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特開2024-46758メガネ・レンズを湿式で成形欠陥を検査するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046758
(43)【公開日】2024-04-04
(54)【発明の名称】メガネ・レンズを湿式で成形欠陥を検査するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20240328BHJP
   G01N 21/95 20060101ALI20240328BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
G01M11/00 L
G01N21/95 Z
G02C13/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023160223
(22)【出願日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】10202251131V
(32)【優先日】2022-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(71)【出願人】
【識別番号】516106782
【氏名又は名称】イーメージ ヴィジョン ピーティーイー. エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】EMAGE VISION PTE. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダウ シー ヒエウ
(72)【発明者】
【氏名】タン ジア ヤウ
(72)【発明者】
【氏名】グェン ホアン バオ
(72)【発明者】
【氏名】ドアン クアン ミー ハン
【テーマコード(参考)】
2G051
2G086
2H006
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051BA06
2G051BA20
2G051BB05
2G051BC02
2G051CA04
2G086FF05
2H006DA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生理食塩水中に浸漬したコスメティック・メガネ・レンズの欠陥を検出する。
【解決手段】a)コスメティック・メガネ・レンズの画像を得るためのカメラと、b)可視LEDおよび赤外LEDを用いて設計され、コスメティック・メガネ・レンズの異なる角度で光を向けるため垂直な光学軸に沿って設置される照明モジュールと、c)検査中のコスメティック・メガネ・レンズにより多くの光パワーが加わることを回避するために凹面状、同心円状および球面状の表面で設計され、検査中にキュベットの中心にコスメティック・メガネ・レンズを設置することを可能にするガラス・キュベットと、d)異なるライティング条件下で多数の画像を取り込むことができるカメラとに一体化されたストロボ・コントローラと、e)コスメティック・メガネ・レンズが許容可能か不合格にされるかを決定するための画像処理手段とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理食塩水中に浸漬したコスメティック・メガネ・レンズの欠陥を特定するためおよび幾何学的寸法を測定するためのシステムであって、
a)該コスメティック・メガネ・レンズの画像を得るための少なくとも1つのカメラであり、該カメラが光学軸を有する、少なくとも1つのカメラと、
b)可視LEDおよび赤外LEDを用いて設計され、それに応じてセグメント化され、該コスメティック・メガネ・レンズの異なる角度で光を向けるため垂直な光学軸に沿って設置されるように適切に一体化される少なくとも1つの電子的に制御される照明モジュールと、
c)検査中の該コスメティック・メガネ・レンズにより多くの光パワーが加わることを回避するために凹面状、同心円状および球面状の表面で設計され、検査中にキュベットの中心に該コスメティック・メガネ・レンズを設置することを可能にするために該レンズよりも大きくなるように設計された該キュベットの内面の半径で設計されるカスタマイズされたガラス・キュベットと、
d)可視LEDセグメントおよび赤外LEDセグメントを利用する、該照明モジュールと、異なるライティング条件下でたて続けに多数の画像を取り込むことができるカメラとに一体化されたストロボ・コントローラと、
e)該コスメティック・メガネ・レンズが許容可能か不合格にされるかを決定するために多数の画像を取り込み、処理し、解析するための画像処理手段と
を備える、システム。
【請求項2】
前記照明コントローラが、電力消費を最小限にするために、前記セグメント、前記セグメントの強度、照明のタイプ、照明の持続期間、画像取り込みのための照明トリガ・パルスに対するカメラ・シャッタ・トリガに関する時間遅延を制御するように設計される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記照明モジュール内の照明された赤外LEDセグメントが、プリントされたパターン・エリアおよび光学ゾーン内の前記コスメティック・メガネ・レンズの形態上の欠陥を強めるように選択される、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
赤外LED系の照明が、生理食塩水を通過するときに低い屈折率を示し、食塩水に浸漬したコスメティック・メガネ・レンズの画像取り込みの際の歪みを効果的に取り除く、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
照明モジュール・セットアップに関係するすべてのコンフィグレーションが、特定のタイプのコスメティック・メガネ・レンズのためのレシピ・ファイルに記憶されたパラメータにしたがってプログラムされる、請求項2記載のシステム。
【請求項6】
照明モジュール・ライティング・コンフィグレーション選択が、前記コスメティック・メガネ・レンズの前記プリントされたエリアおよび光学ゾーン内の水滴、スクラッチ、およびトラップされた気泡などの各々の欠陥タイプに対して変わることがある、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記画像処理手段が、前記コスメティック・メガネ・レンズ内の予め定められた欠陥の指示を与えるために前記得られた画像を解析するようにさらに動作可能である、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
コスメティック・メガネ・レンズを検査するための方法であって、
a)キュベットの下方に設置された照明モジュールおよび該レンズの画像を取り込むためのカメラをともなうカスタマイズされたガラス・キュベット内に該レンズを配置するステップと、
b)照明された可視LEDセグメントを用いて生理食塩水中に浸漬された該レンズの少なくとも1つの画像、および照明された赤外LEDセグメントを用いて該レンズの少なくとも第2の画像を取り込むステップと、
c)該画像を処理することの後で追加の画像が取り込まれるべきであるかどうかを解析し決定し、照明トリガに対するカメラ・シャッタ取り込み遅延とともにトリガ・パルス幅、強度、およびセグメント化などの照明モジュール・パラメータを適切に修正し、強調されるべき欠陥に基づいて、赤外LEDもしくは可視LEDまたは両者の組み合わせを選択するかどうかを最終的に判断するステップと、
d)該画像をさらに処理し、該欠陥を特定し、続いて、該欠陥にしたがって該レンズを分類しソートするステップと、
e)該レンズのプリントされたエリアおよび光学ゾーン内の成形欠陥の位置および寸法を正確に特定するために赤外LED照明を用いて照明したときに該生理食塩水の屈折率特性を利用するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記画像処理手段が、強度、LEDセグメント化、照明のタイプすなわち赤外LEDまたは可視LED、レンズ・キュベットに対する前記照明の位置、カメラと照明との間でのトリガ・パルス・タイミング遅延、および各々の照明コンフィグレーション下で取り込まれるべき画像の数を含むコンフィグレーションについて、すべての異なるタイプのコスメティック・メガネ・レンズに関するレシピ・ファイルを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記画像処理手段は、前記屈折率がより長い波長で小さいとき前記レンズの前記プリントされたパターンおよび前記光学ゾーン内の成形欠陥などの欠陥を強めるためにより長い波長を用いた照明を利用する、請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キュベットまたはレンズ・ホルダ内の生理食塩水中に静止させたメガネ・レンズの検査のためのシステムおよび方法に関する。より詳しくは、本発明は、ガラス材料で製造された凹面状のキュベット内に設置されそして生理食塩水中に静止させたコンタクト・レンズの成形欠陥を検出するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「コンタクト・レンズまたはメガネ・レンズ」は、装着者の眼の上にまたは眼の中に置かれることが可能である柔軟なレンズを呼ぶ。コンタクト・レンズは、ユーザの視力を補正する、改善する、または変えることができるが、その限りではない。コンタクト・レンズはまた、レンズの前側またはそれ以外に凸面側と呼ばれる側にプリントされる色およびデザインのタイプに基づくコスメティックな容貌も追加できる。コスメティックな容貌は、多くの形態で適用されてもよい。1つの一般に使用される方法は、ソフト・レンズ、ハード・レンズ、またはハイブリッド・レンズ上に認可された適切な材料を使用して上記のデザインをプリントすることである。コンタクト・レンズは、ドライ状態であってもウェット状態であってもよい。「ドライ状態」は、水和処理前の状態のソフト・レンズまたは貯蔵条件または使用条件下でのハード・レンズの状態を呼ぶ。「ウェット状態」は、水和された状態のソフト・レンズを呼ぶ。コンタクト・レンズの前面または前側表面は、付けたときに眼から遠くに面するレンズの表面を呼び、そして典型的には実質的に凸面である前側表面は、レンズの前曲面とも呼ばれることもある。コンタクト・レンズの後面または後側表面は、眼の表面に接触するレンズの表面を呼ぶ。典型的には実質的に凹面である後面は、レンズのベース曲面とも呼ばれることもある。着色されたコンタクト・レンズは、前側表面にプリントされたカラー画像を有するコンタクト・レンズ(ハードもしくはソフト)または淡い色を有するコンタクト・レンズを呼ぶ。プリントされたカラー・レンズは、コスメティック・パターン、例えば、ひとみのようなパターン、受注(MTO:made-to-order)パターン、等から構成されてもよい。コスメティック・コンタクト・レンズは、1層ずつまたは1回でコンタクト・レンズの前側表面上に直接高品質のカラー画像をプリントすることによって生産されることが可能である。まず、コンタクト・レンズは、プリントされる前はクリアであってもよい、あるいはコンタクト・レンズは、プリントされる前には淡い色を付けられてもよい。コンタクト・レンズの任意のコスメティックな容貌がIRISの周りに付けられることに留意することが重要である。IRISと呼ばれる中心エリアは通常、クリアかつ透明である。プリントの技法は、この発明の範囲を超えるので論じないだろう。
【0003】
メガネ・レンズまたはコンタクト・レンズは、射出成形、コンタクト・レンズ・アセンブリの前側(外側)鋳型と後側(内側)鋳型部分との間の凹形状の空洞にコンタクト・レンズを形成するためのプロセスにより生産される。モノマが後側鋳型へと加えられ、次いで前側鋳型を用いてキャップされ、凹形状をした空洞のプロファイルにしたがってレンズの湾曲した形状を形成する。次いで、重合が紫外光により開始され、その後で、レンズが水和される。レンズ鋳型は、いかなる不完全性も最終製品の品質に影響を及ぼすだろうという理由で高度な精度で製造される。コンタクト・レンズの品質に影響を及ぼすことがある多くの他のプロセス関連パラメータがある。水滴、スクラッチおよび収差に加えて、他の致命的な欠陥があり、そこでは気泡がレンズの内部にトラップされる。すべてのこれらの欠陥は、特に、パターンがプリントされた後のコスメティック・コンタクト・レンズでは検出することが非常に困難なことがある。このような製品は、感染および他の関連する問題の可能性に起因して眼への使用には医学的に不適切なレンズという結果になる。
【0004】
メガネ・レンズの製造プロセスでは、レンズの大量生産が、生産性を高めるだけでなくプロセス効率および品質を保証する成形プロセスを含むことが一般常識である。しかしながら、製造プロセスの性質のために、欠陥が、レンズの成形プロセス、切断プロセス、および分離プロセス中に生じることがある。メガネ・レンズ、特に一日使用のソフト・コンタクト・レンズは、視力を単に補正するだけでなく、レンズにプリントされた魅力的なパターンを用いるコスメティックな理由で人間の眼での使用に向けられている。プリントされたパターンはまた、レンズに埋め込まれた致命的な欠陥をカモフラージュでき、したがって品質検査の自動化をはるかに困難にし、特殊な照明、光学機構およびインテリジェント・アルゴリズムの実装を必要とする。メガネ・レンズが大量に製造されるので、手動式検査、それどころかサンプリング検査でさえ、製造者にとっての選択肢ではない。
【0005】
先行技術は、多数の欠陥のあるものが生産されることを防止するためには遅すぎることがある最終パッケージング段階で検査システムを実装することによってこれらの懸念のうちの一部に対処している。欠陥の遅い段階での検査によりもたらされる著しい損失は、適切な対策が問題を解決するためにおよび欠陥のあるレンズの生産を最小限にするために取られ得るように、成形欠陥が生成される成形プロセスの直後に検査システムが組み込まれることを製造者が要求するという結果になる。
【0006】
1つの他の先行技術では、コンタクト・レンズの異なる回転角で取得された画像が、生理食塩水で満たされたキュベット内の静止したレンズ内の問題を検出するために比較される。レンズの回転の角度にしたがって移動する形質または特徴が、不合格品として特定され、したがって選別される。この方法がレンズを機械的にまたは別なふうに回すことを含むので、この方法は、効果的ではあるが、時間がかかり複雑であり、この方法をインライン検査システム用には不適切なものにする。
【0007】
レンズに関するいくつかの他の先行技術欠陥検査方法が存在する。しかしながら、上記検査方法は、明視野画像および暗視野画像を取り込むために多数のLED照明モジュールを利用し、上記照明モジュールは成形欠陥用には最適化されていない。このような検査システムは、生理食塩水中に静止するメガネ・レンズのボディ内の成形欠陥(欠陥部)を検出する際に制限される。加えて、上記検査システムは、複雑なセットアップ手順および製品切り替え中の複雑な構成プロセスという結果になり、このことが検査システムの柔軟性をなくしスケーリングできないものにする。
【0008】
もう1つの一般に使用される検査方法は、手作業でレンズをチェックするために顕微鏡を使用することである。しかしながら、この種の装置は、大量生産のためには不向きである。ランダム・サンプリングは、いくつかの製造者が使用するもう1つの選択肢であるが、顧客に欠陥が届くリスクが高く、この選択肢を信頼できないものにしている。
【0009】
コンタクト・レンズ検査の典型的なプロセスでは、プロセスは、ラインのさらに下流で、レンズがプリントされたパターンを有しそして生理食塩水で水和される製造の最終段階で通常実行される。プロセスのこの段階での検査はまた、画像を解析するときに屈折率を考慮した上で光吸収を考慮することも含み、複雑さが大きくなるという結果になる。さらに重要なことは、成形欠陥がプロセスの最終段階で検出されるのであれば、遅れたフラッギングもまた、製造者に対する材料の著しい損失という結果にもなる。
【0010】
メガネ・レンズを検査するときの主要な難題は、成形プロセスの終わりのところでレンズの水和の後に検査を実行することである。検査が成形プロセスの直後に実行されるならば、検出されるすべての問題または欠陥は、迅速に解析されそして解決されることが可能であり、生産される欠陥のあるメガネ・レンズの量を減少させる。それゆえに、コスメティック・メガネ・レンズの成形欠陥部を検出する際に正確であり、繰り返すことが可能であり、一貫性のある装置に対する必要性があり、上記装置は、既存の自動化された製造ラインへと一体化することが容易である。これが本発明の目的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、レンズ製造システムにおいて、成形プロセスの後のコスメティック・コンタクト・レンズの自動検査のためのシステム&方法を提供する。システムは、生理食塩水で満たされたキュベット内に静止させたメガネ・レンズ内の欠陥部を強調させるために赤外LED系の照明モジュールを利用する暗視野撮像法の使用を含む。
【0012】
白黒高解像度カメラと、カスタマイズされた光学モジュールと、生理食塩水中に静止させたときにコンタクト・レンズを精密に設置するように設計されたガラス系のキュベットと、コンタクト・レンズを照明するための赤外LED系の照明モジュールと、高解像度画像を取り込みコスメティック・コンタクト・レンズ内の欠陥部に関する高解像度画像を処理することが可能な画像処理コンピュータとを備えるシステムを提供することが本発明の目的である。基本的に、異なる屈折率が同じ波長の屈折角に影響を与える一方で、異なる波長もまた、同じインデックスの屈折角にも影響を及ぼす。コンタクト・レンズが可視LED系のライティングを用いて照明されるときに、撮像レンズの狭い視野角のために、屈折した光のすべてがレンズを通過するのではないことがそれゆえに起こり得て、欠陥の一部が強調されないことに結びつく。より長い波長の赤外LED系の照明は、可視LEDライティングを使用する照明と比較してより小さな食塩水の屈折率およびより小さなコンタクト・レンズ材料の光吸収を有する。それゆえに、赤外LED系のライティングは、パターンをプリントしたコンタクト・レンズを通過できそして低い角度でレンズの内部の欠陥部のところで光を屈折し、欠陥検出の強化および一貫した検査精度と繰り返し性という結果をもたらす。
【0013】
光学ゾーンおよびパターン・ゾーンの両方において均一な特性に影響を及ぼす、特に成形欠陥および多くの他の種類の欠陥部に関するメガネ・レンズの画像取得の向上をもたらす長波長(980mm)赤外照明を利用するための装置および方法を提供することがさらに本発明の目的である。
【0014】
選択された強度でそしてLEDの予め選択されたセグメントのところでプログラムされたパルス幅で光を射出するように電子的に制御されることを設計された赤外LED系の照明モジュールと一体化された装置を提供することがさらに本発明の目的である。
【0015】
セットアップ中に異なるデバイス用のレシピ・ファイルおよびLED強度、トリガ・パルス幅、トリガに関する遅延、照明モジュール・セグメント選択、とりわけ被検物からの照明モジュールの位置に関するパラメータを含むことができるコンフィグレーションを生成することが可能なIR LED系の照明モジュールと一体化された装置を提供することがさらに本発明の目的である。
【0016】
強度コントローラの電流制御を通して、検査中の対象物上で一貫性があり安定な光の輝度を維持するため照明の強度を測定するために、IR LED系の照明モジュールと一体化された装置を提供することがさらに本発明の目的である。
【0017】
成形欠陥を強調させるため最適で強められた照明を実現するために生理食塩水中に静止させたときにレンズの前側プロファイルにしたがうカスタマイズされたガラス・キュベット・プロファイルとレンズの各々の鋳型が対になる装置を提供することがさらに本発明の目的である。
【0018】
自動化されたコンタクト・レンズ製造システムへと容易に一体化されるインライン検査モジュールとしての使用のための装置を提供することが本発明のさらにもう1つの態様である。
【0019】
本発明の他の特徴および目的は、好ましい実施形態の詳細な説明ならびに下記の本明細書に含まれる描かれた図から明らかになるだろう。
【0020】
本発明は、添付の図面とともに下記の詳細な説明に関するさらなる説明により理解されるはずである。その結果として、添付の図面の特殊性が、発明の先行する説明の一般性にとって代わるものとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の好ましい実施形態の図である。装置100は、高解像度カメラ10と、照明モジュール60に接続された照明ストロボ・コントローラ65とに電気的に一体化された画像処理コンピュータ90を備える。カメラ10は、生理食塩水30を有するガラス・キュベット内に静止するメガネ・レンズ40を見るために、光学レンズ20を搭載する。LED系の照明モジュール60は、コンタクト・レンズ40の方へ照明を向ける。カメラ、キュベットおよび照明は、光学軸25と適切に位置を合わせられる。照明モジュール60は、照明トリガ・パルス幅、LEDセグメントの強度および様々な他のパラメータを制御するためにプログラマブル・ストロボLEDコントローラ65に接続される。70は、IR LED照明モジュール製造構造体を示す。
図2】可視LED照明モジュールを利用して、光学ゾーンからパターン・ゾーンまで延びる欠陥部B1を示している欠陥のあるメガネ・レンズの取り込まれた画像である。
図3図2のエリアB1の拡大した画像である。
図4】赤外LED照明モジュールを利用するときに、図2の同じ欠陥のあるメガネ・レンズの取り込まれた画像であり、光学ゾーンからパターン・ゾーンまで延びる欠陥部B2を示している。
図5図4のエリアB2の拡大した画像である。
図6】可視LED照明モジュールを利用して、欠陥のあるメガネ・レンズの取り込まれた画像であり、光学ゾーンからパターン・ゾーンまで延びるB3のもう1つの欠陥部を示している。
図7図6のエリアB3の拡大した画像である。
図8】赤外LED照明モジュールを利用するときに、図6の同じ欠陥のあるメガネ・レンズの取り込まれた画像であり、光学ゾーンからパターン・ゾーンまで延びるB4の欠陥部を示している。
図9図8のエリアB4の拡大した画像である。
図10】可視LED照明モジュールを利用して、欠陥のあるメガネ・レンズの取り込まれた画像であり、光学ゾーンからパターン・ゾーンまで延びるB5のもう1つの欠陥部を示している。
図11図10のエリアB5の拡大した画像である。
図12】赤外LED照明モジュールを利用するときに、図10の同じ欠陥のあるメガネ・レンズの取り込まれた画像であり、光学ゾーンからパターン・ゾーンまで延びるB6の欠陥部を示している。
図13図12のエリアB6の拡大した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
別なふうに規定しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本明細書において開示されるこの発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書において使用される術語は、本技術分野においてよく知られておりそして一般に採用されている。従来方法は、本技術分野および様々な一般的な参考文献において提供されるもののようにこれらの手順に対して使用される。ある用語が単数で与えられる場合に、発明者はまた複数のその用語も考えている。
【0023】
図1の好ましい実施形態は、カスタマイズされた光学レンズ20に結合された高解像度カメラ10、赤外LED系のライティング構造体70から構成されライティング制御部を通してカメラ・シャッタと同期的にまたは非同期的にトリガされる照明モジュール60、ならびにパルス幅、ストロボの遅延、照明強度およびLEDセグメント選択の制御を可能にするストロボ・システム65から構成される。検査中のメガネ・レンズ40は、生理食塩水を含むカスタマイズされたガラス・キュベット30内で静止される。
【0024】
カスタマイズされたガラス・キュベット30は、キュベットの表面に起因するさらなる光パワーを回避するために凹面状、同心円状&球面状の内面および外面で設計される。キュベットの内面の半径は、主光学軸25に一致してキュベットの中心にコンタクト・レンズを設置するためにコンタクト・レンズの半径よりも大きくなるように設計される。
【0025】
もう1つの実施形態では、IRライティング・モジュール60は、複数の可視および赤外LEDセグメントから構成されることがある。照明モジュール内の選択されたLEDセグメントに応じて、ユーザは、検査しようとするコンタクト・レンズのところで複数の入射角を実現できる。しかしながら、赤外LED波長は、可視LED照明波長では通常明らかな大きな屈折角をバイパスすることに適している。15mm未満の半径を有するコンタクト・レンズの検査に関して、赤外照明光束角は、キュベット表面に対する入射光角を10度以内に保つために、非反射性表面構造体70を使用して制限されるだろう。この角度は、しかしながら、ライティング・モジュール60からキュベット30の底までの距離を調節することによって制御されることが可能である。赤外LED系の照明が選択されると、食塩水の屈折率は、可視LED系のライティング照明と比較したときに小さく、このことは、生理食塩水表面のプロファイルが画像品質に決して影響を及ぼさないことを実質的に意味する。それゆえに、赤外照明は、クリアな、淡い色付きおよびプリントされたコスメティック・コンタクト・レンズの成形欠陥検査に適している。
【0026】
本発明のさらなる実施形態では、照明モジュール60は、LEDを動作させるために必要な電力消費量を減少させるためならびに均一な輝度を維持するため、そして同時にLEDの寿命を延ばすために、カメラ・シャッタと同期的にまたは非同期的に光を射出するように制御されることがある。これは、電子式照明ストロボ・コントローラ65を利用することによって達成されることがある。電子式照明ストロボ・コントローラは、カメラ画像取得プロセス中に、パルス幅、LEDの選択されたセグメントの強度、用途に応じてカメラ・シャッタと照明トリガとの間タイミング遅延のソフトウェア制御を可能にする。タイミング遅延は、カメラ・シャッタが画像取得のためにトリガされる前に選択されたLEDセグメントがプログラムされた強度を実現することを可能にする。この特徴は、いくつかの画像取り込み同士の間の一貫性のある画像均一性を可能にし、これが、画像解析中に最適繰り返し性および精度に変換する。
【0027】
LEDの異なる波長を使用する様々なライティングが、不明瞭で望ましくない要素を特定することに役立つように使用されることがある。例えば、フィルタが、光の望ましくない波長を除外しそして選択された波長だけを許容することに役立つように使用されることがある。これが、異なるタイプの欠陥同士の間のコントラストを向上させる。偏光させたライティング条件、均一なライティング条件および不均一なライティング条件が、目的の欠陥を特定することに役立つように採用されることがある。
【0028】
図2は、可視LED照明を使用して、図1のシステム100により取り込まれたメガネ・レンズの画像を示す。ボックスB1内に可能性の高い欠陥部が示される。欠陥の拡大した画像が図3に示され、そこでは欠陥部が暗い背景に対して白いストリークとして見られる。重要な部分は、前景のプリントされたパターンに対して非常にぼんやりとしており、隠されたままである。検査しきい値許容範囲に応じて、欠陥部が欠陥として検出されることも検出されないこともある。この曖昧さが、BADレンズまたはGOODレンズとして解釈されることがある信頼性のない検査結果につながることがある。
【0029】
図4は、赤外LED照明を使用して、図1のシステム100により取り込まれた図2の同じメガネ・レンズの画像を示す。ボックスB2内に可能性の高い欠陥部が示される。欠陥の拡大した画像が図5に示され、そこでは欠陥部がIRISのクリアなゾーンおよびプリントされたパターン前景に沿って延びる明るく白いストリークとして見られる。2つの異なる条件下で、すなわちメガネ・レンズのクリアで透明なゾーンおよびプリントされたパターン・ゾーンの欠陥を強調させるときに、赤外LED照明が可視LED照明を明らかに凌ぐことが歴然である。
【0030】
図6は、可視LED照明を使用して、図1のシステム100により取り込まれたメガネ・レンズの画像を示す。ボックスB3内に可能性の高い欠陥部が示される。欠陥の拡大した画像が図7に示され、そこでは欠陥部がIRISのクリアなゾーンに沿ってだけ見えるがプリントされたパターン前景に対してはほとんど見えないぼんやりとした平行な白い線として見られる。検査しきい値許容範囲に応じて、欠陥部が欠陥として検出されることも検出されないこともあり、検出されたとしても、欠陥寸法は、正確で一貫性のある結果を反映するためには正確でないことがある。この曖昧さは、BADレンズまたはGOODレンズとして解釈されることがある信頼性のない検査結果につながることがある。
【0031】
図8は、赤外LED照明を使用して、図1のシステム100により取り込まれた図6の同じメガネ・レンズの画像を示す。可能性の高い欠陥部がボックスB4内に示される。欠陥の拡大した画像が図9に示され、そこでは欠陥がクリアなゾーンおよびプリントされたパターン・ゾーンの両方で強められる。欠陥がメガネ・レンズの透明なゾーン内にまたはプリントされたパターン・ゾーン内に生じるかどうかとは無関係に非常にぼんやりとした欠陥を強調させるときに、赤外LED照明が可視LED照明を明らかに凌ぐことが再び歴然である。
【0032】
図10は、可視LED照明を使用して、図1のシステム100により取り込まれたメガネ・レンズの画像を示す。ボックスB5内に欠陥部が示される。欠陥の拡大した画像が図11に示され、そこでは欠陥部がメガネ・レンズのクリアなゾーンIRISには見えずそしてプリントされたパターン・ゾーンではぼんやりと見える。欠陥は、IRISゾーンでは決して検出されないが、検査しきい値許容範囲に依存してパターン・ゾーン内では検出されることがある。欠陥寸法は、正確な結果を反映するためには正確でないことがある。この曖昧さが、再び信頼性のない検査結果につながることがある。
【0033】
図12は、赤外LED照明を使用して、図1のシステム100により取り込まれた図10の同じメガネ・レンズの画像を示す。ボックスB6は可能性の高い欠陥として示される。欠陥の拡大した画像が図13に示され、そこでは欠陥がクリアなゾーンおよびプリントされたパターン・ゾーンの両方で強められる。実際に、クリアなゾーン内の欠陥は、非常に良く強められ、信頼性の高い検査プロセスに結びつく。ここで再び、欠陥がメガネ・レンズの透明なゾーン内にまたはプリントされたパターン・ゾーン内に生じるかどうかとは無関係に非常にぼんやりとした欠陥を強調させるときに、赤外LED照明が可視LED照明を明らかに凌ぐことが明らかに分かる。
【0034】
本発明の実施形態の前述の詳細な説明は、単に理解の明確さのために提示され、不必要な限定は、詳細な説明から理解されるべきでも示唆されるべきでもない。本発明の様々な実施形態における本発明への修正は、この開示を読むと当業者には明らかになるだろう、そして別記の特許請求の範囲により包含される発明の範囲から逸脱せずに行われてもよい。上記の観点から、発明のいくつかの目的が達成され、そして他の利点が得られることが分かるだろう。多くの変更が発明の範囲から逸脱せずに上記の構成および方法に行われ得るので、上記の記載に含まれるすべての事項は、例示的であり限定する感覚ではないとして解釈されるべきであることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】