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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004684
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240110BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104434
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮太
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA32
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA05
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR03
5F083PR05
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH16
(57)【要約】
【課題】電気的特性の向上を図ることができる半導体記憶装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、第1積層体と第2積層体と第1柱状部と第2柱状部と電極部と不純物拡散領域とを持つ。第1積層体は、第1方向に積層され互いに電気的に分離された複数の第1導電層を含む。第2積層体は、第1積層体の上方に設けられ、第1方向に積層され互いに電気的に分離された複数の第2導電層を含む。第1柱状部は、第1積層体内に第1方向に延伸するように設けられ、第1電荷蓄積膜及び第1半導体層を含む。第2柱状部は、第2積層体内に第1方向に延伸するように設けられ、第2電荷蓄積膜及び第2半導体層を含む。電極部は、第1柱状部の上端の内部および第2柱状部の下端の内部の少なくとも一方に設けられる。不純物拡散領域は、第1方向において、電極部の端面から、第1半導体層内部に突出する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に積層され互いに電気的に分離された複数の第1導電層を含む第1積層体と、
前記第1積層体の上方に設けられ、前記第1方向に積層され互いに電気的に分離された複数の第2導電層を含む第2積層体と、
前記第1積層体内に前記第1方向に延伸するように設けられ、第1電荷蓄積膜、および第1半導体層を含む第1柱状部と、
前記第2積層体内に前記第1方向に延伸するように設けられ、第2電荷蓄積膜、および第2半導体層を含む第2柱状部と、
前記第1柱状部の上端の内部および前記第2柱状部の下端の内部の少なくとも一方に設けられた電極部と、
前記第1方向において、前記電極部の端面から、前記第1半導体層の内部に突出する不純物拡散領域と、を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1柱状部の前記上端の内部に設けられた前記電極部を第1電極部、前記第2柱状部の前記下端の内部に設けられた前記電極部を第2電極部とした場合、前記第1電極部および前記第2電極部がともに設けられている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1電極部と前記第2電極部との間を電気的に接続する電極胴体部が設けられている、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1電極部の下端の位置が、前記複数の第1導電層のうち最も上に位置する第1導電層の位置よりも下方であり、前記第2電極部の上端の位置が、前記複数の第2導電層のうち最も下に位置する第2導電層の位置よりも上方である、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1電極部の前記第1方向とは交差した第2方向の寸法が、前記第1半導体層の前記第2方向の寸法と、略同一であり、前記第2電極部の前記第2方向の寸法が、前記第2半導体層の前記第2方向の寸法と、略同一である、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記電極胴体部の材料、ならびに、前記第1電極部および前記第2電極部の材料が同じである、請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1積層体と前記第2積層体との間において、前記複数の第1導電層および前記複数の第2導電層と電気的に分離するとともに、前記電極胴体部と電気的に接続された第3導電層が設けられている、請求項3に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセルが3次元に積層されたNAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-42297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、電気的特性の向上を図ることができる半導体記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、第1積層体と、第2積層体と、第1柱状部と、第2柱状部と、電極部と、不純物拡散領域とを持つ。第1積層体は、第1方向に積層され互いに電気的に分離された複数の第1導電層を含む。第2積層体は、第1積層体の上方に設けられ、第1方向に積層され互いに電気的に分離された複数の第2導電層を含む。第1柱状部は、第1積層体内に第1方向に延伸するように設けられる。第1柱状部は、第1電荷蓄積膜、および第1半導体層を含む。第2柱状部は、第2積層体内に第1方向に延伸するように設けられる。第2柱状部は、第2電荷蓄積膜、および第2半導体層を含む。電極部は、第1柱状部の上端の内部および第2柱状部の下端の内部の少なくとも一方に設けられる。不純物拡散領域は、第1方向において、電極部の端面から、第1半導体層内部に突出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体記憶装置の構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態のメモリセルの閾値電圧の分布を説明するための図。
図3】第1実施形態の半導体記憶装置を示す斜視図。
図4】第1実施形態のメモリセルアレイの一部を上方から見た場合の断面図。
図5】第1実施形態のメモリセルアレイに含まれる回路構成を示す図。
図6】第1実施形態の半導体記憶装置の一部を示す断面図。
図7】第1実施形態の半導体記憶装置の柱状部を示す断面図。
図8】第1実施形態の半導体記憶装置の一部を示す断面図。
図9】第1実施形態の半導体記憶装置の電極部の近傍を拡大して示す断面図。
図10】ブロック消去動作における消去パルス印加時の各配線の電圧を示すタイミングチャート。
図11】第1実施形態の半導体記憶装置の動作を説明するための断面図。
図12】第1実施形態の半導体記憶装置の動作を説明するための断面図。
図13】第1実施形態の半導体記憶装置の動作を説明するための断面図。
図14】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図15】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図16】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図17】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図18】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図19】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図20】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図21】第2実施形態の半導体記憶装置の電極部の近傍を拡大して示す断面図。
図22】第2実施形態の半導体記憶装置の動作を説明するための断面図。
図23】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図24】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図25】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図26】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図27】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図28】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図29】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の半導体記憶装置を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。図面は模式的又は概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。本出願において「接続」とは、物理的に接続される場合に限定されず、電気的に接続される場合も含む。本出願において「平行」、「直交」、または「同一」とは、それぞれ「略平行」、「略直交」、または「略同一」である場合も含む。本出願において「A方向に延びている」とは、例えば、後述するX方向、Y方向、及びZ方向の各寸法のうち最小の寸法よりもA方向の寸法が大きいことを意味する。ここでいう「A方向」は任意の方向である。
【0008】
また先に、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、+Z方向、および-Z方向について定義する。+X方向、-X方向、+Y方向、および-Y方向は、後述する基板Subの表面(図3参照)に沿う方向である。+X方向は、後述するワード線WL(図3参照)の延伸方向と直交する方向のうちの一方向である。-X方向は、+X方向とは反対方向である。+X方向と-X方向とを区別しない場合は、単に「X方向」と称する。+Y方向および-Y方向は、X方向とは交差する(例えば直交する)方向である。+Y方向は、後述するワード線WL(図3参照)が延びた方向のうちの一方向である。-Y方向は、+Y方向とは反対方向である。+Y方向と-Y方向とを区別しない場合は、単に「Y方向」と称する。+Z方向および-Z方向は、X方向およびY方向とは交差する(例えば直交する)方向であり、基板Sub(図3参照)の厚さ方向である。+Z方向は、基板Subから後述する積層体2に向かう方向である。-Z方向は、+Z方向とは反対方向である。+Z方向と-Z方向とを区別しない場合は、単に「Z方向」と称する。本明細書では、「+Z方向」を「上」、「-Z方向」を「下」と称する場合がある。ただしこれら表現は、便宜上のものであり、重力方向を規定するものではない。+Z方向は、「第1方向」の一例である。+Y方向は、「第2方向」の一例である。+X方向は、「第3方向」の一例である。
【0009】
以下で参照される図面のうち、一部の平面図には、図を見易くするために一部の構成にハッチングが適宜付加されている。平面図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。平面図及び断面図のそれぞれでは、図を見易くするために、配線、コンタクト、層間絶縁膜等の一部の構成要素の図示が適宜省略されている。
【0010】
(第1実施形態)
<1.半導体記憶装置の構成>
図1は、第1実施形態の半導体記憶装置100の構成を示すブロック図である。半導体記憶装置100は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置であり、NAND型フラッシュメモリである。半導体記憶装置100は、例えば、外部のホスト装置と接続可能であり、ホスト装置の記憶空間として使用される。半導体記憶装置100は、例えば、メモリセルアレイ11、コマンドレジスタ12、アドレスレジスタ13、制御回路(シーケンサ)14、ドライバモジュール15、ロウデコーダモジュール16、およびセンスアンプモジュール17を含む。
【0011】
メモリセルアレイ11は、複数のブロックBLK0~BLK(k-1)(kは1以上の整数)を含む。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶する複数のメモリセルトランジスタの集合である。ブロックBLKは、データの消去単位として使用される。メモリセルアレイ11には、複数のビット線および複数のワード線が設けられている。各メモリセルトランジスタは、1本のビット線と、1本のワード線とに関連付けられている。
【0012】
コマンドレジスタ12は、半導体記憶装置100がホスト装置から受信するコマンドCMDを保持する。アドレスレジスタ13は、半導体記憶装置100がホスト装置から受信するアドレス情報ADDを保持する。制御回路14は、半導体記憶装置100の各種動作を制御する回路である。例えば、制御回路14は、コマンドレジスタ12に保持されたコマンドCMDに基づき、データの書き込み動作、読み出し動作、または消去動作などを実行する。
【0013】
ドライバモジュール15は、電圧生成回路を含み、半導体記憶装置100の各種動作(例えば、書き込み動作、読み出し動作、または消去動作など)で使用される電圧を発生させる。ドライバモジュール15は、発生させた電圧を、メモリセルアレイ11、ロウデコーダ16、およびセンスアンプモジュール17に供給する。
【0014】
本実施形態のドライバモジュール15は、図2に示すように、正(ポジティブ)のみならず、負(ネガティブ)電圧を供給することも可能である。
図2は、後述するメモリセルMCの閾値電圧の分布の一例を説明するための図である。ここで、同じデータ値を保持する複数のメモリセルMCであっても、互いに相違する閾値電圧を有し得る。このため、同じデータ値を保持する複数のメモリセルMCの閾値電圧は、ロブ(Lob)と呼ばれる1つの分布を形成する。メモリセルMCがトリプルレベルセル(TLC)で使用される場合、メモリセルMCの閾値分布は、8つのロブを含む。図2に示す8つのロブのうち最も低い分布から順に、8つのロブに属するメモリセルMCは、それぞれ、Erレベル、Aレベル、Bレベル、Cレベル、Dレベル、Eレベル、Fレベル、Gレベルにある。Erレベル、Aレベル、Bレベル、Cレベル、Dレベル、Eレベル、Fレベル、Gレベルは、例えば、それぞれ“111”データ、“011”データ、“001”データ、“101”データ、100”データ、“000”データ、“010”データ、および“110”データを保持する状態として扱われる。AレベルおよびBレベルは、閾値電圧が負側である領域にある。Erレベルは、消去状態に相当する。
【0015】
ロウデコーダモジュール16は、選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたワード線に転送する。センスアンプモジュール17は、書き込み動作において、各ビット線に所望の電圧を印加する。センスアンプモジュール17は、読み出し動作において、各ビット線の電圧に基づいて各メモリセルトランジスタに記憶されたデータ値を判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてホスト装置に転送する。
【0016】
次に、第1実施形態の半導体記憶装置100の物理的構成について説明する。
図3は、第1実施形態の半導体記憶装置100を示す斜視図である。図4は、メモリセルアレイ11の一部を上方から見た場合の断面図である。図5は、第1実施形態の半導体記憶装置100を示す平面図である。図3に示すように、第1実施形態に係る半導体記憶装置100は、3次元構造のメモリセルを有した不揮発性メモリである。
【0017】
半導体記憶装置100は、基体部1と、積層体2と、深いスリットST(図4の板状部3)と、浅いスリットSHE(図4の板状部4)と、複数の柱状部CLとを含む。
【0018】
基体部1は、基板Sub、層間絶縁膜9、ソース層SLを含む。層間絶縁膜9は、基板Sub上に設けられている。ソース層SLは、層間絶縁膜9上に設けられている。
【0019】
基板Subは、半導体基板、例えば、シリコン基板である。シリコン(Si)の導電型は、例えば、p型である。基板Subの表面領域には、例えば、素子分離領域10iが設けられている。素子分離領域10iは、例えば、シリコン酸化物(SiO)を含む絶縁領域であり、基板Subの表面領域にアクティブエリアAAを区画する。アクティブエリアAAには、トランジスタTrのソース及びドレイン領域が設けられる。トランジスタTrは、不揮発性メモリの周辺回路(CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路)を構成する。CMOS回路は、ソース層SLの下方に設けられ、基板Sub上に設けられている。
【0020】
層間絶縁膜9は、例えば、シリコン酸化物を含み、トランジスタTrを被覆する。層間絶縁膜9内には、配線9aが設けられている。配線9aの一部は、トランジスタTrと電気的に接続される。ソース層SLには、例えば、ドープドシリコン、タングステン(W)等の導電性材料が用いられている。ソース層SLは複数の層によって構成され、その一部は、アンドープのシリコンを含んでいてもよい。ソース層SLは、アレイ領域2m(図4)の共通ソースラインとして機能する。
【0021】
積層体2は、基板Subの上方に設けられており、ソース層SLに対して+Z方向に位置する。積層体2は、Z方向に沿って複数の導電層21及び複数の絶縁膜22を交互に積層して構成されている。導電層21は、導電性金属、例えば、タングステンを含む。絶縁膜22は、例えば、シリコン酸化物を含む。絶縁膜22は、導電層21同士を電気的に分離する。導電層21及び絶縁膜22のそれぞれの積層数は、任意である。絶縁膜22は、例えば、エアギャップであってもよい。複数の絶縁膜22のうち、積層体2と、ソース層SLとの間に設けられた絶縁膜22(例えば、最下に位置する絶縁膜22)は、例えば、シリコン酸化物よりも比誘電率が高い高誘電体を含んでいてもよい。高誘電体は、例えば、金属酸化物でもよい。
【0022】
導電層21は、少なくとも1つのソース側選択ゲートSGSと、複数のワード線WLと、少なくとも1つのドレイン側選択ゲートSGDとを含む。ソース側選択ゲートSGSは、ソース側選択トランジスタSTSのゲート電極である。ワード線WLは、メモリセルMCのゲート電極である。ドレイン側選択ゲートSGDは、ドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極である。ソース側選択ゲートSGSは、積層体2の下部領域に設けられる。ドレイン側選択ゲートSGDは、積層体2の上部領域に設けられる。下部領域は、積層体2において、基体部1に近い側の領域を指す。上部領域は、積層体2において、基体部1から遠い側の領域を指す。ワード線WLは、ソース側選択ゲートSGSとドレイン側選択ゲートSGDとの間に設けられる。
【0023】
複数の絶縁膜22のうち、ソース側選択ゲートSGSとワード線WLとを絶縁する絶縁膜22のZ方向の厚さは、例えば、ワード線WLとワード線WLとを絶縁する絶縁膜22のZ方向の厚さよりも、厚くされてもよい。さらに、基体部1から最も離された最上層の絶縁膜22の上に、カバー絶縁膜(図示せず)を設けてもよい。カバー絶縁膜は、例えば、シリコン酸化物を含む。
【0024】
半導体記憶装置100は、ソース側選択トランジスタSTSとドレイン側選択トランジスタSTDとの間に直列に接続された複数のメモリセルMCを有する。ソース側選択トランジスタSTS、メモリセルMC及びドレイン側選択トランジスタSTDが直列に接続された構造は“メモリストリング”、もしくは“NANDストリング”と呼ばれる。メモリストリングは、例えば、コンタクトCbを介してビット線BLに接続される。ビット線BLは、積層体2の上方に設けられ、Y方向に延びる。
【0025】
積層体2内には、複数の深いスリットST、及び、複数の浅いスリットSHEのそれぞれが設けられている。深いスリットSTは、X方向に延び、積層体2の上端から基体部1にかけて積層体2を貫通しつつ、積層体2内に設けられている。板状部3は、深いスリットST内に設けられた、例えば、配線である。板状部3は、深いスリットSTの内壁に設けられた絶縁膜(図示せず)によって積層体2と電気的に絶縁され、かつ、深いスリットST内に埋め込まれソース層SLと電気的に接続された導電膜で構成されている。尚、板状部3は、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料で充填されている場合もある。一方、浅いスリットSHEは、X方向に延び、積層体2の上端から積層体2の途中まで設けられている。浅いスリットSHEは、ドレイン側選択ゲートSGDが設けられた積層体2の上部領域を貫通する。浅いスリットSHE内には、例えば、板状部4が設けられている(図4)。板状部4は、例えば、シリコン酸化物である。
【0026】
図4に示すように、積層体2を含むメモリセルアレイ11は、アレイ領域2mと、一対の階段領域2sとを含む。階段領域2sはそれぞれ、積層体2の縁部に設けられている。アレイ領域2mは、一対の階段領域2sによって挟まれ、あるいは、囲まれている。深いスリットSTは、積層体2の一端の階段領域2sから、アレイ領域2mを経て、積層体2の他端の階段領域2sまで設けられている。浅いスリットSHEは、少なくともアレイ領域2mに設けられている。
【0027】
アレイ領域2mは、複数のメモリセルトランジスタMT(図5参照)を含み、データを記憶可能な領域である。例えば、アレイ領域2mは、後述する下部アレイL2mと、上部アレイU2m(図8参照)を含み、複数の柱状部CLが設けられている。複数の柱状部CLは、それぞれX方向に延びた複数の列に沿って配置されている。アレイ領域2mについては、詳しく後述する。
【0028】
図4に示す2つの板状部3によって挟まれた積層体2の部分は、「ブロック」(図中では“BLK”と表示)と呼ばれている。ブロックBLKは、例えば、データ消去の最小単位を構成する。板状部4は、ブロックBLK内に設けられている。板状部3と板状部4との間の積層体2は、「フィンガ」と呼ばれている。ドレイン側選択ゲートSGDは、フィンガ毎に区切られている。このため、データ書き込み及び読み出し時に、ドレイン側選択ゲートSGDによりブロックBLK内の1つのフィンガを選択状態とすることができる。
【0029】
<2. メモリセルアレイの構成>
<2.1 メモリセルアレイの電気的構成>
次に、メモリセルアレイ11の構成について説明する。
図5は、メモリセルアレイ11の一部の等価回路を示す図である。図5は、メモリセルアレイ11に含まれる1つのブロックBLKを示している。ブロックBLKは、複数(例えば4つ)のストリングユニットSU0~SU3を含む。各ストリングユニットSUは、「フィンガ」と称される場合もある。
【0030】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含んでいる。各NANDストリングNSは、例えば、複数のメモリセルトランジスタMT0~MTn(nは1以上の整数)、1つ以上のドレイン側選択トランジスタSTD、および1つ以上のソース側選択トランジスタSTSを含む。
【0031】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MTnは、直列接続されている。各メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートおよび電荷蓄積部を含む。メモリセルトランジスタMTの制御ゲートは、ワード線WL0~WLnのいずれかに接続されている。各メモリセルトランジスタMTは、ワード線WLを介して制御ゲートに印加された電圧に応じて電荷蓄積部に電荷が蓄積され、データを不揮発に保持する。
【0032】
ドレイン側選択トランジスタSTDのドレインは、当該NANDストリングNSに対応するビット線BLに接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDのソースは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MTnの一端に接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDの制御ゲートは、ドレイン側選択ゲート線SGD0~SGD3のいずれかに接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDは、ドレイン側選択ゲート線SGDを介して、ロウデコーダモジュール16と電気的に接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDは、対応するドレイン側選択ゲート線SGDに所定の電圧が印可された場合に、NANDストリングNSとビット線BLとを接続する。
【0033】
ソース側選択トランジスタSTSのドレインは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MTnの他端に接続されている。ソース側選択トランジスタSTSのソースは、ソース線SLに接続されている。ソース側選択トランジスタSTSの制御ゲートは、ソース側選択ゲート線SGSに接続されている。ソース側選択トランジスタSTSは、ソース側選択ゲート線SGSに所定の電圧が印可された場合に、NANDストリングNSとソース線SLとを接続する。
【0034】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MTnの制御ゲートは、それぞれ対応するワード線WL0~WLnに共通接続されている。各ストリングユニットSU0~SU3内のドレイン側選択トランジスタSTDの制御ゲートは、それぞれ対応する選択ゲート線SGD0~SGD3に共通接続されている。ソース側選択トランジスタSTSの制御ゲートは、ソース側選択ゲート線SGSに共通接続されている。メモリセルアレイ11において、ビット線BLは、各ストリングユニットSUで同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有されている。
【0035】
<2.2 メモリセルアレイの物理的構成>
図6は、半導体記憶装置100の一部を示す断面図であり、図7は、半導体記憶装置100の柱状部CLを示す断面図である。
【0036】
<2.2.1 柱状部>
図6に示すように、複数の柱状部CLのそれぞれは、積層体2内に形成されたメモリホールMH内に設けられている。各柱状部CLは、Z方向に沿って積層体2の上端から積層体2を貫通し、積層体2内及びソース層SL内にかけて設けられている(図3参照)。複数の柱状部CLは、それぞれ、半導体ボディ210、メモリ膜220及びコア層230を含む。柱状部CLは、その中心部に設けられたコア層230、該コア層230の周囲に設けられた半導体ボディ210、および、該半導体ボディ210の周囲に設けられたメモリ膜220を含む。ここで、「半導体ボディ」は半導体層の一例である。
【0037】
半導体ボディ210は、ソース層SLと電気的に接続されている。電荷蓄積部材としてのメモリ膜220は、半導体ボディ210と導電層21との間に、電荷捕獲部を有する。各フィンガからそれぞれ1つずつ選択された複数の柱状部CLは、コンタクトCbを介して1本のビット線BLに共通に接続される(図3参照)。
【0038】
図7に示すように、Z方向から見た平面視(X-Y平面)において、メモリホールMHの形状は、例えば、略円形又は略楕円形である。導電層21と絶縁膜22との間には、メモリ膜220の一部を構成するブロック絶縁膜221aが設けられていてもよい。ブロック絶縁膜221aは、例えば、シリコン酸化物膜又は金属酸化物膜である。金属酸化物の1つの例は、アルミニウム酸化物である。導電層21と絶縁膜22との間、及び、導電層21とメモリ膜220との間には、バリア膜221bが設けられていてもよい。バリア膜221bは、例えば、導電層21がタングステンである場合、例えば、窒化チタンが選ばれる。ブロック絶縁膜221aは、導電層21からメモリ膜220側への電荷のバックトンネリングを抑制する。バリア膜221bは、導電層21とブロック絶縁膜221aとの密着性を向上させる。
【0039】
半導体ボディ210の形状は、例えば、底を有した筒状である。半導体ボディ210は、例えば、シリコンを含む。シリコンは、例えば、アモルファスシリコンを結晶化させたポリシリコンである。半導体ボディ210は、例えば、アンドープシリコンである。また、半導体ボディ210は、p型シリコンであってもよい。半導体ボディ210は、ドレイン側選択トランジスタSTD、メモリセルMC及びソース側選択トランジスタSTSのそれぞれのチャネルとなる。
【0040】
メモリ膜220は、ブロック絶縁膜221a以外の部分が、メモリホールMHの内壁と半導体ボディ210との間に設けられている。メモリ膜220の形状は、例えば、筒状である。複数のメモリセルMCは、半導体ボディ210と、ワード線WLとなる導電層21と、の間に記憶領域を有し、Z方向に積層されている。メモリ膜220は、例えば、カバー絶縁膜221、電荷蓄積膜222及びトンネル絶縁膜223を含む。半導体ボディ210、カバー絶縁膜221、電荷蓄積膜222及びトンネル絶縁膜223のそれぞれは、Z方向に延びている。
【0041】
カバー絶縁膜221は、絶縁膜22と電荷蓄積膜222との間、並びに、ブロック絶縁膜221aと電荷蓄積膜222との間に設けられている。カバー絶縁膜221は、例えば、シリコン酸化物を含む。カバー絶縁膜221は、犠牲膜(例えば、図19に示す符号21d)を導電層21にリプレースするとき(リプレース工程)、電荷蓄積膜222がエッチングされないように保護する。
【0042】
電荷蓄積膜222は、ブロック絶縁膜221a及びカバー絶縁膜221とトンネル絶縁膜223との間に設けられている。電荷蓄積膜222は、例えば、シリコン窒化物を含み、膜中に電荷をトラップするトラップサイトを有する。電荷蓄積膜222のうち、ワード線WLとなる導電層21と半導体ボディ210との間に挟まれた部分は、電荷捕獲部としてメモリセルMCの記憶領域を構成する。メモリセルMCのしきい値電圧は、電荷捕獲部中の電荷の有無、又は、電荷捕獲部中に捕獲された電荷の量によって変化する。これにより、メモリセルMCは、情報を保持する。
【0043】
トンネル絶縁膜223は、半導体ボディ210と電荷蓄積膜222との間に設けられている。トンネル絶縁膜223は、例えば、シリコン酸化物、又は、シリコン酸化物とシリコン窒化物とを含む。トンネル絶縁膜223は、半導体ボディ210と電荷蓄積膜222との間の電位障壁である。例えば、半導体ボディ210から電荷捕獲部へ電子を注入するとき(書き込み動作)、及び、半導体ボディ210から電荷捕獲部へ正孔を注入するとき(消去動作)、電子および正孔が、それぞれトンネル絶縁膜223の電位障壁を通過(トンネリング)する。
【0044】
コア層230は、筒状の半導体ボディ210の内部スペースを埋め込む。コア層230の形状は、例えば、柱状である。コア層230は、例えば、シリコン酸化物を含み、絶縁性である。
【0045】
柱状部CL、すなわち、メモリホールMHは、平面レイアウトにおいて、Y方向に隣接する2つの深いスリットST間に、例えば、六方最密配置のように配置されている。浅いスリットSHEは、一部の柱状部CLの上に重複するように設けられていてよい。浅いスリットSHEの下にある柱状部CLには、メモリセルMCは形成されない。
【0046】
このような立体型のメモリセルアレイ11は、積層数の増大に伴い、複数回に分けて形成される場合がある。これは、メモリセルアレイ11の積層体が厚くなると、メモリホールMHを所望の形状に形成することが困難になるからである。そこで、本実施形態のメモリセルアレイ11は、図8に示すように、下部アレイL2mと上部アレイU2mとの2つの積層体に分けて形成された構成を持つ。ここで、「下部アレイL2m」は、第1積層体の一例であり、「上部アレイU2m」は、第2積層体の一例である。
【0047】
図8は、半導体記憶装置100の一部を示す断面図である。具体的に、図8は、メモリセルアレイ11のうち、アレイ領域2mのより詳細な構成例を示す断面図である。アレイ領域2mは、下部アレイL2mと、上部アレイU2mとを含む。
【0048】
下部アレイL2mは、ソース層SL上に設けられている。下部アレイL2mは、Z方向に交互に積層された複数の導電層21aと複数の絶縁膜22とを含む。ここで、「導電層21a」は、第1導電層の一例である。Z方向に隣接する導電層21aは、絶縁膜22によって電気的に分離されている。下部アレイL2mは、エピタキシャルシリコン層70を介してソース層SLに電極的に接続されている。なお、ソース層SLがシリコン単結晶である場合に、エピタキシャルシリコン層70をソース層SL上に成長させることができる。
【0049】
上部アレイU2mは、下部アレイL2mの上方に設けられている。上部アレイU2mは、Z方向に交互に積層された複数の導電層21bと複数の絶縁膜22とを含む。ここで、「導電層21b」は、第2導電層の一例である。Z方向に隣接する導電層21bは、絶縁膜22によって電気的に分離されている。絶縁膜22は、Z方向に隣接する導電層21a間、ならびに導電層21b間に設けられており、これら導電層21a,21bを電気的に分離している。
【0050】
上部アレイU2mおよび下部アレイL2m内には、複数の柱状部CLが、Z方向に延伸するように設けられている。各柱状部CLは、下部柱状部LCLと上部柱状部UCLとを含む。ここで、「下部柱状部LCL」は、第1柱状部の一例であり、「上部柱状部UCL」は、第2柱状部の一例である。
【0051】
下部柱状部LCLは、下部アレイL2m内にZ方向に延伸するように設けられ、下部アレイL2mを貫通してソース層SLに達している。上部柱状部UCLは、上部アレイU2m内にZ方向に延伸するように設けられ、上部アレイU2mを貫通している。上部柱状部UCLおよび下部柱状部LCLは、ともに図6および図7を参照して説明した構成を有する。従って、上部柱状部UCLは、上部メモリホールUMH内に、図6および図7のメモリ膜220、半導体ボディ210およびコア層230を有する。下部柱状部LCLは、下部メモリホールLMH内に、図6および図7のメモリ膜220、半導体ボディ210およびコア層230を有する。
【0052】
上部アレイU2mと下部アレイL2mとの間のジョイント部JTには、中間膜50、電極胴体部60、ならびに電極部61が設けられている。中間膜50には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられている。
【0053】
図9は、半導体記憶装置100の電極部61の近傍、すなわち上部アレイU2mと下部アレイL2mとの間のジョイント部JT近傍の構成例を示す拡大断面図である。尚、下部柱状部LCLのメモリ膜220、電荷蓄積膜222、半導体ボディ210およびコア層230は、便宜的に、メモリ膜220L、電荷蓄積膜222L、半導体ボディ210Lおよびコア層230Lと呼ぶ。上部柱状部UCLのメモリ膜220、電荷蓄積膜222、半導体ボディ210およびコア層230は、便宜的に、メモリ膜220U、電荷蓄積膜222U、半導体ボディ210Uおよびコア層230Uと呼ぶ。ここで、「電荷蓄積膜222L」は、第1電荷蓄積膜の一例であり、「半導体ボディ210L」は、第1半導体層の一例である。また、「電荷蓄積膜222U」は、第2電荷蓄積膜の一例であり、「半導体ボディ210U」は、第2半導体層の一例である。
【0054】
上部アレイU2mと下部アレイL2mとの間のジョイント部JTには、中間膜50、電極胴体部60、ならびに電極部61が設けられている。
【0055】
中間膜50は、柱状部CLの中心から離れる方向(X方向、Y方向)に後退している。即ち、ジョイント部JTにおいて、中間膜50は、上部アレイU2mおよび下部アレイL2mよりもX方向および/またはY方向に窪んでおり、窪みRCSを形成している。中間膜50には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられている。
【0056】
電極胴体部60は、窪みRCSに埋め込まれている。電極胴体部60は、上部柱状部UCLと下部柱状部LCLとの間に設けられている。電極胴体部60は、上部柱状部UCLと下部柱状部LCLとの間を、上部柱状部UCLおよび下部柱状部LCLの全体(全周)に亘って分断している。即ち、電極胴体部60は、上部柱状部UCLと下部柱状部LCLとの間で、メモリ膜220Uとメモリ膜220Lとを分断している。なお、電極胴体部60は省略されてもよい。電極胴体部60を省略する場合、窪みRCS内は、絶縁膜で覆われてもよく、例えば、中間膜50で覆われてもよい。電極胴体部60を設ける場合、後述する電極部61L,61Uと同様に、不純物(例えば、リン(P))がドープされたポリシリコン(Poly-Si)により形成される。
【0057】
電極部61は、下部柱状部LCLの上端の内部および上部柱状部UCLの下端部の内部の少なくとも一方に設けられている。図9では、各電極部61の外形を円柱状として示しているが、各電極部61は、直方体または円錐状などでもよい。各電極部61は、不純物(例えば、リン(P))がドープされたポリシリコン(Poly-Si)により形成されている。なお、下部柱状部LCLの電極部61は、便宜的に、電極部61Lと呼び、上部柱状部UCLの電極部61は、便宜的に、電極部61Uと呼ぶ。ここで、「電極部61L」は、第1電極部の一例であり、「電極部61U」は、第2電極部の一例である。
【0058】
電極部61Lの+Z方向側の端部は、中間膜50の内部に向かって突出している。つまり、電極部61Lの+Z方向側の上端は、複数の導電層21bのうち、最も上に位置する導電層21bの上面よりも上に位置する。一方、電極部61Lの-Z方向側の端部は、最も上に位置する導電層21bの位置よりも下方に位置する。つまり、電極部61Lは、X方向からの断面視で、最も上に位置する導電層21bによって挟まれている。
【0059】
電極部61Uの-Z方向側の端部は、中間膜50の内部に向かって突出している。つまり、電極部61Uの-Z方向側の上端は、複数の導電層21aのうち、最も下に位置する導電層21aの下面よりも下に位置する。一方、電極部61Uの+Z方向側の端部は、最も下に位置する導電層21aの位置よりも上方に位置する。つまり、電極部61Uは、X方向からの断面視で、最も下に位置する導電層21aによって挟まれている。
【0060】
後に詳述するが、電極部61L,61Uは、GIDL電流をアシストするためのGIDL生成電極として作用する。そのため、電極部61L,61Uはともに設けられることが望ましいが、いずれか一方のみであってもよい。
【0061】
ジョイント部JTにおいて、電極胴体部60が設けられる場合、電極部61L,61Uと、電極胴体部60とは、電気的に接続されていることが好ましい。例えば、電極部61L,61Uをそれぞれ、電極胴体部60の両端面より柱状部CL側へ突出させた構造とすることが好ましい。このとき、電極胴体部60と、電極部61L,61Uを同じ材料により構成されることがより好ましい。
【0062】
電極部61LのY方向の寸法は、半導体ボディ210LのY方向の寸法と、略同一であってよい。電極部61UのY方向の寸法は、半導体ボディ210UのY方向の寸法と、略同一であってよい。また、本実施形態のように、下部アレイL2mと上部アレイU2mを分けて形成された半導体記憶装置100の場合、各柱状部CLの形状は、Y方向の寸法が+Z方向に向かって徐々に広がる略円錐状となる場合が多い。このように、各柱状部CLの形状が略円錐状である場合には、各電極部61の形状も、略円錐状であることが好ましい。つまり、各電極部61の外径は、各半導体ボディ210の外径と略同一とすることが好ましい。
【0063】
図9に示すように、半導体記憶装置100は、Z方向において、電極部61L,61Uの各端面から、半導体ボディ210L,210Uの内部に向かって突出する不純物拡散領域62、を備える。不純物拡散領域62は、電極部61L,61Uと、半導体ボディ210L,210Uとの各接触面から半導体ボディ210L,210U内を各アレイ側に向かって、N型の不純物が拡散した領域である。なお、説明の便宜上、半導体ボディ210L内の不純物拡散領域62は、不純物拡散領域62Lと呼び、半導体ボディ210U内の不純物拡散領域62は、不純物拡散領域62Uと呼ぶ。ここで、「不純物拡散領域62L」は、第1不純物拡散領域の一例であり、「不純物拡散領域62U」は、第2不純物拡散領域の一例である。
【0064】
不純物拡散領域62L,62Uはそれぞれ、電極部61L,61Uに含まれるn型の不純物元素(例えば、リン(P))が熱拡散によって各半導体ボディ210L,210U内に拡散された領域である。つまり、消去動作時、不純物拡散領域62L,62Uによって、半導体ボディ210Lの上部周辺、ならびに半導体ボディ210Uの下部周辺にも正孔を発生させることができる。
【0065】
不純物拡散領域62Lは、Z方向において、電極部61Lの下面から、半導体ボディ210L内部に向かって延在している。不純物拡散領域62Lの下端の位置は特に限定されないが、少なくとも、複数の導電層21bのうち、上から2番目の位置まで延在していることが好ましい。例えば、不純物拡散領域62Lは、Y方向において、電極部61Lの下端部に最も近い導電層21bと対向するよう設けられてよい。より好ましくは、複数の導電層21bのうち、上から3番目の位置まで延在していることがより好ましい。なお、Y方向において不純物拡散領域62Lと対向する導電層21bは、1層に限られない。図9に示す構造では、不純物拡散領域62Lと対向する導電層21bは1層のみであるが、例えば、不純物拡散領域62LのZ方向の寸法がさらに大きい場合は、複数の導電層21bと対向する構成であってもよい。
【0066】
不純物拡散領域62Uは、Z方向において、電極部61Uの上面から、半導体ボディ210U内部に向かって延在している。不純物拡散領域62Uの上端の位置は特に限定されないが、少なくとも、複数の導電層21aのうち、下から2番目の位置まで延在していることが好ましい。例えば、不純物拡散領域62Uは、Y方向において、電極部61Uの上端部に最も近い導電層21aと対向するよう設けられてよい。より好ましくは、複数の導電層21aのうち、下から3番目の位置まで延在していることがより好ましい。なお、Y方向において不純物拡散領域62Uと対向する導電層21aは、1層に限られない。図9に示す構造では、不純物拡散領域62Uと対向する導電層21aは1層のみであるが、例えば、不純物拡散領域62UのZ方向の寸法がさらに大きい場合は、複数の導電層21aと対向する構成であってもよい。
【0067】
ここで、下部アレイL2mを構成する複数の導電層21bのうち不純物拡散領域62Lと対向する導電層21bは、後述するように、ダミーワード線WLDL1(例えば、図11参照)として機能し、このダミーワード線WLDL1の下方に位置する導電層21bは、ワード線として機能する。また、下部アレイL2mを構成する複数の導電層21bのうち最も上側(つまり上部アレイU2m側)を含む少なくも1以上の導電層21b(ダミーワード線WLDL1の上方に位置する導電層21b)も、ダミーワード線WLDL0(例えば、図11参照)として機能する。同様に、上部アレイU2mを構成する複数の導電層21aのうち不純物拡散領域62Uと対向する導電層21aは、後述するように、ダミーワード線WLDL1(例えば、図11参照)として機能し、このダミーワード線WLDL1の上方に位置する導電層21aは、ワード線として機能する。また、上部アレイU2mを構成する複数の導電層21aのうち最も下側(つまり下部アレイL2m側)を含む少なくも1以上の導電層21a(ダミーワード線WLDL1の下方に位置する導電層21a)も、ダミーワード線WLDL0(例えば、図11参照)として機能する。
【0068】
いずれのダミーワード線WLDL0は、後述するように、容量カップリングによって、電極部61に所定の電圧(10V程度)を印加するための導電層である。
【0069】
不純物拡散領域62における不純物の拡散状況は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDS)による元素マッピングによって確認することができる。例えば、電極部61の材料としてリン(P)をドープさせたシリコンを用いる場合、不純物拡散領域62のP濃度は、例えば、5×1020cm-3程度である。不純物拡散領域62は、半導体ボディ210形成後、アニールによって不純物を熱拡散させることによって得られる。
【0070】
<3.半導体記憶装置の基本動作>
次に、半導体記憶装置100の基本動作のうち、消去動作について説明する。
図10は、ブロック消去動作における消去パルス印加時の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。図11図13は、半導体記憶装置100の消去動作を説明するための断面図である。
図10図11に示す例では、ブロック消去について説明する。ブロック消去は、1つのブロックBLKを選択して消去動作を実行する。図12図13に示す例では、サブブロック消去について説明する。サブブロック消去は、下部アレイL2mと上部アレイU2mを別の独立したブロック(サブブロック)として用いて、消去動作を実行する。
【0071】
第1実施形態の半導体記憶装置100では、ドレイン側選択トランジスタSTD及びソース側選択トランジスタSTSの少なくとも一つの選択トランジスタのゲートとドレインとの間に加え、電極部61とその近傍のワード線(導電層21)との間にも逆バイアス電圧を印加して、Gate Induced Drain Leakage(GIDL)を発生させることにより、消去(イレーズ)動作を行う。GIDLにより、メモリトランジスタMTのチャネルを介して正孔を注入して電荷蓄積膜の電荷を消滅できる。
【0072】
消去動作は、大まかに、消去パルス印加動作と消去ベリファイ動作とを含む。消去パルス印加動作は、メモリトランジスタMTの閾値電圧を低下させるために消去パルスを印加する動作である。消去ベリファイ動作は、消去パルス印加動作を印加した結果、メモリトランジスタMTの閾値電圧が目標とする値より低くなったか否かを判定する動作である。消去動作では、消去パルス印加動作と消去ベリファイ動作との組み合わせを繰り返すことで、メモリトランジスタMTの閾値電圧を消去レベルまで低下させる。
【0073】
図10は、図11に示すブロック消去動作における消去パルス印加時の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。まず、消去対象のブロックBLKのダミーワード線WLDU1、WLDL1、データワード線WLに、所定の電圧を印可する(時刻t0)。ダミーワード線WLDU1、WLDL1に印加する電圧は、各ワード線WLの劣化を防止するために、ダミーワード線WLDU0、WLDL0と、データワード線WLとの中間電位を印可する。次に、ダミーワード線WLDU0、WLDL0に、所定の電圧を印可する(時刻t1)。それにともない、容量カップリングによって、各電極部61に所定の電圧が印加され(時刻t1)、チャネルである半導体ボディ210にGIDL電流が流れる。本実施形態では、電極部61に、直接に電圧を印可することが厳しい。そのため、電極部61に隣接する、上下の導電層21をダミーワード線WLDU0、WLDL0として用い、ダミーワード線WLDU0、WLDL0に電圧Vera(20V程度)を印可することで、容量カップリングによって、各電極部61に所定の電圧(10V程度)を印加する。電圧Veraは、GIDLを発生させるための高電圧である。
【0074】
各ダミーワード線WLDU1、WLDL1の本数は特に限定されず、1本以上であってもよい。
【0075】
図12は、上部アレイU2mのみを消去対象のブロック(選択ブロック)とし、下部アレイL2mは消去対象外とした場合の消去動作を示す。一方、図13は、下部アレイL2mのみを消去対象のブロック(選択ブロック)とし、上部アレイU2mは消去対象外とした場合の消去動作を示す。
図12図13に示すように、本実施形態の半導体記憶装置100によれば、上部アレイU2mと下部アレイL2mを含む積層構造において、上部アレイU2mと下部アレイL2mとの間(つまり、ジョイント部JT)に、GIDL生成用の電極として電極部61を設けることで、サブブロック消去の実行も可能となる。
【0076】
<4.半導体記憶装置の製造方法>
次に、半導体記憶装置100の製造方法について説明する。図14図20は、半導体記憶装置100の製造方法を示す断面図である。なお以下で説明する材料は、あくまで例示であり、本実施形態の内容を限定するものではない。
【0077】
図14に示すように、まず、基板Sub上にトランジスタTr(CMOS回路)が形成され、トランジスタTrを層間絶縁膜9で被覆する。層間絶縁膜9には、配線9aが形成される。層間絶縁膜9上には、ソース層SLが形成される。これにより、基体部1が形成される。
【0078】
次に、基体部1の上方に、複数の犠牲膜21dと複数の絶縁膜22とをZ方向に交互に積層する。これにより、下部アレイL2mの領域に、犠牲膜21dと絶縁膜22との積層体L2mmが形成される。犠牲膜21dには、例えば、シリコン窒化膜等の絶縁材料が用いられる。絶縁膜22には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられる。犠牲膜21dは、Z方向に積層され、互いに絶縁膜22によって離隔されている。なお、犠牲膜21dは、後の工程において、導電層21bに置換される。
【0079】
次に、積層体L2mm上に中間膜50の一部を形成する。中間膜50には、例えば、シリコン酸化膜が用いられる。中間膜50の残りは、積層体U2mmを形成する前段階で形成する(図17参照)。
【0080】
次に、リソグラフィ技術およびRIE(Reactive Ion Etching)法等を用いて、中間膜50および積層体L2mm内にZ方向に延伸し、積層体L2mmを貫通する下部メモリホールLMHを形成する。尚、ソース層SLがシリコン単結晶である場合に、エピタキシャルシリコン層70をソース層SL上に成長させることができる。ソース層SLが他の導電材料である場合には、エピタキシャルシリコン層70は省略され得る。また、ソース層SLと下部メモリホールLMHとの接続構造については、これに限定されず、他の任意の構造でもよい。
【0081】
次に、下部メモリホールLMHの底部にエピタキシャルシリコン層70を形成する。エピタキシャルシリコン層70は、高濃度不純物を含有するシリコン層であり、ソース層SLに電気的に接続される。
【0082】
次に、下部メモリホールLMHの内壁にメモリ膜220Lおよび半導体ボディ210Lを形成する。例えば、下部メモリホールLMHの内壁に、カバー絶縁膜221L、電荷蓄積膜222Lおよびトンネル絶縁膜223Lをこの順番に堆積する。次に、トンネル絶縁膜223Lの内壁に、半導体ボディ210Lを成膜する。次に、下部メモリホールLMHの側壁にあるメモリ膜220Lおよび半導体ボディ210Lを残置させたまま、下部メモリホールLMHの底部にあるメモリ膜220Lおよび半導体ボディ210Lを除去する。
【0083】
次に、下部メモリホールLMH内および半導体ボディ210Lの上面にコア層230Lを成膜する。コア層230Lは、下部メモリホールLMHの内部スペースを埋め込むように成膜する。コア層230Lは、例えば、シリコン酸化物を含み、絶縁性である。これにより、図14に示す構造が得られる。
【0084】
次に、図15に示すように、中間膜50の上面と、中間膜50の側面の少なくとも一部とが露出するように、メモリ膜220L、半導体ボディ210Lおよびコア層230Lの一部を除去する。このとき、半導体ボディ210Lおよびコア層230Lは、それらの上面がメモリ膜220Lの上面よりも低くなるまで除去する。これにより、図15に示す構造が得られる。
【0085】
次に、図16に示すように、メモリ膜220L、半導体ボディ210Lおよびコア層230Lの上方に、中間膜50同士の隙間を埋めるように、電極胴体部60と、電極部61Lを埋め込む。電極胴体部60と、電極部61Lの形成方法としては、例えば、不純物(例えば、リン(P))がドープされたシリコン膜を中間膜50、ならびにメモリ膜220L、半導体ボディ210Lおよびコア層230Lの上方に成膜し、中間膜50上のシリコン膜を除去する方法が適用可能である。このとき、電極胴体部60の上面の位置は、中間膜50の上面の位置と略同一とするとよい。
【0086】
次に、図17に示すように、中間膜50および電極胴体部60上に、残りの中間膜50を形成した上で、その上に、複数の犠牲膜21dと複数の絶縁膜22とをZ方向に交互に積層する。これにより、上部アレイU2mの領域に、犠牲膜21dと絶縁膜22との積層体U2mmが形成される。積層体U2mmの犠牲膜21dおよび絶縁膜22はそれぞれ、積層体L2mmの犠牲膜21dおよび絶縁膜22のそれぞれと同一材料でよい。積層体U2mmの犠牲膜21dは、Z方向に積層され、互いに絶縁膜22によって離隔されている。尚、積層体U2mmの犠牲膜21dは、後の工程において、導電層21aに置換される。
【0087】
次に、絶縁膜55を積層体U2mm上に形成する。
【0088】
次に、図17に示すように、リソグラフィ技術およびRIE法等を用いて、絶縁膜55および積層体U2mm、ならびに中間膜50の一部の中に、Z方向に延伸し、積層体U2mmを貫通する上部メモリホールUMHを形成する。上部メモリホールUMHは、電極胴体部60に達するように形成される。これにより、図17に示す構造が得られる。
【0089】
次に、上部メモリホールUMHの内壁にメモリ膜220Uを形成する。例えば、上部メモリホールUMHの内壁に、カバー絶縁膜221U、電荷蓄積膜222Uおよびトンネル絶縁膜223Uをこの順番に堆積する。次に、メモリ膜220Uをエッチバックすることによって、上部メモリホールUMHの側壁にあるメモリ膜220Uを残置させたまま、上部メモリホールUMHの底部にあるメモリ膜220Uを除去し、電極胴体部60の上面を露出させる。これにより、図18に示す構造が得られる。
【0090】
次に、図19に示すように、電極胴体部60上に、電極部61Uを形成する。電極部61Uの形成方法としては、シリコンの選択成長を適用できる。例えば、不純物がドープされたシリコンからなる電極胴体部60を、選択成長させることで、エピタキシャルシリコン層からなる電極部61Uを形成できる。これにより、図19に示す構造が得られる。
【0091】
次に、メモリ膜220Uの内壁に、半導体ボディ210U、コア層230Uを順に体積させることで、上部アレイU2mが得られる。
最後に、得られた上部アレイU2mおよび下部アレイL2mを、アニールすることで、電極部61L,61U内の不純物を半導体ボディ210L,210Uそれぞれに熱拡散させる。これにより、不純物拡散領域62L,62Uが形成される。
【0092】
その後、図示しないが、層間絶縁膜、コンタクト、配線層(ビット線BL等)を形成し、さらに、犠牲膜21dを導電層21にリプレースすることによって、本実施形態による半導体記憶装置100が製造される。尚、基体部1のCMOS回路は、別の基板に形成し、積層体L2mm、U2mmを有する基板とCMOS回路を有する基板とを貼合して、半導体記憶装置100が形成されてもよい。
【0093】
以上、第1実施形態の半導体記憶装置100について説明したが、半導体記憶装置100を構成する各要素の平面レイアウトは、図3、4に示すレイアウトに限らず、その他のレイアウトであってもよい。例えば、1つのブロックBLK内に配置される柱状部CLの個数及び配置は、適宜変更されうる。
【0094】
第1実施形態に係る半導体記憶装置100は、ジョイント部JTに、GIDL生成用の電極部61を設け、かつ、電極部61からチャネルとなる半導体ボディ210に向かう不純物拡散領域62を設けた構造を有する。そのため、電極部61を、GIDL電流をアシストするためのGIDL生成電極として作用させることができ、安定したGIDL消去特性を発揮させることができる。また、従来より、セル特性改善のためにチャネル(半導体ボディ)の薄膜化が要求されているが、チャネルを薄膜化すると、セル特性は向上する一方、GIDL電流が減少し、GIDL消去特性が劣化してしまう問題があった。しかし、本実施形態に係る半導体記憶装置100によれば、上部アレイと下部アレイとの間に、GIDL生成用の電極部61を設けることで、安定したGIDL電流の供給が可能となり、結果、電気的特性の向上を図ることができる。
【0095】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、下部アレイL2mと上部アレイU2mとの間において、電極胴体部60と電気的に接続された導電層90が設けられている点で第1実施形態と異なる。「導電層90」は第3導電層の一例である。第2実施形態の構成は、以下に説明する以外、第1実施形態の構成と同様である。
【0096】
図21は、第2実施形態の電極胴体部60および電極部61U,Lの近傍、すなわち上部アレイU2mと下部アレイL2mとの間のジョイント部JT近傍の構成例を示す拡大断面図である。上部アレイU2mと下部アレイL2mとの間のジョイント部JTには、第1実施形態と同様に、中間膜50、電極胴体部60および電極部61U,61Lが設けられている。電極部61U,61Lは、いずれか一方のみで構成されてもよい。
【0097】
中間膜50は、柱状部CLの中心から離れる方向(X方向、Y方向)に後退している。即ち、ジョイント部JTにおいて、中間膜50は、上部アレイU2mおよび下部アレイL2mよりもX方向および/またはY方向に窪んでおり、窪みRCSを形成している。電極胴体部60は、第1実施形態と同様に、窪みRCSに埋め込まれている。
【0098】
導電層90は、Z方向から見た平面視(X-Y平面)において、電極胴体部60の側面からX方向およびY方向に沿って広がる層状の導電膜である。導電層90は、電極胴体部60と接続している。導電層90は、中間膜50内に埋め込まれおり、その表面(上面および下面)は、導電層21a、21bとは電気的に分離している。導電層90は、導電性金属、例えば、タングステンを含む。
【0099】
本実施形態では、導電層90は、電極胴体部60を介して電極部61L,61Uに電圧を印可するための導電層として機能する。
【0100】
図22は、第2実施形態の半導体記憶装置100Aの消去動作を説明するための断面図である。図22に示す例では、ブロック消去を例に挙げて説明する。
第2実施形態の半導体記憶装置100Aでも、第1実施形態と同様に、ドレイン側選択トランジスタSTD及びソース側選択トランジスタSTSの少なくとも一つの選択トランジスタのゲートとドレインとの間に加え、電極部61とその近傍のワード線(導電層21)との間にも逆バイアス電圧を印加して、GIDLを発生させることにより、消去動作を行う。第1実施形態の半導体記憶装置100の場合では、電極部61に直接に電圧を印可することが厳しいため、電極部61に隣接するダミーワード線WLDU0、WLDL0に電圧Vera(20V程度)を印可することで、容量カップリングによって、各電極部61に所定の電圧(10V程度)を印加する。一方、第2実施形態の半導体記憶装置100Aの場合は、電極胴体部60に接続された導電層90に直接に電圧Vera(20V程度)を印可することで、各電極部61に所定の電圧(10V程度)を印加する。これにより、より安定して消去動作を実行できる。なお、第2実施形態の半導体記憶装置100Aの場合も、柱状部CLの各構成要素の劣化を防止するために、導電層90に近い位置の導電層21の一部には、ダミーワード線WLDL,WLDUとして、Veraとワード線WLに印加する電圧の中間電位(例えば、10V程度)が印加されるとよい。ただし、ダミーワード線WLDL,WLDUの本数は限定されない。
【0101】
次に、第2実施形態の半導体記憶装置100Aの製造方法を説明する。図23図29は、第2実施形態の半導体記憶装置100Aの製造方法を示す断面図である。
【0102】
まず、図23に示すように、第1実施形態と同様に、基体部1の上方に、複数の犠牲膜21dと複数の絶縁膜22とをZ方向に交互に積層することにより、下部アレイL2mの領域に、犠牲膜21dと絶縁膜22との積層体L2mmが形成される。
【0103】
次に、積層体L2mm上に中間膜50の一部を成膜した後に、この中間膜50上に導電層90を形成する。導電層90は、導電性金属、例えば、タングステンを含む。次いで、導電層90上に、残りの中間膜50を成膜する。
【0104】
次に、第1実施形態と同様に、リソグラフィ技術およびRIE法等を用いて、中間膜50、導電層90、ならびに積層体L2mm内にZ方向に延伸し、積層体L2mmを貫通する下部メモリホールLMHを形成する。
【0105】
次に、下部メモリホールLMHの底部にエピタキシャルシリコン層70を形成し、さらに、下部メモリホールLMHの内壁にメモリ膜220Lおよび半導体ボディ210Lを形成する。次いで、下部メモリホールLMHの側壁にあるメモリ膜220Lおよび半導体ボディ210Lを残置させたまま、下部メモリホールLMHの底部にあるメモリ膜220Lおよび半導体ボディ210Lを除去する。
【0106】
次に、下部メモリホールLMH内および半導体ボディ210Lの上面にコア層230Lを成膜する。コア層230Lは、下部メモリホールLMHの内部スペースを埋め込むように成膜する。これにより、図23に示す構造が得られる。
【0107】
以降は、図24図29に示すように、第1実施形態と同様の方法を実施することで、第2実施形態の半導体記憶装置100Aを製造できる。
【0108】
このような第2実施形態の構成によっても、第1実施形態と同様に、電極部61を、GIDL電流をアシストするためのGIDL生成電極として作用させることができ、安定したGIDL消去特性を発揮させることができ、結果、半導体記憶装置100Aの電気的特性の向上を図ることができる。また、第2実施形態は、電極胴体部60に隣接した導電層90を備える。そのため、この導電層90に直接に電圧Veraを印可することができ、結果、より安定した消去動作が期待される。
【0109】
以上、いくつかの実施形態について説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、メモリ膜は、分極の方向によりデータを記憶するFeFET(Ferroelectric FET)メモリに含まれる強誘電体膜であってもよい。強誘電体膜は、例えば、ハフニウム酸化物で形成される。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0111】
21…導電層(第1導電層、第2導電層)、22…絶縁膜、60…電極胴体部、61…電極部、62…不純物拡散領域、90…導電層(第3導電層)、100、100A…半導体記憶装置、222…電荷蓄積膜(第1電荷蓄積膜、第2電荷蓄積膜)、210…半導体ボディ(第1半導体層、第2半導体層)、CL…柱状部(第1柱状部、第2柱状部)、L2m…下部アレイ(第1積層体)、U2m…上部アレイ(第2積層体)。
図1
図2
図3
図4
図5
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