(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046837
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/24 20110101AFI20240329BHJP
F24F 1/48 20110101ALI20240329BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
F24F1/24
F24F1/48
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152160
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
【テーマコード(参考)】
3L054
5E322
【Fターム(参考)】
3L054BA03
3L054BB01
3L054BB03
5E322AA01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322BC01
5E322EA11
5E322FA03
(57)【要約】
【課題】制御ユニットの冷却を効率的に行うことができる冷却構造を備える空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置は、室外機筐体と、送風室と、制御ユニットと、第2のファンと、外気取入口と、を備える。送風室は、室外機筐体の内部に設けられた室外熱交換器に対して室外機筐体の後方から前方に向かう第1の方向に外気を流すための第1のファンを備える。制御ユニットは、室外機筐体において送風室の外側の領域に設けられて室外機の制御を行う。第2のファンは、制御ユニットに対して第1の方向と異なる第2の方向に外気を流す、第1のファンより小型のファンである。外気取入口は、室外機筐体の外壁の一部で第2のファンと対向しない位置に設けられて前記第2のファンと連通する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機筐体と、
前記室外機筐体の内部に設けられた室外熱交換器に対して前記室外機筐体の後方から前方に向かう第1の方向に外気を流すための第1のファンを備える送風室と、
前記室外機筐体において前記送風室の外側の領域に設けられて室外機の制御を行う制御ユニットと、
前記制御ユニットに対して前記第1の方向と異なる第2の方向に外気を流す、前記第1のファンより小型の第2のファンと、
前記室外機筐体の外壁の一部で前記第2のファンと対向しない位置に設けられて前記第2のファンと連通する外気取入口と、
を備える、空気調和装置。
【請求項2】
前記外気取入口は、前記室外機筐体において前記第2のファンと対向する位置に配置された前記制御ユニットより底面側の下方領域に形成される、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記外気取入口と前記第2のファンとが連通する連通領域の一部に、前記外気取入口から流れ込む外気が当たる風当て部が設けられている、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記制御ユニット側に対して外気を流す前記第2のファンの前記制御ユニット側と対向する第1の面側と、当該第1の面側と逆側の第2の面側の少なくとも一方に、内部に冷媒が循環する冷媒配管が配置されるとともに前記制御ユニットに向かって流れる外気が通過可能な貫通路が形成された蓄熱材を備える、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記蓄熱材は、前記制御ユニットの少なくとも一部に接触する、請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記制御ユニットを接触支持する第1放熱面と、前記第2のファンが流す外気が接触する前記第1放熱面とは異なる第2放熱面とを有する放熱部材を備える、請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンディショナのような空気調和装置は、冷凍サイクルにおける冷媒の凝縮及び蒸発により、室内の温度を調節する。室外機は、内蔵する室外送風ファンの駆動によって室外熱交換器の周囲の空気を外部に排出させるとともに、外気を吸い込んで室外熱交換器の周囲を通過させることにより熱交換を促進している。このような室外機には、圧縮機等の機器を駆動するための電子部品を実装した制御ユニットが収められている。電子部品は、駆動時に発熱しやすく、また周囲温度の上昇の影響を受けやすく、許容温度以上になった場合に機能低下や故障の原因の一つになっていた。そのため、電子部品を適切な温度範囲で動作させるための冷却構造を備える空気調和装置(室外機)が種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般家庭用の室外機は、屋外の僅かなスペースを利用して設置される場合が多い。特に、マンション等でバルコニー等に設置される場合には、周囲に遮蔽物が存在する場合が多い。そのため、例えば、冷房運転時において、室外機から排出される熱交換後の温風(熱風)が遮蔽物で拡散を阻まれ、室外機の周囲で滞留し易く、高温の空気が再び室外機の外気吸込み口から室外機内部に吸い込まれ、ショートサーキットを形成し易い場合がある。特に猛暑等で室外機の周囲温度自体が高い場合には、外気と排出された熱風の混合により、吸込み空気の温度が上昇する。このような状況で、制御ユニット(電子部品等)の冷却が十分に行われないと、室外機の運転効率の低下の原因になる場合があった。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、制御ユニット(電子部品等)の冷却を効率的に行うことができる冷却構造を備える空気調和装置、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和装置は、室外機筐体と、送風室と、制御ユニットと、第2のファンと、外気取入口と、を備える。送風室は、前記室外機筐体の内部に設けられた室外熱交換器に対して前記室外機筐体の後方から前方に向かう第1の方向に外気を流すための第1のファンを備える。制御ユニットは、前記室外機筐体において前記送風室の外側の領域に設けられて室外機の制御を行う。第2のファンは、前記制御ユニットに対して前記第1の方向と異なる第2の方向に外気を流す、前記第1のファンより小型のファンである。外気取入口は、前記室外機筐体の外壁の一部で前記第2のファンと対向しない位置に設けられて前記第2のファンと連通する。
【0007】
また、前記空気調和装置の前記外気取入口は、例えば、前記室外機筐体において前記第2のファンと対向する位置に配置された前記制御ユニットより底面側の下方領域に形成されてもよい。
【0008】
また、前記空気調和装置は、例えば、前記外気取入口と前記第2のファンとが連通する連通領域の一部に、前記外気取入口から流れ込む外気が当たる風当て部が設けられていてもよい。
【0009】
また、前記空気調和装置は、例えば、前記制御ユニット側に対して外気を流す前記第2のファンの前記制御ユニット側と対向する第1の面側と、当該第1の面側と逆側の第2の面側の少なくとも一方に、内部に冷媒が循環する冷媒配管が配置されるとともに前記制御ユニットに向かって流れる外気が通過可能な貫通路が形成された蓄熱材を備えてもよい。
【0010】
また、前記空気調和装置の前記蓄熱材は、例えば、前記制御ユニットの少なくとも一部に接触してもよい。
【0011】
また、前記空気調和装置は、例えば、前記制御ユニットを接触支持する第1放熱面と、前記第2のファンが流す外気が接触する前記第1放熱面とは異なる第2放熱面とを有する放熱部材を備えてもよい。
【0012】
以上の空気調和装置によれば、例えば、室外機の内部に設けられた制御ユニットをより効率的に冷却しやすい空気調和装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図を示す例示的かつ模式的な図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る空気調和装置の室外機の構成を示す例示的かつ模式的な正面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の空気調和装置の第2のファンの配置及びその周辺の構造を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態の空気調和装置の風当て部を示す例示的かつ模式的な拡大断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態の空気調和装置の第2のファンの配置及びその周辺の他の構造を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図において、第2のファンの他の配置を示す例示的かつ模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、いくつかの実施形態について、
図1~
図6を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0015】
図1は、実施形態に係る空気調和装置10の冷媒系統図を示す例示的かつ模式的な図である。空気調和装置10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和装置10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和装置であってもよい。
【0016】
図1に示すように、空気調和装置10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。なお、本実施形態の場合、室外機11は、マンションのバルコニー等のように周囲に遮蔽物(外壁面等)が存在し、室外機11から排出される空気(冷房運転時の熱風)が室外機11の周囲で滞留し易い位置に設置されている場合を想定する。
【0017】
空気調和装置10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0018】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22(第1のファンという場合もある)と、圧縮機23と、アキュムレータ24と、四方弁25と、第1の膨張弁31(単に膨張弁という場合もある)と、第1の開閉弁33と、第2の開閉弁32と、第2の膨張弁34(流量調整弁という場合もある)と、第1の蓄熱材61と、第2のファン62と、放熱部材63(ヒートシンクという場合もある)と、制御ユニット71、第2の蓄熱材90等を有する。また、室内機12は、室内熱交換器41と、室内送風ファン42とを有する。
【0019】
冷媒配管13は、例えば、銅またはアルミニウムのような金属で作られた管である。冷媒配管13は、第1の配管51と、第2の配管52と、バイパス配管53等を含む。
【0020】
第1の配管51は、室内熱交換器41と室外熱交換器21とを接続する。圧縮機23、アキュムレータ24、四方弁25、第1の開閉弁33は、第1の配管51に設けられる。第1の配管51は、第1の領域51a、第2の領域51b、第3の領域51c、第4の領域51dと、を有する。第1の領域51aは、四方弁25と室内熱交換器41とを接続する配管領域である。第2の領域51bは、四方弁25とアキュムレータ24とを接続する配管領域である。第3の領域51cは、四方弁25と室外熱交換器21とを接続する配管領域である。第4の領域51dは、四方弁25と圧縮機23の吐出口23bとを接続する配管領域である。
【0021】
第2の配管52は、室外熱交換器21と室内熱交換器41とを接続する。第1の膨張弁31と第2の開閉弁32と、第2の蓄熱材90は、第2の配管52に設けられる。第2の配管52は、第5の領域52aと第6の領域52bを有する。第5の領域52aは、第1の膨張弁31と室内熱交換器41とを接続する領域である。第6の領域52bは、第1の膨張弁31と室外熱交換器21とを接続する領域である。
【0022】
バイパス配管53は、第1の配管51と第2の配管52とを接続する。第2の膨張弁34と第1の蓄熱材61は、バイパス配管53に設けられる。バイパス配管53は、第7の領域53aと第8の領域53bを有する。第7の領域53aは、第2の配管52の第5の領域52aと第1の蓄熱材61を接続する領域である。第8の領域53bは、第1の蓄熱材61と第1の配管51の第2の領域51bとを接続する領域である。バイパス配管53及び第1の蓄熱材61の詳細は後述する。
【0023】
冷房運転において、冷媒は、第1の配管51を通って室内熱交換器41から室外熱交換器21へ流れ、第2の配管52を通って室外熱交換器21から室内熱交換器41へ流れる。また、暖房運転において、冷媒は、第1の配管51を通って室外熱交換器21から室内熱交換器41へ流れ、第2の配管52を通って室内熱交換器41から室外熱交換器21へ流れる。
【0024】
室外機11の室外熱交換器21は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として冷媒の吸熱を行い、または凝縮器として冷媒の放熱を行う。室外送風ファン22は、室外熱交換器21に対して送風し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室外送風ファン22は、室外熱交換器21と熱交換する気流を生成する。
【0025】
圧縮機23は、吸入口23aと吐出口23bとを有する。圧縮機23は、吸入口23aから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23bから吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。
【0026】
アキュムレータ24は、圧縮機23の吸入口23aに接続される。アキュムレータ24は、気体状の冷媒と液体状の冷媒とを分離する。これにより、圧縮機23は、アキュムレータ24を通過した気体状の冷媒を吸入口23aから吸入することができる。アキュムレータ24は、圧縮機23と一体に構成されることで、圧縮機23の吸入口となることもできる。
【0027】
四方弁25は、室外熱交換器21と、室内熱交換器41と、圧縮機23の吐出口23bと、アキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とに接続される。四方弁25は、暖房運転時と冷房運転時とで、室外熱交換器21、室内熱交換器41、圧縮機23の吐出口23b、及びアキュムレータ24のそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0028】
冷房運転時において、四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bと室外熱交換器21とを接続する。さらに、冷房運転時において、四方弁25は、室内熱交換器41とアキュムレータ24とを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室外熱交換器21へ流れ、室内熱交換器41で熱交換が行われた(蒸発した)冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0029】
また、暖房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21とアキュムレータ24とを接続する。さらに、暖房運転時において、四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bと室内熱交換器41とを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室内熱交換器41へ流れ、室外熱交換器21で熱交換が行われた(蒸発した)冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0030】
第2の配管52に設けられた第1の膨張弁31は、例えば、電磁膨張弁である。なお、第1の膨張弁31は、他の膨張弁であってもよい。第1の膨張弁31は、開度を制御されることで、通過する冷媒の量を調節する。
【0031】
第1の配管に設けられた第1の開閉弁33、第2の配管に設けられた第2の開閉弁32は、例えば、手動の開閉弁である。第1の開閉弁33及び第2の開閉弁32は、例えば、工場等で、室外機11の製造時等に室外機11の第1の配管51及び第2の配管52に冷媒が充填された状態で閉弁される。そして、空気調和装置10の設置時(室外機11及び室内機12の設置時)に、第1の開閉弁33及び第2の開閉弁32を開弁することで室外機11側に充填された冷媒を室内機12側にも充填し、設置作業を完了させる。したがって、第1の開閉弁33及び第2の開閉弁32は設置作業が完了した後、通常運転開始前に開弁状態を維持するように固定される。
【0032】
室内機12の室内熱交換器41は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として吸熱し、または凝縮器として放熱する。室内送風ファン42は、室内熱交換器41に向かって送風し、室内熱交換器41と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室内送風ファン42は、室内熱交換器41と熱交換する気流を生成する。
【0033】
制御装置14は、例えば、室外制御装置14aと、室内制御装置14bとを有する。室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、互いに電気配線により電気的に接続される。室外制御装置14a及び室内制御装置14bのうち少なくとも一方は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。例えば、制御装置14は、室外制御装置14a及び室内制御装置14bのうち一方のみを有してもよい。
【0034】
室外制御装置14aは、室外機11の室外送風ファン22、圧縮機23、四方弁25、第1の膨張弁31、第2の膨張弁34、第2のファン62等を制御する。なお、室外制御装置14aは、制御ユニット71に含まれてもよい。室内制御装置14bは、室内機12の室内送風ファン42を制御する。
【0035】
制御装置14が室外機11及び室内機12を制御することで、空気調和装置10は、冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、及び他の運転を行う。室内制御装置14bは、例えば、リモートコントローラから信号を入力されてもよいし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されてもよい。
【0036】
図2は、空気調和装置10の室外機11の構成を示す例示的かつ模式的な正面図である。上述したように、室外機11の外郭を構成する室外機筐体11Aは、例えば、金属製の直方体の箱型であり、屋外に設置される。室外機11には、当該室外機11と室内機12との間を流れる冷媒を圧縮して循環させる圧縮機23(不図示)と、室外熱交換器21(不図示)に外気を供給して熱交換を促進させるための室外送風ファン22(第1のファン)とを室外機筐体11A内に収容している。室外送風ファン22は、駆動時に室外機筐体11Aの内部に設けられた室外熱交換器21に対して室外機筐体11Aの後方から前方に向かう第1の方向(例えば、
図2の紙面裏面から表面に向かう方向:
図2中のY方向)に外気を流す。室外機筐体11Aは、背面、下面、側面等から室外送風ファン22の吸引力によって外気の吸込みが可能で、吸い込まれる外気が室外熱交換器21を通過する際に熱交換が行われる。
【0037】
室外機11は、簡易的な隔壁により幅方向(X方向)に送風室11Wと機械室11Mに分離されている。なお、送風室11Wと機械室11Mとの間は隔壁で簡易的に区分けされているものの、空気は相互に流通可能である。送風室11Wには、主として室外送風ファン22や室外熱交換器21等が収容されている。また、機械室11Mには、
図2において図示を省略した圧縮機23やアキュムレータ24等の他、第1の蓄熱材61、第2のファン62、放熱部材63、制御ユニット71等が配置されている。そして、空気調和装置10が運転中の場合、圧縮機23は、室内機12が設置された室内温度と設定温度及び室外機11が設置された戸外の外気温度等に応じて、冷媒配管13を循環する冷媒が最適な状態になるように、圧縮駆動状態の切替制御を頻繁に調整している。圧縮機23の制御状態の切り替えは、室外機11を構成する機械室11Mに配置された制御ユニット71(室外制御装置14a)によって実行される。
【0038】
上述したように圧縮機23の運転状態の制御を行う制御ユニット71には、スイッチング素子等の発熱電子部品が含まれる。そのため、制御ユニット71は、室外送風ファン22が吸い込む外気を用いた空冷による冷却構造を備える場合がある。例えば、
図2示されるように、制御ユニット71は、室外機筐体11Aにおいて送風室11Wの外側の領域、つまり機械室11Mに設けられている。詳細は
図3で示すが、制御ユニット71の近傍には、当該制御ユニット71に対して室外送風ファン22による送風方向である第1の方向と異なる第2の方向に外気を流すことが可能な室外送風ファン22より小型の第2のファン62が配置されている。第2のファン62は、室外送風ファン22(第1のファン)とは別に機能して、主として外気取入口11Aaから外気を取入れ(吸引して)制御ユニット71の冷却を行う。外気取入口11Aaは、室外機筐体11Aの外壁の一部で第2のファン62と対向しない位置に設けられ、第2のファン62と連通している。第2のファン62と外気取入口11Aaとの間には、専用の外気通風路が形成されていてもよいし、室外機11を構成する部品で囲まれた領域を通風路として利用するようにしてもよい。外気取入口11Aaは、第2のファン62の吸引力によって外気を吸込み制御ユニット71の位置まで導ければ、いずれの位置に形成されてもよいが、制御ユニット71に対して雨滴や雪等の水分の接触を回避しやすくするためには、設置位置を制限することが望ましい。例えば、外気取入口11Aaは、室外機筐体11Aにおいて第2のファン62と対向する位置に配置された制御ユニット71より底面側(
図2中、-Z方向)の下方領域に形成することが望ましい。
【0039】
図3は、室外機11(空気調和装置10)の第2のファン62の配置及びその周辺の構造を示す例示的かつ模式的な断面図である。
図3の場合、制御ユニット71は、室外機筐体11Aの内壁の一部に固定されたブラケットに固定されて放熱部材63に支持固定されている。放熱部材63は、制御ユニット71を接触支持する第1放熱面63aと、第2のファン62が流す外気が接触する、第1放熱面と63aは異なる第2放熱面63bとを有する。放熱部材63は、アルミニュウム等の熱伝導率の高い金属等で構成され、制御ユニット71と放熱部材63の第1放熱面63aとの接触面には、熱伝導性の高い接続材料、例えば、熱伝導パテや熱伝導グリス、熱伝導シート等を介在させている。その結果、制御ユニット71の冷却(放熱)をスムーズかつ効率的に行えるようにしている。また、放熱部材63の第2放熱面63bは、例えば、放熱フィン形状で構成され、制御ユニット71から移動した熱の放熱及び放熱部材63自体の冷却の効率を向上するようにしている。なお、放熱部材63は、放熱性が確保できれば、その形状は適宜変更可能であり、例えば、放熱フィン形状を省略してもよいし、放熱フィン形状を他の形状に置き換えてもよい。また、制御ユニット71と第2のファン62との間に放熱部材63を介在させることにより、仮に第2のファン62によって流動する空気に水分や塵埃等が含まれていたとしても、直接制御ユニット71に接触することを回避しやすくなる。その結果、制御ユニット71を構成する電子部品等にショート等の不具合が発生することを軽減または回避することができる。
【0040】
また、
図3に示されるように、放熱部材63に効率的に外気を誘導し冷却効率を高められるように、放熱部材63には第2のファン62が隣接配置されている。第2のファン62は、制御ユニット71側と対向する第1の面62aと、当該第1の面62aと逆側の第2の面62bとを備え、外気を第2の面62b側から第1の面62a側に流し、放熱部材63に外気を導入するようにしている。さらに、
図3に示される室外機11の場合、第2のファン62の第2の面62bに隣接した第1の蓄熱材61が配置されている。第1の蓄熱材61の内部には、室外機11と室内機12との間を流れる冷媒が循環する冷媒配管13が配置されるとともに制御ユニット71に向かって流れる外気が通過可能な貫通路61aが形成されている。第1の蓄熱材61は、
図1で説明したように、冷媒配管13にバイパス配管53を設け、低温の冷媒が供給され当該第1の蓄熱材61が冷却される。
【0041】
前述したように、バイパス配管53は、第1の配管51と第2の配管52とを接続する配管であり、第1の蓄熱材61と第2の膨張弁34とがバイパス配管53に設けられている。バイパス配管53を構成する第7の領域53aは、第2の配管52の第5の領域52aと第1の蓄熱材61を接続する。また、バイパス配管53を構成する第8の領域53bは、第1の蓄熱材61と第1の配管51の第2の領域51bとを接続する。
【0042】
バイパス配管53は、空気調和装置10の冷房運転時等に、室外熱交換器21から室内熱交換器41に向かう途中で第1の膨張弁31の通過により低温・低圧になった液冷媒の一部を第7の領域53aを介して第1の蓄熱材61に導入し、第1の蓄熱材61を冷却する。例えば、外気取入口11Aaから吸い込む空気の温度を測定し、その温度が例えば、42℃以上になった場合に、第2の膨張弁34を開弁制御して冷媒を第1の蓄熱材61に導入して、当該第1の蓄熱材61を冷却する。なお、室外機11がマンションのバルコニー等で周囲に外壁等が存在する狭い場所に設置されている場合、外気温があまり高くない場合でも、前述したように室外機11から排出された熱風により吸込み空気の温度が高くなる場合がある。したがって、第2の膨張弁34を開弁制御の基準となる温度の測定は、制御ユニット71の近傍で実施することが望ましい。
【0043】
図3に示されるように、第1の蓄熱材61は、例えば、ブロック状の容器に潜熱蓄熱材を充填することで形成可能である。潜熱蓄熱材は、例えば、塩化カルシウムである。第1の蓄熱材61は、他の潜熱蓄熱材を有してもよい。
【0044】
第1の蓄熱材61は、冷媒配管13の一部であるバイパス配管53が、挿入領域53pを介して貫通するとともに、バイパス配管53(挿入領域53p)の貫通方向に沿う方向に延在し、バイパス配管53(挿入領域53p)を囲むように複数の貫通路61aが配置されている。すなわち、貫通路61aは、バイパス配管53に沿って
図3の紙面表裏方向に延在する。なお、バイパス配管53(挿入領域53p)と第1の蓄熱材61の少なくとも一部とが接触する構成であれば、バイパス配管53(挿入領域53p)と貫通路61aとの配置関係は適宜変更可能である。第1の蓄熱材61を、挿入領域53pを介して通過する低温の冷媒は、第1の蓄熱材61を冷却するとともに、貫通路61aを通過する、第2のファン62によって吸引される外気を冷却可能である。第1の蓄熱材61の通過により冷却された外気は、第2のファン62を通過し放熱部材63に導かれ、放熱部材63を冷却する。その結果、制御ユニット71の冷却(放熱)を行うことができる。なお、
図3では、バイパス配管53の挿入領域53pが二カ所に配置されている例を示しているが、これに限定されず、バイパス配管53を3以上の配管に分岐させ、挿入領域53pを増加させてもよい。また、挿入領域53pの断面形状を円とした例を示しているが、第1の蓄熱材61の冷却及び、貫通路61aを流れる空気の冷却が効率的に行えればよく、例えば、矩形でもよい。なお、貫通路61aの向きは、
図3に示されるように、第2のファン62の駆動により空気の流れ方向に沿うように形成することが望ましい。この場合、貫通路61aに効率的、かつ低負荷で外気を取り込むことが可能になり、冷却効率をより向上することができる。
【0045】
なお、制御ユニット71(熱対策部品71a)の良好な動作状態を維持するためには、冷却により適切な動作温度を維持することが必要になるが、冷却しすぎると、結露の原因になり、制御ユニット71(熱対策部品71a)に悪影響を及ぼすおそれがある。室外機11の制御ユニット71(熱対策部品71a)は、一般的には、25℃程度に維持することが望ましいことが、事前の試験等により認識されている。そこで、本実施形態のバイパス配管53の場合、第7の領域53a、すなわち、第2の配管52と第1の蓄熱材61との間に第2の膨張弁34を備えている。第2の膨張弁34は、第1の膨張弁31と同様に、例えば、電磁膨張弁である。なお、第2の膨張弁34は、他の膨張弁であってもよし、単に媒体の流量を調整(制御)する流量調整弁であってもよい。第2の膨張弁34は、開度を制御されることで、通過する冷媒の量を調節する。例えば外気温や第1の蓄熱材61の内部温度等に基づいて開閉量の制御を行い、第1の蓄熱材61に流れ込む冷媒の流量を調整する。なお、結露が発生する温度は、室外機11の周囲の環境(温度や湿度等)に応じて変化するので、第1の蓄熱材61の目標温度についても室外機11の周囲の環境に応じて変更可能としてもよい。例えば、アキュムレータ24にもどる冷媒の温度を測定する温度センサSuの検出値をSu値とし、室内熱交換器41に内部温度を検出する温度センサT2の検出値をT2値とする。この場合、過熱度SH=Su値-T2値≧2℃となるように第1の膨張弁31を制御して、第1の蓄熱材61に流れる冷媒の温度の制御を行う。しかしながら、猛暑等で外気温度が高く過熱度SH≧2℃が実現し難い場合は、第2の膨張弁34による流量制御により第1の蓄熱材61の温度の調整を行ってもよい。
【0046】
また、猛暑時等の場合、室外機11で十分な過冷却が困難な場合があり、制御ユニット71(熱対策部品71a)を第1の蓄熱材61(冷媒)で十分に冷却することができないことがある。そこで、本実施形態の室外機11は、第2の配管52の第1の膨張弁31とバイパス配管53の第2の膨張弁34との間に第2の蓄熱材90を備えている。例えば、空気調和装置10の非使用時(外出時や夜間等)に第2の蓄熱材90を冷却しておく蓄冷運転を行い、空気調和装置10の冷房運転時に冷媒をさらに冷却し、第1の蓄熱材61の冷却不足を補うようにしてもよい。なお、第2の蓄熱材90による冷媒の追加冷却は、室内熱交換器41に流れる冷媒の温度も同様に下げる。その結果、猛暑時等でも室内機12の冷房効率が低下する現象を軽減することが可能になる。
【0047】
なお、蓄冷運転を行う場合は、室内機12(室内熱交換器41)に冷媒を流しても流さなくてもよい。室内機12(室内熱交換器41)に冷媒を流す場合、室内送風ファン42を停止または微弱運転する。その結果、室内機12を設置した室内の温度変化を抑制しつつ、蓄冷動作を実現することができる。室内機12(室内熱交換器41)に冷媒を流さない場合は、例えば、第1の開閉弁33及び第2の開閉弁32を利用する。上述の説明では、第1の開閉弁33及び第2の開閉弁32は、空気調和装置10の設置工事の際に冷媒を室内熱交換器41に充填することのみに利用する手動開閉弁とする例を示した。一方、第1の開閉弁33及び第2の開閉弁32を蓄冷運転に流用する場合、当該第1の開閉弁33及び第2の開閉弁32を制御可能な自動開閉弁(電磁弁等)として、蓄冷運転時に、第1の開閉弁33及び第2の開閉弁32を閉弁する。その結果、室外機11が冷房運転を行っても冷媒は、室内機12側に流れず、第2の蓄熱材90及び第1の蓄熱材61を効率的に冷却し蓄冷を実現することができる。なお、この場合、冷媒を室内機12の室内熱交換器41に流して熱交換が行われる場合に比べて冷媒の温度上昇を抑制することができるため、圧縮機23の駆動量も軽減できて、省エネルギー運転、静音運転等が可能になる。なお、第2の蓄熱材90の設置は必須ではなく、例えば、冷媒配管13を循環する冷媒の量が十分にあり冷却能力が十分に確保できる場合や第1の蓄熱材61の蓄冷性能が十分に確保できる場合は、第2の蓄熱材90を省略してもよい。
【0048】
前述したように、第2のファン62によって流動する外気は、主として外気取入口11Aaから導入される。前述したように、制御ユニット71に雨滴や雪等の水分が接触することは好ましくないため、外気取入口11Aaは、例えば、斜め下方に傾斜したルーバを備える。その結果、雨滴や雪が外気取入口11Aaから進入することをさらに抑制している。しかしながら、細かい雨滴や雪は外気とともに上昇方向へ移動する可能性があり、斜め下向きのルーバを通過してしまう場合がある。そこで、本実施形態の室外機11(空気調和装置10)は、外気取入口11Aaと第2のファン62(第1の蓄熱材61)とが連通する連通領域WRの一部に、風当て部80が設けられている。風当て部80は、例えば、外気取入口11Aaからの流れ込む外気を衝突させてから第2のファン62側に流れることを許容する。つまり、外気取入口11Aaを通過した雨滴や雪等を風当て部80に衝突させることで捕集し、雨滴や雪が除去(軽減)された外気(空気)のみが第2のファン62側に流れるようにしている。
【0049】
風当て部80は、
図4に拡大断面図で示されるように、断面が例えば略L字形状であり、例えば、薄板の曲げ加工や溶接等に形成され、返し領域80a、衝突領域80b、誘導領域80c等を含んでいる。外気Wに含まれる雨滴や雪等は、衝突領域80bや返し領域80aに接触することにより、当該衝突領域80bや返し領域80aに捕集される。捕集された雨滴や雪等の水分は、例えば誘導領域80cに付着し集合体Dとなったり、空中で相互に衝突し結合して集合体Dとなったりする。自重の重くなった集合体Dは、外気Wの流れに逆らい自重により落下し、室外機筐体11Aの底面側領域に設けられたドレン(不図示)に溜められたり、直接、室外機筐体11Aの外壁の隙間から排出されたりする。なお、風当て部80の衝突領域80bや返し領域80aには、スポンジや繊維材等で形成される吸湿部材を貼り付けておいてもよく、水分の捕集効率を向上するようにしてもよい。なお、
図4においては、断面が略L字形状の風当て部80を示しているが、通風領域WRに侵入した外気Wを、一旦、衝突させることができれば、形状は適宜選択可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0050】
このように、
図3に示す本実施形態の空気調和装置10(室外機11)は、第2のファン62によって、取り入れた外気を第1の蓄熱材61によって冷却した後、放熱部材63に支持された制御ユニット71側に供給するため、制御ユニット71の効率的な冷却が可能になる。
【0051】
図5は、空気調和装置10における第2のファン62の配置及びその周辺の部材の他の構造を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【0052】
図5に示される構造の場合、制御ユニット71を支持する放熱部材63Aに第1の蓄熱材61を接触させ、その背面(上流側)に第2のファン62を配置している。つまり、第2のファン62を通過した外気が冷却され、直接放熱部材63Aを冷却するように構成されている。なお、
図5においては、一例として第1の蓄熱材61と第2のファン62とを密着態様で示しているが、第2のファン62を通過する外気Wが第1の蓄熱材61に提供できれば適宜配置変更可能であり、例えば、第1の蓄熱材61と第2のファン62との間に隙間が形成されていてもよく、同様の効果を得ることができる。
【0053】
第1の蓄熱材61の構成は、
図3で説明した構成と実質的に同じであり、冷媒配管13との接続も同様である。すなわち、第1の蓄熱材61は、バイパス配管53の挿入領域53pが貫通するとともに、バイパス配管53(挿入領域53p)の貫通方向に沿う方向に延在し、バイパス配管53(挿入領域53p)を囲むように複数の貫通路61aが配置されている。
図5の場合、放熱部材63Aは、放熱フィンを備えない板形状の部材であり、制御ユニット71と接触する第1放熱面63Aaの逆側の面である第2放熱面63Abが第1の蓄熱材61に接触している。その結果、第1の蓄熱材61に形成された貫通路61aは、放熱部材63A側が封止され、溝形状となる。したがって、貫通路61aは、バイパス配管53に沿って
図5の紙面表裏方向に延在する溝部となる。なお、バイパス配管53(挿入領域53p)と第1の蓄熱材61の少なくとも一部とが接触する構成であれば、バイパス配管53(挿入領域53p)と貫通路61a(溝部)との配置関係は適宜変更可能である。したがって、第1の蓄熱材61は、放熱部材63を介して、制御ユニット71を支持することになる。放熱部材63Aは、放熱部材63と同様に、例えば、アルミニュウム等の熱伝導率の高い金属等であり、放熱部材63Aと制御ユニット71の接触面及び放熱部材63Aと第1の蓄熱材61の接触面には、熱伝導性の高い接続材料、例えば、熱伝導パテや熱伝導グリス、熱伝導シート等を介在させて、制御ユニット71の冷却(放熱)をスムーズかつ効率的に行えるようにしている。
【0054】
図5に示されるように、第1の蓄熱材61は、放熱部材63Aの第2放熱面63Ab(非接続)側を第2のファン62の第1の面62a(室外機11の外気取入口11Aa)に向けて設置され、貫通路61aに外気W(空気流)が直接入り込むようにされている。その結果、第2のファン62の第2の面62b側から導入された外気Wは流速を増しながら第1の蓄熱材61に供給される。そして、第1の蓄熱材61を貫通するバイパス配管53(挿入領域53p)の冷媒は、流速を増して貫通路61aを流れる外気Wを冷却するとともに、第1の蓄熱材61自身を冷却する。一端側が放熱部材63Aによって封止された貫通路61aを流れる冷却された空気流は、貫通路61aに沿って、
図5の紙面表裏方向に流れ、放熱部材63Aを介して制御ユニット71から熱を効率的に奪い貫通路61aから排出される。第1の蓄熱材61の内部を紙面表裏方向に冷却された空気を流動させることにより、第1の蓄熱材61及び放熱部材63A、さらには、制御ユニット71の冷却を効率的に行うことができる。なお、
図5の場合も、バイパス配管53の挿入領域53pが二カ所に配置されている例を示しているが、これに限定されず、バイパス配管53を3以上の配管に分岐させ、挿入領域53pを増加させてもよい。また、挿入領域53pの断面形状を円とした例を示しているが、第1の蓄熱材61の冷却及び、貫通路61aを流れる空気の冷却が効率的に行えればよく、例えば、矩形でもよい。また、
図5では、貫通路61aは、第1の蓄熱材61を貫通して放熱部材63Aまで達している(第1の蓄熱材61の厚み方向に貫通している)例を示した。別の実施形態では、溝形状として、第1の蓄熱材61を貫通せず、第1の蓄熱材61の厚み方向の途中までの深さで止まるように形成されていてもよい。この場合、第1の蓄熱材61の剛性を向上することができる。
【0055】
図5の場合、説明のため、制御ユニット71より大きな載置面積を有する第1の蓄熱材61を示しているが、第1の蓄熱材61は、必ずしも制御ユニット71より大きくする必要はない。例えば、制御ユニット71に実装される電子部品は、その特性は既知なので、どの部分に実装した電子部品が制御ユニット71の動作に影響を及ぼす可能性のある熱対策部品であるか、また、どの部品が熱に弱い部品であるか等、熱対策(冷却対策)が必要な熱対策部品71aであるかは予め試験等により認識することができる。そこで、第1の蓄熱材61に対して制御ユニット71を配置する場合、熱対策部品71aの実装領域が、第1の蓄熱材61の少なくとも一部と対向するように配置するようにしてもよい。つまり、熱対策部品71aにポイントを絞って冷却することが可能となり、第1の蓄熱材61の小型化、すなわち、第1の蓄熱材61に供給する冷媒量の低減に寄与しつつ、熱対策部品71a(制御ユニット71)の冷却を効率的に行うことができる。なお、第1の蓄熱材61による、より効率的な制御ユニット71の冷却を行うために、第1の蓄熱材61の内部を貫通するバイパス配管53(挿入領域53p)の分布や挿入領域53pの管径を制御ユニット71の発熱分布に応じて決定するようにしてもよい。なお、
図3に示す構成の場合も同様であり、第1の蓄熱材61や第2のファン62の大きさ、冷却空気を供給する位置等を適宜変更し、熱対策部品71aにポイントを絞って冷却するようにしてもよく、同様の効果を得ることができる。
【0056】
図6は、制御ユニット71を冷却するための簡易な構成示す冷媒系統図であり、第2のファン62によってのみ、制御ユニット71及び放熱部材63Bを冷却する例示的かつ模式的な図である。
【0057】
図6の場合、制御ユニット71を冷却するために冷媒を利用しないため、バイパス配管53や第2の蓄熱材90、第2の膨張弁34等は省略されている。制御ユニット71を支持する放熱部材63Bは、
図5に示した放熱部材63Aと同様である。また、他の例では、
図3に示す放熱フィン付きの放熱部材63と同様な構成してもよい。この場合、
図6に示す構成の場合、第1の蓄熱材61が省略されているため、第1の蓄熱材61を利用する場合に比べて、制御ユニット71の冷却能力は、低下するが、制御ユニット71の冷却を行いつつも、冷媒配管13を含め室外機11の全体構成が簡略化され、コスト軽減やメンテナンスの簡略化に寄与することができる。
【0058】
なお、上述したいずれの構成においても、制御ユニット71を冷却するための構造は、室外機11(機械室11M)内のいずれの位置に配置してもよいが、上述したように、雨滴や雪等の水分の影響を回避し易くするためには、外気取入口11Aaより上方の位置に設置することが望ましい。また、
図3に示されるように、室外機11(機械室11M)において、前面側(
図3中、+Y方向側)に配置することが望ましい。これは、室外機11において、背面側(
図3中、-Y方向側)に比べて、前面側の方が空気温度は低いとう実験結果に基づくものである。したがって、
図6に示すように、第2のファン62によってのみ制御ユニット71を冷却する場合は、制御ユニット71及び第2のファン62は、外気取入口11Aaの上方かつ室外機11の前面側に配置することで、制御ユニット71の温度対策を容易に行うことができる。なお、
図3の構成の場合、外気取入口11Aaは、室外機筐体11Aの前面に設けているが、例えば、室外機筐体11Aの側面で且つ前面に近い位置に形成してもよく、同様な効果を得ることができる。また。上述したように、室外機11から排出される熱交換後の温風(熱風)が遮蔽物で拡散を阻まれたり、室外機11の周囲で滞留したりしないような場合、すなわち、室外機11が比較的開放された空間に設置されている場合、外気取入口11Aaの形成位置の選択自由度は増加し、例えば、室外機11の底面や背面でもよい。また、雨滴や雪等が外気取入口11Aaから侵入することを回避する構造を備える場合、外気取入口11Aaを室外機11の上面に設けることも可能である。
【0059】
以上説明された実施形態に係る空気調和装置10は、室外機筐体11Aと、送風室11Wと、制御ユニット71と、第2のファン62と、外気取入口11Aaと、を備える。送風室11Wは、室外機筐体11Aの内部に設けられた室外熱交換器21に対して室外機筐体11Aの後方から前方に向かう第1の方向(+Y方向)に外気Wを流すための室外送風ファン22(第1のファン)を備える。制御ユニット71は、室外機筐体11Aにおいて送風室11Wの外側の領域に設けられて室外機11の制御を行う。第2のファン62は、制御ユニット71に対して第1の方向と異なる第2の方向(-Y方向)に外気Wを流す、室外送風ファン22(第1のファン)より小型のファンである。外気取入口11Aaは、室外機筐体11Aの外壁の一部で第2のファン62と対向しない位置に設けられて第2のファンと連通する。この構成によれば、例えば、室外機11の内部に設けられた制御ユニット71をより効率的に冷却しやすい空気調和装置10を提供することができる。
【0060】
また、空気調和装置10の外気取入口11Aaは、室外機筐体11Aにおいて第2のファン62と対向する位置に配置された制御ユニット71より底面側の下方領域に形成されてもよい。この構成によれば、例えば、仮に外気取入口11Aaから雨滴や雪等の水分や塵埃等が侵入しても制御ユニット71まで至ることを軽減または抑制することができる。
【0061】
また、空気調和装置10は、例えば、外気取入口11Aaと第2のファン62とが連通する連通領域WRの一部に、外気取入口11Aaから流れ込む外気Wが当たる風当て部80が設けられていてもよい。この構成によれば、例えば、仮に外気取入口11Aaから雨滴や雪等の水分が侵入しても制御ユニット71まで至ることをより確実に軽減または抑制することができる。
【0062】
また、空気調和装置10は、例えば、制御ユニット71側に対して外気Wを流す第2のファン62の制御ユニット71側と対向する第1の面62a側と、当該第1の面62a側と逆側の第2の面62b側の少なくとも一方に、内部に冷媒が循環する冷媒配管13(挿入領域53pを貫通するバイパス配管53)が配置されるとともに制御ユニット71に向かって流れる外気Wが通過可能な貫通路61aが形成された第1の蓄熱材61を備えてもよい。この構成によれば、例えば、第2のファン62によって流動する外気Wの冷却を効率的に行うことが可能になり、制御ユニット71の冷却をより確実かつ効果的に行うことができる。
【0063】
また、空気調和装置10の第1の蓄熱材61は、制御ユニット71の少なくとも一部に接触するようにしてもよい。この構成によれば、例えば、より効果的に制御ユニット71の冷却を行うことができる。
【0064】
また、空気調和装置10は、例えば、制御ユニット71を接触支持する第1放熱面63aと、第2のファン62が流す外気Wが接触する第1放熱面63aとは異なる第2放熱面63bとを有する放熱部材63を備えてもよい。この構成によれは、例えば、制御ユニット71の放熱効率を向上させることができるとともに、仮に外気Wに水分や塵埃等が含まれていたとしても、その外気Wが直接制御ユニット71に接触すること回避することができる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10…空気調和装置、11…室外機、11A…室外機筐体、11Aa…外気取入口、12…室内機、13…冷媒配管、14…制御装置、21…室外熱交換器、22…室外送風ファン(第1のファン)、23…圧縮機、51…第1の配管、52…第2の配管、53…バイパス配管、61…第1の蓄熱材、61a…貫通路、62…第2のファン、63…放熱部材、71…制御ユニット、80…風当て部。