(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046830
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】硫化リチウムの製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
C01B 17/22 20060101AFI20240329BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20240329BHJP
H01M 10/0562 20100101ALN20240329BHJP
H01B 1/10 20060101ALN20240329BHJP
【FI】
C01B17/22
H01B13/00 Z
H01M10/0562
H01B1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152145
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】521260123
【氏名又は名称】權 龍祥
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】權 龍祥
【テーマコード(参考)】
5G301
5H029
【Fターム(参考)】
5G301CA05
5G301CA16
5G301CD01
5H029AM11
(57)【要約】
【課題】溶媒を用いずに、硫化リチウムを効率よく製造できる。
【解決手段】加熱管2に電流を流して赤熱させ、加熱管2内に挿入されている被加熱物を加熱する方式の加熱炉1を用いる。被加熱物として、原料となる水酸化リチウムが充填されている単数若しくは複数のカーボンケース3を、加熱炉1の加熱管2内に装填する容器装填工程と、容器装填工程の後、加熱炉1内を減圧し、常温~200℃に加熱し、前記原料の脱水を行い、不活性ガスを供給して不活性ガス置換を行う原料脱水工程と、前記原料脱水工程の後、加熱炉1内を減圧し、加熱炉1内に、100%濃度の硫化水素か、または70~100%未満の濃度で硫化水素を含む不活性ガスを供給して、主反応を行い、主反応後、減圧し、不活性ガスを供給して不活性ガス置換を行う主反応工程とを含む。カーボンケース3である容器は、硫化水素と反応しない材料で形成され、加熱炉1の内部と通気可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱管に電流を流して赤熱させ、この加熱管内に挿入されている被加熱物を加熱する方式の加熱炉を用いる硫化リチウムの製造方法であり、
前記被加熱物として、原料となる水酸化リチウムが充填されている単数若しくは複数の容器を、前記加熱炉の加熱管内に装填する容器装填工程と、
前記容器装填工程の後、前記加熱炉内を減圧し、常温~200℃に加熱して、前記原料の脱水を行い、その後、不活性ガスを供給して不活性ガス置換を行う原料脱水工程と、
前記原料脱水工程の後、前記加熱炉内を減圧し、200℃~400℃に加熱して前記加熱炉内に、100%濃度の硫化水素か、または70~100%未満の濃度で硫化水素を含む不活性ガスを供給して、主反応を行い、この主反応後に減圧し、不活性ガスを供給して不活性ガス置換を行う主反応工程とを含み、
前記容器は、硫化水素と反応しない材料で形成され、前記加熱炉の内部と通気可能である、
ことを特徴とする硫化リチウムの製造方法。
【請求項2】
前記容器は、ガス通気性のある通気構造と持つカーボンケース又はセラミックスケースで、前記通気構造を介して前記加熱炉の内部と通気可能であり、
前記容器に充填される水酸化リチウムは、粉体原料のままである、
請求項1記載の硫化リチウムの製造方法。
【請求項3】
前記カーボンケース又はセラミックスケースは、筒状のケース本体の両端部に開閉蓋がねじ込みにより取り付けられたものであり、
前記開閉蓋に、前記通気構造が設けられている、
請求項2記載の硫化リチウムの製造方法。
【請求項4】
前記主反応工程は、前記加熱管を、前記カーボンケース又はセラミックスケースと一緒に回転させながら行う、
請求項3記載の硫化リチウムの製造方法。
【請求項5】
加熱管に電流を流して赤熱させ、この加熱管内に挿入されている被加熱物を加熱する方式の加熱炉を用いる硫化リチウムの製造装置であり、
前記加熱炉の加熱管は、前記被加熱物として、原料となる水酸化リチウムが充填されている容器が装填されるものであり、
前記加熱炉は、真空排気部と、硫化水素及び/又は不活性ガスを供給する供給部とを備えるものであり、
前記容器は、硫化水素と反応しない材料で形成され、前記加熱炉の内部と通気可能である、
ことを特徴とする硫化リチウムの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫化リチウムの製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年におけるパソコン、ビデオカメラ、及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される二次電池の開発が重要視されている。そのような二次電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
【0003】
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付け及び短絡防止を考慮した構造、材料面での改善が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層にかえて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。更に、このような固体電解質層に用いられる固体電解質として、硫化物固体電解質が知られている。
【0004】
硫化物固体電解質の原料として、硫化リチウムが用いられる。乾式法における硫化リチウムの製造方法として、ディスクドライヤーにおいて、溶媒を用いずに、水酸化リチウムと硫化水素とを反応させることを含む、硫化リチウムの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
硫化リチウムを固体電解質の原料として用いる場合、硫化リチウムには、より電池性能に優れる固体電解質を効率的に得る観点から、高純度であること、高比表面積を有することが一般的性状として求められており、その要求性能は近年益々高くなっている。
【0006】
また、硫化リチウムに溶媒が含まれていると、これを原料として硫化物固体電解質を得ようとすると、その電池性能の低下を生じることがあるため、溶媒を含まないことも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、乾式法における硫化リチウムの製法で最も大事なポイントは原料中の水分および反応時に生成する水分の除去であり、ディスクドライヤーは常圧での運転制御となるため、基本的に100℃以上の温度制御が必要である。また、反応後の未反応の硫化水素を除去することが困難であるため、安全上のリスクが高い。
【0009】
発明者は、常圧真空連続方式の炉(例えば、黒鉛管に大電流を流し赤熱させ、この黒鉛管に挿入された被熱物を加熱する様な方式の炉)を用いれば、圧力制御が可能なため、圧力制御により低温で反応させることができ、反応率の向上、反応時間の短縮も図れることに着想した。それに加えて、原料として人体に有害な硫化水素を用いるため、反応終了後に窒素(N2)などの不活性ガスで炉内雰囲気をガス置換する必要があるが、ディスクドライヤーは圧力制御が困難なため、ガス置換に時間を要するが、前述したような常圧真空連続炉は圧力制御が可能なため、ガス置換などの操作も非常に早く処理可能である。
【0010】
また、乾式での反応は、水分の生成量で反応管理を実施しなければならないが、常圧真空連続炉の場合、圧力管理ができるため、反応中の圧力変化により、反応の進行を確認することも可能である。
【0011】
そこで、発明者は、全固体電池向けの原料としての硫化リチウムを、常圧真空連続炉などの加熱炉を用いて、乾式で製造する技術を開発した。
【0012】
本発明は、溶媒を用いずに、乾式で、硫化リチウムを製造できる硫化リチウムの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、加熱管に電流を流して赤熱させ、この加熱管内に挿入されている被加熱物を加熱する方式の加熱炉を用いる硫化リチウムの製造方法であり、前記被加熱物として、原料となる水酸化リチウムが充填されている単数若しくは複数の容器を、前記加熱炉の加熱管内に装填する容器装填工程と、前記容器装填工程の後、前記加熱炉内を減圧し、常温~200℃に加熱して、前記原料の脱水を行い、その後、不活性ガスを供給して不活性ガス置換を行う原料脱水工程と、前記原料脱水工程の後、前記加熱炉内を減圧し、200℃~400℃に加熱して前記加熱炉内に、100%濃度の硫化水素か、または70~100%未満の濃度で硫化水素を含む不活性ガスを供給して、主反応を行い、この主反応後に減圧し、不活性ガスを供給して不活性ガス置換を行う主反応工程とを含み、前記容器は、硫化水素と反応しない材料で形成され、前記加熱炉の内部と通気可能である、ことを特徴とする。ここで、「不活性ガス」には、窒素、アルゴンなどが含まれる。「不活性ガスを供給して不活性ガス置換を行う」とは、不活性ガスを供給することで、加熱炉内の雰囲気を不活性ガスの雰囲気に変えることを意味する。
【0014】
このようにすれば、硫化水素と反応しない材料で形成され、前記加熱炉の内部と通気可能である容器内で水酸化リチウムと硫化水素とが反応して、製造されるので、高純度の硫化リチウムを効率よく製造することができる。また、圧力制御により反応温度を下げることができ、主反応後に容器中に存在する硫化ガスなどの危険性のあるガスを完全かつ早急に除外することも可能になる。
【0015】
この場合、前記容器は、ガス通気性のある通気構造と持つカーボンケース又はセラミックスケースで、前記通気構造を介して前記加熱炉の内部と通気可能であり、前記容器に充填される水酸化リチウムは、粉体原料のまま、とすれば、接粉部には金属などの不純物となりうる素材が排除されているため、非常に高純度な硫化リチウムを合成可能である。また、ディスクドライヤーを用いた手法(特開2017ー116114号公報参照)では、接粉部に摺動部を有するため、設備摩耗によるコンタミのリスクが考えられるが、本発明では、接粉部に摺動部を有さないため、上記リスクの低減が図れる。
【0016】
前記カーボンケース又はセラミックスケースは、筒状のケース本体の両端部に開閉蓋がねじ込みにより取り付けられたものであり、前記開閉蓋に、前記通気構造が設けられている、ようにすれば、カーボンケース又はセラミックスケース内に前記通気構造を通じて硫化水素を供給することができる。かつ、減圧操作時に原料である水酸化リチウムなどの粉体が排気側へ飛散することを防止できる。
【0017】
この場合、前記主反応工程は、前記加熱管を、前記カーボンケース又はセラミックスケースと一緒に回転させながら行う、ようにすれば、水酸化リチウムについて加熱と硫化水素の接触を促進させ、効率よく反応させることができる。
【0018】
本発明にかかる硫化リチウムの製造装置は、加熱管に電流を流して赤熱させ、この加熱管内に挿入されている被加熱物を加熱する方式の加熱炉を用いるものであり、前記加熱炉の加熱管は、前記被加熱物として、原料となる水酸化リチウムが充填されている容器が装填されるものであり、前記加熱炉は、真空排気部と、硫化水素及び/又は不活性ガスを供給する供給部とを備えるものであり、前記容器は、硫化水素と反応しない材料で形成され、前記加熱炉の内部と通気可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、硫化水素と反応しない材料で形成され、加熱炉の内部と通気可能である容器内で水酸化リチウムと硫化水素とが反応して、製造されるようにしているので、高純度の硫化リチウムを効率よく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る硫化リチウムの製造方法において用いる加熱炉の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に沿って説明する。
【0022】
図1は本発明に係る硫化リチウムの製造方法において用いる加熱炉の説明図である。本発明に係る硫化リチウムの製造方法は、加熱炉として、加熱管に大電流を流し赤熱させ、この加熱管内に挿入された被加熱物を加熱する方式の加熱炉(例えば、常圧真空連続炉)を用いるものである。
【0023】
図1に示すように、加熱炉1は、長さ1~1.5m程度の円筒状の加熱管2を備え、この加熱管2内に、予め粉体状の水酸化リチウム(原料:LiOH)がそのまま充填された複数のカーボンケース3が挿入により装填される。加熱管2は、外周付近に、内部加熱のためのカーボンヒーター2aが埋め込まれている。なお、カーボンケースは、複数に限らず、単数でもよい。
【0024】
複数のカーボンケース3は、硫化水素(H2S)に反応しない材料で形成される容器で、ダミーケース4(カーボンケースと同一のものであるが、内部に水酸化リチウムが充填されないもの)によって挟まれた状態で装填される。加熱炉1には、入口扉1aと出口扉1bとが開閉可能に設けられ、両扉1a,1bを閉じることで内部は密封状態にされる。なお、具体的に図示していないが、反応促進のため、加熱炉1は回転可能に支持され、加熱炉1を回転させることができるようになっているが、このような回転させるための回転機構Rは、運転条件などによっては省略することができる。
【0025】
カーボンケース3は、筒状のケース本体と、ケース本体の両端に開閉可能にねじ込まれる開閉蓋とを備え、各開閉蓋は、中央部が、ガス通気性のある通気構造(例えば、フィルター部)となっており、カーボンケース3の内部は、加熱炉1の内部と通気可能である。よって、加熱炉1内に供給されるガス類は通気構造を通じて通気可能であるが、粉体類である水酸化リチウムは外部に漏れないようになっている。それにより、外部から、ガスがカーボンケース3内に開閉蓋の通気構造を通じて入り込み、減圧(真空排気)時には、通気構造を通じてカーボンケース3内のガスが排出され、内部圧力が低下する。
【0026】
また、前記開閉蓋には、凹凸構造による係合部が形成され、係合部を嵌合により係合させることで開閉蓋どうしが相互に連結され、複数のカーボンケース3に亘って通気が可能となる。また、加熱炉1内すべてのカーボンケース3を加熱炉1と一緒に回転することもできる。
【0027】
取り出し側(出口扉1b側)は、不活性ガス(例えば、N2)もしくは水分を排除した雰囲気の、グローブボックス様の出口チャンバー4とされている。製造された硫化リチウムが水分と反応して劣化したりH2Sを発生させたりするのを回避するためである。そのような出口チャンバー4内で、グローブボック用のグローブ4aを利用して、硫化リチウム(Li2S)を回収してパッキングできるようになっている。
【0028】
高濃度の硫化水素を少量で効率よく反応させるため、加熱管2の径は小さく形成され、外周の断熱材は薄く形成されている。また、ガスが満たされる空間も小さくされている。
【0029】
加熱炉1には、
図1及び
図2に示すように、排水ドレン部2Aと、真空排気口部2Bと、N
2給気口部2Cと、(H
2S+N
2)給気口部2Dとが設けられ、加熱炉1の内壁とカーボンケース3との間の空間と、カーボンケース3の内部とがフィルター部3Baにて通気可能とされているので、カーボンケース3内部について、真空排気による減圧、N
2給気、(H
2S+N
2)給気をコントロールすることができる。よって、主反応中の圧力を管理可能となり、管理することで、反応率を制御できる。
【0030】
(反応詳細)
・LiOH
かさ密度 0.55g/cm3
真密度 1.51g/cm3
・Li2S
かさ密度 不明
真密度 2.06g/cm3
・反応式
LiOH + H2S → LiHS + H2O (1)
LiHS → 1/2Li2S + 1/2H2S (2)
・調合内容
LiOH 200g(8.35mol)、H2S7.9mol(H2Sガス量25℃、1atmで242.5mlがガス濃度80%でガス量25℃、1atmで194.0ml)を反応させれば、生成水量142.8g(体積換算で143ml)、LiHS生成量317g、Li2S182.2651g、H2S発生量4.175365mol(H2Sガス量25℃、1atmで102.1ml)、反応率99%となる。
【0031】
続いて、硫化リチウムの製造工程について、
図3(a)(b)(c)に沿って説明する。
【0032】
(容器装填工程)
図3(a)に示すように、加熱炉1の入口扉1aを開き、加熱管2内に被加熱物としての複数のカーボンケース3(容器)をダミーケース4で挟んで一緒に装填し、入口扉1aを閉じる。各カーボンケース3には、予め粉体原料のまま水酸化リチウムが充填されている。原料となる水酸化リチウムをそのまま加熱管2内に充填(装填)するのではなく、カーボンケース3を利用して装填しているので、カーボンケース3の洗浄などの管理をしっかりとすることで、最終製品として製造される硫化リチウムの純度を高めることができる。
【0033】
(原料脱水工程)
前記容器装填工程の後、
図3(b)に示すように、真空排気口部2Bを通じての真空排気により減圧して常温~200℃の温度で加熱して昇温し、N
2給気口部2Cを通じてN
2を供給し、水酸化リチウムの結晶水である水分(水蒸気)を、真空排気口部2Bを通じて追い出し、除去する(N
2置換)。水分が液体となっている場合には、排水ドレン部2Aを通じて除去される。
【0034】
(主反応工程)
続いて、
図3(c)に示すように、減圧して、70~100%濃度でH
2Sを含むN
2を、(H
2S+N
2)給気口部2Dを通じての供給し、反応させ(反応式(1)(2)参照)、硫化リチウム(Li
2S)を生成する。なお、硫化水素の濃度が100%未満の場合には不活性ガス(例えばN
2ガス)を混合して供給することになる。
【0035】
それから、真空引きにより減圧して、N2ガスを供給してN2ガス雰囲気として、未反応のH2Sガスを、真空排気口部2Bを通じて追い出し、回収する(N2置換)。そして、冷却により終了する。なお、必要に応じて、これらの主反応を繰り返し行わせることも可能である。また、場合によって、反応促進のために、回転機構Rにより回転しながら行うことができる。
【0036】
前記各工程における圧力と炉内温度との変化の一例を、表1に示す。
【0037】
【0038】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。たとえば、
(i) 容器は、硫化水素と反応しない材料で形成されていればよく、カーボンケースのほか、セラミックスケースを用いることも可能である。
【0039】
(ii)加熱炉内壁に形成される冷却水路に、冷却水に代えて温水を供給するようにして、加熱炉内で水分が凝集したり残留したりすることを抑制することができる。よって、前述した反応式(1)で示す反応が促進され、高い反応率を維持することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 加熱炉
2 加熱管
2A 排水ドレン部
2B 真空排気口部
2C N2給気口部
2D (H2S+N2)給気部
3 カーボンケース
3A ケース本体
3B 開閉蓋
3Ba フィルター部
4 出口チャンバー
R 回転機構