Bに示されるように、半導体基板のOSSの下の縦方向の深さは、約150~300nm、たとえば200nmになる)、縦方向に延在しているアイソレーション領域71の右側にある、水平方向に延在している第1のアイソレーション領域72(縦方向の深さは、約50~120nm、たとえば100nmになる)、および縦方向に延在しているアイソレーション領域71の左側にある、水平方向に延在している第2のアイソレーション領域73(縦方向の深さは、約50~120nm、たとえば100nmになる)を含んでいる。水平方向に延在しているアイソレーション領域それぞれは、酸化物-3層41および窒化物-3層42を含み得る。PMOS/NMOSトランジスタのソース/ドレイン領域の縦方向の深さは約30~50nm、たとえば40nmである。PMOS/NMOSトランジスタのゲート領域の縦方向の深さは約40~60nm、たとえば、
図15Bに示される50nmである。
【0052】
本実施形態では、水平方向に延在している第1および第2のアイソレーション領域72/73は、トランジスタのゲート構造またはチャネルの直下にはない。水平方向に延在している第1のアイソレーション領域72(縦方向に延在しているアイソレーション領域71の右側)はPMOSトランジスタのソース/ドレイン領域の底部に接触しており、水平方向に延在している第2のアイソレーション領域73(縦方向に延在しているアイソレーション領域71の左側)はNMOSトランジスタのソース/ドレイン領域の底部に接触している。したがって、PMOSおよびNMOSトランジスタ内のソース/ドレイン領域の底部側は、半導体基板から遮蔽されている。さらに、水平方向に延在している第1または第2のアイソレーション領域72/73は、異なる2つ以上の絶縁材料(たとえば、酸化物-3層41および窒化物-3層42)を含む、または、同じ2つ以上の絶縁材料であるが別個のプロセスにより形成される絶縁材料を含む複合アイソレーションであり得る。
【0053】
本文および
図1B中で前述されたように、純NMOS技術と対照的に、従来のCMOS構成/技術の欠点は、n+/p-サブ/n-ウェル/p+接合などの寄生バイポーラ構造が一度存在し、残念ながら、一部の劣悪な設計は、ノイズによる大電流サージに耐えることができず、ラッチアップを引き起こして、チップ動作全体の停止、または、チップ機能への恒久的な損傷をもたらすということである。従来のCMOSのレイアウトおよびプロセスルールは、ラッチアップ距離(
図1B)と呼ばれる、PMOSのp+ソース/ドレイン領域からNMOSのn+ソース/ドレイン領域を隔てるための非常に大きなスペースを常に必要としており、これはラッチアップのいかなる可能性をも防ぐために多くのプレーナ表面を使い尽くす。さらに、ソース/ドレインn+/pおよびp+/n半導体接合領域が大きすぎる場合、順方向バイアス事故が一旦誘発されると、大きなサージ電流が誘起されてラッチアップを発生させる場合がある。
【0054】
【0055】
他方で、従来のCMOS構造では、n+/p接合からp-ウェル/n-ウェル接合を介してn/p+接合への、考えられるラッチアップパスは、(
図16に示されるように)長さd、長さe、長さf、および長さgを含んでいるに過ぎない。
図15Bのそうした考えられるラッチアップパスは
図16中のものよりも長い。したがって、デバイスレイアウトの観点からは、本発明による、
図15B中のNMOSおよびCMOS間の確保されたエッジ距離(X
n+X
p)は、
図16中のものよりも小さい場合がある。さらに、
図15Bでは、潜在的なラッチアップパスは、
図16中のn+/p接合からn/p+接合へでなく、n/LDD-p接合へと、LDD-n/p接合から始まる。
図15B中のLDD-nまたはLDD-p領域内のドーピング濃度は、
図16のn+またはp+領域内のドーピング濃度よりも低いので、
図15B中のLDD-nまたはLDD-p領域から放出される電子または正孔の量は、
図16中のn+またはp+領域から放出されるものよりもはるかに低くなる。そうした、キャリアのより低い放出は、誘起されるラッチアップ現象の可能性を効果的に減少させるだけでなく、さらに、ラッチアップ現象が誘起された場合にも、電流を劇的に低減させる。n+/pおよびp+/n接合領域はいずれも、大幅に低減されるので、これらの接合の、ある急激な順方向バイアスさえ、異常電流の大きさを低減させることができ、
図15Bにおいてラッチアップを形成する機会を減らし得る。
【0056】
再び
図15Bを参照すれば、本発明によれば、PMOSのソースまたはドレイン領域は、水平方向に延在している第1のアイソレーション領域72および縦方向に延在しているアイソレーション領域71により取り囲まれており、PMOSのソースまたはドレイン領域のLDD領域(縦方向の長さは、約10~50nmになる)のみが、半導体基板に接触して、p+/n接合でなく、LDD-p/n接合を形成する。同様に、NMOSのソースまたはドレイン領域は、水平方向に延在している第2のアイソレーション領域73および縦方向に延在しているアイソレーション領域71により、取り囲まれており、NMOSのソースまたはドレイン領域のLDD領域(縦方向の長さは、約40nmになる)のみが、基板に接触して、p+/n接合でなく、LDD-n/p接合を形成する。したがって、NMOSのn+領域およびPMOSのp+領域は基板またはウェル領域から遮蔽される。さらに、水平方向に延在している第1または第2のアイソレーション領域72/73は、複合アイソレーションであり、且つ十分厚いので、ソース(またはドレイン)領域とシリコン基板との間に誘起される寄生メタルゲートダイオードは最小にされ得る。隣接するNMOSおよびPMOSトランジスタに確保された平面ラッチアップ距離が、新たなCMOSの平面面積を大幅に低減させ得るように大幅に短縮されることが期待される。
【0057】
要約すれば、CMOS構造のトランジスタのソース/ドレイン領域は、半導体基板の側壁の縦方向に沿った、湾曲形状または凹状の開口部から横方向に、成長させられるので、ソース/ドレイン領域の上面は、良好な質で平坦または平面状となり得る。さらに、LDD(低濃度にドーピングされたドレイン)の面は、選択成長中のインサイチュドーピング手法(in-situ doping technique)により、トランジスタチャネルおよび基板本体いずれからも水平方向に成長させられ、上部シリコンから下方にソース/ドレイン領域内へのみ形成され得るイオン注入プロセス、ならびに、接合境界が画定および制御されるのを困難にし得る熱アニーリングプロセスは存在しない。イオン注入プロセスにより形成される従来のドーピングされた領域と違って、そうした選択的に成長させられる半導体領域(たとえば、ドーピングされていない領域、LDD領域、および高濃度にドーピングされた領域)は、半導体基板から独立している。本発明は、プレーナトランジスタ構造だけでなく、フィン状のトランジスタ構造にも適用され得る。
【0058】
さらに、本発明では、ゲルマニウムまたは炭素原子などの種々の非シリコンドーパントをも含む高濃度にドーピングされた領域へのLDDのSEG形成は、応力を増加させてチャネル移動性を向上させる。ドーピング濃度プロファイルは、本発明による、ソース/ドレイン領域のSEG/ALD形成において制御可能であり、または調整可能である。
【0059】
装置および方法の数多くの修正および改変を、本発明の教示を維持しながら行い得ることを当業者は容易に気付くであろう。よって、上記開示は、添付された請求項の境界によってのみ限定されるものと解されるべきである。
【外国語明細書】