(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046810
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】スタック装置
(51)【国際特許分類】
B21D 53/08 20060101AFI20240329BHJP
B23P 21/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B21D53/08 G
B23P21/00 301B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152109
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】390034809
【氏名又は名称】日高精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森下 圭一
(72)【発明者】
【氏名】西沢 準一
【テーマコード(参考)】
3C030
【Fターム(参考)】
3C030CA03
(57)【要約】
【課題】複数列の扁平チューブ用フィンをスタック装置に同時に積層させる際に、スタックブレードが十分な剛性を有し、スタック装置における扁平チューブ用フィンの積層位置を揃えること。
【解決手段】幅方向の一方側から他方側に向けて、熱交換器用の扁平チューブを挿入させる切欠部91が形成されてなる扁平チューブ用フィンHFを積層するスタック装置70であって、切欠部91に挿通されるスタックブレード71を複数具備し、スタックブレード71には、厚さ寸法が異なる厚板スタックブレード71Aが含まれていることを特徴とするスタック装置70である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の一方側から他方側に向けて、熱交換器用の扁平チューブを挿入させる切欠部が形成されてなる扁平チューブ用フィンを積層するスタック装置であって、
前記切欠部に挿通されるスタックブレードを複数具備し、
各前記スタックブレードには、厚さ寸法が異なるものが含まれていることを特徴とするスタック装置。
【請求項2】
前記スタックブレードは、前記扁平チューブ用フィンの長さ方向における複数箇所に配設されており、前記扁平チューブ用フィンの長さ方向の中間位置よりも前記扁平チューブ用フィンをプレス加工するプレス装置側の範囲における前記スタックブレードの厚さ寸法が、他の前記スタックブレードの厚さ寸法よりも厚いことを特徴とする請求項1記載のスタック装置。
【請求項3】
前記スタックブレードは、前記スタックブレードの幅寸法よりも幅狭寸法に形成された補剛ブロックによって板厚方向に挟持され、前記スタックブレードが前記補剛ブロックの幅方向両端部から突出していることを特徴とする請求項1または2記載のスタック装置。
【請求項4】
前記スタックブレードが貫通すると共に前記スタックブレードの立設方向に沿って昇降し、前記扁平チューブ用フィンが載置される昇降受部をさらに有していることを特徴とする請求項1または2記載のスタック装置。
【請求項5】
前記昇降受部には、前記扁平チューブ用フィンの搬送方向の複数箇所に前記扁平チューブ用フィンの底面を支持する支持部がさらに配設されていることを特徴とする請求項4記載のスタック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスタック装置に関し、より詳細には、熱交換器用の扁平チューブを挿入させる切欠部が形成されてなる扁平チューブ用フィンを積層するスタック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコン等における熱交換器は、冷媒を流通させるための冷媒管に放熱用のフィンを複数枚挿通させることにより形成されている。このような熱交換器のうち、冷媒管が扁平に形成されたものがあり、このような扁平チューブには、フィンの幅方向に切欠部が形成された扁平チューブ用フィンが用いられ、切欠部に扁平チューブが挿入される。このような扁平チューブ用フィンのスタック装置としては、例えば特許文献1(特許第7006994号公報)において開示されている構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7006994号公報(明細書段落0048-0049,
図5等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているスタック装置においては、
図11に示すような略L字断面形状のスタックブレード71が用いられている。この構成では、スタック装置への扁平チューブ用フィンHFの積層数を増やすためにスタックブレード71を長く(高く)すると剛性が不足し、扁平チューブ用フィンHFを適切に積層させることが困難になる。スタックブレード71を長くした際の剛性を高めるために、
図12に示すように、切欠部91に挿入したスタックブレード71をL字型の補剛ブロック73で挟み込んだ形態を用いることがある。
図12に示すような補剛ブロック73により挟持されたスタックブレード71を用いると、複数列の扁平チューブ用フィンHFを積層する際、スタック装置に積層された扁平チューブ用フィンHFへのスタックブレード71の挿入位置を一致させることができない。これにより、各スタック装置における扁平チューブ用フィンHFのガイド位置にずれが生じてしまうという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは次のとおりである。すなわち、複数列の扁平チューブ用フィンをスタック装置に同時に積層させる際に、スタックブレードが十分な剛性を有し、スタック装置における扁平チューブ用フィンのガイド位置を揃えることが可能なスタック装置の構成を提供することを目的としている。
【0006】
上記課題を解決するために発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、幅方向の一方側から他方側に向けて、熱交換器用の扁平チューブを挿入させる切欠部が形成されてなる扁平チューブ用フィンを積層するスタック装置であって、前記切欠部に挿通されるスタックブレードを複数具備し、各前記スタックブレードには、厚さ寸法が異なるものが含まれていることを特徴とするスタック装置である。
【0007】
これにより、複数列の扁平チューブ用フィンをスタック装置に同時に積層させる際に、スタックブレードが十分な剛性を有し、スタック装置における扁平チューブ用フィンの積層位置を揃えることが可能になる。
【0008】
また、前記スタックブレードは、前記扁平チューブ用フィンの長さ方向における複数箇所に配設されており、前記扁平チューブ用フィンの長さ方向の中間位置よりも前記扁平チューブ用フィンをプレス加工するプレス装置側の範囲における前記スタックブレードの厚さ寸法が、他の前記スタックブレードの厚さ寸法よりも厚いことが好ましい。
【0009】
これにより、スタック装置に積層される扁平チューブ用フィンの送り出し側の部分で扁平チューブ用フィンを位置決めした状態でスタック装置に積層することができ、複数のスタック装置においてスタック装置内における扁平チューブ用フィンの積層位置を高精度に揃えることができる。
【0010】
また、前記スタックブレードは、前記スタックブレードの幅寸法よりも幅狭寸法に形成された補剛ブロックによって板厚方向に挟持され、前記スタックブレードが前記補剛ブロックの幅方向両端部から突出していることが好ましい。
【0011】
これにより、スタックブレードの剛性をさらに高めることができる。
【0012】
また、前記スタックブレードが貫通すると共に前記スタックブレードの立設方向に沿って昇降し、前記扁平チューブ用フィンが載置される昇降受部をさらに有していることが好ましい。
【0013】
これにより、スタック装置に積層される前にスタック装置の上方位置で扁平チューブ用フィンが搬送される搬送装置からスタック装置までの落差を少なくすることで、扁平チューブ用フィンの変形を防止することができる。
【0014】
また、前記昇降受部には、前記扁平チューブ用フィンの搬送方向の複数箇所に前記扁平チューブ用フィンの底面を支持する支持部がさらに配設されていることが好ましい。
【0015】
これにより、スタック装置に積層される扁平チューブ用フィンの撓みを抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明におけるスタック装置の構成を採用することにより、複数列の扁平チューブ用フィンをスタック装置に同時に積層させる際に、スタックブレードが十分な剛性を有し、スタック装置における扁平チューブ用フィンの積層位置を揃えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態における扁平チューブ用フィン製造装置の概略構成を示す正面図である。
【
図2】本実施形態における金属帯状体の平面図である。
【
図3】本実施形態における製品幅金属帯状体の平面図である。
【
図4】本実施形態におけるスタック装置の平面図である。
【
図5】
図4に示すスタック装置に扁平チューブ用フィンを積層させた状態を示す平面図である。
【
図6】
図4に示すスタック装置に扁平チューブ用フィンを積層させた状態を示す正面図である。
【
図7】
図4に示すスタック装置に扁平チューブ用フィンを積層させた状態を示す左側面図である。
【
図9】スタックブレードの変形例を示す平面図である。
【
図10】
図6に示す状態から昇降受部を上昇させた状態を示す正面図である。
【
図11】従来技術におけるスタック装置の一例を示す平面図である。
【
図12】従来技術におけるスタック装置の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかるスタック装置70を含んだ扁平チューブ用フィン製造装置100の実施形態について、図面に基づいて具体的に説明する。本実施形態における扁平チューブ用フィン製造装置100は、
図1に示すように、フィン成形部100Aとスタック部100Bに大別することができる。フィン成形部100Aは、材料供給部10、プレス装置20、送り装置30、列間スリット装置40、カットオフ装置50を有している。スタックブ100Bは、保持装置60とスタック装置70を具備している。
【0019】
本実施形態における扁平チューブ用フィン製造装置100における各構成の動作制御は、記憶部に予め記憶されている動作制御プログラムと、動作制御プログラムに基づいて作動するCPUとを少なくも有する動作制御部80により行われている。このような動作制御部80は扁平チューブ用フィン製造装置100に内蔵させる形態の他、扁平チューブ用フィン製造装置100とは別体に設けたパーソナルコンピュータ等により実現することができる。
【0020】
材料供給部10は、アンコイラ12とループコントローラ14とNCフィーダ16を有している。熱交換器用の扁平チューブ用フィンHFの材料であるアルミニウム合金等に代表される金属製の薄板11は、アンコイラ12にコイル状に巻回されている。アンコイラ12から引き出された薄板11は、ループコントローラ14の内部に挿入され、間欠送りされる薄板11のばた付きが抑えられている。ループコントローラ14の下流側には、NCフィーダ16が配設されている。NCフィーダ16は、薄板11の上面と下面に接触する2つのローラを有しており、これらのローラが回転駆動することにより、薄板11を板厚方向に挟み込んでプレス装置20に間欠送りしている。NCフィーダ16は、動作制御部80により、プレス装置20の金型装置22における上型22Aと下型22Bとが当接状態から離反を開始してから上型22Aと下型22Bが当接するまでの間に薄板11をプレス装置20に送り出しするように動作制御されている。
【0021】
本実施形態におけるプレス装置20は、上型22Aと下型22Bからなる金型装置22が内蔵されている。上型22Aと下型22Bは、少なくとも一方が図示しない金型駆動部に取り付けられており、他方に向けて接離動可能になっている。薄板11は金型装置22によってプレス加工され、
図2に示すような所定形状の金属帯状体90に形成される。本実施形態における金属帯状体90は、
図2中の矢印で示した搬送方向と水平面内で直交する製品幅方向に複数の製品(ここでは4つの扁平チューブ用フィンHF)が並んで形成されている。
図3に示すように、金属帯状体90を後述する列間スリット装置36により製品幅に分割して得られる製品幅金属帯状体99は、扁平チューブ(図示はせず)が挿入される切欠部91が複数箇所に形成されており、切欠部91と切欠部91との間にはルーバ92を有する板状部93が形成されている。また、ルーバ92の幅方向の両端側には、薄板11が切起されて形成された開口部94が形成されている。1つのルーバ92に対する2つの開口部94のうち、一方側の開口部94は、板状部93の先端部側に形成されている。なお、開口部94の図中の幅方向両端部には、スタック装置70に扁平チューブ用フィンHFを積層する際に上下方向に隣接する扁平チューブ用フィンHFの間に隙間を形成するための切り起し部が形成されている。
【0022】
切欠部91は、扁平チューブ用フィンHFの幅方向の一方側から他方側に向けて形成されており、幅方向の一方側のみが開口している。切欠部91と切欠部91との間の複数の板状部93は、長手方向(搬送方向)に沿って連続して延びる連結部95によって連結されている。なお、2つの開口部94のうちの残りの一つがこの連結部95に形成されている。
図2に示す金属帯状体90は、2つの扁平チューブ用フィンHFが互いの切欠部91の開口側を対向させた状態で隣接配置されてなる組が互いの連結部95どうしを背中合わせに隣接させた状態で複数組(ここでは2組)形成されている。
【0023】
プレス装置20により形成された金属帯状体90は、プレス装置20の下流側に隣接して配設された送り装置30により搬送方向に間欠的に送られる。送り装置30は、いわゆるヒッチ送り機構が採用されており、搬送方向に沿って往復動する往復動ユニット32がNCフィーダ16の動作と連動して動作するように動作制御部80により制御されている。具体的には、プレス装置20の金型装置22における上型22Aと下型22Bとが当接状態から離反を開始してから上型22Aと下型22Bが当接するまでの間に往復動ユニット32が初期位置と移送位置との間を1往復するように動作が制御されている。
【0024】
送り装置30は、水平方向に移動可能な往復動ユニット32が、動作制御部80によって初期位置と移送位置との間を往復動するよう動作が制御されていて、プレス装置20から金属帯状体90を牽引する。往復動ユニット32の上面には、送りピン34が上方に突出して配置されており、送りピン34が金属帯状体90に形成された切り欠き部91又は開口部94内に下方から進入し、送りピン34が牽引することで金属帯状体90は移送位置まで送り出される。
【0025】
本実施形態における送り装置30の下流側には列間スリット装置40が配設されている。列間スリット装置40は、金属帯状体90の上面側において搬送方向に沿って配置された上刃42と金属帯状体90の底面側において上刃42と向かい合わせに配置された下刃44を有する。上刃42と下刃44は、いずれも金属帯状体90の搬送方向に長尺に形成され、金属帯状体90に形成された扁平チューブ用フィンHFを個片化する位置に一対となり、幅方向に複数対(ここでは3対)配設されている。夫々の上刃42と下刃44は、プレス装置20の接離動動作を利用して互いに接離動可能にすることもできる。また、図示しない上下刃駆動機構により夫々の上刃42と下刃44を接離動させる形態にすることもできる。この場合上下刃駆動機構の動作は、動作制御部80により制御することができる。送り装置30により列間スリット装置40に送り込まれた金属帯状体90は、上刃42と下刃44により扁平チューブ用フィンHFの製品幅と同幅寸法の製品幅金属帯状体99に個片化される。
【0026】
列間スリット装置40により金属帯状体90から個片化された複数本の製品幅金属帯状体99は、夫々が列間スリット装置40の下流側に夫々の製品幅金属帯状体99に対応して配設されたカットオフ装置50に供給される。なお、カットオフ装置50に送り込まれる前に、複数本の製品幅金属帯状体99は、隣り合う製品幅の金属帯状体99どうしの間を所定間隔あけるように配置される。また、カットオフ装置50に送り込まれる前には、複数本の製品幅金属帯状体99は、カットオフ装置50による1回の送り長さよりも長い長さを一時的に溜めておくために下方に撓ませた状態にしている。
【0027】
カットオフ装置50内には、搬送方向に各製品幅金属帯状体99を間欠的に搬送する送り装置52が設けられている。送り装置52の構造としては、プレス装置20の下流側に設けられている送り装置30の構造よりも、1回の送り長さが長くすることができるような構成となっている。送り装置52もまた動作制御部80により動作が制御されていて、水平方向に移動可能な搬送ユニット54が、所定距離移動することにより製品幅金属帯状体99をプレス装置20側から牽引し、カットオフ装置50の下流側に押し出している。搬送ユニット54の上面には、製品幅金属帯状体99の数だけ水平方向に並んだ複数列の送りピン55が列状に上方に突出して配置されている。送りピン55が夫々の製品幅金属帯状体99に形成された切り欠き部91又は開口部94内に下方から進入し、送りピン55が牽引することで夫々の製品幅金属帯状体99が移送位置まで押し出される。
【0028】
カットオフ装置50内において、送り装置52の下流側には切断装置56が設けられている。切断装置56は動作制御部80により動作が制御されていて、各々の製品幅金属帯状体99を所定寸法(製品長さ)に切断することにより、扁平チューブ用フィンHFを形成する。切断装置56は、夫々の製品幅金属帯状体99の上面側に配置された上刃57と、各製品幅金属帯状体99の下面側に配置された下刃58とを有する。上刃57と下刃58とが型閉じすることによって、夫々の製品幅金属帯状体99が搬送方向に沿って所定の製品長さに切断され、扁平チューブ用フィンHFに個片化される。
【0029】
カットオフ装置50の下流側には、スタック部100Bとしての保持装置60と、個片化された扁平チューブ用フィンHFを板厚方向(上下方向)に積層するスタック装置70とが設けられている。保持装置60は、カットオフ装置50の下流側から搬送方向に出てきた製品幅金属帯状体99を、搬送方向にスライド可能に支持している。具体的には、保持装置60は、カットオフ装置50から出てきた製品幅金属帯状体99の幅方向端部を載置できるように、製品幅金属帯状体99の幅方向両側に配置された、一対の保持体62と、保持体62を接離動させる保持体接離動機構64とを有している。保持体62は、製品幅金属帯状体99の長手方向(搬送方向)に直交する方向における断面形状がコの字状に形成されている。すなわち、保持体62を搬送方向から見ると、互いに幅方向外側に凹む凹部が互いに対向するように形成されている。このような保持装置60は、まだ切断される前の製品幅金属帯状体99の時点から、切断装置56によって所定長さに切断されて扁平チューブ用フィンHFに形成された後も保持状態を維持することができる。
【0030】
流体シリンダに代表される保持体接離動機構64の動作は、列間スリット装置40とカットオフ装置50の動作に同期するように動作制御部80により動作制御されている。具体的には、列間スリット装置40から製品幅金属帯状体99が送り出される時点では保持体62を接近させた状態にしておき、カットオフ装置50が製品幅金属帯状体99を扁平チューブ用フィンHFに個片化した後に保持体62を離反させ、カットオフ装置50から製品幅金属帯状体99が供給される前までに再び保持体62を接近させる動作を繰り返し行う。
【0031】
搬送装置60の直下位置にはスタック装置70が配設されている。本実施形態におけるスタック装置70は、
図4~
図8に示すように、ベース70A、昇降受部70B、ガイドシャフト70C、昇降駆動部70D、スタックブレード71およびガイドピン72を具備している。平板状のベース70Aの上面には、平板状の昇降受部70Bが配設されていると共に昇降受部70Bを貫通するガイドシャフト70Cが立設されている。昇降受部70Bは昇降駆動部70Dに取り付けられている。昇降受部70Bは、昇降駆動部70Dの動作によってスタックブレード71(ガイドシャフト70C)の立設方向に沿って昇降可能である。
【0032】
ベース70Aの上面にはスタックブレード71と補剛ブロック73が立設されており、スタックブレード71と補剛ブロック73は、共にベース70Aに取り付けられたスタックブレード固定用ブロック74に固定されている。また、ベース70Aの上面にはガイドピン72が立設されている。スタックブレード71、補剛ブロック73およびガイドピン72は、いずれも昇降受部70Bに形成された貫通孔75を貫通している。貫通孔75は扁平チューブ用フィンHFの長さ方向に所要間隔をあけた複数箇所に配設されている。ガイドピン72は、昇降受部70Bの上面において貫通孔75の一部を塞ぐようにして取り付けられたガイドブロック76に挿通されている。ガイドブロック76は、補剛ブロック73と幅方向で当接するように配設されている。また、ガイドブロック76には、スタックブレード71との干渉を防ぐための凹部77が形成されている。本実施形態においては、ガイドブロック76の上面が扁平チューブ用フィンHFの搬送面に設定されている。
【0033】
スタックブレード71は、スタックブレード71の幅寸法よりも幅狭寸法に形成された補剛ブロック73によって板厚方向に挟持されている。したがって、
図9(A)に示すように、スタックブレード71の幅方向両端部は、補剛ブロック73の幅方向両端部からガイドブロック76の凹部77に向かって突出した状態になっている。本実施形態におけるスタックブレード71は、補剛ブロック73から突出させている部分が隣り合う2列の扁平チューブ用フィンHFにおける切欠部91に挿入するように扁平チューブ用フィンHFの搬送方向における所定位置(切欠部91の位置)に位置合わせされている。また、スタックブレード71の上端部は、補剛ブロック73の側がわずかに高いテーパ形状に形成されている。このように本実施形態におけるスタックブレード71は、補剛ブロック73により補剛され、スタックブレード71を長くしてもスタックブレード71がふらつかず、効率的かつ正確に扁平チューブ用フィンHFをスタックブレード71に挿入させることができる。
【0034】
本実施形態におけるスタックブレード71は、扁平チューブ用フィンHFの搬送方向において所要間隔をあけた6箇所の切欠部91に位置合わせされた状態で立設されている。また、本実施形態においては、最もプレス装置20に近い位置に、他の位置に立設されているスタックブレード71の厚さ寸法よりも厚く形成された厚板スタックブレード71Aが配設されているがこの形態に限定されない。他のスタックブレード71よりも厚板に形成された厚板スタックブレード71Aは、スタック装置70の搬送方向(扁平チューブ用フィンHFの長さ方向)における中間点位置よりもプレス装置20の側の部分(スタック装置70の第1端部側の部分)において少なくとも1箇所に立設されていればよい。また、
図9(B)に示すように、補剛ブロック73の幅方向の端部のうち一方から突出している部分を厚板スタックブレード71Aとし、他方の端部から突出している部分を通常のスタックブレード71にしたものを搬送方向において隣り合わせにすると共に厚板スタックブレード71Aとスタックブレード71が交互になるように配設することもできる。この場合、プレス装置20の側の最端部の2本のスタックブレード71に適用することが好ましい。
【0035】
以上のようなスタックブレード71と厚板スタックブレード71Aを採用することで、搬送装置60(スタック装置70)における厚板スタックブレード71Aの部分で扁平チューブ用フィンHFを搬送方向において正確に位置合わせすることができる。また、搬送方向における搬送位置に誤差が生じ易い搬送方向下流側部分(スタック装置70の第2端部側の部分)では、切欠部91にスタックブレード71が挿入し易くすることができる。すなわち、複数列の扁平チューブ用フィンHFのスタック装置70の各々において、スタック装置70に対する扁平チューブ用フィンHFの積層位置が揃った状態で正確に積層させることができる。
【0036】
また、扁平チューブ用フィンHFの連結部95との間に所要間隔をあけて、または連結部95と当接する平面位置には、ガイドピン72が立設されている。ガイドピン72は、扁平チューブ用フィンHFの切欠部91に挿入されたスタックブレード71または厚板スタックブレード71A(以下、単にスタックブレード71ということがある)と共に扁平チューブ用フィンHFを幅方向に挟持している。ガイドピン72の上端部の高さ位置は、スタックブレード71の上端部高さ位置と同じ高さに設定されている。
【0037】
搬送装置60から落下した扁平チューブ用フィンHFは、ガイドピン72によりガイドされ、切欠部91にスタックブレード71が挿入された状態で昇降受部70Bに載置される。昇降受部70Bは、昇降駆動部70Dの動作によりスタック装置70(昇降受部70B)への扁平チューブ用フィンHFの積層状態に応じてベース70Aの上面から接離動(昇降)する。なお、
図10に示すように、スタック装置70への扁平チューブ用フィンHFの積層開始時には、昇降受部70Bは最上部位置に上昇し、搬送装置60からの落差を最小限にし、扁平チューブ用フィンHFの変形等を防止している。そして、搬送装置60の保持体62の接離動動作に同期させて昇降駆動部70Dが昇降受部70Bを徐々に下降させている。具体的には、保持体62の離反動作が開始するまでの間に昇降受部70Bを積層高さ位置に待機させ、保持体62の接近動作開始後から保持体62の離反動作の開始前までの間に昇降受部70Bを所要高さ下降させる動作が繰り返されている。このような昇降駆動部70Dによる昇降受部70Bの昇降動作は、動作制御部80により制御されている。
【0038】
また、本実施形態における昇降受部70Bの上面には、搬送方向に所要間隔で配設されたガイドブロック76の配設間隔の中間位置に、ガイドブロック76と同じ高さのT字型ブロックに形成された支持部78が配設されている。扁平チューブ用フィンHFの底面は、ガイドブロック76および支持部78の上面に支持された状態で積層される。このようにガイドブロック76の配設間隔の中間位置に支持部78が配設されることにより、スタック装置70に積層される扁平チューブ用フィンHFの撓みを防止することができる。よって、扁平チューブ用フィンHFは、平坦性が維持された状態でスタック装置70に積層される。なお、昇降受部70Bへの支持部78の配設は省略することもできる。
【0039】
スタック装置70への扁平チューブ用フィンHFの積層数は動作制御部80によりカウントされている。動作制御部80によるカウント値が予め設定した積層数の数値に到達すると、動作制御部80は、扁平チューブ用フィン製造装置100の動作を一時停止し、スタック装置70の入れ替えが行われる。ブランク(扁平チューブ用フィンHFが未積層状態)のスタック装置70が搬送装置60の下方位置にセットされると、動作制御部80はカウント値を0にリセットする処理を実行する。
【0040】
以上に本発明にかかるスタック装置70を具備した扁平チューブ用フィン製造装置100について実施形態に基づいて説明をしたが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態におけるスタック装置70は、扁平チューブ用フィンHFの長さ方向におけるプレス装置20の側の一箇所のみに厚板スタックブレード71Aが立設された形態を示しているが、この形態に限定されるものではない。スタック装置70のプレス装置20の側の複数箇所に厚板スタックブレード71Aが立設された形態を採用することもできる。
【0041】
また、本実施形態におけるスタック装置70は、昇降受部70Bを有しているが、昇降受部70Bの配設は省略することもできる。昇降受部70Bの配設を省略した際には、ガイドシャフト70C、ガイドブロック76および支持部78の配設も省略することができる。昇降受部70Bの配設が省略された場合、扁平チューブ用フィンHFはベース70Aに直接積層されるので、昇降駆動部70Dはベース70Aを昇降させることになる。また、スタックブレード固定用ブロック74は、ベース70Aの底面側に取り付けられ、スタックブレード71はベース70Aを貫通した状態で配設される。
【0042】
また、本実施形態においては、スタックブレード71を補剛ブロック73で補剛しているが、スタックブレード71が低い場合には補剛ブロック73の配設を省略することもできる。
【0043】
また、以上に説明した実施形態における各種変形例どうしを適宜組み合わせた構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
10:材料供給部
11:薄板,12:アンコイラ,14:ループコントローラ,16:NCフィーダ
20:プレス装置
22:金型装置,22A:上型,22B:下型
30:送り装置
32:往復動ユニット,34:送りピン
40:列間スリット装置
42:上刃,44:下刃
50:カットオフ装置
52:固定刃,54:可動刃,56:可動刃駆動機構
60:保持装置
62:保持体,64:保持体接離動機構
70:スタック装置
70A:ベース,70B:昇降受部,70C:ガイドシャフト,70D:昇降駆動部,
71:スタックブレード,71A:厚板スタックブレード,72:ガイドピン,
73:補剛ブロック,74:スタックブレード固定用ブロック,貫通孔75,
76:ガイドブロック,77:凹部,78:支持部
80:動作制御部
90:金属帯状体
91:切欠部,92:ルーバ,93:板状部,94:開口部,95:連結部,
99:製品幅金属帯状体
100:扁平チューブ用フィン製造装置
HF:扁平チューブ用フィン