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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046886
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】液体収容体
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
B41J2/175 143
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152237
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】内藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】平田 和之
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA25
2C056KB27
2C056KC02
2C056KC10
2C056KC14
(57)【要約】
【課題】消費されずに残存する液体を低減することができる液体収容体を提供すること。
【解決手段】可撓性を有し、内部に液体を収容する袋と、袋の一端部に取り付けられ、液体を液体噴射装置へ導出するための液体導出部を有する液体導出部材と、袋内に配置され、液体を濾過するフィルターが配置されたフィルター室を有するフィルター室部材と、袋内に配置され、フィルター室と液体導出部材とに接続され、フィルターによって濾過された液体を液体導出部へ流す液体導出管と、フィルター室部材に接続され、フィルター室部材から袋の他端部に向かって延びるスペーサー部材と、を備える、液体収容体。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収容体であって、
可撓性を有し、内部に液体を収容する袋と、
前記袋の一端部に取り付けられ、前記液体を液体噴射装置へ導出するための液体導出部を有する液体導出部材と、
前記袋内に配置され、前記液体を濾過するフィルターが配置されたフィルター室を有するフィルター室部材と、
前記袋内に配置され、前記フィルター室と前記液体導出部材とに接続され、前記フィルターによって濾過された前記液体を前記液体導出部へ流す液体導出管と、
前記フィルター室部材に接続され、前記フィルター室部材から前記袋の他端部に向かって延びるスペーサー部材と、を備える、液体収容体。
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容体であって、
前記フィルター室部材は、凸部を有し、
前記スペーサー部材は、開口部を有し、
前記開口部に前記凸部が挿入されることにより、前記フィルター室部材と前記スペーサー部材とが接続され、
前記凸部は、外周面と、前記外周面から外方に向かって突出する外周突出部と、を有する、液体収容体。
【請求項3】
請求項2に記載の液体収容体であって、
前記液体収容体は、前記一端部から前記他端部へ向かう第1方向が重力方向と直交する装着姿勢で使用され、
前記フィルター室部材は、前記装着姿勢において、
前記重力方向を向く第1面と、前記重力方向の逆方向を向く第2面と、前記第1面と前記第2面とを繋ぐ第3面であって、前記他端部と向かい合う第3面と、を有し、
前記凸部は、前記第3面から前記第1方向に向かって凸である、液体収容体。
【請求項4】
請求項3に記載の液体収容体であって、
前記フィルター室部材は、前記装着姿勢において、
前記第1方向と前記重力方向とに直交する第2方向に、前記凸部を挟んで並ぶ第1端部と、第2端部と、を有し、
前記第1端部の前記第1方向における先端と前記第2端部の前記第1方向における先端とは、前記凸部の前記第1方向における先端の前記第1方向側にある、液体収容体。
【請求項5】
請求項1に記載の液体収容体であって、
前記液体収容体は、前記一端部から前記他端部へ向かう第1方向が重力方向と直交する装着姿勢で使用され、
前記スペーサー部材は、前記装着姿勢において、
前記袋の、前記第1方向と前記重力方向とに直交する第2方向における中央にある、液体収容体。
【請求項6】
請求項1に記載の液体収容体であって、
前記液体収容体は、前記一端部から前記他端部へ向かう第1方向が重力方向と直交する装着姿勢で使用され、前記装着姿勢において、
前記袋は、前記重力方向と直交する第1袋面と、前記第1袋面と向かい合う第2袋面とを有し、
前記フィルター室部材は、少なくとも、前記液体が充填された初期状態において、前記第1袋面と前記第2袋面との何れからも離れた位置にある、液体収容体。
【請求項7】
請求項6に記載の液体収容体であって、前記装着姿勢において、
前記フィルター室部材は、少なくとも前記初期状態において、前記重力方向について、前記袋の中央にある、液体収容体。
【請求項8】
請求項6または7に記載の液体収容体であって、
前記フィルター室部材は、樹脂製である、液体収容体。
【請求項9】
請求項1に記載の液体収容体であって、
前記フィルター室部材は、
前記一端部と向かい合う側面と、
前記側面から前記一端部に向かって突出する円筒部と、を有し、
前記液体導出部の開口部に前記円筒部が挿入されることにより、前記フィルター室部材と前記液体導出部とが接続され、
前記円筒部は、外周面と、前記外周面から外方に向かって突出する複数の円筒突出部とを有し、
前記複数の円筒突出部は、それぞれ、前記円筒部の突出方向における異なる位置に配置されている、液体収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている液体収容体は、液体を濾過するフィルターを有するスペーサー部材が先端に取り付けられた液体導出管を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-84352号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液体収容体では液体が消費されずに残存するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態によれば、液体収容体が提供される。この液体収容体は、可撓性を有し、内部に液体を収容するための袋と、前記袋の一端部に取り付けられ、前記液体を液体噴射装置へ導出するための液体導出部を有する液体導出部材と、前記袋内に配置され、前記液体を濾過するフィルターが配置されたフィルター室を有するスペーサー部材と、前記袋内に配置され、前記フィルター室と前記液体導出部材とに接続され、前記フィルターによって濾過された前記液体を前記液体導出部へ流すための液体導出管と、を備え、前記液体導出管は、可撓性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】液体噴射装置の斜視図。
図2】液体噴射装置を前方から見た概略構成図。
図3】液体供給部を上から見た概略平面図。
図4】液体供給部の概略斜視図。
図5】ケースから液体収容体を取り出した状態の概略分解斜視図。
図6】アダプター部を液体導出部材から取り外した状態の概略分解斜視図。
図7】アダプター部が装着された液体導出部材の斜視図。
図8】内部構造体の分解斜視図。
図9】第1液体収容体の平面図。
図10】第1液体収容体の側面図。
図11】フィルター室部材の斜視図。
図12】フィルター室部材の平面図。
図13】一部破断して示すフィルター室部材の側面図。
図14】内部に収容する液体が少なくなった状態の液体収容体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.実施形態:
A1.液体噴射装置の構成:
図1は、本実施形態の液体噴射装置10の斜視図である。図1には、互いに直交する3つの方向を示す矢印X,Y,Zが図示されている。なお、矢印X,Y,Zは、他の各図においても、図1に対応するように、適宜、図示されている。
【0008】
矢印X,Y,Zが示す方向は、通常の使用状態にあるときの液体噴射装置10の配置姿勢に対応している。液体噴射装置10の通常の使用状態は、液体噴射装置10が水平面に配置されて使用されるときの状態である。以下では、矢印X,Y,Zが示す方向をそれぞれ「X方向」、「Y方向」、「Z方向」と呼ぶ。Z方向は、重力方向である。各X方向のうち、ひとつの方向を「+X方向」と呼び、他の方向を「-X方向」と呼ぶ。Y,Z方向についても、同様に、ひとつの方向を「+Y方向」および「+Z方向」と呼び、他の方向を「-Y方向」および「-Z方向」と呼ぶ。以下の説明において、-Y方向を「前方向」とも呼び、+Y方向を「後方向」とも呼ぶ。-X方向を「右方向」とも呼び、+X方向を「左方向」とも呼ぶ。-Z方向を「上方向」とも呼び、+Z方向を「下方向」とも呼ぶ。
【0009】
液体噴射装置10は、インクジェットプリンターである。液体噴射装置10において噴射によって消費される液体はインクである。液体噴射装置10は、インク滴を吐出して、媒体MPに印刷画像を形成する。媒体MPは、例えば、布帛や印刷用紙である。本実施形態の液体噴射装置10は、液体噴射装置10の外装を構成する樹脂製の中空箱体であるハウジング10cを備えている。ハウジング10cは、略直方体形状を有する。ハウジング10cの前面部12には、操作部13と、媒体排出口14と、媒体受部15と、カバー部材18とが設けられている。
【0010】
操作部13は、ユーザーに対する情報を表示する表示部と、ユーザーの操作を受け付ける複数の操作ボタンとを有する。媒体排出口14は、液体噴射装置10の内部から繰り出される媒体MPの出口である。媒体排出口14は、X方向に幅の広いスリット状の開口である。媒体受部15は、媒体排出口14の下側において-Y方向に庇状に張り出しており、媒体排出口14から排出された媒体MPを受け止める。
【0011】
カバー部材18は、液体噴射装置10の外装の一部を構成する樹脂製の板状部材である。カバー部材18は、ハウジング10cに対して着脱可能に取り付けられている。カバー部材18は、液体噴射装置10の内部に収納されている図2に示す装着体105を被覆して保護する。
【0012】
図2は、液体噴射装置10を前方から見た概略構成図である。図2に示すように、液体噴射装置10は、制御部20と、吐出実行部30と、搬送ローラー36と、液体供給部40と、ケース収納部60とを備えている。
【0013】
ケース収納部60は、図1に示すカバー部材18の内側に配置されており、液体噴射装置10の最下段に配置されている。ケース収納部60には、4つの装着体105が収納される。4つの装着体105は、具体的には、3つの第1装着体105aと、1つの第2装着体105bとを含む。第1装着体105aと第2装着体105bとは、大きさが互いに異なる。第2装着体105bは、第1装着体105aよりも大きい。装着体105は、ケース61と、ケース61に収納された液体収容体100とにより構成されている。装着体105と同様に、4つのケース61は、3つの第1ケース61aと、1つの第2ケース61bとを含む。4つの液体収容体100は、3つの第1液体収容体100aと、1つの第2液体収容体100bとを含む。第1装着体105aは、第1ケース61aに第1液体収容体100aが収納されて構成されている。第2装着体105bは、第2ケース61bに第2液体収容体100bが収納されて構成されている。そして、第2液体収容体100bは、第1液体収容体100aよりも大きい。例えば、3つの第1液体収容体100aのそれぞれには、シアン、マゼンタ、イエローのインクが収容され、第2液体収容体100bには、ブラックのインクが収容されてもよい。
【0014】
吐出実行部30は、液体吐出部31と、複数のチューブ32と、キャリッジ34とを備える。液体吐出部31の底面には、下方に向かって開口するノズル33が設けられている。液体吐出部31は、例えば、ピエゾ素子によるインクへの圧力の印加などにより、液体をノズル33から吐出する。キャリッジ34に液体吐出部31が搭載されている。キャリッジ34は、X方向に直線的に往復移動する。搬送ローラー36は、液体吐出部31の下方においてX方向に架設されている。搬送ローラー36は、媒体MPを搬送する。複数のチューブ32は、Y方向に配列されており、液体吐出部31と接続されている。
【0015】
液体供給部40は、4つの供給配管42と、継手部43と、吸引部45とを有する。4つの供給配管42のそれぞれは、4つの液体収容体100のそれぞれに接続されている。継手部43は、4つの供給配管42のそれぞれと、複数のチューブ32のそれぞれとを接続する。液体吐出部31には、4つの供給配管42、継手部43、および複数のチューブ32を介して、液体収容体100に収容されたインクが供給される。吸引部45は、液体収容体100から供給配管42にインクを送出するための圧力を発生する。
【0016】
制御部20は、液体噴射装置10における各部の駆動を制御する。制御部20は、少なくとも、中央処理装置と、主記憶装置と、を備えるマイクロコンピューターによって構成され、中央処理装置が主記憶装置に種々のプログラムを読み込んで実行することによって種々の機能を発揮する。
【0017】
図3は、液体供給部40を上から見た概略平面図である。図4は、液体供給部40の概略斜視図である。図3に示すように、ケース収納部60には、装着体105が外方から+Y方向に向かって差し込まれる。ケース収納部60には、4つの装着体105がX方向に配列されて収納される。図3には、ケース収納部60における装着体105の配置位置である配置領域LAが一点鎖線で示されている。
【0018】
液体供給部40は、上述した構成の他に、4つの切替機構50と、圧力伝達配管46とを有する。4つの切替機構50は、配置領域LAの+Y方向側に配置されている。4つの切替機構50のそれぞれは、4つの配置領域LAのそれぞれに対応して配置されている。4つの切替機構50は、具体的には、3つの第1切替機構50aと、1つの第2切替機構50bとを含む。3つの第1切替機構50aのそれぞれは、3つの第1液体収容体100aのそれぞれに対応する。第2切替機構50bは、第2液体収容体100bに対応する。
【0019】
図4に示すように、各切替機構50は、供給針51を有する。供給針51は、液体収容体100に着脱可能に装着される。供給針51は、-Y方向に直線的に延びる管状の形状を有する。供給針51は、その先端部51tが、液体収容体100内に挿入されることによって、液体収容体100に接続される。そして、供給針51の内部を液体収容体100に収容された液体が流通する。圧力伝達配管46は、吸引部45が発生した圧力を伝達する。
【0020】
A2.液体収容体の構成:
図5は、第1ケース61aから第1液体収容体100aを取り出した状態における概略分解斜視図である。図6は、アダプター部130を液体導出部材120から取り外した状態における概略分解斜視図である。図7は、アダプター部130が装着された液体導出部材120を下方から見たときの斜視図である。第2装着体105bは、第1装着体105aと同様の構成を有する。よって、以下では、代表して第1装着体105aについて説明し、第2装着体105bの説明は省略する。
【0021】
ケース61は、上方が開放されたトレー状の容器である。ケース61は、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂部材によって作製される。ケース61には、上方から液体収容体100が着脱可能に収納される。ケース61の+Y方向の端部には、ケース61の下面から上に向かって立ち上がる円柱形状の2つの案内部62が設けられている。2つの案内部62は、ケース61に液体収容体100が収容される場合に、後述するアダプター部130を案内する。
【0022】
液体収容体100は、図5に示す袋110と、アダプター部130と、内部構造体200と、図6に示す液体導出部材120とを備える。袋110は、液体としてのインクを内部に収容する。袋110の内部空間である液体収容部110aに液体が収容される。袋110は、一端部621から他端部622へ向かう-Y方向に長く、扁平な概形を有する。袋110は、袋状であり、可撓性を有する複数のフィルムが貼り付けることで形成されている。具体的には、複数のフィルムを重ね合わせて、周縁部の一部同士、および、周縁部の他の一部とアダプター部130とを熱溶着などの方法により接合することで袋110が形成される。本実施形態では、袋110は、後述する第1袋面111のフィルムと第2袋面112のフィルムと、X方向の両端部の各々に配置されたマチとなる2枚のフィルムとで形成されたいわゆるガゼットタイプの袋である。なお、袋110はガゼットタイプに限られず、2枚のフィルムにより形成された、いわゆるピロータイプの袋でもよい。袋110を構成するフィルムは、可撓性とガスバリア性を有する素材で形成されている。例えば、フィルムの素材としてはポリエチレンテレフタレート(PET),ナイロン,ポリエチレンなどが挙げられる。また、これらの素材で構成されたフィルムを複数積層した積層構造を用いてフィルムが形成されてもよい。このような積層構造では、例えば、外層を耐衝撃性に優れたPET又はナイロンによって形成し、内層を耐インク性に優れたポリエチレンによって形成してもよい。さらに、アルミニウムなどを蒸着した層を有するフィルムを積層構造の1つの構成部材としてもよい。
【0023】
袋110は、下面を形成する第1袋面111と、上面を形成する第2袋面112とを有する。第1袋面111および第2袋面112は、それぞれ1枚のフィルムで形成されている。重ね合わされた第1袋面111と第2袋面112との周囲が封止されて液体収容部110aが形成されている。袋110は、一端部621と、一端部621と対向する他端部622とを有する。一端部621は、+Y方向側の端部である。他端部622は、-Y方向側の端部である。
【0024】
液体収容体100は、一端部621から他端部622へ向かう第1方向が重力方向と直交する装着姿勢で使用される。装着姿勢において、第1袋面111は、重力方向と直交する。「直交する」とは、重力方向に対する、第1袋面111の法線ベクトルの角度が0±10度の範囲に入っている場合が該当する。装着姿勢において、第2袋面112は、第1袋面111と向かい合う。
【0025】
図6に示すように、アダプター部130は、上から覆うように液体導出部材120に装着される。図7に示すように、アダプター部130の上面には、Z方向に突出する2つの位置決め突起133が設けられている。そして、液体導出部材120には、2つの位置決め突起133のそれぞれが挿通されるZ方向に貫通する2つの位置決め孔122が設けられている。アダプター部130は、2つの位置決め孔122のそれぞれに、2つの位置決め突起133のそれぞれが挿通されて、液体導出部材120に装着される。
【0026】
図6に示すように、アダプター部130は、袋110の一端部621側に位置する。アダプター部130は、閉塞部134を有する。アダプター部130は、袋110に溶着された液体導出部材120に着脱可能に装着される。アダプター部130は、液体収容体100が液体噴射装置10に装着された装着状態において、液体噴射装置10の切替機構50に接続される。図7に示すように、アダプター部130が装着された状態において、閉塞部134は、液体導出部材120の後方に位置する。図6に示すように、アダプター部130は、+Y方向に開口している貫通孔部131を有する。貫通孔部131は、後述する液体導出部121を挿通させるための、Y方向に貫通する孔である。アダプター部130は、接続端子132を有する。接続端子132は、例えば回路基板の表面に設けられ、この回路基板は、液体収容体100に関する各種の情報を記憶する記憶部を含む。液体収容体100に関する情報には、例えば、液体収容体100の種類や液体の収容量等を表す情報が含まれる。
【0027】
図7に示すように、液体導出部材120は、上記構成に加え、液体を液体噴射装置10へ導出するための液体導出部121と、2つの導出部材円筒部123と、溶着部124とを有する。液体導出部材120は、袋110の一端部621に取り付けられている。
【0028】
図6に示すように、溶着部124に、袋110の一端部621が溶着される。図7に示すように、Y方向について、液体導出部121と、2つの導出部材円筒部123とは、溶着部124を挟んで配置されている。溶着部124に袋110が溶着された状態では、2つの導出部材円筒部123は袋110内に位置し、液体導出部121は、袋110の外に位置する。液体導出部121および2つの導出部材円筒部123は、それぞれ、軸方向がY方向に平行な円筒形状を有する。2つの導出部材円筒部123は、X方向に並んでいる。各導出部材円筒部123の内部空間は、液体導出部121の内部空間と連通している。2つの導出部材円筒部123のそれぞれには、図5に示す、後述する2つの液体導出管140のそれぞれが接続されている。液体収容体100が新品の状態では、液体導出部121の先端にはフィルムが溶着されている。そして、液体収容体100が液体噴射装置10に装着されると、液体導出部121に溶着されたフィルムは、供給針51によって破られる。
【0029】
図8は、内部構造体200の分解斜視図である。図9は、第1液体収容体100aの平面図である。図10は、第1液体収容体100aの側面図である。図11は、フィルター室部材160の斜視図である。図12は、フィルター室部材160の平面図である。図13は、一部破断して示すフィルター室部材160の側面図である。
【0030】
図5に示すように、内部構造体200は、袋110内である液体収容部110aに配置されている。内部構造体200は、複数の液体導出管140と、スペーサー部材150と、フィルター室部材160と、フィルター171とを有する。各液体導出管140は、フィルター室部材160と液体導出部材120とに接続されている。スペーサー部材150は、フィルター室部材160に接続されている。スペーサー部材150は、フィルター室部材160から袋110の他端部622に向かって延びている。フィルター室部材160に、フィルター171が取り付けられている。
【0031】
複数の液体導出管140は、第1液体導出管141と、第2液体導出管142とを含む。各液体導出管140は、可撓性を有するチューブである。各液体導出管140の材料として、例えば、エラストマーやポリプロピレンなどの合成樹脂を用いることができる。各液体導出管140の材料は、袋110内のインクとの反応性を有さない材料が好ましい。本実施形態では、各液体導出管140の材料はエラストマーである。図8に示すように、第1液体導出管141は、第1液体導出管141の中心軸方向に延びる内部空間141aと、内部空間141aと連通する開口部141bとを有する。同様に、第2液体導出管142は、第2液体導出管142の中心軸方向に延びる内部空間142aと、内部空間142aと連通する開口部142bとを有する。
【0032】
図8に示すように、本実施形態において、スペーサー部材150は、チューブである。スペーサー部材150の材料として、例えば、エラストマーやポリプロピレンなどの合成樹脂を用いることができる。スペーサー部材150の材料は、袋110内のインクとの反応性を有さない材料が好ましい。本実施形態では、スペーサー部材150の材料はエラストマーである。スペーサー部材150は、スペーサー部材150の中心軸方向に延びる内部空間150aと、内部空間と連通する開口部150bとを有する。なお、スペーサー部材150の他の実施形態として、内部空間150aを有さず、スペーサー部材150の中心軸方向における端部から中心軸方向に沿って凹んだ開口部150bを有する形態としてもよい。
【0033】
フィルター室部材160は、扁平な形状を有する。フィルター室部材160の材料として、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどの合成樹脂を用いることができる。本実施形態では、フィルター室部材160は、ポリプロピレン製である。
【0034】
フィルター室部材160は、基部610と、フィルター室620と、円筒部としての第1円筒部631および第2円筒部632と、凸部640とを有する。基部610は平面形状が概ね矩形の平板形状を有する。基部610は、図10に示す第1面611および第2面612と、図11に示す第3面613とを有する。第1面611は、液体収容体100の装着姿勢において、重力方向である+Z方向を向く面である。第2面612は、液体収容体100の装着姿勢において、重力方向の逆方向である-Z方向を向く面である。第3面613は、第1面611と第2面とを繋ぐ面である。ここで、第1面611について、「+Z方向を向く面」とは、第1面611の法線ベクトルが+Z方向と平行であることをいう。第2面612について、「-Z方向を向く面」とは、第2面612の法線ベクトルが-Z方向と平行であることをいう。なお、「法線ベクトルが+Z方向と平行である」とは、法線ベクトルと+Z方向とのなす角が、0±10度の範囲にある場合が該当する。同様に、「法線ベクトルが-Z方向と平行である」とは、法線ベクトルと-Z方向とのなす角が、0±10度の範囲にある場合が該当する。
【0035】
図8および図11に示すように、フィルター室620は、基部610から+Z方向に凹んだ部分である。フィルター室620は、-Z方向に向かって開口している。そして、液体を濾過するための図8に示すフィルター171が、フィルター室620の開口を閉塞するように配置される。フィルター室620の開口の周囲には、フィルター171を溶着するための内部周縁部606が設けられている。そして、内部周縁部606にフィルター171が溶着されている。図13に示すように、本実施形態では、フィルター171は、XY平面と平行に取り付けられている。
【0036】
本実施形態において、液体を濾過するためのフィルター171は、SUS製の金属メッシュによって形成されている。フィルター171は、金属不織布によって形成されてもよい。フィルター171は、袋110内に混入した異物、あるいは、袋110内で発生した異物を取り除く。
【0037】
図8に示すように、基部610の+Y方向の端部には、第1円筒部631と第2円筒部632とがX方向に並んで配置されている。第1円筒部631および第2円筒部632は、フィルター室部材160の袋110の一端部621と向かい合う側面614から一端部621に向かって突出している。第1円筒部631および第2円筒部632は、筒形状を有する。図13に示すように、第1円筒部631の内部空間は、フィルター室620と連通している。同様に、第2円筒部632の内部空間は、フィルター室620と連通している。
【0038】
図8に示すように、第1円筒部631と第2円筒部632とには、それぞれ、第1液体導出管141と、第2液体導出管142とが接続される。具体的には、開口部141bに、第1円筒部631が挿入されることにより、フィルター室部材160と第1液体導出管141とが接続される。同様に、開口部142bに、第2円筒部632が挿入されることにより、フィルター室部材160と第2液体導出管142とが接続される。
【0039】
図8に示すように、第1円筒部631は、外周面631aと、外周面631aから外方に向かって突出する複数の円筒突出部631bとを有する。複数の円筒突出部631bは、それぞれ、第1円筒部631の突出方向としての+Y方向における異なる位置に配置されている。
【0040】
本実施形態では、第1円筒部631は、2つの円筒突出部631bを有する。各円筒突出部631bは、第1円筒部631の中心軸方向に平行な外周面631aから外方に突出している。本実施形態では、各円筒突出部631bは、第1円筒部631の周方向に亘って形成されている。各円筒突出部631bは、第1円筒部631の中心軸方向について、先端に向かうにつれて、第1円筒部631の中心軸に近づくように傾斜する傾斜面を有する。そして、円筒突出部631bのフィルター室620に近い端部と、外周面631aとで段差が形成されている。
【0041】
第1円筒部631が円筒突出部631bを有することにより、接続されている第1液体導出管141を抜けにくくすることができる。第1液体導出管141に対して、第1液体導出管141が第1円筒部631から抜かれる方向である+Y方向に力が加えられた場合に、第1液体導出管141の内部空間を区画する内周面と円筒突出部631bとの間に摩擦力が生じるからである。本実施形態では、複数の円筒突出部631bが+Y方向における異なる位置に配置されている。これにより、円筒突出部631bが+Y方向に1つ配置されている場合に比べ、さらに、第1液体導出管141を抜けにくくすることができる。第2円筒部632も同様に、外周面632aと、2つの円筒突出部632bを有する。第2円筒部632は、第1円筒部631と同様の構成のため、説明を省略する。
【0042】
図8に示すように、基部610の-Y方向の端部には、凸部640が配置されている。凸部640は、基部610の第3面613から第1方向としての-Y方向に向かって凸である。凸部640に、スペーサー部材150が接続される。具体的には、スペーサー部材150の開口部150bに凸部640が挿入されることにより、フィルター室部材160とスペーサー部材150とが接続される。
【0043】
凸部640は、外周面641と、外周面641から外方に向かって突出する外周突出部642とを有する。具体的には、外周突出部642は、凸部640の中心軸方向に平行な外周面641から外方に突出している。本実施形態では、外周突出部642は、外周面641のうち、後述する第1端部651と向かい合う面と、後述する第2端部652と向かい合う面とのそれぞれに配置されている。外周突出部642は、凸部640の中心軸方向について、先端に向かうにつれて、外周突出部642の中心軸に近づくように傾斜する傾斜面を有する。そして、外周突出部642のフィルター室620に近い端部と、外周面641とで段差が形成されている。凸部640が外周突出部642を有することにより、接続されているスペーサー部材150を抜けにくくすることができる。スペーサー部材150に対して、スペーサー部材150が凸部640から抜かれる方向である-Y方向に力が加えられた場合に、スペーサー部材150の開口部150bを区画する内周面と外周突出部642との間に摩擦力が生じるからである。
【0044】
図8に示すように、基部610は、-Y方向の端部に、さらに第1端部651と、第2端部652と、を有する。図12に示すように、第1端部651と第2端部652とは、凸部640を挟んで、第2方向としてのX方向に並ぶ。第1端部651の-Y方向における先端と第2端部652の-Y方向における先端とは、凸部640の-Y方向における先端の-Y方向側にある。ここで、「-Y方向側にある」とは、本実施形態のように、Y方向について、凸部640の先端が、第1端部651の先端と第2端部652の先端と同じ位置である場合と、凸部640の先端よりも-Y方向側にある場合とを含む。
【0045】
本実施形態では、X方向について、凸部640は、フィルター室部材160の中央に配置されている。そして、第1端部651と第2端部652とは、凸部640の中心軸を対象線として、概ね線対称である形状を有している。つまり、Y方向について、第1端部651の先端と、第2端部652の先端とは、同じ位置にある。図12には、便宜上、凸部640の先端を通り、X方向に平行な参照線RLが描かれている。本実施形態では、第1端部651の先端と第2端部652の先端とは、参照線RL上にある。上記のように、他の実施形態として、第1端部651の先端と第2端部652の先端とが、参照線RLの-Y方向側にあっても良い。
【0046】
上記のように、第1端部651の-Y方向における先端と第2端部652の-Y方向における先端とは、凸部640の-Y方向における先端の-Y方向側にある。これにより、例えば落下により、衝撃を受けた場合に、凸部640の損傷を抑制することができる。凸部640は第1端部651および第2端部652よりも奥まった位置にあるため、フィルター室部材160に対して、Y方向と交差する方向から衝撃が加えられた場合に、第1端部651または第2端部652が、凸部640より先に衝撃を受けることになり、凸部640が受ける外力を軽減できるからである。
【0047】
図5に示すように、液体収容部110aに収容された液体は、フィルター室部材160に配置されたフィルター171を通り、液体導出管140に流入する。具体的には、図13の矢印にて示すように、液体は、フィルター室620の開口からフィルター室620に流入する。フィルター室620に流入する過程で、液体はフィルター171によって濾過される。フィルター171によって濾過された液体は、フィルター室620と連通する、第1円筒部631または第2円筒部632、図5に示す各液体導出管140、各導出部材円筒部123内の流路を順に通り、液体導出部材120内で合流した後、液体導出部121から外部に導出される。よって、異物が取り除かれた液体を液体噴射装置10に供給することができる。
【0048】
図14は、消費により、収容された液体が初期状態よりも少なくなった液体収容体100を示す斜視図である。液体が消費されるにつれて、液体収容体100は第1袋面111と第2袋面112とが互いに近づくように変形する。図10の実線で示す第1袋面111および第2袋面112は、初期状態における各袋面である。図10の二点鎖線で示す第1袋面111および第2袋面112は、収容された液体が初期状態よりも少なくなった状態における各袋面である。
【0049】
本実施形態に係る第1液体収容体100aは、スペーサー部材150を有するため、消費されずに残留する液体を低減することができる。図9にハッチングして示す液体流路FPは、スペーサー部材150により形成される流路である。図14に示すように、消費により袋110内の液体が少なくなり、第1袋面111と第2袋面112とが互いに近づくように変形すると、袋110内には、スペーサー部材150を支柱とする空間である液体流路FPが形成される。液体流路FPは、スペーサー部材150の周囲に形成される。これにより、Y方向について、他端部622と、フィルター室部材160との間に、第1袋面111と第2袋面112とがX方向に亘って密着することにより形成される閉塞部の形成が抑制される。仮に、液体収容体100に閉塞部が形成されると、液体収容体100には、フィルター室部材160への流路が断たれた液体が消費されずに残留する。この点、本実施形態では、スペーサー部材150により、フィルター室部材160へ通じる液体流路FPが形成されるため、液体が消費されずに残留する液体を低減することができる。
【0050】
また、図10に示すように、フィルター室部材160は扁平な形状を有する。具体的には、フィルター室部材160のZ方向の厚さは、初期状態における袋110のZ方向の厚さの1/4以下である。そして、液体導出管140およびスペーサー部材150のそれぞれのZ方向の厚さ、すなわち直径は、フィルター室部材160のZ方向の厚さと同等である。よって、消費により、液体収容体100の液体が少なくなった場合に、内部構造体200の周りに形成される、第1袋面111と第2袋面112との間の空間は、比較的小さい。よって、液体が消費されずに残留する液体を低減することができる。
【0051】
図9に示すように、本実施形態では、スペーサー部材150の他端部622に近い先端と、他端部622との距離Dは、5cm程度である。このように、スペーサー部材150は、他端部622近くまで延びていることにより、フィルター室部材160までの流路が断たれた閉塞部が形成される可能性をより低減することができる。
【0052】
図9に示すように、スペーサー部材150は、袋110の第2方向としてのX方向について中央にある。「X方向の中央にある」とは、スペーサー部材150の重心が、X方向についての袋110の中間位置を基準として、+X方向および-X方向の各々について、袋110のX方向の長さLの10%の範囲にある場合が該当する。スペーサー部材150が、X方向について袋110の中央にあることにより、消費されずに残留する液体を低減することができる。スペーサー部材150の+X方向側と、-X方向側とから均等に液体をフィルター室部材160へ導くことができるからである。
【0053】
図10に示すように、少なくとも初期状態において、スペーサー部材150は、Z方向について、第1袋面111と第2袋面112との何れからも離れた位置にある。本実施形態では、スペーサー部材150は、Z方向について、袋110の中央にある。なお、「初期状態」とは、液体収容体100に液体が充填された後、液体噴射装置10への液体供給を開始する前の状態を指す。また、「Z方向の中央にある」とは、スペーサー部材150の重心が、第1袋面111と第2袋面112との中間位置を基準として、+Z方向および-Z方向の各々について、第1袋面111と第2袋面112との距離の10%の範囲にある場合が該当する。
【0054】
フィルター室部材160は、Z方向について、袋110の中央にあることにより、液体噴射装置10に供給する液体の濃度を安定させることができる。本実施形態では、液体は沈降成分を有する。沈降成分は重力により+Z方向へ移動するため、袋110内の液体には、Z方向について濃度勾配が生じる。ここで、フィルター室部材160が中央にあることにより、袋110内の液体の平均濃度よりも濃い濃度または薄い濃度の液体が供給されにくくなるため、濃度を安定させることができる。
【0055】
なお、袋110内におけるフィルター室部材160のZ方向の位置は、主に、フィルター室部材160の重力と、フィルター室部材160の浮力と、液体導出管140の反力により定まる。本実施形態では、フィルター室部材160を樹脂製とすることにより、金属製とする場合に比べて重力を軽減して、浮力によりフィルター室部材160が袋110の中央に位置することを実現している。
【0056】
以上説明した実施形態によれば、液体収容体100は、フィルター室部材160に接続され、フィルター室部材160から袋110の他端部622に向かって延びるスペーサー部材150を有する。これにより、袋110内の液体が少なくなった状態においても、スペーサー部材150の周りに液体流路FPを形成することができる。よって、袋110内の消費されずに残留する液体を低減することができる。
【0057】
また、凸部640は、外周面641と、外周面641から外方に向かって突出する外周突出部642と、を有する。これにより、開口部150bに凸部640が挿入されることにより接続されているスペーサー部材150を抜けにくくすることができる。
【0058】
また、凸部640は、フィルター室部材160の第3面613から-Y方向に向かって凸である。これにより、凸部640は、フィルター室部材160の第1面611と第2面612との何れからも外方に突出しない。よって、液体収容体100にX方向に沿った衝撃が加えられた場合にも、凸部640が、袋110を内側から押して傷付けることを抑制することができる。
【0059】
また、フィルター室部材160は、第1端部651と、第2端部652と、を有する。そして、第1端部651の-Y方向における先端と第2端部652の-Y方向における先端とは、凸部640の-Y方向における先端の-Y方向側にある。これにより、液体収容体100にY方向に交差する方向に沿って衝撃が加えられた場合にも、凸部640の損傷を抑制することができる。
【0060】
また、スペーサー部材150は、装着姿勢において、袋110のX方向における中央にある。これにより、スペーサー部材150の+X方向側と-X方向側から均等に液体をフィルター室部材160に導くことができるため、消費されずに残留する液体を低減することができる。
【0061】
また、フィルター室部材160は、少なくとも初期状態において、第1袋面111と第2袋面112との何れからも離れた位置にある。これにより、液体噴射装置10に供給する液体の濃度を安定させることができる。また、フィルター室部材160は、少なくとも初期状態において、Y方向について、袋110の中央にある。これにより、液体噴射装置10に供給する液体の濃度をさらに安定させることができる。また、フィルター室部材160は、樹脂製である。これにより、フィルター室部材160を金属製とした場合よりもフィルター室部材160にかかる重力を軽減し、フィルター室部材160を液体の中で浮かせることができる。
【0062】
また、第1円筒部631は、複数の円筒突出部631bを有する。そして、複数の円筒突出部631bは、それぞれ、第1円筒部631の突出方向における異なる位置に配置されている。これにより、第1液体導出管141の内部空間に第1円筒部631が挿入されることにより接続されている第1液体導出管141を抜けにくくすることができる。
【0063】
B.他の実施形態
(B1)上記実施形態では、スペーサー部材150の長さは、各液体導出管140の長さと同程度である。スペーサー部材150の長さは、袋110の大きさに合わせて調整すると良い。袋110のY方向に大きさに合わせて、スペーサー部材150の長さを調整することにより、種々の大きさの液体収容体100に対して、同じ仕様の液体導出管140およびスペーサー部材150を使用することができる。よって、製造コストの上昇を抑制することができる。また、袋110のY方向に大きさが、上記実施形態よりも小さい場合には、スペーサー部材150を取り付けなくても良い。この場合、例えば落下により衝撃を受けた場合に、凸部640の先端が、袋110を内側から押して傷付けることを抑制することができる。第1端部651の-Y方向における先端と第2端部652の-Y方向における先端とが、凸部640の-Y方向における先端の-Y方向側にあるためである。
【0064】
(B2)上記実施形態では、液体収容体100はインクを収容していたが、他の液体を収容していてもよい。例えば、液体としては、液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材や、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材などが挙げられる。
【0065】
C.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0066】
(1)本開示の第1形態によれば、液体収容体が提供される。この液体収容体は、可撓性を有し、内部に液体を収容する袋と、前記袋の一端部に取り付けられ、前記液体を液体噴射装置へ導出するための液体導出部を有する液体導出部材と、前記袋内に配置され、前記液体を濾過するフィルターが配置されたフィルター室を有するフィルター室部材と、前記袋内に配置され、前記フィルター室と前記液体導出部材とに接続され、前記フィルターによって濾過された前記液体を前記液体導出部へ流す液体導出管と、前記フィルター室部材に接続され、前記フィルター室部材から前記袋の他端部に向かって延びるスペーサー部材と、を備える。この形態によれば、袋内の液体が少なくなった状態においても、スペーサー部材の周りに液体流路を形成することができる。よって、袋内の消費されずに残留する液体を低減することができる。
【0067】
(2)上記形態の液体収容体において、前記フィルター室部材は、凸部を有し、前記スペーサー部材は、開口部を有し、前記開口部に前記凸部が挿入されることにより、前記フィルター室部材と前記スペーサー部材とが接続され、前記凸部は、外周面と、前記外周面から外方に向かって突出する外周突出部と、を有してもよい。この形態によれば、スペーサー部材の開口部に凸部を挿入することにより、スペーサー部材を接続することができる。そして、凸部は、外周突出部を有するため、凸部に接続されているスペーサー部材を抜けにくくすることができる。
【0068】
(3)上記形態の液体収容体において、前記液体収容体は、前記一端部から前記他端部へ向かう第1方向が重力方向と直交する装着姿勢で使用され、前記フィルター室部材は、前記装着姿勢において、前記重力方向を向く第1面と、前記重力方向の逆方向を向く第2面と、前記第1面と前記第2面とを繋ぐ第3面であって、前記他端部と向かい合う第3面と、を有し、前記凸部は、前記第3面から前記第1方向に向かって凸であってもよい。この形態によれば、凸部は、第1面と第2面との何れからも突出しないため、液体収容体が重力方向と平行な方向に衝撃を受けた場合にも、凸部が袋の内側から袋を押して傷付けることを抑制することができる。
【0069】
(4)上記形態の液体収容体において、前記フィルター室部材は、前記装着姿勢において、前記第1方向と前記重力方向とに直交する第2方向に、前記凸部を挟んで並ぶ第1端部と、第2端部と、を有し、前記第1端部の前記第1方向における先端と前記第2端部の前記第1方向における先端とは、前記凸部の前記第1方向における先端の前記第1方向側にあってもよい。この形態によれば、液体収容体が、第1方向と交差する方向から衝撃を受けた場合に、凸部の損傷を抑制することができる。
【0070】
(5)上記形態の液体収容体において、前記液体収容体は、前記一端部から前記他端部へ向かう第1方向が重力方向と直交する装着姿勢で使用され、前記スペーサー部材は、前記装着姿勢において、前記袋の、前記第1方向と前記重力方向とに直交する第2方向における中央にあってもよい。この形態によれば、スペーサー部材の第2方向についての両側から均等に液体をフィルター室部材に導くことができるため、消費されずに残留する液体を低減することができる。
【0071】
(6)上記形態の液体収容体において、前記液体収容体は、前記一端部から前記他端部へ向かう第1方向が重力方向と直交する装着姿勢で使用され、前記装着姿勢において、前記袋は、前記重力方向と直交する第1袋面と、前記第1袋面と向かい合う第2袋面とを有し、前記フィルター室部材は、少なくとも、前記液体が充填された初期状態において、前記第1袋面と前記第2袋面との何れからも離れた位置にあってもよい。この形態によれば、液体噴射装置に供給する液体の濃度を安定させることができる。
【0072】
(7)上記形態の液体収容体において、前記装着姿勢において、前記フィルター室部材は、少なくとも前記初期状態において、前記重力方向について、前記袋の中央にあってもよい。この形態によれば、液体噴射装置に供給する液体の濃度をさらに安定させることができる。
【0073】
(8)上記形態の液体収容体において、前記フィルター室部材は、樹脂製であってもよい。この形態によれば、フィルター室部材を金属製とした場合よりもフィルター室部材にかかる重力を軽減し、フィルター室部材を液体中に浮かせることができる。
【0074】
(9)上記形態の液体収容体において、前記フィルター室部材は、前記一端部と向かい合う側面と、前記側面から前記一端部に向かって突出する円筒部と、を有し、前記液体導出部の開口部に前記円筒部が挿入されることにより、前記フィルター室部材と前記液体導出部とが接続され、前記円筒部は、外周面と、前記外周面から外方に向かって突出する複数の円筒突出部とを有し、前記複数の円筒突出部は、それぞれ、前記円筒部の突出方向における異なる位置に配置されていてもよい。この形態によれば、円筒部に接続されている液体導出部を抜けにくくすることができる。
【0075】
本開示は、上記形態の他に、液体収容体の製造方法、液体噴射装置と液体収容体とを備えた液体噴出システムなどの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0076】
10…液体噴射装置、10c…ハウジング、12…前面部、13…操作部、14…媒体排出口、15…媒体受部、18…カバー部材、20…制御部、30…吐出実行部、31…液体吐出部、32…チューブ、33…ノズル、34…キャリッジ、36…搬送ローラー、40…液体供給部、42…供給配管、43…継手部、45…吸引部、46…圧力伝達配管、50…切替機構、50a…第1切替機構、50b…第2切替機構、51…供給針、51t…先端部、60…ケース収納部、61…ケース、61a…第1ケース、61b…第2ケース、62…案内部、100…液体収容体、100a…第1液体収容体、100b…第2液体収容体、105…装着体、105a…第1装着体、105b…第2装着体、110…袋、110a…液体収容部、111…第1袋面、112…第2袋面、120…液体導出部材、121…液体導出部、122…位置決め孔、123…導出部材円筒部、124…溶着部、130…アダプター部、131…貫通孔部、132…接続端子、133…位置決め突起、134…閉塞部、140…液体導出管、141…第1液体導出管、142…第2液体導出管、150…スペーサー部材、141a,142a,150a…内部空間、141b,142b,150b…開口部、160…フィルター室部材、171…フィルター、200…内部構造体、606…内部周縁部、610…基部、611…第1面、612…第2面、613…第3面、614…側面、620…フィルター室、621…一端部、622…他端部、631…第1円筒部、632…第2円筒部、631a,632a…外周面、631b,632b…円筒突出部、640…凸部、641…外周面、642…外周突出部、651…第1端部、652…第2端部、D…距離、FP…液体流路、L…長さ、LA…配置領域、MP…媒体、RL…参照線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14