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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004685
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20240110BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B25J9/06 D
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104436
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】改野 重幸
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS03
3C707BS15
3C707BS26
3C707BT11
3C707ES17
3C707HS27
3C707NS09
5F131DA05
5F131DA42
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
5F131DD42
5F131DD73
(57)【要約】
【課題】搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、上下方向に間隔をあけた状態で重なるように収容部に収容される複数枚の搬送対象物の上下方向の間隔が狭くなっていても、収容部からの搬送対象物の搬出や収容部への搬送対象物の搬入を行うことが可能な産業用ロボットを提供する。
【解決手段】この産業用ロボットは、搬送対象物2の端部に係合する係合部を有する第1ハンド5と、搬送対象物2が載置される載置部6aを有する第2ハンド6とを備えている。第1ハンド5は、搬送対象物2が収容される収容部から載置部6aに載置可能な位置まで収容部に収容される搬送対象物2を引き出す引出動作、および、載置部6aに載置されていた搬送対象物2を収容部に収容される位置まで押し込む押込動作の少なくともいずれか一方を行っている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、
前記搬送対象物の端部に係合する係合部を有する第1ハンドと、前記搬送対象物が載置される載置部を有する第2ハンドとを備え、
前記第1ハンドは、前記搬送対象物が収容される収容部から前記載置部に載置可能な位置まで前記収容部に収容される前記搬送対象物を引き出す引出動作、および、前記載置部に載置されていた前記搬送対象物を前記収容部に収容される位置まで押し込む押込動作の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記第1ハンドが先端側に回動可能に連結される第1アームと、前記第2ハンドが先端側に回動可能に連結される第2アームと、前記第1アームの基端側および前記第2アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記第1ハンドは、水平方向に直線的に移動し、
前記収容部に対する前記第1ハンドの移動方向の一方側を手前側とし、手前側の反対側を奥側とすると、
前記産業用ロボットは、前記収容部の手前側に配置され、
前記係合部は、前記引出動作時および前記押込動作時に、前記搬送対象物の手前側の端部に係合し、
前記第2ハンドは、前記引出動作時および前記押込動作時に、前記収容部の手前側で前記載置部が前記収容部に隣接する位置で停止していることを特徴とする請求項2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記係合部は、前記搬送対象物の端部を把持する把持機構を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記第1ハンドは、水平方向に直線的に移動し、
前記第1ハンドの移動方向と上下方向とに直交する方向を第1方向とすると、
前記把持機構は、前記第1方向における前記搬送対象物の中心部分を把持し、
前記載置部の前記第1方向の両端側には、前記第1方向における前記搬送対象物の両端部が載置される載置面が形成され、
前記載置部の上面の、前記第1方向における2個の前記載置面の間の部分は、前記載置面よりも下側に配置されていることを特徴とする請求項4記載の産業用ロボット。
【請求項6】
前記第1ハンドは、水平方向に直線的に移動し、
前記第1ハンドの移動方向と上下方向とに直交する方向を第1方向とすると、
前記載置部には、前記第1方向において前記搬送対象物の移動を規制するガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送するための産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平板状に形成される搬送対象物を搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載される2個のハンドと、2個のハンドのそれぞれが先端側に回動可能に連結される2本のアームと、2本のアームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。ハンドは、アームの先端側に回動可能に連結されるハンド基部と、ハンド基部から水平方向に伸びる複数のフォークとを備えている。搬送対象物は、フォークに載置される。
【0003】
特許文献1に記載の産業用ロボットは、複数枚の搬送対象物が収容される収容カセットから搬送対象物を搬出したり、収容カセットに搬送対象物を搬入したりする。収容カセットには、複数枚の搬送対象物が上下方向に間隔をあけた状態で重なるように収容されている。収容カセットからの搬送対象物の搬出時には、上下方向で重なるように収容カセットに収容されている搬送対象物の間にハンドのフォークが入り込み(すなわち、収容カセットの奥側までフォークが入り込み)、搬送対象物を持ち上げて搬出する。また、収容カセットへの搬送対象物の搬入時には、搬送対象物が載置されたフォークが収容カセットの奥側まで入り込んで、搬送対象物を収容カセットの中に置く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-167045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の産業用ロボットの場合、収容カセットに収容される搬送対象物の上下方向の間隔(ピッチ)が狭くなると、ハンドのフォークを収容カセットの奥側まで入れることができなくなって、収容カセットからの搬送対象物の搬出や収容カセットへの搬送対象物の搬入ができなくなるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、上下方向に間隔をあけた状態で重なるように収容部に収容される複数枚の搬送対象物の上下方向の間隔が狭くなっていても、収容部からの搬送対象物の搬出や収容部への搬送対象物の搬入を行うことが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、搬送対象物の端部に係合する係合部を有する第1ハンドと、搬送対象物が載置される載置部を有する第2ハンドとを備え、第1ハンドは、搬送対象物が収容される収容部から載置部に載置可能な位置まで収容部に収容される搬送対象物を引き出す引出動作、および、載置部に載置されていた搬送対象物を収容部に収容される位置まで押し込む押込動作の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の産業用ロボットでは、搬送対象物の端部に係合する係合部を有する第1ハンドは、収容部に収容される搬送対象物を第2ハンドの載置部に載置可能な位置まで収容部から引き出す引出動作、および、第2ハンドの載置部に載置されていた搬送対象物を収容部に収容される位置まで押し込む押込動作の少なくともいずれか一方を行っている。
【0009】
そのため、本発明では、収容部の奥側まで第1ハンドを入れなくても、搬送対象物の端部に係合部が係合している第1ハンドの引出動作によって収容部から引き出された搬送対象物を第2ハンドの載置部に載置して収容部から搬送対象物を搬出したり、搬送対象物の端部に係合部が係合している第1ハンドの押込動作によって、載置部に載置されていた搬送対象物を収容部に搬入したりすることが可能になる。したがって、本発明では、上下方向に間隔をあけた状態で重なるように収容部に収容される搬送対象物の上下方向の間隔が狭くなっていて、収容部の奥側まで第1ハンドおよび第2ハンドを入れることができなくても、収容部からの搬送対象物の搬出や収容部への搬送対象物の搬入を行うことが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、産業用ロボットは、第1ハンドが先端側に回動可能に連結される第1アームと、第2ハンドが先端側に回動可能に連結される第2アームと、第1アームの基端側および第2アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。この場合には、たとえば、第1ハンドは、水平方向に直線的に移動し、収容部に対する第1ハンドの移動方向の一方側を手前側とし、手前側の反対側を奥側とすると、産業用ロボットは、収容部の手前側に配置され、係合部は、引出動作時および押込動作時に、搬送対象物の手前側の端部に係合し、第2ハンドは、引出動作時および押込動作時に、収容部の手前側で載置部が収容部に隣接する位置で停止している。
【0011】
本発明において、係合部は、搬送対象物の端部を把持する把持機構を備えることが好ましい。このように構成すると、引出動作時や押込動作時に把持機構によって搬送対象物の端部を把持することが可能になるため、引出動作や押込動作を行うときの搬送対象物の状態を安定させることが可能になる。また、このように構成すると、載置部に載置された搬送対象物の搬送時に把持機構によって搬送対象物の端部を把持することが可能になるため、載置部に載置された搬送対象物を搬送するときの搬送対象物の状態を安定させることが可能になる。
【0012】
本発明において、たとえば、第1ハンドは、水平方向に直線的に移動し、第1ハンドの移動方向と上下方向とに直交する方向を第1方向とすると、把持機構は、第1方向における搬送対象物の中心部分を把持し、載置部の第1方向の両端側には、第1方向における搬送対象物の両端部が載置される載置面が形成され、載置部の上面の、第1方向における2個の載置面の間の部分は、載置面よりも下側に配置されている。この場合には、第1ハンドが引出動作や押込動作を行うときの、把持機構の構成部品と載置部との干渉を防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、第1ハンドは、水平方向に直線的に移動し、第1ハンドの移動方向と上下方向とに直交する方向を第1方向とすると、載置部には、第1方向において搬送対象物の移動を規制するガイド部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、載置部に載置された搬送対象物を搬送するときの搬送対象物の状態を安定させることが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の産業用ロボットでは、上下方向に間隔をあけた状態で重なるように収容部に収容される複数枚の搬送対象物の上下方向の間隔が狭くなっていても、収容部からの搬送対象物の搬出や収容部への搬送対象物の搬入を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの要部の斜視図である。
図2図1に示す産業用ロボットが使用される製造システムの概略平面図である。
図3図1に示す産業用ロボットの構成を説明するためのブロック図である。
図4図1に示す第1ハンドの構成を説明するための平面図である。
図5図4のE-E方向から係合部の構成を説明するための図である。
図6図1に示す産業用ロボットの、収容部に対する搬送対象物の搬送時の動作を説明するための図である。
図7図1に示す産業用ロボットの、収容部に対する搬送対象物の搬送時の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(産業用ロボットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の要部の斜視図である。図2は、図1に示す産業用ロボット1が使用される製造システム4の概略平面図である。図3は、図1に示す産業用ロボット1の構成を説明するためのブロック図である。
【0018】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、所定の搬送対象物2(図4等参照)を搬送するための水平多関節型のロボットである。搬送対象物2は、たとえば、長方形の平板状に形成されている。また、搬送対象物2は、薄い平板状に形成されている。ロボット1は、複数枚の搬送対象物2が収容される収容部としての収容カセット3がセットされる所定の製造システム4で使用される。ロボット1は、収容カセット3からの搬送対象物2の搬出と、収容カセット3への搬送対象物2の搬入とを行う。
【0019】
収容カセット3に収容される搬送対象物2の厚さ方向は、上下方向(鉛直方向)と一致している。収容カセット3には、複数枚の搬送対象物2が上下方向に間隔をあけた状態で重なるように収容されている。収容カセット3の内部には、搬送対象物2が載置される複数のカセット側載置部が形成されている。収容カセット3に収容される搬送対象物2の上下方向の間隔(ピッチ)は狭くなっている。
【0020】
ロボット1は、2個のハンド5、6と、ハンド5が先端側に回動可能に連結されるアーム7と、ハンド6が先端側に回動可能に連結されるアーム8と、アーム7、8の基端側が回動可能に連結される本体部9と、本体部9の下側部分が収容されるケース体10と、本体部9およびケース体10を水平方向に移動可能に支持する支持部材(図示省略)とを備えている。本形態のハンド5は、第1ハンドであり、ハンド6は、第2ハンドである。また、本形態のアーム7は、第1アームであり、アーム8は、第2アームである。
【0021】
アーム7、8は、水平方向に伸縮する多関節アームである。アーム7、8は、第1アーム部13と第2アーム部14との2個のアーム部によって構成されている。第1アーム部13の基端側は、本体部9に回動可能に連結されている。第1アーム部13の先端側には、第2アーム部14の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部14の先端側には、ハンド5、6が回動可能に連結されている。
【0022】
第1アーム部13は、本体部9よりも上側に配置されている。第2アーム部14は、第1アーム部13よりも上側に配置されている。ハンド5、6は、第2アーム部14よりも上側に配置されている。アーム7の第1アーム部13の基端側とアーム8の第1アーム部13の基端側とは、水平方向において互いに隣接した状態で本体部9に連結されている。また、アーム7とアーム8とは、互いに隣接した状態で配置されており、上下方向において同じ位置に配置されている。
【0023】
水平方向において、本体部9に対する第1アーム部13の回動中心と第1アーム部13に対する第2アーム部14の回動中心との距離と、第1アーム部13に対する第2アーム部14の回動中心と第2アーム部14に対するハンド5、6の回動中心との距離とは等しくなっている。アーム7、8は、ハンド5、6の先端が本体部9から離れるようにアーム7、8が伸びる位置と、ハンド5、6の先端が本体部9に近づくようにアーム7、8が縮む位置との間で水平方向に伸縮可能となっている。
【0024】
本体部9は、ケース体10に対して上下方向を回動の軸方向として回動可能になっている。また、本体部9は、ケース体10に対して昇降可能になっている。ケース体10は、支持部材に対して水平方向に直線的に移動可能となっている。以下の説明では、支持部材に対するケース体10の移動方向(図2等のY方向)を「左右方向」とし、左右方向と上下方向とに直交する図2等のX方向を「前後方向」とする。また、前後方向の一方側である図2等のX1方向側を「前」側または「手前」側とし、その反対側である図2等のX2方向側を「後ろ」側または「奥」側とする。
【0025】
本形態では、たとえば、2個の収容カセット3が左右方向に間隔をあけた状態で配置されている。また、収容カセット3は、ロボット1の後ろ側に配置されている。すなわち、ロボット1は、収容カセット3の手前側に配置されている。長方形状の平板状に形成される搬送対象物2が収容カセット3に収容されているときには、搬送対象物2の長辺の方向が前後方向と略一致し、搬送対象物2の短辺の方向が左右方向と略一致している。
【0026】
また、ロボット1は、アーム7を伸縮させるとともにハンド5を回動させるアーム駆動機構15と、アーム8を伸縮させるとともにハンド6を回動させるアーム駆動機構16と、本体部9を回動させる本体部回動機構17と、本体部9を昇降させる本体部昇降機構18と、ケース体10と一緒に本体部9を水平方向に移動させる水平移動機構19と、ロボット1を制御する制御部20とを備えている。
【0027】
アーム駆動機構15は、駆動源となるモータと、モータの動力をアーム7およびハンド5に伝達する動力伝達機構とを備えている。アーム駆動機構16は、アーム駆動機構15と同様に、駆動源となるモータと、モータの動力をアーム8およびハンド6に伝達する動力伝達機構とを備えている。アーム駆動機構15、16は、制御部20に電気的に接続されている。具体的には、アーム駆動機構15、16のモータ等が制御部20に電気的に接続されている。
【0028】
アーム駆動機構15は、本体部9に対してハンド5が一定方向を向いた状態で水平方向に直線的に移動するようにアーム7を伸縮させるとともにハンド5を回動させる。すなわち、ハンド5は、水平方向に直線的に移動する。アーム駆動機構16は、本体部9に対してハンド6が一定方向を向いた状態で水平方向に直線的に移動するようにアーム8を伸縮させるとともにハンド6を回動させる。すなわち、ハンド6は、水平方向に直線的に移動する。ハンド5とハンド6とは、同じ方向へ直線的に移動する。
【0029】
収容カセット3からの搬送対象物2の搬出時、および、収容カセット3への搬送対象物2の搬入時(以下、「収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時」とする。)には、ハンド5は、一定方向を向いた状態で収容カセット3に対して前後方向に直線的に移動する。また、収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時には、ハンド6は、一定方向を向いた状態で収容カセット3に対して前後方向に直線的に移動する。本形態の前後方向(X方向)は、収容カセット3に対するハンド5、6の移動方向となっている。
【0030】
本体部回動機構17は、上下方向を回動の軸方向としてケース体10に対して本体部9を回動させる。本体部回動機構17は、駆動源となるモータと、モータの動力を本体部9に伝達する動力伝達機構とを備えている。本体部回動機構17は、ケース体10に収容されている。本体部回動機構17は、制御部20に電気的に接続されている。具体的には、本体部回動機構17のモータ等が制御部20に電気的に接続されている。
【0031】
本体部昇降機構18は、ケース体10に対して本体部9を昇降させる。また、本体部昇降機構18は、本体部9と一緒に本体部回動機構17を昇降させる。本体部昇降機構18は、ケース体10に収容されている。本体部昇降機構18は、駆動源となるモータと、モータの動力を本体部9に伝達する動力伝達機構とを備えている。本体部昇降機構18は、制御部20に電気的に接続されている。具体的には、本体部昇降機構18のモータ等が制御部20に電気的に接続されている。
【0032】
水平移動機構19は、支持部材に対してケース体10を左右方向に直線的に移動させる。水平移動機構19は、駆動源となるモータと、モータの動力をケース体10に伝達する動力伝達機構とを備えている。水平移動機構19は、制御部20に電気的に接続されている。具体的には、水平移動機構19のモータ等が制御部20に電気的に接続されている。
【0033】
(ハンドの構成)
図4は、図1に示すハンド5の構成を説明するための平面図である。図5は、図4のE-E方向から係合部23の構成を説明するための図である。
【0034】
上述のように、ハンド5、6は、本体部9に対して水平方向に直線的に移動する。また、ハンド5とハンド6とは、本体部9に対して同じ方向へ直線的に移動する。以下の説明では、ハンド5、6の移動方向と上下方向とに直交する方向を第1方向とする。収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時には、第1方向は左右方向と一致している。
【0035】
ハンド5は、搬送対象物2の端部に係合する係合部23を備えている。係合部23は、ハンド5の先端部を構成している。アーム7には、ハンド5の基端部が連結されている。係合部23は、搬送対象物2の端部を把持する把持機構24を備えている。把持機構24は、たとえば、搬送対象物2の端部を上下方向で挟んで把持する上側把持部材25および下側把持部材26と、上側把持部材25を昇降させる把持部材昇降機構27(図3参照)とを備えている。上側把持部材25は、把持機構24に把持される搬送対象物2の端部の上側に配置され、下側把持部材26は、把持機構24に把持される搬送対象物2の端部の下側に配置されている。搬送対象物2の端部は、下側把持部材26の上面に載置される。
【0036】
把持部材昇降機構27は、上側把持部材25が搬送対象物2の端部の上面に接触して把持機構24が搬送対象物2を把持する把持位置(図5の実線で示す位置)と、上側把持部材25が搬送対象物2の端部の上面から離れて退避する退避位置(図5の二点鎖線で示す位置)との間で上側把持部材25を昇降させる。把持部材昇降機構27は、モータ、ソレノイドまたはエアシリンダ等の駆動源と、駆動源の動力を上側把持部材25に伝達する動力伝達機構とを備えている。把持部材昇降機構27は、制御部20に電気的に接続されている。具体的には、把持部材昇降機構27の駆動源等が制御部20に電気的に接続されている。なお、把持部材昇降機構27は、上側把持部材25と下側把持部材26との2個の把持部材を昇降させても良い。
【0037】
上述のように、収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時には、ハンド5は、一定方向を向いた状態で収容カセット3に対して前後方向に直線的に移動する。収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時には、係合部23は、ハンド5の後端部を構成しており、搬送対象物2の前端部(手前側の端部)に係合する。すなわち、収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時には、把持機構24は、搬送対象物2の前端部を把持する。
【0038】
第1方向における上側把持部材25および下側把持部材26の幅(すなわち、収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時における上側把持部材25および下側把持部材26の左右方向の幅)は、搬送対象物2の短辺方向の幅よりも狭くなっている。収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時には、上側把持部材25および下側把持部材26は、搬送対象物2の前端部の左右方向の中心部分を把持する。すなわち、把持機構24は、第1方向における搬送対象物2の中心部分を把持する。
【0039】
ハンド6は、搬送対象物2が載置される載置部6aを備えている。載置部6aは、ハンド6の先端部を構成している。アーム8には、ハンド6の基端部が連結されている。第1方向における載置部6aの中心と第1方向における係合部23の中心とは、第1方向において同じ位置に配置されている。上述のように、収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時には、ハンド6は、一定方向を向いた状態で収容カセット3に対して前後方向に直線的に移動する。収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時には、載置部6aは、ハンド6の後端部を構成している。
【0040】
載置部6aには、搬送対象物2の短辺方向の端部が載置される載置面6bが形成されている。載置面6bは、第1方向の両端側の2箇所に形成されている。すなわち、載置部6aの第1方向の両端側(すなわち、収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時における載置部6aの左右方向の両端側)には、第1方向における搬送対象物2の両端部が載置される載置面6bが形成されている。載置面6bは、上下方向に直交する平面となっている。載置面6bには、搬送対象物2の下面が接触する。載置面6bは、ハンド6の移動方向に細長い長方形状に形成されている。載置面6bの長辺の方向の長さは、搬送対象物2の長辺の方向の長さよりも短くなっている。
【0041】
ハンド6の上面の、第1方向における2個の載置面6bの間の部分である先端側上面6cは、載置面6bよりも下側に配置される平面となっている。すなわち、ハンド6の上面の、第1方向における2個の載置面6bの間の部分は、載置面6bよりも下側に配置されている。先端側上面6cは、上下方向に直交する平面となっている。ハンド6の、載置部6aを除いた部分の上面は、上下方向において先端側上面6cと同じ位置に配置されている。ハンド6の、載置部6aを除いた部分の上面は、上下方向に直交する平面となっており、先端側上面6cに繋がっている。
【0042】
また、載置部6aには、第1方向において搬送対象物2の移動を規制する(すなわち、搬送対象物2の短辺の方向において搬送対象物2の移動を規制する)ガイド部6dが形成されている。ガイド部6dは、第1方向における載置部6aの両端の2箇所に形成されている。ガイド部6dは、第1方向における載置面6bの外側に形成されている。ガイド部6dは、上側に向かって突出している。ガイド部6dには、搬送対象物2の、長辺に平行な端面が接触可能となっている。
【0043】
(産業用ロボットの動作)
図6図7は、図1に示すロボット1の、収容カセット3に対する搬送対象物2の搬送時の動作を説明するための図である。
【0044】
ロボット1が収容カセット3から搬送対象物2を搬出するときには、ハンド5は、収容カセット3に収容される搬送対象物2を、ハンド6の載置部6aに載置可能な位置まで収容カセット3から引き出す引出動作を行う。引出動作では、ハンド5は、係合部23が前端部に係合している搬送対象物2を収容カセット3から引き出す。
【0045】
引出動作では、まず、図6(A)に示す所定の待機位置に配置されるハンド5が、把持機構24による搬送対象物2の前端部(手前側の端部)の把持が可能な位置まで収容カセット3に向かって後ろ側(奥側)に移動する(図6(B)参照)。すなわち、搬送対象物2の前端部を把持機構24が把持可能な位置までアーム7が伸びる。その後、把持機構24によって搬送対象物2の前端部を把持する(図6(B)参照)。すなわち、係合部23は、引出動作時に、搬送対象物2の手前側の端部に係合する。
【0046】
ハンド5の移動前または移動時あるいは移動後には、図6(A)に示す所定の待機位置に配置されるハンド6も収容カセット3に向かって後ろ側に移動する。具体的には、収容カセット3の前側で載置部6aが収容カセット3に隣接する位置までハンド6が後ろ側に移動して停止する。すなわち、ハンド6は、引出動作時に、収容カセット3の手前側で載置部6aが収容カセット3に隣接する位置で停止しており、収容カセット3のすぐ前側で待機している。このときには、ハンド6の載置面6bは、上下方向において、搬出される搬送対象物2の下面と同じ位置に配置されている。
【0047】
その後、搬送対象物2を把持するハンド5が前側に向かって移動して(すなわち、アーム7が縮んで)、収容カセット3から前側へ搬送対象物2を引き出す。搬送対象物2を把持するハンド5が前側に移動すると、やがて、搬送対象物2の前端部が載置部6aの載置面6bに載置される。その後、さらに、ハンド5は、搬送対象物2の後端部が載置面6bに載置されるまで前側に移動する。この動作が完了すると、ハンド5による引出動作が完了する。
【0048】
搬送対象物2の後端部が載置面6bに載置されて、ハンド5による引出動作が完了すると、ハンド5とハンド6とが一緒に前側に移動する(図7参照)。すなわち、アーム7、8が縮む。たとえば、図7に示す位置まで、ハンド5、6が一緒に前側に移動する。このときには、把持機構24は、搬送対象物2の前端部を把持している。その後、ロボット1は、本体部9の回動動作、本体部9の昇降動作、本体部9の水平移動動作およびアーム7、8の伸縮動作等を行って、収容カセット3から搬出した搬送対象物2を所定位置まで搬送する。このときには、把持機構24は、搬送対象物2の端部を把持している。
【0049】
また、ロボット1が収容カセット3に搬送対象物2を搬入するときには、ハンド5は、載置部6aに載置されていた搬送対象物2を収容カセット3に収容される位置まで押し込む押込動作を行う。押込動作では、ハンド5は、係合部23が前端部に係合している搬送対象物2を収容カセット3に押し込む。すなわち、係合部23は、押込動作時に、搬送対象物2の手前側の端部に係合している。
【0050】
押込動作の前には、たとえば、図7に示す位置に配置されるハンド5、6が一緒に収容カセット3に向かって後ろ側に移動する。具体的には、収容カセット3の前側で載置部6aが収容カセット3に隣接する位置までハンド5、6が一緒に後ろ側に移動する。このときには、把持機構24は、搬送対象物2の前端部を把持している。その後、ハンド6は、停止する。すなわち、ハンド6は、押込動作時に、収容カセット3の手前側で載置部6aが収容カセット3に隣接する位置で停止している。このときには、ハンド6の載置面6bは、上下方向において、搬入される搬送対象物2が載置される収容カセット3の載置面(カセット側載置部の載置面)と同じ位置に配置されている。
【0051】
その後の押込動作では、ハンド5は、さらに後ろ側に移動して、搬送対象物2の前端部が収容カセット3の前端部に載る位置まで搬送対象物2を後ろ側(奥側)に押し込む。すなわち、ハンド5は、搬送対象物2が収容カセット3に収容される位置まで搬送対象物2を奥側に押し込む。その後、ハンド5は、把持機構24による搬送対象物2の把持状態を解除する。搬送対象物2の把持状態が解除されると、ハンド5による押込動作が完了する。その後、ハンド5、6は、たとえば、前側に移動する。
【0052】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、搬送対象物2の前端部に係合する係合部23を有するハンド5は、収容カセット3に収容される搬送対象物2を、ハンド6の載置部6aに載置可能な位置まで収容カセット3から引き出す引出動作と、載置部6aに載置されていた搬送対象物2を収容カセット3に収容される位置まで押し込む押込動作とを行っている。
【0053】
そのため、本形態では、収容カセット3の奥側までハンド5を入れなくても、搬送対象物2の前端部に係合部23が係合しているハンド5の引出動作によって収容カセット3から引き出された搬送対象物2を載置部6aに載置して収容カセット3から搬送対象物2を搬出することが可能になるとともに、搬送対象物2の前端部に係合部23が係合しているハンド5の押込動作によって、載置部6aに載置されていた搬送対象物2を収容カセット3に搬入することが可能になる。したがって、本形態では、収容カセット3に収容される搬送対象物2の上下方向の間隔が狭くなっていて、収容カセット3の奥側までハンド5、6を入れることができなくても、収容カセット3からの搬送対象物2の搬出を行うことが可能になるとともに、収容カセット3への搬送対象物2の搬入を行うことが可能になる。
【0054】
本形態では、係合部23は、搬送対象物2の端部を把持する把持機構24を備えており、ハンド5による引出動作時およびハンド5による押込動作時に、搬送対象物2の端部は、把持機構24によって把持されている。そのため、本形態では、引出動作や押込動作を行うときの搬送対象物2の状態を安定させることが可能になる。また、本形態では、載置部6aに載置された搬送対象物2の搬送時にも把持機構24によって搬送対象物2の端部が把持されているため、載置部6aに載置された搬送対象物2を搬送するときの搬送対象物2の状態を安定させることが可能になる。
【0055】
本形態では、載置部6aに、第1方向において搬送対象物2の移動を規制するガイド部6dが形成されている。そのため、本形態では、載置部6aに載置された搬送対象物2を搬送するときの搬送対象物2の状態を安定させることが可能になる。また、本形態では、ハンド6の上面の、第1方向における2個の載置面6bの間の部分である先端側上面6cは、載置面6bよりも下側に配置される平面となっているため、ハンド5が引出動作や押込動作を行うときの、下側把持部材26と載置部6aとの干渉を防止することが可能になる。
【0056】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0057】
上述した形態において、載置部6aに載置される搬送対象物2を把持機構24によってより安定した状態で把持することができるのであれば、載置部6aにガイド部6dが形成されていなくても良い。また、上述した形態では、搬送対象物2の端部は、上側把持部材25と下側把持部材26との2個の把持部材によって上下方向で挟まれることで把持されているが、たとえば、搬送対象物2の短辺の方向の幅が狭い場合には、搬送対象物2の端部は、2個の把持部材によって第1方向で挟まれることで把持されても良い。
【0058】
上述した形態において、係合部23は、把持機構24を備えていなくても良い。この場合には、たとえば、搬送対象物2の端部に係合穴が形成されるとともに、係合部23は、この係合穴に挿入されて係合する係合爪を備えている。この場合には、ハンド5による引出動作時および押込動作時に、搬送対象物2の係合穴に係合部23の係合爪が係合している。また、上述した形態において、ハンド5は、引出動作のみを行っても良いし、押込動作のみを行っても良い。また、上述した形態において、搬送対象物2は、長方形以外の形状の平板状に形成されていても良い。たとえば、搬送対象物2は、正方形の平板状に形成されていても良いし、円板状に形成されていても良い。
【0059】
上述した形態では、アーム7とアーム8とは、上下方向において同じ位置に配置されており、水平方向において互いに隣接しているが、たとえば、特開2021-167041号公報に開示されているように、アーム7とアーム8とが上下方向において互いにずれた位置に配置されていても良い。また、上述した形態では、ロボット1は、2本のアーム7、8を備えているが、ロボット1は、2個のハンド5、6が先端側に回動可能に連結される1本のアームを備えていても良い。この場合には、たとえば、特開2018-89739号公報に開示されているように、アームは、3個のアーム部によって構成されていても良いし、2個のアーム部によって構成されていても良い。また、ロボット1は、たとえば、特開2019-25587号公報に開示されているように、2個のハンド5、6が水平方向の同じ方向へ直線的に移動可能となるように2個のハンド5、6を保持する1個のアームを備えていても良い。
【0060】
(本技術の構成)
なお、本技術は以下のような構成を取ることが可能である。
(1)搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、
前記搬送対象物の端部に係合する係合部を有する第1ハンドと、前記搬送対象物が載置される載置部を有する第2ハンドとを備え、
前記第1ハンドは、前記搬送対象物が収容される収容部から前記載置部に載置可能な位置まで前記収容部に収容される前記搬送対象物を引き出す引出動作、および、前記載置部に載置されていた前記搬送対象物を前記収容部に収容される位置まで押し込む押込動作の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする産業用ロボット。
(2)前記第1ハンドが先端側に回動可能に連結される第1アームと、前記第2ハンドが先端側に回動可能に連結される第2アームと、前記第1アームの基端側および前記第2アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えることを特徴とする(1)記載の産業用ロボット。
(3)前記第1ハンドは、水平方向に直線的に移動し、
前記収容部に対する前記第1ハンドの移動方向の一方側を手前側とし、手前側の反対側を奥側とすると、
前記産業用ロボットは、前記収容部の手前側に配置され、
前記係合部は、前記引出動作時および前記押込動作時に、前記搬送対象物の手前側の端部に係合し、
前記第2ハンドは、前記引出動作時および前記押込動作時に、前記収容部の手前側で前記載置部が前記収容部に隣接する位置で停止していることを特徴とする(2)記載の産業用ロボット。
(4)前記係合部は、前記搬送対象物の端部を把持する把持機構を備えることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の産業用ロボット。
(5)前記第1ハンドは、水平方向に直線的に移動し、
前記第1ハンドの移動方向と上下方向とに直交する方向を第1方向とすると、
前記把持機構は、前記第1方向における前記搬送対象物の中心部分を把持し、
前記載置部の前記第1方向の両端側には、前記第1方向における前記搬送対象物の両端部が載置される載置面が形成され、
前記載置部の上面の、前記第1方向における2個の前記載置面の間の部分は、前記載置面よりも下側に配置されていることを特徴とする(4)記載の産業用ロボット。
(6)前記第1ハンドは、水平方向に直線的に移動し、
前記第1ハンドの移動方向と上下方向とに直交する方向を第1方向とすると、
前記載置部には、前記第1方向において前記搬送対象物の移動を規制するガイド部が形成されていることを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の産業用ロボット。
【符号の説明】
【0061】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 搬送対象物
3 収容カセット(収容部)
5 ハンド(第1ハンド)
6 ハンド(第2ハンド)
6a 載置部
6b 載置面
6d ガイド部
7 アーム(第1アーム)
8 アーム(第2アーム)
9 本体部
23 係合部
24 把持機構
X 収容部に対する第1ハンドの移動方向
X1 手前側
X2 奥側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7