(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046757
(43)【公開日】2024-04-04
(54)【発明の名称】地盤内基礎生成用の土木機械及び方法
(51)【国際特許分類】
E21B 7/00 20060101AFI20240328BHJP
E21B 45/00 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
E21B7/00
E21B45/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023159971
(22)【出願日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】22197380
(32)【優先日】2022-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】23189020
(32)【優先日】2023-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502407107
【氏名又は名称】バウアー マシーネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリューデルレ ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ショーバー アンドレアス
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AB16
2D129BA03
2D129BA15
2D129BB04
2D129DC01
2D129DC13
2D129JA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】地盤内の基礎を特に効率的に且つ計画に従い造成できる土木機械及び方法を提供する。
【解決手段】本発明は、地盤内に基礎を造成する土木機械であり、地盤内に少なくとも1個の基礎要素を形成するために指定された目標深度に至る穴を地盤に造成するように、又は、指定された目標深度に至るまで地盤内へと少なくとも1個の基礎要素を直に導入するように、構成されていて、目標深度を入力できる制御ユニットと、その制御ユニットがその土木機械の動作についてのデータを表示させることができる表示装置、とりわけスクリーンと、を備える土木機械に関する。本発明により提供されるところによれば、制御ユニットが、入力された目標深度に基づき、かつ基礎を造成するために制御ユニットに入力される又は入力可能なパラメタに応じて、その入力目標深度に到達するまでの予想目標到達時間を計算し、その予想目標到達時間を表示装置に表示させるように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤(1)内に基礎を造成するための土木機械であって、地盤(1)内に少なくとも1個の基礎要素を形成するために指定された目標深度に至る穴を地盤内に造成するように、又は、指定された目標深度まで地盤(1)内へと少なくとも1個の基礎要素を直に導入するように、構成される土木機械であって、
制御ユニット(40)と、
前記制御ユニット(40)が本土木機械(10)の動作についてのデータを表示させることができる表示装置(50)、とりわけスクリーンと、
を備える土木機械であって、
計算装置が、入力された前記目標深度に基づいて、かつ前記基礎の造成に関わる入力パラメタに応じて、入力された前記目標深度に到達するまでの予想目標到達時間を計算し、前記予想目標到達時間を前記表示装置(50)に表示させるように配設及び構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項2】
請求項1に記載の土木機械であって、
地盤タイプ、地盤プロファイル、工事方法、土木ツール(34)、機械タイプ、駆動力、駆動部(22,26)の回転速度、前記土木ツール(34)の回転速度、送り分力及び/又は送り量、
のうち1個又は複数個に関する値が前記パラメタに含まれることを特徴とする土木機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の土木機械であって、
前記計算装置が本土木機械(10)の前記制御ユニット(40)内に統合配置され、又は前記制御ユニットから分離配置されていて、前記計算装置がデータ伝送装置を介し前記制御ユニット(40)と通信することを特徴とする土木機械。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、1個又は複数個のセンサデバイス(48)によりパラメタを自動的に記録するように、及び/又は、機械内及び/又は機械外のデータ記憶装置(42,44)からパラメタを取り込むように、構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、前記基礎の造成中における条件変化に対し前記パラメタを適合させて、前記予想目標到達時間を最新版データベースに基づいて計算して前記表示装置(50)により表示させるように構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の土木機械であって、
前記予想目標到達時間を、前記目標深度に到達するまでの時間量及び/又は前記目標深度に到達する日時を表示させることで指し示せることを特徴とする土木機械。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の土木機械であって、
データ伝送装置が、機械外データ記憶装置(44)又は主事務所から前記制御ユニット(40)へ、及び/又は、前記制御ユニット(40)から前記機械外データ記憶装置(44)又は主事務所へ、パラメタを伝送しうるように配置されていることを特徴とする土木機械。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、前記予想目標到達時間に応じて、実行すべき処置又は推奨される処置のための時間指示情報を更に前記表示装置(50)に表示するように構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項9】
請求項8に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、前記表示装置(50)に表示されている処置をオペレータが直に確認して始動させることができるように構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、前記目標深度に到達した実際の造成時間を特定し、計算された前記予想目標到達時間と比較し、後続の基礎を造成するに当たり予想目標到達時間を計算する際に比較結果を斟酌するように構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の土木機械であって、更に、
移動可能な搬送装置(15)と、
前記搬送装置(15)上に配置されたマスト(18)又はブームアームと、
前記マスト(18)又は前記ブームアームの上に調整可能に配置され、土木工事を実行することで前記基礎を造成し、とりわけ前記目標深度に到達させる、土木工事ツール(34)と、
を備える土木機械(10)であることを特徴とする土木機械。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の土木機械であって、
削孔リグ、トレンチカッタ、グラブ掘削機、杭打機又はバイブレータとして構成された土木機械(10)であることを特徴とする土木機械。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の土木機械であって、
前記表示装置(50)が少なくとも1個のスクリーン、データ眼鏡、VR又はAR眼鏡、タブレット、スマートフォン、ヘッドアップディスプレイ及び/又は眼鏡型ディスプレイを備えることを特徴とする土木機械。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、計算された前記予想目標到達時間を主事務所又はリモートデバイスへと発送又は送信するよう構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項15】
地盤(1)内に基礎を造成する方法、とりわけ請求項1~14のいずれか一項に記載の土木機械(10)による方法であり、
地盤(1)内に少なくとも1個の基礎要素を形成するために指定された目標深度に至る穴を地盤(1)内に造成し、又は、指定された目標深度まで地盤(1)内へと少なくとも1個の基礎要素を直に導入し、かつ
前記土木機械(10)を動作させるためのデータを制御ユニット(40)によって前記土木機械(10)の表示装置(50)、とりわけスクリーンに表示させる、
方法であって、
指定された前記目標深度に基づき、予想目標到達時間を、前記基礎の造成に関わる入力パラメタに応じて計算装置により計算して、前記表示装置(50)により機械オペレータ向けに表示することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤内に基礎を造成するための土木機械であって、地盤内に少なくとも1個の基礎要素を形成するために指定された目標深度に至る穴を地盤に造成するように、又は指定された目標深度まで地盤内へと少なくとも1個の基礎要素を直に導入するように、構成される土木機械であって、とりわけ目標深度を入力できる制御ユニットと、制御ユニットが土木機械の動作についてのデータを表示させることができる表示装置、とりわけスクリーンと、を備える土木機械であって、請求項1の前提部分に係るものに関する。
【0002】
本発明は、更に、地盤内に基礎を造成する方法であり、地盤内に少なくとも1個の基礎要素を形成するために指定された目標深度に至る穴を地盤に造成し、又は指定された目標深度まで地盤内へと少なくとも1個の基礎要素を直に導入し、とりわけその目標深度をその土木機械の制御ユニットへと入力し、かつ、その土木機械を動作させるためのデータを制御ユニットによってその土木機械の表示装置、とりわけスクリーンに表示させる方法であって、請求項15の前提部分に係るものに関する。
【背景技術】
【0003】
地盤内に基礎を造成するための土木機械及び方法が以前から知られている。例えば、ドリル穴や切り溝などの穴を地盤内に造成した後、その穴を硬化性媒質、とりわけセメントで満たし、その上で基礎杭又はダイアフラム壁セグメントを形成すること、場合によっては付加的補強材を併用することによって、基礎要素を形成することができる。例えば、基礎杭又はスクリードを打ち込み又は振動させることによっても、基礎要素を形成することができる。本発明における基礎要素は、耐荷重機能又は耐荷重容量機能に限定されず、例えば特殊な土木工学に由来するダイアフラム壁を伴う建設ピット囲いのケースで既知な通り、代替的又は付加的に封止機能及び/又はその他のタスクをも担いうるものである。
【0004】
今日、周知の土木機械では、装備されている電子制御ユニットによって、機械オペレータによる土木機械の運転(操作)が容易化されており、その運転の一部又は全部を自動的に引き受けることさえできる。様々な動作データは、センサを介して記録され、その制御ユニットに供給される。制御コマンドは、対応するデータラインを介して、対応するアクチュエータ、とりわけ駆動部や作動シリンダへ発せられることができる。
【0005】
そうした土木機械が例えば特許文献1,2から既知である。
【0006】
建設現場での効率的なワークフローを実現するためには、基礎工事をタイムリーに行うことが決定的に重要である。基礎工事の時間的な遅れは、後続のサブセクションの時間的な遅れにつながりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3299523号明細書(A1)
【特許文献2】欧州特許出願公開第3296467号明細書(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根底をなす目的は、地盤内の基礎を特に効率的に且つ計画に従い造成できる土木機械及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、一方では請求項1の諸特徴を有する土木機械により、他方では請求項15の諸特徴を有する方法により、達成される。本発明の好適な諸実施形態が従属形式請求項に示される。
【0010】
本発明に係る土木機械の特徴は、計算装置が、とりわけ制御ユニットの一部分として設けられていて、入力された目標深度に到達するまでの予想目標到達時間を、その入力目標深度に基づいて、かつ基礎の造成に関わる入力パラメタに応じて計算し、その予想目標到達時間を表示装置にて表示させるように構成されていることにある。好ましくは、そのようなパラメタを制御ユニットに入力し、又は入力可能とする。
【0011】
本発明の基本的着想は、機械オペレータ及び/又は他の1人若しくは数人の人物、例えば親方又は現場責任者向けに、造成すべき基礎要素の入力目標深度に基づき、好ましくは制御ユニットによって、予想目標到達時間を表示装置上に表示させる、というものである。目標到達時間は、計算装置、好ましくは制御ユニットによって、保存されているパラメタに応じて計算することができる。最も単純なケースでは、用いられている土木機械及び/又は用いられているツールに係る平均前進速度が、パラメタとして保存される。目標到達時間の計算値は、工事の初期に1回、又は工事中に数回、計算することができ、必要であれば更新すること及び指定することができる。この目標到達時間には、目標深度に到達するまでの時間が含まれるほか、必要であれば、その基礎の計測を完遂するための付加的時間の情報を含めることができる。
【0012】
例えば、目標到達時間を指定することで、機械オペレータにとっては、土木機械の運転が容易になり、他の人物にとっては、建設現場の計画立てが容易になる。シフト終了時までに基礎要素を完成できるか否か、また完成できるのであれば何個の基礎要素を完成できるかについて、より良好な推定が可能になる。目標到達時間の決定により、更なる運転処置、例えば補強籠の供給、硬化性媒質、とりわけモルタル又はセメントスラリの供給、及び/又は、後刻の工事用の更なる建設資材及び/又は基礎要素の配給、との協調も可能となる。
【0013】
本発明の更なる発展形態によれば、地盤タイプ、地盤プロファイル、工事方法、工事ツール、機械タイプ、駆動力、駆動部の回転速度及び/又はトルク、工事ツールの回転速度、送り分力及び/又は送り量、のうち1個又は複数個に関する値をパラメタに含めることで、予想目標到達時間のひときわ正確な計算が達成される。これらのパラメタの対応する値は、機械オペレータ及び/又は主事務所(本部事務所)が事前に入力又は照会されることや、運転の前又は最中に機械自体により記録して保存することができる。
【0014】
地盤タイプの情報には、とりわけ地盤強度、ひいては予想される前進速度についての情報を、含めることができる。地盤プロファイルが入力される場合は、地盤が様々な強度の地盤層で多層構成されうることを、斟酌することができる。工事方法に関しては、例えばエンドレスオーガによる連続削孔を計画しているのか、それとも削孔バケットによる非連続削孔を計画しているのかといった、基本的な工事手順を記憶しておくことができる。寸法設定及び/又は条件についてのデータ、とりわけ工事ツールの実際の摩耗状態又は予想される摩耗状態についてのデータも、前進速度に対し影響を及ぼしうる。駆動部の回転速度及び/又はトルク、工事ツールの回転速度、送り分力及び/又は送り量又は送り速度に関わる様々な機械性能データについても、同じことが当てはまる。目標到達時間を決定する際に、基礎要素の造成時の工事速度に影響を及ぼしうる他のパラメタを、斟酌することもできる。パラメタは、測定又は計算されたツール摩耗に関するものであってもよい。例えば、そのツール又はツールセットを変更する必要があるか否かを斟酌し、そのことを目標到達時間の計算に組み込むことができる。
【0015】
本発明の有利な実施形態によれば、計算装置がその土木機械の制御ユニット内に統合配置され、又はその制御ユニットから分離配置され、計算装置がデータ伝送装置を介し制御ユニットと通信することが好都合である。計算装置は、その土木機械の制御ユニットと一体であってもよい。しかし、計算装置は、部分的または全体的に土木機械とは別に、例えば、ラップトップやタブレットコンピュータなどのモバイルコンピュータ上に、または、好ましくは無線データ接続又はインターネットを介する接続で、現場管理者の事務所や中央事務所などの遠隔地に、形成することもできる。
【0016】
本発明の更なる発展形態によれば、制御ユニット又は計算ユニットが、1個又は複数個のセンサデバイスによりパラメタを自動的に検出するよう、及び/又は、機械内及び/又は機械外のデータベースからパラメタを取り寄せるよう、構成されることが好適である。特に、制御ユニットは、目標深度よりも浅い第1深度に達するまでの工事速度を検出し決定することができる。第1の距離に達するまでの第1の工事ステップに基づいて、制御ユニットは、目標深度に到達するまで推定を実行することができる。
【0017】
建設現場にて、以前の基礎要素の造成での工事速度を用い、今後の目標到達時間を計算することもできる。とりわけ、建設現場が大規模であり数個の同一又は同様な土木機械がそこで用いられているのであれば、対応するデータを主事務所から取り寄せることもできる。地盤地質についてのデータ及び情報を、その機械自体により記録することや、機械外データベース、例えば建設現場向けに通常準備されており土壌専門知識由来のデータが保存されているデータベースから、取り寄せることもできる。パラメタについての記録又は保存データがより完全であるほど、目標到達時間をより精密に予測することができる。
【0018】
原則として、目標到達時間の決定は処理開始時の1回だけでよい。本発明の一実施形態において、基礎造成中の条件変化に対しパラメタを適合させて、予想される目標到達時間を最新版データベースに基づいて計算して表示装置に表示させるように制御ユニットを構成することが、目標到達時間を特に精密に決定するために有利となる。目標到達時間は連続的に再計算することができる。その再計算を所定時間間隔、例えば数秒又は数分の範囲内の間隔で実行することが好適である。
【0019】
本発明の更なる発展形態によれば、目標に到達するまでの時間量及び/又は目標に到達する日時を表示することによって、予想される目標到達時間を指し示すことができることは、例えばオペレータにとって特に有益である。このように予想される目標到達時間を指し示すことにより、特に、基礎要素の造成途上にて又は目標深度に到達したときに開始又は準備されるべき更なる処置との調整を図ることや、必要な工事の休憩の予定を組むことが可能になる。時間表示に加えて、「現在の工事深度」及び/又は「目標深度に到達するまでの残りの深度」を表示することも有用である。
【0020】
本発明の更に好ましい実施形態は、「機械外データベース又は主事務所から制御ユニットへ」及び/又は「制御ユニットから機械外データベース又は主事務所へ」パラメタを送信しうるデータ伝送装置が配置されることである。原理的には、機械オペレータが入力装置例えばキーボードを介し目標深度及び/又はパラメタを手で入力することもできる。しかし、データ入力は、例えばデータキャリアからの入力や、ケーブル又は無線による機械内又は機械外のデータ記憶装置からのデータ送信による入力など、他の任意の適切な方法でも実施することができる。データ伝送装置は、有線及び/又は無線によるデータ送信のために適宜操作することができる。
【0021】
本発明の更なる実施形態の変形例によれば、制御ユニット又は計算ユニットが、予想される目標到達時間に応じて、実行すべき処置又は推奨される処置のための時間指示情報を更に表示装置に表示するように構成されていることが有利となる。この方法によって、例えばモルタル又はセメント懸濁液につき、補強籠につき、及び/又は、更なる基礎杭又は厚板につき、更なる資材発注が指示される時間又は時刻を、制御ユニットから指示することができる。特に、制御ユニットが、対応する処置を「自動的に」及び/又は「機械オペレータによる解除後、特に主事務所が介在する解除後に」始動させることが好ましい。この方法により、建設現場におけるワークフローを更に効率的にすることができる。
【0022】
目標到達時間がリモートな主事務所、とりわけ現場管理主事務所又は現場主事務所に送られることによって、建設プロセスを管理及び制御することができる。
【0023】
本発明の更なる発展形態によれば、表示装置に表示されている処置を機械オペレータが直に確認して始動させることができるよう、制御ユニットを構成することで、工事プロセスの更なる改善を達成することができる。この文脈において、表示装置は、特に「タッチスクリーン」又は「カーソルやマウスで操作されるスクリーン」として構成することが可能であり、表示装置に表示されるアクションは、アクティブな制御フィールドとして構成される。これらのアクションは、タッチスクリーンの場合は単純なタッチにより、カーソルの場合はクリックにより、開始又は始動させることができる。
【0024】
本発明の更に好ましい実施形態では、制御ユニット又は計算装置が、目標深度に到達した実際の造成時間を特定し、計算により予想された目標到達時間と比較し、且つ後続の基礎を造成するための予想目標到達時間を計算する際に比較結果を斟酌するよう、構成される。実際に達成された到達時間と、予め目標時間として計算された目標到達時間とを比較することにより、目標到達時間の決定精度の更なる改善を達成することができる。実際の時間と目標時間との間に生じたずれの原因の分析を、対応する人工知能付コンピュータプログラムにより決定することができて、その結果、その後の目標到達時間の決定に斟酌することができれば、更に好適である。
【0025】
原理的には、土木機械は、地盤内に基礎を造成するために使用可能な公知の任意の方法で構成することができる。本発明の一実施形態によれば、土木機械が、移動可能な搬送装置と、搬送装置上に配置されたマスト又はブームアームと、マスト又はブームアーム上に調整可能に配置されて土木工事を実施することにより基礎を造成し特に目標深度に到達させる土木ツールと、を備える。
【0026】
その移動可能な搬送装置は、とりわけ、クローラシャーシ又は車輪付シャーシを有するものとすることができる。マスト、とりわけ工事中に略鉛直配置されうるマストは、単純なマスト、リーダマスト又はテレスコーピックリーダとすることができる。ブームアームは、とりわけ、水平旋回軸線周りで旋回させうるよう搬送装置上に配置することができる。搬送装置は、とりわけ、鉛直回動軸線周りで回動させうるよう下キャリッジ上に実装された上キャリッジを備えるものとすることができる。とりわけ、削孔ツール、混合ツール、ダイアフラム壁グラブ又は切削輪を、土木ツールとして設けることができる。原理的には、土壌物質を排除しながら地盤内に直に導入できるものであれば、スクリード又は杭を土木ツールとして設けることもできる。杭は、特に、相応な杭先を有する打ち込み杭又は振動杭として構成することができる。導入されるべき基礎要素は、杭又は支持管として構成することもできる。
【0027】
本発明に係る土木機械は、好ましくは、削孔リグ、トレンチカッタ(溝切機)、グラブ掘削機(掴み掘り機)、杭打機又はバイブレータとして構成することができる。まず、削孔リグ及びトレンチカッタは、地盤内に穴を造成し、その上でその穴内に基礎要素を配置又は形成するために用いることができる。とりわけ、削孔、把持又は切削、即ち除去により好ましくも形成された地盤内の穴を、硬化性懸濁液で満たしオプション的には1個又は複数個の補強要素を入れた上で、その懸濁液を硬化させることで、基礎要素を形成することができる。硬化性懸濁液は、穴の外で作成して穴の中に入れてもよいし、除去されその穴の中に残留している土壌物質、言い換えれば分解土壌物質を併用し、いわゆる下地モルタルとして穴の中で現地作成してもよい。杭打機又はバイブレータならば、既存の基礎要素、とりわけ杭又はスクリードを、とりわけ土壌を排除しつつ地盤内に直に押し込み、基礎要素を形成することができる。
【0028】
本発明に係る方法の特徴は、入力された目標深度に基づき、制御ユニットが、基礎の造成のため制御ユニットに入力可能又は入力されるパラメタに応じて、予想目標到達時間を計算し、表示装置で以てその予想目標到達時間を表示することにある。
【0029】
原理的には、あらゆる好適な表示装置を用いることができる。本発明のある実施形態によれば、ひときわ好適なことに、表示装置が少なくとも1個のスクリーン、データ眼鏡、VR又はAR眼鏡、タブレット、スマートフォン、ヘッドアップディスプレイ及び/又は眼鏡型ディスプレイを備える。
【0030】
有利なことに、本発明の更なる発展形態によれば、制御ユニット又は計算ユニットが、計算された目標到達時間を主事務所又はリモートデバイスへと発送又は送信するよう構成される。従って、その情報を、その情報が役立つあらゆる場所に送ることができる。
【0031】
本発明に係る方法は、とりわけ、本発明に係る上述の土木機械により実行することができる。上述の諸長所を達成することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、地盤内の基礎を特に効率的に且つ計画に従い造成できる土木機械及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図中に模式的に示されている好適な諸実施形態との関連で、本発明について更に後述する。図面には以下が示されている。
【
図1】本発明に係る土木機械の概略の側面図である。
【
図2】表示装置を有する制御ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に削孔リグとして例示的に構成された本発明に係る土木機械10、好ましくはクローラシャーシとして構成された下キャリッジ12と、その下キャリッジ上に回動可能実装された上キャリッジ14とを有している。下キャリッジ12と上キャリッジ14で搬送装置15が形成されている。駆動ユニットと、土木機械10の機械オペレータ向けの制御ステーションとを、公知の方法で上キャリッジ14上に配置することができる。運転室内には、制御ユニットと表示装置、特にスクリーンを配置することができる。
【0035】
上マストヘッド19を有する略鉛直なマスト18を、ネックシリンダを有する関節運動システム16を介し、上キャリッジ14の前側に調整可能に取り付けることができる。スライド20は、マスト18の前側に沿い摺動可能に案内されることができる。スライド20には、油圧モータ24を含む第1オーガ駆動部22が設けられていてもよい。
更に、支持チューブ4とのトルクプルーフ(耐トルク)連結を確立するために、筒状の回動連結部27を有する第2駆動部26がスライド20に設けられていてもよい。第2駆動部26は、例えば、回動連結部27ひいては支持チューブ4にトルクを加えうるように、油圧モータ24を有する第1オーガ駆動部22への伝達連結部で実質的に構成されていてもよい。
【0036】
ほぼ筒状の第1オーガ駆動部22には、例えば、外側駆動バーを有するケリーリンケージとして構成されうるドリルストリング30を、貫通させることができる。ここではそのドリルストリング30が上懸架部32を有しており、それによってそのドリルストリング30を主ケーブル39に連結させることができる。主ケーブル39を、マストヘッド19にあるプーリによって、上キャリッジ14の上部にある主ウィンチ38へと案内することができる。主ウィンチ38を動作させることにより、ドリルストリング30を鉛直に動かすことができる。
【0037】
スライド20は送りケーブル37に連結され、この送りケーブル37はスライド20の上下でマスト18に沿い案内され、送りウィンチ36により作動させることができる。送りウィンチ36は、スライド20をマスト18のガイドに沿って上下に動かすことができる。
【0038】
ドリルストリング30の下側には、土壌物質を除去するための土木ツール34として、削孔ツールが取り付けられている。土木ツール34は、
図1に図示された例示的な実施形態では削孔バケットとして構成されている。この削孔ツールの直径は、支持チューブ4の内部空洞内にその削孔ツールを挿入できるように構成されている。
【0039】
土木機械10を用い、地盤1内にボーリング孔を造成することができる。地盤1内に基礎要素を形成すべく、そのボーリング孔内に硬化性物質を導入することができ、その後それを硬化させることで基礎要素を形成させることができる。支持チューブ4は、基礎要素の一部分としてそのボーリング孔内に留置させてもよいが、硬化に先立ち地盤1から引き抜くのが望ましい。
【0040】
図2には本発明に係る土木機械10用制御ユニット40の配列が示されており、この配列では制御ユニット40がケーブル又は無線により表示装置50に接続されている。表示装置50は、とりわけスクリーンとして構成することができ、それによって、土木機械10の動作についてのデータをその土木機械10の運転室内で表示することができる。
【0041】
入力装置41は、これは例に過ぎないがキーボードとして構成することができ、それを介して、地盤1内における基礎の造成中に目標深度を制御ユニット40へと入力することができる。その入力目標深度に基づき且つ基礎の造成に関わるパラメタに応じて、入力目標深度に到達するまでの目標到達時間を制御ユニット40により計算し、表示装置50上で機械オペレータ向けに表示することができる。制御ユニット40は、目標到達時間を決定するために、様々な経路及び/又は情報源を介して制御ユニット40へと入力され得るパラメタを斟酌することができる。
【0042】
目標到達時間を計算するため、それらのパラメタを、入力装置41を介し、機械内データ記憶装置42から、機械外データ記憶装置44や中央ステーションから、及び/又は、土木機械10上の様々なセンサデバイス48から直に、制御ユニット40に供給することができる。その目標到達時間を表示装置50により機械オペレータ向けに表示することができ、ひいては機械オペレータがその情報を用いて土木機械10の効率的な運転を図ることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤(1)内に基礎を造成するための土木機械であって、地盤(1)内に少なくとも1個の基礎要素を形成するために指定された目標深度に至る穴を地盤内に造成するように、又は、指定された目標深度まで地盤(1)内へと少なくとも1個の基礎要素を直に導入するように、構成される土木機械であって、
制御ユニット(40)と、
前記制御ユニット(40)が本土木機械(10)の動作についてのデータを表示させることができる表示装置(50)と、
を備える土木機械であって、
計算装置が、入力された前記目標深度に基づいて、かつ前記基礎の造成に関わる入力パラメタに応じて、入力された前記目標深度に到達するまでの予想目標到達時間を計算し、前記予想目標到達時間を前記表示装置(50)に表示させるように配設及び構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項2】
請求項1に記載の土木機械であって、
地盤タイプ、地盤プロファイル、工事方法、土木ツール(34)、機械タイプ、駆動力、駆動部(22,26)の回転速度、前記土木ツール(34)の回転速度、送り分力及び/又は送り量、
のうち1個又は複数個に関する値が前記パラメタに含まれることを特徴とする土木機械。
【請求項3】
請求項1に記載の土木機械であって、
前記計算装置が本土木機械(10)の前記制御ユニット(40)内に統合配置され、又は前記制御ユニットから分離配置されていて、前記計算装置がデータ伝送装置を介し前記制御ユニット(40)と通信することを特徴とする土木機械。
【請求項4】
請求項1に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、1個又は複数個のセンサデバイス(48)によりパラメタを自動的に記録するように、及び/又は、機械内及び/又は機械外のデータ記憶装置(42,44)からパラメタを取り込むように、構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項5】
請求項1に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、前記基礎の造成中における条件変化に対し前記パラメタを適合させて、前記予想目標到達時間を最新版データベースに基づいて計算して前記表示装置(50)により表示させるように構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項6】
請求項1に記載の土木機械であって、
前記予想目標到達時間を、前記目標深度に到達するまでの時間量及び/又は前記目標深度に到達する日時を表示させることで指し示せることを特徴とする土木機械。
【請求項7】
請求項1に記載の土木機械であって、
データ伝送装置が、機械外データ記憶装置(44)又は主事務所から前記制御ユニット(40)へ、及び/又は、前記制御ユニット(40)から前記機械外データ記憶装置(44)又は主事務所へ、パラメタを伝送しうるように配置されていることを特徴とする土木機械。
【請求項8】
請求項1に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、前記予想目標到達時間に応じて、実行すべき処置又は推奨される処置のための時間指示情報を更に前記表示装置(50)に表示するように構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項9】
請求項8に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、前記表示装置(50)に表示されている処置をオペレータが直に確認して始動させることができるように構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項10】
請求項1に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、前記目標深度に到達した実際の造成時間を特定し、計算された前記予想目標到達時間と比較し、後続の基礎を造成するに当たり予想目標到達時間を計算する際に比較結果を斟酌するように構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項11】
請求項1に記載の土木機械であって、更に、
移動可能な搬送装置(15)と、
前記搬送装置(15)上に配置されたマスト(18)又はブームアームと、
前記マスト(18)又は前記ブームアームの上に調整可能に配置され、土木工事を実行することで前記基礎を造成し、前記目標深度に到達させる、土木工事ツール(34)と、
を備える土木機械(10)であることを特徴とする土木機械。
【請求項12】
請求項1に記載の土木機械であって、
削孔リグ、トレンチカッタ、グラブ掘削機、杭打機又はバイブレータとして構成された土木機械(10)であることを特徴とする土木機械。
【請求項13】
請求項1に記載の土木機械であって、
前記表示装置(50)が少なくとも1個のスクリーン、データ眼鏡、VR又はAR眼鏡、タブレット、スマートフォン、ヘッドアップディスプレイ及び/又は眼鏡型ディスプレイを備えることを特徴とする土木機械。
【請求項14】
請求項1に記載の土木機械であって、
前記制御ユニット(40)又は前記計算装置が、計算された前記予想目標到達時間を主事務所又はリモートデバイスへと発送又は送信するよう構成されていることを特徴とする土木機械。
【請求項15】
請求項1に記載の土木機械(10)による地盤(1)内に基礎を造成する方法であり、
地盤(1)内に少なくとも1個の基礎要素を形成するために指定された目標深度に至る穴を地盤(1)内に造成し、又は、指定された目標深度まで地盤(1)内へと少なくとも1個の基礎要素を直に導入し、かつ
前記土木機械(10)を動作させるためのデータを制御ユニット(40)によって前記土木機械(10)の表示装置(50)に表示させる、
方法であって、
指定された前記目標深度に基づき、予想目標到達時間を、前記基礎の造成に関わる入力パラメタに応じて計算装置により計算して、前記表示装置(50)により機械オペレータ向けに表示することを特徴とする方法。
【外国語明細書】