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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046885
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】保持解放装置
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/22 20060101AFI20240329BHJP
   H01Q 1/08 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B64G1/22 100B
B64G1/22 100C
H01Q1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152234
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】512308340
【氏名又は名称】株式会社テクノソルバ
(71)【出願人】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】中村 和行
(72)【発明者】
【氏名】久原 隆博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰貴
(72)【発明者】
【氏名】剱持 伸朗
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA07
5J046DA03
(57)【要約】
【課題】複数の部材が直列状態で拘束された保持状態から解放状態に切り替わった後において、部材からの伸縮機構の突出長をより短くすることが可能な構造の保持解放装置を提供する。
【解決手段】保持解放装置100は、複数の部材10が直列に並ぶ直列状態で拘束されて相互に変位不能となっている保持状態と、複数の部材10が相互に変位可能な解放状態と、に切り替える保持解放装置100である。固定解除部40が作動することにより固定状態から解除状態に切り替わると、第1部材11と第2部材12との拘束が解除されることで複数の部材10が相互に分離及び変位可能となるとともに、付勢部50による付勢に従って伸縮機構30が短縮状態に変化するとともに伸縮機構30の他端部30bが第2部材12に対して相対的に一端部30aの側とは反対側に移動して、第2部材12からの伸縮機構30の突出長Lが減少する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材が直列に並ぶ直列状態で拘束されて相互に変位不能となっている保持状態と、前記複数の部材が相互に変位可能な解放状態と、に切り替える保持解放装置であって、
前記複数の部材には、前記直列状態で一端に位置する第1部材と、前記直列状態で他端に位置する第2部材と、が含まれ、
当該保持解放装置は、
一方向において伸長状態と短縮状態とに伸縮可能な伸縮機構と、
前記伸縮機構の一端部が前記第1部材に対して固定された固定状態から当該一端部の固定が解除された解除状態への切り替えを行う固定解除部と、
前記固定状態から前記解除状態に切り替わった際に前記伸縮機構を前記短縮状態へと変化させるとともに前記伸縮機構の他端部を当該伸縮機構の前記一端部の側とは反対側に移動させるべく前記伸縮機構を付勢している付勢部と、
を備え、
前記伸縮機構の前記他端部は、当該伸縮機構が前記第2部材から前記第1部材側に脱落することが規制された状態で、前記第2部材に対して係合しており、
前記保持状態では、前記固定状態に維持されていることによって前記伸縮機構が前記伸長状態に維持されているとともに、前記伸縮機構により前記第1部材と前記第2部材とが互いに拘束されて前記複数の部材が互いに緊密に直列に並んでおり、
前記固定解除部が作動することにより前記固定状態から前記解除状態に切り替わると、前記第1部材と前記第2部材との拘束が解除されることで前記複数の部材が相互に分離及び変位可能となるとともに、前記付勢部による付勢に従って前記伸縮機構が前記短縮状態に変化するとともに前記伸縮機構の前記他端部が前記第2部材に対して相対的に前記一端部の側とは反対側に移動して、前記第2部材からの前記伸縮機構の突出長が減少する保持解放装置。
【請求項2】
前記伸縮機構は、それぞれ前記一方向に長尺な第1移動部材及び第2移動部材を有し、
前記第1移動部材の一端部が、前記伸縮機構の前記一端部であり、
前記第2移動部材の一端部が、前記伸縮機構の前記他端部であり、
前記第1移動部材は、前記第2移動部材の他端部から前記第1部材側へと突出した第1突出状態と、前記第1突出状態と比べて前記第2移動部材からの突出量が小さい第1収納状態と、に切り替わり可能であり、
前記第2移動部材は、前記第2部材における前記第1部材側の端から前記第1部材側へと突出した第2突出状態と、前記第2突出状態と比べて前記第2部材からの突出量が小さい第2収納状態と、に切り替わり可能であり、
前記付勢部は、
前記固定状態から前記解除状態に切り替わった際に前記第1移動部材を前記第1突出状態から前記第1収納状態に変化させるべく前記第1移動部材を前記第2移動部材に対して相対的に付勢している第1付勢部と、
前記固定状態から前記解除状態に切り替わった際に前記第2移動部材を前記第2突出状態から前記第2収納状態に変化させるべく前記第2移動部材を前記第2部材に対して相対的に付勢している第2付勢部と、
を有する請求項1に記載の保持解放装置。
【請求項3】
前記第1付勢部は、前記第1移動部材の他端部と前記第2移動部材の前記他端部との間において圧縮状態で保持されている圧縮型のコイルスプリングである請求項2に記載の保持解放装置。
【請求項4】
前記第2付勢部は、前記第2移動部材の前記一端部と前記第2部材における前記第1部材側の端部との間において圧縮状態で保持されている圧縮型のコイルスプリングである請求項2又は3に記載の保持解放装置。
【請求項5】
前記第2移動部材は筒状に形成されており、
前記第1移動部材は、前記第2移動部材から出没可能に前記第2移動部材に収納されている請求項2又は3に記載の保持解放装置。
【請求項6】
前記複数の部材の各々は筒状に構成されており、
前記保持状態において、前記伸縮機構は、前記複数の部材の内腔に収納されている請求項1から3のいずれか一項に記載の保持解放装置。
【請求項7】
前記固定状態から前記解除状態に切り替わると、前記伸縮機構において前記第2部材から前記第1部材側に突出していた部分は、前記複数の部材のうち前記第2部材を除く他の部材の内腔を通って前記第2部材の内腔に収納される請求項6に記載の保持解放装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持解放装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部材が直列に並ぶ直列状態で相互に変位不能となっている保持状態と、複数の部材が相互に変位可能な解放状態と、に切り替える保持解放装置としては、特許文献1に記載のものがある。
【0003】
特許文献1の保持解放装置(同文献の保持解放機構)は、保持状態において複数段に配置される複数の部材(パネル)と、パネルに形成されている貫通穴内に配置されている伸縮機構(同文献のパイプ状部材及び保持ピン)と、伸縮機構を付勢する付勢部(同文献のスプリング)と、保持状態において保持ピンの一端部が固定される固定部と、を備えている。
複数のパネルには、最外層パネルと、最外層パネルに隣接する隣接パネルと、が含まれている。固定部は、保持状態において最外層パネルから最も遠くに位置するパネルを基準として、他のパネル側とは反対側の位置に配置されている。
保持状態では、パイプ状部材は最外層パネルの貫通穴の内部から隣接パネルの貫通穴の内部に亘って配置されている。
保持ピンの他端部とスプリングは、パイプ状部材の内部に配置されている。
保持状態では、スプリングは、パイプ状部材における固定部側の端部と、保持ピンの他端部と、の間において圧縮状態で配置されている。
保持状態では、保持ピンにおける上記他端部以外の部分は、パイプ状部材から固定部側に突出している。
保持状態から解放状態に切り替わって保持ピンの一端部が固定部から離脱すると、保持ピンはスプリングの付勢に従って固定部から遠ざかるとともに、保持ピンの大部分はパイプ状部材に収納される。つまり、保持状態から解放状態に切り替わると、伸縮機構(パイプ状部材と保持ピンとを合わせた部分)の長さが短くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-252300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、保持状態から解放状態に切り替わると伸縮機構の長さが短くなるものの、本願発明者等の検討によれば、特許文献1の技術では、部材(最外層パネル)からの伸縮機構の突出長を削減する観点で、なお改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数の部材が直列状態で拘束された保持状態から解放状態に切り替わった後において、部材からの伸縮機構の突出長をより短くすることが可能な構造の保持解放装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、複数の部材が直列に並ぶ直列状態で拘束されて相互に変位不能となっている保持状態と、前記複数の部材が相互に変位可能な解放状態と、に切り替える保持解放装置であって、
前記複数の部材には、前記直列状態で一端に位置する第1部材と、前記直列状態で他端に位置する第2部材と、が含まれ、
当該保持解放装置は、
一方向において伸長状態と短縮状態とに伸縮可能な伸縮機構と、
前記伸縮機構の一端部が前記第1部材に対して固定された固定状態から当該一端部の固定が解除された解除状態への切り替えを行う固定解除部と、
前記固定状態から前記解除状態に切り替わった際に前記伸縮機構を前記短縮状態へと変化させるとともに前記伸縮機構の他端部を当該伸縮機構の前記一端部の側とは反対側に移動させるべく前記伸縮機構を付勢している付勢部と、
を備え、
前記伸縮機構の前記他端部は、当該伸縮機構が前記第2部材から前記第1部材側に脱落することが規制された状態で、前記第2部材に対して係合しており、
前記保持状態では、前記固定状態に維持されていることによって前記伸縮機構が前記伸長状態に維持されているとともに、前記伸縮機構により前記第1部材と前記第2部材とが互いに拘束されて前記複数の部材が互いに緊密に直列に並んでおり、
前記固定解除部が作動することにより前記固定状態から前記解除状態に切り替わると、前記第1部材と前記第2部材との拘束が解除されることで前記複数の部材が相互に分離及び変位可能となるとともに、前記付勢部による付勢に従って前記伸縮機構が前記短縮状態に変化するとともに前記伸縮機構の前記他端部が前記第2部材に対して相対的に前記一端部の側とは反対側に移動して、前記第2部材からの前記伸縮機構の突出長が減少する保持解放装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の部材が直列状態で拘束された保持状態から解放状態に切り替わった後において、部材からの伸縮機構の突出長をより短くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は保持状態における保持解放装置及び複数の部材を示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)に示す中心軸AXに沿って保持解放装置及び複数の部材を切断した断面図である。
図2図2(a)は保持状態における保持解放装置及び複数の部材を示す側面図であり、図2(b)は保持状態における保持解放装置及び複数の部材を示す側断面図である。
図3図3(a)は解放状態における保持解放装置及び複数の部材を示す斜視図であり、図3(b)は図3(a)に示す中心軸AXに沿って保持解放装置及び複数の部材を切断した断面図である。
図4図4(a)は解放状態における保持解放装置及び複数の部材を示す側面図であり、図4(b)は解放状態における保持解放装置及び複数の部材を示す側断面図である。
図5図5(a)は保持状態における伸縮機構及び付勢部を示す側断面図であり、図5(b)は解放状態における伸縮機構及び付勢部を示す側断面図である。
図6】展開構造物の一例を示す模式的な斜視図である。
図7】展開構造物が展開した状態の一例を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
なお、以下では説明を容易にするため、図2(a)、図2(b)、図4(a)及び図4(b)における左方を単に左方、左側、左などと称し、これらの図における右方を単に右方、右側、右などと称する場合がある。
【0011】
本実施形態に係る保持解放装置100は、複数の部材10が直列に並ぶ直列状態で拘束されて相互に変位不能となっている保持状態(図1(a)から図2(b)に示す状態)と、複数の部材10が相互に変位可能な解放状態(図3(a)から図4(b)に示す状態)と、に切り替える保持解放装置100である。
複数の部材10には、直列状態で一端に位置する第1部材11と、直列状態で他端に位置する第2部材12と、が含まれる。
保持解放装置100は、伸縮機構30、固定解除部40及び付勢部50を備えている。
伸縮機構30は、一方向(図2(a)、図2(b)、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)における左右方向)において伸長状態と短縮状態とに伸縮可能である。
固定解除部40は、伸縮機構30の一端部30aが第1部材11に対して固定された固定状態(図1(a)から図2(b)に示す状態)から当該一端部30aの固定が解除された解除状態(図3(a)から図4(b)に示す状態)への切り替えを行う。
付勢部50は、固定状態から解除状態に切り替わった際に伸縮機構30を短縮状態へと変化させるとともに伸縮機構30の他端部30bを当該伸縮機構30の一端部30aの側とは反対側(図2(a)、図2(b)、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)における右側)に移動させるべく伸縮機構30を付勢している。
伸縮機構30の他端部30bは、当該伸縮機構30が第2部材12から第1部材11側(図2(a)、図2(b)、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)における左側)に脱落することが規制された状態で、第2部材12に対して係合している。
保持状態では、固定状態に維持されていることによって伸縮機構30が伸長状態に維持されているとともに、伸縮機構30により第1部材11と第2部材12とが互いに拘束されて複数の部材10が互いに緊密に直列に並んでいる。
固定解除部40が作動することにより固定状態から解除状態に切り替わると、第1部材11と第2部材12との拘束が解除されることで複数の部材10が相互に分離及び変位可能となるとともに、付勢部50による付勢に従って伸縮機構30が短縮状態に変化するとともに伸縮機構30の他端部30bが第2部材12に対して相対的に一端部30aの側とは反対側に移動して、第2部材12からの伸縮機構30の突出長L(図2(b)、図4(b))が減少する。
【0012】
本実施形態によれば、保持状態から解除状態に切り替わると、付勢部50による付勢に従って伸縮機構30が短縮状態に変化するとともに伸縮機構30の他端部30bが第2部材12に対して相対的に一端部30aの側とは反対側(図4(b)等における右側)に移動して、第2部材12からの伸縮機構30の突出長Lが減少するので、突出長Lをより短くすることが可能である。
すなわち、単に伸縮機構30が短縮するだけでなく、伸縮機構30の他端部30bが第2部材12に対して相対的に、一端部30aの側とは反対側に移動するので、解放状態において、第2部材12からの伸縮機構30の突出長Lを十分に抑制できる。
これにより、保持解放装置100を例えば太陽電池パドルやアンテナに用いた場合において、太陽電池パドルやアンテナの表面に存在する突出物(伸縮機構30において突出長Lに相当する部分)をより小さくし、当該突出物により表面に影が生じたり電波特性に悪影響が出たりすることを抑制できる。また、解除状態となって複数の部材10が相互に変位する際に、伸縮機構30と第2部材12以外の部材10との干渉(特に、保持状態で第2部材12に隣接していた部材10との干渉)を良好に抑制することもできる。
【0013】
本実施形態に係る保持解放装置100は、例えば、宇宙空間で太陽電池パドルやアンテナを展開するために利用できるが、宇宙空間に限らず、地上で用いることもできる。
【0014】
以下、より詳細に説明する。
【0015】
保持状態において保持解放装置100により拘束される部材10の数は、複数(2つ以上)であれば特に制限はないが、3つ以上であることが好ましく、4つ以上であることも好ましい。
本実施形態では、保持状態において保持解放装置100により4つの部材10が拘束される例について説明する。すなわち、本実施形態の場合、複数の部材10には、第1部材11及び第2部材12の他に、第3部材13と第4部材14とが含まれる。
図1(a)から図2(b)に示すように、保持状態においては、第1部材11、第3部材13、第4部材14及び第2部材12は、この順に直列に並ぶ直列状態で保持解放装置100によって拘束されて、相互に変位不能となっている。
【0016】
本実施形態の場合、各部材10は、保持状態においてこれら部材10が直列に並ぶ方向(図2(a)、図2(b)、図4(a)、図4(b)における左右方向)に長尺なものである。ただし、本発明は、この例に限らず、部材10の長手方向と、保持状態において複数の部材10が直列に並ぶ方向と、は一致していなくてもよい。
【0017】
複数の部材10は、互いに同一の形状のものであってもよいし、複数の部材10には、互いに形状が異なるものが含まれていてもよい。
本実施形態の場合、第3部材13及び第4部材14(直列状態で第1部材11と第2部材12との間に位置する部材10)は、互いに同一の形状及び寸法に形成されているが、第1部材11は、第3部材13及び第4部材14とは異なる形状に形成されており、第2部材12は、第1部材11とは異なる形状に形成されているとともに、第3部材13及び第4部材14とも異なる形状に形成されている。
【0018】
本実施形態の場合、複数の部材10の各々は、筒状に形成されている筒状部15を有しており、筒状部15の軸方向が各部材10の長手方向となっている。
筒状部15の形状は特に限定されないが、角筒状であることが挙げられる。
各部材10の軽量化のため、筒状部15には、複数の開口部16が形成されており、開口部16を介して、各筒状部15の内腔と外部とが相互に連通している。
第2部材12の筒状部15は、当該筒状部15における第1部材11側とは反対側の端部が例えば斜めに切り落とされた形状(図1(a)等参照)となっており、第2部材12の更なる軽量化が図られている。
各部材10は、当該部材10を後述する展開部材(図6及び図7に示す第1展開部材91~第4展開部材94のいずれか)に対して取り付けるための複数のネジ孔を有する一対の取付部81を有する。これら取付部81は、それぞれ部材10の長手方向に沿う板状に形成されており、互いに直交している。これら取付部81は、筒状部15から外方に張り出している。
第1部材11は、当該第1部材11を後述するベース板90に取り付けるための複数のネジ孔を有するフランジ部17を一端(第2部材12側とは反対側の端)に有する。
【0019】
図2(b)に示すように、第1部材11~第4部材14のうち、保持状態において互いに隣り合う部材10どうしは、凹凸構造により相互に嵌合するようになっている。これにより、保持状態において部材10どうしの位置ずれ(直列方向に対して交差する方向への位置ずれ)を抑制できるようになっている。
例えば、第1部材11の右端部には凸部18が形成されており、第3部材13の左端部には第1部材11の凸部18と嵌合する凹部19が形成されている。
同様に、第3部材13の右端部には凸部18が形成されており、第4部材14の左端部には第3部材13の凸部18と嵌合する凹部19が形成されている。
同様に、第4部材14の右端部には凸部18が形成されており、第2部材12の左端部には第4部材14の凸部18と嵌合する凹部19が形成されている。
【0020】
第1部材11の右端部には、固定解除部40を固定するための固定部20が形成されている。固定部20は、例えば、第1部材11の筒状部15の右端部を閉塞する平板状の部分であり、固定部20の板面は、第1部材11の筒状部15の軸方向に対して直交している。第1部材11においては、例えば、凸部18は、固定部20の周縁に沿って形成されており、固定部20と一体化されている。
【0021】
固定解除部40は、第1部材11に設けられている。
より詳細には、固定解除部40は、第1部材11の固定部20における左側の面に沿って配置されており、第1部材11の筒状部15の内部に収容されている。例えば、複数のネジ等の止着部材21が固定部20の右側から固定部20を通して固定解除部40に通されることによって、固定解除部40は、固定部20に固定されている。
保持状態では、伸縮機構30の一端部30aが固定解除部40に固定された(固定解除部40により保持された)状態に維持されることによって、当該一端部30aが第1部材11に対して固定された状態に維持される。
固定状態から解除状態への切り替えは、火薬を用いて固定解除部40の一部分を爆破したり、固定解除部40の一部分を溶断したりすることによって、一端部30aが固定解除部40に固定された(固定解除部40により保持された)状態を解除することにより行われる。
【0022】
伸縮機構30は、伸縮が可能な構造のものであれば特に限定されない。
付勢部50は、伸縮機構30を伸長状態から短縮状態に変化させることと、伸縮機構30の他端部30bを第2部材12に対して相対的に当該伸縮機構30の一端部30aの側とは反対側に移動させることと、が可能なものであれば、特に限定されない。
【0023】
伸縮機構30の他端部30bは、当該伸縮機構30が第2部材12から第1部材11側に脱落することが規制された状態で、第2部材12における第1部材11側の端部(保持状態において第1部材11に近い側の端部)に対して係合している。
より詳細には、例えば、第2部材12の左端部には、内フランジ部22(図2(a)等)が形成されている。内フランジ部22は、第2部材12の筒状部15の左端部に形成されている。内フランジ部22の内径は、筒状部15の内径よりも小さい。この内フランジ部22に対して伸縮機構30の他端部30bが係合している。
【0024】
本実施形態の場合、伸縮機構30は、それぞれ上記一方向(図2(a)、図2(b)、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)における左右方向)に長尺な第1移動部材31及び第2移動部材32を有する。
第1移動部材31及び第2移動部材32については、図5(a)及び図5(b)により分かりやすく示されている。
第1移動部材31の一端部(左端部)が、伸縮機構30の上記一端部30aである。
第2移動部材32の一端部(右端部)が、伸縮機構30の上記他端部30bである。
【0025】
第1移動部材31は、第2移動部材32の他端部(左端部)から第1部材11側(左側)へと突出した第1突出状態(図5(a)の状態)と、第1突出状態と比べて第2移動部材32からの突出量が小さい第1収納状態(図5(b)の状態)と、に切り替わり可能である。
第1収納状態では、第1移動部材31が第2移動部材32から左方に突出していてもよいし、突出していなくてもよい。本実施形態の場合は、図5(b)に示すように、第1収納状態では、第1移動部材31が第2移動部材32から僅かに左方に突出している。
第1収納状態では、第1移動部材31が第2移動部材32から右方に突出していてもよいし、突出していなくてもよい。本実施形態の場合は、図5(b)に示すように、第1収納状態では、第1移動部材31が第2移動部材32から僅かに右方に突出している。
【0026】
第2移動部材32は、第2部材12における第1部材11側の端(左端)から第1部材11側へと突出した第2突出状態(図2(b)の状態)と、第2突出状態と比べて第2部材12からの突出量が小さい第2収納状態(図4(b)の状態)と、に切り替わり可能である。
第2収納状態では、第2移動部材32が第2部材12から左方に突出していてもよいし、突出していなくてもよい。本実施形態の場合は、図4(b)に示すように、第2収納状態では、第2移動部材32が第2部材12から僅かに左方に突出している。
【0027】
本実施形態の場合、付勢部50は、第1付勢部51と第2付勢部52とを有する。
第1付勢部51は、固定状態から解除状態に切り替わった際に第1移動部材31を第1突出状態から第1収納状態に変化させるべく第1移動部材31を第2移動部材32に対して相対的に付勢している。
第2付勢部52は、固定状態から解除状態に切り替わった際に第2移動部材32を第2突出状態から第2収納状態に変化させるべく第2移動部材32を第2部材12に対して相対的に付勢している。
【0028】
このように、本実施形態では、伸縮機構30は第1移動部材31と第2移動部材32とを有しているので、伸縮機構30の伸縮構造を容易に実現できる。
また、付勢部50は第1付勢部51と第2付勢部52とを有しているので、付勢部50によって伸縮機構30を伸長状態から短縮状態に変化させることと、付勢部50によって伸縮機構30の他端部30bを第2部材12に対して相対的に当該伸縮機構30の一端部30aの側とは反対側に移動させることと、を容易に実現できる。
【0029】
一例として、第1付勢部51は、第1移動部材31の他端部(右端部)と第2移動部材32の他端部(左端部)との間において圧縮状態で保持されている圧縮型のコイルスプリングである。
【0030】
また、一例として、第2付勢部52は、第2移動部材32の一端部(右端部)と第2部材12における第1部材11側の端部(左端部)との間において圧縮状態で保持されている圧縮型のコイルスプリングである。
【0031】
上述のように、保持状態では、伸縮機構30の一端部30aが固定解除部40に固定されている。このため、第1付勢部51及び第2付勢部52の付勢力によって、複数の部材10のうち上記直列状態で両端に位置する第1部材11と第2部材12とが相互に近づく方向のプリロード(初期荷重)が加えられている。よって、保持状態では、複数の部材10は直列に並ぶ直列状態で緊密に拘束されている。
【0032】
本実施形態の場合、第2移動部材32は筒状に形成されている。
第1移動部材31は、第2移動部材32から出没可能に第2移動部材32に収納されている。
すなわち、第1移動部材31は、図5(a)に示すように第2移動部材32から左方に大きく突出した状態と、図5(b)に示すように概ね第2移動部材32内に収容された(没した)状態と、に第2移動部材32に対して相対移動可能となっている。
【0033】
ここで、主に図5(a)及び図5(b)を用いて、伸縮機構30(第1移動部材31及び第2移動部材32)についてより詳細に説明する。
【0034】
第1移動部材31は、例えば、長尺な棒状(例えば丸棒状)の本体部61と、本体部61の一端側(左側)に設けられていて本体部61よりも大径の大径部62と、本体部61の他端側(右側)に設けられていて本体部61よりも大径の大径部63と、大径部63における本体部61側とは反対側(右側)に設けられていて大径部63よりも更に大径のフランジ部64と、を有する。
なお、第1移動部材31は、複数の部材を組み合わせることにより構成されていてもよいし、単一に部材により構成されていてもよい。前者の場合に、第1移動部材31の各部(本体部61、大径部62、大径部63及びフランジ部64)と、各部材とは、必ずしも1対1の対応関係にはない。
【0035】
第2移動部材32は、長尺な筒状(例えば円筒状)の本体部71と、本体部71の一端部(左端部)に形成されている内フランジ部72、フランジ部73及び小径部74と、本体部71の他端部(右端部)に形成されている大径部75及びフランジ部76と、を有する。
小径部74においては、本体部71における小径部74及び内フランジ部72以外の部分よりも、本体部71の内径が小さくなっている。
本体部71の内腔において、小径部74の右端には、右向きの段差面74aが形成されている。
内フランジ部72は、小径部74の左端部に形成されている。内フランジ部72においては、小径部74における内フランジ部72の形成箇所以外の部分よりも、更に内径が小さくなっている。
フランジ部73は、小径部74の左端部に形成されている。フランジ部73の形成箇所においては、本体部71の外径が部分的に拡大している。フランジ部73は、例えば、内フランジ部72よりも僅かに右方に配置されている。
大径部75においては、本体部71における大径部75及びフランジ部76以外の部分よりも、本体部71の外径が大きくなっている。
本体部71の外面において、大径部75の左端には、左向きの段差面75aが形成されている。
フランジ部76は、大径部75の左端部に形成されている。フランジ部76においては、大径部75におけるフランジ部76の形成箇所以外の部分よりも、更に外径が大きくなっている。
【0036】
ここで、保持状態における各部の位置関係について詳細に説明する。
保持状態において、伸縮機構30は、複数の部材10の内腔に収納されている。このため、伸縮機構30が剥き出しの状態にならず、伸縮機構30を複数の部材10によって保護することができる。
より詳細には、例えば、図2(b)に示すように、第2移動部材32におけるフランジ部76、大径部75及び大径部75の近傍の部分が、第2部材12の筒状部15内に収容されており、第2移動部材32における残りの部分が第4部材14の筒状部15内に収容されている。
また、例えば、第1移動部材31におけるフランジ部64、大径部63及び大径部63の近傍の部分が、第4部材14の筒状部15内に配置されており、第1移動部材31における大径部62及び大径部62の近傍の部分が、第1部材11の筒状部15内に配置されており、第1移動部材31における残りの部分が、第3部材13の筒状部15内に配置されている。
図2(b)に示すように、保持状態では、第1移動部材31の大径部62が固定解除部40に対して固定された状態に維持される。
第2移動部材32は、例えば、大径部75の段差面75aが内フランジ部22に対して当接する状態となって、第2部材12に対して係合している。なお、保持状態において、段差面75aと内フランジ部22とは必ずしも相互に当接していなくてもよい。
第2付勢部52は、第2部材12の筒状部15の内部に配置され、且つ、大径部75の周囲に配置されている。換言すれば、大径部75は、コイルスプリングである第2付勢部52に挿入されている。第2付勢部52は、内フランジ部22の右端面とフランジ部76の左端面との間において、圧縮状態で保持されている。
第2移動部材32の本体部71は、内フランジ部22内を通過して第2部材12(の筒状部15)から左方に突出している。
図2(b)及び図5(a)に示すように、第1移動部材31のフランジ部64、大径部63及び大径部63の近傍の部分は、第2移動部材32の内部に収容されている。
第1移動部材31は、例えば、フランジ部64が小径部74の段差面74aに対して当接する状態となって、第2移動部材32に対して係合している。なお、保持状態において、段差面74aとフランジ部64とは必ずしも相互に当接していなくてもよい。
大径部63は、小径部74の内部に収容されている。
第1付勢部51は、小径部74の内部に配置され、且つ、大径部63の周囲に配置されている。換言すれば、大径部63は、コイルスプリングである第1付勢部51に挿入されている。第1付勢部51は、フランジ部64の左端面と内フランジ部72の右端面との間において、圧縮状態で保持されている。
第1移動部材31の本体部61は、内フランジ部72内を通過して第1移動部材31から左方に突出している。
【0037】
次に、解放状態における各部に位置関係について詳細に説明する。
解放状態においては、伸縮機構30の大部分は第2部材12の内腔に収容されている。より詳細には、例えば、図4(b)に示すように、第1移動部材31における大径部62及び大径部62の近傍の部分が、第2部材12から左方に突出し、第2移動部材32におけるフランジ部73とフランジ部73よりも左側の部分とが第2部材12から左方に突出している。また、第1移動部材31におけるフランジ部64、大径部63及び大径部63の近傍の部分が第2部材12から右方に突出しており、第2移動部材32におけるフランジ部76、大径部75及び大径部75の近傍の部分が第2部材12から右方に突出している。
第1付勢部51は、フランジ部64及び内フランジ部72が右方に移動するのに伴い右方に移動しているとともに、フランジ部64と内フランジ部72との距離が拡大するのに伴い伸長している。なお、フランジ部64と内フランジ部72との距離の拡大は、第1付勢部51による付勢によって生じる。
第2付勢部52は、フランジ部76が内フランジ部22に対して相対的に右方に移動するのに伴い伸長している。なお、フランジ部76の移動は、第2付勢部52による付勢によって生じる。
解放状態では、例えば、図4(b)及び図5(b)に示すように、大径部62の右端面が内フランジ部72の左端面に当接することによって、第1付勢部51の伸長が停止している。また、図4(b)に示すように、フランジ部73の右端面が内フランジ部22の左端面に当接することによって、第2付勢部52の伸長が停止している。
【0038】
伸縮機構30が固定状態から解除状態に切り替わると、第1付勢部51及び第2付勢部52による付勢に従って、第1移動部材31及び第2移動部材32がそれぞれ図2(b)に示す位置から図4(b)に示す位置に移動する。
すなわち、固定状態から解除状態に切り替わると、伸縮機構30において第2部材12から第1部材11側に突出していた部分は、複数の部材10のうち第2部材12を除く他の部材10(本実施形態の場合、第1部材11、第3部材13及び第4部材14)の内腔を通って第2部材12の内腔に収納される。
【0039】
伸縮機構30が固定状態から解除状態に切り替わることによって、保持状態から解放状態に切り替わると、それまで伸縮機構30によってなされていた第1部材11と第2部材12との拘束が解除されることで、複数の部材10が相互に分離及び変位可能となる。
【0040】
次に、図6及び図7を用いて、本実施形態に係る保持解放装置100を用いた展開構造物200の例を説明する。
図6は保持解放装置100によって展開構造物200が保持状態に維持されている状態を示し、図7は保持解放装置100によって展開構造物200が解放状態に切り替わり展開した状態を示す。
【0041】
展開構造物200は、例えば、それぞれ箱状の複数の展開部材を有する。一例として、展開構造物200は、第1展開部材91、第2展開部材92、第3展開部材93及び第4展開部材94の4つの展開部材を有する。各展開部材は、互いに同様の形状となっている。
各展開部材は、例えば平面視略正方形状に形成されている。各展開部材は、例えば、平面視における4辺の寸法よりも厚み寸法が大幅に小さい扁平形状(パネル形状)となっている。
平面視における各展開部材の4隅には、部材10(第1部材11~第4部材14のいずれか)が取り付けられている。すなわち、第1展開部材91の4隅の各々には第1部材11が取り付けられており、第2展開部材92の4隅の各々には第3部材13が取り付けられており、第3展開部材93の4隅の各々には第4部材14が取り付けられており、第4展開部材94の4隅の各々には第2部材12が取り付けられている。
なお、第1展開部材91に取り付けられた各第1部材11は、例えば、フランジ部17(図1(a)等参照)のネジ孔を用いて平板状のベース板90に対して取り付けられている。これにより、図6における第1展開部材91の下面に沿ってベース板90が配置されている。
【0042】
複数の展開部材(第1展開部材91~第4展開部材94)は、保持状態では、第1展開部材91、第2展開部材92、第3展開部材93及び第4展開部材94の順に積層されている。
この状態で、第1展開部材91の1つの隅部に取り付けられている第1部材11と、第2展開部材92の同じ隅部に取り付けられている第3部材13と、第3展開部材93の同じ隅部に取り付けられている第4部材14と、第4展開部材94の同じ隅部に取り付けられている第2部材12とは、この順に直列に並んでいる。これら4つの部材10(第1部材11、第3部材13、第4部材14及び第2部材12)は、1つの保持解放装置100を構成している。
同様に、第1展開部材91~第4展開部材94の他の3つの隅部にそれぞれ取り付けられている4つずつの部材10も、それぞれ1つずつの保持解放装置100を構成している。
つまり、保持状態の展開構造物200の4隅に、それぞれ1つずつの保持解放装置100が配置されていることになる。
図6に示すように、展開構造物200の保持状態では、4隅の保持解放装置100によって、複数の展開部材(第1展開部材91~第4展開部材94)が相互に直列に並ぶ直列状態となって拘束されている。
【0043】
展開構造物200を構成する複数の展開部材のうち、保持状態において相互に隣接する展開部材どうしは、例えば、ヒンジ部95を介して相互に連結されている。
すなわち、図6に示すように、例えば、第1展開部材91と第2展開部材92とが左手前の辺上に配置されたヒンジ部95を介して相互に連結されており、第2展開部材92と第3展開部材93とが図6では見えない位置(例えば左奥の辺上)に配置されたヒンジ部95を介して相互に連結されており、第3展開部材93と第4展開部材94とが左手前の辺上に配置されたヒンジ部95を介して相互に連結されている。
なお、各ヒンジ部95は、互いに同じ構造であってもよいし、それぞれ異なる構造であってもよい。
展開構造物200が解放状態に切り替わると、隣り合う展開部材どうしは、図示しないバネ等の展開用付勢機構による付勢に従って、ヒンジ部95を支点として相互に展開するようになっている。
4隅の保持解放装置100の固定解除部を同時に作動させて、4隅の保持解放装置100を解放状態に切り替えると、例えば図7に示すように、4つの展開部材が略同一平面上において正方格子状の配置で並ぶように展開する。
なお、第2展開部材92と第3展開部材93とが図6における右奥の辺上に配置されたヒンジ部95を介して相互に連結された構造を採用した場合は、複数の展開部材が略同一平面上において直列に並ぶように展開することもできる。
【0044】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0045】
例えば、上記においては、伸縮機構30が第1移動部材31と第2移動部材32との2段の伸縮構造である例を説明したが、伸縮機構30は3段以上の伸縮構造であってもよく、このようにすることによって、保持状態と解放状態とで突出長Lをより大きく変化させることが可能となる。
【0046】
また、保持解放装置100の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0047】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)複数の部材が直列に並ぶ直列状態で拘束されて相互に変位不能となっている保持状態と、前記複数の部材が相互に変位可能な解放状態と、に切り替える保持解放装置であって、
前記複数の部材には、前記直列状態で一端に位置する第1部材と、前記直列状態で他端に位置する第2部材と、が含まれ、
当該保持解放装置は、
一方向において伸長状態と短縮状態とに伸縮可能な伸縮機構と、
前記伸縮機構の一端部が前記第1部材に対して固定された固定状態から当該一端部の固定が解除された解除状態への切り替えを行う固定解除部と、
前記固定状態から前記解除状態に切り替わった際に前記伸縮機構を前記短縮状態へと変化させるとともに前記伸縮機構の他端部を当該伸縮機構の前記一端部の側とは反対側に移動させるべく前記伸縮機構を付勢している付勢部と、
を備え、
前記伸縮機構の前記他端部は、当該伸縮機構が前記第2部材から前記第1部材側に脱落することが規制された状態で、前記第2部材に対して係合しており、
前記保持状態では、前記固定状態に維持されていることによって前記伸縮機構が前記伸長状態に維持されているとともに、前記伸縮機構により前記第1部材と前記第2部材とが互いに拘束されて前記複数の部材が互いに緊密に直列に並んでおり、
前記固定解除部が作動することにより前記固定状態から前記解除状態に切り替わると、前記第1部材と前記第2部材との拘束が解除されることで前記複数の部材が相互に分離及び変位可能となるとともに、前記付勢部による付勢に従って前記伸縮機構が前記短縮状態に変化するとともに前記伸縮機構の前記他端部が前記第2部材に対して相対的に前記一端部の側とは反対側に移動して、前記第2部材からの前記伸縮機構の突出長が減少する保持解放装置。
(2)前記伸縮機構は、それぞれ前記一方向に長尺な第1移動部材及び第2移動部材を有し、
前記第1移動部材の一端部が、前記伸縮機構の前記一端部であり、
前記第2移動部材の一端部が、前記伸縮機構の前記他端部であり、
前記第1移動部材は、前記第2移動部材の他端部から前記第1部材側へと突出した第1突出状態と、前記第1突出状態と比べて前記第2移動部材からの突出量が小さい第1収納状態と、に切り替わり可能であり、
前記第2移動部材は、前記第2部材における前記第1部材側の端から前記第1部材側へと突出した第2突出状態と、前記第2突出状態と比べて前記第2部材からの突出量が小さい第2収納状態と、に切り替わり可能であり、
前記付勢部は、
前記固定状態から前記解除状態に切り替わった際に前記第1移動部材を前記第1突出状態から前記第1収納状態に変化させるべく前記第1移動部材を前記第2移動部材に対して相対的に付勢している第1付勢部と、
前記固定状態から前記解除状態に切り替わった際に前記第2移動部材を前記第2突出状態から前記第2収納状態に変化させるべく前記第2移動部材を前記第2部材に対して相対的に付勢している第2付勢部と、
を有する(1)に記載の保持解放装置。
(3)前記第1付勢部は、前記第1移動部材の他端部と前記第2移動部材の前記他端部との間において圧縮状態で保持されている圧縮型のコイルスプリングである(2)に記載の保持解放装置。
(4)前記第2付勢部は、前記第2移動部材の前記一端部と前記第2部材における前記第1部材側の端部との間において圧縮状態で保持されている圧縮型のコイルスプリングである(2)又は(3)に記載の保持解放装置。
(5)前記第2移動部材は筒状に形成されており、
前記第1移動部材は、前記第2移動部材から出没可能に前記第2移動部材に収納されている(2)から(4)のいずれか一項に記載の保持解放装置。
(6)前記複数の部材の各々は筒状に構成されており、
前記保持状態において、前記伸縮機構は、前記複数の部材の内腔に収納されている(1)から(5)のいずれか一項に記載の保持解放装置。
(7)前記固定状態から前記解除状態に切り替わると、前記伸縮機構において前記第2部材から前記第1部材側に突出していた部分は、前記複数の部材のうち前記第2部材を除く他の部材の内腔を通って前記第2部材の内腔に収納される(6)に記載の保持解放装置。
【符号の説明】
【0048】
10 部材
11 第1部材(他の部材)
12 第2部材
13 第3部材(他の部材)
14 第4部材(他の部材)
15 筒状部
16 開口部
17 フランジ部
18 凸部
19 凹部
20 固定部
21 止着部材
22 内フランジ部
30 伸縮機構
30a 一端部
30b 他端部
31 第1移動部材
32 第2移動部材
40 固定解除部
50 付勢部
51 第1付勢部
52 第2付勢部
61 本体部
62 大径部
63 大径部
64 フランジ部
71 本体部
72 内フランジ部
73 フランジ部
74 小径部
74a 段差面
75 大径部
75a 段差面
76 フランジ部
81 取付部
90 ベース板
91 第1展開部材
92 第2展開部材
93 第3展開部材
94 第4展開部材
95 ヒンジ部
100 保持解放装置
200 展開構造物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7