(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046892
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ペット用トイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152244
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴 武
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101CA08
2B101GB08
(57)【要約】
【課題】従来よりも一層使い勝手の良いペット用トイレを提供すること。
【解決手段】ペット用トイレは、第1の部材及び第2の部材を含む複数の部材の組み合わせから構成されている。ペット用トイレは、各部材の組み合わせによって外形が異なり且つ飼育対象が異なる第1の形態及び第2の形態をとる。第1の部材は、第1の形態において視認不能であり且つ第2の形態において視認可能である表示部を有する。第1の部材は底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器であることが好ましい。第2の部材はペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器であることが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材及び第2の部材を含む複数の部材の組み合わせから構成されており、各部材の組み合わせによって外形が異なり且つ飼育対象が異なる第1の形態及び第2の形態をとるペット用トイレであって、
第1の部材は、第1の形態において視認不能であり且つ第2の形態において視認可能である表示部を有する、ペット用トイレ。
【請求項2】
第1の部材が底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器であり、
第2の部材がペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器であり、
前記外容器の側壁の一部に高さの低い外低側壁部を設けるとともに、
前記内容器の側壁の一部に高さの低い内低側壁部を設け、
前記外低側壁部と前記内低側壁部との位置を一致させて内容器を外容器の内部に配置することで、その隣接部の側壁よりも高さが低く、ペットがトイレ内に進入可能なペット進入部が形成されるようになされているとともに、
前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが一致しないように前記内容器を前記外容器の内部に配置することで、外低側壁部を内容器の側壁によって閉塞し、且つ内低側壁部を外容器の側壁によって閉塞して、前記ペット進入部が形成されないようになされており、
第1の形態においては、前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが一致しており、第2の形態においては、前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが不一致である、請求項1に記載のペット用トイレ。
【請求項3】
前記外容器は、前記外低側壁部が設けられた前記側壁と対向する位置にある側壁の内面に前記表示部を有する、請求項2に記載のペット用トイレ。
【請求項4】
前記内容器は、前記側壁の外面に内容器第2表示部を有する、請求項2又は3に記載のペット用トイレ。
【請求項5】
前記外低側壁部に向かって前記ペット用トイレを見たときに、前記内容器の前記側壁の内面に、第1の形態において視認可能であり且つ第2の形態において視認不能である内容器第1表示部を有する、請求項2ないし4のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項6】
第1の部材及び第2の部材を含む複数の部材の組み合わせから構成されており、各部材の組み合わせによって外形が異なり且つ使用形態が異なる第1の形態及び第2の形態をとるペット用トイレであって、
第1の部材が底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器であり、
第2の部材がペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器であり、
底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器と、
ペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器とを備えたペット用トイレであって、
前記外容器の側壁の一部に高さの低い外低側壁部を設けるとともに、
前記内容器の側壁の一部に高さの低い内低側壁部を設け、
前記外低側壁部と前記内低側壁部との位置を一致させて内容器を外容器の内部に配置することで、その隣接部の側壁よりも高さが低く、ペットがトイレ内に進入可能なペット進入部が形成されるようになされているとともに、
前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが一致しないように前記内容器を前記外容器の内部に配置することで、外低側壁部を内容器の側壁によって閉塞し、かつ内低側壁部を外容器の側壁によって閉塞して、前記ペット進入部が形成されないようになされており、
第1の形態においては、前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが一致しており、第2の形態においては、前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが不一致であり、
前記内容器の側壁の外面のうち、第2の形態において前記外低側壁部と対向する位置に内容器第3表示部を有する、ペット用トイレ。
【請求項7】
前記内容器第3表示部は、前記外低側壁部の端縁に沿った形状を有し、第1の形態及び第2の形態において視認不能である、請求項6に記載のペット用トイレ。
【請求項8】
第1の部材及び第2の部材を含む複数の部材の組み合わせから構成されており、各部材の組み合わせによって外形が異なり且つ使用形態が異なる第1の形態及び第2の形態をとるペット用トイレであって、
第1の部材が底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器であり、
第2の部材がペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器であり、
底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器と、
ペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器とを備えたペット用トイレであって、
前記外容器の側壁の一部に高さの低い外低側壁部を設けるとともに、
前記内容器の側壁の一部に高さの低い内低側壁部を設け、
前記外低側壁部と前記内低側壁部との位置を一致させて内容器を外容器の内部に配置することで、その隣接部の側壁よりも高さが低く、ペットがトイレ内に進入可能なペット進入部が形成されるようになされているとともに、
前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが一致しないように前記内容器を前記外容器の内部に配置することで、外低側壁部を内容器の側壁によって閉塞し、かつ内低側壁部を外容器の側壁によって閉塞して、前記ペット進入部が形成されないようになされており、
第1の形態においては、前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが一致しており、第2の形態においては、前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが不一致であり、
前記外容器の側壁の内面のうち、第2の形態において前記内低側壁部と対向する位置に外容器第3表示部を有する、ペット用トイレ。
【請求項9】
前記外容器第3表示部は、前記内低側壁部の端縁に沿った形状を有し、第1の形態及び第2の形態において視認不能である、請求項8に記載のペット用トイレ。
【請求項10】
第1の部材としての固定フードと、第2の部材としての可動フードと、開口部を有し且つ該開口部の開口端に該固定フードが取り付けられる容器と有し、
前記固定フードは、フード本体と、該フード本体の下部から水平方向に張り出した、前記開口端への固定用の枠体とを備え、
前記可動フードは、前記フード本体に設けられたフード本体開口部を開閉自在に該フード本体に取り付けられており、
前記可動フードは、第1の形態である閉状態において前記フード本体に設けられたフード本体開口部の少なくとも一部を閉塞可能に構成されているとともに、第2の形態である開状態において該フード本体開口部を完全開放可能に構成されており、
前記固定フードの前記枠体は、前記可動フードの閉状態において該可動フードによって覆われる位置に前記表示部を有する、請求項1に記載のペット用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
ペット用トイレに関する従来の技術として本出願人は先に、外容器と内容器とを備え、該外容器の側壁の一部に高さの低い外側低側壁部が設けられ、該内容器の側壁の一部に高さの低い内側低側壁部が設けられたペット用トイレを提案した(特許文献1参照)。同文献に記載のペット用トイレによれば、内容器を外容器の内部に配置するときに、外側低側壁部と内側低側壁部との位置を一致させる場合と、該外側低側壁部と該内側低側壁部との位置を一致させない場合とを選択することができるので、例えばペットが幼少の場合や身体能力が低下した場合は前者を選択し、ペットが成長した場合は後者を選択するなどして、ペットの状態に合わせて使用することができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年は、ペットを家族と同じように扱う家庭が増加しており、ペット市場は大きく成長している。このことに伴い、ペット製品においては、技術力の高さだけではなく、取り扱いの容易さや操作性の良さなどという、使い勝手の良さも要求されている。この要求は、特許文献1に記載のペット用トイレについても当てはまる。
したがって、本発明の課題は、従来よりも一層使い勝手の良いペット用トイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1の部材及び第2の部材を含む複数の部材の組み合わせから構成されており、各部材の組み合わせによって外形が異なり且つ飼育対象が異なる第1の形態及び第2の形態をとるペット用トイレに関する。
一実施形態において、第1の部材は、第1の形態において視認不能であり且つ第2の形態において視認可能である表示部を有することが好ましい。
【0006】
また本発明は、第1の部材及び第2の部材を含む複数の部材の組み合わせから構成されており、各部材の組み合わせによって外形が異なり且つ使用形態が異なる第1の形態及び第2の形態をとるペット用トイレに関する。
一実施形態において、第1の部材が底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器であることが好ましい。
一実施形態において、第2の部材がペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器であることが好ましい。
一実施形態において、底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器と、
ペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器とを備えることが好ましい。
一実施形態において、前記外容器の側壁の一部に高さの低い外低側壁部を設けるとともに、
前記内容器の側壁の一部に高さの低い内低側壁部を設けることが好ましい。
一実施形態において、前記外低側壁部と前記内低側壁部との位置を一致させて内容器を外容器の内部に配置することで、その隣接部の側壁よりも高さが低く、ペットがトイレ内に進入可能なペット進入部が形成されるようになされているとともに、
前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが一致しないように前記内容器を前記外容器の内部に配置することで、外低側壁部を内容器の側壁によって閉塞し、かつ内低側壁部を外容器の側壁によって閉塞して、前記ペット進入部が形成されないようになされていることが好ましい。
一実施形態において、第1の形態においては、前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが一致しており、第2の形態においては、前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが不一致であることが好ましい。
一実施形態において、前記内容器の側壁の外面のうち、第2の形態において前記外低側壁部と対向する位置に内容器第3表示部を有することが好ましい。
【0007】
更に本発明は、第1の部材及び第2の部材を含む複数の部材の組み合わせから構成されており、各部材の組み合わせによって外形が異なり且つ使用形態が異なる第1の形態及び第2の形態をとるペット用トイレである。
一実施形態において、第1の部材が底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器であることが好ましい。
一実施形態において、第2の部材がペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器であることが好ましい。
一実施形態において、底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器と、
ペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器とを備えることが好ましい。
一実施形態において、前記外容器の側壁の一部に高さの低い外低側壁部を設けるとともに、
前記内容器の側壁の一部に高さの低い内低側壁部を設けることが好ましい。
一実施形態において、前記外低側壁部と前記内低側壁部との位置を一致させて内容器を外容器の内部に配置することで、その隣接部の側壁よりも高さが低く、ペットがトイレ内に進入可能なペット進入部が形成されるようになされているとともに、
前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが一致しないように前記内容器を前記外容器の内部に配置することで、外低側壁部を内容器の側壁によって閉塞し、かつ内低側壁部を外容器の側壁によって閉塞して、前記ペット進入部が形成されないようになされていることが好ましい。
一実施形態において、第1の形態においては、前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが一致しており、第2の形態においては、前記外低側壁部の位置と前記内低側壁部の位置とが不一致であることが好ましい。
一実施形態において、前記内容器の側壁の内面のうち、第2の形態において前記内低側壁部と対向する位置に外容器第3表示部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来よりも一層使い勝手の良いペット用トイレを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明のペット用トイレの一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明のペット用トイレの一実施形態における第1の形態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明のペット用トイレの一実施形態における第2の形態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明のペット用トイレの別の実施形態を示す分解斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、
図4に示すペット用トイレの第1の形態を示す平面図であり、
図5(b)は、
図4に示すペット用トイレの第2の形態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、本発明のペット用トイレの更に別の実施形態を示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すペット用トイレの第2の形態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明のペット用トイレの更に別の実施形態を示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明のペット用トイレの更に別の実施形態を示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明のペット用トイレの更に別の実施形態における第1の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。参照する図面について、同等の構成を有する部分には同一の符号を付しており、特に断りのない限り、同一の符号を付した事項に関する説明が適宜適用される。図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0011】
本発明のペット用トイレは、例えば犬や猫、ウサギ、モルモット、ハムスター等の愛玩動物、特に猫の排泄物の処理又は排泄物の採取等に用いることができるものである。本発明のペット用トイレは、これを室内に配置して、室内で飼育されるペット用のトイレとして特に有用なものである。
【0012】
図1に示すとおり、ペット用トイレ(以下、単に「トイレ」ともいう。)1は、第1の部材及び第2の部材を有する。第1の部材は、外容器10からなる。第2の部材は、内容器20からなる。トイレ1は、第1の部材及び第2の部材のほかに、別の部材を有していてもよい。したがって、トイレ1は、第1の部材及び第2の部材を含む複数の部材を組み合わせて構成されてもよい。
【0013】
本実施形態のトイレ1において、外容器10と内容器20とは
図1に示すとおり、内容器20が外容器10の内部に入れ子状に配置されて使用される。
【0014】
トイレ1を構成する各部材の材質は、耐食性を有するものであれば特に制限はない。軽量で取り扱い易く、成形性がよい等の点から、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等の汎用の合成樹脂で一体成形されたものが好ましい。また、ペット用トイレを構成する各部材は、表面に撥水加工や抗菌加工が施されたものを用いることがより好ましい。
【0015】
図1に示すとおり外容器10は、平面視して略矩形の底部11を有している。底部11の周縁には側壁12が立設されている。側壁12は、底部11の周縁の全域に立設されている。側壁12は、上方へ向かうに連れて外容器10の外方に向けて若干傾斜している。側壁12の上端14は、外容器10の外方に向けて反り返った形状になっており、底部11と略平行になっている。側壁12は、対向する面状の第1側壁12a及び第2側壁12bを有している。更に側壁12は、対向する面状の第3側壁12c及び第4側壁12dを有している。
【0016】
内容器20は、平面視して略矩形の底部21を有している。底部21は、外容器10の底部11と略相似形になっており、底部11よりも小さくなっている。底部21は、ペットの排泄液の透過が可能な簀の子構造になっている。この簀の子構造は、略格子状の桟部23aと、桟部23aによって画成される貫通孔23bとから構成されている。底部21の周縁には側壁22が立設されている。側壁22は、底部21の周縁の全域に立設されている。側壁22は、上方へ向かうに連れて内容器20の外方に向けて若干傾斜している。側壁22の上端24は、内容器20の外方に向けて弧を描いた形状になっており、曲線部を有している。側壁22は、対向する面状の第1側壁22a及び第2側壁22bを有している。更に側壁22は、対向する面状の第3側壁22c及び第4側壁22dを有している。
【0017】
図2及び3に示すとおり、トイレ1は、該トイレ1を構成する各部材の組み合わせによって、外形を異ならせることができ且つ飼育対象を異ならせることができる。これによって、トイレ1は、外形が異なり且つ飼育対象が異なる第1の形態及び第2の形態をとることができる。
図2は第1の飼育対象に用いられる第1の形態のトイレ1を示し、
図3は第2の飼育対象に用いられる第2の形態のトイレ1を示す。
【0018】
第1の飼育対象と第2の飼育対象とは専ら体のサイズによって区別される。詳細には、
図2に示す第1の形態のトイレ1は、相対的に体のサイズが小さいペット(例えば低月齢の猫)の飼育に好適に用いられる。一方、
図3に示す第2の形態のトイレ1は、相対的に体のサイズが大きいペット(例えば成猫)の飼育に好適に用いられる。
尤も、第1の飼育対象と第2の飼育対象が同程度の体のサイズであっても、第1の形態のトイレ1と第2の形態のトイレ1とを使い分けることが可能である。例えばいずれも成猫であって体のサイズも同程度であるが、四肢の一部に障害又は疾患を有する猫の飼育には第1の形態のトイレ1が適しており、健康体である猫の飼育には第2の形態のトイレ1が適している。
【0019】
第1の形態及び第2の形態のいずれにおいても、外容器10の内部に内容器20が配置される。そして、第1の形態及び第2の形態のいずれにおいても、外容器10の内部に内容器20が配置された状態において、外容器10の側壁12の上端14上に、内容器20の側壁22の上端24が当接する。それによって、第1の形態及び第2の形態のいずれにおいても、内容器20が外容器10に入れ子状態で保持され、内容器20の側壁22と外容器10の側壁12とによって、トイレ1の側壁3が形成される。この状態においては、内容器20の簀の子構造の底部21が、外容器10の底部11から上方に離間する。したがって、内容器20の底部21と、外容器10の底部11との間には空間が形成される。この空間には、例えばシート状又は板状の尿吸収体(図示せず)を配置することができる。シート状又は板状の尿吸収体は、その下面が、外容器10の底部11の上面と当接する。内容器20の底部21上には、対象動物の習性に応じて底部21に設けられる簀の子構造の貫通孔23bを通過しない程度の大きさを有する排泄物処理材等(図示せず)を配置することができる。
【0020】
内容器20の底部21と、外容器10の底部11との間の空間に尿吸収体を配置する場合、尿吸収体としては、例えばパルプ繊維、粘土鉱物系材料、高分子吸水材料等の成分の1種以上を含む原料をシート状又は板状に成形したものを使用することができる。
【0021】
内容器20の底部21上に排泄物処理材を配置する場合、排泄物処理材としては、例えば植物由来の素材の粉砕物、合成樹脂、粘土鉱物等の成分の1種以上を含んで構成され、所定の形状に成形された成形物が挙げられる。排泄物処理材の形状は、例えば、円筒形状、球状、立方体、直方体等とすることができる。
【0022】
図1に示すとおり、外容器10は、その側壁12の一部、具体的には第1側壁12aの幅方向略中央域が、第1側壁12aの上端14から下方に向けて、略逆台形状に切り欠かれている。その結果、第1側壁12aには、側壁12の他の部位よりも高さの低い外低側壁部15が設けられている。外低側壁部15の上端15aは、外容器10の外方に向けて反り返った形状になっており、側壁12の他の部位の上端14と略平行になっている。
【0023】
外容器10と同様に、内容器20の側壁22も切り欠かれている。詳細には、
図1に示すとおり、内容器20は、その側壁22の一部、具体的には第1側壁22aの幅方向略中央域が、第1側壁22aの上端24から下方に向けて、略逆台形状に切り欠かれている。その結果、第1側壁22aには、側壁22の他の部位よりも高さの低い内低側壁部25が設けられている。内低側壁部25は、その上端25aが、側壁22の他の部位の上端24と略平行になっている。
【0024】
トイレ1において、第1の部材、すなわち外容器10は、
図1に示すとおり第2側壁12bの内面における幅方向中央域の上方側に、表示部40を有している。詳細には表示部40は、第2側壁12bの内面のうち、
図3に示す第2の形態において、外容器10内に内容器20を配置した状態で、内容器20の第1側壁22aによって遮られない位置に設けられている。具体的には、外低側壁部15が設けられた第1側壁12aと対向する位置にある第2側壁12bの内面に表示部40が設けられている。
【0025】
表示部40には、立位の成猫が表示されている。表示部40は、例えば印刷が施された印字部であり得る。あるいは、表示部40は貼付物又は外容器10の成形時に形成された浮き彫り等であり得る。表示部40は、視認可能な大きさであればその形状や色彩等位ついては特に制限されない。本明細書において「成猫」とは、生後概ね12ヶ月以上の猫をいう。
【0026】
図1に示すトイレ1の使用方法は
図2及び
図3に示すとおりである。初めに、
図2に示す第1の形態について説明する。
まず、外容器10における外低側壁部15と、内容器20における内低側壁部25との位置を一致させて内容器20を外容器10の内部に配置する。つまり、内容器20が外容器10の内部に配置された状態において、外容器10の第1側壁12aと、内容器20の第1側壁22aとが対向するようにする。このように配置されたトイレ1が、第1の形態である。両容器10,20をこのように配置することで、外低側壁部15と内低側壁部25との位置が一致して、トイレ1に、その左右両側に隣接する部位の側壁3よりも高さが低く、ペットがトイレ1内に進入可能なペット進入部2が形成される。ペット進入部2は、トイレ1における側壁3よりも高さが低くなっているので、例えば低月齢のペットを飼育する場合、該ペットはペット進入部2を通じてトイレ1への出入りが容易になる。同様に、成長したペットであって且つ身体能力が低下したペットも、ペット進入部2を通じてトイレ1への出入りが容易になる。
【0027】
このことに加えて、
図2に示す第1の形態では、表示部40は第2側壁22bによって遮られる。つまり第1の形態において、成猫を意味する表示部40は視認不能である。したがってトイレ1の使用者(つまりペットの飼育者)は、第1の形態のトイレ1を見たとき、当該トイレ1が成猫のためのものでないこと、換言すれば低月齢の猫のためのものであることを容易に認識できる。このように、本実施形態のトイレ1によれば、飼育しているペットのサイズに応じ、第1の形態及び第2の形態のうち、いずれの形態を選択すべきかを、トイレ1の使用者に容易に認識させられるという利点がある。
【0028】
第1の形態のトイレ1は、上述のとおり、飼育しているペットが低月齢の場合や身体能力が低下した場合に有用である。一方、成長した健常なペットを、トイレ1を用いて飼育する場合には、内容器20の底部21に配置された排泄物処理材等(図示せず)が、ペット進入部2を通じて外部へ飛び散るおそれがある。そこで、成長したペットや健常なペットを飼育する場合には、外容器10と内容器20との配置形態を、第1の形態から第2の形態へ変更することで、粒状物等の飛び散りを効果的に防止することができる。詳細には、
図3に示すとおり、外容器10の外低側壁部15の位置と、内容器20の内低側壁部25の位置とが一致しないように、内容器20を外容器10の内部に配置する第2の形態を採用する。具体的には、内容器20の側壁22のうち、内低側壁部25が設けられている側壁である第1側壁22aと向かい合う第2側壁22bが、外容器10の外低側壁部15と対向する位置関係で、内容器20が外容器10内に配置される。これに加えて、外容器10の側壁12のうち、外低側壁部15が設けられている側壁である第1側壁12aと向かい合う第2側壁12bが、内容器20の内低側壁部25と対向する位置関係で、内容器20が外容器10内に配置される。要するに、外容器10については、第1の形態と同様にしておき、内容器20を、第1の形態から平面内において180度回転させて配置する。これによって、外容器10の外低側壁部15が内容器20の側壁の一部である第2側壁22bによって閉塞される。これに加えて、内容器20の内低側壁部25が、外容器10の側壁の一部である第2側壁12bによって閉塞される。したがって、第2の形態において、外低側壁部15の位置と内低側壁部25の位置とは不一致となる。その結果、
図3に示す第2の形態のトイレ1においては、
図2に示す第1の形態のトイレ1と異なり、ペット進入部2が形成されない。換言すれば、第2の形態のトイレ1においては、高い側壁3が全周に連続して形成された状態になる。このように各容器10,20が配置されたトイレ1が、第2の形態である。これによって、成長した健常なペットが、トイレ1内で排泄を行い、その後に排泄した箇所に排泄物処理材等をかけたとしても、排泄物処理材等が側壁3を越えてトイレ外へ飛び散ることが効果的に防止される。
【0029】
しかも、外容器10の第2側壁12bの内面における幅方向中央域の上方側に位置する表示部40は、内容器20の内低側壁部25の上端25aよりも上部に配置される。したがって、
図3に示すとおり、表示部40を外部から視認可能にすることができる。その結果、トイレ1の使用者は、該トイレ1に成猫を意味する表示部40が付されていることを視覚を通じて容易に認識できるので、該トイレ1、すなわち第2の形態のトイレ1が成猫のためのものであることを容易に理解できる。
【0030】
なお前記の「閉塞される」とは、外容器10の外低側壁部15の高さがその周囲の側壁高さと同じになるように塞がれる場合のみならず、外低側壁部15の高さが十分高くなるように塞がれる場合も含む。
【0031】
このように、第1の形態及び第2の形態をとるトイレ1によれば、ペットをその低月齢期から成長終期までの長い期間にわたって正しい使用形態で使用することができる。
【0032】
以上のとおり、第1の形態において視認不能であり且つ第2の形態において視認可能である表示部40を有する本実施形態のトイレ1によれば、該トイレ1を使用するときに表示部40を視認できるか否かを目印とすることで、該トイレ1の使用者は、外容器10と内容器20との配置形態が第1の形態及び第2の形態のうちどちらの形態であるか、一目で認識しやすくなる。更に、トイレ1においては、外容器10と内容器20との配置形態を変更する毎に表示部40を視認できるか否かが切り替わり、その切り替わりがきっかけとなって、使用者は、該トイレ1が第1の形態及び第2の形態を含む複数の配置形態のいずれかをとることを容易に認識しやすくなる。
【0033】
上述の利点を一層効果的なものとする観点から、表示部40の幅方向の長さは、外容器10の第2側壁12bの幅方向の長さに対して、好ましくは5%以上であり、好ましくは50%以下である。
同様の観点から、表示部40の縦方向の長さは、外容器10の第2側壁12bの縦方向の長さに対して、好ましくは10%以上であり、好ましくは50%以下である。
更に同様の観点から、表示部40は、外容器10の第2側壁12bの幅方向の25%以上75%以下に位置することが好ましく、外容器10の第2側壁12bの縦方向の50%以上95%以下に位置することが好ましい。
【0034】
図4ないし
図9には、
図1ないし
図3に示すトイレ1の別の実施形態が示されている。
図4ないし
図9に示すトイレ1については、
図1ないし
図3に示すトイレ1と異なる構成を主に説明し、該トイレ1と同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。また、
図4ないし
図9に示すトイレ1において特に説明しない構成には、
図1ないし
図3に示すトイレ1の説明が適宜適用される。
【0035】
図4に示す実施形態のトイレ1においては、内容器20は、側壁22の内面に内容器第1表示部41を有している。具体的には、内容器20は、第2側壁22bの内面における幅方向中央域の上方側に内容器第1表示部41を有している。内容器第1表示部41は、座位の子猫を表示するものである。それ以外の点は、
図1ないし3に示す実施形態と同様である。
なお本明細書において「子猫」とは、生後概ね6ヶ月未満の低月齢の猫をいう。
【0036】
図5(a)は、
図4に示すトイレ1の第1の形態を示している。本形態のトイレ1は、専ら子猫をはじめとする低月齢のペットを飼育するために用いられるものである。第1の形態において、内容器第1表示部41は、外容器10のいずれの側壁12にも遮られていない。したがって、本形態において、外低側壁部15に向かってトイレ1を見たときに、内容器第1表示部41は視認可能である。
一方、
図5(b)は、
図4に示すトイレ1の第2の形態を示している。本形態のトイレ1は、専ら成猫をはじめとする十分に成長したペットを飼育するために用いられるものである。第2の形態において、外低側壁部15に向かってトイレ1を見たときに、内容器第1表示部41は死角となり視認不能である。その一方で、外低側壁部15に向かってトイレ1を見たときに、表示部40は視認可能である。
【0037】
このような構成を有するトイレ1によれば、該トイレ1を所定の方向から見たときに、具体的には外低側壁部15に向かってトイレ1を見たときに、第1の形態においては座位の子猫を形どった内容器第1表示部41が視認され(
図5(a)参照)、第2の形態においては立位の成猫を形どった表示部40が視認される(
図5(b)参照)。その結果、トイレ1の使用者は、外容器10と内容器20との配置形態と、ペットの成長過程とを紐づけた認識が容易になる。したがって、本実施形態のトイレ1によれば、第1の形態が低月齢のペットの使用に適した形態であり、第2の形態が十分に成長したペットの使用に適した形態であることを使用者に容易に認識させられるので、この点で従来よりも一層使い勝手が向上する。
【0038】
上述の効果を一層奏させる観点から、内容器第1表示部41の幅方向の長さは、内容器20の第2側壁22bの幅方向の長さに対して、好ましくは5%以上であり、好ましくは25%以下である。
上述の効果を一層奏させる観点から、内容器第1表示部41の縦方向の長さは、内容器20の第2側壁22bの縦方向の長さに対して、好ましくは10%以上であり、好ましくは90%以下である。
【0039】
図6に示す実施形態のトイレ1においては、内容器20は、側壁22の外面に内容器第2表示部42を有している。具体的には、内容器20は、内低側壁部25が設けられている第1側壁22aと対向する位置にある第2側壁22bの外面における幅方向中央域の上方側に内容器第2表示部42を有している。内容器第2表示部42には、猫の上半身が表示されている。内容器第2表示部42の縦方向の下端は、内容器20の底部21と水平であり、略直線状になっている。
【0040】
第1の形態(図示せず)において、内容器第2表示部42は、外容器10の第2側壁12bと対向する。したがって、本形態においては、内容器第2表示部42は内容器20によって遮られて視認不能であるとともに、成猫を意味する表示部40も視認不能である。この形態は、先に説明した
図2と同様である。
【0041】
一方、
図7は、
図6に示すトイレ1の第2の形態を示している。第2の形態において、内容器第2表示部42は、外容器10のいずれの側壁12にも遮られていない。詳細には、内容器第2表示部42は、外容器10の外低側壁部15の左右両側に隣接する部位の側壁3の間に位置している。内容器第2表示部42の縦方向の下端は、外容器10の外低側壁部15の上端15aと水平方向に略同じ高さに位置している。したがって、第2の形態において、内容器第2表示部42は視認可能である。また外容器10に設けられた表示部40も視認可能になっている。その結果、トイレ1の使用者は、本形態のトイレ1が成猫をはじめとする十分に成長したペットの飼育に適したものであることを容易に認識できる。
【0042】
このような構成を有するトイレ1によれば、
図1ないし
図3に示す実施形態において奏される効果に加えて次の効果も奏される。すなわち、第2の形態において、外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合した場合のみに、内容器第2表示部42の縦方向の下端が、外容器10の外低側壁部15の上端15aと水平方向に略同じ高さに位置するようになる。これに対して、例えば第2の形態において外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合していない場合、内容器第2表示部42の縦方向の下端は、外容器10の外低側壁部15の上端15aと異なる位置となる。これによって、トイレ1の使用者は、外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合しているか否かを、内容器第2表示部42の位置に紐づけて認識できるようになる。したがって、本実施形態のトイレ1によれば、第2の形態において、外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合しているか否かを容易に認識できるようになり、この点で従来よりも一層使い勝手が向上する。
【0043】
上述の効果を一層奏させる観点から、内容器第2表示部42の幅方向の長さは、内容器20の第2側壁22bの幅方向の長さに対して、好ましくは10%以上であり、好ましくは50%以下である。
上述の効果を一層奏させる観点から、内容器第2表示部42の縦方向の長さは、内容器20の第2側壁22bの縦方向の長さに対して、好ましくは10%以上であり、好ましくは50%以下である。
【0044】
図8に示すトイレ1においては、内容器20は、側壁22の外面のうち、内低側壁部25が設けられている第1側壁22aと対向する位置にある第2側壁22bの外面に、内閉塞部51を有している。内閉塞部51は、内容器20の第2側壁22bの一部である。内閉塞部51は、第2の形態において外容器10の外低側壁部15と対向する位置に、内容器第3表示部43を有している。内容器第3表示部43は、猫の複数の足跡が点列状に表示されてなるものである。内容器第3表示部43は、外容器10の外低側壁部15の端縁に沿って線状に施されている。
【0045】
本実施形態のトイレ1の第1の形態(図示せず)において、内容器第3表示部43は、外容器10の第2側壁12bの内面と対向し、内容器第3表示部43は該第2側壁12bによって遮られて視認不能である。成猫を意味する表示部40も視認不能になっている。この形態は、先に説明した
図2と同様である。
一方、第2の形態(図示せず)においては、内容器第3表示部43は、外容器10の第1側壁12aの内面と対向する。この形態において、内容器第3表示部43の全ては、外容器10の外低側壁部15の上端15aよりも縦方向の下側に位置するので、該内容器第3表示部43は該第1側壁12aによって遮られて視認不能である。一方、外容器10に設けられた表示部40は視認可能になっている。この形態は、先に説明した
図3と同様である。
【0046】
以上のとおり、内容器第3表示部43は、第1の形態及び第2の形態において視認不能である。このような構成を有するトイレ1によれば、第2の形態において、外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合した場合のみに、内容器第3表示部43の全てが、外容器10の外低側壁部15の上端15aよりも縦方向の下側に位置して視認不能になる。これに対して、例えば第2の形態において外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合していない場合、内容器第3表示部43の少なくとも一部は、外容器10の外低側壁部15の上端15aよりも縦方向の上側にはみ出してしまう。これによって、トイレ1の使用者は、外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合しているか否かを、内容器第3表示部43が視認できるか否かに紐づけて認識できるようになる。したがって、本実施形態のトイレ1によれば、先に述べた
図1ないし
図3に示す実施形態によって奏される効果に加えて、第2の形態において、外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合しているか否かを容易に認識できるようになり、この点で従来よりも一層使い勝手が向上する。
【0047】
図9に示すトイレ1においては、外容器10は、側壁12の内面に、外閉塞部52を有している。外閉塞部52は、外容器10の第2側壁12bの一部である。外閉塞部52は、第2の形態において内容器20の内低側壁部25と対向する位置に外容器第3表示部44を有している。外容器第3表示部44は、猫の複数の足跡が点列状に表示されてなるものである。外容器第3表示部44は、内低側壁部25の端縁に沿って施されている。
【0048】
本実施形態のトイレ1の第1の形態(図示せず)において、外容器第3表示部44は、内容器20の第2側壁22bの外面と対向し、該外容器第3表示部44は該第2側壁22bによって遮られて視認不能である。成猫を意味する表示部40も視認不能である。この形態は、先に説明した
図2と同様である。
一方、第2の形態(図示せず)においては、外容器第3表示部44は、内容器20の第1側壁22aと対向する。この形態において、外容器第3表示部44の全ては、内容器20の内低側壁部25の上端25aよりも縦方向の下側に位置するので、該外容器第3表示部44は該第1側壁22aによって遮られて視認不能である。一方、外容器10に設けられた表示部40は視認可能になっている。この形態は、先に説明した
図3と同様である。
【0049】
以上のとおり、外容器第3表示部44は、第1の形態及び第2の形態において視認不能である。このような構成を有するトイレ1によれば、第2の形態において、外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合した場合のみに、外容器第3表示部44の全てが、内容器20の内低側壁部25の上端25aよりも縦方向の下側に位置して視認不能になる。これに対して、例えば第2の形態において外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合していない場合、外容器第3表示部44の少なくとも一部は、内容器20の内低側壁部25の上端25aよりも縦方向の上側にはみ出してしまう。これによって、トイレ1の使用者は、外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合しているか否かを、外容器第3表示部44が視認できるか否かに紐づけて認識できるようになる。したがって、本実施形態のトイレ1によれば、先に述べた
図1ないし
図3に示す実施形態によって奏される効果に加えて、第2の形態において、外容器10と内容器20とが正しい位置で嵌合しているか否かを容易に認識できるようになり、この点で従来よりも一層使い勝手が向上する。
【0050】
図10ないし
図12には、本発明のトイレの別の実施形態が示されている。
図10ないし
図12に示すトイレ1については、
図1ないし
図9に示すトイレ1と異なる構成を主に説明し、該トイレ1と同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。また、
図10ないし
図12に示すトイレ1において特に説明しない構成は、
図1ないし
図9に示すトイレ1の説明が適宜適用される。
【0051】
図10に示す実施形態のトイレ1は、第1の部材としての固定フード60と、第2の部材としての可動フード70と、開口部を有し且つ該開口部の開口端に該固定フード60が取り付けられる容器80とを有している。
【0052】
容器80は、開口部を有する外容器81と、外容器81内に着脱自在に装着される内容器82とを有している。外容器81は、平面視して略矩形の外底部(図示せず)を有している。外底部の周辺には側壁81Aが立設されている。側壁81Aの一面には、収納部(図示せず)が位置している。収納部は、後述するトレー83が収納される部位である。収納部の大きさ及び形状は、後述するトレー83の引き出し方向と直交する横方向の断面形状及び大きさと略同じ(僅かに大きい)に形成されている。後述するトレー83の引き出し方向の長さは、外容器81の長手方向の長さと略同じ長さに形成されている。側壁81Aは、外容器81の外方に向けて若干傾斜している。側壁81Aの上端(図示せず)は、外容器81の外方に向けて反り返った形状になっており、外底部と略平行になっている。
内容器82は、平面視して略矩形の内底部(図示せず)を有している。内底部は、外容器81の外底部と略相似形になっており、外底部よりも小さくなっている。内底部は、ペットの排泄液の透過が可能な簀の子構造になっている。この簀の子構造は、略格子状の桟部(図示せず)と、桟部によって画成される貫通孔(図示せず)とから構成されている。内底部の周縁には側壁82Aが立設されている。側壁82Aは、内底部の周縁の全域に立設されている。側壁82Aは、内容器82の外方に向けて若干傾斜している。側壁82Aの上端(図示せず)は、内容器82の外方に向けて反り返った形状になっており、内底部と略平行になっている。
【0053】
外容器81の内部に内容器82が配置された状態において、外容器81の側壁81Aの上端に、内容器82の側壁82Aの上端が当接する。これによって、内容器82が外容器81に入れ子状態で保持され、内容器82の側壁82Aと外容器81の側壁81Aとによって、トイレ1の側壁80Aが形成されるとともに、内容器82の側壁82A上端と外容器81の側壁81Aの上端とによって、容器80の開口部(図示せず)が形成される。内容器82の側壁82Aの上端は、開口部の開口端(図示せず)となる。
【0054】
外容器81の内部に内容器82が配置された状態において、容器80の内部は、外容器81の内底部によって上層部分80P及び下層部分80Qに区画されている。容器80は、容器80の下層部分80Qに引き出し自在に収容されるトレー83を有している。トレー83が容器80に収容された状態において、トレー83は、外容器81の側壁81Aの内部に位置している。
【0055】
固定フード60は、フード本体61と、該フード本体61の下部に連設され且つ水平方向に張り出した枠体62とを備えている。固定フード60は、容器80の開口部を覆うように、開口部の開口端上に取り付けられる。
図11に示すとおり、フード本体61は、平面視して略矩形の上面部61aを有している。上面部61aの周辺からは側壁が垂下している。側壁は、対向する第1側壁61b及び第2側壁61cを有している。更に側壁は、対向する第3側壁61d及び第4側壁61eを有している。フード本体61は、その側壁の一部、具体的には第4側壁61eの略全領域が、第4側壁61eの下端から上方に向けて、矩形状に切り欠かれている。その結果、第4側壁61eは、側壁の他の部位よりも縦方向の長さが短くなっている。そして、第1側壁61b,第2側壁61c及び第4側壁61eによって、フード本体61に、フード本体開口部63が画成されている。
【0056】
固定フード60は、フード本体61の下部から水平方向に張り出した枠体62を備えている。枠体62は、固定フード60を、容器80の開口部の開口端へ固定するために用いられる。枠体62は、互いに平行な一対の第1枠体62a及び第2枠体62bを有している。更に枠体62は、第3枠体62cを有している。第3枠体62cは、第1枠体62a及び第2枠体62bそれぞれの端部に連結している。
枠体62は、後述する可動フード70の第1の形態である閉状態において、可動フード70によって覆われる位置に表示部90を有している。具体的には、枠体62は、第3枠体62cの幅方向の中央域の上面に表示部90を有している。表示部90は、立位の大型猫を示すものである。本明細書において「大型猫」とは、体重が概ね5kg以上の猫であり、通常の成猫よりも体格が大きな猫をいう。表示部90は、視認可能な大きさであれば特に制限されない。
【0057】
可動フード70は、平面視して略矩形状の上面部70aを有している。上面部70aの周辺からは側壁が垂下している。側壁は、対向する面状の第1側壁70b及び第2側壁70cを有している。更に側壁は、第3側壁70dを有している。第3側壁70dと対向する面には、側壁は位置していない。可動フード70は、その側壁の一部、具体的には第3側壁70dの中央域がくりぬかれて、ペットがトイレ1に進入可能なペット進入部71が形成されている。可動フード70は、ペット進入部71の下端から可動フード70の内部に向かって水平方向に延出した内方延出部70eを備えている。内方延出部70eのうち、延出方向に沿う各側縁はそれぞれ第1側壁70b及び第2側壁70cに連結している。内方延出部70eの大きさ及び固定フード60の第3枠体62cの大きさは、略同じになっている。したがって、可動フード70を閉状態にすると、内方延出部70eと第3枠体62cとが重なるようになっている。可動フード70は、フード本体開口部63が開閉自在になるように、支持部72によってフード本体61に支承されている。可動フード70は、フード本体61に設けられたフード本体開口部63の少なくとも一部を閉塞可能に構成されている。
【0058】
図10及び
図12に示すとおり、トイレ1によれば、該トイレ1を構成する各部材の組み合わせによって、第1の形態及び第2の形態をとることができ、その外形を異ならせることができ且つ飼育対象を異ならせることができる。
【0059】
図10は、本実施形態のトイレ1の第1の形態を示している。本形態では可動フード70が閉状態である。本形態において、固定フード60の枠体62に設けられた表示部90は可動フード70によって遮られて視認不能である。
【0060】
一方、
図12は、本実施形態のトイレ1の第2の形態を示している。本形態では、支持部72を回転軸として可動フード70を上方へ向けてはね上げて該可動フード70を固定フード60上に位置させることでフード本体開口部63が完全開放されて、可動フード70が開状態となる。フード本体開口部63の大きさは、ペット進入部71の大きさよりも大きくなっている。したがって、フード本体開口部63が完全に開放されると、ペットはフード本体開口部63を通じてトイレ1に出入り可能になる。本形態では表示部90は、何によっても遮られておらず外部に露出しているので該表示部90は視認可能になっている。
【0061】
このような構成を有するトイレ1によれば、第2の形態でフード本体開口部63が大きく開放された場合のみにおいて、表示部90を視認できるようになる。これに対して、例えば第1の形態で、可動フード70によってフード本体開口部63が閉塞されていたり、第2の形態でフード本体開口部63が一部しか開放されなかったりすると、表示部90の全部を視認することは困難である。これによって、トイレ1の使用者は、第1の形態が、通常の体格を有するペットが使用する場合に適しているとともに、第2の形態が、体格の大きなペットが使用する場合に適していることを容易に認識でき、この点で従来よりも一層使い勝手が向上する。
【0062】
上述の効果を一層奏させる観点から、トイレ1には表示部90に加えて他の表示部が更に設けられていてもよい。
例えば
図12に示すとおり、可動フード70は、第1の形態において固定フード60の枠体62と対向する位置に可動フード第1表示部91を有していてもよい。具体的には、可動フード70の内方延出部70eの外面の幅方向中央域に、可動フード第1表示部91を設けてもよい。可動フード第1表示部91には、表示部90と同種の大型猫を表示することができる。つまり、可動フード第1表示部91は、表示部90と同様とすることができる。このような構成を有するトイレ1によれば、使用者は、第2の形態でフード本体開口部63が大きく解放された場合に、表示部90に加えて可動フード第1表示部91を視認することができる。したがって、本実施形態のトイレ1によれば、第2の形態が、体格の大きなペットが使用する場合に適していることを使用者に一層容易に認識させやすくなり、この点で従来よりも一層使い勝手が向上する。
【0063】
トイレ1には、表示部90及び可動フード第1表示部91とは異種の表示部を更に設けてもよい。
例えば
図11に示すとおり、可動フード70は、第3側壁70dの外面の上部に、可動フード第2表示部92を有していてもよい。可動フード第2表示部92には、立位の成猫が表示されている。
また可動フード70は、内方延出部70eの内面(すなわち
図11中、内方延出部70eの上面)の中央域に、可動フード第3表示部93を有していてもよい。可動フード第3表示部93には、可動フード第2表示部92と同じであるか又は異なる立位の成猫が表示されている。このような構成を有するトイレ1によれば、フード本体開口部63が可動フード70によって閉塞された第1の形態で、可動フード第2表示部92及び可動フード第3表示部93のみを視認することができる。したがって第1の形態が、通常の体格を有するペットが使用する場合に適していることを、トイレ1の使用者に一層容易に認識させられる。
【0064】
一方、フード本体開口部63が大きく開放された第2の形態において、フード本体開口部63に向かってトイレ1を見た場合、可動フード第2表示部92はトイレ1の天面に位置する。また、可動フード第3表示部93は内方延出部70eの背面に位置する。その結果、可動フード第2表示部92及び可動フード第3表示部93は死角となり視認不能であり、表示部90及び可動フード第1表示部91のみが視認可能である。したがって、本実施形態のトイレ1によれば、トイレ1の使用者は、第2の形態が、体格の大きなペットが使用する場合に適していることを、一層容易に認識することができる。
【0065】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば
図1ないし
図12に示す実施形態においては、各表示部は猫の姿や足跡を形どっていたが、これに代えて、犬、ウサギ、モルモット、ハムスター等の動物の姿や足跡を形どってもよく、あるいはそれに加えて又はそれに代えて文字や記号を付してもよい。
【0066】
また、各実施形態のトイレ1においては、外容器10の外低側壁部15の上端15aと、内容器20の内低側壁部25の上端25aとは、ほぼ同じ位置にあるが、これに代えて、外容器10の外低側壁部15の上端15aの位置を、内容器20の内低側壁部25の上端25aの位置よりも高くしてもよく、あるいはその逆に、内容器20の内低側壁部25の上端25aの位置を、外容器10の外低側壁部15の上端15aの位置よりも高くしてもよい。また、外容器10の外低側壁部15の位置と、内容器20の内低側壁部25の位置とが、ペット進入部2が形成される範囲内でずれていても構わない。
【0067】
また、各実施形態のトイレ1においては、外低側壁部15の幅と、内低側壁部25の幅とはほぼ同じになっているが、これに代えて、外低側壁部15の幅を、内低側壁部25の幅よりも広くしてもよく、あるいはその逆に、内低側壁部25の幅を、外低側壁部15の幅よりも広くしてもよい。トイレ1におけるペット進入部2の幅は、外低側壁部15及び内低側壁部25の幅のうち、狭い方の幅によって決定される。
【符号の説明】
【0068】
1 ペット用トイレ
10 外容器(第1の部材)
15 外低側壁部
20 内容器(第2の部材)
25 内低側壁部
2 ペット進入部
3 側壁
40 表示部