(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004676
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】配車管理装置及び配車管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240110BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240110BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240110BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240110BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G16Y40/20
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104410
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 英明
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA14
5H181BB04
5H181BB08
5H181FF13
5H181FF27
5H181MA02
5H181MA07
5H181MB01
(57)【要約】
【課題】エリアごとの需要に適合した車両の配置を効率的に行う。
【解決手段】本発明は、複数のエリアの各々に対する複数の車両の配置を管理する配車管理装置である。前記装置は、各前記車両から位置及び航続可能距離に関する情報を含む車両情報を取得し、所定の時間帯における前記車両の将来の需要を示す予測需要情報に基づいて、各前記エリアにおける項目条件ごとの需要台数を示す項目条件需要情報を作成し、前記項目条件需要情報と前記車両情報とに基づいて、前記各エリアの前記項目条件ごとの前記需要台数と供給可能台数との関係を示す需給評価情報を作成し、前記需給評価情報に基づいて、前記需要台数に対して供給可能台数が不足する前記項目条件を有する一の前記エリアに他の前記エリアから移動させるべき前記車両を移動対象車両として決定し、移動を指示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアの各々に対する複数の車両の配置を管理する配車管理装置であって、
各前記車両から少なくとも位置及び航続可能距離に関する情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、
所定の時間帯における前記車両の将来の需要を示す予測需要情報に基づいて、各前記エリアにおける項目条件ごとの需要台数を示す項目条件需要情報を作成する項目条件需要作成部と、
前記項目条件需要情報と前記車両情報とに基づいて、前記各エリアの前記項目条件ごとの前記需要台数と供給可能台数との関係を示す需給評価情報を作成する需給評価部と、
前記需給評価情報に基づいて、前記需要台数に対して供給可能台数が不足する前記項目条件を有する一の前記エリアに他の前記エリアから移動させるべき前記車両を移動対象車両として決定する移動車両決定部と、
前記移動対象車両を前記一のエリアに配置するために、前記移動対象車両に移動を指示する車両配置決定部と、を備え、
前記項目条件需要作成部は、距離区分で定義される前記項目条件ごとの前記需要台数を算出し、
前記需給評価部は、前記車両の前記航続可能距離に基づいて、前記距離区分で定義される前記項目条件ごとの前記供給可能台数を算出する、
配車管理装置。
【請求項2】
前記車両情報は、車載バッテリー容量情報を含み、
前記需給評価部は、前記車両の前記車載バッテリー容量情報に基づいて、前記距離区分で定義される前記項目条件ごとの前記供給可能台数を算出する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項3】
前記複数の車両の過去の稼働実績を示す稼働実績データに基づいて前記予測需要情報を作成する需要予測部を更に備える、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項4】
前記予測需要情報は、予定走行距離を含み、
前記項目条件需要作成部は、前記予定走行距離に基づいて、前記距離区分で定義される前記項目条件ごとの前記需要台数を算出する、
請求項3に記載の配車管理装置。
【請求項5】
前記項目条件需要作成部は、所定の時間帯において予測される前記需要台数に対して該需要を満たし得る正味の前記車両の台数に基づいて前記需要台数を算出する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項6】
前記移動車両決定部は、サービスが終了し、まだ配置が決まっていない前記車両がある場合に、該車両の前記航続可能距離が所定値を超えているか否かを判断し、該車両の前記航続可能距離が所定値を超えていないと判断する場合に、該車両を充電が必要な前記移動対象車両として決定する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項7】
前記移動車両決定部は、前記一のエリアの待機場所に仮に移動した場合の前記航続可能距離が所定値を超えている前記車両を前記移動対象車両として決定する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項8】
前記移動車両決定部は、前記複数のエリアのうち、前記需要台数に対して前記供給可能台数が最も少ない前記項目条件を有する前記エリアを前記一のエリアとして選択する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項9】
前記移動車両決定部は、前記車両の初期移動時間が少ない前記項目条件を有する前記エリアを前記一のエリアとして選択する、
請求項8に記載の配車管理装置。
【請求項10】
前記移動車両決定部は、前記需要台数が最も多い前記項目条件を有する前記エリアを前記一のエリアとして選択する、
請求項8に記載の配車管理装置。
【請求項11】
前記移動車両決定部は、
前記一のエリアの前記需要台数に対して前記供給可能台数が不足する前記項目条件に対応する前記複数のエリアの前記項目条件のうち、前記需要台数に対して前記供給可能台数が最も多い前記他のエリアの前記項目条件に割り当てられた前記車両を前記移動対象車両として決定する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項12】
前記車両配置決定部は、前記移動対象車両として決定された前記車両が前記一のエリアの前記待機場所に移動するように指示を行う、
請求項7に記載の配車管理装置。
【請求項13】
前記項目条件需要作成部は、前記車両の乗車人員区分及び/又は車両設備区分で定義される前記項目条件ごとの前記需要台数を算出する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項14】
複数のエリアの各々に対する複数の車両の配置を管理する配車管理方法であって、
各前記車両から少なくとも位置及び航続可能距離に関する情報を含む車両情報を取得することと、
所定の時間帯における前記車両の将来の需要を示す予測需要情報に基づいて、各前記エリアにおける項目条件ごとの需要台数を示す項目条件需要情報を作成することと、
前記項目条件需要情報と前記車両情報とに基づいて、前記各エリアの前記項目条件ごとの前記需要台数と供給可能台数との関係を示す需給評価情報を作成することと、
前記需給評価情報に基づいて、前記需要台数に対して供給可能台数が不足する前記項目条件を有する一の前記エリアに他の前記エリアから移動させるべき前記車両を移動対象車両として決定することと、
前記移動対象車両を前記一のエリアに配置するために、前記移動対象車両に移動を指示することと、を含み、
前記項目条件需要情報を作成することは、距離区分で定義される前記項目条件ごとの前記需要台数を算出することを含み、
前記需給評価情報を作成することは、前記車両の前記航続可能距離に基づいて、前記距離区分で定義される前記項目条件ごとの前記供給可能台数を算出することを含む、
配車管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車管理技術に関し、特に、ユーザの利用に供される電気自動車の最適な配置場所を管理するための配車管理装置及び配車管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モビリティサービスは、車両によるユーザの移動や荷物の運搬をスムーズに提供するサービスとして位置付けられる。複数のユーザが、近隣の駐車場に駐車された空き車両を所定の利用時間単位で共同利用を可能にするカーシェアリングサービスやいわゆる複数の乗客の相乗りといったライドシェアサービスは、モビリティサービスの一例である。近年は、環境保護意識の高まりから電気自動車が飛躍的に普及し、電気自動車によるモビリティサービスが社会に益々浸透しつつある。モビリティサービスでは、車両の稼働率を高めつつ、ユーザ(乗客)の利便性を向上させるために、車両の効率的な配置計画が要求される。
【0003】
例えば、下記特許文献1は、目的地において所定の行事が開催される際に要求される車両の需要を特定エリアごとに予測し、予測される需要に合わせて車両を移動させる技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気自動車は、走行中の環境性能に優れる一方、現状では、車載バッテリーへの充電に時間を要し、また、一回の充電での走行可能距離(航続可能距離)が十分に長いとはいえないといった問題を抱えている。また、車両の稼働状況から、車載バッテリーの残容量が少なく航続可能距離が短い状態の車両であっても、需要に応えるために稼働させなければならない状況に陥るといった問題に直面する。したがって、電気自動車によるモビリティサービスを提供する上で、これらの問題を考慮した車両の効率的な配置計画は極めて重要である。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術は、予測需要に合わせて移動させた車両の目的地までの距離(予定走行距離)を何ら考慮していないため、稼働可能な車両の数に対してユーザのニーズを満たす車両の数が不足するという問題に対処することができなかった。例えば、予定走行距離が長い需要が多いエリアに配置された車両が車載バッテリーの残容量が不十分なために航続可能距離が短い状態であった場合、該エリアには車両は存在するものの、ユーザの目的地まで移動できる車両としてはみなされない。したがって、このようなエリアの需要に応えるためには、航続可能距離が長い状態にある車両を遠くのエリアから移動させる「配置換え」をしなければならない。このため、ユーザにとっては、車両準備のための待ち時間が増えることで利便性が損なわれる一方、サービス事業者にとっては、車両を効率的に稼働させることができず、サービス提供機会を逸失するおそれがあった。
【0007】
また、車両の乗車定員や設備によっては、ユーザのニーズを満たさない車両もあり、車両の配置場所が適切でないと、同様に、上記のような不都合が生じ得る。
【0008】
そこで、本発明は、エリアごとの需要に適合した車両の配置を効率的に行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
すなわち、ある観点に従う本発明は、複数のエリアの各々に対する複数の車両の配置を管理する配車管理装置である。
前記配車管理装置は、各前記車両から少なくとも位置及び航続可能距離に関する情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、所定の時間帯における前記車両の将来の需要を示す予測需要情報に基づいて、各前記エリアにおける項目条件ごとの需要台数を示す項目条件需要情報を作成する項目条件需要作成部と、前記項目条件需要情報と前記車両情報とに基づいて、前記各エリアの前記項目条件ごとの前記需要台数と供給可能台数との関係を示す需給評価情報を作成する需給評価部と、前記需給評価情報に基づいて、前記需要台数に対して供給可能台数が不足する前記項目条件を有する一の前記エリアに他の前記エリアから移動させるべき前記車両を移動対象車両として決定する移動車両決定部と、前記移動対象車両を前記一のエリアに配置するために、前記移動対象車両に移動を指示する車両配置決定部とを備える。
前記項目条件需要作成部は、距離区分で定義される前記項目条件ごとの前記需要台数を算出する。
また、前記需給評価部は、前記車両の前記航続可能距離に基づいて、前記距離区分で定義される前記項目条件ごとの前記供給可能台数を算出する。
【0010】
また、ある観点に従う本発明は、複数のエリアの各々に対する複数の車両の配置を管理する配車管理方法であり得る。更に、本発明は、コンピューティングデバイスに前記配車管理方法を実現させるためのコンピュータプログラム又はこれを非一時的に担持し得るコンピュータ可読媒体として把握され得る。
【0011】
なお、本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されても良い。また、「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、予定走行距離に基づくエリアごとの需要に適合した車両の配置を効率的に行うことができるようになる。
【0013】
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果又は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る配車管理システムの一例を説明する図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る配車管理装置の機能構成モデルの一例を示すブロックダイアグラム図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る配車管理装置における予測需要情報の一例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る配車管理装置における項目条件需要情報の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る配車管理装置における需給評価情報の一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る配車管理装置による配車管理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る配車管理装置による予測需要情報の作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係る配車管理装置による項目条件需要情報の作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態に係る配車管理装置による需給評価情報の作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る配車管理装置による移動対象車両の決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る配車管理装置による移動対象車両の決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態に係る配車管理装置による移動対象車両の決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の一実施形態に係る配車管理装置による車両配置決定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る配車管理システムの一例を説明する図である。同図に示すように、配車管理システム1は、配車管理装置10と、サービス端末装置20と、車両Vを含み、これらは通信ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。エリアA1~A3の各々は、ユーザの利用に供される車両Vが配置され待機する1つ以上の待機場所を含む地域的範囲である。例えば、エリアA1~A3の各々は、空港や鉄道の駅、大規模集客施設といった施設を中核として認識され得る。以下では、エリアA1~A3の各々を特に区別する必要がない限り、これらをエリアAなどと総称するものとする。本開示では、配車管理システム1が、車両Vによる乗客の移動や荷物の搬送を行うためのモビリティサービスに適合された例が説明されるが、これに限られない。
【0017】
配車管理装置10は、各エリアAに対する複数の車両Vの配置を管理するコンピューティングデバイスである。配車管理装置10は、例えば配車管理プログラムを実装する。また、配車管理装置10は、各エリアAにおける車両Vの過去の稼働実績に関するデータ(稼働実績データ)を格納する稼働実績データベース12を含む。本例では、稼働実績データベース12は、配車管理装置10の一部として構成されているが、これに限られず、配車管理装置10とは別体に構成されても良い。
【0018】
概略的には、配車管理装置10は、稼働実績データベース12に格納された稼働実績データに基づいて、各エリアAにおける車両Vの将来の需要を予測し、予測した需要と車両Vから取得される車両情報とに基づいて、各エリアAにおける車両Vの台数の過不足(需給)を評価し、該評価の結果に応じてエリアA間での車両Vの配置換えのための移動を車両Vに指示する。
【0019】
車両Vは、乗客としてのユーザの利用に供されるために、配車管理装置10に登録された車両である。車両Vの車種(例えば、セダン、ミニバン、SUV等)は問わないが、ここでは、車両Vは、車載バッテリーを動力源とする電気自動車(EV)であるものとする。また、車両Vは、完全な自律走行可能な自動運転車であっても良く、いわゆる自動運転化レベルを問わない。車両Vは、配車管理装置10による指示に従って車両V自体又はその搭載機器を制御する制御装置(図示せず)を備える。制御装置は、例えば、車両Vの配置先のエリアAを指示するナビゲーション機能や、完全自動運転車であれば車両Vの配置先までの自律走行制御機能を含む。
【0020】
サービス端末装置20は、例えば、車両Vの乗務員が携帯し操作するためのコンピューティングデバイスである。或いは、サービス端末装置20は、拠点(待機場所)やサービス事業者の営業所等に配置され、サービス事業者の担当者が操作するためのコンピューティングデバイスであっても良い。サービス端末装置20は、例えば、配車管理装置10の制御の下、現在の車両Vの配置状況や配置先指示に関する情報をユーザインターフェース上に表示する。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置の機能構成モデルの一例を示すブロックダイアグラム図である。同図に示すように、配車管理装置10は、例えば、需要予測部110と、項目条件需要作成部120と、車両情報取得部130と、需給評価部140と、移動車両決定部150と、車両配置決定部160とを含む機能構成モデルとして構成される。かかる機能モデルは、配車管理装置10のプロセッサが配車管理プログラムを実行することにより、各種のハードウェア資源と協働して、実現される。ここに示す機能構成モデルは一例であって、ある機能構成部における全部又は一部の機能が、他の機能構成部によって実現されても良い。
【0022】
需要予測部110は、所定のタイミングで、稼働実績データ等に基づいて、各エリアAにおける車両Vの将来の需要を予測する。より具体的には、需要予測部110は、稼働実績データベース12に格納された稼働実績データに基づいて、例えば
図3に示すような予測需要情報を作成し、出力する。また、需要予測部110は、稼働実績データに加え、例えば各エリアAの交通事情や環境情報等(以下「交通事情等」という。)を考慮して、予測需要情報を作成し得る。環境情報は、例えば、イベントの開催情報等を含み得る。予測需要情報は、所定の単位時間(例えば、基準時刻から30分先までの10分ごと等)において予測された発生時刻、出発地、目的地、出発地周辺待機場所、初期移動時間、予定走行距離、終了時刻、及び目的地周辺待機場所等を含む。需要予測部110は、例えば稼働実績データを説明変数とし、予測需要情報を目的変数として、所定の機械学習アルゴリズムに従って機械学習が施された需要予測モデルを含み得る。
【0023】
項目条件需要作成部120は、予測需要情報に基づいて、所定の項目及びその条件ごとの需要を示す項目条件需要情報を作成する。より具体的には、需要予測部110は、需要予測部110から出力される予測需要情報に基づいて、例えば
図4に示すような各エリアAについての距離等の各項目の諸条件(項目条件)での車両の需要台数を算出し、項目条件ごとの需要台数を示した項目条件需要情報を作成し、出力する。項目条件は、ユーザのニーズを考慮して定義され、例えば「距離」区分ごとの車両の需要台数、「乗車人数」区分ごとの需要台数、及び車両設備ごとの需要台数等を含む。
【0024】
例えば、距離Dは、
D1:近距離(~50km未満)
D2:中距離(50km~100km未満)
D3:長距離(100km~)
として定義される。
また、乗車人数Pは、
P1:1~2人
P2:3~5人
P3:6人~
として定義される。
また、車両設備Fは、
F1:車椅子
F2:ラゲージスペース
F3:チャイルドシート
として定義される。なお、車両設備は、択一的ではなく複数選択され得る。
【0025】
車両情報取得部130は、登録された各車両Vから通信ネットワークNを介して車両情報を取得する。車両情報は、例えば、車両Vの車両ID、現在の位置情報、及び車載バッテリー容量(SOC:State of Charge)情報、航続可能距離情報等を含む。車両情報取得部130は、取得した車両情報を需給評価部140に出力する。
【0026】
需給評価部140は、項目条件需要情報と車両情報とに基づいて、項目条件枠ごとの車両Vの需給関係(過不足)を評価する。より具体的には、需給評価部140は、項目条件需要作成部120から出力される項目条件需要情報と車両情報取得部130から出力される車両情報とに基づいて、例えば
図5に示すような項目条件ごとに割り当てられた車両Vの需要量(需要台数)に対する供給可能量を示す需給評価情報を作成し、出力する。
【0027】
すなわち、同図に示されるように、エリアA1では、距離D1~D3に対して、需要を超える分の車両Vの台数が評価値として「2」、「2」、「0」として示されている。つまり、エリアA1では、距離D3を満たす車両Vが0台であるものと評価されている。同様に、エリアA2では、距離D1~D3に対して、需要を超える分の車両Vの台数が「2」、「2」、「1」として示され、また、エリアA3では、距離D1~D3に対して、需要を超える分の車両Vの台数が「2」、「2」、「3」として示されている。後述するように、評価値が低い(需要台数に対して供給可能台数が少ない)項目条件を有するエリアAには、該項目条件に関して、評価値が高い(需要台数に対して供給可能台数に余裕がある)項目条件を有する他のエリアAの車両Vを移動させることで、需給関係のバランスを調整する。
【0028】
また、需給評価情報は、初期移動時間が所定のしきい値を超える需要の件数を含み得る。初期移動時間とは、エリアA内の待機場所から予測された需要の出発地までの移動コストである。
【0029】
図2に戻り、移動車両決定部150は、需給評価情報と車両情報とに基づいて、エリアA間において配置換えされるべき車両Vを決定する。より具体的には、移動車両決定部150は、需給評価部140から出力される需給評価情報と車両情報取得部130から出力される車両情報とに基づいて、需要を満たす車両V群の中からエリアA間の配置換えに最適な車両Vを決定する。例えば、
図5に示したように、エリアA1において距離D3(長距離)で要求される車両Vの台数(需要量)に対して稼働可能な車両Vの台数(供給量)が不足する一方、エリアA3において距離D3で要求される車両Vの台数に対して稼働可能な車両Vの台数に余裕がある場合、移動車両決定部150は、エリアA3からエリアA1へ移動させる車両V(移動対象車両)及びその台数を決定する。また、移動車両決定部150は、需要を満たすに足りる十分な航続可能距離を走行できない車両Vに対して、充電設備への移動対象車両として決定する。
【0030】
車両配置決定部160は、移動車両決定部150により移動が決定された車両Vの配置場所を決定し、移動の指示を出力する。例えば、車両配置決定部160は、各エリアAの待機場所に設置されたサービス端末装置20及び/又は該当する車両Vに指示を送信する。これを受けて、サービス端末装置20は、担当者に該当する車両Vの配置換えを促すために、ユーザインターフェース上に制御指示に基づく配置換え情報を表示する。また、該当する車両Vは、ナビゲーション機能により配置先の待機場所までの移動ルートを検索し、ドライバーをナビゲートする。或いは、完全自動運転車の場合であれば、車両配置決定部160は、該当する車両Vに対して指示し、これを受けた車両Vは、自律的走行によりエリアA間を移動する。また車両配置決定部160は、充電が必要な状態の車両Vに対して、充電設備を備えた近隣の待機場所へ移動するように指示を行う。
【0031】
図6は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置による配車管理方法の一例を示すフローチャートである。かかる方法は、配車管理装置10が、プロセッサの制御の下、配車管理プログラムを実行し、これによるハードウェア資源との協働によって、実現される。
【0032】
同図に示すように、配車管理装置10は、稼働実績データベース12を参照し、これまでの稼働実績データに基づいて、
図3に示したような予測需要情報を作成する(S601)。次に、配車管理装置10は、作成された予測需要情報に基づいて、
図4に示したような所定の項目及びその条件ごとの需要を示す項目条件需要情報を作成する(S602)。続いて、配車管理装置10は、作成された項目条件需要情報と車両Vから取得される車両情報とに基づいて、
図5に示したような需給評価情報を作成する(S603)。
【0033】
次に、配車管理装置10は、作成された需給評価情報に基づいて、移動対象車両を決定する(S604)。すなわち、配車管理装置10は、異なるエリアA間において、項目条件ごとに移動対象の車両V及びその台数を決定する。車両Vの移動は、項目条件の状況に応じて、2つのエリアA間での移動のみならず、3以上のエリアA間で順送り移動(例えばエリアA3の車両VをA2へ、A2の別の車両をA1へ移動)であっても良い。
【0034】
そして、配車管理装置10は、移動対象の車両Vの配置場所を決定し、該車両Vに対して移動を指示する(S605)。例えば、配車管理装置10は、エリアA内の待機場所を指定する。或いは、配車管理装置10は、エリアA内の待機場所内又は近隣の充電場所での待機を指示する。或いは、配車管理装置10は、エリアA内での路上巡回での待機を指定する。
【0035】
図7は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置による予測需要情報の作成処理の一例を示すフローチャートである。同図は、
図6に示したS601の処理の詳細を示している。
【0036】
同図に示すように、需要予測部110は、まず、稼働実績データベース12を参照し、稼働実績データを取得する(S701)。需要予測部110は、各エリアAの交通事情等を取得しても良い。次に、需要予測部110は、取得された稼働実績データ及び各エリアAの交通事情等に基づいて、需要の発生時刻及び出発地を予測し、予測された需要の発生時刻ごとに、出発地周辺で移動時間が少ない待機場所を関連付ける(S702)。
【0037】
次に、需要予測部110は、予測された需要のうち、初期移動時間が所定時間を超えている需要を特定する(S703)。次に、需要予測部110は、取得された稼働実績データに基づいて、終了時刻及び予定走行距離を算出する(S704)。終了時刻は、発生時刻を基準にして、出発地待機場所、出発地、目的地、及び目的地待機場所を順番に通るルートでの所要時間に従って算出され、該ルートの距離が予定走行距離となる。このようにして、
図2に示したような予測需要情報が作成される。
【0038】
図8は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置による項目条件需要情報の作成処理の一例を示すフローチャートである。同図は、
図6に示したS602の処理の詳細を示している。
【0039】
同図に示すように、項目条件需要作成部120は、作成された予測需要情報に基づいて、各エリアAについて、所定の時間帯Tnにおける需要を集計する(S801)。所定の時間帯Tnは、例えば30分先までの10分ごとの期間として定義される。需要は、時間帯Tnについて、前後の時間帯を考慮して需要を満たし得る正味の車両Vの台数(正味車両台数)が用いられる。例えば、12時から12時半までの時間帯Tnにおいて、エリアAに対して予測された各需要の発生時刻が、「12:02」、「12:05」、及び「12:20」であって、その終了時刻が、「12:15」、「12:22」、「12:30」であるとする。この場合、予測される需要の数は3つであるが、3番目の需要に対しては、1番目の需要に対する車両Vを割り当てることができため、正味車両台数は「2」となる。このように、項目条件ごとの需要台数は、正味車両台数に依存するため、効率的な車両の配置が可能になる。
【0040】
次に、項目条件需要作成部120は、現在のエリアA以外のエリアA(これを「エリアA’」と表記する。)への需要割合を算出する(S802)。つまり、項目条件需要作成部120は、目的地に近いエリアA’が、出発地のエリアA以外となる需要割合を算出する。
【0041】
次に、項目条件需要作成部120は、追加のパラメータを取得する(S803)。追加パラメータは、要求される車両Vの台数の算出に用いられるある種の補正係数であって、例えば、過去の実績に基づく予測正答率及び環境情報等を含む。
【0042】
次に、項目条件需要作成部120は、項目条件ごとの需要を満たすために必要とされる車両Vの台数(需要台数)を算出する(S804)。需要台数は、以下の式で示されるように、要求される正味車両台数及び追加パラメータを考慮して算出される。
需要台数=正味車両台数×追加パラメータ(正答率,需要割合,環境情報,…)
項目条件需要作成部120は、項目条件ごとの正味車両台数に対して追加パラメータで補正することにより需要台数を算出する。このようにして、
図4に示したような項目条件需要情報が作成される。
【0043】
図9は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置による需給評価情報の作成処理の一例を示すフローチャートである。同図は、
図6に示したS603の処理の詳細を示している。
【0044】
同図に示すように、需給評価部140は、時間帯Tnでの各エリアにおける供給可能な車両Vの台数(供給可能台数)を算出する(S901)。供給可能台数は、例えば、時刻t1での待機予定の車両Vの台数と時刻t2までに配車可能な車両Vとの総和である。
【0045】
次に、需給評価部140は、供給可能な車両Vを項目条件ごとに割り当てる(S902)。次に、需給評価部140は、項目条件ごとに、需要台数と供給可能台数とに基づいて、需給関係を評価する(S903)。すなわち、需給評価部140は、需要台数に対する供給可能台数の過不足を評価値として算出する。このようにして、
図5に示したような需給評価情報が作成される。
【0046】
図10~
図12は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置による移動対象車両の決定処理の一例を示すフローチャートである。同図は、
図6に示したS604の処理の詳細を示している。
【0047】
同図に示すように、移動車両決定部150は、まず、作成された需給評価情報を取得する(S1001)。次に、移動車両決定部150は、エリアAにおいて輸送サービスが終了した車両Vが存在するか否かを判断する(S1002)。つまり、乗客を降ろした直後の車両Vは、行き先(待機場所や路上巡回等の配置)が決まっておらず、予測される需要台数に対して待機する車両Vの台数(供給可能台数)が足りていないエリアAの待機場所へ移動させる候補となり得る。一方、乗客を降ろした直後の車両Vが存在しない場合、現状の各エリアAでの車両Vの待機状況から需給のバランスを考慮して、車両Vの台数が足りていない待機場所へ移動させる車両Vが決定される(後述するS1010の処理)。
【0048】
移動車両決定部150は、サービスが終了した車両Vが存在すると判断する場合(S1002のYes)、続いて、移動車両決定部150は、該車両Vの航続可能距離が所定値を超えているか否かを判断する(S1003)。ここで、所定値とは、エリアAにおいて需要を満たすに足りる最低の航続可能距離を基準に設定される。移動車両決定部150は、航続可能距離に代えて、車載バッテリー容量情報(例えば残量率)で判断しても良い。移動車両決定部150は、該車両Vの航続可能距離が所定値を超えてないと判断する場合(S1003のNo)、該車両Vはサービス提供に不十分であるため、該車両Vを充電が必要な状態の移動対象車両Vとして決定する(S1004)。充電が必要な状態の車両Vは、充電設備がある近隣の待機場所に移動するように指示される。
【0049】
一方、移動車両決定部150は、該車両Vの航続可能距離が所定値を超えていると判断する場合(S1003のYes)、移動車両決定部150は、需給評価情報において、評価値が最も低い項目条件を配車が必要なエリアの第1候補枠として選択する(S1005)。なお、第1候補枠が複数ある場合は、移動車両決定部150は、例えば、下記の基準(i)~(iii)を用いて選択する。
(i) 待機する車両Vの不足台数が最も多い(需要台数に対して供給可能台数が最も少ない)
(ii) 車両Vの移動コストが最も低い(移動時間が少ない又は移動距離が短い等)
(iii) 需要台数が最も多い
移動車両決定部150は、これらの基準(i)~(iii)のいずれかに当てはまるものを第1候補枠として選択しても良いし、より多くの基準に当てはまるものを第1候補枠として選択しても良い。
【0050】
次に、移動車両決定部150は、車両Vが待機場所まで仮に移動した場合の航続可能距離(以下「移動後の航続可能距離」という。)が所定値を超えている否かを判断する(S1006)。このように、車両Vの移動後の航続可能距離が考慮されるため、車両Vが移動してもユーザのニーズに応えられない車両を予め除外することができる。移動車両決定部150は、車両Vの移動後の航続可能距離が所定値を超えていると判断する場合(S1006のYes)、該車両Vを移動対象車両として決定する(S1007)。
【0051】
一方、移動車両決定部150は、移動後の航続可能距離が所定値を超えていないと判断する場合(S1006のNo)、他のエリアA’との間で車両の移動が可能であるか否かの調整を行う(S1008)。
【0052】
すなわち、
図11を参照して、移動車両決定部150は、第1候補枠があるエリアAよりも距離的に遠い他のエリアA’で対応する項目条件を第2候補枠として抽出する(S1101)。例えば、
図5に示した需給評価情報において、第1候補枠であるエリアA1の評価値「0」の項目条件D3に対してエリアA2及びA3の項目条件D3が第2候補枠として抽出される。次に、移動車両決定部150は、抽出された第2候補枠の車両Vのうち、エリアAへ移動した後の航続可能距離が所定値を超える車両Vを抽出する(S1102)。
【0053】
続いて、移動車両決定部150は、抽出された車両Vの台数に応じた処理を行う(S1103)。すなわち、移動車両決定部150は、抽出された車両Vが1台のみであれば、該抽出された車両VをエリアAへ移動すべき車両Vとして決定する(S1104)。或いは、移動車両決定部150は、抽出された車両Vが2台以上あれば、該車両Vの中から航続可能距離が最も長い車両Vを選択し(S1105)、エリアAにおける第1候補枠の車両VとエリアA’における第2候補枠の車両Vを配置換えのための移動対象車両として決定する。なお、抽出される車両Vがなければ、移動車両決定部150は、該エリアA’については、移動対象車両がないものと判断する。
【0054】
一方、移動車両決定部150は、サービスが終了した車両Vが存在しないと判断する場合(S1002のNo)、続いて、移動車両決定部150は、需給評価情報において評価値が所定のしきい値以下であるか否かを判断する(S1009)。上述したように、乗客を降ろした直後の車両Vが存在しない場合、現状の各エリアAでの車両Vの待機状況から需給のバランスを考慮して、移動対象車両が決定される(S1010)。
【0055】
すなわち、
図12を参照して、移動車両決定部150は、需給評価情報において、評価値が最も低い項目条件を配車が必要な候補枠として選択する(S1201)。なお、候補枠が複数ある場合は、移動車両決定部150は、例えば、下記の基準(i)及び(ii)を用いて選択し得る。
(i) 需要台数が最も多い
(ii) 周辺に評価値が高い項目条件を持つエリアAが所定数以上存在する
移動車両決定部150は、これらの基準(i)又は(ii)のいずれかに当てはまるものを候補枠として選択しても良いし、全ての基準に当てはまるものを候補枠として選択しても良い。
【0056】
次に、移動車両決定部150は、評価値が最も低い項目条件に対応する少なくとも1以上の他のエリアA’の項目条件うち、評価値が最も高い他のエリアA’の項目条件を候補枠として追加的に抽出する(S1202)。なお、候補枠が複数ある場合は、移動車両決定部150は、例えば、下記の基準(i)及び(ii)を用いて選択し得る。
(i) 需要台数が最も少ない
(ii) 周辺に評価値が低い項目条件を持つエリアA’が所定数以上存在する
移動車両決定部150は、これらの基準(i)又は(ii)のいずれかに当てはまるものを候補枠として選択しても良いし、全ての基準に当てはまるものを候補枠として選択しても良い。
【0057】
次に、移動車両決定部150は、抽出された候補枠があるか否かを判断する(S1203)。移動車両決定部150は、抽出された候補枠が1つもないと判断する場合(S1203のNo)、該候補枠を除外して(S1204)、全ての候補枠がなくなるまで上記の処理を繰り返す(S1205)。
【0058】
一方、移動車両決定部150は、抽出された候補枠があると判断する場合(S1203のYes)、該候補枠に割り当てられている車両Vを移動対象車両として決定する(S1206)。なお、候補枠に車両Vが複数台割り当てられている場合、移動車両決定部150は、下記の基準(i)及び(ii)を用いて選択する。
(i) 待機場所での待機時間が長い
(ii) 航続可能距離が最も長い
【0059】
移動車両決定部150は、以上のようにして、移動対象となる車両Vを決定すると、
図10に示したS1006の処理に移行する。
【0060】
図13は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置による車両配置決定処理の一例を示すフローチャートである。同図は、
図6に示したS605の処理の詳細を示している。
【0061】
同図に示すように、車両配置決定部160は、需給評価情報に基づいて、初期移動時間が大きい需要台数が所定台数を超えているか否かを判断する(S1301)。初期移動時間とは、エリアA内の出発地周辺の待機場所から予測された需要の出発地までの移動時間である。車両配置決定部160は、初期移動時間が大きい需要台数が所定台数を超えていないと判断する場合(S1301のNo)、移動対象となっている車両Vに対して、エリアA内の待機場所に移動し、該待機場所の駐車ロットにて待機するように指示する(S1306)。
【0062】
一方、車両配置決定部160は、初期移動時間が大きい需要台数が所定台数を超えていると判断する場合(S1301のYes)、車両配置決定部160は、該車両Vの航続可能距離が所定値を超えているか否かを判断する(S1302)。車両配置決定部160は、該車両Vの航続可能距離が所定値を超えていると判断する場合(S1302のYes)、車両配置決定部160は、該車両に対してエリアA内での路上巡回を指示する(S1303)。つまり、該車両Vは、航続可能距離に余裕があるため、待機場所にて待機する代わりに、いわゆる「町中での流し」が指示される。路上巡回が指示された車両Vは、所定のタイミングごとに航続可能距離がチェックされる。
【0063】
一方、車両配置決定部160は、該車両Vの航続可能距離が所定値を超えていないと判断する場合(S1302のNo)、車両配置決定部160は、エリアA内での待機場所を決定するに際して、該待機場所の充電設備が空いているか否かを判断する(S1304)。車両配置決定部160は、該待機場所の充電設備が空いていると判断する場合(S1304のYes)、車両配置決定部160は、当該車両Vに対して該待機場所の充電設備にて充電するように指示する(S1305)。
【0064】
一方、車両配置決定部160は、該待機場所の充電設備が空いていないと判断する場合(S1304のNo)、車両配置決定部160は、当該車両Vに対して該待機場所の駐車ロットにて待機するように指示を行う(S1306)。このような車両Vは、充電の必要性が高くなって、充電設備が空いた時点で、充電の指示がされる。
【0065】
なお、図示していないが、車両配置決定部160は、移動車両決定部150によって充電が必要であると判断された車両Vについて、充電設備を備えた近隣の待機場所へ移動するように指示し得る。
【0066】
以上のように、本実施形態によれば、予定走行距離に基づくエリアごとの需要に適合した車両の配置を効率的に行うことができるようになる。とりわけ、本実施形態によれば、予測需要に対して項目条件ごとの供給量を評価し、十分な供給を確保できないエリアAに対して他のエリアA’から車両Vを移動させるようにしているので、ユーザのニーズに応えつつ、車両Vの稼働率を向上させることができるようになる。
【0067】
なお、上記実施形態では、配車管理装置10は、項目条件として「距離」に基づいて車両の配置を行ったが、これに限られず、代替的に又は追加的に他の項目条件として「乗車人員」や「車両設備」に基づいて車両の配置を行っても良い。
【0068】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1…配車管理システム
10…配車管理装置
12…稼働実績データベース
110…需要予測部,120…項目条件需要作成部,130…車両情報取得部,140…需給評価部,150…移動車両決定部,160…車両配置決定部
20…サービス端末装置
N…通信ネットワーク
V…車両