(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046880
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240329BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01L21/304 648A
H01L21/304 644C
H01L21/304 644B
H01L21/304 648G
H01L21/304 651B
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152228
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】沖田 展彬
(72)【発明者】
【氏名】中村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉文
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA37
5F131BB03
5F131BB23
5F131CA18
5F131DB02
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5F131DB86
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5F157AA14
5F157AA16
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157BA02
5F157BA07
5F157BA13
5F157BA31
5F157BB22
5F157CF32
(57)【要約】
【課題】位置ずれに起因する基板の処理不良の発生を抑制することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板洗浄装置1は、チャンバ、第1の処理部および第2の処理部を含む。チャンバは、第1の処理位置および第2の処理位置を含む処理空間を形成する。第1の処理部は、チャンバ内で第1の処理位置に配置された基板Wに第1の処理を行う。第2の処理部は、チャンバ内で第2の処理位置に配置された基板Wに第2の処理を行う。メインロボット300は、基板Wを保持するハンドMaを移動させることにより基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入および基板Wの搬出を行う。また、メインロボット300は、処理空間内にハンドMaを進入させることにより第1の処理位置に配置された基板Wを受け取り、第2の処理位置に搬送し、位置決めする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ユニットと、
基板を保持する保持部を有し、前記保持部を移動させることにより前記処理ユニットに対する基板の搬入および基板の搬出が可能に構成された搬送装置とを備え、
前記処理ユニットは、
開口部を有しかつ第1の処理位置および第2の処理位置を含む処理空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内に収容されかつ前記第1の処理位置に配置された処理前の基板に第1の処理を行う第1の処理部と、
前記チャンバ内に収容されかつ前記第2の処理位置に配置された前記第1の処理後の基板に第2の処理を行う第2の処理部とを含み、
前記搬送装置は、前記開口部を通して前記処理空間内に前記保持部を進入させることにより前記第1の処理位置に配置された基板を受け取り、受け取った基板を前記処理空間内で搬送して前記第2の処理位置に位置決めする、基板処理装置。
【請求項2】
前記搬送装置は、前記保持部により基板が保持される場合に、当該保持部における予め定められた位置に基板を固定する固定装置を含み、
前記搬送装置は、前記第2の処理位置を示す位置情報に基づいて前記保持部を移動させることにより、前記第2の処理位置に対する基板の位置決めを行う、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記保持部は、基板を水平姿勢で保持するように構成され、
前記第1の処理位置と前記第2の処理位置とは、上下方向に並ぶ、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1の処理部および前記第2の処理部のうち一方は、
前記第1の処理位置にある基板の外周端部を保持する第1の保持装置と、
前記第1の保持装置により保持される基板の下面中央領域を洗浄する第1の洗浄装置とを含み、
前記第1の処理部および前記第2の処理部のうち他方は、
前記第2の処理位置にある基板の下面中央領域を吸着保持しつつ保持された基板を回転させる第2の保持装置と、
前記第2の保持装置により保持されて回転する基板の下面外側領域を洗浄する第2の洗浄装置とを含む、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記搬送装置は、前記保持部により基板が保持される場合に、当該保持部に対する基板の相対位置を検出する位置検出装置を含み、
前記搬送装置は、前記第2の処理位置を示す位置情報と前記位置検出装置により検出された基板の相対位置とに基づいて前記保持部を移動させることにより、前記第2の処理位置に対する基板の位置決めを行う、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
処理ユニットにより基板に処理を行うステップと、
搬送装置を用いて基板を搬送するステップとを含み、
前記処理ユニットは、
開口部を有しかつ第1の処理位置および第2の処理位置を含む処理空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内に収容されかつ前記第1の処理位置に配置された処理前の基板に第1の処理を行う第1の処理部と、
前記チャンバ内に収容されかつ前記第2の処理位置に配置された前記第1の処理後の基板に第2の処理を行う第2の処理部とを含み、
前記搬送装置は、基板を保持する保持部を有し、前記保持部を移動させることにより前記処理ユニットに対する基板の搬入および基板の搬出が可能に構成され、
前記基板に処理を行うステップは、
前記第1の処理部により前記処理前の基板に前記第1の処理を行うことと、
前記第2の処理部により前記第1の処理後の基板に第2の処理を行うこととを含み、
前記搬送するステップは、
前記開口部を通して前記処理空間内に前記保持部を進入させることにより前記第1の処理位置に配置された基板を受け取り、受け取った基板を前記処理空間内で搬送して前記第2の処理位置に位置決めすることとを含む、基板処理方法。
【請求項7】
前記搬送するステップは、
前記搬送装置において、前記保持部により基板が保持される場合に、当該保持部における予め定められた位置に基板を固定することと、
前記第1の処理位置から前記第2の処理位置に基板を搬送して位置決めする場合に、前記第2の処理位置を示す位置情報に基づいて前記保持部を移動させることとを含む、請求項6記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記保持部は、基板を水平姿勢で保持するように構成され、
前記第1の処理位置と前記第2の処理位置とは、上下方向に並ぶ、請求項6または7記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記第1の処理部および前記第2の処理部のうち一方は、
前記第1の処理位置にある基板の外周端部を保持する第1の保持装置と、
前記第1の保持装置により保持される基板の下面中央領域を洗浄する第1の洗浄装置とを含み、
前記第1の処理部および前記第2の処理部のうち他方は、
前記第2の処理位置にある基板の下面中央領域を吸着保持しつつ保持された基板を回転させる第2の保持装置と、
前記第2の保持装置により保持されて回転する基板の下面外側領域を洗浄する第2の洗浄装置とを含む、請求項6または7記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記搬送するステップは、
前記保持部により基板が保持される場合に、位置検出装置を用いて当該保持部に対する基板の相対位置を検出することと、
前記第1の処理位置から前記第2の処理位置に基板を搬送して位置決めする場合に、前記第2の処理位置を示す位置情報と前記位置検出装置により検出された基板の相対位置とに基づいて前記保持部を移動させることとを含む、請求項6記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に所定の処理を行う基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。基板を洗浄するために、基板洗浄装置が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載された基板洗浄装置は、上側保持装置、下側保持装置および下面洗浄装置を備える。上側保持装置は、一対の下チャックおよび一対の上チャックを含む。一対の下チャックの間でかつ一対の上チャックの間に配置された基板が、一対の下チャックおよび一対の上チャックにより挟み込まれる。それにより、基板の外周端部に一対の下チャックおよび一対の上チャックが接する状態で、洗浄対象となる基板が保持される。下面洗浄装置は、上側保持装置により保持される基板の下面中央領域を洗浄する。
【0004】
下側保持装置は、いわゆるスピンチャックであり、基板の下面中央領域を吸着保持しつつ、基板を水平姿勢で回転させる。下面洗浄装置は、下側保持装置により保持される基板の下面のうち下面中央領域を取り囲む領域(以下、下面外側領域と呼ぶ。)をさらに洗浄する。
【0005】
上側保持装置および下側保持装置は、間隔をおいて上下方向に並ぶ。そこで、上記の基板洗浄装置は、上側保持装置と下側保持装置との間で基板の受け渡しを行う受渡装置をさらに備える。受渡装置は、複数の支持ピンと、それらの複数のピンを連結するピン連結部材とを含む。複数の支持ピンは、上方に向かって延びるようにピン連結部材に取り付けられている。基板が複数の支持ピンの上端部により支持された状態でピン連結部材が上下動する。それにより、上側保持装置と下側保持装置との間で基板が搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、受渡装置は、複数の支持ピン上に基板が指示された状態で、その基板を上下方向に移動させる。各支持ピンは基板を搬送する搬送ロボットの基板保持部(ハンド)等に比べて低い剛性を有する。そのため、各支持ピンは、ピン連結部材を上下動させる駆動部で発生する振動、または受渡装置の近傍で発生する振動等の影響を受けて振動しやすい。この場合、上側保持装置と下側保持装置との間で基板が搬送される際に、基板があるべき位置からずれる可能性がある。また、上記の受渡装置は、複数の支持ピンが上下方向に移動することにより基板を移動させる。しかしながら、受渡装置は、複数の支持ピンを水平方向に移動させる構成を有しない。そのため、例えば受渡装置による基板の受取時に基板に水平方向の位置ずれが発生していると、当該受渡装置においてその位置ずれを解消することはできない。
【0008】
上側保持装置により保持される基板に位置ずれが生じていると、本来洗浄されるべき領域(下面中央領域)が正確に洗浄されない可能性がある。また、下側保持装置により保持される基板に位置ずれが生じていると、本来洗浄されるべき領域(下面外側領域)が正確に洗浄されない可能性がある。
【0009】
本発明の目的は、位置ずれに起因する基板の処理不良の発生を抑制することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に従う基板処理装置は、処理ユニットと、基板を保持する保持部を有し、前記保持部を移動させることにより前記処理ユニットに対する基板の搬入および基板の搬出が可能に構成された搬送装置とを備え、前記処理ユニットは、開口部を有しかつ第1の処理位置および第2の処理位置を含む処理空間を形成するチャンバと、前記チャンバ内に収容されかつ前記第1の処理位置に配置された処理前の基板に第1の処理を行う第1の処理部と、前記チャンバ内に収容されかつ前記第2の処理位置に配置された前記第1の処理後の基板に第2の処理を行う第2の処理部とを含み、前記搬送装置は、前記開口部を通して前記処理空間内に前記保持部を進入させることにより前記第1の処理位置に配置された基板を受け取り、受け取った基板を前記処理空間内で搬送して前記第2の処理位置に位置決めする。
【0011】
本発明の他の局面に従う基板処理方法は、処理ユニットにより基板に処理を行うステップと、搬送装置を用いて基板を搬送するステップとを含み、前記処理ユニットは、開口部を有しかつ第1の処理位置および第2の処理位置を含む処理空間を形成するチャンバと、前記チャンバ内に収容されかつ前記第1の処理位置に配置された処理前の基板に第1の処理を行う第1の処理部と、前記チャンバ内に収容されかつ前記第2の処理位置に配置された前記第1の処理後の基板に第2の処理を行う第2の処理部とを含み、前記搬送装置は、基板を保持する保持部を有し、前記保持部を移動させることにより前記処理ユニットに対する基板の搬入および基板の搬出が可能に構成され、前記基板に処理を行うステップは、前記第1の処理部により前記処理前の基板に前記第1の処理を行うことと、前記第2の処理部により前記第1の処理後の基板に第2の処理を行うこととを含み、前記搬送するステップは、前記開口部を通して前記処理空間内に前記保持部を進入させることにより前記第1の処理位置に配置された基板を受け取り、受け取った基板を前記処理空間内で搬送して前記第2の処理位置に位置決めすることとを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、位置ずれに起因する基板の処理不良の発生を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
【
図2】
図1のJ-J線における基板処理装置の模式的断面図である。
【
図6】
図5の基板洗浄装置の内部構成を示す外観斜視図である。
【
図7】
図1の基板処理装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図8】基板洗浄装置における第1の処理位置および第2の処理位置を説明するための図である。
【
図9】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図10】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図11】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図12】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図13】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図14】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図15】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図16】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図17】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図18】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図19】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図20】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図21】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図22】
図5の基板洗浄装置および
図1のメインロボットの動作の一例を説明するための模式図である。
【
図23】
図7の制御装置による一の基板についての基板処理を示すフローチャートである。
【
図24】
図7の制御装置による一の基板についての基板処理を示すフローチャートである。
【
図25】第2の実施の形態に係る基板処理装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板(ウエハ)、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、本実施の形態では、基板の上面が回路形成面(表面)であり、基板の下面が回路形成面と反対側の面(裏面)である。また、本実施の形態では、基板は、ノッチを除いて円形状を有する。
【0015】
1.第1の実施の形態
<1>基板処理装置の構成
図1は、第1の実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
図2は、
図1のJ-J線における基板処理装置100の模式的断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置100は、インデクサブロック110および処理ブロック120を有する。インデクサブロック110および処理ブロック120は、互いに隣り合うように設けられている。
【0016】
インデクサブロック110は、複数(本例では4つ)のキャリア載置台140および搬送部150を含む。複数のキャリア載置台140は、搬送部150に接続され、間隔をおいて一列に並ぶように配置されている。各キャリア載置台140上には、複数枚の基板Wを収納するキャリアCが載置される。
【0017】
搬送部150には、インデクサロボット200および制御装置170が設けられている。インデクサロボット200は、複数(本例では4つ)のハンドIa,Ib,Ic,Id、ハンド支持部材210および搬送駆動部220を含む。
【0018】
複数のハンドIa~Idは、複数の基板Wをそれぞれ保持可能に構成され、
図2に示すように、上下方向に一定間隔で並ぶ状態でハンド支持部材210上に設けられている。ハンド支持部材210は、一方向に延びるように形成され、その一方向に複数のハンドIa~Idを進退可能に支持する。搬送駆動部220は、水平方向(複数のキャリア載置台140が並ぶ方向)に移動可能に構成され、鉛直軸の周りで回転かつ昇降可能にハンド支持部材210を支持する。さらに、搬送駆動部220は、複数のモータおよびエアシリンダ等を含み、複数のハンドIa~Idにより複数の基板Wを搬送するために、ハンド支持部材210を水平方向に移動させ、ハンド支持部材210を鉛直軸の周りで回転させ、昇降させる。また、搬送駆動部220は、複数のハンドIa~Idを水平方向に進退させる。制御装置170は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)およびROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含むコンピュータ等からなり、基板処理装置100内の各構成要素を制御する。
【0019】
図1に示すように、処理ブロック120は、洗浄部161,162および搬送部163を含む。洗浄部161、搬送部163および洗浄部162は、搬送部150に隣り合うとともにこの順で並ぶように配置されている。洗浄部161,162においては、
図2に示すように、複数(本例では4つ)の基板洗浄装置1が上下に積層配置されている。各基板洗浄装置1は、当該基板洗浄装置1に基板Wを搬入しかつ当該基板洗浄装置1から基板Wを搬出するための搬入搬出口2x(
図2)を有する。基板洗浄装置1の構成および動作の詳細については後述する。
【0020】
搬送部163には、メインロボット300が設けられている。メインロボット300は、複数(本例では4つ)のハンドMa,Mb,Mc,Md、ハンド支持部材310および搬送駆動部320を含む。複数のハンドMa~Mdは、共通の構成を有し、上下方向に並ぶ状態でハンド支持部材310上に設けられている。各ハンドMa~Mdは、基板Wを水平姿勢で保持可能に構成されている。また、各ハンドMa~Mdには、当該ハンドにおける予め定められた位置(以下、ハンド基準位置と呼ぶ。)に基板Wを固定するための固定装置が設けられている。
【0021】
ここで、ハンドMaおよびそのハンドMaに設けられる固定装置について説明する。
図3は
図1のハンドMaの平面図であり、
図4は
図1のハンドMaの側面図である。
図3および
図4では、ハンドMaにより保持される基板Wの外形が一点鎖線で示される。
図3に示すように、ハンドMaは、ハンドベース部331と2つのハンドアーム部332,333とを含む。ハンドベース部331は、一方向に延びる略矩形の板形状を有する。ハンドアーム部332,333は、一方向におけるハンドベース部331の両端部から、その一方向に直交する方向(以下、ハンド進退方向と呼ぶ。)にそれぞれ直線状に延びるように形成されている。
【0022】
ハンドベース部331の上面略中央部には、基板Wを支持するための支持片341が、ハンド進退方向に移動可能に設けられている(
図3および
図4の白抜きの矢印参照)。支持片341は、基板Wの下面を支持可能な支持面と、基板Wの外周端部に当接可能な当接面とを有する。ハンドベース部331の上面略中央部には、さらに、支持片341をハンド進退方向に移動させる固定装置350が設けられている。
【0023】
ハンドアーム部332の先端部近傍には、支持片341と同じ構成を有する支持片342が固定されている。ハンドアーム部333の先端部近傍にも、支持片341と同じ構成を有する支持片343が固定されている。
【0024】
固定装置350は、ハンドMaにより基板Wが保持されない場合に、平面視で支持片341,342,343の当接面を通る円が基板Wよりも大きくなるように、支持片341のハンド進退方向の位置を調整する。
【0025】
ハンドMaによる基板Wの受取時には、保持対象となる基板Wが支持片341,342,343の全ての支持面上に載置される。この状態で、固定装置350は、基板Wの外周端部が支持片341,342,343の全ての当接面に接触するように、支持片341を移動させる。具体的には、固定装置350は、支持片342,343に近づくように、支持片341をハンド進退方向に移動させる。それにより、基板Wがハンド基準位置に固定された状態で、基板WがハンドMaにより保持される。
【0026】
一方、ハンドMaによる基板の渡し時には、基板Wがハンド基準位置に固定された状態で、固定装置350は、基板Wの外周端部が支持片341,342,343のうち少なくとも一部の当接面から離間するように、支持片341を移動させる。具体的には、固定装置350は、支持片342,343から遠ざかるように、支持片341をハンド進退方向に移動させる。それにより、ハンドMaにおける基板Wの保持状態が解放される。
【0027】
図1に示すように、ハンド支持部材310は、一方向に延びるように形成され、その一方向に上記の複数のハンドMa~Mdをそれぞれ独立して進退可能に支持する。搬送駆動部320は、鉛直軸の周りで回転可能かつ昇降可能にハンド支持部材310を支持する。さらに、搬送駆動部320は、複数のモータおよびエアシリンダ等を含み、複数のハンドMa~Mdにより複数の基板Wを搬送するために、ハンド支持部材310を鉛直軸の周りで回転させ、昇降させる。また、搬送駆動部320は、複数のハンドMa~Mdを水平方向に進退させる。
【0028】
インデクサブロック110と処理ブロック120との間には、インデクサロボット200とメインロボット300との間で基板Wの受け渡しを行うための複数(本例では4つ)の基板載置部PASS1および複数の基板載置部PASS2が上下に積層配置されている。複数の基板載置部PASS1は複数(本例では4つ)の基板載置部PASS2よりも上方に位置する。
【0029】
複数の基板載置部PASS2は、インデクサロボット200からメインロボット300に基板Wを渡すために用いられる。複数の基板載置部PASS1は、メインロボット300からインデクサロボット200に基板Wを渡すために用いられる。
【0030】
インデクサロボット200は、複数のキャリア載置台140上に載置された複数のキャリアCのいずれかのキャリアCから処理前の基板Wを取り出す。また、インデクサロボット200は、取り出した処理前の基板Wを複数の基板載置部PASS2のいずれかに載置する。さらに、インデクサロボット200は、複数の基板載置部PASS1のいずれかに載置されている処理後の基板Wを受け取り、空のキャリアC内に収容する。
【0031】
メインロボット300は、複数の基板載置部PASS2に載置されている複数の処理前の基板Wを複数のハンドMa~Mdによりそれぞれ受け取る。また、メインロボット300は、基板載置部PASS2から複数のハンドMa~Mdにより受け取った複数の処理前の基板Wを洗浄部161または洗浄部162の複数の基板洗浄装置1にそれぞれ搬入する。さらに、メインロボット300は、複数の基板洗浄装置1内の複数の処理後の基板Wを複数のハンドMa~Mdによりそれぞれ搬出する。その後、メインロボット300は、各基板洗浄装置1から搬出した処理後の基板Wを複数の基板載置部PASS1のいずれかに載置する。
【0032】
本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、当該基板洗浄装置1の内部に、互いに異なる第1の処理位置および第2の処理位置が定められる。また、その基板洗浄装置1においては、基板Wが第1の処理位置にある状態で基板Wの一部分が洗浄され、基板Wが第2の処理位置にある状態で基板Wの他の部分が洗浄される。そのため、基板洗浄装置1内では、基板Wを第1の処理位置から第2の処理位置に移動させる必要がある。
【0033】
そこで、本実施の形態に係る基板処理装置100においては、メインロボット300が、上記の各種搬送動作に加えて、各基板洗浄装置1における第1の処理位置および第2の処理位置間の基板Wの搬送を行う。メインロボット300による第1の処理位置および第2の処理位置間の基板Wの搬送についての詳細は、基板洗浄装置1の動作の詳細とともに後述する。
【0034】
<2>基板洗浄装置の構成
図5は、
図1の基板洗浄装置1の模式的平面図である。
図6は、
図5の基板洗浄装置1の内部構成を示す外観斜視図である。基板洗浄装置1においては、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
図5および
図6以降の所定の図では、X方向、Y方向およびZ方向が適宜矢印で示される。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0035】
図5に示すように、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10B、下側保持装置20、台座装置30、下面洗浄装置50、カップ装置60、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および開閉装置90を備える。これらの構成要素は、ユニット筐体2内に設けられる。
図6では、ユニット筐体2が点線で示される。
【0036】
ユニット筐体2は、矩形の底面部2aと、底面部2aの4辺から上方に延びる4つの側壁部2b,2c,2d,2eとを有する。側壁部2b,2cが互いに対向し、側壁部2d,2eが互いに対向する。側壁部2bの中央部には、矩形の開口が形成されている。この開口は、基板Wの搬入搬出口2xであり、ユニット筐体2に対する基板Wの搬入時および搬出時に用いられる。
図6では、搬入搬出口2xが太い点線で示される。以下の説明においては、Y方向のうちユニット筐体2の内部から搬入搬出口2xを通してユニット筐体2の外方に向く方向(側壁部2cから側壁部2bを向く方向)を前方と呼び、その逆の方向(側壁部2bから側壁部2cを向く方向)を後方と呼ぶ。
【0037】
側壁部2bにおける搬入搬出口2xの形成部分およびその近傍の領域には、開閉装置90が設けられている。開閉装置90は、搬入搬出口2xを開閉可能に構成されたシャッタ91と、シャッタ91を駆動するシャッタ駆動部92とを含む。
図6では、シャッタ91が太い二点鎖線で示される。シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入時および搬出時に搬入搬出口2xを開放するようにシャッタ91を駆動する。また、シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1における基板Wの洗浄処理時に搬入搬出口2xを閉塞するようにシャッタ91を駆動する。
【0038】
底面部2aの中央部には、台座装置30が設けられている。台座装置30は、リニアガイド31、可動台座32および台座駆動部33を含む。リニアガイド31は、2本のレールを含み、平面視で側壁部2bの近傍から側壁部2cの近傍までY方向に延びるように設けられている。可動台座32は、リニアガイド31の2本のレール上でY方向に移動可能に設けられている。台座駆動部33は、例えばパルスモータを含み、リニアガイド31上で可動台座32をY方向に移動させる。
【0039】
可動台座32上には、下側保持装置20および下面洗浄装置50がY方向に並ぶように設けられている。下側保持装置20は、吸着保持部21および吸着保持駆動部22を含む。吸着保持部21は、いわゆるスピンチャックであり、基板Wの下面を吸着保持可能な円形の吸着面を有し、上下方向に延びる軸(Z方向の軸)の周りで回転可能に構成される。
図5では、下側保持装置20により吸着保持された基板Wの外形が二点鎖線で示される。以下の説明では、吸着保持部21により基板Wが吸着保持される際に、基板Wの下面のうち吸着保持部21の吸着面が吸着すべき領域を下面中央領域と呼ぶ。一方、基板Wの下面のうち下面中央領域を取り囲む領域を下面外側領域と呼ぶ。
【0040】
吸着保持駆動部22は、モータを含む。吸着保持駆動部22のモータは、回転軸が上方に向かって突出するように可動台座32上に設けられている。吸着保持部21は、吸着保持駆動部22の回転軸の上端部に取り付けられる。また、吸着保持駆動部22の回転軸には、吸着保持部21において基板Wを吸着保持するための吸引経路が形成されている。その吸引経路は、図示しない吸気装置に接続されている。吸着保持駆動部22は、吸着保持部21を上記の回転軸の周りで回転させる。
【0041】
下面洗浄装置50は、下面ブラシ51、2つの液ノズル52、気体噴出部53、昇降支持部54、移動支持部55、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55bおよび下面ブラシ移動駆動部55cを含む。移動支持部55は、可動台座32上の一定領域内で下側保持装置20に対してY方向に移動可能に設けられている。
図6に示すように、移動支持部55上に、昇降支持部54が昇降可能に設けられている。昇降支持部54は、吸着保持部21から遠ざかる方向(本例では後方)において斜め下方に傾斜する上面54uを有する。
【0042】
下面ブラシ51は、例えばPVA(ポリビニールアルコール)スポンジまたは砥粒が分散されたPVAスポンジにより形成され、
図5に示すように、基板Wの下面に接触可能な円形の洗浄面を有する。また、下面ブラシ51は、洗浄面が上方を向くようにかつ洗浄面が当該洗浄面の中心を通って上下方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。下面ブラシ51の洗浄面の面積は、吸着保持部21の吸着面の面積よりも大きい。
【0043】
2つの液ノズル52の各々は、下面ブラシ51の近傍に位置しかつ液体吐出口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54u上に取り付けられている。液ノズル52には、下面洗浄液供給部56(
図7)が接続されている。下面洗浄液供給部56は、液ノズル52に洗浄液を供給する。液ノズル52は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に、下面洗浄液供給部56から供給される洗浄液を基板Wの下面に供給する。本実施の形態では、液ノズル52に供給される洗浄液として純水(脱イオン水)が用いられる。なお、液ノズル52に供給される洗浄液としては、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水、電解イオン水、SC1(アンモニアと過酸化水素水との混合溶液)またはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いることもできる。
【0044】
気体噴出部53は、一方向に延びる気体噴出口を有するスリット状の気体噴射ノズルである。気体噴出部53は、平面視で下面ブラシ51と吸着保持部21との間に位置しかつ気体噴射口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。気体噴出部53には、噴出気体供給部57(
図7)が接続されている。噴出気体供給部57は、気体噴出部53に気体を供給する。本実施の形態では、気体噴出部53に供給される気体として窒素ガスが用いられる。気体噴出部53は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時および後述する基板Wの下面の乾燥時に、噴出気体供給部57から供給される気体を基板Wの下面に噴射する。この場合、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に、X方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。気体噴出部53に供給される気体としては、窒素ガスに代えて、アルゴンガスまたはヘリウムガス等の不活性ガスを用いることもできる。
【0045】
下面ブラシ回転駆動部55aは、モータを含み、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に下面ブラシ51を回転させる。下面ブラシ昇降駆動部55bは、ステッピングモータまたはエアシリンダを含み、移動支持部55に対して昇降支持部54を昇降させる。下面ブラシ移動駆動部55cは、モータを含み、可動台座32上で移動支持部55をY方向に移動させる。ここで、可動台座32における下側保持装置20の位置は固定されている。そのため、下面ブラシ移動駆動部55cによる移動支持部55のY方向の移動時には、移動支持部55が下側保持装置20に対して相対的に移動する。以下の説明では、可動台座32上で下側保持装置20に最も近づくときの下面洗浄装置50の位置を接近位置と呼び、可動台座32上で下側保持装置20から最も離れたときの下面洗浄装置50の位置を離間位置と呼ぶ。
【0046】
底面部2aの中央部には、さらにカップ装置60が設けられている。カップ装置60は、処理カップ61およびカップ駆動部62を含む。処理カップ61は、平面視で下側保持装置20および台座装置30を取り囲むようにかつ昇降可能に設けられている。
図6においては、処理カップ61が点線で示される。カップ駆動部62は、下面ブラシ51が基板Wの下面におけるどの部分を洗浄するのかに応じて処理カップ61を下カップ位置と上カップ位置との間で移動させる。下カップ位置は、処理カップ61の上端部が吸着保持部21により吸着保持される基板Wよりも下方に位置するときの処理カップ61の高さ位置である。また、上カップ位置は、処理カップ61の上端部が吸着保持部21よりも上方に位置するときの処理カップ61の高さ位置である。
【0047】
処理カップ61よりも上方の高さ位置には、平面視で台座装置30を挟んで対向するように一対の上側保持装置10A,10Bが設けられている。上側保持装置10Aは、下チャック11A、上チャック12A、下チャック駆動部13Aおよび上チャック駆動部14Aを含む。上側保持装置10Bは、下チャック11B、上チャック12B、下チャック駆動部13Bおよび上チャック駆動部14Bを含む。
【0048】
下チャック11A,11Bは、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。下チャック11A,11Bの各々は、基板Wの下面周縁部を基板Wの下方から支持可能な2本の支持片を有する。下チャック駆動部13A,13Bは、下チャック11A,11Bが互いに近づくように、または下チャック11A,11Bが互いに遠ざかるように、下チャック11A,11Bを移動させる。
【0049】
上チャック12A,12Bは、下チャック11A,11Bと同様に、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。上チャック12A,12Bの各々は、基板Wの外周端部の2つの部分に当接して基板Wの外周端部を保持可能に構成された2本の保持片を有する。上チャック駆動部14A,14Bは、上チャック12A,12Bが互いに近づくように、または上チャック12A,12Bが互いに遠ざかるように、上チャック12A,12Bを移動させる。
【0050】
図5に示すように、処理カップ61の一側方においては、平面視で上側保持装置10Bの近傍に位置するように、上面洗浄装置70が設けられている。上面洗浄装置70は、回転支持軸71、アーム72、スプレーノズル73および上面洗浄駆動部74を含む。
【0051】
回転支持軸71は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に上面洗浄駆動部74により支持される。アーム72は、
図6に示すように、上側保持装置10Bよりも上方の位置で、回転支持軸71の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム72の先端部には、スプレーノズル73が取り付けられている。
【0052】
スプレーノズル73には、上面洗浄流体供給部75(
図7)が接続される。上面洗浄流体供給部75は、スプレーノズル73に洗浄液および気体を供給する。本実施の形態では、スプレーノズル73に供給される洗浄液として純水が用いられ、スプレーノズル73に供給される気体として窒素ガスが用いられる。スプレーノズル73は、基板Wの上面の洗浄時に、上面洗浄流体供給部75から供給される洗浄液と気体とを混合して混合流体を生成し、生成された混合流体を下方に噴射する。
【0053】
なお、スプレーノズル73に供給される洗浄液としては、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水、電解イオン水、SC1(アンモニアと過酸化水素水との混合溶液)またはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いることもできる。また、スプレーノズル73に供給される気体としては、窒素ガスに代えてアルゴンガスまたはヘリウムガス等の不活性ガスを用いることもできる。
【0054】
上面洗浄駆動部74は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸71を昇降させるとともに、回転支持軸71を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの上面上で、スプレーノズル73を円弧状に移動させることにより、基板Wの上面全体を洗浄することができる。
【0055】
図5に示すように、処理カップ61の他側方においては、平面視で上側保持装置10Aの近傍に位置するように、端部洗浄装置80が設けられている。端部洗浄装置80は、回転支持軸81、アーム82、ベベルブラシ83およびベベルブラシ駆動部84を含む。
【0056】
回転支持軸81は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能にベベルブラシ駆動部84により支持される。アーム82は、
図6に示すように、上側保持装置10Aよりも上方の位置で、回転支持軸81の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム82の先端部には、下方に向かって突出するようにかつ上下方向の軸の周りで回転可能となるようにベベルブラシ83が設けられている。
【0057】
ベベルブラシ83は、例えばPVAスポンジまたは砥粒が分散されたPVAスポンジにより形成され、上半部が逆円錐台形状を有するとともに下半部が円錐台形状を有する。このベベルブラシ83によれば、外周面の上下方向における中央部分で基板Wの外周端部を洗浄することができる。
【0058】
ベベルブラシ駆動部84は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸81を昇降させるとともに、回転支持軸81を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの外周端部にベベルブラシ83の外周面の中央部分を接触させることにより、基板Wの外周端部全体を洗浄することができる。
【0059】
ここで、ベベルブラシ駆動部84は、さらにアーム82に内蔵されるモータを含む。そのモータは、アーム82の先端部に設けられるベベルブラシ83を上下方向の軸の周りで回転させる。したがって、基板Wの外周端部の洗浄時に、ベベルブラシ83が回転することにより、基板Wの外周端部におけるベベルブラシ83の洗浄力が向上する。
【0060】
<3>基板処理装置の制御系
図7は、
図1の基板処理装置100の制御系統の構成を示すブロック図である。上記のように、
図1の制御装置170は、CPU、RAM、ROMおよび記憶装置を含む。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。ROMは、システムプログラムを記憶する。記憶装置は、基板処理プログラムを記憶する。
【0061】
図7に示すように、制御装置170は、機能部として、チャック制御部171、吸着制御部172、台座制御部173、下面洗浄制御部175、カップ制御部176、上面洗浄制御部177、ベベル洗浄制御部178、搬入搬出制御部179、搬送制御部180,181および位置情報記憶部182を含む。CPUが記憶装置に記憶された基板処理プログラムをRAM上で実行することにより制御装置170の機能部が実現される。制御装置170の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0062】
チャック制御部171、吸着制御部172、台座制御部173、下面洗浄制御部175、カップ制御部176、上面洗浄制御部177、ベベル洗浄制御部178および搬入搬出制御部179は、各基板洗浄装置1の動作を制御する。具体的には、チャック制御部171は、各基板洗浄装置1に搬入される基板Wを受け取り、吸着保持部21の上方の位置で保持するために、下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御する。
【0063】
吸着制御部172は、吸着保持部21により基板Wを吸着保持するとともに吸着保持された基板Wを回転させるために、吸着保持駆動部22を制御する。台座制御部173は、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wに対して可動台座32を移動させるために、台座駆動部33を制御する。
【0064】
下面洗浄制御部175は、基板Wの下面を洗浄するために、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面ブラシ移動駆動部55c、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部57を制御する。カップ制御部176は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの洗浄時に基板Wから飛散する洗浄液を処理カップ61で受け止めるために、カップ駆動部62を制御する。
【0065】
上面洗浄制御部177は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの上面を洗浄するために、上面洗浄駆動部74および上面洗浄流体供給部75を制御する。ベベル洗浄制御部178は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの外周端部を洗浄するために、ベベルブラシ駆動部84を制御する。搬入搬出制御部179は、各基板洗浄装置1における基板Wの搬入時および搬出時にユニット筐体2の搬入搬出口2xを開閉するために、シャッタ駆動部92を制御する。
【0066】
基板処理装置100においては、基板Wを搬送する搬送ロボットが他の構成要素から基板Wを受け取る受取位置は、基板処理装置100の全体について定義された座標系(以下、装置座標系と呼ぶ。)の座標で表すことができる。また、搬送ロボットが他の構成要素に基板Wを渡す(載置する)渡し位置も、装置座標系の座標で表すことができる。本実施の形態においては、上記の搬送ロボットは、インデクサロボット200およびメインロボット300である。
【0067】
位置情報記憶部182には、基板処理装置100内に予め設定された複数の受取位置の座標が位置情報として記憶される。複数の受取位置の座標には、上記の第1の処理位置の座標が含まれる。また、位置情報記憶部182には、基板処理装置100内に予め設定された複数の渡し位置の座標が位置情報として記憶される。複数の渡し位置の座標には、上記の第2の処理位置の座標が含まれる。
【0068】
図1の搬送駆動部220は、例えば複数のエンコーダまたは複数の駆動パルス発生部等を含み、ハンド支持部材210の動作量および各ハンドIa~Idの動作量に対応する信号を出力可能に構成されている。これにより、搬送制御部180は、搬送駆動部220からの出力信号に基づいて、装置座標系における各ハンドIa~Idの座標位置を把握することができる。それにより、搬送制御部180は、把握される各ハンドIa~Idの座標位置と、位置情報記憶部182に記憶された位置情報とに基づいて、複数のキャリアCと複数の基板載置部PASS1,PASS2との間で基板Wが搬送されるように、搬送駆動部220を制御する。
【0069】
図1の搬送駆動部320は、例えば複数のエンコーダまたは複数の駆動パルス発生部等を含み、ハンド支持部材310の動作量および各ハンドMa~Mdの動作量に対応する信号を出力可能に構成されている。これにより、搬送制御部181は、搬送駆動部320からの出力信号に基づいて、装置座標系における各ハンドMa~Mdの座標位置を把握することができる。それにより、搬送制御部181は、把握される各ハンドMa~Mdの座標位置と、位置情報記憶部182に記憶された位置情報とに基づいて、複数の基板載置部PASS1,PASS2と複数の基板洗浄装置1との間で基板Wが搬送されるように、搬送駆動部320を制御する。また、搬送制御部181は、各基板洗浄装置1内の第1の処理位置と第2の処理位置との間で基板Wが搬送されるように、搬送駆動部320を制御する。さらに、搬送制御部181は、各ハンドMa~Mdに設けられた
図3の固定装置350の動作を制御する。
【0070】
なお、
図7の例では、制御装置170は、インデクサロボット200およびメインロボット300の動作に加えて、複数の基板洗浄装置1の動作を制御するが、実施の形態はこれに限定されない。各基板洗浄装置1は、当該基板洗浄装置1の動作を制御するための制御装置を有してもよい。この場合、制御装置170はチャック制御部171、吸着制御部172、台座制御部173、下面洗浄制御部175、カップ制御部176、上面洗浄制御部177、ベベル洗浄制御部178および搬入搬出制御部179を含まなくてもよい。
【0071】
<4>第1の処理位置および第2の処理位置
図8は、基板洗浄装置1における第1の処理位置および第2の処理位置を説明するための図である。
図8においては、上段に基板洗浄装置1の平面図が示される。また、中段にY方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示され、下段にX方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示される。中段の側面図は
図5のA-A線側面図に対応し、下段の側面図は
図5のB-B線側面図に対応する。なお、基板洗浄装置1における各構成要素の形状および動作状態の理解を容易にするために、上段の平面図と中段および下段の側面図との間では、一部の構成要素の拡縮率が異なる。
【0072】
図8の各図では、第1の処理位置に配置された基板Wの外形が一点鎖線で示されるとともに、第1の処理位置に配置された基板Wの中心位置が、第1の処理位置として符号P1が付された点により示される。また、
図8の各図では、第2の処理位置に配置された基板Wの外形が点線で示されるとともに、第2の処理位置に配置された基板Wの中心位置が、第2の処理位置として符号P2が付された点により示される。
【0073】
図8の上段に示すように、第1の処理位置P1および第2の処理位置P2は、平面視で一致する。そのため、
図8の上段の平面図では、第1の処理位置P1に配置された基板Wの外形と第2の処理位置P2に配置された基板Wの外形とが一致する。さらに、第1の処理位置P1および第2の処理位置P2に配置される基板Wの中心位置は、平面視における処理カップ61の中心位置(後述する
図9の平面基準位置rp)に一致するように定められる。
【0074】
一方、
図8の中段および下段に示すように、第1の処理位置P1は、側面視で上側保持装置10A,10Bと同じ高さ位置にある。換言すれば、第1の処理位置P1は、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの高さ位置に定められる。また、
図8の中段および下段に示すように、第2の処理位置P2は、側面視で下側保持装置20の吸着保持部21と同じ高さ位置にある。換言すれば、第2の処理位置P2は、下側保持装置20により保持される基板Wの高さ位置に定められる。
【0075】
<5>基板洗浄装置1およびメインロボット300の動作
複数の基板洗浄装置1において、
図1のメインロボット300のハンドMa~Mdによりそれぞれ搬送された複数の基板Wについて洗浄処理が順次行われる。以下、ハンドMaにより搬送された基板Wについての基板洗浄装置1の動作を説明するが、ハンドMb~Mdにより搬送された基板Wについての基板洗浄装置1の動作もハンドMaにより搬送された基板Wについての基板洗浄装置1の動作と同様である。
【0076】
図9~
図22は、
図5の基板洗浄装置1および
図1のメインロボット300の動作の一例を説明するための模式図である。
図9~
図22の各々においては、
図8の例と同様に、上段に基板洗浄装置1の平面図が示される。また、中段にY方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示され、下段にX方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示される。中段の側面図は
図5のA-A線側面図に対応し、下段の側面図は
図5のB-B線側面図に対応する。なお、基板洗浄装置1における各構成要素の形状および動作状態の理解を容易にするために、上段の平面図と中段および下段の側面図との間では、一部の構成要素の拡縮率が異なる。また、
図9~
図22では、処理カップ61が二点鎖線で示されるとともに、基板Wの外形が太い一点鎖線で示される。
【0077】
基板洗浄装置1に基板Wが搬入される前の初期状態においては、開閉装置90のシャッタ91が搬入搬出口2xを閉塞している。また、
図5に示されるように、下チャック11A,11Bは、下チャック11A,11B間の距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、上チャック12A,12Bも、上チャック12A,12B間の距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、台座装置30の可動台座32は、平面視で吸着保持部21の中心が処理カップ61の中心に位置するように配置されている。また、可動台座32上で下面洗浄装置50は、接近位置に配置されている。また、下面洗浄装置50の昇降支持部54は、下面ブラシ51の洗浄面(上端部)が吸着保持部21よりも下方に位置する状態にある。さらに、カップ装置60においては、処理カップ61は下カップ位置にある。以下の説明では、平面視における処理カップ61の中心位置を平面基準位置rpと呼ぶ。また、平面視で吸着保持部21の中心が平面基準位置rpにあるときの底面部2a上の可動台座32の位置を第1の台座位置と呼ぶ。
【0078】
基板洗浄装置1のユニット筐体2内に処理前の基板Wが搬入される。具体的には、基板Wの搬入の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、
図9に太い実線の矢印a1で示すように、
図1のメインロボット300のハンドMaが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2に進入し、ユニット筐体2内の略中央の位置に基板Wを移動させる。このとき、ハンドMaにより保持される基板Wは、
図9に示すように、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間で、第1の処理位置P1に位置決めされる。
【0079】
ここで、ハンドMaによる基板Wの搬送時には、基板Wは、
図3の固定装置350によりハンド基準位置に固定される。この場合、基板Wの搬送時にハンドMaに対する基板Wの位置ずれが生じない。したがって、ハンドMaにより搬送される基板Wは、ハンドMaの座標位置と第1の処理位置P1の位置情報とに基づいて、第1の処理位置P1に高い精度で位置決めされる。
【0080】
次に、
図10に太い実線の矢印a2で示すように、下チャック11A,11Bの複数の支持片が基板Wの下面周縁部の下方に位置するように、下チャック11A,11Bが互いに近づく。この状態で、ハンドMaにおいて固定装置350による基板Wの固定状態が解除される。また、ハンドMaが下降する。それにより、ハンドMaに保持された基板Wの下面周縁部の複数の部分が、下チャック11A,11Bの複数の支持片により支持される。その後、ハンドMaは、ユニット筐体2から退出する。ハンドMaの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0081】
次に、
図11に太い実線の矢印a3で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部に当接するように、上チャック12A,12Bが互いに近づく。上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部の複数の部分に当接することにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが上チャック12A,12Bによりさらに保持される。このようにして、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの中心は、平面視で平面基準位置rpに重なるかほぼ重なる。また、
図11に太い実線の矢印a4で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpから所定距離ずれるとともに下面ブラシ51の中心が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が第1の台座位置から前方に移動する。このとき、底面部2a上に位置する可動台座32の位置を第2の台座位置と呼ぶ。
【0082】
次に、
図12に太い実線の矢印a5で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。また、
図12に太い実線の矢印a6で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの下面中央領域に付着する汚染物質が下面ブラシ51により物理的に剥離される。
【0083】
図12の下段には、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する部分の拡大側面図が吹き出し内に示される。その吹き出し内に示されるように、下面ブラシ51が基板Wに接触する状態で、液ノズル52および気体噴出部53は、基板Wの下面に近接する位置に保持される。このとき、液ノズル52は、白抜きの矢印a51で示すように、下面ブラシ51の近傍の位置で基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出する。これにより、液ノズル52から基板Wの下面に供給された洗浄液が下面ブラシ51と基板Wとの接触部に導かれることにより、下面ブラシ51により基板Wの裏面から除去された汚染物質が洗浄液により洗い流される。このように、下面洗浄装置50においては、液ノズル52が下面ブラシ51とともに昇降支持部54に取り付けられている。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄部分に効率よく洗浄液を供給することができる。したがって、洗浄液の消費量が低減されるとともに洗浄液の過剰な飛散が抑制される。
【0084】
なお、基板Wの下面を洗浄する際の下面ブラシ51の回転速度は、液ノズル52から基板Wの下面に供給される洗浄液が下面ブラシ51の側方に飛散しない程度の速度に維持される。
【0085】
ここで、昇降支持部54の上面54uは、吸着保持部21から遠ざかる方向において斜め下方に傾斜している。この場合、基板Wの下面から汚染物質を含む洗浄液が昇降支持部54上に落下する場合に、上面54uによって受け止められた洗浄液が吸着保持部21から遠ざかる方向に導かれる。
【0086】
また、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時には、気体噴出部53が、
図12の吹き出し内に白抜きの矢印a52で示すように、下面ブラシ51と吸着保持部21との間の位置で基板Wの下面に向かって気体を噴射する。本実施の形態においては、気体噴出部53は、気体噴射口がX方向に延びるように昇降支持部54上に取り付けられている。この場合、気体噴出部53から基板Wの下面に気体が噴射される際には、下面ブラシ51と吸着保持部21との間でX方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に向かって飛散することが防止される。したがって、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に付着することが防止され、吸着保持部21の吸着面が清浄に保たれる。
【0087】
なお、
図12の例においては、気体噴出部53は、白抜きの矢印a52で示すように、気体噴出部53から下面ブラシ51に向かって斜め上方に気体を噴射するが、実施の形態はこれに限定されない。気体噴出部53は、気体噴出部53から基板Wの下面に向かってZ方向に沿うように気体を噴射してもよい。
【0088】
次に、
図12の状態で、基板Wの下面中央領域の洗浄が完了すると、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出が停止される。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射は継続される。
【0089】
その後、
図13に太い実線の矢印a7で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が後方に移動する。すなわち、可動台座32は、第2の台座位置から第1の台座位置に移動する。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が継続されることにより、基板Wの下面中央領域が気体カーテンにより順次乾燥される。
【0090】
次に、
図14に太い実線の矢印a8で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が吸着保持部21の吸着面(上端部)よりも下方に位置するように、昇降支持部54が下降する。また、
図14に太い実線の矢印a9で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部から離間するように、上チャック12A,12Bが互いに遠ざかる。このとき、基板Wは、下チャック11A,11Bにより第1の処理位置P1で支持された状態となる。
【0091】
次に、シャッタ91が搬入搬出口2xを開放し、
図15に太い実線の矢印a10で示すように、メインロボット300のハンドMaが、搬入搬出口2xを通してユニット筐体2に進入し、第1の処理位置P1にある基板Wを受け取る。ハンドMaに受け取られた基板Wは、固定装置350によりハンド基準位置に固定される。
【0092】
その後、
図16に太い実線の矢印a11で示すように、下チャック11A,11Bが互いに遠ざかる。このとき、下チャック11A,11Bは、平面視で基板Wに重ならない位置まで移動する。それにより、上側保持装置10A,10Bは、ともに初期状態に戻る。
【0093】
次に、メインロボット300のハンドMaが、基板Wを第1の処理位置P1から第2の処理位置P2に搬送し、当該基板Wを下側保持装置20に渡す。具体的には、
図17に太い実線の矢印a12で示すように、基板Wを保持するハンドMaが下降する。また、基板Wが第2の処理位置P2に到達するか、基板Wが第2の処理位置P2に到達する直前の時点で、固定装置350による基板Wの固定状態が解除される。このようにして、ハンドMaにより保持された基板Wが、第2の処理位置P2に位置決めされ、吸着保持部21により受け取られる。この状態で、吸着保持部21は、基板Wの下面中央領域を吸着保持する。このとき、下側保持装置20により吸着保持される基板Wの中心は、平面視で平面基準位置rpに重なるかほぼ重なる。その後、ハンドMaは、ユニット筐体2から退出する。ハンドMaの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0094】
続いて、
図18に太い実線の矢印a13で示すように、処理カップ61が下カップ位置から上カップ位置まで上昇する。それにより、第2の処理位置P2にある基板Wは、処理カップ61の上端部よりも下方に位置する。
【0095】
次に、
図19に太い実線の矢印a14で示すように、吸着保持部21が上下方向の軸(吸着保持駆動部22の回転軸の軸心)の周りで回転する。それにより、吸着保持部21に吸着保持された基板Wが水平姿勢で回転する。
【0096】
次に、上面洗浄装置70の回転支持軸71が回転し、下降する。それにより、
図19に太い実線の矢印a15で示すように、スプレーノズル73が基板Wの上方の位置まで移動し、スプレーノズル73と基板Wとの間の距離が予め定められた距離となるように下降する。この状態で、スプレーノズル73は、基板Wの上面に洗浄液と気体との混合流体を噴射する。また、回転支持軸71が回転する。それにより、
図19に太い実線の矢印a16で示すように、スプレーノズル73が回転する基板Wの上方の位置で移動する。基板Wの上面全体に混合流体が噴射されることにより、基板Wの上面全体が洗浄される。
【0097】
また、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、端部洗浄装置80の回転支持軸81も回転し、下降する。それにより、
図19に太い実線の矢印a17で示すように、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部の上方の位置まで移動する。また、ベベルブラシ83の外周面の中央部分が基板Wの外周端部に接触するように下降する。この状態で、ベベルブラシ83が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの外周端部に付着する汚染物質がベベルブラシ83により物理的に剥離される。基板Wの外周端部から剥離された汚染物質は、スプレーノズル73から基板Wに噴射される混合流体の洗浄液により洗い流される。
【0098】
さらに、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。また、
図19に太い実線の矢印a18で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。さらに、液ノズル52は基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出し、気体噴出部53は基板Wの下面に向かって気体を噴射する。この状態で、さらに
図19に太い実線の矢印a19で示すように、移動支持部55が可動台座32上で接近位置と離間位置との間を進退動作する。このように、移動支持部55により下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する状態で水平方向に移動することにより、基板Wの下面における下面ブラシ51による洗浄可能な範囲が拡大される。それにより、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの下面外側領域が全体に渡って下面ブラシ51により洗浄される。
【0099】
次に、基板Wの上面、外周端部および下面外側領域の洗浄が完了すると、スプレーノズル73から基板Wへの混合流体の噴射が停止される。また、
図20に太い実線の矢印a20で示すように、スプレーノズル73が処理カップ61の一側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。また、
図20に太い実線の矢印a21で示すように、ベベルブラシ83が処理カップ61の他側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。さらに、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出、および気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が停止される。この状態で、吸着保持部21が高速で回転することにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wの全体が乾燥する。
【0100】
次に、
図21に太い実線の矢印a22で示すように、処理カップ61が上カップ位置から下カップ位置まで下降する。また、新たな基板Wがユニット筐体2内に搬入されることに備えて、
図21に太い実線の矢印a23で示すように、新たな基板Wを支持可能な位置まで下チャック11A,11Bが互いに近づく。
【0101】
最後に、基板洗浄装置1のユニット筐体2内から基板Wが搬出される。具体的には、基板Wの搬出の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、
図22に太い実線の矢印a24で示すように、ハンドMaは、第2の処理位置P2に配置された処理後の基板Wを受け取り、ユニット筐体2から退出する。ハンドMaの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0102】
<6>基板処理
図23および
図24は、
図7の制御装置170による一の基板Wについての基板処理を示すフローチャートである。
図23および
図24の基板処理は、制御装置170のCPUが記憶装置に記憶された基板処理プログラムをRAM上で実行することにより行われる。以下、
図23および
図24のフローチャートを用いて基板処理を説明する。
【0103】
なお、
図23および
図24のフローチャートでは、主としてメインロボット300のハンドMaの動作が記載されるが、ハンドMb~Mdの動作もハンドMaの動作と同様である。また、
図23および
図24のフローチャートでは、インデクサロボット200の動作の説明については省略する。
【0104】
まず、メインロボット300は、処理前の一の基板WをハンドMaにより基板載置部PASS2から搬出する(ステップS11)。次に、当該一の基板Wを洗浄するための一の基板洗浄装置1において、搬入搬出口2xが開放される。そこで、メインロボット300は、開放された搬入搬出口2xを通して一の基板洗浄装置1のユニット筐体2内にハンドMaを進入させる(ステップS12)。
【0105】
続いて、メインロボット300は、一の基板洗浄装置1に対する基板Wの渡し位置として定められた位置情報に基づいて、第1の処理位置P1に基板Wを位置決めする(ステップS13)。ステップS11~S13において、基板WがハンドMaにより搬送される間、基板Wは固定装置350によりハンドMaのハンド基準位置に固定されている。
【0106】
次に、基板洗浄装置1の上側保持装置10A,10Bにより、第1の処理位置P1に位置決めされた基板Wが受け取られ、保持される(ステップS14)。その後、メインロボット300は、一の基板洗浄装置1のユニット筐体2内からハンドMaを退出させる。また、当該一の基板洗浄装置1においては、ハンドMaの退出後に搬入搬出口2xが閉塞される(ステップS15)。
【0107】
次に、基板洗浄装置1は、上記の
図12~
図14の動作の例に従って、基板Wの下面中央領域の洗浄および乾燥を行う(ステップS16)。ステップS16における基板Wの乾燥が完了すると、一の基板洗浄装置1において搬入搬出口2xが開放される。そこで、メインロボット300は、開放された搬入搬出口2xを通して一の基板洗浄装置1のユニット筐体2内にハンドMaを進入させる(ステップS17)。
【0108】
続いて、メインロボット300は、予め定められた受取位置(本ステップでは、第1の処理位置P1)の位置情報に基づいて、ハンドMaにより上側保持装置10A,10Bから基板Wを受け取る(ステップS18)。また、メインロボット300は、当該一の基板洗浄装置1のユニット筐体2内で、受け取った基板Wを下側保持装置20に対する渡し位置(本ステップでは、第2の処理位置P2)まで搬送(ステップS19)する。さらに、メインロボット300は、第2の処理位置P2に基板Wを位置決めする(ステップS20)。ステップS18~S20において、基板WがハンドMaにより搬送される間、基板Wは固定装置350によりハンドMaのハンド基準位置に固定されている。
【0109】
次に、基板洗浄装置1の下側保持装置20により、第2の処理位置P2に位置決めされた基板Wが受け取られ、当該基板Wの下面中央領域が吸着保持される(ステップS21)。その後、メインロボット300は、一の基板洗浄装置1のユニット筐体2内からハンドMaを退出させる。また、当該一の基板洗浄装置1においては、ハンドMaの退出後に搬入搬出口2xが閉塞される(ステップS22)。
【0110】
次に、基板洗浄装置1は、上記の
図18~
図20の動作の例に従って、基板Wの上面全体、外周右端部および下面外側領域の洗浄、ならびに基板Wの乾燥を行う(ステップS23)。ステップS23における基板Wの乾燥が完了すると、一の基板洗浄装置1において搬入搬出口2xが開放される。そこで、メインロボット300は、開放された搬入搬出口2xを通して一の基板洗浄装置1のユニット筐体2内にハンドMaを進入させる(ステップS24)。
【0111】
続いて、メインロボット300は、予め定められた受取位置(本ステップでは、第2の処理位置P2)の位置情報に基づいて、ハンドMaにより下側保持装置20から基板Wを受け取る(ステップS25)。その後、メインロボット300は、一の基板洗浄装置1のユニット筐体2内からハンドMaを退出させる。また、当該一の基板洗浄装置1においては、ハンドMaの退出後に搬入搬出口2xが閉塞される(ステップS26)。
【0112】
最後に、メインロボット300は、処理後の基板WをハンドMaにより基板載置部PASS1に搬入する(ステップS27)。これにより、一の基板Wについての一連の基板処理が終了する。
【0113】
<7>効果
(a)本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、
図7の位置情報記憶部182に予め記憶された複数の受取位置および複数の渡し位置の位置情報に基づいて、メインロボット300により基板Wの搬送および位置決めが行われる。
【0114】
具体的には、メインロボット300は、基板洗浄装置1への基板Wの搬入時に、処理前の基板Wを第1の処理位置P1に位置決めする。また、メインロボット300は、当該基板洗浄装置1のユニット筐体2内で、基板Wの下面中央領域が洗浄された基板Wを第1の処理位置P1から第2の処理位置P2に移動させる。このとき、第1の処理位置P1における基板Wの位置決め精度と同程度の精度で、基板Wを第2の処理位置P2に位置決めすることができる。それにより、第1の処理位置P1から第2の処理位置P2への基板Wの搬送後に、基板Wが第2の処理位置P2から大きくずれることが防止される。
【0115】
その結果、基板洗浄装置1内に高い位置決め能力を有する高価な搬送機構を設けることなく、位置ずれに起因する基板Wの処理不良の発生を抑制することが可能になる。
【0116】
(b)メインロボット300の各ハンド(Ma~Md)には、固定装置350が設けられている。これにより、ハンドによる基板Wの受取時に当該ハンドと基板Wとの間の位置関係が予め定められた関係にない場合でも、基板Wの搬送時には、基板Wが固定装置350によりハンド上のハンド基準位置に固定される。そのため、ハンドの移動中に当該ハンドと基板Wとの位置関係にずれが生じない。したがって、第1の処理位置P1から第2の処理位置P2への基板Wの搬送時には、位置情報に従ってハンドを移動させることにより、ハンドに保持される基板Wを高い精度で第2の処理位置P2に位置決めすることができる。
【0117】
(c)上記の基板洗浄装置1においては、第1の処理位置P1および第2の処理位置P2は、一のユニット筐体2内で上下方向に並ぶ。また、各ハンド(Ma~Md)は基板Wを水平姿勢で保持するように構成されている。この場合、ハンドが基板Wを鉛直姿勢で保持する場合に比べて、第1の処理位置P1と第2の処理位置P2との間の距離を短くすることができる。それにより、第1の処理位置P1および第2の処理位置P2間の基板Wの搬送時間を短くすることができる。
【0118】
(d)上記の基板洗浄装置1においては、処理前の基板Wがメインロボット300により第1の処理位置P1に搬送され、位置決めされ、上側保持装置10A,10Bにより保持される。それにより、第1の処理位置P1において、洗浄されるべき基板Wの下面中央領域が下面洗浄装置50により正確に洗浄される。
【0119】
また、下面中央領域の洗浄後の基板Wが、メインロボット300により第2の処理位置P2に搬送され、位置決めされる。また、第2の処理位置P2に位置決めされた基板Wは、下側保持装置20により吸着保持され、回転される。この状態で、基板Wの下面外側領域が下面洗浄装置50により正確に洗浄される。これらの結果、基板Wの位置ずれに起因する基板Wの下面の洗浄不良の発生が防止される。
【0120】
2.第2の実施の形態
第2の実施の形態に係る基板処理装置について、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と異なる点を説明する。本実施の形態に係る基板処理装置においては、メインロボット300の複数のハンドMa~Mdの各々に、固定装置350が設けられていない。本実施の形態に係るハンドMa~Mdは、基板Wの下面の複数(例えば3つ)の部分を吸着することにより基板Wを保持可能な、吸着式のハンドである。
【0121】
そのため、各ハンドがハンド基準位置からずれた位置で基板Wを受け取ると、単に渡し位置の位置情報に基づいてハンドを搬送しても、基板Wを渡し位置に正確に位置決めすることができない。そこで、本実施の形態に係る基板処理装置においては、各基板洗浄装置1のユニット筐体2の内部に、ハンドにより保持されている基板Wのハンド基準位置に対する相対位置(以下、ハンド相対位置と呼ぶ。)を検出するハンド位置検出装置が設けられる。あるいは、複数のハンドMa~Mdの各々に、ハンド相対位置を検出するハンド位置検出装置が設けられる。
【0122】
ハンド位置検出装置は、例えば、ハンド上に保持された基板Wをハンドとともに撮像する撮像部を含んでもよい。この場合、撮像により得られる画像データに基づいて、ハンド相対位置を検出することができる。または、ハンド位置検出装置は、ハンド上に取り付けられる複数のラインセンサを含んでもよい。この場合、複数のラインセンサは、例えば、平面視で、ハンドにより保持される基板Wの外周端部のうち互いに異なる3以上の複数の部分に重なるように設けられる。また、各ラインセンサは、平面視で当該ラインセンサが重なる基板Wの外周端部の一部分について、ハンドに対する相対位置を検出することが可能となるように設けられる。それにより、複数のラインセンサにより検出される基板Wの複数の部分の相対位置に基づいて、ハンド相対位置を検出することができる。
【0123】
図25は、第2の実施の形態に係る基板処理装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図25に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置の制御系統において、制御装置170は、
図7の各種機能部(171~173,175~182)に加えて、修正部183をさらに含む。
【0124】
メインロボット300において、各ハンドMa~Mdにより基板Wが保持される際には、当該ハンドにより基板Wが保持された状態で、ハンド位置検出装置390によりハンド相対位置が検出される。この場合、修正部183は、検出されたハンド相対位置に基づいて、ハンド基準位置に対する基板Wのずれ量を算出する。
【0125】
算出されたずれ量によれば、位置情報記憶部182に記憶された渡し位置の位置情報に基づいてハンドが移動したと仮定したときの、渡し位置に対する基板Wのずれ量を求めることができる。そこで、修正部183は、受取位置で基板Wを受け取った後、ハンド位置検出装置390により検出されたハンド相対位置に基づいてハンド基準位置に対する基板Wのずれ量を算出する。また、修正部183は、渡し位置の位置情報と算出されたずれ量とに基づいて、基板Wが渡し位置に搬送される際に発生するずれ量が相殺されるように、予め位置情報記憶部182に記憶されている渡し位置の位置情報を修正する。これにより、搬送制御部181は、修正された位置情報に基づいて基板Wが渡し位置に位置決めされるように搬送駆動部320を制御する。
【0126】
以上のように、本実施の形態に係る基板処理装置100においては、各ハンドMa~Mdによる基板Wの搬送時に、基板Wが当該ハンドにおけるハンド基準位置に固定されないが、ハンド相対位置が検出される。また、検出されたハンド相対位置に基づいて、位置情報記憶部182に記憶された各種位置情報が修正される。それにより、基板Wが、メインロボット300により高い精度で第1の処理位置P1から第2の処理位置P2まで移動し、第2の処理位置P2に位置決めされる。
【0127】
3.他の実施の形態
(a)上記実施の形態においては、基板洗浄装置1内で第1の処理位置P1と第2の処理位置P2とが上下方向に並ぶが、本発明は上記の例に限定されない。第1の処理位置P1と第2の処理位置P2とは、水平面内で並んでもよい。
【0128】
(b)上記実施の形態においては、基板洗浄装置1に搬入された基板Wに対して、第1の処理位置P1における基板Wの下面中央領域の洗浄および第2の処理位置P2における基板Wの下面外側領域の洗浄がこの順で行われる。本発明は上記の例に限定されない。
【0129】
基板洗浄装置1においては、基板洗浄装置1に搬入された基板Wの下面外側領域が第2の処理位置P2で洗浄された後、第1の処理位置P1における基板Wの下面中央領域の洗浄が行われてもよい。この場合、メインロボット300は、基板Wの下面外側領域の洗浄後に、搬入搬出口2xにハンドを進入させることにより、第2の処理位置P2から第1の処理位置P1への基板Wの搬送を行う。この場合においても、ユニット筐体2の内部では、メインロボット300により高い精度で基板Wの搬送が行われる。
【0130】
(c)上記実施の形態において、メインロボット300は4つのハンドMa~Mdを有するが、本発明は上記の例に限定されない。メインロボット300は、1つのハンドのみを有してもよいし、2つ、3つまたは5つ以上の複数のハンドを有してもよい。
【0131】
(d)上記実施の形態においては、処理ユニットとして洗浄処理を行う基板洗浄装置1が設けられるが、本発明は上記の例に限定されない。処理ユニットとして熱処理を行う熱処理装置、現像処理を行う現像装置または塗布処理を行う塗布装置等が設けられてもよい。
【0132】
処理ユニットとして熱処理装置が設けられる場合、熱処理装置は、本発明の第1の処理および第2の処理として、加熱処理および冷却処理を実行可能に構成されてもよい。処理ユニットとして現像装置が設けられる場合、現像装置は、本発明の第1の処理および第2の処理として、基板Wに現像液を供給する処理と基板Wにリンス液を供給する処理とを実行可能に構成されてもよい。処理ユニットとして塗布装置が設けられる場合、塗布装置は、本発明の第1の処理および第2の処理として、基板Wに第1の塗布液を供給する処理と基板Wに第2の塗布液を供給する処理とを実行可能に構成されてもよい。この場合、第1の塗布液および第2の塗布液は同じ塗布液であってもよいし、互いに異なる塗布液であってもよい。
【0133】
(e)上記実施の形態において、基板処理装置100は基板洗浄装置1およびメインロボット300等を制御する制御装置170を含むが、実施の形態はこれに限定されない。基板洗浄装置1およびメインロボット300が基板処理装置100の外部の情報処理装置により制御可能に構成されている場合には、基板処理装置100は制御装置170を含まなくてもよい。
【0134】
(f)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、基板Wの下面中央領域および下面外側領域がともに下面洗浄装置50により洗浄されるが、本発明はこれに限定されない。基板Wの下面中央領域を洗浄するための構成と、基板Wの下面外側領域を洗浄するための構成とが個別に設けられてもよい。
【0135】
4.請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0136】
上記実施の形態においては、基板洗浄装置1が処理ユニットの例であり、メインロボット300のハンドMa~Mdが保持部の例であり、メインロボット300が搬送装置の例であり、ユニット筐体2の搬入搬出口2xが開口部の例であり、ユニット筐体2がチャンバの例であり、第1の処理位置P1が第1の処理位置の例であり、第2の処理位置P2が第2の処理位置の例であり、ユニット筐体2の内部空間が処理空間の例である。
【0137】
また、下面洗浄装置50による基板Wの下面中央領域の洗浄処理が第1の処理の例であり、上側保持装置10A,10Bおよび下面洗浄装置50が第1の処理部の例であり、下面洗浄装置50による基板Wの下面外側領域の洗浄処理が第2の処理の例であり、下側保持装置20および下面洗浄装置50が第2の処理部の例である。
【0138】
また、基板処理装置100が基板処理装置の例であり、固定装置350が固定装置の例であり、上側保持装置10A,10Bが第1の保持装置の例であり、下面洗浄装置50が第1の洗浄装置および第2の洗浄装置の例であり、下側保持装置20が第2の保持装置の例であり、ハンド位置検出装置390が位置検出装置の例である。
5.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係る基板処理装置は、
処理ユニットと、
基板を保持する保持部を有し、前記保持部を移動させることにより前記処理ユニットに対する基板の搬入および基板の搬出が可能に構成された搬送装置とを備え、
前記処理ユニットは、
開口部を有しかつ第1の処理位置および第2の処理位置を含む処理空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内に収容されかつ前記第1の処理位置に配置された処理前の基板に第1の処理を行う第1の処理部と、
前記チャンバ内に収容されかつ前記第2の処理位置に配置された前記第1の処理後の基板に第2の処理を行う第2の処理部とを含み、
前記搬送装置は、前記開口部を通して前記処理空間内に前記保持部を進入させることにより前記第1の処理位置に配置された基板を受け取り、受け取った基板を前記処理空間内で搬送して前記第2の処理位置に位置決めする。
【0139】
処理ユニットに対して基板の搬入および基板の搬出を行う搬送装置は、基板処理装置に固有の装置座標系と基板が受け渡しされるべき位置を示す位置情報とに基づいて基板の搬送および位置決めを行うことが可能である。
【0140】
上記の基板処理装置によれば、搬送装置は、処理ユニットへの基板の搬入時に、処理前の基板を第1の処理位置に位置決めすることができる。また、搬送装置は、第1の処理後の基板を第1の処理位置から第2の処理位置に移動させる場合に、第1の処理位置における基板の位置決め精度と同程度の精度で、その基板を第2の処理位置に位置決めすることができる。それにより、第1の処理位置から第2の処理位置への基板の搬送後に、基板が第2の処理位置から大きくずれることが防止される。
【0141】
その結果、処理ユニット内に高い位置決め能力を有する高価な搬送機構を設けることなく、位置ずれに起因する基板の処理不良の発生を抑制することが可能になる。
【0142】
(第2項)第1項に記載の基板処理装置において、
前記搬送装置は、前記保持部により基板が保持される場合に、当該保持部における予め定められた位置に基板を固定する固定装置を含み、
前記搬送装置は、前記第2の処理位置を示す位置情報に基づいて前記保持部を移動させることにより、前記第2の処理位置に対する基板の位置決めを行ってもよい。
【0143】
この場合、保持部による基板の受取時に保持部と基板との間の位置関係が予め定められた関係にない場合でも、保持部と基板との間の位置関係が、予め定められた位置関係を有するように固定装置により固定される。また、上記の基板処理装置によれば、保持部の移動中に保持部と基板との位置関係にずれが生じない。したがって、第1の処理位置から第2の処理位置への基板の搬送時には、位置情報に従って保持部を移動させることにより、保持部に保持される基板を高い精度で第2の処理位置に位置決めすることができる。
【0144】
(第3項)第1項または第2項に記載の基板処理装置において、
前記保持部は、基板を水平姿勢で保持するように構成され、
前記第1の処理位置と前記第2の処理位置とは、上下方向に並んでもよい。
【0145】
この場合、第1の処理位置と第2の処理位置とが上下方向に並ぶので、保持部が基板を鉛直姿勢で保持する場合に比べて、第1の処理位置と第2の処理位置との間の距離を短くすることができる。それにより、第1の処理位置および第2の処理位置間の基板の搬送時間を短くすることができる。
【0146】
(第4項)第1項~第3項のいずれか一項に記載の基板処理装置において、
前記第1の処理部および前記第2の処理部のうち一方は、
前記第1の処理位置にある基板の外周端部を保持する第1の保持装置と、
前記第1の保持装置により保持される基板の下面中央領域を洗浄する第1の洗浄装置とを含み、
前記第1の処理部および前記第2の処理部のうち他方は、
前記第2の処理位置にある基板の下面中央領域を吸着保持しつつ保持された基板を回転させる第2の保持装置と、
前記第2の保持装置により保持されて回転する基板の下面外側領域を洗浄する第2の洗浄装置とを含んでもよい。
【0147】
この場合、基板が高い精度で第1の処理位置に位置決めされるので、第1の洗浄装置により洗浄されるべき基板の下面の領域が正確に洗浄される。また、基板が高い精度で第2の処理領域に位置決めされるので、第2の洗浄装置により洗浄されるべき基板の下面の領域が正確に洗浄される。これらの結果、基板の位置ずれに起因する基板の下面の洗浄不良の発生が防止される。
【0148】
(第5項)第1項に記載の基板処理装置において、
前記搬送装置は、前記保持部により基板が保持される場合に、当該保持部に対する基板の相対位置を検出する位置検出装置を含み、
前記搬送装置は、前記第2の処理位置を示す位置情報と前記位置検出装置により検出された基板の相対位置とに基づいて前記保持部を移動させることにより、前記第2の処理位置に対する基板の位置決めを行ってもよい。
【0149】
保持部に対する基板の相対位置を把握することができれば、第1の処理位置から第2の処理位置への基板の搬送時に、位置情報に従って保持部が移動したと仮定したときの第2の処理位置に対する基板のずれ量を求めることができる。したがって、上記の基板処理装置によれば、位置検出装置により検出された基板の相対位置に基づいて、第2の処理位置に搬送される際に発生するずれ量が相殺されるように位置情報を修正することが可能になる。その結果、修正後の位置情報に基づいて保持部を移動させることにより、保持部に保持される基板を高い精度で第2の処理位置に位置決めすることができる。
【0150】
(第6項)第6項に係る基板処理方法は、
処理ユニットにより基板に処理を行うステップと、
搬送装置を用いて基板を搬送するステップとを含み、
前記処理ユニットは、
開口部を有しかつ第1の処理位置および第2の処理位置を含む処理空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内に収容されかつ前記第1の処理位置に配置された処理前の基板に第1の処理を行う第1の処理部と、
前記チャンバ内に収容されかつ前記第2の処理位置に配置された前記第1の処理後の基板に第2の処理を行う第2の処理部とを含み、
前記搬送装置は、基板を保持する保持部を有し、前記保持部を移動させることにより前記処理ユニットに対する基板の搬入および基板の搬出が可能に構成され、
前記基板に処理を行うステップは、
前記第1の処理部により前記処理前の基板に前記第1の処理を行うことと、
前記第2の処理部により前記第1の処理後の基板に第2の処理を行うこととを含み、
前記搬送するステップは、
前記開口部を通して前記処理空間内に前記保持部を進入させることにより前記第1の処理位置に配置された基板を受け取り、受け取った基板を前記処理空間内で搬送して前記第2の処理位置に位置決めすることとを含む。
【0151】
処理ユニットに対して基板の搬入および基板の搬出を行う搬送装置は、基板処理装置に固有の装置座標系と基板が受け渡しされるべき位置を示す位置情報とに基づいて基板の搬送および位置決めを行うことが可能である。
【0152】
上記の基板処理方法によれば、搬送装置は、処理ユニットへの基板の搬入時に、処理前の基板を第1の処理位置に位置決めすることができる。また、搬送装置は、第1の処理後の基板を第1の処理位置から第2の処理位置に移動させる場合に、第1の処理位置における基板の位置決め精度と同程度の精度で、その基板を第2の処理位置に位置決めすることができる。それにより、第1の処理位置から第2の処理位置への基板の搬送後に、基板が第2の処理位置から大きくずれることが防止される。
【0153】
その結果、処理ユニット内に高い位置決め能力を有する高価な搬送機構を設けることなく、位置ずれに起因する基板の処理不良の発生を抑制することが可能になる。
【0154】
(第7項)第6項に記載の基板処理方法において、
前記搬送するステップは、
前記搬送装置において、前記保持部により基板が保持される場合に、当該保持部における予め定められた位置に基板を固定することと、
前記第1の処理位置から前記第2の処理位置に基板を搬送して位置決めする場合に、前記第2の処理位置を示す位置情報に基づいて前記保持部を移動させることとを含んでもよい。
【0155】
この場合、保持部による基板の受取時に保持部と基板との間の位置関係が予め定められた関係にない場合でも、保持部と基板との間の位置関係が、予め定められた位置関係を有するように固定される。また、上記の基板処理方法によれば、保持部の移動中に保持部と基板との位置関係にずれが生じない。したがって、第1の処理位置から第2の処理位置への基板の搬送時には、位置情報に従って保持部を移動させることにより、保持部に保持される基板を高い精度で第2の処理位置に位置決めすることができる。
【0156】
(第8項)第6項または第7項に記載の基板処理方法において、
前記保持部は、基板を水平姿勢で保持するように構成され、
前記第1の処理位置と前記第2の処理位置とは、上下方向に並んでもよい。
【0157】
この場合、第1の処理位置と第2の処理位置とが上下方向に並ぶので、保持部が基板を鉛直姿勢で保持する場合に比べて、第1の処理位置と第2の処理位置との間の距離を短くすることができる。それにより、第1の処理位置および第2の処理位置間の基板の搬送時間を短くすることができる。
【0158】
(第9項)第6項~第8項のいずれか一項に記載の基板処理方法において、
前記第1の処理部および前記第2の処理部のうち一方は、
前記第1の処理位置にある基板の外周端部を保持する第1の保持装置と、
前記第1の保持装置により保持される基板の下面中央領域を洗浄する第1の洗浄装置とを含み、
前記第1の処理部および前記第2の処理部のうち他方は、
前記第2の処理位置にある基板の下面中央領域を吸着保持しつつ保持された基板を回転させる第2の保持装置と、
前記第2の保持装置により保持されて回転する基板の下面外側領域を洗浄する第2の洗浄装置とを含んでもよい。
【0159】
この場合、基板が高い精度で第1の処理位置に位置決めされるので、第1の洗浄装置により洗浄されるべき基板の下面の領域が正確に洗浄される。また、基板が高い精度で第2の処理領域に位置決めされるので、第2の洗浄装置により洗浄されるべき基板の下面の領域が正確に洗浄される。これらの結果、基板の位置ずれに起因する基板の下面の洗浄不良の発生が防止される。
【0160】
(第10項)第6項に記載の基板処理方法において、
前記搬送するステップは、
前記保持部により基板が保持される場合に、位置検出装置を用いて当該保持部に対する基板の相対位置を検出することと、
前記第1の処理位置から前記第2の処理位置に基板を搬送して位置決めする場合に、前記第2の処理位置を示す位置情報と前記位置検出装置により検出された基板の相対位置とに基づいて前記保持部を移動させることとを含んでもよい。
【0161】
保持部に対する基板の相対位置を把握することができれば、第1の処理位置から第2の処理位置への基板の搬送時に、位置情報に従って保持部が移動したと仮定したときの第2の処理位置に対する基板のずれ量を求めることができる。したがって、上記の基板処理方法によれば、位置検出装置により検出された基板の相対位置に基づいて、第2の処理位置に搬送される際に発生するずれ量が相殺されるように位置情報を修正することが可能になる。その結果、修正後の位置情報に基づいて保持部を移動させることにより、保持部に保持される基板を高い精度で第2の処理位置に位置決めすることができる。
【0162】
上記の実施形態に係る基板処理装置によれば、基板搬送時の基板の位置決め精度が低いことに起因する基板の処理不良の発生が抑制される。したがって、基板処理により得られる製品の歩留まりが向上する。それにより、無駄な基板処理が低減されるので、基板処理の省エネルギー化が実現される。また、当該基板の処理に薬液が用いられる場合には、歩留まりの向上に伴って無駄な薬液の利用を低減することができるので、地球環境の汚染の低減に寄与することができる。
【符号の説明】
【0163】
1…基板洗浄装置,2…ユニット筐体,2a…底面部,2b~2e…側壁部,2x…搬入搬出口,10A,10B…上側保持装置,11A,11B…下チャック,12A,12B…上チャック,13A,13B…下チャック駆動部,14A,14B…上チャック駆動部,20…下側保持装置,21…吸着保持部,22…吸着保持駆動部,30…台座装置,31…リニアガイド,32…可動台座,33…台座駆動部,50…下面洗浄装置,51…下面ブラシ,52…液ノズル,53…気体噴出部,54…昇降支持部,54u…上面,55…移動支持部,55a…下面ブラシ回転駆動部,55b…下面ブラシ昇降駆動部,55c…下面ブラシ移動駆動部,56…下面洗浄液供給部,57…噴出気体供給部,60…カップ装置,61…処理カップ,62…カップ駆動部,70…上面洗浄装置,71…回転支持軸,72…アーム,73…スプレーノズル,74…上面洗浄駆動部,75…上面洗浄流体供給部,80…端部洗浄装置,81…回転支持軸,82…アーム,83…ベベルブラシ,84…ベベルブラシ駆動部,90…開閉装置,91…シャッタ,92…シャッタ駆動部,100…基板処理装置,110…インデクサブロック,120…処理ブロック,140…キャリア載置台,150…搬送部,161…洗浄部,162…洗浄部,163…搬送部,170…制御装置,171…チャック制御部,172…吸着制御部,173…台座制御部,175…下面洗浄制御部,176…カップ制御部,177…上面洗浄制御部,178…ベベル洗浄制御部,179…搬入搬出制御部,180…搬送制御部,181…搬送制御部,182…位置情報記憶部,183…修正部,200…インデクサロボット,210…ハンド支持部材,220…搬送駆動部,300…メインロボット,310…ハンド支持部材,320…搬送駆動部,331…ハンドベース部,332,333…ハンドアーム部,341~343…支持片,350…固定装置,390…ハンド位置検出装置,C…キャリア,Ia~Id,Ma~Md…ハンド,P1…第1の処理位置,P2…第2の処理位置,PASS1,PASS2…基板載置部,W…基板,rp…平面基準位置