(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046891
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
G06F3/12 304
G06F3/12 332
G06F3/12 388
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152242
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】吉川 英伸
(57)【要約】
【課題】ユーザーは、自身のプリンターで実行できない印刷を所望するときに、その印刷を実行できるプリンターを探す労力が大きかった。
【解決手段】印刷システムは、第1プリンターと、第1プリンターによる印刷に必要な印刷設定情報を受け付け可能なUIを、表示部を通じて提供するUI部と、第2プリンターと、UI部および第2プリンターと通信可能なサーバーと、を備え、UI部は、第1プリンターには印刷不能かつ第2プリンターには印刷可能な媒体である特定媒体と、第2プリンターによる特定媒体への印刷に要する料金とを含む第2プリンター情報をUI内に表示させ、サーバーは、UI部がユーザーから受け付けた特定媒体への印刷のための印刷設定情報を含んだ、印刷指示を、第2プリンターへ送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プリンターと、
前記第1プリンターによる印刷に必要な印刷設定情報を受け付け可能なユーザーインターフェイスを、表示部を通じて提供するUI部と、
第2プリンターと、
前記UI部および前記第2プリンターと通信可能なサーバーと、を備え、
前記UI部は、前記第1プリンターには印刷不能かつ前記第2プリンターには印刷可能な媒体である特定媒体と、前記第2プリンターによる前記特定媒体への印刷に要する料金とを含む第2プリンター情報を前記ユーザーインターフェイス内に表示させ、
前記サーバーは、前記UI部がユーザーから受け付けた前記特定媒体への印刷のための印刷設定情報を含んだ、印刷指示を、前記第2プリンターへ送信することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記第2プリンター情報には、前記第2プリンターを使用する業者の名称、前記第2プリンターの所在地、前記特定媒体のサイズ、前記特定媒体の印刷の納期、および、前記業者の評価情報のうち少なくとも1つが含まれている、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷指示は、前記ユーザーの名称および所在地の情報を含まず、前記第2プリンターを使用する業者とは異なる特定の業者が前記ユーザーの名称および所在地を特定することが可能な前記ユーザーの識別情報を含む、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記サーバーは、前記第2プリンターから前記第2プリンター情報を収集し、
前記UI部は、前記サーバーから前記第2プリンター情報を取得する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記サーバーは、第1サーバーと第2サーバーとを含み、
前記第1サーバーは、前記第2プリンター情報を収集し、
前記第2サーバーは、前記印刷指示を前記第2プリンターへ送信する、ことを特徴とする請求項4に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターは、その機種毎に印刷可能な媒体の種類やサイズが決まっている。そのため、ユーザーは、所有するプリンターでは印刷できない種類やサイズの媒体に印刷したい場合は、別の機種のプリンターを購入したり、外部の印刷業者に印刷を依頼したりする必要がある。
【0003】
なお、情報処理装置が第1のプリンタードライバーと第2のプリンタードライバーとを有し、第1のプリンタードライバーは、制御対象のプリンター固有の禁則情報を有し、第2のプリンタードライバーは、関連付手段が第1のプリンタードライバーとの関連付けを行い、受付手段が印刷設定を受け付け、関連付手段によって関連付けられた第1のプリンタードライバーが有する禁則情報に基づき変換された印刷設定に基づく印刷データを、制御対象のプリンターに送信する構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実店舗やインターネット上のサービスを含めて、数多くの印刷業者がそれぞれに印刷サービスを提供しているが、ユーザーにとっては、自身が有するプリンターでは実行できない所望の印刷を実行できるプリンターを、多くの印刷業者の中から探して印刷を依頼するには、多くの労力を要する。また、前記文献1によれば、第2のプリンタードライバーが制御対象のプリンターの禁則情報を持たない場合であっても、第1のプリンタードライバーで設定されているのと同等の禁則処理を第2のプリンタードライバーで行うことができるが、制御対象のプリンター以外のプリンターに所望の印刷をさせることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
印刷システムは、第1プリンターと、前記第1プリンターによる印刷に必要な印刷設定情報を受け付け可能なユーザーインターフェイスを、表示部を通じて提供するUI部と、第2プリンターと、前記UI部および前記第2プリンターと通信可能なサーバーと、を備え、前記UI部は、前記第1プリンターには印刷不能かつ前記第2プリンターには印刷可能な媒体である特定媒体と、前記第2プリンターによる前記特定媒体への印刷に要する料金とを含む第2プリンター情報を前記ユーザーインターフェイス内に表示させ、前記サーバーは、前記UI部がユーザーから受け付けた前記特定媒体への印刷のための印刷設定情報を含んだ、印刷指示を、前記第2プリンターへ送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示される第1プリンター用UIの一部を例示する図。
【
図3】表示される第1プリンター用UIの一部であって
図2と異なる例を示す図。
【
図4】変形例にかかる印刷システムを簡易的に示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.システムの概略説明:
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0009】
図1は、本実施形態にかかる印刷システム1の構成を簡易的に示している。印刷システム1は、概略、印刷制御装置10、第1プリンター20、サーバー30、1つ以上の外部プリンター等を含む。外部プリンターは「第2プリンター」に該当する。印刷制御装置10は、ユーザーUが操作する通信端末であり、例えば、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット型端末等の各種端末が該当する。第1プリンター20は、ユーザーUが所有等してユーザーUが任意に使用可能なプリンターであり、印刷制御装置10と有線または無線により通信可能に接続している。
【0010】
印刷制御装置10には、第1プリンター20を制御するためのプログラム12が予めインストールされており、ユーザーUは、印刷制御装置10によるプログラム12の実行を通じて第1プリンター20に所望の印刷を実行させることができる。印刷制御装置10と第1プリンター20との関係はごく一般的であるため、詳しい説明は省略する。プログラム12を、プリンタードライバーと呼んだり、アプリケーションと呼んだりしてもよい。第1プリンター20が採用する印刷方式は、インクジェット方式、電子写真方式、サーマル方式等、どのようなものであっても構わない。
【0011】
印刷制御装置10は、例えば、制御部11、表示部13、操作受付部14、記憶部15、通信IF16等を備える。IFはインターフェイスの略である。制御部11は、プロセッサーとしてのCPU11aやメモリーとしてのROM11b、RAM11cを有する1つ又は複数のICや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
【0012】
制御部11では、プロセッサーつまりCPU11aが、所定のメモリーや記憶部15に保存されたプログラム12に従った演算処理を、RAM11c等をワークエリアとして用いて実行することにより、UI部12aや印刷指示部12bといった各種機能を実行する。これら機能は、制御部11が実行する機能の一部に過ぎない。UIは、ユーザーインターフェイスの略である。プロセッサーは、1つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC等のハードウェア回路により処理を行う構成としてもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成としてもよい。
【0013】
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路と、を含む構成であってもよい。
操作受付部14は、ユーザーによる入力を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、マウスや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部13の一機能として実現されるとしてもよい。表示部13および操作受付部14を含めて、印刷制御装置10の操作パネルと呼んでもよい。
【0014】
記憶部15は、例えば、ハードディスクドライブや、ソリッドステートドライブや、その他のメモリーによる記憶手段である。制御部11が有するメモリーの一部を記憶部15と捉えてもよい。記憶部15を、制御部11の一部と捉えてもよい。表示部13、操作受付部14、記憶部15は、印刷制御装置10に外付けされる周辺機器であってもよい。
通信IF16は、印刷制御装置10が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で第1プリンター20やサーバー30やその他の外部装置と通信を実行するための各種IFの総称である。
【0015】
サーバー30は、インターネットを含むネットワークを通じて利用可能なサーバーであり、当然、通信処理や演算処理や記憶処理に必要な機能、構成を有する。
図1の例では、サーバー30は、収集サーバー31と発注サーバー32とを含んでいる。収集サーバー31は「第1サーバー」に該当し、発注サーバー32は「第2サーバー」に該当する。収集サーバー31と発注サーバー32とは、物理的に別体の各サーバー30であってもよいし、1台のサーバー30が収集サーバー31と発注サーバー32との機能を兼ねる構成であってよい。
【0016】
外部プリンター40Aは、印刷業者Aが使用するプリンターである。同様に、外部プリンター40Bは、印刷業者Bが使用するプリンターであり、外部プリンター40Cは、印刷業者Cが使用するプリンターである。むろん、外部プリンターの台数や印刷業者の数は限られない。本実施形態が想定する外部プリンターは、第1プリンター20には印刷不能な媒体である「特定媒体」に印刷することが可能な機種である。印刷不能とは、素材やサイズに関して第1プリンター20が対応不可能という意味である。なお、第1プリンター20にとって印刷可能な媒体を「対応媒体」と呼ぶことにする。特定媒体を「非対応媒体」と呼んでもよい。
【0017】
例えば、A3サイズの用紙やロール紙や、その他の大型紙が特定媒体に該当し、少なくとも1つの外部プリンターは、そのようなサイズの特定媒体へ印刷可能である。また、例えば、塩化ビニル素材のシート、プラスチック板、Tシャツ等の繊維素材、マグカップ等の陶器、ガラス、木材…といった様々な素材の媒体も、特定媒体に該当し得る。外部プリンター40A,40B,40Cはそれぞれに、1つ以上の特定媒体への印刷が可能な機種であればよく、第1プリンター20と同様、どのような印刷方式で印刷を行う機種であるかは問わない。
【0018】
印刷制御装置10やサーバー30と、第2プリンターすなわち外部プリンター側とのデータの送信や受信といった各種やり取りは、実際には、外部プリンターとの直接的な通信だけでなく、当該外部プリンターを使用する印刷業者とのやり取りであったり、当該印刷業者が操作する不図示の端末との通信であったりする。本実施形態では、このような外部プリンターや、これを使用したり所有したりする印刷業者とのやり取りをまとめて、単に、外部プリンターとの通信(送信や受信)と表現する。
【0019】
2.収集サーバーの説明:
次に、サーバー30のうちの収集サーバー31と外部プリンターとの関係について説明する。収集サーバー31は、外部プリンターからプリンター情報を収集し、記憶する。外部プリンターのプリンター情報は「第2プリンター情報」に該当し、例えば、外部プリンターが印刷可能な媒体の種類やサイズ、印刷に要する料金、印刷業者の名称、外部プリンターの所在地、印刷の納期、印刷業者の評価情報、といった各種情報の一部あるいは全部を含んでいる。その他にも、プリンター情報には、外部プリンターに関するサービスやキャンペーン情報、印刷業者の連絡先やURL(Uniform Resource Locator)等、外部プリンターに関する様々な情報が含まれていてもよい。
【0020】
収集サーバー31は、例えば、サーバー30を管理、運営する事業者と予め取り決めを交わした各印刷業者が有する各外部プリンターからインターネット等のネットワークを介してプリンター情報を収集する。
図1の例であれば、収集サーバー31は、外部プリンター40A,40B,40Cの夫々と通信し、外部プリンター40Aのプリンター情報、外部プリンター40Bのプリンター情報、外部プリンター40Cのプリンター情報の夫々を収集する。
【0021】
収集サーバー31が各外部プリンターからプリンター情報を収集する頻度やタイミングは特に限定されず、収集サーバー31は、定期的にあるいは不定期に、各外部プリンターからプリンター情報を収集する。収集の態様も、収集サーバー31から外部プリンターに対してプリンター情報を要求し、この要求を契機として外部プリンターから収集サーバー31へプリンター情報を送信する態様であってもよいし、このような要求を要さず、外部プリンターから収集サーバー31に対してプリンター情報をアップロードする態様であってもよい。ある外部プリンターに関する最新のプリンター情報を収集サーバー31が受信することで、収集サーバー31は、当該外部プリンターに関してそれまでに記憶していたプリンター情報を、最新のプリンター情報により更新する。
【0022】
3.UI部の説明:
UI部12aは、第1プリンター20による印刷に必要な印刷設定情報を受け付け可能なUIである「第1プリンター用UI」を、表示部13を通じてユーザーUに提供する。第1プリンター用UIは、第1プリンター20に印刷を実行させるときの、媒体の種類やサイズ、印刷部数、カラー印刷又はモノクロ印刷、片面印刷又は両面印刷、縁の余白量、印刷品質等といった一般的な設定や選択を受け付け可能なUIである。UI部12aは、制御部11がプログラム12と協働して実現する機能であり、制御部11の一部とみなすことができる。また、プログラム12は、第1プリンター用UIを提供する、第1プリンター20のためのプリンタードライバーと捉えることができる。表示部13を、UI部12aやUIの概念の一部に含めてもよい。
【0023】
本実施形態の特徴の1つは、UI部12aが、このような第1プリンター用UIに、第2プリンター情報の少なくとも一部を含ませて表示部13に表示させることにある。そのために、UI部12aは、収集サーバー31にアクセスし、収集サーバー31が記憶する各外部プリンターのプリンター情報を収集サーバー31から取得する。UI部12aは、例えば、ユーザーUによる操作受付部14を通じた指示により、第1プリンター用UIを表示部13に表示させる場合に、特定媒体に印刷可能な外部プリンターのプリンター情報を収集サーバー31から取得する。外部プリンター毎のプリンター情報には、外部プリンターが印刷可能な媒体の情報が含まれているため、例えば、収集サーバー31は、UI部12aから外部プリンターのプリンター情報の要求があった場合に、UI部12aが制御対象としている第1プリンター20にとっての特定媒体を、情報として含むプリンター情報をUI部12aに対して提供すればよい。
【0024】
図2は、UI部12aが表示部13に表示させる第1プリンター用UI50の一部を例示している。第1プリンター用UI50は、媒体種の設定を受け付けるための媒体種設定欄51や、媒体サイズの設定を受け付けるための媒体サイズ設定欄52を含んでいる。ユーザーUは、媒体種設定欄51や媒体サイズ設定欄52の夫々に列挙されている選択肢をクリックやタッチ等の操作で任意に選択することで、媒体種や媒体サイズを設定することができる。
図2では省略しているが、当然に第1プリンター用UI50は、印刷部数等、印刷に関する他の設定や選択を受け付けるための欄も含んでいる。
【0025】
図2では、媒体種設定欄51が列挙表示する媒体種のうち「プラスチック板」、「塩化ビニル」等の特定媒体に該当する媒体種の背景を、グレー色で示している。同様に
図2では、媒体サイズ設定欄52が列挙表示する媒体サイズのうち、「A3」、「ロール紙」、「Tシャツ」、「マグカップ」等の特定媒体に該当する媒体サイズの背景を、グレー色で示している。言い換えると、媒体種設定欄51や媒体サイズ設定欄52における背景が白色で示されている媒体種や媒体サイズは、対応媒体を意味する。
【0026】
第1プリンター用UI50において、対応媒体と特定媒体とを区別するための表示方法は、背景色を異ならせる以外にも、フォントや文字色を異ならせたり、特定の目印を付したりする等、様々な方法を採用可能である。また、「Tシャツ」、「マグカップ」等は、媒体サイズの一種ではなく、媒体種の一種として媒体種設定欄51に列挙表示されていてもよい。
【0027】
UI部12aは、第1プリンター用UI50内に、特定媒体の詳細情報をさらに表示させる。例えば、ユーザーUが媒体種設定欄51や媒体サイズ設定欄52においてある特定媒体を選択した状態で、UI部12aは、この選択されている特定媒体の詳細情報を表示させる。
図2の例では、媒体種設定欄51内で特定媒体の1つである「塩化ビニル」が選択されたとき、塩化ビニルに対応する詳細情報51aが表示されることを示している。ここでは、特定媒体である塩化ビニルは、印刷業者Aの外部プリンター40Aが印刷に使用可能であるとする。
【0028】
詳細情報51aには、塩化ビニルを媒体として使用する業者の名称「印刷業者A」の他、外部プリンター40Aによる塩化ビニルへの印刷に要する料金、印刷の納期、外部プリンター40Aの所在地、印刷業者Aの評価情報等が示されている。印刷の納期とは、例えば、印刷指示を受けてから印刷結果物がユーザーへ納品されるまでの期間である。外部プリンター40Aの所在地は、印刷業者Aの所在地と解して差し支えない。評価情報は、これまで印刷業者Aに印刷を依頼した各ユーザーによる評価結果を表した表示であり、例えば、星マークの数の多さで評価の高さを示している。
【0029】
同様に
図2の例では、媒体サイズ設定欄52内で特定媒体の1つである「Tシャツ」が選択されたとき、UI部12aが、第1プリンター用UI50内にTシャツに対応する詳細情報52aを表示させることを示している。ここでは、特定媒体であるTシャツは、印刷業者Cの外部プリンター40Cが印刷に使用可能であるとする。詳細情報52aには、Tシャツを媒体として使用する業者の名称「印刷業者C」の他、外部プリンター40CによるTシャツへの印刷に要する料金、印刷の納期、外部プリンター40Cの所在地、印刷業者Cの評価情報等が示されている。
【0030】
図3は、UI部12aが表示部13に表示させる第1プリンター用UI50の一部であって、
図2とは異なる例を示している。
図3については、
図2と共通の説明は省略する。
図3の例では、媒体種設定欄51には、対応媒体の媒体種が列挙表示されているとともに、特定媒体の媒体種がまとめて所定表記で、例えば「非対応」と表示されている。同様に、
図3の例では、媒体サイズ設定欄52には、対応媒体の媒体サイズが列挙表示されているとともに、特定媒体の媒体サイズがまとめて所定表記で、例えば「非対応」と表示されている。
【0031】
ユーザーUが媒体種設定欄51や媒体サイズ設定欄52において「非対応」を選択すると、UI部12aは、「非対応」の中身を第1プリンター用UI50内に表示させる。つまり、媒体種設定欄51の「非対応」が選択されたことに応じて「プラスチック板」、「塩化ビニル」等の特定媒体に該当する媒体種を列挙した特定媒体リスト51bが表示される。同様に、媒体サイズ設定欄52の「非対応」が選択されたことに応じて「A3」、「ロール紙」、「Tシャツ」、「マグカップ」等の特定媒体に該当する媒体サイズを列挙した特定媒体リスト52bが表示される。さらに、ユーザーUが特定媒体リスト51bや特定媒体リスト52bにおいて1つの特定媒体を選択すると、UI部12aは、
図3に示すように、選択された特定媒体の詳細情報を表示させる。
【0032】
ユーザーUは、このような第1プリンター用UI50を見ることで、第1プリンター20では印刷不能な特定媒体へ印刷可能な外部プリンターや印刷業者を、料金等を含めて認識し、特定媒体への印刷を外部プリンターへ発注するか否かを検討することができる。第1プリンター用UI50の表示内容のうち、上述したような特定媒体に関する内容は、当然、UI部12aが収集サーバー31から取得したプリンター情報に基づいて表示される。第1プリンター用UI50による各種情報の見せ方は、
図2,3に示す例に限定されないことは言うまでもない。例えば、
図2,3で説明したように、ユーザーの選択に応じて第1プリンター用UI50における表示を遷移させるのではなく、
図2や
図3に示す情報が全て1画面に同時に表示されていてもよい。
【0033】
4.外部プリンターへの印刷発注:
ユーザーUは、操作受付部14を操作し、第1プリンター用UI50において対応媒体を選択する等任意の印刷設定を行い、第1プリンター用UI50内の不図示の印刷ボタンを押すことにより、印刷設定通りの印刷を第1プリンター20に実行させることができる。このような第1プリンター用UI50への入力を通じた第1プリンター20による対応媒体への印刷は、ごく一般的である。
【0034】
本実施形態では、ユーザーUが、操作受付部14を操作し、第1プリンター用UI50において特定媒体を選択し、印刷部数等を任意に設定した上で印刷ボタンを押すことにより、特定媒体への印刷を指示することができる。以下では、このような特定媒体への印刷指示を「特定印刷指示」とも呼ぶ。特定印刷指示や、特定印刷指示を送信する処理が、外部プリンターへの印刷発注に該当する。特定印刷指示は、特定媒体の選択や印刷部数等の、UI部12aがユーザーUから受け付けた特定媒体への印刷のための印刷設定情報を含んだ指示である。また、特定印刷指示は、ユーザーUが任意に指定した印刷用の画像データも含んでいる。印刷指示部12bは、UI部12aが受けた特定印刷指示を、通信IF16を介して発注サーバー32へ送信する。印刷指示部12bは、UI部12aが受けた、対応媒体に対する印刷指示は、発注サーバー32へ送信しない。
【0035】
発注サーバー32は、印刷制御装置10から送信された特定印刷指示を第2プリンターへ送信する。例えば、ユーザーUが、第1プリンター用UI50において、特定媒体として「Tシャツ」を選択した状態で印刷ボタンを押すことにより、特定印刷指示を行ったとする。印刷指示部12bは、発注サーバー32へ特定印刷指示を送信する場合に、特定印刷指示において選択されている特定媒体に印刷する外部プリンターに対応する印刷業者、
図2,3の例で言えば印刷業者Cを指定する情報を、特定印刷指示に含める。特定媒体と、印刷業者や外部プリンターとの対応関係は、収集サーバー31から取得したプリンター情報から解る。印刷業者を指定する情報は、外部プリンターを指定する情報とも言える。
【0036】
従って、発注サーバー32は、印刷制御装置10から送信された特定印刷指示において指定されている印刷業者、この場合は印刷業者Cの外部プリンター40Cへ、特定印刷指示を送信する。この結果、特定印刷指示を受けた外部プリンター40Cは、特定印刷指示に含まれている印刷用の画像データに基づく印刷を、特定印刷指示において選択されている特定媒体、この場合はTシャツに対して実行する。
【0037】
特定印刷指示は、この特定印刷指示を行ったユーザーUの名称および所在地の情報を含まず、外部プリンターを使用する印刷業者とは異なる特定の業者がユーザーUの名称および所在地を特定することが可能なユーザーの識別情報を含む、としてもよい。
図1に示す仲介業者Zが、ここで言う特定の業者である。つまり、予め、仲介業者ZはユーザーUの名称や所在地といった個人情報を保持しており、ユーザーUの個人情報に紐づいた識別情報としてのユーザーIDが仲介業者ZからユーザーUに対して与えられている。
【0038】
ユーザーUあるいは印刷指示部12bは、このようなユーザーUのユーザーIDを特定印刷指示に含める。そのため、特定印刷指示に従って特定媒体へ印刷を終えた外部プリンターの印刷業者は、印刷結果物としての特定媒体を、特定印刷指示に含まれているユーザーIDの情報と共に仲介業者Zへ配送する。仲介業者Zは、印刷業者から送られて来た印刷結果物を、印刷結果物と共に送られて来たユーザーIDに紐づくユーザーUの所在地へ配送する。かかる仕組みによれば、ユーザーUは、特定印刷指示により個人情報を印刷業者に開示することなく、印刷業者から印刷結果物を受ける取ることができる。本実施形態では、外部プリンターによる特定媒体への印刷に要した料金の精算方法は問わないが、当然に、ユーザーUは、仲介業者Zを介してこのような精算を実行してもよい。
【0039】
ただし、ユーザーUあるいは印刷指示部12bは、ユーザーUの個人情報を特定印刷指示に含めてもよい。この場合は、特定印刷指示に従って特定媒体へ印刷を終えた外部プリンターの印刷業者は、印刷結果物としての特定媒体を、特定印刷指示に含まれているユーザーUの個人情報が示すユーザーUの所在地へ、
図1において破線の矢印で示すように直接配送すればよい。
【0040】
5.変形例:
図4は、変形例にかかる印刷システム1の構成を簡易的に示している。
図4に関しては、これまでに説明した実施形態と異なる点について説明する。
図4によれば、サーバー30は、発注サーバー32として機能する。一方で、
図4には、収集サーバー31は無い。収集サーバー31が無い替わりに、
図4では、印刷制御装置10が各外部プリンター40A,40B,40Cと通信して外部プリンター40A,40B,40Cそれぞれのプリンター情報を収集し、記憶部15に記憶する。つまり、これまでに説明した収集サーバー31の役割を、印刷制御装置10が兼ねるとしてもよい。そして、UI部12aは、第1プリンター用UI50を表示部13に表示させる際に、記憶部15が記憶する各外部プリンターのプリンター情報を取得して、特定媒体に関する表示を行う。
【0041】
6.まとめ:
このように本実施形態によれば、印刷システム1は、第1プリンター20と、第1プリンター20による印刷に必要な印刷設定情報を受け付け可能なUIを、表示部13を通じて提供するUI部12aと、第2プリンターと、UI部12aおよび第2プリンターと通信可能なサーバー30と、を備える。UI部12aは、第1プリンター20には印刷不能かつ第2プリンターには印刷可能な媒体である特定媒体と、第2プリンターによる特定媒体への印刷に要する料金とを含む第2プリンター情報をUI内に表示させ、サーバー30は、UI部12aがユーザーUから受け付けた特定媒体への印刷のための印刷設定情報を含んだ、印刷指示を、第2プリンターへ送信する。
【0042】
前記構成によれば、第1プリンター20による印刷に必要な印刷設定情報を受け付け可能なUIである第1プリンター用UI50が表示部13に表示され、第1プリンター用UI50内には第2プリンター情報も表示される。そのため、ユーザーUは、第1プリンター用UI50において、第1プリンター20に印刷させる場合に行う通常の操作と同様の操作感覚で、容易に特定媒体を選択し、第2プリンターによる特定媒体への印刷を指示することができる。つまり、ユーザーUは、第1プリンター用UI50を通じて、第1プリンター用UI50が本来制御対象としている第1プリンター20ではない第2プリンターに、第1プリンター20では印刷不能な特定媒体への印刷を実行させることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、第2プリンター情報には、第2プリンターを使用する業者の名称、第2プリンターの所在地、特定媒体のサイズ、特定媒体の印刷の納期、および、前記業者の評価情報のうち少なくとも1つが含まれている、としてもよい。
前記構成によれば、ユーザーUは、第1プリンター用UI50を通じて、第2プリンターや第2プリンターを使用する印刷業者に関する詳細な情報を認識し、検討した上で、特定媒体への印刷を指示することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、前記印刷指示は、ユーザーUの名称および所在地の情報を含まず、第2プリンターを使用する業者とは異なる特定の業者がユーザーUの名称および所在地を特定することが可能なユーザーUの識別情報を含む、としてもよい。
前記構成によれば、第2プリンターを使用する印刷業者にユーザーUの個人情報を開示することなく、前記印刷指示をすることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、サーバー30は第2プリンターから第2プリンター情報を収集し、UI部12aは、サーバー30から第2プリンター情報を取得する、としてもよい。
前記構成によれば、サーバー30が様々な第2プリンターからそれぞれの第2プリンター情報を収集し、UI部12aは、そのように収集された第2プリンター情報を容易に取得することができる。また、サーバー30が、第2プリンター情報の収集を担うことで、サーバー30において第2プリンター情報が更新され、UI部12aは、最新の第2プリンター情報を得ることができる。
【0046】
また、サーバー30は、第1サーバーと第2サーバーとを含み、第1サーバーは、第2プリンター情報を収集し、第2サーバーは、前記印刷指示を第2プリンターへ送信する、としてもよい。
前記構成によれば、サーバー30を第1サーバーと第2サーバーとに分けることで、負荷や故障のリスクを分散させることができる。
【0047】
第1プリンター20は、実体を有するプリンターではなく、仮想プリンターであってもよい。仮想プリンターは、印刷用の画像データを、例えばPDF(Portable Document Format)形式のファイルに変換して出力、保存するソフトウェアである。この場合、印刷制御装置10が仮想プリンターである第1プリンター20としても働き、第1プリンター用UI50は、第1プリンター20による仮想的な印刷、つまり所定ファイル形式による出力に必要な印刷設定情報を受け付け可能なUIと捉えることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…印刷システム、10…印刷制御装置、11…制御部、12…プログラム、12a…UI部、12b…印刷指示部、13…表示部、14…操作受付部、15…記憶部、16…通信IF、20…第1プリンター、30…サーバー、31…収集サーバー、32…発注サーバー、40A,40B,40C…外部プリンター、50…第1プリンター用UI、51…媒体種設定欄、52…媒体サイズ設定欄、51a,52a…詳細情報、51b,52b…特定媒体リスト