(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046889
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
B41J2/175 301
B41J2/175 133
B41J2/175 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152240
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 繁樹
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA29
2C056EB20
2C056EB50
2C056EB56
2C056EC26
2C056EC64
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】インクを補充可能な印刷装置において、インクの量に関する表示を、より活用しやすい表示にする。
【解決手段】インク貯留部に貯留されているインクの量を示すインク残量情報、及び、印刷ヘッドから吐出されたインクの量の累積値を示すインク使用量情報を管理する制御部を備え、制御部は、インク貯留部にインクを補充したことの入力を受け付けた場合に、インク残量情報を初期残量に更新する処理、及び、インク使用量情報を初期使用量に更新する処理を実行し、インク残量情報に基づきインクの使用状態を示す第1インク表示、及び、インク使用量情報に基づきインクの使用状態を示す第2インク表示を表示部に表示させ、表示部における表示の切替を指示する入力を受け付けた場合に、表示部の表示を第1インク表示から第2インク表示に、或いは、第2インク表示から第1インク表示に切り替える、印刷装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを補充可能なインク貯留部と、
前記インク貯留部から供給される前記インクを印刷媒体に吐出する印刷ヘッドと、
表示部と、
前記インク貯留部に貯留されている前記インクの量を示すインク残量情報、及び、前記印刷ヘッドから吐出された前記インクの量の累積値を示すインク使用量情報を管理する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記インク貯留部に前記インクを補充したことの入力を受け付けた場合に、前記インク残量情報を初期残量に更新する処理、及び、前記インク使用量情報を初期使用量に更新する処理の少なくともいずれかを実行し、
前記インク残量情報に基づき前記インクの使用状態を示す第1インク表示、及び、前記インク使用量情報に基づき前記インクの使用状態を示す第2インク表示を前記表示部に表示させ、
前記表示部における表示の切替を指示する入力を受け付けた場合に、前記表示部の表示を前記第1インク表示から前記第2インク表示に、或いは、前記第2インク表示から前記第1インク表示に切り替える、印刷装置。
【請求項2】
前記インク残量情報、及び、前記インク使用量情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記印刷ヘッドから吐出される前記インクの量を示すインク消費情報を取得し、前記インク消費情報に基づいて、前記記憶部が記憶する前記インク残量情報及び前記インク使用量情報を更新する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記インク残量情報は、前記印刷ヘッドにより吐出される前記インクの量を前記初期残量から累積して減算した量を示し、前記インク消費情報は、前記印刷ヘッドにより吐出される前記インクの量を前記初期使用量に累積的に加算した量を示す、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記インク残量情報が示す前記インクの量が残量閾値に達した場合、または、前記インク使用量情報が示す前記インクの量が使用量閾値に達した場合に、報知を行う、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記インク貯留部に前記インクを補充したことを示す入力として、前記インク貯留部に補充された前記インクの量を指定する入力を受け付けた場合、補充された前記インクの量に基づいて前記初期残量を決定し、前記初期残量により前記インク残量情報を更新する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1インク表示を表示する間、前記インク残量情報が示す前記インクの量が閾値以上変化したとき、或いは、設定された更新時間が経過したときに、前記第1インク表示を更新する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記インク使用量情報に基づいて前記第2インク表示を表示する間、前記インク使用量情報が示す前記インクの量が閾値以上変化したとき、或いは、設定された更新時間が経過したときに、前記第2インク表示を更新する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記表示部による表示の更新を指示する入力を受け付けた場合に、前記第1インク表示または前記第2インク表示を更新する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを補充可能なインク容器を備えた印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の印刷装置は、インクを補充可能なインクタンクを有し、インクタンクに収容されているインクの残量を表示部に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクの残量を表示するためには、インク容器にインクが補充されたことに対応して残量を更新する必要がある。例えば、特許文献1に記載された装置は、ユーザーの入力に応じて、インク残量が満容量であると推定する。しかしながら、ユーザーがインク容器の満容量までインクを補充しない場合等には、推定されたインクの量と、実際にインク容器に収容されているインクの量との差があるため、インクの残量の表示が活用されにくい。このため、インクの量に関する表示を、より活用しやすくすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、インクを補充可能なインク貯留部と、前記インク貯留部から供給される前記インクを印刷媒体に吐出する印刷ヘッドと、表示部と、前記インク貯留部に貯留されている前記インクの量を示すインク残量情報、及び、前記印刷ヘッドから吐出された前記インクの量の累積値を示すインク使用量情報を管理する制御部と、備え、前記制御部は、前記インク貯留部に前記インクを補充したことの入力を受け付けた場合に、前記インク残量情報を初期残量に更新する処理、及び、前記インク使用量情報を初期使用量に更新する処理の少なくともいずれかを実行し、前記インク残量情報に基づき前記インクの使用状態を示す第1インク表示、及び、前記インク使用量情報に基づき前記インクの使用状態を示す第2インク表示を前記表示部に表示させ、前記表示部における表示の切替を指示する入力を受け付けた場合に、前記表示部の表示を前記第1インク表示から前記第2インク表示に、或いは、前記第2インク表示から前記第1インク表示に切り替える、印刷装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態の印刷システムの構成を示す斜視図。
【
図2】インクタンクにインクを補充する作業の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[1.印刷装置の構成]
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、印刷装置10の構成を示す斜視図である。
図1及び後述する
図2には、方向を特定するために、互いに直交するXYZ軸が図示される。
【0008】
図1に示すように、印刷装置10は、印刷装置本体20と、インクタンク50とを備える。印刷装置本体20には、ホルダー30が設けられる。印刷装置10は、ホルダー30にインクタンク50が装着された状態において、インクタンク50から印刷装置本体20にインクを供給する。印刷装置本体20は、インクタンク50から供給されるインクを用いて印刷を実行する。インクタンク50はインク貯留部の一例に対応する。
【0009】
ホルダー30に装着されるインクタンク50の数に制限はなく、本実施形態では、4つのインクタンク50をホルダー30に装着可能な例を説明知る。これら4つのインクタンク50は、例えば、黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各色のインクを貯留する。
【0010】
ホルダー30は、インクタンク50を保持する保持装置である。ホルダー30には、インクタンク50の挿入を受け入れる領域であるスロットSLが形成されている。1つのスロットSLは、1つのインクタンク50の挿入を受け入れ可能である。ホルダー30には、1つのスロットSLに対して1つの係合部31が設けられている。ホルダー30の係合部31は、スロットSLに挿入されたインクタンク50に対して係合可能に構成されており、インクタンク50がスロットSLから不用意に外れてしまうことを防止する。
【0011】
印刷装置本体20は、印刷媒体90に印刷する印刷装置である。本実施形態において、印刷装置本体20は、インクを印刷媒体90に吐出することによって、印刷媒体90に画像を形成するインクジェットプリンターである。印刷装置本体20は、ホルダー30の他、制御部21と、キャリッジ22と、印刷ヘッド23と、操作パネル25とを備える。
【0012】
印刷装置10により印刷される印刷媒体90の種類や形状は特に制限されない。印刷媒体90は、例えば、紙製または合成樹脂製のシートであり、定型サイズにカットされたカットシートや、連続シートである。連続シートは、例えば、ロール状に巻き回されたロール紙、或いは、所定サイズに合わせて折り畳まれたファンフォールド紙である。本実施形態では、
図1に示すように、印刷媒体90がカットシートである場合を例示する。
【0013】
印刷装置本体20において、ホルダー30は、キャリッジ22とは異なる部位に設けられており、インクタンク50が装着されたホルダー30からフレキシブルチューブ32を介して、キャリッジ22に設けられた印刷ヘッド23に対してインクが供給される。このように、ホルダー30がキャリッジ22とは異なる部位に設けられた印刷装置本体20の機構は、オフキャリッジタイプのプリンターとも呼ばれる。
【0014】
キャリッジ22は、印刷ヘッド23を搭載する。キャリッジ22は、印刷媒体90に対して相対的に移動可能であり、キャリッジ22の移動に伴って印刷ヘッド23が印刷媒体90に対して相対的に移動する。
【0015】
印刷ヘッド23には、ホルダー30に装着されたインクタンク50からインクを供給するインク供給機構が接続される。インク供給機構の一例として、本実施形態では、可撓性を有するフレキシブルチューブ32が用いられる。印刷ヘッド23は、フレキシブルチューブ32によってインクタンク50から供給されるインクを、印刷媒体90に対して吐出する。
【0016】
本実施形態では、制御部21とキャリッジ22との間は、不図示のフレキシブルケーブルにより電気的に接続されており、印刷ヘッド23は、制御部21からの制御信号に基づいてインクの吐出を実行する。
【0017】
操作パネル25は、ユーザーからの操作を受け付ける操作ボタンで構成される操作部26と、液晶や有機ELなどのディスプレイで構成される表示部27とを含んでいる。制御部21については後述する。
【0018】
[2.インク貯留部の構成]
インクタンク50は、インクを貯留する構成を有し、インクタンク50に貯留されるインクを補充可能な、リフィラブル(refillable)なインク貯留部である。インクタンク50は、ホルダー30に対して着脱可能に構成される。
図1には、4つのインクタンク50のうち、-X方向に位置するインクタンク50がホルダー30から取り外された状態を示す。
【0019】
本実施形態では、印刷装置10のユーザーは、ホルダー30のスロットSLに対してインクタンク50を-Y方向に移動させることにより、ホルダー30に対してインクタンク50を装着することができる。ユーザーは、係合部31によるインクタンク50との係合を解除した状態で、インクタンク50を+Y方向に移動させることにより、ホルダー30からインクタンク50を取り外すことができる。
【0020】
インクタンク50は、筐体51と、スライダー52とを備える。インクタンク50の筐体51は、
図1に示すように、インク収容部61を内蔵する箱体である。インク収容部61は、液体を貯留可能な容器であり、例えば、可撓性のバッグ、或いは、硬質の合成樹脂で構成される。
【0021】
スライダー52は、筐体51に着脱可能に取り付けられた部材であり、摺動部材と呼ぶことができる。スライダー52を筐体51に対して+Y方向にスライドさせることにより、スライダー52を筐体51から取り外すことができる。スライダー52には蓋部53が設けられる。筐体51にスライダー52が装着された状態で、蓋部53はインク注入口62を覆う。
【0022】
図2は、インクタンク50にインクを補充する作業の説明図であり、ホルダー30に装着されたインクタンク50にインクを補充する様子を示す斜視図である。
【0023】
図2に示すように、筐体51には、インク収容部61の他、インク注入口62と、蓋体63とが設けられる。
【0024】
インク注入口62は、インク収容部61に連通する開口であり、インク収容部61を通じてインク収容部61にインクを注入することができる。蓋体63は、インク注入口62に取り付けられた開閉可能な蓋であり、インク注入口62を密閉する。また、筐体51には、不図示の大気開放口が設けられている。この大気開放口は、インク収容部61に連通しており、インク収容部61を大気に開放することによりスムーズなインクの注入を可能とする。
【0025】
インクタンク50にインクを補充する際、ユーザーは、
図2に示すように、スライダー52の蓋部53を開けて、筐体51のインク注入口62から蓋体63を取り外す。その後、ユーザーは、補充用のインクを収容したインク容器70を用意し、インク容器70の吐出口72からインク注入口62にインクを注入する。その後、ユーザーは、インク注入口62を蓋体63で密閉して、蓋部53を閉じる。これにより、インクの補充が完了する。
【0026】
[3.印刷装置の制御系]
図3は、印刷装置10のブロック図であり、印刷装置10の制御系の機能的構成を示す。
印刷装置10は、制御部21を有する。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等で構成される不図示のプロセッサーを備える。制御部21は、所定の制御プログラムを実行することによって、ソフトウェアとハードウェアとの協働により印刷装置10の各部を制御する。制御部21は、プロセッサーに接続される不図示のメモリーを備えてもよい。このメモリーは、揮発性のメモリーであり、例えば、RAM(Random Access Memory)である。この場合、制御部21は、プロセッサーが実行するプログラムや、プロセッサーにより処理されるデータをメモリーに一時的に記憶する。制御部21は、不図示の不揮発性記憶部を備えてもよい。不揮発性記憶部は、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリー等で構成され、制御部21のプロセッサーが実行する制御プログラムを記憶する。
【0027】
制御部21は、入力受付部211、入力受付部211、インク量管理部213、及び、表示制御部214を有する。これらは、制御部21のプロセッサーがプログラムを実行することにより実現される機能部である。
【0028】
制御部21には、記憶部41が接続される。記憶部41は、ハードディスクやSSDで構成される記憶装置である。記憶部41は、制御部21のプロセッサーにより処理されるデータ等を記憶する。
図3には、記憶部41が記憶するデータとして、インク残量情報42、インク使用量情報43、及び、設定情報44を示す。
【0029】
制御部21には、印刷ヘッド23、操作パネル25が有する操作部26及び表示部27、搬送部35、キャリッジ駆動部36、及び、通信部37が接続される。
図3に示した構成は制御部21により制御される印刷装置10の要部であり、制御部21の制御対象は、
図3に示した構成に限定されない。
【0030】
搬送部35は、印刷装置10において印刷媒体90を搬送する駆動部である。搬送部35は、例えば、制御部21により制御される不図示の搬送モーターと、搬送モーターにより駆動される不図示の搬送ローラーとを含む。搬送部35は、印刷媒体90の搬送経路において印刷媒体90の有無や印刷媒体90の端の位置を検出するセンサーを含んでもよい。
【0031】
キャリッジ駆動部36は、キャリッジ22を移動させる駆動部である。キャリッジ駆動部36は、例えば、制御部21により制御される不図示のキャリッジ駆動モーターと、キャリッジ駆動モーターの動力によりキャリッジ22を移動させる不図示の駆動ベルトやギヤを含む。キャリッジ駆動部36は、キャリッジ22の移動をガイドするガイド軸や、キャリッジ22の位置を検出するリニアエンコーダーや位置センサーを含んでもよい。
【0032】
通信部37は、ケーブルを利用する有線通信、または、無線通信回線を利用する無線通信を実行する通信装置である。通信部37は、印刷装置10の外部の装置であるホスト装置100に接続される。ホスト装置100は、デスクトップ型コンピューター、ノート型コンピューター、タブレット型コンピューター等のコンピューターである。ホスト装置100は、スマートフォン等の可搬型の情報処理装置であってもよい。通信部37は、制御部21の制御に従って通信を実行する。通信部37は、印刷装置10が印刷する画像や文字のデータや印刷指示のコマンドを含む印刷データを、ホスト装置100から受信する。通信部37は、受信したデータを制御部21に出力する。
【0033】
印刷ヘッド23は、制御部21の制御に従って駆動され、インクを吐出する。
操作部26は、ユーザーの操作に応じて、操作内容を示す操作信号を制御部21に出力する。表示部27は、制御部21の制御に従って文字や画像を表示する。
【0034】
制御部21が備える入力受付部211は、操作部26から入力される操作信号に基づいて、操作部26による入力を受け付ける。入力受付部211は、入力された内容の解析および取得を行う。
【0035】
印刷制御部212は、通信部37により受信した印刷データに基づいて、印刷ヘッド23、搬送部35、及びキャリッジ駆動部36を動作させることにより、印刷媒体90に対する印刷を実行する。
【0036】
印刷制御部212は、印刷ヘッド23のメンテナンス動作を制御する。メンテナンス動作は、例えば、フラッシング、及び、クリーニングを含む。フラッシングは、印刷ヘッド23のノズル面におけるインクの状態を整えるため、印刷ヘッド23からインクを吐出させる動作である。印刷制御部212は、所定時間毎、或いは、所定量の印刷を行う毎に、キャリッジ駆動部36を動作させて印刷ヘッド23を不図示のホームポジションに移動させ、フラッシングを実行させる。クリーニングは、印刷ヘッド23のノズル及びフレキシブルチューブ32におけるインクの流通の支障を改善するため、印刷ヘッド23からインクを吐出させる動作である。印刷制御部212は、所定時間毎、或いは、所定量の印刷を行う毎に、キャリッジ駆動部36を動作させて印刷ヘッド23を不図示のホームポジションに移動させ、クリーニングを実行させる。制御部21は、フラッシング及びクリーニングを、印刷中に実行してもよいし、印刷をしていないときに実行してもよい。
【0037】
インク量管理部213は、印刷装置本体20におけるインクの量を管理する。具体的には、インク量管理部213は、印刷ヘッド23が吐出するインクの量をカウントする。インク量管理部213は、印刷装置本体20の印刷、フラッシング及びクリーニングで試用されるインクの量をカウントする。インク量管理部213がカウントするインクの量は、インク消費情報の一例に対応する。
【0038】
インク量管理部213は、例えば、印刷装置本体20が印刷を行う場合、印刷データに基づいて印刷時に印刷ヘッド23が吐出するインク滴の大きさとショット数とを求め、求めたインク滴の大きさとショット数とを乗算することにより、インクの量を算出する。また、インク量管理部213は、例えば、フラッシング時に印刷制御部212が印刷ヘッド23に吐出させるインクの量を、フラッシングに関する設定データに基づき算出する。また、インク量管理部213は、例えば、クリーニング時に印刷制御部212が印刷ヘッド23に吐出させるインクの量を、クリーニングに関する設定データに基づき算出する。これらの設定データは、例えば、設定情報44に含まれる。
【0039】
インク量管理部213は、印刷装置本体20で試用されるインクの種類毎、または、インクの色毎にインクの量を管理する。具体的には、インク量管理部213は、ホルダー30に装着されているインクタンク50毎に、インクの量を管理する。
【0040】
本実施形態において説明するインク量に関する動作および処理の全ては、ホルダー30に装着されたインクタンク50毎、或いは、印刷装置10が使用するインクの色毎に実行可能である。
【0041】
記憶部41が記憶するインク残量情報42は、インクタンク50に貯留されているインクの量を示す情報である。インク残量情報42は、ホルダー30に装着されているインクタンク50毎のインクの量を示す。インク残量情報42は、例えば、現実にインクタンク50のインクの量を検出した値であってもよいが、本実施形態では、インク量管理部213が推定するインクタンク50のインクの量を示す。
【0042】
記憶部41が記憶するインク使用量情報43は、印刷ヘッド23が吐出したインクの量を累積した量を示す情報である。インク使用量情報43は、ホルダー30に装着されているインクタンク50毎に、印刷ヘッド23が吐出したインクの量を示す情報を含む。インク使用量情報43は、インク量管理部213がカウントしたインクの量を累積または積算することにより得られる。
【0043】
インク量管理部213は、印刷ヘッド23がインクを吐出する動作を行う場合に、印刷ヘッド23が吐出するインクの量を、上述したようにカウントする。インク量管理部213は、インクの量を新たにカウントする場合に、カウントした量に基づいてインク残量情報42、及び、インク使用量情報43を算出し、更新する。
【0044】
インクタンク50にインクが補充された場合、ユーザーは、操作部26の操作により、インクがインクタンク50に補充されたことの入力を行う。入力受付部211は、この入力を受け付ける。また、この入力は、ユーザーが、ホスト装置100を操作して行ってもよい。この場合、入力受付部211は、ホスト装置100から通信部37が受信したコマンドを、インクがインクタンク50に補充されたことの入力として受け付ける。この入力は、インクタンク50毎に行うことができる。つまり、ユーザーは、インクタンク50毎に、インクを補充できる。
【0045】
インクがインクタンク50に補充されたことの入力を行うに応じて、インク量管理部213は、インク残量情報42及びインク使用量情報43を更新する。この更新の処理を、リセットと呼ぶことができる。
【0046】
詳細には、インク量管理部213は、インクがインクタンク50に補充されたことの入力に応じて、インク残量情報42を、初期値である初期残量に更新する。初期残量は、例えば、インクタンク50に収容されたインクがインクタンク50の容量いっぱいとなった状態におけるインクの量であり、換言すればインクタンク50の満容量である。初期残量は、例えば、設定情報44に含まれる。
【0047】
また、インク量管理部213は、インクがインクタンク50に補充されたことの入力に応じて、インク使用量情報43を、初期値である初期使用量に更新する。初期使用量は、例えば、インクの使用量が0(ゼロ)であることを示す値である。初期使用量は、例えば、設定情報44に含まれる。
【0048】
本実施形態の印刷装置10は、インクタンク50にユーザーがインクを補充する場合の補充量を、ユーザーが選択可能な構成である。ユーザーは、インクがインクタンク50に補充されたことの入力を行う場合に、インクを補充した量を選択可能である。例えば、ユーザーは、補充後のインクタンク50に貯留されているインクの量を、満容量、75%、50%、25%の4段階から選択できる。入力受付部211は、インクがインクタンク50に補充されたことの入力を受け付ける場合、ユーザーが指定した補充後のインクタンク50のインクの量の入力を受け付ける。この場合、インク量管理部213は、インク残量情報42を、ユーザーが指定した補充後のインクタンク50のインクの量に基づいて更新する。具体的には、インク量管理部213は、ユーザーが指定した補充後のインクタンク50のインクの量をもとに初期残量を決定し、決定した初期残量でインク残量情報42を更新する。これにより、ユーザーがインクタンク50の満容量までインクを補充しなかった場合も、インク残量情報42に、ユーザーが補充したインクの量を反映させることができる。ユーザーは、インクタンク50を満容量にせずに、例えば少量だけインクを補充することができる。
【0049】
インク量管理部213は、インク残量情報42及び/またはインク使用量情報43に基づき、報知を行うことができる。インク量管理部213は、例えば、インク残量情報42が示すインクの量が、予め設定された残量閾値に達した場合に、報知を行う。また、インク量管理部213は、例えば、インク使用量情報43が示すインクの量が、予め設定された使用量閾値に達した場合に、報知を行う。これにより、ユーザーに対し、インクタンク50へのインクの補充を促したり、インクタンク50に貯留されるインクの残量に注意することを促したりすることができる。
【0050】
インク量管理部213が行う報知の態様は任意であり、例えば、表示部27にメッセージを表示する態様や、印刷装置10が備えるLEDインジケーターを点灯または点滅させる態様が挙げられる。インク量管理部213は、ホスト装置100に対して報知を実行するコマンドを送信し、ホスト装置100により報知を実行させてもよい。この場合、ホスト装置100は、例えば、ホスト装置100が備える表示画面における表示、音の出力、振動の実行等の報知を行う。
【0051】
インク量管理部213は、印刷ヘッド23がインクを吐出することに対応して、所定のタイミングでインク残量情報42を更新する。この場合、インク量管理部213は、インク残量情報42から、印刷ヘッド23により吐出されたインクの量を減算して、インク残量情報42を更新する。このため、インク残量情報42は、インクタンク50にインクが補充されたときに更新される初期残量と、印刷ヘッド23が吐出したインクの量とから推定される、インクタンク50のインクの量を示す。従って、上述のように、ユーザーが指定した補充後のインクタンク50のインクの量をもとに初期残量を決定し、決定した初期残量でインク残量情報42を更新することによって、インク残量情報42を、より正確にインクタンク50のインクの量を反映した情報とすることができる。すなわち、インクタンク50のインクの量の推定の精度を高めることができる。このため、インク残量情報42に基づく報知の精度を高めることもできる。
【0052】
また、インク量管理部213は、インク使用量情報43が使用量閾値に達した場合に報知を行うが、使用量閾値は、インク使用量情報43がリセットされたときのインクタンク50のインクの量を反映することが好ましい。このため、インク量管理部213は、使用量閾値を、ユーザーが指定した補充後のインクタンク50のインクの量に基づいて更新する。具体的には、インク量管理部213は、ユーザーが指定した補充後のインクタンク50のインクの量をもとに使用量閾値を決定し、決定した使用量閾値を含む設定情報44を記憶部41に記憶させる。これにより、ユーザーがインクタンク50の満容量までインクを補充しなかった場合も、適切なタイミングで報知を行うことができる。
【0053】
表示制御部214は、表示部27を制御して、表示部27に文字、画像、その他の表示オブジェクトを表示させる。表示制御部214は、例えば、インク残量情報42及び/またはインク使用量情報43に基づいて、表示部27にインク表示を表示させる。インク表示は、印刷装置10で使用可能なインクの量の目安としてユーザーに提示される表示である。
【0054】
図4は、表示部27における表示例を示す図であり、第1インク表示310を示す。第1インク表示310は、インク表示の一態様であり、インクタンク50に貯留されているインクの量をインク残量情報42に基づいて表示するものである。
【0055】
第1インク表示310は、表示枠311、及び、説明表示319を含む。説明表示319は、第1インク表示310がインクタンク50に貯留されているインクの量を示すことを説明する表示である。
【0056】
表示枠311の上端には満容量を示すガイド312が配置され、表示枠311の下端の近傍には残量がゼロであることを示すガイド313が配置される。表示枠311には、残量インジケーター315が配置される。残量インジケーター315の上下方向の大きさはインク残量情報42が示すインクの量を示す。インクタンク50のインクの量が満容量である場合、残量インジケーター315は表示枠311の上端に達する大きさで表示される。インクの量がゼロである場合、残量インジケーター315が表示されないか、最小の大きさで表示される。表示枠311には、残量閾値に対応するインク量を示すガイド317が配置される。例えば、残量インジケーター315が減少してガイド317に近づくタイミングで、報知が行われる。
【0057】
図5は、表示部27における表示例を示す図であり、第2インク表示320を示す。第2インク表示320は、インク表示の一態様であり、印刷ヘッド23が吐出したインクの量をインク使用量情報43に基づいて表示するものである。
【0058】
第2インク表示320は、表示枠321、及び、説明表示329を含む。説明表示329は、第2インク表示320がインクを使用した量であることを説明する表示である。
【0059】
表示枠321の上端には、インクの使用量が上限であることを示すガイド322が配置され、表示枠321の下端の近傍にはインクの使用開始を示すガイド323が配置される。表示枠321には、使用量インジケーター325が配置される。使用量インジケーター325の上下方向の大きさはインク使用量情報43が示すインクの量を示す。インク使用量情報43が初期使用量である場合、使用量インジケーター325は表示枠321の下端に最小の大きさで表示されるか、表示されない状態である。表示枠321には、使用量閾値に対応するインク量を示すガイド327が配置される。例えば、使用量インジケーター325が増加してガイド327に近づくタイミングで、報知が行われる。
【0060】
表示制御部214は、第1インク表示310と第2インク表示320とを切り替えて、表示部27に表示させることができる。表示制御部214は、第1インク表示310と第2インク表示320のうち、予めデフォルトのインク表示として設定された方を、表示部27に表示させる。また、表示制御部214は、印刷装置10の動作中に、インク表示の切り替えを指示する入力を入力受付部211が受け付けた場合、第1インク表示310と第2インク表示320とを切り替える。
【0061】
インク量管理部213は、第1インク表示310の表示中に、インク残量情報42が示すインクの量が、残量インジケーター315が上限を超えるような値となった場合に、報知を行ってもよい。この場合、表示制御部214は、第1インク表示310の表示を、残量インジケーター315が最大となる状態で維持してもよい。同様に、インク量管理部213は、第2インク表示320の表示中に、インク使用量情報43が示すインクの量が、使用量インジケーター325が上限を超えるような値となった場合に、報知を行ってもよい。この場合、表示制御部214は、第2インク表示320の表示を、使用量インジケーター325が最大となる状態で維持してもよい。
【0062】
[4.印刷装置の動作]
図6は、印刷装置10の動作を示すフローチャートであり、インク表示に関する制御部21の動作を示す。例えば、
図6のステップS11は入力受付部211により実行され、ステップS12、S14、S15、S17、S19-S20、S22は表示制御部214により実行される。例えば、ステップS13、S16、S18、S21は入力受付部211及び表示制御部214により実行される。
【0063】
ステップS11で、制御部21は、ユーザーによるインク表示の開始の指示を受け付ける。制御部21は、ステップS12に移行して、インク残量情報42に基づいて第1インク表示310の表示を開始する。
【0064】
続いて、ステップS13で、制御部21は、ユーザーによってインク表示の切り替えの指示が入力されたか否かを判定する。インク表示の切り替えの指示が入力されていない場合(ステップS13;NO)、制御部21は、ステップS14に移行する。ステップS14で、制御部21は、第1インク表示310の更新タイミングであるか否かを判定する。更新タイミングは、例えば、第1インク表示310の表示開始または更新から所定の更新周期が経過したタイミングである。この更新周期は、予め設定され、設定情報44に含まれて記憶部41に記憶される。
【0065】
第1インク表示310の更新タイミングであると判定した場合(ステップS14;YES)、制御部21は、ステップS15に移行する。ステップS15で、制御部21は、インク残量情報42を改めて参照し、インク残量情報42に基づいて第1インク表示310の残量インジケーター315を更新し、ステップS16に移行する。
第1インク表示310の更新タイミングでないと判定した場合(ステップS14;NO)、制御部21は、ステップS15をスキップしてステップS16に移行する。
【0066】
ステップS16で、制御部21は、ユーザーによってインク表示の終了の指示が入力されたか否かを判定する。インク表示の終了の指示が入力されたと判定した場合(ステップS16;YES)、制御部21はステップS22に移行する。ステップS22で、制御部21は、表示部27における第1インク表示310または第2インク表示320の表示を終了し、本処理を終了する。
【0067】
ステップS16で、ユーザーによってインク表示の終了の指示が入力されていないと判定した場合(ステップS16;NO)、制御部21はステップS13に戻る。
【0068】
ステップS13で、インク表示の切り替えの指示が入力されたと判定した場合(ステップS13;YES)、制御部21は、ステップS17に移行する。ステップS17で、制御部21は、インク使用量情報43に基づき第2インク表示320の表示を開始し、ステップS18に移行する。ここで、制御部21は、第2インク表示320の表示の開始に伴い、第1インク表示310の表示を終了する。
【0069】
ステップS18で、制御部21は、ユーザーによってインク表示の切り替えの指示が入力されたか否かを判定する。インク表示の切り替えの指示が入力された場合(ステップS18;YES)、制御部21は、ステップS12に戻り、第1インク表示310の表示を開始する。ここで、制御部21は、第1インク表示310の表示開始に伴い第2インク表示320の表示を終了する。
【0070】
ステップS18で、インク表示の切り替えの指示が入力されていない場合(ステップS18;NO)、制御部21は、ステップS19に移行する。ステップS19で、制御部21は、第2インク表示320の更新タイミングであるか否かを判定する。更新タイミングは、例えば、第2インク表示320の表示開始または更新から所定の更新周期が経過したタイミングである。この更新周期は、予め設定され、設定情報44に含まれて記憶部41に記憶される。
【0071】
第2インク表示320の更新タイミングであると判定した場合(ステップS19;YES)、制御部21は、ステップS20に移行する。ステップS20で、制御部21は、インク使用量情報43を改めて参照し、インク使用量情報43に基づいて第2インク表示320の使用量インジケーター325を更新し、ステップS21に移行する。第2インク表示320の更新タイミングでないと判定した場合(ステップS19;NO)、制御部21は、ステップS20をスキップしてステップS21に移行する。
【0072】
ステップS21で、制御部21は、ユーザーによってインク表示の終了の指示が入力されたか否かを判定する。インク表示の終了の指示が入力されたと判定した場合(ステップS21;YES)、制御部21はステップS22に移行する。ユーザーによってインク表示の終了の指示が入力されていないと判定した場合(ステップS21;NO)、制御部21はステップS18に戻る。
【0073】
図6の動作は、初期状態におけるインク表示が第1インク表示310に設定される例を示しているが、印刷装置10の動作はこの例に限定されない。例えば、制御部21は、ステップS12で、インク使用量情報43に基づき第2インク表示320を表示してもよい。この場合、制御部21は、ステップS17で、インク残量情報42に基づき第1インク表示310を表示する。
【0074】
また、制御部21は、ユーザーによる入力に応じて、第1インク表示310または第2インク表示320を更新してもよい。例えば、制御部21は、ユーザーが更新を指示する入力を行った場合に、この入力を受け付ける。この場合、制御部21は、第1インク表示310を表示中はステップS15を実行し、第2インク表示320を表示中はステップS20を実行することによって、表示を更新する。これにより、ユーザーが所望のタイミングでインク表示を更新し、印刷装置10のインクに関する最新の状態を表示できる。
【0075】
図7は、印刷装置10の動作を示すフローチャートであり、インクの補充に関する制御部21の動作を示す。例えば、
図7のステップS41、S43は入力受付部211により実行され、ステップS42、S44-S47はインク量管理部213により実行される。例えば、ステップS48-S49は表示制御部214により実行される。
【0076】
制御部21は、ステップS41でユーザーによるインクリセット入力要求を受け付ける。インクリセット入力要求は、インクタンク50にインクを補充したことを示す入力を行うことの要求である。続いて、制御部21は、ステップS42で、インクタンク50に補充したインクの量を示すインク補充量の選択肢を、表示部27に表示させて、ステップS43に移行する。インク補充量の選択肢は、例えば、上述した満容量、75%、50%、25%の4つの選択肢とすることができる。75%、50%、25%は、例えば、満容量に対する割合を指している。
【0077】
ステップS43で、制御部21は、ステップS42で表示された選択肢のいずれかを選択する入力を受け付ける。この入力は、ユーザーがインクタンク50に補充したインクの補充量の入力に相当する。
【0078】
その後、ステップS44で、制御部21は、ステップS43で受け付けた入力が示す補充量に基づいて、インク残量情報42の初期残量を決定し、ステップS45に移行する。ステップS45で、制御部21は、インク残量情報42を初期残量に更新する。また、制御部21は、ステップS46で、インク使用量情報43を初期使用量に更新する。また、制御部21は、ステップS47で、入力された補充量に基づいて使用量閾値を更新する。制御部21は、ステップS44-S45、ステップS46及びステップS47を、
図7とは異なる順序で実行してもよいし、並行して実行してもよい。
【0079】
その後、制御部21は、ステップS48に移行して、表示部27にインク表示を表示中であるか否かを判定する。第1インク表示310も第2インク表示320も表示していないと判定した場合(ステップS48;NO)、制御部21は、本処理を終了する。
【0080】
一方、第1インク表示310または第2インク表示320を表示中であると判定した場合(ステップS48;YES)、制御部21は、ステップS49に移行する。ステップS49で、更新後のインク残量情報42またはインク使用量情報43に基づき、第1インク表示310または第2インク表示320の表示を更新し、本処理を終了する。
【0081】
図8は、印刷装置10の動作を示すフローチャートであり、インクの使用に関する制御部21の動作を示す。例えば、
図8のステップS61-S69、S72はインク量管理部213により実行され、ステップS70、S71、S73、S74は表示制御部214により実行される。
【0082】
ステップS61で、制御部21は、印刷ヘッド23の動作を検知すると、ステップS62に移行する。制御部21は、ステップS62において、印刷ヘッド23から吐出されたインクの量をカウントし、ステップS63において、カウントしたインクの量をもとにインク残量情報42を更新する。ステップS63で、制御部21は、例えば、インク残量情報42から、ステップS62でカウントしたインクの量を減算し、インク残量情報42を更新する。制御部21は、ステップS64において、ステップS63で更新したインク残量情報42が残量閾値以下であるか否かを判定する。ここで、インク残量情報42が残量閾値以下であると判定した場合(ステップS64;YES)、制御部21は、ステップS65に移行する。ステップS65で、制御部21は報知を実行し、ステップS66に移行する。また、インク残量情報42が残量閾値以下でないと判定した場合(ステップS64;NO)、制御部21はステップS65をスキップしてステップS66に移行する。
【0083】
ステップS66で、制御部21は、ステップS62でカウントしたインクの量をもとにインク使用量情報43を更新する。ステップS66で、制御部21は、例えば、インク使用量情報43に、ステップS62でカウントしたインクの量を加算して、インク使用量情報43を更新する。
【0084】
その後、制御部21は、制御部21は、ステップS67において、ステップS66で更新したインク使用量情報43が使用量閾値以上であるか否かを判定する。ここで、インク使用量情報43が使用量閾値以上であると判定した場合(ステップS67;YES)、制御部21は、ステップS68に移行する。ステップS68で、制御部21は報知を実行し、ステップS69に移行する。また、インク使用量情報43が使用量閾値以上でないと判定した場合(ステップS68;NO)、制御部21はステップS68をスキップしてステップS69に移行する。
【0085】
ステップS69で、制御部21は、第1インク表示310を表示中であるか否かを判定する。第1インク表示310を表示中であると判定した場合(ステップS69;YES)、制御部21は、ステップS70に移行する。ステップS70で、制御部21は、インク残量情報42の変化量が更新閾値以上であるか否かを判定する。ステップS70では、第1インク表示310を前回更新してから、或いは、第1インク表示310の表示を開始してからのインク残量情報42の変化量が、更新閾値以上であるか否かを判定する。
【0086】
インク残量情報42の変化量が更新閾値以上であると判定した場合(ステップS70;YES)、制御部21は、ステップS71に移行する。ステップS71で、制御部21は、ステップS63で更新したインク残量情報42に基づき、第1インク表示310の残量インジケーター315の表示を更新し、本処理を終了する。また、インク残量情報42の変化量が更新閾値以上でないと判定した場合(ステップS70;NO)、制御部21は、ステップS71をスキップして本処理を終了する。
【0087】
一方、第1インク表示310を表示中でないと判定した場合(ステップS69;NO)、制御部21は、ステップS72に移行する。
ステップS72で、制御部21は、第2インク表示320を表示中であるか否かを判定する。第2インク表示320を表示中でないと判定した場合(ステップS72;NO)、制御部21は本処理を終了する。
【0088】
第2インク表示320を表示中であると判定した場合(ステップS72;YES)、制御部21は、ステップS73に移行する。ステップS73で、制御部21は、インク使用量情報43の変化量が更新閾値以上であるか否かを判定する。ステップS70では、第2インク表示320を前回更新してから、或いは、第2インク表示320の表示を開始してからのインク使用量情報43の変化量が、更新閾値以上であるか否かを判定する。
【0089】
インク使用量情報43の変化量が更新閾値以上であると判定した場合(ステップS73;YES)、制御部21は、ステップS74に移行する。ステップS74で、制御部21は、ステップS63で更新したインク使用量情報43に基づき、第2インク表示320の使用量インジケーター325の表示を更新し、本処理を終了する。また、インク使用量情報43の変化量が更新閾値以上でないと判定した場合(ステップS73;NO)、制御部21は、ステップS74をスキップして本処理を終了する。
【0090】
図8に示す動作は、印刷装置10の動作中、或いは、印刷装置10の電源がオンになっている間、所定時間周期で繰り返し実行される。これにより、所定時間周期で印刷ヘッド23が吐出するインクの量がカウントされ、インク残量情報42及びインク使用量情報43が更新される。
【0091】
ステップS70、S73で用いられる更新閾値は、例えば、設定情報44に含まれて記憶部41に記憶される。これらの更新閾値は同一の値でなくてもよい。
【0092】
[5.他の実施形態]
上記実施形態は、本発明を適用した一具体例を示したものに過ぎない。本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することができる。
【0093】
上記実施形態では、
図6の動作を、インク表示の開始の指示をトリガーとして実行する例を説明したが、制御部21は、印刷装置10の動作開始、或いは、電源投入を契機として、
図6の動作を実行してもよい。
【0094】
上記実施形態では、表示部27に第1インク表示310と第2インク表示320とを切り替えて表示する例を説明した。これは一例であり、表示制御部214が表示部27に第1インク表示310または第2インク表示320を表示することに加えて、或いは、その代わりに、ホスト装置100によってインク表示を行わせてもよい。この場合、制御部21がホスト装置100に対し、第1インク表示310及び/または第2インク表示320を表示するためのデータや、表示を指示するコマンドを送信し、これらのデータやコマンドに基づいて、ホスト装置100が表示を行えばよい。また、制御部21が備える入力受付部211、インク量管理部213、及び表示制御部214の機能を、ホスト装置100が実行してもよい。
【0095】
[6.実施形態により説明される構成]
上記の実施形態により、以下の構成が説明される。
【0096】
(構成1)インクを補充可能なインク貯留部と、前記インク貯留部から供給される前記インクを印刷媒体に吐出する印刷ヘッドと、表示部と、前記インク貯留部に貯留されている前記インクの量を示すインク残量情報、及び、前記印刷ヘッドから吐出された前記インクの量の累積値を示すインク使用量情報を管理する制御部と、を備え、前記制御部は、前記インク貯留部に前記インクを補充したことの入力を受け付けた場合に、前記インク残量情報を初期残量に更新する処理、及び、前記インク使用量情報を初期使用量に更新する処理の少なくともいずれかを実行し、前記インク残量情報に基づき前記インクの使用状態を示す第1インク表示、及び、前記インク使用量情報に基づき前記インクの使用状態を示す第2インク表示を前記表示部に表示させ、前記表示部における表示の切替を指示する入力を受け付けた場合に、前記表示部の表示を前記第1インク表示から前記第2インク表示に、或いは、前記第2インク表示から前記第1インク表示に切り替える、印刷装置。
構成1の印刷装置によれば、インクを補充可能な印刷装置が、インクの量に関する表示としてインクの残量に基づく表示とインクの使用量に基づく表示とを切り替えるので、ユーザーが活用しやすい表示を行うことができる。
【0097】
(構成2)前記インク残量情報、及び、前記インク使用量情報を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記印刷ヘッドから吐出される前記インクの量を示すインク消費情報を取得し、前記インク消費情報に基づいて、前記記憶部が記憶する前記インク残量情報及び前記インク使用量情報を更新する、構成1に記載の印刷装置。
構成2の印刷装置によれば、印刷ヘッドから吐出されるインクの量に基づいて、インク残量情報とインク使用量情報とを更新するので、印刷装置のインクに関する情報を、より正確に表示できる。
【0098】
(構成3)前記インク残量情報は、前記印刷ヘッドにより吐出される前記インクの量を前記初期残量から累積して減算した量を示し、前記インク消費情報は、前記印刷ヘッドにより吐出される前記インクの量を前記初期使用量に累積的に加算した量を示す、構成2に記載の印刷装置。
構成3の印刷装置によれば、印刷ヘッドから吐出されるインクの量に基づいて、インク残量情報とインク使用量情報とを容易に算出し、更新できる。
【0099】
(構成4)前記制御部は、前記インク残量情報が示す前記インクの量が残量閾値に達した場合、または、前記インク使用量情報が示す前記インクの量が使用量閾値に達した場合に、報知を行う、構成1から構成3のいずれかに記載の印刷装置。
構成4の印刷装置によれば、インクの量に関する表示に加え、報知を行うことにより、インクの量に関する情報をユーザーに提供できる。
【0100】
(構成5)前記制御部は、前記インク貯留部に前記インクを補充したことを示す入力として、前記インク貯留部に補充された前記インクの量を指定する入力を受け付けた場合、補充された前記インクの量に基づいて前記初期残量を決定し、前記初期残量により前記インク残量情報を更新する、構成1から構成4のいずれかに記載の印刷装置。
構成5の印刷装置によれば、ユーザーがインクを補充した量を指定する場合に、指定された量に基づきインク残量情報を更新できる。このため、ユーザーがインクを補充する量が、例えば満容量に限定されないため、ユーザーの利便性を高めることができる。
【0101】
(構成6)前記制御部は、前記第1インク表示を表示する間、前記インク残量情報が示す前記インクの量が閾値以上変化したとき、或いは、設定された更新時間が経過したときに、前記第1インク表示を更新する、構成1から構成5のいずれかに記載の印刷装置。
構成1の印刷装置によれば、インクの残量に基づく表示を適切なタイミングで更新することにより、ユーザーに対して、精度のよい情報を適切に提供できる。
【0102】
(構成7)前記制御部は、前記インク使用量情報に基づいて前記第2インク表示を表示する間、前記インク使用量情報が示す前記インクの量が閾値以上変化したとき、或いは、設定された更新時間が経過したときに、前記第2インク表示を更新する、構成1から構成6のいずれかに記載の印刷装置。
構成7の印刷装置によれば、インクの使用量に基づく表示を適切なタイミングで更新することにより、ユーザーに対して、精度のよい情報を適切に提供できる。
【0103】
(構成8)前記制御部は、前記表示部による表示の更新を指示する入力を受け付けた場合に、前記第1インク表示または前記第2インク表示を更新する、構成1から構成7のいずれかに記載の印刷装置。
構成8の印刷装置によれば、インクの使用量に基づく表示を、ユーザーが望むタイミングで更新することにより、ユーザーの利便性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0104】
10…印刷装置、20…印刷装置本体、21…制御部、22…キャリッジ、23…印刷ヘッド、25…操作パネル、26…操作部、30…ホルダー、35…搬送部、36…キャリッジ駆動部、37…通信部、41…記憶部、42…インク残量情報、43…インク使用量情報、44…設定情報、50…インクタンク、90…印刷媒体、100…ホスト装置、211…入力受付部、212…印刷制御部、213…インク量管理部、310…第1インク表示、315…残量インジケーター、320…第2インク表示、325…使用量インジケーター。