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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046888
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240329BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20240329BHJP
   B65H 3/56 20060101ALI20240329BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H04N1/00 519
H04N1/00 L
H04N1/00 J
B65H1/04 326A
B65H3/56 330S
G03B27/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152239
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】並木 政樹
【テーマコード(参考)】
3F343
5C062
【Fターム(参考)】
3F343FA03
3F343FB03
3F343FC04
3F343FC17
3F343FC30
3F343HA06
3F343HE07
3F343HE27
3F343KA03
3F343KA06
3F343KA13
3F343KB02
3F343KB04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB30
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AD06
(57)【要約】
【課題】媒体の給送性及びセット性を向上する。
【解決手段】媒体と給送ローラー51とを接触させない第1非接触位置とこれらを接触させる第1接触位置とに変位可能な第1変位部材57と、媒体と給送補助ローラー52とを接触させない第2非接触位置とこれらを接触させる第2接触位置とに変位可能な第2変位部材10と、を備え、第2変位部材10は、第1変位部材57が第1非接触位置から第1接触位置に変位することに伴って第2非接触位置から第2接触位置に変位し、第1変位部材が第1接触位置から第1非接触位置に変位することに伴って第2接触位置から第2非接触位置に変位する画像読取装置1。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の画像を読み取る読取部と、
前記媒体が載置される媒体載置部と、
前記媒体載置部に載置された前記媒体を給送方向に給送する給送ローラーと、
前記給送ローラーよりも前記給送方向における上流に設けられ、前記給送ローラーとともに前記媒体を給送する給送補助ローラーと、
前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーによる前記媒体の給送が待機される給送待機状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させない第1非接触位置と、前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーにより前記媒体が給送される給送状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させる第1接触位置と、に変位可能な第1変位部材と、
前記給送待機状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送補助ローラーとを接触させない第2非接触位置と、前記給送状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送補助ローラーとを接触させる第2接触位置と、に変位可能な第2変位部材と、
を備え、
前記第2変位部材は、前記第1変位部材が前記第1非接触位置から前記第1接触位置に変位することに伴って前記第2非接触位置から前記第2接触位置に変位し、前記第1変位部材が前記第1接触位置から前記第1非接触位置に変位することに伴って前記第2接触位置から前記第2非接触位置に変位することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置おいて、
前記給送ローラーの回転軸に設けられる第1歯車と、
前記給送補助ローラーの回転軸に設けられる第2歯車と、
前記第1歯車及び前記第2歯車と嵌合する歯車輪列と、
を備え、
前記歯車輪列は、前記給送方向において前記第1歯車と前記第2歯車との間に設けられ、前記給送方向と交差する幅方向において前記第2変位部材を基準に前記給送補助ローラーとは反対側に設けられていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像読取装置おいて、
前記給送補助ローラーによる前記媒体の給送速度は、前記給送ローラーによる前記媒体の給送速度よりも遅いことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像読取装置おいて、
前記給送補助ローラーは、前記給送ローラーよりも高弾性であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像読取装置おいて、
前記給送ローラーと対向する位置に設けられ前記媒体を複数枚前記媒体載置部に載置した際に1枚分の前記媒体を前記給送ローラーとともにニップすることで分離可能な分離ローラーを備え、
前記分離ローラーは、前記給送ローラーよりも高弾性であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の画像読取装置おいて、
前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーにより前記媒体の給送が開始されると、前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーが回転し、前記第1変位部材が前記第1非接触位置から前記第1接触位置に変位し、前記第2変位部材が前記第2非接触位置から前記第2接触位置に変位することを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の画像読取装置おいて、
前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーにより前記媒体の給送が終了すると、前記第1変位部材が前記第1接触位置から前記第1非接触位置に変位し、前記第2変位部材が前記第2接触位置から前記第2非接触位置に変位し、前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーの回転が停止することを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像読取装置おいて、
前記第2変位部材は、第1移動部と第2移動部とを有し、
前記給送補助ローラーは、前記給送方向と交差する幅方向において前記第1移動部と前記第2移動部との間に設けられ、
前記第1移動部及び前記第2移動部は、前記第2変位部材が前記第2非接触位置にあるとき、前記給送補助ローラーよりも前記媒体載置部の前記媒体の載置面から突出していることを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像読取装置おいて、
前記第1移動部及び前記第2移動部は、前記給送方向の上流側と下流側とに傾斜面が設けられ、
前記傾斜面のうちの前記給送方向の上流側の上流側傾斜面よりも前記傾斜面のうちの前記給送方向の下流側の下流側傾斜面の方が長いことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項1または2に記載の画像読取装置おいて、
前記給送ローラーよりも前記給送方向における下流に設けられ、前記給送ローラーにより給送された前記媒体を前記読取部に搬送する搬送ローラー対を備え、
前記搬送ローラー対を構成する対向する2つのローラーを共に駆動源による駆動力で回転させることを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
媒体の画像を読み取る読取部と、
前記媒体が載置される媒体載置部と、
前記媒体載置部に載置された前記媒体を給送方向に給送する給送ローラーと、
前記給送ローラーよりも前記給送方向における上流に設けられ、前記給送ローラーとともに前記媒体を給送する給送補助部材と、
前記給送ローラー及び前記給送補助部材による前記媒体の給送が待機される給送待機状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させない第1非接触位置と、前記給送ローラー及び前記給送補助部材により前記媒体が給送される給送状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させる第1接触位置と、に変位可能な第1変位部材と、
を備え、
前記給送補助部材は、前記第1変位部材の変位に伴って、前記媒体載置部に載置された前記媒体と接触する接触位置と、前記媒体載置部に載置された前記媒体と非接触となる非接触位置と、に変位することを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な画像読取装置が使用されている。画像の読取部と、媒体を給送方向に給送する給送ローラーと、該給送ローラーよりも給送方向の上流に設けられ該給送ローラーとともに媒体を給送する例えば給送補助ローラーのような給送補助部材と、を備える画像読取装置がある。給送補助部材を備えていなくても媒体を給送することは可能であるが、給送補助部材を備えることで媒体の給送性が向上する。例えば、特許文献1には、画像読取部と、給送補助ローラーに対応する第1給送ローラーと、給送ローラーに対応する第2給送ローラーと、を備える画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-71484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の画像読取装置のような、画像の読取部と給送ローラーと給送補助部材とを備える従来の画像読取装置においては、媒体をセットする際に、媒体が給送補助部材に接触して損傷する虞があった。これは、例えば給送補助ローラーのような給送補助部材は、媒体を給送するために媒体に対しての摩擦力が強い素材で構成されており、媒体をセットする際に給送補助部材に媒体が接触した状態で力が加わるためである。このため、画像の読取部と給送ローラーと給送補助部材とを備える従来の画像読取装置においては、媒体をセットする際のユーザーの負荷が大きく、媒体のセット性を向上することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の画像読取装置は、媒体の画像を読み取る読取部と、前記媒体が載置される媒体載置部と、前記媒体載置部に載置された前記媒体を給送方向に給送する給送ローラーと、前記給送ローラーよりも前記給送方向における上流に設けられ、前記給送ローラーとともに前記媒体を給送する給送補助ローラーと、前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーによる前記媒体の給送が待機される給送待機状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させない第1非接触位置と、前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーにより前記媒体が給送される給送状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させる第1接触位置と、に変位可能な第1変位部材と、前記給送待機状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送補助ローラーとを接触させない第2非接触位置と、前記給送状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送補助ローラーとを接触させる第2接触位置と、に変位可能な第2変位部材と、を備え、前記第2変位部材は、前記第1変位部材が前記第1非接触位置から前記第1接触位置に変位することに伴って前記第2非接触位置から前記第2接触位置に変位し、前記第1変位部材が前記第1接触位置から前記第1非接触位置に変位することに伴って前記第2接触位置から前記第2非接触位置に変位することを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決する為の、本発明の画像読取装置は、媒体の画像を読み取る読取部と、前記媒体が載置される媒体載置部と、前記媒体載置部に載置された前記媒体を給送方向に給送する給送ローラーと、前記給送ローラーよりも前記給送方向における上流に設けられ、前記給送ローラーとともに前記媒体を給送する給送補助部材と、前記給送ローラー及び前記給送補助部材による前記媒体の給送が待機される給送待機状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させない第1非接触位置と、前記給送ローラー及び前記給送補助部材により前記媒体が給送される給送状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させる第1接触位置と、に変位可能な第1変位部材と、を備え、前記給送補助部材は、前記第1変位部材が前記第1非接触位置から前記第1接触位置に変位することに伴って前記媒体載置部に載置された前記媒体と接触し、前記第1変位部材が前記第1接触位置から前記第1非接触位置に変位することに伴って前記媒体載置部に載置された前記媒体と非接触となることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例1に係る画像読取装置の内部構成を表す側面断面図。
図2図1の画像読取装置の給送ローラー及び給送補助ローラーの周辺を表す側面断面図。
図3図1の画像読取装置の一部の構成部材を省略した給送ローラー及び給送補助ローラーの周辺を表す斜視図。
図4図1の画像読取装置の給送ローラーの周辺を表す側面断面図であって、媒体のセット時の第1変位部材の位置を表す図。
図5図1の画像読取装置の給送ローラーの周辺を表す側面断面図であって、媒体の給送時の第1変位部材の位置を表す図。
図6図1の画像読取装置の第1変位部材及び第2変位部材の周辺を表す側面断面図であって、媒体のセット時の第1変位部材及び第2変位部材の位置を表す図。
図7図1の画像読取装置の第1変位部材及び第2変位部材の周辺を表す側面断面図であって、媒体の給送時の第1変位部材及び第2変位部材の位置を表す図。
図8図1の画像読取装置の給送補助ローラー及び第2変位部材の周辺を表す斜視図。
図9図1の画像読取装置の給送補助ローラー及び第2変位部材の周辺を表す平面図。
図10図1の画像読取装置のブロック図。
図11】本発明の実施例2に係る画像読取装置の第1変位部材及び第2変位部材の周辺を表す側面断面図であって、媒体のセット時の第1変位部材及び第2変位部材の位置を表す図。
図12図11の画像読取装置の第1変位部材及び第2変位部材の周辺を表す側面断面図であって、媒体の給送時の第1変位部材及び第2変位部材の位置を表す図。
図13】本発明の実施例3に係る画像読取装置の第1変位部材及び第2変位部材の周辺を表す側面断面図であって、媒体のセット時の第1変位部材及び第2変位部材の位置を表す図。
図14図13の画像読取装置の第1変位部材及び第2変位部材の周辺を表す側面断面図であって、媒体の給送時の第1変位部材及び第2変位部材の位置を表す図。
図15図13の画像読取装置を用いて行う原稿のセットから原稿の給送開始までの動作を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を概略的に説明する。
本発明の第1の態様に係る画像読取装置は、媒体の画像を読み取る読取部と、前記媒体が載置される媒体載置部と、前記媒体載置部に載置された前記媒体を給送方向に給送する給送ローラーと、前記給送ローラーよりも前記給送方向における上流に設けられ、前記給送ローラーとともに前記媒体を給送する給送補助ローラーと、前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーによる前記媒体の給送が待機される給送待機状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させない第1非接触位置と、前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーにより前記媒体が給送される給送状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させる第1接触位置と、に変位可能な第1変位部材と、前記給送待機状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送補助ローラーとを接触させない第2非接触位置と、前記給送状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送補助ローラーとを接触させる第2接触位置と、に変位可能な第2変位部材と、を備え、前記第2変位部材は、前記第1変位部材が前記第1非接触位置から前記第1接触位置に変位することに伴って前記第2非接触位置から前記第2接触位置に変位し、前記第1変位部材が前記第1接触位置から前記第1非接触位置に変位することに伴って前記第2接触位置から前記第2非接触位置に変位することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、給送待機状態において媒体載置部に載置された媒体と給送補助ローラーとを接触させない第2非接触位置と、給送状態において媒体載置部に載置された媒体と給送補助ローラーとを接触させる第2接触位置と、に変位可能な第2変位部材を備え、第2変位部材は、第1変位部材が第1非接触位置から第1接触位置に変位することに伴って第2非接触位置から第2接触位置に変位し、第1変位部材が第1接触位置から第1非接触位置に変位することに伴って第2接触位置から第2非接触位置に変位する。すなわち、媒体をセットする給送待機状態においては媒体と給送補助ローラーとが接触しないようにし、媒体の画像を読み取る給送状態においては媒体と給送補助ローラーとの接触を許容する第2変位部材を備える。このため、給送補助ローラーを備えることにより給送性が向上するとともに、媒体をセットする給送待機状態においては媒体と給送補助ローラーとが接触しないので、媒体のセット性を向上することができる。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、前記第1の態様の画像読取装置において、前記給送ローラーの回転軸に設けられる第1歯車と、前記給送補助ローラーの回転軸に設けられる第2歯車と、前記第1歯車及び前記第2歯車と嵌合する歯車輪列と、を備え、前記歯車輪列は、前記給送方向において前記第1歯車と前記第2歯車との間に設けられ、前記給送方向と交差する幅方向において前記第2変位部材を基準に前記給送補助ローラーとは反対側に設けられていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、給送ローラーの回転軸に設けられる第1歯車及び給送補助ローラーの回転軸に設けられる第2歯車と嵌合する歯車輪列を備え、歯車輪列は給送方向において第1歯車と第2歯車との間に設けられ幅方向において第2変位部材を基準に給送補助ローラーとは反対側に設けられている。このように歯車輪列を配置することで装置内において効率的に歯車輪列を配置することができ、装置の大型化を抑制することができる。
【0012】
また、本発明の第3の態様は、前記第1または第2の態様の画像読取装置において、前記給送補助ローラーによる前記媒体の給送速度は、前記給送ローラーによる前記媒体の給送速度よりも遅いことを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、給送補助ローラーによる媒体の給送速度は給送ローラーによる媒体の給送速度よりも遅い。このため、給送方向において媒体が引っ張られた状態で媒体を給送することができ、媒体の給送性を特に向上することができる。
【0014】
また、本発明の第4の態様は、前記第1から第3のいずれか1つの態様の画像読取装置において、前記給送補助ローラーは、前記給送ローラーよりも高弾性であることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、給送補助ローラーは給送ローラーよりも高弾性である。すなわち、給送補助ローラーは給送ローラーよりも柔らかく広い接触面積で媒体と接触して媒体を給送するので媒体の給送性を特に向上することができる。
【0016】
また、本発明の第5の態様は、前記第4の態様の画像読取装置において、前記給送ローラーと対向する位置に設けられ前記媒体を複数枚前記媒体載置部に載置した際に1枚分の前記媒体を前記給送ローラーとともにニップすることで分離可能な分離ローラーを備え、前記分離ローラーは、前記給送ローラーよりも高弾性であることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、給送ローラーと対向する位置に設けられ媒体を複数枚媒体載置部に載置した際に1枚分の媒体を給送ローラーとともにニップすることで分離可能な、給送ローラーよりも高弾性の分離ローラーを備える。このため、媒体を複数枚媒体載置部に載置した際に1枚分の媒体を精度よく分離することができる。
【0018】
また、本発明の第6の態様は、前記第1から第5のいずれか1つの態様の画像読取装置において、前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーにより前記媒体の給送が開始されると、前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーが回転し、前記第1変位部材が前記第1非接触位置から前記第1接触位置に変位し、前記第2変位部材が前記第2非接触位置から前記第2接触位置に変位することを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、媒体の給送が開始されると、給送ローラー及び給送補助ローラーが回転し、第1変位部材が第1非接触位置から第1接触位置に変位し、第2変位部材が第2非接触位置から第2接触位置に変位する。このような構成とすることで、媒体の給送の開始後すぐに給送ローラー及び給送補助ローラー対して媒体の給送力を付与させることができる。
【0020】
また、本発明の第7の態様は、前記第1から第6のいずれか1つの態様の画像読取装置において、前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーにより前記媒体の給送が終了すると、前記第1変位部材が前記第1接触位置から前記第1非接触位置に変位し、前記第2変位部材が前記第2接触位置から前記第2非接触位置に変位し、前記給送ローラー及び前記給送補助ローラーの回転が停止することを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、媒体の給送が終了すると、第1変位部材が第1接触位置から第1非接触位置に変位し、第2変位部材が第2接触位置から第2非接触位置に変位し、給送ローラー及び給送補助ローラーの回転が停止する。このような構成とすることで、次の媒体を給送する際に、すぐに媒体の給送の開始動作を実行することができる。
【0022】
また、本発明の第8の態様は、前記第1の態様の画像読取装置において、前記第2変位部材は、第1移動部と第2移動部とを有し、前記給送補助ローラーは、前記給送方向と交差する幅方向において前記第1移動部と前記第2移動部との間に設けられ、前記第1移動部及び前記第2移動部は、前記第2変位部材が前記第2非接触位置にあるとき、前記給送補助ローラーよりも前記媒体載置部の前記媒体の載置面から突出していることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、給送補助ローラーは幅方向において第1移動部と第2移動部との間に設けられ、第1移動部及び第2移動部は第2変位部材が第2非接触位置にあるとき給送補助ローラーよりも媒体載置部の媒体の載置面から突出している。このような構成とすることで、第2変位部材が第2非接触位置にあるときに媒体が給送補助ローラーに接触することを効果的に抑制することができる。
【0024】
また、本発明の第9の態様は、前記第8の態様の画像読取装置において、前記第1移動部及び前記第2移動部は、前記給送方向の上流側と下流側とに傾斜面が設けられ、前記傾斜面のうちの前記給送方向の上流側の上流側傾斜面よりも前記傾斜面のうちの前記給送方向の下流側の下流側傾斜面の方が長いことを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、第1移動部及び第2移動部は、給送方向の上流側と下流側とに傾斜面が設けられ、上流側傾斜面よりも下流側傾斜面の方が長い。媒体をセットする際、下流側傾斜面に沿って媒体を案内することができるので、長い下流側傾斜面に沿って媒体を好適に案内することができる。
【0026】
また、本発明の第10の態様は、前記第1から第9のいずれか1つの態様の画像読取装置において、前記給送ローラーよりも前記給送方向における下流に設けられ、前記給送ローラーにより給送された前記媒体を前記読取部に搬送する搬送ローラー対を備え、前記搬送ローラー対を構成する対向する2つのローラーを共に駆動源による駆動力で回転させることを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、搬送ローラー対を構成する対向する2つのローラーを共に駆動源による駆動力で回転させる。このような構成とすることで、大きな搬送力を必要とする例えば冊子などの厚い媒体を搬送する場合などにおいて、搬送ローラー対を構成する対向する2つのローラーのうちの一方のみを駆動源による駆動力で回転させる構成よりも搬送力を大きくすることができる。
【0028】
また、本発明の第11の態様に係る画像読取装置は、媒体の画像を読み取る読取部と、前記媒体が載置される媒体載置部と、前記媒体載置部に載置された前記媒体を給送方向に給送する給送ローラーと、前記給送ローラーよりも前記給送方向における上流に設けられ、前記給送ローラーとともに前記媒体を給送する給送補助部材と、前記給送ローラー及び前記給送補助部材による前記媒体の給送が待機される給送待機状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させない第1非接触位置と、前記給送ローラー及び前記給送補助部材により前記媒体が給送される給送状態において前記媒体載置部に載置された前記媒体と前記給送ローラーとを接触させる第1接触位置と、に変位可能な第1変位部材と、を備え、前記給送補助部材は、前記第1変位部材の変位に伴って、前記媒体載置部に載置された前記媒体と接触する接触位置と、前記媒体載置部に載置された前記媒体と非接触となる非接触位置と、に変位することを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、給送補助部材は、第1変位部材の変位に伴って接触位置と非接触位置とに変位する。例えば、給送補助部材は、第1変位部材が第1非接触位置から第1接触位置に変位することに伴って媒体載置部に載置された媒体と接触し、第1変位部材が第1接触位置から第1非接触位置に変位することに伴って媒体載置部に載置された媒体と非接触となる。このような構成により、媒体の画像を読み取る給送状態の開始に伴って、すなわち、第1変位部材が第1接触位置から第1非接触位置に変位することに伴って、給送補助部材は媒体に給送力を付与することができる。また、給送補助部材としては、例えばローラー以外にも様々な構成のものが使用できるので、その配置や大きさの自由度が大きくなり、媒体をセットする際に給送補助部材が媒体と接触しづらくすることが可能になり、媒体のセット性を向上することができる。
【0030】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では画像読取装置の一例として、原稿の第1面とその反対の第2面のうち少なくとも一面を読み取り可能なスキャナー1を例に挙げる。スキャナー1は、後述する読取部2に対して媒体の一例である原稿を移動させつつ原稿の画像の読み取りを行う、所謂シートフィードタイプのスキャナーである。本明細書において原稿には、シート状の原稿のみならず、カード状の原稿や冊子状の原稿が含まれるものとする。
【0031】
尚、各図において示すX-Y-Z座標系は、X軸方向が幅方向である。Y軸方向は前後方向であり、Z軸方向は鉛直方向に沿った方向である。本実施形態では、+Y方向を装置背面から前面に向かう方向とし、-Y方向を装置前面から背面に向かう方向とする。また、装置前面から見て左方向を+X方向、右方向を-X方向とする。また、以下では原稿が搬送されていく方向を「下流」といい、これと反対の方向を「上流」と称する場合がある。
【0032】
[実施例1]
最初に、実施例1のスキャナー1について図1から図10を参照して説明する。本実施例のスキャナー1は、媒体給送装置を備えている。本実施形態において媒体給送装置は、スキャナー1から、読取部2を除いた構成とする。但しスキャナー1は原稿を給送する観点において、読取部2を含むスキャナー1の全体を媒体給送装置としても良い。
【0033】
図1及び図2で表されるように、本実施例のスキャナー1は、本体部3を備えている。本体部3は、第1ユニット3A、第2ユニット3Bを備えている。なお、第2ユニット3Bは、第1ユニット3Aに対して不図示の回転軸を基準に回転することで開閉することができる。図1及び図2は第2ユニット3Bが第1ユニット3Aに対して閉じた状態を表している。通常は第2ユニット3Bを第1ユニット3Aに対して閉じた状態とするが、メンテナンス時などにおいては第2ユニット3Bを第1ユニット3Aに対して開いた状態とする。
【0034】
図1及び図2で表されるように、本実施例のスキャナー1は、本体部3に、原稿が載置面41に載置される媒体載置部4が設けられている。また、媒体載置部4に載置された原稿を給送方向Aに給送する給送部5として、給送ローラー51、ピックローラー52、分離ローラー53が設けられている。給送ローラー51は、媒体載置部4に載置された原稿を給送方向Aに給送する役割をする。また、ピックローラー52は、給送ローラー51よりも給送方向Aにおける上流に設けられ、給送ローラー51とともに原稿を給送する給送補助ローラーの役割をする。そして、分離ローラー53は、給送ローラー51と対向する位置に設けられ、複数枚の原稿を媒体載置部4に載置した際に、1枚分の原稿を給送ローラー51とともにニップすることで分離する役割をする。
【0035】
ここで、図3で表されるように、給送部5は、給送ローラー51の回転軸51aに設けられる第1歯車54と、ピックローラー52の回転軸52aに設けられる第2歯車55と、第1歯車54及び第2歯車55と嵌合する歯車輪列56と、を有している。給送ローラー51とピックローラー52とは、歯車輪列56を介して接続されているので、同期して回転することが可能である。
【0036】
また、図1及び図2で表されるように、給送方向Aにおける給送部5よりも下流には、給送部5により給送された原稿を読取部2に搬送する搬送ローラー対6が設けられている。搬送ローラー対6は、駆動ローラー61と、駆動ローラー61と対向する位置に設けられ駆動ローラー61の回転に伴って従動回転する従動ローラー62と、を有している。給送部5により搬送ローラー対6に給送された原稿は、駆動ローラー61と従動ローラー62とでニップされ駆動ローラー61が回転することにより読取部2に搬送される。
【0037】
図1及び図2で表されるように、読取部2は、原稿の一方側の面の画像を読み取る第1読取部2Aと、原稿の他方側の面の画像を読み取る第2読取部2Bと、を有している。そして、図1で表されるように、読取部2よりも給送方向Aにおける下流には、搬送ローラー対7が設けられている。搬送ローラー対7は、駆動ローラー71と、駆動ローラー71と対向する位置に設けられ駆動ローラー71の回転に伴って従動回転する従動ローラー72と、を有している。搬送ローラー対6により搬送ローラー対7に搬送された原稿は、駆動ローラー71と従動ローラー72とでニップされ駆動ローラー71が回転することにより排出口81から排出されて排出媒体載置部82に載置される。図1では、原稿の搬送経路を一点鎖線で表している。なお、本明細書において搬送とは、給送及び排出を含む意味で使用している。
【0038】
次に、本実施例1のスキャナーの要部である給送部5の詳細について説明する。図8で表されるように、給送ローラー51の幅方向における外側には、セットガイド57が設けられている。原稿は、給送開始前ではセットガイド57によって下から支持され、押し上げられて、給送ローラー51から離間させられている。即ち、原稿は、給送開始前では給送ローラー51との接触が防止されている。
【0039】
図4で表される給送開始前の状態においては、原稿は、給送方向Aにおける先端が当接部としてのフラップ59により給送待機位置に保持され、給送ローラー51と分離ローラー53との間への入り込みが規制される。なお、フラップ59は、押圧ユニット58に設けられた回転軸59aを基準に図5で表される方向D4に回転可能に取り付けられている。しかしながら、図4で表される給送開始前の状態においてはセットガイド57に設けられた凹部57bに先端が引掛けられており、給送開始前の状態においては方向D4に回転できないようになっている。
【0040】
そして、図5で表される給送時においては、図4で表される給送開始前の状態からセットガイド57が下方である方向D1に退避して原稿が給送ローラー51と接触し、また、フラップ59はその先端が凹部57bから抜けて回転軸57aを基準に方向D4に回転可能となる。したがって、給送ローラー51の回転により、原稿が給送方向Aにおける下流側に送り出される。なお、この際、複数枚の原稿が媒体載置部4に載置されていた場合は、一番下の原稿のみが下流側に送り出される。フラップ59は、下流側に送り出された原稿によって方向D4に回転し、原稿の搬送経路を開放する。
【0041】
押圧ユニット58は、給送ローラー51に対して進退可能に設けられているとともに、不図示の付勢部によって給送ローラー51に対して進出する方向に付勢されている。また、上記のようにセットガイド57は回転軸57aを基準に方向D4に回転可能に設けられており、図10で表される第2モーター92によって、図4で表される原稿の搬送経路に進出する第1非接触位置から、図5で表される搬送経路から退避する第1接触位置に、移動可能となっている。別の表現をすると、第1変位部材としてのセットガイド57は、給送ローラー51及びピックローラー52による原稿の給送が待機される給送待機状態において媒体載置部4に載置された原稿と給送ローラー51とを接触させない第1非接触位置と、給送ローラー51及びピックローラー52により原稿が給送される給送状態において媒体載置部4に載置された原稿と給送ローラー51とを接触させる第1接触位置と、に変位可能となっている。なお、セットガイド57は、第1モーター91によって、図4で表される原稿の搬送経路に進出する第1非接触位置から、図5で表される搬送経路から退避する第1接触位置に、移動可能となっている、ように構成してもよい。
【0042】
また、図4で表される状態においては、押圧ユニット58が、不図示の付勢部の付勢力に抗し、フラップ59を介してセットガイド57により押し上げられ、給送ローラー51から離間した状態を維持している。この状態では、押圧ユニット58は媒体載置部4に原稿が載置されていたとしても該原稿を押圧していない。また、この状態では、フラップ59の先端がセットガイド57の凹部57bに入り込んでいる為、フラップ59は回転軸59aを基準とした回転が規制され、搬送経路を遮蔽する遮蔽姿勢を維持している。
【0043】
一方、図5で表される原稿の給送が開始された状態においては、押圧ユニット58が原稿を方向D3に押圧するよう構成されている。セットガイド57が図4で表される第1非接触位置から図5で表される第1接触位置へと切り換わることで、押圧ユニット58が原稿を押圧するとともに、原稿が給送ローラー51と接触する。
【0044】
ここで、図6から図9で表されるように、セットガイド57の凹部57bとは反対側には、接触抑制部材10が設けられている。接触抑制部材10は、原稿をセットする際に対応する給送待機状態において、原稿とピックローラー52とを接触させないようにする構成部材である。詳細には、接触抑制部材10は、回転軸10aを基準に回転可能に構成されており、給送待機状態において媒体載置部4に載置された原稿とピックローラー52とを接触させない第2非接触位置と、給送状態において媒体載置部4に載置された原稿とピックローラー52とを接触させる第2接触位置と、に変位可能な、第2変位部材としての役割をしている。
【0045】
セットガイド57の搬送方向Aの下流側表面57cと接触抑制部材10の搬送方向Aの上流側表面10cとは接触しており、下流側表面57c及び上流側表面10cの各々に形成された凹凸が嵌合している。このため、図6及び図7で表されるように、セットガイド57が回転軸57aを基準に方向D1に回転移動すると接触抑制部材10が回転軸10aを基準に方向D5に回転移動し、セットガイド57が回転軸57aを基準に方向D1とは逆の方向D2に回転移動すると接触抑制部材10が回転軸10aを基準に方向D5とは逆の方向D6に回転移動する。すなわち、給送待機状態において、セットガイド57は原稿と給送ローラー51とが接触しないようにし、接触抑制部材10は原稿とピックローラー52とが接触しないようにする。一方、給送状態において、セットガイド57は原稿と給送ローラー51とが接触するようにし、接触抑制部材10は原稿とピックローラー52とが接触するようにする。
【0046】
上記について別の表現をすると、第2変位部材としての接触抑制部材10は、第1変位部材としてのセットガイド57が第1非接触位置から第1接触位置に変位することに伴って第2非接触位置から第2接触位置に変位し、セットガイド57が第1接触位置から第1非接触位置に変位することに伴って第2接触位置から第2非接触位置に変位する。すなわち、原稿をセットする給送待機状態においては原稿とピックローラー52とが接触しないようにし、原稿の画像を読み取る給送状態においては原稿とピックローラー52との接触を許容する。このため、本実施例のスキャナー1は、給送補助ローラーとしてのピックローラー52を備えていることにより給送性が向上しているとともに、原稿をセットする給送待機状態においては原稿とピックローラー52とが接触しないので、原稿のセット性を向上することができている。
【0047】
上記についてさらに別の表現をすると、ピックローラー52と接触抑制部材10とで、給送ローラー51よりも給送方向Aにおける上流に設けられ、給送ローラー51とともに原稿を給送する給送補助部材を構成している。そして、セットガイド57が第1非接触位置から第1接触位置に変位することに伴って接触抑制部材10が第2非接触位置から第2接触位置に変位して媒体載置部4に載置された原稿とピックローラー52が接触し、セットガイド57が第1接触位置から第1非接触位置に変位することに伴って接触抑制部材10が第2接触位置から第2非接触位置に変位して媒体載置部4に載置された原稿に対してピックローラー52は非接触となる。このような構成により、原稿の画像を読み取る給送状態の開始に伴って、すなわち、セットガイド57が第1接触位置から第1非接触位置に変位することに伴って、接触抑制部材10が変位してピックローラー52に対して原稿の給送力を付与させることができる。
【0048】
ここで、本実施例のスキャナー1は、図8及び図9で表されるように、接触抑制部材10として、第1移動部10Aと第2移動部10Bとを有している。そして、ピックローラー52は、給送方向Aと交差する幅方向において第1移動部10Aと第2移動部10Bとの間に設けられている。そして、図8で表されるように、第1移動部10A及び第2移動部10Bは、接触抑制部材10が第2非接触位置にあるとき、ピックローラー52よりも媒体載置部4の載置面41から突出している。このような構成とすることで、接触抑制部材10が第2非接触位置にあるときに原稿がピックローラー52に接触することを効果的に抑制することができる。
【0049】
なお、本実施例においては、図8で表されるように、第1移動部10A及び第2移動部10Bは、接触抑制部材10が第2非接触位置にあるとき、その全体がピックローラー52よりも媒体載置部4の載置面41から突出しており、第1移動部10A及び第2移動部10Bよりもピックローラー52が媒体載置部4の載置面41から突出している領域はない。ただし、このような構成に限定されず、第1移動部10A及び第2移動部10Bは、接触抑制部材10が第2非接触位置にあるとき、例えば最も突出している部分など、その一部がピックローラー52よりも媒体載置部4の載置面41から突出している構成であってもよい。
【0050】
また、図8及び図9で表されるように、第1移動部10A及び第2移動部10Bは、給送方向Aの上流側と下流側とに傾斜面が表面11に設けられ、該傾斜面のうちの給送方向Aの上流側の上流側傾斜面11aよりも該傾斜面のうちの給送方向Aの下流側の下流側傾斜面11bの方が長い。原稿をセットする際、下流側傾斜面11bに沿って原稿を案内することができるので、このような構成とすることで、長い下流側傾斜面11bに沿って原稿を好適に案内することができる。
【0051】
また、上記のように、本実施例のスキャナー1は歯車輪列56を備えるが、歯車輪列56は、図3で表されるように給送方向Aにおいて第1歯車54と第2歯車55との間に設けられ、図9の破線で表されるように給送方向Aと交差する幅方向において接触抑制部材10の第1移動部10Aを基準にピックローラー52とは反対側である-X方向側に設けられている。このように歯車輪列56を配置することで装置内において効率的に歯車輪列56を配置することができ、装置の大型化を抑制することができる。
【0052】
ここで、本実施例のスキャナー1においては、ピックローラー52は、給送ローラー51よりも高弾性である。詳細には、本実施例のスキャナー1においては、ピックローラー52の表面素材は給送ローラー51の表面素材よりも柔らかい素材で形成されている。このような構成とすることで、ピックローラー52は給送ローラー51よりも柔らかく広い接触面積で原稿と接触して原稿を給送するので原稿の給送性を特に向上することができる。本実施例においては、ピックローラー52は給送ローラー51よりも柔らかく潰れやすいので、第2非接触位置におけるピックローラー52の載置面41からの突出量は、第1非接触位置における給送ローラー51の載置面41からの突出量よりも大きくなっている。なお、本実施例においてピックローラー52の表面素材は給送ローラー51の表面素材よりも柔らかい素材で形成されているが、ピックローラー52の表面素材と給送ローラー51の表面素材とを同じ素材で形成し、ピックローラー52の表面素材の構成密度を給送ローラー51の表面素材の構成密度よりも低くすることでピックローラー52を給送ローラー51よりも高弾性としてもよい。
【0053】
また、上記のように、本実施例のスキャナー1は分離ローラー53を備えているが、分離ローラー53も給送ローラー51よりも高弾性である。このため、本実施例のスキャナー1は、複数枚の原稿を媒体載置部4に載置した際に1枚分の原稿を精度よく分離することができる。なお、本実施例においては、分離ローラー53とピックローラー52とは同等の弾性率でありともに給送ローラー51の弾性率よりも高い。一方、搬送ローラー対6及び7を構成する各ローラーはいずれも給送ローラー51の弾性率よりも低い。このような構成とすることで、原稿の給送及び搬送が特に高精度になる。ただし、このような構成に限定されない。なお、上記における各ローラーの弾性力は、詳細には、それらの表面素材に関しての弾性力を意味する。
【0054】
ここで、本実施例のスキャナー1の電気的な構成などについて図10を参照して説明する。図10で表されるように、本実施例のスキャナー1は制御部90を備えている。制御部90は、CPU、並びに、ROMやRAMなどを有する記憶部、などを有している。また、制御部90は、読取部2と接続されるとともに、ともにDCモーターである第1モーター91及び第2モーター92と接続されている。第1モーター91は、給送ローラー51を駆動させることが可能であるとともに、給送ローラー51を駆動させることで歯車輪列56を介して接続されるピックローラー52を駆動させることが可能である。また、第2モーター92は、セットガイド57、分離ローラー53,駆動ローラー61及び駆動ローラー71を駆動させることが可能であるとともに、セットガイド57を駆動させることでこれと嵌合する接触抑制部材10を駆動させることが可能である。
【0055】
ここで、本実施例のスキャナー1においては、ピックローラー52による原稿の給送速度が給送ローラー51による原稿の給送速度よりも遅くなるように構成されている。このため、本実施例のスキャナー1は、給送方向Aにおいて原稿が引っ張られた状態で該原稿を給送することができ、原稿の給送性を特に向上することができる。さらには、このような構成とすることで、多くの枚数の原稿の搬送、並びに、大きな媒体の搬送が可能になる。なお、本実施例では、第1歯車54と第2歯車55とのギア比を変えることでピックローラー52による原稿の給送速度が給送ローラー51による原稿の給送速度よりも遅くなるように構成しているが、このような方法に限定されない。
【0056】
また、本実施例のスキャナー1においては、制御部90の制御により、給送ローラー51及びピックローラー52により原稿の給送が開始されると、給送ローラー51及びピックローラー52が回転し、セットガイド57が第1非接触位置から第1接触位置に変位し、接触抑制部材10が第2非接触位置から第2接触位置に変位する。これは、例えば、図6の状態から図7の状態に変位することに対応する。このような構成とすることで、原稿の給送の開始後すぐに給送ローラー51及びピックローラー52対して原稿の給送力を付与させることができる。
【0057】
また、本実施例のスキャナー1においては、制御部90の制御により、給送ローラー51及びピックローラー52により原稿の給送が終了すると、セットガイド57が第1接触位置から第1非接触位置に変位し、接触抑制部材10が第2接触位置から第2非接触位置に変位し、給送ローラー51及びピックローラー52の回転が停止する。これは、例えば、図7の状態から図6の状態に変位することに対応する。このような構成とすることで、次の原稿を給送する際に、すぐに原稿の給送の開始動作を実行することができる。
【0058】
また、本実施例のスキャナー1は、給送ローラー51よりも給送方向Aにおける下流に設けられ、給送ローラー51により給送された原稿を読取部2に搬送する搬送ローラー対6を備えているが、搬送ローラー対6を構成する一方のローラーのみを駆動ローラー61として駆動源である第2モーター92による駆動力で回転させる。ただしこのような構成に限定されない。搬送ローラー対6を構成する対向する2つのローラーを共に駆動源による駆動力で回転させてもよい。搬送ローラー対6を構成する対向する2つのローラーを共に駆動源による駆動力で回転させる構成とすることで、大きな搬送力を必要とする例えば冊子などの厚い媒体を搬送する場合などにおいて、搬送ローラー対6を構成する対向する2つのローラーのうちの一方のみを駆動源による駆動力で回転させる構成よりも搬送力を大きくすることができる。
【0059】
ただし、各種ローラーのうちいずれを駆動源で駆動するローラーとするかに特に限定は無い。例えば、駆動源が1つ設けられ、給送ローラー51、ピックローラー52、駆動ローラー61や駆動ローラー71の位置に対応するローラー及び従動ローラー62や従動ローラー72の位置に対応するローラーを当該駆動源によって回転させてもよい。また、駆動源が2つ設けられ、給送ローラー51及びピックローラー52を第1駆動源によって回転させ、駆動ローラー61や駆動ローラー71の位置に対応するローラー及び従動ローラー62や従動ローラー72の位置に対応するローラーを第2駆動源によって回転させてもよい。また、駆動源が3つ設けられ、給送ローラー51を第1駆動源によって回転させ、ピックローラー52を第2駆動源によって回転させ、駆動ローラー61や駆動ローラー71の位置に対応するローラー及び従動ローラー62や従動ローラー72の位置に対応するローラーを第3駆動源によって回転させてもよい。
【0060】
また、例えば、駆動源が1つ設けられ、給送ローラー51、ピックローラー52、駆動ローラー61や駆動ローラー71の位置に対応するローラーを当該駆動源によって回転させ、従動ローラー62や従動ローラー72の位置に対応するローラーを従動回転させてもよい。また、駆動源が2つ設けられ、給送ローラー51及びピックローラー52を第1駆動源によって回転させ、駆動ローラー61や駆動ローラー71の位置に対応するローラーを第2駆動源によって回転させ、従動ローラー62や従動ローラー72の位置に対応するローラーを従動回転させてもよい。また、駆動源が3つ設けられ、給送ローラー51を第1駆動源によって回転させ、ピックローラー52を第2駆動源によって回転させ、駆動ローラー61や駆動ローラー71の位置に対応するローラーを第3駆動源によって回転させ、従動ローラー62や従動ローラー72の位置に対応するローラーを従動回転させてもよい。
【0061】
[実施例2]
以下に、実施例2のスキャナーについて図11及び図12を参照して説明する。本実施例のスキャナーは、以下で説明する構成以外については、実施例1のスキャナー1と同様である。具体的には、第2変位部材として、接触抑制部材10の代わりに接触抑制部材15が設けられているということのみが実施例1のスキャナー1と異なっている。このため、本実施例のスキャナーは、下記の説明箇所以外については実施例1のスキャナー1と同様の特徴を有している。そこで、図11及び図12では上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0062】
図6及び図7などで表されるように、実施例1のスキャナー1においては、第2変位部材として、接触抑制部材10が設けられていた。一方、図11及び図12で表されるように、本実施例のスキャナーにおいては、第2変位部材として、幅方向から見てピックローラー52を覆うように配置されるC字型の接触抑制部材15が設けられている。そして、セットガイド57の搬送方向Aの下流側表面57cと接触抑制部材15の搬送方向Aの上流側表面15cとは接触しており、下流側表面57c及び上流側表面15cの各々に形成された凹凸が嵌合している。このため、図11及び図12で表されるように、セットガイド57が回転軸57aを基準に方向D1に回転移動すると接触抑制部材15がピックローラー52の回転軸52aを基準に方向D7に回転移動し、セットガイド57が回転軸57aを基準に方向D2に回転移動すると接触抑制部材15が回転軸52aを基準に方向D7とは逆の方向D8に回転移動する。
【0063】
詳細には、図11で表される状態においては、接触抑制部材15はピックローラー52を覆っている。そして、セットガイド57が回転軸57aを基準に方向D1に回転移動し、図11で表される状態から図12で表される状態に移行すると、接触抑制部材15がピックローラー52の回転軸52aを基準に方向D7に回転移動し、接触抑制部材15はピックローラー52の原稿と接触する側を開放状態とする。一方、図12で表される状態からセットガイド57が回転軸57aを基準に方向D2に回転移動し、図11で表される状態に移行すると、接触抑制部材15がピックローラー52の回転軸52aを基準に方向D8に回転移動し、接触抑制部材15はピックローラー52の原稿と接触する側を覆う状態とする。すなわち、本実施例のスキャナー1においては、給送待機状態において、セットガイド57は原稿と給送ローラー51とが接触しないようにし、接触抑制部材15は原稿とピックローラー52とが接触しないようにする。また、本実施例のスキャナー1においては、給送状態において、セットガイド57は原稿と給送ローラー51とが接触するようにし、接触抑制部材15は原稿とピックローラー52とが接触するようにする。
【0064】
[実施例3]
以下に、実施例3のスキャナーについて図13から図15を参照して説明する。本実施例のスキャナーは、以下で説明する構成以外については、実施例1及び実施例2のスキャナーと同様である。具体的には、例えば、本実施例のスキャナーは、給送補助ローラーとしてのピックローラー、並びに、第2変位部材としての接触抑制部材10及び接触抑制部材15を備えず、セットガイド57に給送補助部材としての弾性部材17が設けられていることが実施例1及び実施例2のスキャナーと異なっている。本実施例のスキャナーは、下記の説明箇所以外については実施例1及び実施例2のスキャナーと同様の特徴を有しているため、図13及び図14では上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0065】
図13及び図14で表されるように、本実施例のスキャナーは、セットガイド57に給送補助部材としての弾性部材17が設けられている。弾性部材17は、原稿と接触することで原稿との間に摩擦力を発生させる。そして、弾性部材17は、セットガイド57が図13で表される第1接触位置にあることにより原稿と接触した状態から、セットガイド57が図14で表される第1非接触位置にあることにより原稿と非接触となる状態となることで、原稿に搬送方向Aの搬送力を付与して原稿の給送を補助する。
【0066】
ここで、図15を参照して本実施例のスキャナーにおける具体的な原稿のセットから原稿の給送開始までの動作について説明する。最初に、ステップS110で、セットガイド57を媒体載置部4に載置された原稿と給送ローラー51とを接触させない図14で表されるような第1非接触位置に位置させる。このとき、弾性部材17は媒体載置部4に載置される原稿と接触しない位置となっている。なお、本実施例のスキャナーは、フラップ59の回転を規制可能な不図示の規制部を備えており、本ステップにおいてはフラップ59の方向D4への回転がしないようになっている。
【0067】
次に、ステップS120で、ユーザーが媒体載置部4に原稿をセットする。そして、ステップS130で、ユーザーが不図示の操作部などから給送指示を制御部90に入力する。すると、ステップS140で、セットガイド57は媒体載置部4に載置された原稿と給送ローラー51とが接触する図13で表されるような第1接触位置に一旦移動する。このとき、弾性部材17は媒体載置部4に載置された原稿と接触する。
【0068】
そして、その後、ステップS150で、給送ローラー51が回転することに伴ってセットガイド57が再び第1非接触位置に移動することで弾性部材17が原稿の給送を補助する。この際、再び図14で表されるような状態となる。なお、この際は、不図示の規制部はフラップ59の回転の規制を解除し、フラップ59は方向D4に回転可能となっている。
【0069】
このように、本実施例のスキャナーは、給送ローラー51よりも給送方向Aにおける上流に設けられ、給送ローラー51とともに原稿を給送する給送補助部材としての弾性部材17を備えている。そして、弾性部材17は、セットガイド57が第1非接触位置から第1接触位置に変位することに伴って媒体載置部4に載置された原稿と接触し、セットガイド57が第1接触位置から第1非接触位置に変位することに伴って媒体載置部4に載置された原稿と非接触となる。本実施例のスキャナーは、このような構成により、原稿の画像を読み取る給送状態の開始に伴って、すなわち、セットガイド57が第1接触位置から第1非接触位置に変位することに伴って、弾性部材17は原稿に給送力を付与することができる。本実施例のスキャナーのように、給送補助部材として、例えばローラー以外の様々な構成のものを使用することで、その配置や大きさの自由度を大きくすることができ、原稿をセットする際に給送補助部材が原稿と接触しづらくすることを可能にし、原稿のセット性を向上することができる。
【0070】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【0071】
上述した実施形態は、読取部を備えない媒体給送装置にも適用することができる。また、上述した実施形態は、スキャナーに代表される画像読取装置に適用した例を説明したが、例えば、プリンターに代表される記録装置に適用することもできる。即ち上記実施形態における原稿を被記録媒体とし、読取部を被記録媒体に記録を行う記録部とすることで、記録装置において上述した実施形態と同様な作用効果が得られる。記録装置の一例としてはインクジェットプリンターが挙げられ、記録部の一例としてはインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。
【符号の説明】
【0072】
1…スキャナー(媒体搬送装置、画像読取装置)、2…読取部、2A…第1読取部、2B…第2読取部、3…本体部、3A…第1ユニット、3B…第2ユニット、4…媒体載置部、5…給送部、6…搬送ローラー対、7…搬送ローラー対、10…接触抑制部材(第2変位部材、給送補助部材)、10A…第1移動部、10B…第2移動部、10a…回転軸、10c…上流側表面、11…表面、11a…上流側傾斜面、11b…下流側傾斜面、15…接触抑制部材(第2変位部材)、15c…上流側表面、17…弾性部材(給送補助部材)、41…載置面、51…給送ローラー、51a…回転軸、52…ピックローラー(給送補助ローラー、給送補助部材)、52a…回転軸、53…分離ローラー、54…第1歯車、55…第2歯車、56…歯車輪列、57…セットガイド(第1変位部材)、57a…回転軸、57b…凹部、57c…下流側表面、58…押圧ユニット、59…フラップ、59a…回転軸、61…駆動ローラー、62…従動ローラー、71…駆動ローラー、72…従動ローラー、81…排出口、82…排出媒体載置部
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