IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社バスクリンの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046813
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】炭酸発泡性固体入浴剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20240329BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240329BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240329BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240329BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240329BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240329BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/73
A61K8/36
A61K8/92
A61Q13/00 100
A61K8/02
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152113
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】308040638
【氏名又は名称】株式会社バスクリン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植木 伽奈
(72)【発明者】
【氏名】内藤 敬介
(72)【発明者】
【氏名】上野 康博
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB332
4C083AB352
4C083AB372
4C083AC231
4C083AC291
4C083AC292
4C083AC302
4C083AC582
4C083AD042
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB11
4C083BB41
4C083BB42
4C083CC25
4C083DD15
4C083DD21
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE41
4C083KK01
(57)【要約】
【課題】高い香り立ちを得るために香料を十分量、配合しつつ、圧縮成形性が良好で且つ高い硬度を有して割れ欠けを生じ難い炭酸発泡性錠剤型入浴剤を提供する。
【解決手段】下記成分(A)~(D):
(A)炭酸塩:(A1)アルカリ金属重炭酸塩及び/又は(A2)アルカリ金属炭酸塩、
(B)有機酸、
(C)油性成分:香料(C1)を含む油性成分、及び
(D)セルロース
を含有し、エーテル化度が0.01~0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩を含有しない炭酸発泡性錠剤型入浴剤であって、前記入浴剤中の成分(C1)の含有量が1.5~3.5質量%であり、前記入浴剤中の成分(D)の含有量が0.5~4質量%である炭酸発泡性錠剤型入浴剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(D):
(A)炭酸塩:(A1)アルカリ金属重炭酸塩及び/又は(A2)アルカリ金属炭酸塩、
(B)有機酸、
(C)油性成分:香料(C1)を含む油性成分、及び
(D)セルロース
を含有し、エーテル化度が0.01~0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩を含有しない炭酸発泡性錠剤型入浴剤であって、前記入浴剤中の成分(C1)の含有量が1.5~3.5質量%であり、前記入浴剤中の成分(D)の含有量が0.5~4質量%である炭酸発泡性錠剤型入浴剤。
【請求項2】
成分(D)のセルロースが水溶性高分子で表面処理されていない請求項1記載の炭酸発泡性錠剤型入浴剤。
【請求項3】
成分(B)に占めるフマル酸とコハク酸の合計量の割合が80質量%以上である請求項1又は2記載の炭酸発泡性錠剤型入浴剤。
【請求項4】
錠剤の直径が10~40mm、厚みが5~30mmである請求項1又は2記載の炭酸発泡性錠剤型入浴剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸発泡性固体入浴剤に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸発泡性固体入浴剤においては、処方が成形性に大きな影響を与える。特に錠剤の場合には、圧縮成形時にキャッピングやスティッキングなどの打錠障害を生じないこと、成形品が十分な硬度を有し、割れ欠けを生じないことに配慮した処方の開発が望まれる。
【0003】
前記炭酸発泡性固体入浴剤が浴湯における使用時に高い香り立ちを得るためには香料を十分量、配合する必要があるが、賦香率が一定以上になると、圧縮成形時における原料粉体同士の結合力を低下させることから、成形品の硬度低下を生じるという課題があった。
【0004】
特許文献1では、水への溶解度が所定量以下の有機酸を用い、これと炭酸ジアルカリ金属塩を含む炭酸塩の配合比率を所定の範囲とすることで、発泡性及び浴水への溶解性が良好で、圧縮成形時に打錠杵への付着(スティッキング)が発生し難く成形性にも優れる発泡性固体入浴剤を実現している。
【0005】
特許文献2では、炭酸塩と、フマル酸及び酒石酸を含む有機酸とを含有する固体浴用剤において、フマル酸に対する酒石酸の質量比、並びに有機酸中及び前記浴用剤中のフマル酸と酒石酸の合計量を所定の範囲とすることで、圧縮成形時にキャッピングやスティッキングが発生し難く成形性が良好で、使用時には温まり速さ及び発泡性に優れる固体入浴剤を実現している。
【0006】
特許文献3では、高含有量の水溶性高分子とともに、脂肪酸グリセリドと、かかる脂肪酸グリセリド以外の脂肪酸エステルとを特定の質量比で含む油性成分を含有する造粒物と、炭酸塩及び有機酸とを併用することで、良好な保湿効果を保持しつつ、キャッピングならびにスティッキングの抑制効果を兼ね備えた高い打錠性を有する発泡性の錠剤型浴用組成物を実現している。
【0007】
特許文献4では、高含有量の水溶性高分子とともに、高含有量の脂肪酸グリセリドを含む油性成分を含有する造粒物と、炭酸塩及び有機酸とを併用することで、良好な保湿効果を保持しつつ、優れた打錠性を有する発泡性の錠剤型浴用組成物を実現している。
【0008】
特許文献5では、グリシンを一定量配合して圧縮成形することでスティッキングやバインディングなどの成形障害を防止し且つ安定して圧縮成形型浴用剤が得られ、得られた成形物の硬度が高いことから製造及び流通時に壊れることがなく、かつ溶け残りが生じない圧縮成形型浴用剤組成物を実現している。
【0009】
特許文献6では、特定のエチレンオキサイド鎖を有する非イオン性界面活性剤と無機塩類とを特定量含有させることで、ツルツル且つまとわりつくような新感触を呈し、打錠障害やブロッキングなどが生じ難く保形性の良好な固体状浴用剤を実現している。
【0010】
特許文献1~6によれば、従来の技術における錠剤状の炭酸発泡性固体入浴剤における賦香率は1%以下にとどまっていた。
【0011】
特許文献7には、非水液状浴用成分、エーテル化度が0.01~0.5のカルボキシメチルセルロース若しくはその塩、及び/又は水溶性高分子で表面処理されたセルロース、並びに炭酸ガス発生物を含有する固形浴用剤が記載されており、その実施例9には、香料4質量%及び粉末セルロース1.20質量%を含有する錠剤状の入浴剤が記載されているが、特許文献7の固形浴用剤はエーテル化度が0.01~0.5のカルボキシメチルセルロース若しくはその塩、及び/又は水溶性高分子で表面処理されたセルロースを必須成分として含有するものであり、前記実施例9の入浴剤はエーテル化度が0.2のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2022-24798号公報
【特許文献2】特開2020-132574号公報
【特許文献3】特開2018-52827号公報
【特許文献4】特開2017-165700号公報
【特許文献5】特開2011-190189号公報
【特許文献6】特開2011-184361号公報
【特許文献7】特開2013-139396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、高い香り立ちを得るために香料を十分量、配合しつつ、圧縮成形性が良好で且つ高い硬度を有して割れ欠けを生じ難い炭酸発泡性錠剤型入浴剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、炭酸塩と有機酸と1.5質量%以上の香料とを含有する浴用剤の圧縮成形性及び成形品の硬度を改善すべく種々検討した結果、まったく驚くべきことに水不溶性高分子であるセルロースを一定量配合することで目的の品質が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)下記成分(A)~(D):
(A)炭酸塩:(A1)アルカリ金属重炭酸塩及び/又は(A2)アルカリ金属炭酸塩、
(B)有機酸、
(C)油性成分:香料(C1)を含む油性成分、及び
(D)セルロース
を含有し、エーテル化度が0.01~0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩を含有しない炭酸発泡性錠剤型入浴剤であって、前記入浴剤中の成分(C1)の含有量が1.5~3.5質量%であり、前記入浴剤中の成分(D)の含有量が0.5~4質量%である炭酸発泡性錠剤型入浴剤。
(2)成分(D)のセルロースが水溶性高分子で表面処理されていない前記(1)に記載の炭酸発泡性錠剤型入浴剤。
(3)成分(B)に占めるフマル酸とコハク酸の合計量の割合が80質量%以上である前記(1)又は(2)に記載の炭酸発泡性錠剤型入浴剤。
(4)錠剤の直径が10~40mm、厚みが5~30mmである前記(1)~(3)のいずれかに記載の炭酸発泡性錠剤型入浴剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特定の成形性改善剤、特にセルロースを添加することで香料の配合量を一定以上に高めた場合でも、圧縮成形時に成形品の十分な硬度が得られることから、成形性に優れて発泡性が良好で香り立ちが高い炭酸発泡性錠剤型入浴剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<成分(A)炭酸塩>
成分(A)は、入浴剤の発泡性、浴湯への溶解性、打錠障害の抑制と錠剤硬度及び保管時における安定性向上の観点から、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩(成分(A1))と炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩(成分(A2))を単独で又は組み合わせて用い、組み合わせて用いることが好ましい。アルカリ金属重炭酸塩としては炭酸水素ナトリウムが、アルカリ金属炭酸塩としては炭酸ナトリウムが特に好ましい。炭酸ナトリウムは見かけ比重1.0未満の軽灰と1.0以上の重灰/粒灰を単独で又は組み合わせて用いることができるが、成形性の観点から重灰/粒灰を用いることが好ましい。
【0018】
本発明の入浴剤中の成分(A1)の含有量は、好ましくは8~30質量%、更に好ましくは10~25質量%、特に好ましくは12~20質量%である。十分な錠剤硬度を得るためには8質量%以上であることが好ましく、保管時における安定性向上のためには30質量%以下であることが好ましい。
【0019】
本発明の入浴剤中の成分(A2)の含有量は、好ましくは35~55質量%、更に好ましくは38~52質量%、特に好ましくは42~50質量%である。十分な錠剤硬度と保管時における安定性向上のためには35質量%以上であることが好ましく、打錠障害(スティッキング)の抑制のためには55質量%以下であることが好ましい。
【0020】
A1とA2の比率(A1/A2)は、好ましくは0.15~0.85、更に好ましくは0.20~0.70、特に好ましくは0.25~0.50である。十分な錠剤硬度と、良好な溶解時間及び溶解性を得るためには0.15以上であることが好ましく、十分な溶解時間と、十分な香り立ちの持続性を得るためには0.85以下であることが好ましい。
【0021】
<成分(B)有機酸>
成分(B)は、入浴剤の発泡性、浴湯への溶解性、打錠障害の抑制と錠剤硬度及び保管時における安定性向上の観点からカルボン酸化合物が好ましく、良好な発泡性を得る観点から多価カルボン酸が特に好ましい。多価カルボン酸は特に限定されないが、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸を単独で又は組み合わせて用いることができる。入浴剤の十分な発泡性、打錠障害の抑制と錠剤硬度及び保管時における安定性向上の観点からフマル酸とコハク酸を組み合わせて用いることが好ましい。成分(B)に占めるフマル酸とコハク酸の合計量の割合は、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
【0022】
本発明の成分(B)としてフマル酸を用いる場合、含有量は、好ましくは1~40質量%、更に好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは8~20質量%である。十分な発泡性を得るためには1質量%以上であることが好ましく、溶け残りと打錠障害(キャッピング)の発生を防ぐためには40質量%以下であることが好ましい。
【0023】
本発明の成分(B)としてコハク酸を用いる場合、含有量は、好ましくは1~40質量%、更に好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは8~20質量%である。十分な発泡性を得るためには1質量%以上であることが好ましく、入浴時のむせと打錠障害(キャッピング)の発生を防ぐためには40質量%以下であることが好ましい。
【0024】
成分(B)の含有量は、好ましくは15~35質量%、更に好ましくは18~32質量%、特に好ましくは20~30質量%である。発泡性と溶解性の観点から15質量%以上が好ましく、成形性と保管時における安定性の観点から35質量%以下が好ましい。
【0025】
<成分(C)油性成分>
成分(C)のうち、香料(C1)は十分な香り立ち(香りの強さ)による満足を得るとともに、打錠障害の発生を防ぎ、十分な錠剤硬度を得る観点から1.5~3.5質量%であることが必要であり、好ましくは1.8~3質量%であり、更に好ましくは2.0~2.8質量%である。十分な香り立ち(香りの強さ)による満足を得るために1.5質量%以上であることが好ましく、打錠障害の発生を防ぎ、十分な錠剤硬度を得るために3.5質量%以下であることが好ましい。
【0026】
<成分(D)セルロース>
成分(D)は、十分な錠剤硬度を得る観点から、水不溶性高分子の中でも特にセルロースを用い、特許文献7の固形浴用剤に配合されているようなエーテル化度が0.01~0.5のカルボキシメチルセルロースは用いない。
【0027】
特許文献7の段落0019には、「本発明で用いる水溶性高分子で表面処理されたセルロース(b-2)は、セルロースの表面を水溶性高分子でコーティングする等の処理が施され、水との親和性が高められたセルロースである。」と記載されているが、本発明においては、セルロースを、前記のように表面処理することなく、そのまま用いる。
【0028】
本発明の入浴剤中の成分(D)の含有量は十分な錠剤硬度を得るとともに、溶け残りを抑制する観点から0.5~4質量%であることが必要であり、好ましくは0.5~3質量%、更に好ましくは0.5~2質量%である。成分(D)の含有量が0.5質量%未満であると、十分な錠剤硬度が得られず、4質量%を超えると、入浴時にセルロースの溶け残りが目立って感じられるようになる。前記セルロースとしては特に限定されないが、粉末セルロース、結晶セルロースを単独で又は組み合わせて用いることが特に好ましい。
【0029】
<入浴剤の剤形>
本発明の入浴剤の剤形は、十分な香り立ちの持続性を得るために溶解時間を適度な長さに調整する観点から錠剤であることが必要である。
【0030】
錠剤の形状及び厚みは特に限定されないが、良好な成形性と適度な溶解時間を得る観点から、通常、錠剤の直径は10~40mm、厚みは5~30mm、好ましくは、錠剤の直径は12~35mm、厚みは5~25mm、更に好ましくは、錠剤の直径は14~30mm、厚みは5~20mmである。特に好ましくは、錠剤の直径は22~27mm、厚みは8~12mmである。
【0031】
<その他の成分>
本発明の入浴剤は、錠剤状に成形するための成分として、無機塩の粉末を含有してもよい。前記無機塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸鉄リン酸ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸アルミニウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫化カリウム、ミョウバン、メタケイ酸が挙げられるが、成形性の点から硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムが好ましい。前記無機塩は単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
本発明の入浴剤は、錠剤の成形性を改善するための成分として、水溶性高分子を含有してもよい。前記水溶性高分子としては、例えばゼラチン、アラビアガム、グアーガム、トラガントガム、澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ローカストビーンガム、カラヤガム、クインスシード、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、好ましくはポリエチレングリコール、澱粉が挙げられ、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。前記水溶性高分子としては、製剤の安定性の点から、ポリエチレングリコールが更に好ましい。
【0033】
本発明の入浴剤100質量部中の前記水溶性高分子の配合量は、好ましくは0.1~5質量部、更に好ましくは0.3~3質量部である。
【0034】
本発明の入浴剤には、前記成分のほか、必要に応じて、通常固体入浴剤に配合される各種成分、例えば、色素、無機顔料(例えば、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム)、油性成分、崩壊剤、保湿成分(例えば、グルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸類)、界面活性剤、多価アルコール、消炎剤、ビタミン類、殺菌剤、防腐剤、金属封鎖剤、抗酸化剤、塩素除去剤、生薬エキス等を、本発明の効果を害しない範囲で配合することができるが、これらの成分の合計配合量は、固体入浴剤100質量部中、好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下、特に好ましくは5質量部以下である。
【0035】
<入浴剤の溶解時間>
本発明の入浴剤の溶解時間は、発泡による十分な香り立ちと良好な溶解性の観点から、3~8分であることが好ましく、更に好ましくは3~7分であり、特に更に好ましくは4~6分である。発泡による十分な香り立ちの観点から、3分以上であることが好ましく、良好な溶解性の観点から、8分以下であることが好ましい。
【0036】
<平均粒子径の測定方法>
本明細書において、各成分の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定され、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-960(HORIBA製)により測定される。
【0037】
炭酸水素ナトリウムの平均粒子径は、溶解性、成形性及び保存安定性の観点から、100~500μmが好ましく、200~400μmがより好ましい。
【0038】
フマル酸の平均粒子径は、溶解性、成形性及び保存安定性の観点から、70~450μmが好ましく、100~350μmがより好ましい。
【0039】
コハク酸の平均粒子径は、溶解性、成形性及び保存安定性の観点から、50~500μmが好ましく、100~400μmがより好ましい。
【実施例0040】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。以下において、配合量は、特に断らない限り、質量部を示す。
【0041】
(実施例1~14及び比較例1~3)
実施例及び比較例の評価は、以下の基準で実施した。
【0042】
1.圧縮成形時における打錠障害の有無及び錠剤硬度
錠剤の圧縮成形時に生じる打錠障害の種類として、結合力の不足等で生じるキャッピング(錠剤上面又は下面の剥離)や結合力過剰等で生じるスティッキング(打錠機の金型に錠剤の一部が付着した剥離)が挙げられる。
【0043】
表1及び表2に示す各成分を混合した粉末を用いて、打錠機にて、質量8g、錠高8~10mm、Φ25mmのサイズにて、打錠圧100kN、打錠速度200錠/分で500錠を連続的に打錠した後、下記の評価を行った。また、実施例及び比較例で用いた各成分の詳細を表3に示す。
【0044】
(1)スティッキング
スティッキングの有無を目視観察し、下記基準に従って2段階で評価した。
〇(合格):打錠機の金型にほとんど又は全く付着がなく、得られた錠剤表面は滑らかで問題なかった。
×(不合格):打錠機の金型に付着があり、得られた錠剤表面に多くの付着を認め、問題があった。
【0045】
(2)キャッピング
キャッピングの有無について、下記基準に従って2段階で評価した。
〇(合格):得られた錠剤の上下両面に剥離を生じなかった。
×(不合格):得られた錠剤の上面及び/又は下面に剥離を認めた。
【0046】
(3)錠剤硬度
圧縮成形により得られた錠剤について、圧縮成形後30秒以内に硬度の測定を行った。硬度測定は各例につき5個の錠剤についてそれぞれ実施し、得られた硬度の平均値について、割れや欠けを生じにくくする程度の十分な硬度があるか否か、下記基準に従って2段階で評価した。
〇(合格):平均硬度が100N以上で、割れや欠けを生じにくい。
×(不合格):平均硬度100N未満で、割れや欠けを生じやすい。
【0047】
2.浴湯使用時における使用感評価
(1)香りの強さの満足度
各例の炭酸発泡性錠剤型入浴剤5錠を40℃、200Lの浴湯に投入して完全に溶解した後、モニター10人が10分間入浴し、香りの強さの満足度について以下の基準で官能評価し、後述するモニターの評点の平均点により決定した。
3点:非常に香りが強く満足できる
2点:香りは強くはないが十分であり満足できる
1点:香りは感じられるが満足度についてはどちらともいえない
0点:香りが弱く満足できない
【0048】
(2)溶け残りの有無
各例の炭酸発泡性錠剤型入浴剤5錠を40℃、200Lの浴湯に投入して完全に溶解した後、モニター10人が10分間入浴し、溶け残りの有無について以下の基準で目視評価し、後述するモニターの評点の平均点により決定した。
3点:溶け残りは全く認められない
2点:溶け残りが若干認められる
1点:溶け残りが認められる
0点:溶け残りが非常に多く認められる
【0049】
(1)香りの強さの満足度及び(2)溶け残りの有無は、モニターの評点の平均点から、以下の基準で評価した。
◎(合格):平均点2.5点以上
〇(合格):平均点2点以上2.5点未満
△(合格):平均点1.5点以上2点未満
×(不合格):平均点1.5点未満
【0050】
3.溶解性の評価
各例の炭酸発泡性錠剤型入浴剤5錠を40℃、200Lの浴湯に投入した後、完全溶解するまでの時間を測定した。
〇(合格):溶解時間が3分以上8分以下
×(不合格):溶解時間が3分未満又は8分超
結果を表1及び表2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】