(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046874
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】販売データ処理装置および会計装置
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20240329BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G07G1/00 331B
G07G1/12 331Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152213
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高須 拓也
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142BA01
3E142BA16
3E142CA17
3E142FA25
3E142FA42
3E142GA41
3E142JA01
3E142KA20
(57)【要約】
【課題】操作ミスや不正行為を検知するためのカメラの撮像内容が異常である場合に販売データ処理への不都合の発生を防止する。
【解決手段】販売データ処理装置は、取引対象である商品の情報を所定の記憶部に記憶させる登録処理を行う登録部と、前記登録部が登録した商品の決済にかかる決済処理を行う決済部と、操作者による操作を受け付ける操作部と、カメラにより前記操作者が映り込む範囲を撮像した画像の解析により得られる情報であって前記カメラの撮像方向が基準からずれていることを示す情報を取得する取得部と、前記取得部が前記情報を取得すると、操作者による不正な操作を防止するための対策処理を行う対策部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引対象である商品の情報を所定の記憶部に記憶させる登録処理を行う登録部と、
前記登録部が登録した商品の決済にかかる決済処理を行う決済部と、
操作者による操作を受け付ける操作部と、
カメラにより前記操作者が映り込む範囲を撮像した画像の解析により得られる情報であって前記カメラの撮像方向が基準からずれていることを示す情報を取得する取得部と、
前記取得部が前記情報を取得すると、操作者による不正な操作を防止するための対策処理を行う対策部と、
を備える販売データ処理装置。
【請求項2】
前記対策部は、前記対策処理の実行時、前記登録処理または前記決済処理の進行を停止させる
請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項3】
前記対策部は、前記対策処理において、店員が参照可能な装置に、前記カメラの撮像方向が基準からずれていることを報せる通知を送信する
請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項4】
前記対策部は、前記対策処理において、前記カメラの撮像方向を変える駆動部の制御により前記カメラの撮像方向を基準に近づける
請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項5】
取引対象として登録された商品の決済にかかる決済処理を行う決済部と、
操作者による操作を受け付ける操作部と、
カメラにより前記操作者が映り込む範囲を撮像した画像の解析により得られる情報であって前記カメラの撮像方向が基準からずれていることを示す情報を取得する取得部と、
前記取得部が前記情報を取得すると、操作者による不正な操作を防止するための対策処理を行う対策部と、
を備える会計装置。
【請求項6】
操作者による操作を受け付ける操作部を備え、取引対象である商品の情報を所定の記憶部に記憶させる登録処理と、前記記憶部に記憶された商品の決済にかかる決済処理との少なくともいずれかを実行する装置のコンピュータを、
カメラにより前記操作者が映り込む範囲を撮像した画像の解析により得られる情報であって前記カメラの撮像方向が基準からずれていることを示す情報を取得する取得部と、
前記取得部が前記情報を取得すると、操作者による不正な操作を防止するための対策処理を行う対策部と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売データ処理装置および会計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、買物客が操作者となって商品の登録処理や決済処理にかかる操作を行うセルフタイプのPOS(Point Of Sales)端末や、商品登録の後の決済処理にかかる操作を買物客が操作者となって行うセミセルフタイプのPOS端末が知られている。こういったPOS端末には、操作者を撮像するカメラを備え、カメラが出力する画像から操作者の操作ミスや不正行為を発見可能にしているものがある。このようなカメラは、POS端末のメイン筐体に内蔵されない場合、例えばメイン筐体の上方から撮像するよう配置されることが多い。また、そのようなカメラは、撮像方向を適宜調節可能に構成される。
【0003】
上述のような構成のPOS端末が用いられた店舗において、悪意ある顧客等が、不正行為が映り込まないようカメラの向きを変更してしまうことがある。また、地震の影響でカメラの向きがずれてしまうことも考えられる。
【0004】
ここで、特許文献1は、監視カメラの撮像位置が変わったことを検知して異常を知らせるシステムを開示している。なお、このシステムの監視対象は、POS端末への操作に限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、操作ミスや不正行為を検知するためのカメラの撮像内容が異常である場合に販売データ処理への不都合の発生を防止可能な販売データ処理装置や会計装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の販売データ処理装置は、取引対象である商品の情報を所定の記憶部に記憶させる登録処理を行う登録部と、前記登録部が登録した商品の決済にかかる決済処理を行う決済部と、操作者による操作を受け付ける操作部と、カメラにより前記操作者が映り込む範囲を撮像した画像の解析により得られる情報であって前記カメラの撮像方向が基準からずれていることを示す情報を取得する取得部と、前記取得部が前記情報を取得すると、操作者による不正な操作を防止するための対策処理を行う対策部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るセルフPOS端末の操作者側から見た外観の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るセルフPOS端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るセルフPOS端末およびサーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るカメラの撮像画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るカメラの撮像画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るセルフPOS端末において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、実施形態に係るセルフPOS端末10の操作者側から見た外観の一例を示す斜視図である。セルフPOS端末10は、商品の登録や決済にかかる処理を買物客が操作者となって行うセルフタイプのPOS(Point Of Sales)端末であって、販売データ処理装置の一例である。
【0009】
なお、実施形態に係る技術は、商品登録の後の決済処理にかかる操作を買物客が操作者となって行うセミセルフタイプのPOS端末(会計装置の一例)に対して適用することもできる。ここでの決済処理に先立つ登録処理は、例えば、通常のPOS端末への店員の操作によって行われる。また、登録処理は、買物客自身により行われる場合もある。買物客は、例えば、買物客が所持するスマートフォンで起動されたPOSアプリケーションや、カートPOS(店内備付のカートに付属した端末)への買物客の操作等によって、商品の登録を行う。
【0010】
セルフPOS端末10は、本体11、カゴ置台12、袋詰め台13を有する。本体11は、カゴ置台12及び袋詰め台13の間に設けられる。カゴ置台12は、取引対象の商品が入ったカゴ等を置くための物置台である。袋詰め台13は、買い物袋を開放した状態で引掛けられる物置台である。買い物袋には、登録済みの商品が入れられる。つまり袋詰め台13には、登録された商品が載置される。
【0011】
袋詰め台13は、台座131、袋掛けフック132及び一時置台133を有する。袋掛けフック132及び一時置台133は、台座131に設けられた支柱134に支持されて、台座131の上方に設けられている。袋掛けフック132は、登録後の商品を入れる袋を吊り下げるフックである。台座131は、袋の底を支えたり、例えば袋より大きく袋に入れるのに適さない等の商品が載置されたりする台である。一時置台133は、例えば壊れやすい等の理由で袋詰めに注意を要する商品を一時的に載置する台である。
【0012】
セルフPOS端末10は、さらに、計量部14、入出金部15、スキャナ16、タッチパネルディスプレイ17、表示灯18、カードリーダ19、プリンタ20、カメラ21を、備えている。
【0013】
計量部14は、袋詰め台13に設けられている。計量部14は、内蔵した重量センサの出力に基づき、袋詰め台13に載置された商品等の物品の重量を計量する。例えば、計量部14は、袋詰め台13にセットされた袋や、袋内に入れられた商品等の合計重量を、計量する。重量センサは、例えば台座131の下方に設けられて、台座131を支持し、台座131が受ける負荷に応じた信号を出力する。
【0014】
入出金部15は、例えば本体11の上下方向中央部に設けられている。入出金部15は、買物客が支払う硬貨や紙幣の投入を受け付け、釣銭等を排出する。なお、例えばセルフPOS端末10が現金を取り扱わないキャッシュレス端末として構成される場合等には、入出金部15は設けられなくて構わない。
【0015】
スキャナ16は、例えば本体11の上部に設けられている。スキャナ16は、読取窓161を有する。スキャナ16は、例えば読取窓161にかざされた商品に付されている無線タグやバーコードなどのコードシンボルから商品情報を読み取る。無線タグは、RF(Radio Frequency)タグ等の電子タグである。無線タグは、情報を記憶するIC(Integrated Circuit)チップとアンテナとを有する。無線タグは、無線タグ読取装置から受信した電波に応じてICチップに記憶されているタグ情報を送信する。例えば、無線タグには、無線タグが付されている商品に関する商品情報が記憶されている。商品情報には、例えば、商品を識別可能な商品コードが含まれている。
【0016】
また、スキャナ16は、例えば読取窓161にかざされた商品を撮像するように構成されたカメラを有していてもよい。スキャナ16のカメラは、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を含む。読取窓161は、スキャナ16のカメラにより撮像される光を透過可能である。スキャナ16のカメラが撮像した商品の画像データは、画像処理装置によるオブジェクト認識処理に供される。これにより、画像データに含まれる商品が特定され、登録される。なお、画像処理装置は、例えば通信I/F(interface、インタフェース)を介してセルフPOS端末10と通信可能に接続された外部装置である。なお、オブジェクト認識処理は、セルフPOS端末10により実行されても構わない。
【0017】
タッチパネルディスプレイ17は、例えば本体11の上方に設けられている。タッチパネルディスプレイ17は、操作者向けの各種情報を画面に表示し、買物客による操作を受け付ける。
【0018】
表示灯18は、例えば本体11の後方に設けられている。表示灯18は、セルフPOS端末10に異常が発生したこと等を店員に通知する電灯である。
【0019】
カードリーダ19は、例えば本体11においてスキャナ16の側方に設けられている。カードリーダ19は、クレジットカード等のカードが記憶する情報を読み取る。
【0020】
プリンタ20は、例えば本体11の筐体の内部に設けられている。プリンタ20は、一取引の明細が示されたレシートや、商品の割引等のクーポンをレシート用紙等に印字する印字装置である。プリンタ20は、本体11の正面に、レシート排出部を有する。レシート排出部は、プリンタ20が発行したレシート等をセルフPOS端末10の外部に排出する排出口である。レシート排出部は、例えば本体11において入出金部15とスキャナ16との間に設けられている。
【0021】
カメラ21は、セルフPOS端末10の操作者が映り込む範囲を撮像するように構成されたカメラである。カメラ21は、例えばCMOS、CCD等の撮像素子を含む。カメラ21が撮像した画像データは、画像処理部による解析処理(後述)に供される。
【0022】
図2は、実施形態に係るセルフPOS端末10のハードウェア構成の一例を示す図である。セルフPOS端末10は、さらに、モータ22、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、記憶部104および通信I/F(interface、インタフェース)105を、備えている。
【0023】
計量部14、入出金部15、スキャナ16、タッチパネルディスプレイ17、表示灯18、カードリーダ19、プリンタ20、カメラ21、モータ22、CPU101、ROM102、RAM103、記憶部104および通信I/F105は、データバスやアドレスバス等のシステムバス109を介して相互に接続される。
【0024】
モータ22(カメラ21の撮像方向を変える駆動部の一例)は、電力で稼働して回転するものであって、当該回転は、カメラ21の向きを調整可能に支持する支持部に伝達される。モータ22の制御により、カメラ21の撮像角度は自動的に変更可能である。カメラ21の向きが変わることにより、撮像される範囲が変わる。
【0025】
記憶部104は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの記憶装置である。記憶部104は、制御プログラムや商品マスタ等を記憶する。制御プログラムは、オペレーティングシステムや、セルフPOS端末10が有する各種機能を発揮させるためのプログラムである。
【0026】
商品マスタは、商品を識別可能な識別情報である商品コードに関連づけて、商品の情報(商品情報)を記憶している。商品情報は、例えば、商品の名称や、価格、商品の重量値等である。なお、セルフPOS端末10においてオブジェクト認識処理が実行される場合、商品マスタに、商品情報として、照合用特徴量の情報が関連付けられていてもよい。照合用特徴量は、商品の外観の特徴を示す照合用の情報である。照合用特徴量は、商品の標準的な形状、表面の色合い、模様、凹凸状況等の外観の特徴をパラメータ化したものである。
【0027】
CPU101は、プロセッサである。ROM102は、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAM103は、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。CPU101は、RAM103をワークエリア(作業領域)としてROM102又は記憶部104等が記憶する各種プログラムを実行することにより、制御部110(
図3参照、後述)を実現する。制御部110は、セルフPOS端末10の各部を統括的に制御する。
【0028】
なお、制御部110のプロセッサとしては、CPU101に限らず、GPU(Graphics Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の他のプロセッサが利用されても構わない。
【0029】
通信I/F105は、セルフPOS端末10がネットワークを介して外部装置と通信するためのインタフェースである。
【0030】
外部装置の一例はサーバ300である。サーバ300は、CPUやROM、RAM、記憶部などを備えるコンピュータ構成の装置である。サーバ300のCPUは、ROMや記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部310(
図3参照、後述)を実現する。
【0031】
また、他の外部装置として、例えば、セルフPOS端末10を管理する店員等の管理者が操作する情報処理装置(以下、管理装置とする)がある。管理装置は、例えばPC(Personal Computer、パーソナルコンピュータ)やタブレット型端末、スマートフォン等である。管理装置は、例えば複数のセルフPOS端末10に接続されている。なお、ネットワークを介して互いに接続された複数のセルフPOS端末10のうちの任意のセルフPOS端末10を管理装置として利用することもできる。管理装置は、セルフPOS端末10からの報知情報に基づき不正検知を店員に報知する。
【0032】
さらに他の外部装置としては、例えばオブジェクト認識処理などの画像処理を実行する画像処理装置があり得る。
【0033】
図3は、実施形態に係るセルフPOS端末10およびサーバ300の機能構成の一例を示す図である。
【0034】
セルフPOS端末10の制御部110は、読取部111、登録部112、操作部113、決済部114、撮像部115、取得部116、対策部117等の各種機能部として機能する。また、サーバ300の制御部310は、画像処理部311として機能する。
【0035】
なお、本実施形態でセルフPOS端末10の制御部110が実現する機能の一部又は全部は、セルフPOS端末10の外部装置との協働により実現されてもよいし、セルフPOS端末10に搭載された専用回路などのハードウェア構成により実現されても構わない。
【0036】
読取部111は、スキャナ16を介して、商品に付された無線タグやバーコードなどのコードシンボルから商品コードを読み取り、これを出力する。なお、読取部111は、スキャナ16のカメラが撮像した画像データに基づくオブジェクト認識により商品を特定してもよい。
【0037】
登録部112は、読取部111が出力した商品コードに基づいて商品マスタから情報(商品情報)を取得し、取得した商品情報を登録する。ここで、登録とは、取得した商品情報を、所定の記憶領域(例えば記憶部104に設けられる)に、販売データとして記憶させることである。なお、登録部112は、読取部111が出力する商品情報によらず、タッチパネルディスプレイ17への操作入力により特定された商品を登録してもよい。
【0038】
操作部113は、操作者による操作を受け付ける。より具体的には、操作部113は、タッチパネルディスプレイ17が受けた操作入力に応じた信号を出力する。
【0039】
決済部114は、登録部112が登録した商品の決済にかかる処理(決済処理)を行う。例えば、決済部114は、登録部112が登録した商品の価格の合計額を算出する。また、決済部114は、入出金部15に投入された金額から上記合計額を減算して、釣銭を算出する。そして、決済部114は、入出金部15に釣銭を排出させる。
【0040】
撮像部115は、カメラ21によりセルフPOS端末10の操作者が映り込む範囲を撮像して画像を出力する。より具体的には、撮像部115は、カメラ21を制御し、カメラ21が出力する撮像画像をサーバ300等に出力(送信)する。なお、セルフPOS端末10の操作者が映り込む範囲とは、操作者がいると想定される位置を含む範囲であり、操作部113の向かい側あたりで、セルフPOS端末10の正面側である。
【0041】
サーバ300の画像処理部311は、カメラ21の撮像画像を解析する処理(解析処理)を実行する。解析処理において、画像処理部311は、例えば特徴点を用いて撮像画像を解析し、その結果(解析結果)から、撮像方向が基準からずれたか否かを判断し、その結果(判断結果)を示す情報を、セルフPOS端末10に出力(送信)する。
【0042】
特徴点を用いた画像解析について概略的に説明する。特徴点の抽出や比較には、例えば、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform、スケール不変の特徴変換)を用いる。なお、特徴点の抽出や比較は、テンプレートマッチングやディープラーニング等の他の手法によって行われても構わない。
【0043】
解析処理において、画像処理部311は、例えば、まず、撮像画像から特徴点を複数箇所選出し、それら特徴点の座標およびパターン等の特徴量を記録する。解析処理の対象とする撮像画像は、基準のものと、運用中のものである。基準となる撮像画像は、セルフPOS端末10の設置時のものや、或いは、開店前の起動時などのものである。また、運用中の撮像画像は、登録処理や決済処理が行われている間のものである。
【0044】
次に画像処理部311は、基準とされる撮像画像から抽出された特徴点の座標およびパターン等の特徴量と、運用中の撮像画像から抽出された特徴点の座標およびパターン等の特徴量とを比較する。比較により、画像処理部311は、特徴点の照合(マッチング)を行う。照合において画像処理部311は、パターンが似ているかの程度を数値(類似度)に落とし込み、類似度が高い特徴点を対応するものであると判断する。
【0045】
次に画像処理部311は、上記照合にかかる処理において対応するとされた特徴点の座標が、基準とされる撮像画像のものと運用中の撮像画像のものとで異なるかを判断し、異なっていれば、その程度を判断する。
【0046】
例えば画像処理部311は、座標の位置の差が閾値を超えるか否かを判断する。閾値は、ずれを許容する限界の値として適する値であり、予め設定され、所定の記憶領域(例えば記憶部104)に記憶されている。次に画像処理部311は、特徴点の座標の位置の差が閾値を超えていた場合、カメラ21の向きがずれていると判断する。
【0047】
上記処理を、図を参照して説明する。
図4および
図5は、実施形態に係るカメラ21の撮像画像の一例を示す図であって、
図4は基準とされる撮像画像510の一例であり、
図5は運用中の撮像画像520の一例である。
図4および
図5が示す撮像画像510,520には、店内の様子が映り込んでいる。運用中の撮像画像520は、基準とされる撮像画像510よりも、向かってやや左側の範囲を映したものとなっている。つまり、運用中のカメラ21の向きは、基準時よりも、やや左にずれている。
【0048】
図4に示すように、基準とされる撮像画像510から、特徴点A~Eが選出されているとする。また、
図5に示すように、運用中の撮像画像520からは、基準とされる撮像画像510のものと対応する特徴点A,C,Dが選出されている。このように、特徴点の対応づけは、基準である撮像画像510が含む全ての特徴点が運用中の撮像画像520にも含まれている必要はなく、いくつかが含まれていれば足りる。
【0049】
この場合、両撮像画像510,520における特徴点A,C,Dの座標の位置の差を算出し、閾値と比較する。差が閾値を超えていた場合には、ずれを許容する限界を超えたと判断できるので、画像処理部311は、カメラ21の撮像方向が基準からずれていると判断する。このように、画像処理部311は、カメラ21の撮像画像を解析することにより、カメラ21の基準時からのずれを検知することができる。
【0050】
そして、判断を終えた画像処理部311は、カメラ21の撮像方向が基準からずれているか否かを示す情報を、セルフPOS端末10に送信する。
【0051】
図3に戻り、取得部116は、サーバ300から画像処理部311が出力する上述の判断結果を受信することにより、カメラ21の撮像方向が基準からずれているか否かを示す情報を取得する。判断結果が、撮像方向が基準からずれていることを示す情報であった場合、取得部116は、対策部117に対策を依頼する情報(信号)を出力する。
【0052】
対策部117は、取得部116がカメラ21の撮像方向が基準からずれていることを示す情報を取得すると、操作者による不正な操作を防止するための対策処理を行う。対策処理において、具体的には、対策部117は、例えば以下を実行する。
【0053】
対策部117は、登録部112による登録処理の進行や、決済部114による決済処理の進行を、停止させる。より詳しくは、対策部117は、登録部112による登録処理が未実行であれば登録処理を実行不可能にし、登録部112による登録処理が実行中であれば登録処理を一時停止または中止する。また、対策部117は、決済部114による決済処理が未実行であれば決済処理を実行不可能にし、決済部114による決済処理が実行中であれば決済処理を一時停止または中止する。
【0054】
また、対策部117は、店員が参照可能な装置(管理装置)に、カメラ21の撮像方向が基準からずれていることを報せる通知を、送信する。これを受けた店員は、必要に応じた対処を行う。
【0055】
さらに、対策部117は、モータ22を制御することにより、カメラ21の撮像方向を変えて、基準に近づけるようにしてもよい。
【0056】
以下、図面を参照して、実施形態に係るセルフPOS端末10で実行される処理の流れについて説明する。
図6は、実施形態に係るセルフPOS端末10において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
制御部110は、カメラ21で撮像すると(ステップS1)、画像処理にうつる(ステップS2)。本実施形態では画像処理はサーバ300で行うので、制御部110は、撮像画像をサーバ300に出力する。
【0058】
次に制御部110は、画像処理の結果を取得する(ステップS3)。本実施形態では画像処理はサーバ300で行うので、制御部110は、画像処理結果をサーバ300から受信する。画像処理結果は、画像処理による解析の結果であって、具体例としてはカメラ21の撮像方向が基準からずれていることを示す情報である。
【0059】
次に制御部110は、ステップS3で取得した情報に基づいて、カメラ21の撮像方向のずれの有無を判断する(ステップS4)。ずれがないと判断される場合(ステップS4のNo)、制御部110は処理を初めに戻す。
【0060】
ステップS4においてカメラ21の撮像方向にずれがあると判断される場合(ステップS4のYes)、制御部110は、対策処理を行う(ステップS5)。対策処理で、制御部110(対策部117)は、例えば、登録部112による登録処理の進行の停止や、決済部114による決済処理の進行の停止、さらに、管理装置への通知送信などを行う。
【0061】
なお、登録処理や決済処理は、例えば、セルフPOS端末10を確認した店員の停止解除の操作を受けて、再開される。また、制御部110(対策部117)がモータ22を制御してカメラ21の撮像方向を自動修正するのではない場合、セルフPOS端末10の確認に来た店員が、手動でカメラ21の撮像方向を修正した後に、登録処理および決済処理を再開する操作を行う。
【0062】
以上のような実施形態によれば、カメラ21の撮像方向が基準のものから変わっていた場合にこれを検知して異常であるとすることができる。また、上記実施形態によれば、カメラ21の撮像内容が異常である場合に、登録処理や決済処理の進行を定置することができるので、販売データ処理への不都合の発生を防止することができる。これにより、カメラ21による操作ミスや不正行為の検知が、適切に行われるようにすることができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、画像処理部311は、取得部116に、撮像方向が基準からずれているか否かの判断結果を示す情報を出力しているが、実施にあたっては、画像処理部311は以下のような他の情報を出力するのであってもよい。
【0064】
例えば、画像処理部311は、判断結果ではなく、撮像画像を解析した結果(解析結果)そのものを示す情報を、セルフPOS端末10に出力してもよい。この場合、セルフPOS端末10の取得部116は、解析結果に基づいて、撮像方向が基準からずれたか否かの判断を行い、判断結果を得る(取得する)。
【0065】
また、画像処理部311は、撮像方向が基準からずれていると判断した場合のみ、その旨を示す情報を出力してもよい。つまり、画像処理部311の判断結果のうち、カメラ21の撮像方向は基準からずれていなかったという内容の情報は、取得部116へ出力するものから除外されてもよい。
【0066】
また、解析処理を行う画像処理部311を、セルフPOS端末10が備えても構わない。
【0067】
また、上記実施形態では、カメラ21を1台備えるセルフPOS端末10を例に説明したが、販売データ処理装置や会計装置には、2台以上のカメラ21を備えるものもある。そこで、実施にあたっては、2台以上のカメラ21を備える装置に実施形態の技術を適用しても構わない。その場合には、カメラ21全台に上記実施形態の技術を適用してもよいし、或いは一部のカメラ21に適用してもよい。
【0068】
また、2台以上のカメラ21を備える販売データ処理装置や会計装置においては、各カメラ21の撮像範囲は、例えば、1台は操作者の手元を撮像し、他の1台は操作者の顔を撮像し、他の1台は店内を撮像するというように、それぞれ異ならせて設定されていると考えられる。そのような場合にも、上記実施形態によれば、各カメラ21について、基準となる撮像画像510を準備し、運用中の撮像画像520を解析すれば、カメラ21のずれの有無を判断することができる。
【0069】
また、カメラ21や撮像部115、モータ22が、セルフPOS端末10に含まれない別体の監視カメラを構成するものであっても、同様に、対策部117による対策処理を行うようにしてもよい。
【0070】
なお、上記実施形態のセルフPOS端末10は入出金部15を備えたものであるが、例えばセルフPOS端末10が現金を取り扱わないキャッシュレス端末として構成される場合等には、入出金部15は設けられなくて構わない。
【0071】
上述した実施形態は、上述した各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については同じ符号を用い、詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0072】
(第2の実施形態)
本実施形態では、セミセルフタイプのPOS端末(以下、セミセルフPOS端末とする)に、上記実施形態の技術を適用した例について説明する。セミセルフPOS端末は、商品登録の後の決済処理にかかる操作を買物客が操作者となって行う装置であって、会計装置の一例である。
【0073】
本実施形態において、決済処理に先立つ登録処理は、例えば、通常のPOS端末への店員の操作によって行われる。なお、登録処理は、買物客自身により行われる場合もある。買物客は、例えば、買物客が所持するスマートフォンで起動されたPOSアプリケーション(スマホPOS)や、カートPOS(店内備付のカートに付属した端末)への買物客の操作等によって、商品の登録を行う。
【0074】
セミセルフPOS端末は、上記実施形態におけるセルフPOS端末10から、スキャナ16、読取部111、登録部112などを除いた構成のものである。或いは、セルフPOS端末10においてそれら(スキャナ16、読取部111、登録部112など)が非稼働状態に設定されることで、セルフPOS端末10がセミセルフPOS端末として稼働するのであってもよい。
【0075】
本実施形態においても、
図6に示すフローチャートのように、制御部110が機能する。本実施形態における対策処理(ステップS5)において、制御部110は、決済部114による決済処理の進行の停止の他、必要に応じて、管理装置への通知送信や、モータ22を制御してのカメラ21の撮像方向の自動修正を行う。
【0076】
このように、第2の実施形態のセミセルフPOS端末によれば、第1の実施形態と同様に、操作ミスや不正行為を検知するためのカメラ21の撮像内容が異常である場合に販売データ処理への不都合の発生を防止することができる。
【0077】
上記実施形態の各装置で実行されるプログラムは、上述した各部(読取部111、登録部112、操作部113、決済部114、撮像部115、取得部116、対策部117、画像処理部311)を必要に応じて含むモジュール構成となっている。CPU(プロセッサ)は、上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、上記各部を主記憶装置上にロードする。これにより、読取部111、登録部112、操作部113、決済部114、撮像部115、取得部116、対策部117、画像処理部311が、主記憶装置上に生成される。
【0078】
上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0079】
さらに、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
10…セルフPOS端末、
11…本体、
12…カゴ置台、
13…袋詰め台、
131…台座、132…袋掛けフック、133…一時置台、134…支柱、
14…計量部、
15…入出金部、
16…スキャナ、161…読取窓、
17…タッチパネルディスプレイ、
18…表示灯、
19…カードリーダ、
20…プリンタ、
21…カメラ、22…モータ、
101…CPU、102…ROM、103…RAM、
104…記憶部、105…通信I/F、109…システムバス、
110…制御部、
111…読取部、112…登録部、113…操作部、114…決済部、
115…撮像部、116…取得部、117…対策部、
300…サーバ、310…制御部、311…画像処理部、
510,520…撮像画像。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】