IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

特開2024-46870露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法
<>
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図1
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図2
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図3
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図4
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図5
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図6
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図7
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図8
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図9
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図10
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図11
  • 特開-露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046870
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】露光装置および露光装置におけるビーム間隔計測方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152206
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】川島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】水端 稔
(72)【発明者】
【氏名】磯 大介
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA28
2H197CC05
2H197CC11
2H197DA03
2H197DA09
2H197DC02
2H197DC14
2H197HA02
2H197HA03
2H197HA04
(57)【要約】
【課題】露光ヘッドの数が多くなった場合でもステージの移動ストロークを大きくする必要がなく、またそれを低コストで実現することのできる技術を提供する。
【解決手段】本発明に係る露光装置は、基板を水平姿勢で支持するステージと、水平な第1方向に配列された3以上の露光ヘッドの各々がステージに向けて露光ビームを落射する露光部と、ステージを水平方向に移動させて、基板に対して露光ビームを走査させる走査移動部と、露光ヘッドの各々から出射される露光ビーム間の間隔を計測する計測部とを備える露光装置である。計測部は、露光ビームを受光する受光器と、ステージと一体的に設けられて受光器を支持するとともに、ステージに対して受光器を前記第1方向に移動可能な受光器支持部と、複数の露光ヘッドの各々が出射する露光ビーム間の間隔を算出する間隔算出部とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光ビームを各々出射する3以上の露光ヘッドが第1方向に沿って配列された露光部に対し、基板を保持するステージを走査移動部により走査移動させて前記基板を露光する露光装置における、前記露光ヘッドの各々が出射する前記露光ビーム間の間隔を計測するビーム間隔計測方法であって、
前記走査移動部により受光器を前記ステージと一体的に移動させて、前記露光ヘッドのうちの第1の露光ヘッドから出射される前記露光ビームが入射する位置と、前記露光ヘッドのうちの第2の露光ヘッドから出射される前記露光ビームが入射する位置とのそれぞれで、前記受光器により前記露光ビームを受光する第1工程と、
前記第1の露光ヘッドから前記受光器へ入射する前記露光ビームの入射位置、前記第2の露光ヘッドから前記受光器へ入射する前記露光ビームの入射位置、および、前記走査移動部による前記受光器の移動量に基づき、前記第1の露光ヘッドと前記第2の露光ヘッドのそれぞれが出射する前記露光ビームの間の間隔を求める第2工程と、
前記ステージに対して前記受光器を、前記第1方向に沿って、前記露光ヘッドのうちの第3の露光ヘッド側へ移動させる第3工程と、
前記走査移動部により前記受光器を前記ステージと一体的に移動させて、前記第2の露光ヘッドから出射される前記露光ビームが入射する位置と、前記第3の露光ヘッドから出射される前記露光ビームが入射する位置とのそれぞれで、前記受光器により前記露光ビームを受光する第4工程と、
前記第2の露光ヘッドから前記受光器へ入射する前記露光ビームの入射位置、前記第3の露光ヘッドから前記受光器へ入射する前記露光ビームの入射位置、および、前記走査移動部による前記受光器の移動量に基づき、前記第2の露光ヘッドと前記第3の露光ヘッドのそれぞれが出射する前記露光ビームの間の間隔を求める第5工程と
を備える、ビーム間隔計測方法。
【請求項2】
前記受光器が前記露光ビームの像を撮像するカメラであり、前記第2工程および前記第5工程では、撮像された画像中における前記露光ビームの像の位置から前記入射位置が求められる、請求項1に記載のビーム間隔計測方法。
【請求項3】
前記第2工程および前記第5工程では、異なる前記露光ヘッドについての撮像により取得された複数の画像間での前記入射位置の差と、前記走査移動部による前記受光器の移動量の和とに基づき前記間隔を求める、請求項2に記載のビーム間隔計測方法。
【請求項4】
前記露光ヘッドの各々は、所定のテストパターンに対応させた前記露光ビームを出射する、請求項1ないし3のいずれかに記載のビーム間隔計測方法。
【請求項5】
基板を水平姿勢で支持するステージと、
水平な第1方向に配列された3以上の露光ヘッドを有し、前記露光ヘッドの各々が前記ステージに向けて露光ビームを落射する露光部と、
前記ステージを水平方向に移動させて、前記基板に対して前記露光ビームを走査させる走査移動部と、
前記露光ヘッドの各々から出射される前記露光ビーム間の間隔を計測する計測部と
を備え、
前記計測部は、
前記露光ビームを受光する受光器と、
前記ステージと一体的に設けられて前記受光器を支持するとともに、前記ステージに対して前記受光器を前記第1方向に移動可能な受光器支持部と、
前記複数の露光ヘッドの各々が出射する前記露光ビーム間の間隔を算出する間隔算出部と
を有する、露光装置。
【請求項6】
前記走査移動部は、前記ステージを支持する支持部材と、前記支持部材を前記第1方向に往復移動させる駆動機構とを有し、
前記受光器支持部が、前記支持部材に取り付けられるとともに前記支持部材に対して前記受光器を移動させる、請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
前記走査移動部は、前記第1方向に前記ステージを移動させるステージ移動機構と、前記第1方向における前記ステージの位置を検出する位置検出部とを有する、請求項5に記載の露光装置。
【請求項8】
前記走査移動部は、前記第1方向に直交する方向への主走査移動と、前記第1方向への副走査移動とを実行可能である、請求項5ないし7のいずれかに記載の露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体基板、半導体パッケージ基板、プリント配線基板、ガラス基板等の基板にパターンを描画するために基板を露光する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、半導体パッケージ基板、プリント配線基板、ガラス基板等の各種基板に配線パターン等のパターンを形成する技術として、表面に感光層が形成された基板を被露光物として、露光データに応じて変調された光ビームを入射し、感光層を露光させるものがある。例えば特許文献1には、描画すべきパターンに応じて変調した光ビームを基板に照射することで、基板に所定のパターンを描画する露光装置が記載されている。
【0003】
また、この従来技術では、ステージの側方にカメラを含む観察光学系が設けられている。この観察光学系は、基板に入射させるべき光ビームを受光し、投影光学系のフォーカス調整量の決定や光変調器の較正などに有用な情報を出力するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-068869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の露光装置では、処理のスループットを向上させるために、各々が露光ビームを出射する露光ヘッドを複数設けることが行われるようになってきている。これは、1枚の基板に対して、複数の露光ヘッドで並列的に露光を行うことで処理時間の短縮を図るものである。この場合、1枚の基板への露光を複数の露光ヘッドで分担することとなるため、その境界で不連続が生じないようにする必要がある。
【0006】
このことから、複数の露光ヘッドが所定の間隔を保って配置されていることが求められる。露光ヘッドから出射される光ビームを受光する上記従来技術の観察光学系は、このような間隔を計測する目的にも適用可能であると期待される。しかしながら、次のような問題がある。
【0007】
観察光学系で光ビームを観察する場合、露光ヘッドから出射される光ビームが入射する位置(一般的には露光ヘッドの直下位置)に、観察光学系を移動させる必要がある。ここで、複数の露光ヘッドが一列に配置されている場合、それらに対応する位置に観察光学系を移動させるためには、ステージを大きく移動させる必要が生じる。そうすると、ステージを保持する機構に大きな移動ストロークが必要となり、また移動のためのスペースを確保する必要性から、装置が非常に大型化し高コストになるという問題がある。露光ヘッドの数が多くなるほど、この問題は顕著である。
【0008】
そのため、露光ヘッドの数が多くなった場合にも対応可能であり、しかもコスト上昇を抑えることのできる計測技術が求められる。
【0009】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、露光ヘッドの数が多くなった場合でもステージの移動ストロークを大きくする必要がなく、またそれを低コストで実現することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の一の態様は、露光ビームを各々出射する3以上の露光ヘッドが第1方向に沿って配列された露光部に対し、基板を保持するステージを走査移動部により走査移動させて前記基板を露光する露光装置における、前記露光ヘッドの各々が出射する前記露光ビーム間の間隔を計測するビーム間隔計測方法であって、前記走査移動部により受光器を前記ステージと一体的に移動させて、前記露光ヘッドのうちの第1の露光ヘッドから出射される前記露光ビームが入射する位置と、前記露光ヘッドのうちの第2の露光ヘッドから出射される前記露光ビームが入射する位置とのそれぞれで、前記受光器により前記露光ビームを受光する第1工程と、前記第1の露光ヘッドから前記受光器へ入射する前記露光ビームの入射位置、前記第2の露光ヘッドから前記受光器へ入射する前記露光ビームの入射位置、および、前記走査移動部による前記受光器の移動量に基づき、前記第1の露光ヘッドと前記第2の露光ヘッドのそれぞれが出射する前記露光ビームの間の間隔を求める第2工程と、前記ステージに対して前記受光器を、前記第1方向に沿って、前記露光ヘッドのうちの第3の露光ヘッド側へ移動させる第3工程と、前記走査移動部により前記受光器を前記ステージと一体的に移動させて、前記第2の露光ヘッドから出射される前記露光ビームが入射する位置と、前記第3の露光ヘッドから出射される前記露光ビームが入射する位置とのそれぞれで、前記受光器により前記露光ビームを受光する第4工程と、前記第2の露光ヘッドから前記受光器へ入射する前記露光ビームの入射位置、前記第3の露光ヘッドから前記受光器へ入射する前記露光ビームの入射位置、および、前記走査移動部による前記受光器の移動量に基づき、前記第2の露光ヘッドと前記第3の露光ヘッドのそれぞれが出射する前記露光ビームの間の間隔を求める第5工程とを備えている。
【0011】
このように構成された発明では、複数の露光ヘッドの各々から出射される露光ビームを受光器に入射させてビーム間隔を算出する。具体的には、ステージを走査移動させる走査移動部により、受光器をステージと一体的に移動させて、第1の露光ヘッドおよび第2の露光ヘッドからそれぞれ出射される露光ビームを個別に受光する。このように受光器を移動させて各露光ヘッドからの露光ビームを受光することで、受光器としては比較的小型のものを用いることができる。
【0012】
基板を露光する際の走査移動に用いられる走査移動部は、露光品質を確保するために高い位置精度を有している。このことから、受光器を走査移動部により移動させることで、その移動量を精度よく求めることができると期待される。すなわち、第1の露光ヘッドおよび第2の露光ヘッドからそれぞれ出射された露光ビームを受光したときの露光ビームの受光器への入射位置と、それらの受光に際して受光器を移動させた量がそれぞれ求められることにより、実空間における露光ビーム間の間隔を精度よく求めることができる。
【0013】
引き続き、第2の露光ヘッドと第3の露光ヘッドとの間で露光ビーム間の間隔を求めるのに際しては、予めステージに対して受光器を移動させる。このときの受光器の移動は、露光ヘッドの配列方向である第1方向に沿って、しかも第3の露光ヘッド側に向かう移動である。
【0014】
そして、第2の露光ヘッドと第3の露光ヘッドとのそれぞれから出射される露光ビームを受光するときには、再び走査移動部によって受光器が移動される。このとき、予め受光器をステージに対し第3の露光ヘッドに近い位置に移動させておけば、第3の露光ヘッドに対応する位置へ受光器を移動させる際のステージ移動量はさほど大きくならない。
【0015】
仮に、受光器がステージに対し固定された位置に設けられていたとすれば、全ての露光ヘッドに対応する位置に受光器を移動させるために必要なステージ移動量は非常に大きなものとなる。このことは装置の大型化を招く原因となる。
【0016】
一方、本発明では、ステージに対して受光器が移動可能であり、露光ビームを受光するのに先立って、その対象となる露光ヘッド側へ受光器を移動させておくことができる。そのため、ステージの移動ストロークは小さくて済む。また、露光ビーム間の間隔を求める際に必要な値である受光器の移動量については、高精度な走査移動部を用いて求めることができる一方で、ステージに対する受光器の移動は、単に計測における初期位置を変更するものであり、計測精度に影響しない。このため、高精度で高価な移動機構を用いる必要はなく、装置コストの増加を抑えることができる。装置の大型化を回避できる点を考慮すれば、むしろ装置コストの低減に資するものであるといえる。
【0017】
最も好ましい状態では、ステージの移動ストロークの必要量は、露光ヘッドの配設数に関わらずその配列ピッチと同程度となる。このため、露光ヘッドの数が増えた場合でもステージのストロークを増やす必要はなく、コスト抑制効果は大きい。
【0018】
また、この発明の他の態様は、基板を水平姿勢で支持するステージと、水平な第1方向に配列された3以上の露光ヘッドを有し、前記露光ヘッドの各々が前記ステージに向けて露光ビームを落射する露光部と、前記ステージを水平方向に移動させて、前記基板に対して前記露光ビームを走査させる走査移動部と、前記露光ヘッドの各々から出射される前記露光ビーム間の間隔を計測する計測部とを備え、前記計測部は、前記露光ビームを受光する受光器と、前記ステージと一体的に設けられて前記受光器を支持するとともに、前記ステージに対して前記受光器を前記第1方向に移動可能な受光器支持部と、前記複数の露光ヘッドの各々が出射する前記露光ビーム間の間隔を算出する間隔算出部とを有する、露光装置である。
【0019】
このように構成された発明では、受光器は、走査移動部によるステージと一体の移動と、受光器支持部によりステージに対する移動とが可能である。これらの移動を組み合わせて実行することで、ステージの移動ストロークを増やすことなく、各露光ヘッドから出射される露光ビームを受光器に入射させることが可能となる。また、高い位置精度を必要する計測には走査移動部による移動を適用することで、高い計測精度を確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
上記のように、本発明によれば、計測精度に影響を与える受光器の移動については高精度な走査移動部により行いつつ、これにステージに対する受光器の移動を組み合わせているので、計測に際してステージの移動ストロークを大きくする必要はない。そのため、露光ヘッドの数が多くなっても、露光ビームの間隔を計測する目的のために装置が大型化することはなく、装置コストも抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明にかかる露光装置の概略構成を模式的に示す正面図である。
図2図1の露光装置が備える電気的構成の一例を示すブロック図である。
図3】この露光装置をY方向に見た図である
図4】ステージおよび観察ユニットを示す斜視図である。
図5】ビーム間隔算出処理を示すフローチャートである。
図6】この処理の過程における各部の位置関係を示す図である。
図7】この処理の過程における各部の位置関係を示す図である。
図8】ビーム位置補正処理を示す図である。
図9】2回目のループ処理における各部の位置関係を示す図である。
図10】ステージおよび観察用カメラの移動態様を示す図である。
図11】ビーム間隔算出方法の原理を説明する図である。
図12】変形例におけるステージおよび観察用カメラの移動態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明にかかる露光装置の概略構成を模式的に示す正面図であり、図2図1の露光装置が備える電気的構成の一例を示すブロック図である。図1および以下の図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向、鉛直方向であるZ方向およびZ方向に平行な回転軸を中心とする回転方向θを適宜示す。
【0023】
露光装置1は、レジストなどの感光材料の層が形成された基板S(露光対象基板)に所定のパターンのレーザー光を照射することで、感光材料にパターンを描画する。基板Sとしては、例えば半導体基板、半導体パッケージ基板、プリント配線基板、各種表示装置用のガラス基板などの各種基板を適用可能である。
【0024】
露光装置1は本体11を備え、本体11は、本体フレーム111と、本体フレーム111に取り付けられたカバーパネル(図示省略)とで構成される。そして、本体11の内部と外部とのそれぞれに、露光装置1の各種の構成要素が配置されている。
【0025】
露光装置1の本体11の内部は、処理領域112と受け渡し領域113とに区分されている。処理領域112には、主として、ステージ2、ステージ駆動機構3、露光ユニット4、アライメントユニット5および観察ユニット8が、ベース部100上に配置される。また、本体11の外部には、アライメントユニット5に照明光を供給する照明ユニット6が配置されている。受け渡し領域113には、処理領域112に対して基板Sの搬出入を行う搬送ロボット等の搬送装置7が配置される。さらに、本体11の内部には制御部9が配置されており、制御部9は、露光装置1の各部と電気的に接続されて、これら各部の動作を制御する。
【0026】
本体11の内部の受け渡し領域113に配置された搬送装置7は、図示しない外部の搬送装置または基板保管装置から未処理の基板Sを受け取って処理領域112に搬入(ローディング)するとともに、処理領域112から処理済みの基板Sを搬出(アンローディング)し外部へ払い出す。未処理基板Sのローディングおよび処理済基板Sのアンローディングは制御部9からの指示に応じて搬送装置7により実行される。
【0027】
ステージ2は、平板状の外形を有し、その上面に載置された基板Sを水平姿勢に保持する。ステージ2の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を付与することによって、ステージ2上に載置された基板Sをステージ2の上面に固定する。このステージ2はステージ駆動機構3により駆動される。
【0028】
ステージ駆動機構3は、ステージ2をY方向(主走査方向)、X方向(副走査方向)、Z方向および回転方向θ(ヨー方向)に移動させるX-Y-Z-θ駆動機構である。ステージ駆動機構3は、Y方向に延設された単軸ロボットであるY軸ロボット31と、Y軸ロボット31によってY方向に駆動されるY移動テーブル32と、Y移動テーブル32の上面においてX方向に延設された単軸ロボットであるX軸ロボット33と、X軸ロボット33によってX方向に駆動されるX移動テーブル34と、X移動テーブル34の上面に支持されたステージ2をX移動テーブル34に対して回転方向θに駆動するθ軸ロボット35とを有する。
【0029】
したがって、ステージ駆動機構3は、Y軸ロボット31が有するY軸サーボモーターによってステージ2をY方向に駆動し、X軸ロボット33が有するX軸サーボモーターによってステージ2をX方向に駆動し、θ軸ロボット35が有するθ軸サーボモーターによってステージ2を回転方向θに駆動することができる。これらのサーボモーターについては図示を省略する。また、ステージ駆動機構3は、Z軸ロボット37によってステージ2をZ方向に駆動することができる。かかるステージ駆動機構3は、制御部9からの指令に応じて、Y軸ロボット31、X軸ロボット33、θ軸ロボット35およびZ軸ロボット37を動作させることで、ステージ2に載置された基板Sを移動させる。
【0030】
これらのロボットのうち少なくともY軸ロボット31およびX軸ロボット33には、移動対象物の移動量を検出するための位置センサー311,331が設けられている。位置センサー311,331としては、例えばリニアスケールとリニアエンコーダーとを組み合わせて用いることができるが、これに限定されない。位置センサー311は、Y軸ロボット31によりY方向に移動されるY移動テーブル32のY方向における位置を検出する。また、位置センサー331は、X軸ロボット33によりX方向に移動されるX移動テーブル34のX方向における位置を検出する。これらの位置センサー311,331の出力は制御部9に入力される。
【0031】
露光ユニット4は、ステージ2上の基板Sより上方に配置された露光ヘッド41と、光源駆動部42、レーザー出射部43および照明光学系44を含み露光ヘッド41に対してレーザー光を照射する光照射部40とを有する。露光ユニット4は、X方向に位置を異ならせて複数設けられる。
【0032】
光源駆動部42の作動によりレーザー出射部43から射出されたレーザー光が、照明光学系44を介して露光ヘッド41へと照射される。露光ヘッド41は、光照射部から照射されたレーザー光を空間光変調器(以下、単に「光変調器」ということがある)400によって変調して、その直下を移動する基板Sに対して落射する。こうして基板Sをレーザー光ビームによって露光することで、パターンが基板Sに描画される(露光動作)。
【0033】
アライメントユニット5は、ステージ2上の基板Sより上方に配置されたアライメントカメラ51を有する。このアライメントカメラ51は、鏡筒、対物レンズおよびCCDイメージセンサを有し、その直下を移動する基板Sの上面に設けられたアライメントマークを撮像する。アライメントカメラ51が備えるCCDイメージセンサは、例えばエリアイメージセンサ(二次元イメージセンサ)により構成される。
【0034】
照明ユニット6は、アライメントカメラ51の鏡筒と光ファイバー61を介して接続され、アライメントカメラ51に対して照明光を供給する。照明ユニット6から延びる光ファイバー61によって導かれる照明光は、アライメントカメラ51の鏡筒を介して基板Sの上面に導かれ、基板Sでの反射光が、対物レンズを介してCCDイメージセンサに入射する。これによって、基板Sの上面が撮像されて撮像画像が取得されることになる。アライメントカメラ51は制御部9と電気的に接続されており、制御部9からの指示に応じて撮像画像を取得して、この撮像画像を制御部9に送信する。
【0035】
観察ユニット8は、必要に応じて露光ヘッド41の直下位置に移動して、露光ヘッド41から出射されるレーザー光ビーム(露光ビーム)を受光する。受光結果は制御部9に送信され、各種の調整処理に使用される。この実施形態では、露光ヘッド41のフォーカス調整と、複数の露光ヘッド41からそれぞれ出射される露光ビームの間隔を計測する処理とにおいて、観察ユニット8が使用される。観察ユニット8は、露光ビームにより形成される像を撮像する観察用カメラ81と、観察用カメラ81をX方向に移動させるカメラ駆動機構82とを備えている。
【0036】
制御部9は、アライメントカメラ51により撮像された撮像画像が示すアライメントマークの位置を取得する。また制御部9は、アライメントマークの位置に基づき露光ユニット4を制御することで、露光動作において露光ヘッド41から基板Sに照射するレーザー光のパターンを調整する。そして、制御部9は、描画すべきパターンに応じて変調されたレーザー光を露光ヘッド41から基板Sに照射させることで、基板Sにパターンを描画する。
【0037】
また制御部9は、観察ユニット8から与えられる信号を用いて、露光ヘッド41のフォーカス調整を行う。すなわち、制御部9は、観察ユニット8の観察用カメラ81により受光される露光ビームが最も鮮明な像を結ぶように、露光ヘッド41の投影光学系を調整する。これにより、露光ヘッド41のフォーカス位置が最適化される。制御部9はさらに、露光ヘッド41が複数ある場合において、それらの露光ヘッド41が出射し基板Sに入射する露光ビームの間隔を計測する。この処理については後述する。
【0038】
制御部9は、上記した各ユニットの動作を制御することで各種の処理を実現する。この目的のために、制御部9は、CPU(Central Processing Unit)91、メモリー(RAM)92、ストレージ93、入力部94、表示部95およびインターフェース部96などを備えている。CPU91は、予めストレージ93に記憶されている制御プログラム931を読み出して実行し、後述する各種の動作を実行する。メモリー92はCPU91による演算処理に用いられ、あるいは演算処理の結果として生成されるデータを短期的に記憶する。ストレージ93は各種のデータや制御プログラムを長期的に記憶する。具体的には、ストレージ93は、フラッシュメモリー記憶装置、ハードディスクドライブ装置などの不揮発性記憶装置であり、CPU91が実行する制御プログラム931の他に例えば、描画すべきパターンの内容を表す設計データであるCAD(Computer Aided Design)データ932を記憶している。
【0039】
入力部94は、ユーザーからの操作入力を受け付け、この目的のために、キーボード、マウス、タッチパネル等の適宜の入力デバイス(図示省略)を有している。表示部95は、各種の情報を表示出力することでユーザーに報知し、この目的のために適宜の表示デバイス、例えば液晶表示パネルを有している。インターフェース部96は外部装置との間の通信を司る。例えば、この露光装置1が制御プログラム931およびCADデータ932を外部から受け取る際に、インターフェース部96が機能する。この目的のために、インターフェース部96は、外部記録媒体からデータを読み出すための機能を備えていてもよい。
【0040】
CPU91は、制御プログラム931を実行することにより、露光データ生成部911、露光制御部912、フォーカス制御部913、ステージ制御部914などの機能ブロックをソフトウェア的に実現する。なお、これらの機能ブロックのそれぞれは、少なくとも一部が専用ハードウェアにより実現されてもよい。
【0041】
露光データ生成部911は、ストレージ93から読み出されたCADデータ932に基づき、光ビームをパターンに応じて変調するための露光データを生成する。基板Sに歪み等の変形がある場合には、露光データ生成部911は、基板Sの歪み量に応じて露光データを修正することで、基板Sの形状に合わせた描画が可能となる。露光データは露光ヘッド41に送られ、該露光データに応じて露光ヘッド41が、光照射部40から出射されるレーザー光を変調する。こうしてパターンに応じて変調された変調光ビームが基板Sに照射され、基板S表面が部分的に露光されてパターンが描画される。
【0042】
露光制御部912は、光照射部40を制御して、所定のパワーおよびスポットサイズを有するレーザー光ビームを出射させる。フォーカス制御部913は、露光ヘッド41に設けられた投影光学系を制御してレーザー光ビームを基板Sの表面に収束させる。
【0043】
ステージ制御部914はステージ駆動機構3を制御して、アライメント調整のためのステージ2の移動および露光時の走査移動のためのステージ2の移動を実現する。アライメント調整においては、ステージ2に載置された基板Sと露光ヘッド41との間における露光開始時の相対的な位置関係が予め定められた関係となるように、ステージ2の位置がX方向、Y方向、Z方向およびθ方向に調整される。一方、走査移動においては、ステージ2を一定速度でY方向に移動させることで基板Sを露光ヘッド41の下方を通過させる主走査移動と、一定ピッチでのX方向へのステップ送り(副走査移動)とが組み合わせられる。間隔算出部915は、観察ユニット8の観察用カメラ81が撮像する撮像結果に基づき、複数の露光ヘッド41のそれぞれが出射する露光ビーム間の間隔を算出する。
【0044】
図3はこの露光装置をY方向に見た図である。なお、露光装置1では、ステージ2およびステージ駆動機構3の(+Y)側に搬送装置7が配置されているが、図3では記載を省略している。言い換えれば、図3(a)は図3(b)から観察ユニット8を取り除いた状態を示している。
【0045】
図3(a)に示すように、ステージ駆動機構3およびこれに支持されるステージ2をX方向に跨ぐように、ガントリー状の支持フレーム101がベース部100に取り付けられている。この支持フレーム101に、複数の露光ヘッド41がX方向に沿って略等間隔で並べて取り付けられている。この例では5基の露光ヘッド41(411~415)が設けられているが、配設数はこれに限られず任意である。これらの露光ヘッド411~415は互いに同一構造を有する。また、相互の位置関係が固定されており、走査移動においてこれらは一体的に、基板Sに対し相対移動する。
【0046】
1枚の基板Sに対する露光はこれら5基の露光ヘッド41(411~415)を用いて行われる。すなわち、基板Sの表面は5つの領域に区分され、1つの露光ヘッド41がそれらの領域の1つに対する露光を受け持つ。こうすることにより、基板Sの露光に要する時間を短縮することが可能となる。
【0047】
この場合、隣り合う露光ヘッド41のそれぞれが露光する領域の境界でパターンの不連続が生じるのを回避する必要がある。このためには、各露光ヘッド41から基板Sに入射する露光ビームの間隔を的確に把握し、その結果に基づいて各露光ヘッド41が受け持つ領域の割り当てを行う必要がある。この実施形態では、観察ユニット8を用いて露光ビームの間隔を計測する。
【0048】
図3(b)に示すように、観察ユニット8は、ステージ2の(+Y)側に設けられている。なお図3(b)では、観察ユニット8の構造を明瞭に示すために、ステージ2およびステージ駆動機構3のうち観察ユニット8の(-Y)側にある構成にドットを付して区別している。具体的には、ステージ2、X移動テーブル34、θ軸ロボット35およびZ軸ロボット37にドットが付されている。以下の各図においても同様とする。
【0049】
観察ユニット8は、上向きを撮像方向として設けられた観察用カメラ81と、観察用カメラ81を支持しつつX方向に移動させるカメラ駆動機構82とを有している。図示を省略しているが、観察用カメラ81の鏡筒の上端には、例えばガラス製の受像面が設けられており、受像面のZ方向位置はステージ2に載置される基板Sの上面と略同一高さに設定されている。したがって、受像面には、各露光ヘッド41から出射される露光ビームが基板Sの上面に結ぶ像とほぼ同じ像が形成されることになる。つまり、観察用カメラ81は、基板S上に形成される像を間接的に観察しているということができる。
【0050】
カメラ駆動機構82としては、適宜の直動機構、例えばリニアモーター、ボールねじ機構、ラックピニオン機構、ベルトドライブ機構、チェーン駆動機構などを用いることができる。後述するように、カメラ駆動機構82による観察用カメラ81の移動においては、高い位置決め精度が必要とされない。
【0051】
図4はX移動テーブルに取り付けられるステージおよび観察ユニットを示す斜視図である。図4に示すように、カメラ駆動機構82は、適宜の支持部材83を介してステージ駆動機構3のX移動テーブル34に取り付けられ、X方向に延設されている。したがって、ステージ駆動機構3によりX移動テーブル34がX方向に移動するとき、カメラ駆動機構82はステージ2と一体的にX方向へ移動する。またX移動テーブル34はY移動テーブル32に載置されているから、Y移動テーブル32がY方向に移動するときには、X移動テーブル34、ステージ2およびカメラ駆動機構82が一体的にY方向に移動する。観察用カメラ81もカメラ駆動機構82とともに移動する。
【0052】
一方、制御部9からの制御指令に応じてカメラ駆動機構82が作動するとき、観察用カメラ81は、X移動テーブル34に対して相対的にX方向に移動する。したがって、観察用カメラ81はステージ2とは独立してX方向への移動が可能である。つまり、観察用カメラ81の移動態様としては、ステージ駆動機構3の作動によりステージ2と一体的にX方向およびY方向に移動する態様と、カメラ駆動機構82の作動によりステージ2とは独立してX方向に移動する態様とがある。
【0053】
カメラ駆動機構82により実現される観察用カメラ81のX方向における可動範囲は、全ての露光ヘッド511~514について、露光ビームを受光できる範囲をカバーしていることが望ましい。ただし、これは必須の要件ではない。というのは、X移動テーブル34の移動と組み合わせることで、カメラ駆動機構82単体による可動範囲を超えて観察用カメラ81を移動させることができるからである。
【0054】
続いて、このように構成された観察ユニット8と、制御部9に設けられた間隔算出部915とを用いて実行される、ビーム間隔の算出処理について、図5ないし図8を参照して説明する。ここでは、ビーム間隔算出処理の原理の理解を容易にするために、その原理に基づく基本的な動作について説明し、その後で、所要時間をより短縮することができる事例を説明する。
【0055】
図5はビーム間隔算出処理を示すフローチャートである。また、図6ないし図8はこの処理の過程における各部の位置関係を示す図である。最初に、ステージ駆動機構3がステージ2をY方向に移動させ、Y方向における計測位置として予め定められた位置に位置決めする(ステップS101)。
【0056】
図6はY方向におけるステージ2の計測位置を示している。この計測位置は、各露光ヘッド41から出射される露光ビームLの光路と、観察用カメラ81の光軸とがY方向において概ね一致するように定められている。なお、露光ビームLの光路と観察用カメラ81の光軸とを一致させることは必須の要件ではなく、観察用カメラ81のX方向位置を適宜に調整したときに露光ビームLが観察用カメラ81に入射するような位置関係が担保されていればよい。X方向における位置については、後述するX方向へのステージ移動を実現可能である限りにおいて特に限定されないが、例えば可動範囲における中央に位置決めしておくことができる。
【0057】
次に、処理用の内部パラメーターNが1に設定される(ステップS102)。この内部パラメーターNは、各露光ヘッド411~415を区別するためのパラメーターである。すなわち、以下では露光ヘッド411,412,…,を区別するために、これらをそれぞれ「第1の露光ヘッド」、「第2の露光ヘッド」、…、と称する。これらはパラメーターNを用いて、「第Nの露光ヘッド」と表すことができる。
【0058】
続いて、カメラ駆動機構82が作動して、観察用カメラ81を所定の第N計測位置に移動位置決めする(ステップS103)。ここではパラメーターNが1であるため、観察用カメラ81は第1計測位置に位置決めされる。
【0059】
図7(a)は第1計測位置の一例を表している。第1計測位置は、一点鎖線で示される観察用カメラ81の光軸が、複数の露光ヘッド41のうちの第1の露光ヘッド411が出射する露光ビームL1の光路と、それに隣り合う第2の露光ヘッド412が出射する露光ビームL2の光路との間に来るような観察用カメラ81の位置である。例えば露光ビームL1の光路と露光ビームL2の光路との中間点とすることができるが、このことは必須の要件ではない。
【0060】
この状態から、ステージ駆動機構3のX軸ロボット33がX移動テーブル34を(+X)方向に移動させて、観察用カメラ81を第Nの、つまり第1の露光ヘッド411の直下位置に位置決めする(ステップS104)。このときカメラ駆動機構82は作動せず、したがって観察用カメラ81はステージ2と一体的に移動する。
【0061】
図7(b)はこのときの状態を示している。このとき、観察用カメラ81は第1の露光ヘッド411の直下位置にあり、第1の露光ヘッド411から露光ビームが出射されたとき、当該露光ビームL1は観察用カメラ81に入射するはずである。
【0062】
この状態で、第1の露光ヘッド411から、所定のテストパターンに対応する露光ビームL1が出射され、テストパターンに対応する像が観察用カメラ81の受像面に投影され、この像が観察用カメラ81により撮像される(ステップS105)。こうして第1の露光ヘッド411により形成される第1のテストパターンが撮像される。
【0063】
撮像後、ステージ駆動機構3のX軸ロボット33がX移動テーブル34を(-X)方向に移動させて、観察用カメラ81を第Nの、つまり第1の露光ヘッド411の直下位置から、第(N+1)の、つまり第2の露光ヘッド412の直下位置へ移動位置決めする(ステップS106)。そして、ステップS105,S106と同様に、第2の露光ヘッド412がテストパターンを形成するための露光ビームL2を出射し、観察用カメラ81の受像面に投影されるテストパターンの像が撮像される(ステップS107)。
【0064】
このようにして、第1の露光ヘッド411から出射される露光ビームL1により形成されるテストパターンと、第2の露光ヘッド412から出射される露光ビームL2により形成されるテストパターンとがそれぞれ観察用カメラ81により撮像される。この間のステージ移動量と、撮像された2つの画像におけるテストパターンの像位置とに基づき、間隔算出部915が、第1の露光ヘッド411と第2の露光ヘッド412との間における露光ビームL1,L2の間隔を算出する(ステップS108)。具体的には、X方向のビーム間隔Dxと、Y方向のビーム間隔Dyとが求められる。その算出方法については後述する。
【0065】
求められたビーム間隔Dx,Dyが予め定められた規定値と比較されて、補正の要否が判断される(ステップS109)。求められたビーム間隔Dx,Dyと規定値とのずれが許容範囲内であれば、補正不要と判断される(ステップS109においてNO)、一方、許容範囲を超えるずれがあった場合には補正が必要と判断される(ステップS109においてYES)。必要であればビーム位置の補正が行われる(ステップS110)。
【0066】
図8はビーム位置補正処理を例示する図である。図8(a)はビーム位置補正が可能な光学系の例を示している。露光ヘッド41内に、空間光変調器400と投影光学系402との間に、光路をシフトさせるための光学素子、例えばウェッジプリズム401を設けることで、ビーム位置を補正することが可能である。すなわち、ウェッジプリズム401を通過させることで、その出射光は入射光と平行かつ同一でない光路を進む。これにより、光路がシフトされる。ウェッジプリズム401を構成する1対のプリズム間の距離を変えることで、光路のシフト量を調整可能である。このことを利用して、ビーム位置の補正を行うことができる。具体的には、例えば次のようにすることができる。
【0067】
図8(b)はビーム位置補正処理を示すフローチャートである。まず、求められたずれ量に基づき、ウェッジプリズム401に必要な移動量が算出される(ステップS301)。そして、求められた移動量に基づきウェッジプリズム401が駆動されてプリズム間距離が変更される(ステップS302)。この状態で再度テストパターンの像が形成され、観察用カメラ81により撮像される(ステップS303)。
【0068】
撮像により得られた画像から、テストパターンの位置が検出され、その結果から補正後のビーム間隔のずれ量が再度評価される(ステップS304)。ずれ量が許容範囲内に収まっていれば(ステップS305においてYES)、補正処理は終了する。一方、ずれ量が依然として許容範囲を超えている場合には(ステップS305においてNO)、ステップS301に戻り、ずれが収束するまで上記処理が繰り返される。
【0069】
光路をシフトさせる光学素子としては、ウェッジプリズム以外に例えば平行平面板を用いることができる。また、主走査方向であるY方向への位置ずれDyについては、機構的にまたは光学的にこれを補正することもできるが、露光タイミングを調節することによって位置ずれ補正を図ることも可能である。
【0070】
なお、ここでは説明の都合上、第1の露光ヘッド411から順に撮像が行われる。このため、上記処理では、第1の露光ヘッド411に対する第2の露光ヘッド412のずれが評価され補正されることになる。しかしながら、露光ヘッド間の相対的な位置ずれを較正するという目的からは、例えば複数の露光ヘッド41のうち中央のものを基準として、これと隣り合うものから順に補正を行うようにしてもよい。
【0071】
全ての露光ビーム間で間隔が算出され必要な補正が行われるまで、上記処理が繰り返される。すなわち、ステップS111において、全ての露光ビーム間につき間隔の算出が終了しているか否かが判断される。例えばパラメーターNの値に基づき判断が可能である。全ての露光ビーム間で算出が終了していれば(ステップS111においてYES)、処理は終了する。一方、算出が終了していない場合には(ステップS111においてNO)、パラメーターNの値が1つ増加され(ステップS112)、ステージ2のX方向位置がステップS101の時点における位置に戻された上で(ステップS113)、ステップS103からの処理が繰り返される。
【0072】
図9は2回目のループ処理における各部の位置関係を示す図である。ステップS103では、観察用カメラ81が第2計測位置に位置決めされる。図9(a)は第2計測位置を示している。このとき、観察用カメラ81は、第2の露光ヘッド412が出射する露光ビームL2の光路と、それに隣り合う第3の露光ヘッド413が出射する露光ビームL3の光路との間にある。
【0073】
そして、観察用カメラ81は、上記と同様に、第2の露光ヘッド412の直下位置で第2の露光ヘッド412が形成するテストパターンを撮像し(ステップS104~S106)、その後第3の露光ヘッド413の直下位置へ移動し(ステップS107)、第3の露光ヘッド413が形成するテストパターンを撮像する(ステップS108~S109)。それらの撮像結果から、露光ビームL2,L3間の間隔が算出される(ステップS110)。
【0074】
同様にして、第3の露光ヘッド413が出射する露光ビームL3と第4の露光ヘッド414が出射する露光ビームL4との間隔、および、第4の露光ヘッド414が出射する露光ビームL4と第5の露光ヘッド415が出射する露光ビームL5との間隔が、順次算出される。こうして全てのビーム間での間隔が算出され、ビーム間隔算出処理は終了する。
【0075】
図10はビーム間隔算出処理におけるステージおよび観察用カメラの移動態様を示す図である。この図は、説明に必要のない構成の記載を全て省き、ステージ2および観察用カメラ81の経時的な位置変化だけを模式的に示したものである。また図において実線矢印はカメラ駆動機構82による観察用カメラ81の移動を、破線矢印はステージ駆動機構3によるステージ2の移動を示す。
【0076】
図10に示されるように、図5のビーム間隔算出処理で実行される複数回のループ処理において、X方向におけるX移動テーブル34の移動態様は毎回ほぼ同じである。したがって、初期位置がほぼ同じであれば、X移動テーブル34は同じ範囲を繰り返し往復移動することになる。この間、カメラ駆動機構82が観察用カメラ81のX方向位置を変化させることで、計測対象となる露光ヘッドは順次切り替わってゆく。これに対して、X移動テーブル34の移動範囲はほぼ同じである。
【0077】
仮に、観察用カメラ81のステージ2に対するX方向位置が固定されていた場合、観察用カメラ81を各露光ヘッドの直下位置に位置決めするためにはX移動テーブル34をX方向に大きく移動させる必要がある。このことは、X移動テーブル34について大きな移動ストロークを確保する必要を生じさせることとなり、装置の大型化を招く。露光ヘッド41の配設数が多くなると、この問題がより顕著である。
【0078】
特に、例えば図3(a)に示すようにガントリー型の支持フレーム101を設けている場合、X移動テーブル34の移動ストロークを大きくするためには支持フレーム101の脚部の間隔を広げる必要があり、装置全体が大型になってその重量も大幅に増加する。また、梁部分のスパンが長くなると、露光ヘッド41を支持するための機械的強度の点でも不利である。
【0079】
これに対して、本実施形態では、観察用カメラ81をステージ2に対しX方向に移動可能とし、これを移動させて計測対象の切り替えを行うようにしたことで、X移動テーブル34に必要とされる移動ストロークは、露光ヘッドの数に関わらずその配列ピッチ程度で済む。このため、露光ヘッドの数を増加させた場合でも装置の大型化を最小限に抑制することができる。このことは省資源の観点からも有利である。
【0080】
なお、ここで必要とされるX移動テーブル34の移動ストロークは、露光動作において副走査移動を実行するために必要とされる移動ストローク量とほぼ同じである。つまり、本実施形態のビーム間隔算出処理は、副走査移動のために用意された可動範囲内でX移動テーブル34を移動させることで実現可能である。したがって、ビーム間隔算出処理を実行するためにX移動テーブル34の移動ストロークを変更する必要は生じない。
【0081】
次に、隣り合う2つの露光ヘッド間でのビーム間隔算出方法を、図11を参照してより具体的に説明する。
【0082】
図11はビーム間隔算出方法の原理を説明する図である。ここで算出すべき値は、図11(a)に示すように、隣り合う2つの露光ヘッド411,412の各々から出射される露光ビームL1,L2の間隔Dxである。なお、ここでは第1の露光ヘッド411と第2露光ヘッド412との間でビーム間隔を算出するケースを例に挙げて説明するが、これ以外の露光ヘッドについても同様にすることができる。
【0083】
図11(a)に示すように、ステップS105で撮像された画像を符号Im1、ステップS107で撮像された画像を符号Im2により表すこととする。画像Im1をxy画像平面で表すとき、テストパターンの像TP1の重心位置を(x1,y1)とする。また、画像Im2をxy画像平面で表すとき、テストパターンの像TP2の重心位置を(x2,y2)とする。これらの重心位置は、公知の画像処理を適宜適用して求めることが可能である。
【0084】
これら2つの画像Im1,Im2は、X移動テーブル34をX方向に移動させた前後で撮像されたものである。このときのX移動テーブル34の移動量を符号Txで表すとすると、2つの画像は空間的にはX方向に距離Txだけ離れた位置関係を有している。X移動テーブル34の移動量Txについては、X軸ロボット31に設けられた位置センサー331の出力に基づき求めることができる。X軸ロボット31は露光動作における副走査移動を担うものであるから、その位置精度は十分に高いものと考えることができる。
【0085】
そうすると、図11(a)に示される関係から次式:
Tx-x1=Dx-X2
が得られ、さらにこれを変形して次式:
Dx=Tx+(x2-x1) … (式1)
が得られる。このように、撮像時のX移動テーブル34(ステージ2)の移動量Txと、撮像された画像におけるテストパターンの位置検出結果と基づき、2つの露光ヘッド411,412が出射する露光ビーム間の間隔を算出することができる。
【0086】
なお、ここで値x1,x2はxy画像平面内での座標値であり、上記(式1)の適用に当たっては、これらの座標値を実空間での距離に換算する必要がある。画像内の画素サイズと実空間におけるサイズとの関係から、座標値を実空間でのサイズと揃えたものとすることは容易であり、そのようにすることで、ビーム間隔Dxを算出することができる。
【0087】
2つの画像の撮像の間で観察用カメラ81のY方向位置は変化していないから、2つの画像Im1,Im2におけるテストパターンTP1,TP2におけるy方向の位置の差は、そのまま2つの露光ヘッド411,412が出射する露光ビームのY方向における位置の差を表している。したがって、Y方向における2つの露光ビームL1,L2の位置のずれDyは、次式:
Dy=y2-y1 … (式2)
により表すことができる。こうしてX方向およびY方向におけるビーム間隔Dx,Dyが求められる。
【0088】
同様に、第2露光ヘッド412と第3露光ヘッド413との間、第3露光ヘッド413と第4露光ヘッド414との間、…、第(N)露光ヘッドと第(N+1)露光ヘッドとの間でそれぞれビーム間隔を求めることができる。これにより、最終的には全ての露光ビームについて相互の間隔を求めたことになる。
【0089】
カメラ駆動機構82による観察用カメラ81のX方向への移動は、X移動テーブル34(ステージ2)のX方向への移動量(ストローク)を小さく抑える効果がある一方で、上記したビーム間隔の算出精度には影響を与えない。すなわち、カメラ駆動機構82による観察用カメラ81の位置決め精度が高くない場合でも、撮像された画像におけるテストパターンの位置が画像内でシフトするだけであり、そのシフト量は、2つの画像の間で同じである。そのため上記演算においては、シフト分はキャンセルされて算出精度には影響しない。
【0090】
このことから、カメラ駆動機構82には高精度な位置決め機構は必要とされず、単に各露光ヘッドが形成するテストパターンを撮像視野内に収めることができる程度の精度を有していればよい。このため、カメラ駆動機構82を設けることが大きなコスト増加とはならない。むしろ、観察用カメラを固定することによる装置全体の大型化を回避することができるという点で、装置コストの低減に資するものであるといえる。
【0091】
なお、ここで使用されるテストパターンについて図11(b)を用いて説明するが、テストパターンの形状は任意であり、ここに示されたものに限定されない。図11(a)に示すように、テストパターンTP1,TP2は、中央の丸いドットのX方向における両側を、X方向を長手方向とする長円形のドットで挟んだ配置を有するパターンとなっている。このようなパターンは、いずれかのドットに部分的な欠落があったとしても、重心位置を検出するという目的においてはその影響を受けにくいものである。
【0092】
また、光変調器400が一次元の空間光変調器である場合には、主走査移動を伴わずにテストパターンを形成することができるという点で、X方向に延びる一次元的パターンを用いることが有効である。本実施形態のテストパターンは、図11(b)に示すように、一次元の画素列で構成可能なものであり、一次元の空間光変調器を用いて形成するのに好適である。
【0093】
次に、ビーム間隔算出処理の変形例について説明する。上記実施形態のビーム間隔算出処理では、観察用カメラ81を対象となる2つの露光ヘッド、例えば露光ヘッド411と露光ヘッド412との間に位置決めしてからX移動テーブル34を移動させることで、観察用カメラ81を撮像のための位置へ移動させている。
【0094】
一方、カメラ駆動機構82がある程度高い位置決め精度を有し、観察用カメラ81を各露光ヘッド411等から出射される露光ビームが入射する位置まで直接移動させることができる場合には、次のような変形例により、処理時間の短縮を図ることが可能である。なお、この変形例における処理をフローチャートで表すとかなり複雑になるので、図9と同様の位置変化を表す模式図を用いてその考え方を説明する。
【0095】
図12はビーム間隔算出処理の変形例におけるステージおよび観察用カメラの移動態様を示す図である。この変形例では、カメラ駆動機構82により、まず観察用カメラ81が第1の露光ヘッド411の直下位置に位置決めされる(図12(a))。この場合、第1の露光ヘッド411から出射される露光ビームL1が観察用カメラ81に受光されテストパターンが撮像可能であれば足り、それ以上の精密な位置決めは必要ない。この状態で第1の露光ヘッド411が形成する第1のテストパターンが撮像される。
【0096】
次に、X移動テーブル34が(-X)方向に移動し、観察用カメラ81が第2の露光ヘッド412の直下位置に移動してくる(図12(b))。この状態で、第2の露光ヘッド412が形成する第2のテストパターンが撮像される。こうして第1および第2のテストパターンが撮像され、しかもそれらの撮像の間にはX移動テーブル34による移動があるだけである。したがって、上記実施形態と同様にして、第1の露光ヘッド411と第2の露光ヘッド412との間におけるビーム間隔を算出することができる。
【0097】
続いて、ステージ2の位置を維持したまま、観察用カメラ81がカメラ駆動機構82により第3の露光ヘッド413の直下位置に移動される(図12(c))。この状態で、第3の露光ヘッド413が形成する第3のテストパターンが観察用カメラ81により撮像される。そして、X移動テーブル34が(+X)方向に移動し、観察用カメラ81が再び第2の露光ヘッド412の直下位置に位置決めされて(図12(d))、第2のテストパターンが撮像される。この段階で、第2の露光ヘッド412と第3の露光ヘッド413との間でビーム間隔を算出することができる。
【0098】
同様に、カメラ駆動機構82により観察用カメラ81が移動されて第3の露光ヘッド413の直下位置に位置決めされる(図12(e))。このとき撮像される第3のテストパターンを含む画像と、その後にX移動テーブル34が(-X)方向に移動し(図12(f))、観察用カメラ81が第4の露光ヘッド414の直下位置に位置決めされた状態で撮像される、第4の露光ヘッド414が形成する第4のテストパターンを含む画像とを用いて、第3の露光ヘッド413と第4の露光ヘッド414との間でビーム間隔を算出することができる。第4の露光ヘッド414と第5の露光ヘッド415との間についても同様である(図12(g)~(h))。
【0099】
このように、この変形例では、ステージ駆動機構3によるステージ2の移動と、カメラ駆動機構82による観察用カメラ81の移動とを交互に実行し、ステージ2の移動の前後に撮像した画像を用いてビーム間隔を算出する。この場合においても、ステージ2のX方向への移動ストロークは隣り合う露光ヘッド間の間隔と同程度に留まっており、上記実施形態と同様の効果が期待できる。すなわち、装置の大型化を抑制しコスト低減を図ることができる。また、図9の動作と比べると、ステージ移動を伴う工程数が少なくなっており、処理に要する時間の短縮を図ることが可能である。
【0100】
以上説明したように、この実施形態の露光装置1では、ステージ駆動機構3が本は追名の「走査移動部」および「ステージ駆動機構」として作用しており、露光ユニット4が本発明の「露光部」として機能している。また、観察用カメラ81が本発明の「受光器」および「カメラ」として機能しており、カメラ駆動機構82が本発明の「受光器支持部」として機能している。また、間隔算出部915が本発明の「間隔算出部」として機能している。そして、観察用カメラ81、カメラ駆動機構82および間隔算出部915が、本発明の「計測部」として機能している。また、空間光変調器400が本発明の「光変調器」として機能している。
【0101】
また、副走査方向であるX方向が、本発明の「第1方向」に該当している。そして、この実施形態では、X軸ロボット33が本発明の「ステージ移動機構」および「駆動機構」として機能しており、位置センサー331が本発明の「位置検出部」として機能している、また、X移動テーブル34が、本発明の「支持部材」として機能している、
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では観察用カメラ81を本発明の「受光器」として使用しているが、受光器の構成はこれに限定されない。例えばX方向における間隔のみを算出する目的であればリニアイメージセンサを本発明の「受光器」として使用可能である。
【0102】
また、上記実施形態では、ビーム間隔計測処理の結果、露光ヘッド間の位置ずれが大きいと判断された場合にはそれを補正するための処理が実行される。しかしながら、本発明が目的の1つとする「計測」は、それ自体に効果を有するものであり、常に計測結果に基づく補正を組み合わせる必要はない。
【0103】
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明のビーム間隔計測方法は、例えば受光器が露光ビームの像を撮像するカメラであり、第2工程および第5工程では、撮像された画像中における露光ビームの像の位置から入射位置が求められる構成とすることができる。このような構成によれば、露光ビームを画像中の像として固定することができる。そして、画像中からその像を検出し位置を特定するためには、公知の画像処理技術を適用することができる。このようにして、ビーム間の間隔を精度よく計測することが可能である。
【0104】
より具体的には、例えば、異なる露光ヘッドについての撮像により取得された複数の画像間での入射位置の差と、走査移動部による受光器の移動量の和とに基づき間隔を求めることができる。カメラである受光器の移動量は、当該カメラの撮像視野の移動量、つまり複数の画像の撮像視野の実空間における間隔を表している。したがって、この間隔と、それぞれの画像内での位置の差とを加算することで、実空間での露光ビームの間隔を求めることができる。
【0105】
また例えば、露光ヘッドの各々は、所定のテストパターンに対応させた露光ビームを出射するように構成されてもよい。露光ビームが予め定められた特定の形状を有するパターンを形成することで、その位置検出を容易かつ確実なものとすることができる。
【0106】
また、この発明に係る露光装置は、例えば、走査移動部がステージを支持する支持部材と、支持部材を第1方向に往復移動させる駆動機構とを有し、受光器支持部が支持部材に取り付けられるとともに支持部材に対して受光器を移動させる構成とすることができる。このような構成によれば、ステージを移動させるべく駆動機構が作動する際に、受光器支持部とこれに支持される受光器とをステージと一体的に移動させることができる。また、ステージと一体に支持された受光器支持部が作動することで、受光器をステージに対して移動させることができる。
【0107】
あるいは例えば、走査移動部については、第1方向にステージを移動させるステージ移動機構と、第1方向におけるステージの位置を検出する位置検出部とを有する構成とすることができる。このような構成によれば、位置検出部の出力からステージの移動量を求めることが可能である。
【0108】
また例えば、走査移動部については、第1方向に直交する方向への主走査移動と、第1方向への副走査移動とを実行可能な構成とすることができる。つまり、第1方向を副走査方向とすることができる。このような構成によれば、副走査方向における露光ビームの間隔が既知である複数の露光ヘッドを並列的に動作させて、基板に対して効率よく露光を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
この発明は、例えば半導体基板、半導体パッケージ基板、プリント配線基板あるいはガラス基板等の基板にパターンを形成するために基板を露光する技術分野に好適である。
【符号の説明】
【0110】
1 露光装置
2 ステージ
3 ステージ駆動機構(走査移動部)
4 露光ユニット(露光部)
9 制御部
33 X軸ロボット(駆動機構、ステージ移動機構)
34 X移動テーブル(支持部材)
41 露光ヘッド
81 観察用カメラ(受光器、カメラ)
82 カメラ駆動機構(受光器支持部)
331 位置センサー(位置検出部)
400 空間光変調器(光変調器)
430 光源ユニット
L レーザー光ビーム
Le 露光ビーム
S 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12