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特開2024-46893携帯端末装置、印刷サービスシステム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046893
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】携帯端末装置、印刷サービスシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240329BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G06F3/12 360
G06F3/12 367
G06F3/12 392
G06F3/12 311
G06F3/12 336
B41J29/38 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152246
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 翔
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HN05
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】印刷装置との無線通信に基づく測距のみを利用する場合に比して、印刷の終了時間を、ユーザが印刷装置に到着する時点に精度良く合わせる。
【解決手段】携帯端末装置40は、施設2の中の店舗に設置の複合機64に印刷させる場合、印刷要求に応じて取得した施設2のアクセスポイント及び店舗のゲートの各位置から複合機64までの移動時間を含む予想移動時間情報と、文書の印刷所要時間とを記憶する記憶部44と、複合機64までの移動中、GPSにより得られる現在位置から複合機64までの移動時間が印刷所要時間になった時点、あるいは施設2の中で無線接続されたアクセスポイント24の位置から複合機64までの移動時間が印刷所要時間になった時点、あるいはゲートに携帯端末装置40をかざした位置から複合機64までの移動時間が印刷所要時間になった時点、で印刷の実行開始を指示する開始指示部413と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
無線通信手段と、
を備え、
前記プロセッサは、
ファイルの印刷に要する印刷所要時間を取得し、
自装置を携行するユーザが前記ファイルの印刷に使用する印刷装置まで移動する途中で、前記無線通信手段と無線接続された無線通信機器であって前記印刷装置とは別に設置されている無線通信機器から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第1移動所要時間を取得し、
前記無線通信手段が前記無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記無線通信機器は、前記印刷装置が設置されている施設の所定の位置に設置されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記無線通信機器が更に前記施設に設けられている区域であって、前記印刷装置が設置されている区域の入口に設置されている場合、当該区域の入口に設置されている前記無線通信機器から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第2移動所要時間を取得し、
前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になる前に、前記無線通信手段が当該区域の入口に設置されている前記無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間に代えて前記第2移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記無線通信手段が前記印刷装置に搭載される近距離無線通信機器と無線接続される位置から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第3移動所要時間を取得し、
前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になる前に、前記無線通信手段が前記近距離無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間に代えて前記第3移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
測位手段を備え、
前記プロセッサは、
前記ユーザが前記印刷装置まで移動する途中で、前記無線通信手段が前記無線通信機器と無線接続されていない間、前記測位手段により特定される前記ユーザの現在位置に基づき前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間を推定することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
請求項1に記載の携帯端末装置と、
サービスサーバと、
印刷装置と、
前記印刷装置とは別に設置されている無線通信機器と、
を有し、
前記サービスサーバが備えるプロセッサは、
前記携帯端末装置から印刷対象とするファイルを取得すると、前記印刷装置に関する情報及び当該ファイルの属性情報を参照に当該ファイルの印刷に要する印刷所要時間を算出して前記携帯端末装置に提供し、
前記無線通信機器から前記印刷装置までの移動に要する移動時間に関する情報を前記携帯端末装置に提供し、
前記携帯端末装置からの指示に応じて前記印刷装置に印刷を指示する、
ことを特徴とする印刷サービスシステム。
【請求項7】
前記サービスサーバが備えるプロセッサは、前記印刷装置が備える撮影手段による撮影画像から前記ユーザが検出されると、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示することを特徴とする請求項6に記載の印刷サービスシステム。
【請求項8】
無線通信手段を備えるコンピュータに、
ファイルの印刷に要する印刷所要時間を取得する機能、
自装置を携行するユーザが前記ファイルの印刷に使用する印刷装置まで移動する途中で、前記無線通信手段と無線接続された無線通信機器であって前記印刷装置とは別に設置されている無線通信機器から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第1移動所要時間を取得する機能、
前記無線通信手段が前記無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置、印刷サービスシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実店舗において、決済をせずに買物ができるレジなし無人店舗が登場している。決済が不要なので、ユーザは、買物が終了するとそのまま店外に出ることが可能である。つまり、レジに並ぶなど「待ち」がなくなる。
【0003】
ところで、近年では、ネットプリントなどと呼ばれるネットワークを介した印刷サービスが提供されている。印刷サービスでは、ユーザが、印刷したい文書を事前にアップロードしておき、アップロードした際に発行される予約番号を、所望のコンビニ等に設置の複合機に入力することで、印刷が実行されて印刷物を入手することができる。
【0004】
この印刷サービスを前述したレジなし無人店舗に適用することを検討してみると、印刷サービスでは、複合機に対するユーザ操作が必要になることから印刷物が出力されるまでの間、「待ち」が発生しうる。
【0005】
そこで、印刷物の出力が終了するまでに「待ち」が発生しないように、従来では、印刷に要する所要時間を予め計算しておくと共に、複合機とユーザが携行する携帯端末との間の無線通信に基づきユーザが複合機の設置位置に到着するまでの移動時間を所定の時間間隔で算出するようにし、そして移動時間が所要時間以下になった時点で印刷の実行を開始する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-162313号公報
【特許文献2】特表2021-503108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、携帯端末装置と印刷装置との間の無線通信に基づく測距のみだと、例えば携帯端末装置と印刷装置とで授受される電波の強度が相対的に強くない状態のときには、他の電波など周囲の環境の影響を受けることによって測定した距離に誤差が発生する可能性が生じてくる。また、ユーザが印刷装置から離れているとき、つまり、携帯端末装置が印刷装置と無線通信可能な範囲まで近付かなければ、測距することはできない。つまり、ユーザが移動する状況によっては、ユーザが印刷装置に到着する時点に合わせて印刷を終了させることができない可能性が生じてくる。
【0008】
本発明は、印刷装置との無線通信に基づく測距のみを利用する場合に比して、印刷の終了時間を、ユーザが印刷装置に到着する時点に精度良く合わせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る携帯端末装置は、プロセッサと、無線通信手段と、を備え、前記プロセッサは、ファイルの印刷に要する印刷所要時間を取得し、自装置を携行するユーザが前記ファイルの印刷に使用する印刷装置まで移動する途中で、前記無線通信手段と無線接続された無線通信機器であって前記印刷装置とは別に設置されている無線通信機器から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第1移動所要時間を取得し、前記無線通信手段が前記無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する、ことを特徴とする。
【0010】
また、前記無線通信機器は、前記印刷装置が設置されている施設の所定の位置に設置されることを特徴とする。
【0011】
また、前記プロセッサは、前記無線通信機器が更に前記施設に設けられている区域であって、前記印刷装置が設置されている区域の入口に設置されている場合、当該区域の入口に設置されている前記無線通信機器から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第2移動所要時間を取得し、前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になる前に、前記無線通信手段が当該区域の入口に設置されている前記無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間に代えて前記第2移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する、ことを特徴とする。
【0012】
また、前記プロセッサは、前記無線通信手段が前記印刷装置に搭載される近距離無線通信機器と無線接続される位置から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第3移動所要時間を取得し、前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になる前に、前記無線通信手段が前記近距離無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間に代えて前記第3移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する、ことを特徴とする。
【0013】
また、測位手段を備え、前記プロセッサは、前記ユーザが前記印刷装置まで移動する途中で、前記無線通信手段が前記無線通信機器と無線接続されていない間、前記測位手段により特定される前記ユーザの現在位置に基づき前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間を推定することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る印刷サービスシステムは、上記記載の携帯端末装置と、サービスサーバと、印刷装置と、前記印刷装置とは別に設置されている無線通信機器と、を有し、前記サービスサーバが備えるプロセッサは、前記携帯端末装置から印刷対象とするファイルを取得すると、前記印刷装置に関する情報及び当該ファイルの属性情報を参照に当該ファイルの印刷に要する印刷所要時間を算出して前記携帯端末装置に提供し、前記無線通信機器から前記印刷装置までの移動に要する移動時間に関する情報を前記携帯端末装置に提供し、前記携帯端末装置からの指示に応じて前記印刷装置に印刷を指示する、ことを特徴とする。
【0015】
また、前記サービスサーバが備えるプロセッサは、前記印刷装置が備える撮影手段による撮影画像から前記ユーザが検出されると、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示することを特徴とする。
【0016】
本発明に係るプログラムは、無線通信手段を備えるコンピュータに、ファイルの印刷に要する印刷所要時間を取得する機能、自装置を携行するユーザが前記ファイルの印刷に使用する印刷装置まで移動する途中で、前記無線通信手段と無線接続された無線通信機器であって前記印刷装置とは別に設置されている無線通信機器から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第1移動所要時間を取得する機能、前記無線通信手段が前記無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する機能、を実現させる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、印刷装置との無線通信に基づく測距のみを利用する場合に比して、印刷の終了時間を、ユーザが印刷装置に到着する時点に精度良く合わせることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、施設の所定の位置にいるユーザが印刷装置に到着した時点で印刷を終了させることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、印刷装置が設置されている区域まで移動してきたユーザが印刷装置に到着した時点で印刷を終了させることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、印刷装置に近づいたユーザが印刷装置に到着した時点で印刷を終了させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、測位手段による測位を利用して、ユーザの移動時間を推定することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、携帯端末装置とサービスサーバを連携させて、印刷の終了時間を、ユーザが印刷装置に到着する時点に精度良く合わせることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、ユーザが印刷装置の直近にいることで印刷を印刷装置に行わせることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、印刷装置との無線通信に基づく測距のみを利用する場合に比して、印刷の終了時間を、ユーザが印刷装置に到着する時点に精度良く合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施の形態における印刷サービスシステムの全体構成図である。
図2】本実施の形態における携帯端末装置のハードウェア構成図である。
図3】本実施の形態における複合機のハードウェア構成図である。
図4】本実施の形態における印刷サービスシステムを示すブロック構成図である。
図5】本実施の形態における移動時間情報のデータ構成の一例を示す図である。
図6】本実施の形態における設備管理情報のデータ構成の一例を示す図である。
図7】本実施の形態における複合機管理情報のデータ構成の一例を示す図である。
図8】本実施の形態における複合機性能情報のデータ構成の一例を示す図である。
図9】本実施の形態において、ユーザが印刷を指示して印刷物を入手するまでの処理を示すシーケンス図である。
図10】本実施の形態における印刷要求画面の表示例を示す図である。
図11】本実施の形態における予想移動時間情報のデータ構成の一例を示す図である。
図12A】本実施の形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
図12B図12Aに続くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態における印刷サービスシステムの全体構成図である。図1には、施設2に設置される施設管理サーバ20と、印刷サービスをユーザに提供する印刷サービスサーバ30と、ユーザにより携行される携帯端末装置40とが、インターネット等のネットワーク4を介して有線又は無線により接続される構成が示されている。
【0028】
施設2は、複数の店舗6(図1では、8店舗)が入るショッピングモール等の施設であり、各店舗6は、来店者、本実施の形態の場合は携帯端末装置40を携行するユーザにより利用される。ユーザは、施設2に設けられている複数の出入口22(図1では4箇所)のいずれかから入場して、目的の店舗6まで歩いて移動する。
【0029】
店舗6は、施設2の中に設けられている区域の一例であるが、各店舗6には、ユーザが区域内に出入りするための1又は複数のゲート62が設けられている。ユーザは、必ずゲート62を通って入店することになる。図1では、ゲート62を太線で図示している。ゲート62には、ユーザが携帯端末装置40をかざすことによってNFC(Near Field Communication)規格により携帯端末装置40を無線接続する無線通信機器(図示せず)が配設される。無線通信機器は、所定の位置として施設2の中の店舗6の出入口に設置される。
【0030】
また、施設2には、Wi-Fi(登録商標)を利用した無線通信サービスをユーザに提供する1又は複数のアクセスポイント24(図1では、3機)が設置されている。アクセスポイント24は、施設2の中に設置される無線通信機器の一例である。アクセスポイント24は、所定の位置として施設2の中の通路等に設置される。
【0031】
更に、印刷サービスに適応した複合機64が印刷装置として施設2の中に設置される。本実施の形態では、図1に例示するように、施設2の中で1つの店舗6(Shop4)のみに設置されている。
【0032】
図1に示す施設2には、前述したように各設備が設置されるが、施設2のレイアウト、出入口22、アクセスポイント24及び店舗6の数、また各店舗6におけるゲート62の数、各店舗6における複合機64の設置の有無及び設置台数は一例であって、これに限定されない。また、区域を全て店舗6とする必要はなく、例えばイベント会場等の空間であってもよい。
【0033】
本実施の形態では、施設2として、複数の店舗6を含むショッピングモール等を想定しているが、単独の店舗でもよい。また、複数のユーザが施設2を利用するかもしれないが、各ユーザが使用する携帯端末装置40はそれぞれ、後述する機能を有していればよいので、1台のみ図示している。また、ユーザは、複数の施設2を利用するかもしれないが、各施設2に設置される施設管理サーバ20及び複合機64はそれぞれ、後述する機能を有していればよいので、一地点の施設2のみを図示している。
【0034】
図2は、本実施の形態における携帯端末装置40のハードウェア構成図である。携帯端末装置40は、ユーザにより携帯され、コンピュータが搭載される端末装置である。本実施の形態では、携帯端末装置40としてスマホを想定して説明するが、タブレット端末等他の携帯端末装置でもよい。本実施の形態における携帯端末装置40は、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、携帯端末装置40は、図2に示すようにCPU401、ROM402、RAM403、文書や各種データを記憶する記憶手段としてのストレージ404、情報を受け付け、また表示するユーザインタフェースとしてのタッチパネル405、測位手段としてのGPS(Global Positioning System)406、ネットワーク4を介した通信を行う通信手段としてのネットワークインタフェース(IF)407、Wi-Fiによる無線通信を行うための通信インタフェース408、Bluetooth(登録商標)による近距離無線通信を行うための通信インタフェース409及びゲート62に設置の無線通信機器と近距離無線通信を行うための通信インタフェース410を備える。本実施の形態における携帯端末装置40は、前述したように、アクセスポイント24とWi-Fiという通信規格により、ゲート62に設置の無線通信機器とNFCという通信規格により、複合機64に搭載の無線通信機器とBluetoothという通信規格により、それぞれ無線接続するためのインタフェース408,409,410を無線通信手段として備えている。
【0035】
なお、NFC対応の無線通信機器は、ゲート62に組み込まれることから、以下の説明においてゲート62というときには、設置場所を示す場合と無線通信機器を示す場合とがある。
【0036】
図3は、本実施の形態における複合機64のハードウェア構成図である。複合機64は、印刷機能、コピー機能、スキャナ機能等各種機能を搭載した画像形成装置の一形態であり、コンピュータを内蔵した装置である。複合機64は、図3に示すようにCPU641、ROM642、RAM643、スキャン文書等を記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)644、ユーザからの指示の受け付け、情報の表示を行うユーザインタフェースとしての操作パネル645、ユーザがセットした原稿を読み取り、電子データとしてHDD644に蓄積するスキャナ646、CPU641で実行される制御プログラムからの指示に従い出力用紙上に画像を印字するプリンタ647、ネットワーク4を介した通信を行う通信手段としてのネットワークインタフェース(IF)648、Bluetoothという通信規格に従い近距離無線通信を行うことで複合機64を無線通信機器として機能させる通信インタフェース649及び撮影手段としてのカメラ650を備える。
【0037】
図4は、本実施の形態における印刷サービスシステムを示すブロック構成図である。印刷サービスシステムは、施設2に設置される複合機64及び施設管理サーバ20と、印刷サービスサーバ30と携帯端末装置40を有する。
【0038】
複合機64は、ユーザが操作パネル645を操作して行われた印刷指示に応じて、また印刷サービスサーバ30からのネットワーク4を介した印刷指示に応じて印刷を行う印刷処理部640を有する。本実施の形態における複合機64が有する機能において、後述すること以外の機能は、従前と同じでよい。
【0039】
施設管理サーバ20は、施設2に設置されているアクセスポイント24、ゲート62、複合機64等各種設備に関する情報の管理を行う。施設管理サーバ20は、情報管理部26、状態取得部27及び施設データベース(DB)33を有する。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略する。情報管理部26は、要求に応じて施設データベース28へのデータの登録、変更、削除、抽出など、施設データベース28に記憶される各種情報の管理を行うと共に情報の提供を行う。状態取得部27は、複合機64の状態を取得する。取得する状態に関する情報は、文書の印刷に要する時間をより正確に算出するために参照する情報であり、例えば稼働中あるいは節電状態など複合機64の動作の状態に関する情報、ジョブの実行状態など複合機64にかかる負荷に関する情報等である。
【0040】
施設データベース28には、移動時間情報及び設備管理情報が少なくとも設定登録されている。移動時間情報及び設備管理情報のデータ構成を図5及び図6にそれぞれ示す。
【0041】
移動時間情報は、ある地点から複合機64の設置位置までの移動に要する所要時間(以下、「移動時間」ともいう)を示している。本実施の形態では、図1に例示するように施設2の中ではShop4のみに複合機64が設置されているので、図5に示す移動時間情報では、Shop4のみに数値、つまり移動時間が設定される。図5に示す設定例では、携帯端末装置40が、図1において“WF1”と記すアクセスポイント24(以下、「WF1」と記す)と無線接続されてからユーザが複合機64の位置に到着するまでの移動時間は“120秒”であることを示している。同様に、携帯端末装置40が、図1において“WF2”と記すアクセスポイント24(以下、「WF2」と記す)と無線接続されてからユーザが複合機64の位置に到着するまでの移動時間は“90秒”であることを示している。このように、複数のアクセスポイント24が施設2に設置されている場合、アクセスポイント24の設置位置によってユーザの複合機64までの移動時間が120秒、90秒、40秒と異なってくるので、アクセスポイント24からの移動時間を区別なく示すときには「AT1」という記号で表すことにする。
【0042】
また、携帯端末装置40が、図1において“Gate1”と記すゲート62(以下、「Gate1」と記す)と無線接続されてからユーザが複合機64の位置に到着するまでの移動時間は“10秒”であることを示している。同様に、携帯端末装置40が、図1において“Gate2”と記すゲート62(以下、「Gate2」と記す)と無線接続されてからユーザが複合機64の位置に到着するまでの移動時間は“20秒”であることを示している。このように、複数のゲート62が1つの店舗6に設けられている場合、ゲート62の設置位置によってユーザの複合機64までの移動時間が10秒、20秒と異なってくるので、ゲート62からの移動時間を区別なく示すときには「AT2」という記号で表すことにする。
【0043】
また、店舗6に入店したユーザが携行する携帯端末装置40は、複合機64に更に近づくと、Bluetoothにより複合機64と無線接続されることになる。図5に示す移動時間情報の設定例では、携帯端末装置40が、Bluetoothにより複合機64と無線接続されてからユーザが複合機64の位置に到着するまでの移動時間は“5秒”であることを示している。以降の説明では、Bluetoothによる無線接続後からの移動時間を「AT3」という記号で表す場合もある。
【0044】
そして、複合機64のカメラ650は、通常、ユーザ認証のために利用されるが、ユーザは、複合機64に更に近づくと、カメラ650によって認識可能に撮影される。図5に示す移動時間情報の設定例では、カメラ650による撮影画像が解析されユーザが認識されてからユーザが複合機64の位置に到着するまでの移動時間は“0秒”であることを示している。以降の説明では、カメラ650によるユーザ認識後からの移動時間を「AT4」という記号で表す場合もある。
【0045】
図5における移動時間情報では、ユーザが各地点から複合機64の設置位置までに移動に要する時間の推定値を示しているが、複合機64からの距離の関係上、各移動時間は、AT1≧AT2≧AT3≧AT4の関係にある。特に、本実施の形態においては、複合機64の設置位置からそれぞれ異なる距離の所定の位置に固定設置されている複数の無線通信機器(AT1,AT2,AT3)を有効利用し、それぞれに異なる移動時間が設定されている無線通信機器(AT1,AT2,AT3)と、ユーザが携行する携帯端末装置40と、の無線接続の状態に応じて異なる移動時間が得られるようにしている。なお、AT1~AT4の各値には、施設管理者又は店舗管理者等により、施設2及び店舗6のレイアウト、商品や棚の配置、動線等が考慮されて妥当と考えられる秒数が設定される。
【0046】
設備管理情報には、施設2に設置されている各種設備に関する情報が設定される。設備管理情報は、図6に示すように、「場所」と「設備名」と「固有情報」とが対応付けして設定される。「場所」は、当該設備が設置されている場所を示す情報である。「設備名」は、当該設備を示す名称である。「固有情報」は、当該設備に固有な、当該設備を識別できる情報である。例えば、アクセスポイント24であれば、設備名やSSID(Service Set IDentifier)を固有情報として利用できる。複合機64の場合、設備名や製造番号等を固有情報として利用できる。ゲート62の場合、ゲート名やゲート62に紐付く無線通信機器の機器IDを固有情報として利用できる。
【0047】
また、少なくとも複合機64の固有情報には、複合機64の設置位置を特定するための位置情報(例えば、経緯度情報)が含まれている。他の設備においても位置情報を持たせてもよい。
【0048】
施設管理サーバ20における各構成要素26,27は、施設管理サーバ20を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、施設データベース28は、施設管理サーバ20に搭載されたHDDにて実現される。あるいは、RAM又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0049】
印刷サービスサーバ30は、印刷サービスをユーザに提供するために使用されるサーバコンピュータである。サーバコンピュータ自体は、従前と同様のハードウェア構成にて実現できる。印刷サービスサーバ30は、印刷制御部31、印刷所要時間算出部32及び記憶部33を有する。なお、 本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略する。
【0050】
印刷制御部31は、ユーザからの要求に応じて複合機64に印刷指示を出すなど情報の送受信や印刷サービスにおける印刷の制御等を行う。印刷所要時間算出部32は、ユーザからの印刷要求に応じて、印刷の対象となる文書を、指定された複合機64で印刷を行う場合に要する時間の推定値を「印刷所要時間」として算出する。記憶部33には、複合機管理情報及び複合機性能情報が少なくとも設定登録されている。複合機管理情報及び複合機性能情報のデータ構成を図7及び図8にそれぞれ示す。
【0051】
複合機管理情報には、管理対象とする全ての複合機に関する情報が設定される。複合機管理情報は、「複合機」、「BT」、「施設」及び「店舗」の各項目を含む。「複合機」には、管理対象の複合機を特定する情報であり、当該複合機の設備名、固有情報及び機種を含む。「BT」は、当該複合機に搭載されるBluetooth規格により無線通信を行う無線通信機器を識別可能な情報である。例えば、機器IDが設定される。「施設」は、当該複合機が設置される施設を特定する情報である。「店舗」は、当該複合機が設置される店舗を特定する情報である。
【0052】
複合機性能情報には、複合機の性能を示す情報が機種毎に設定される。複合機性能情報は、複合機の機種に、当該機種の性能を示す情報が対応付けされる。印刷所要時間は、複合機の性能にも依存するので、印刷所要時間算出部32は、複合機性能情報を参照して印刷所要時間を算出する。
【0053】
印刷サービスサーバ30における各構成要素31~32は、印刷サービスサーバ30を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、記憶部33は、印刷サービスサーバ30に搭載されたHDDにて実現される。あるいは、RAM又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0054】
携帯端末装置40は、印刷アプリ実行部41、測位部42、表示制御部43及び記憶部44を有する。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略する。印刷アプリ実行部41は、印刷サービスサーバ30が提供する印刷サービスを利用するためのアプリケーションを実行する。印刷アプリ実行部41は、印刷要求部411、予想移動時間情報作成部412、開始指示部413及び印刷制御部414を有する。印刷要求部411は、印刷サービスサーバ30に対して文書の印刷を要求する。予想移動時間情報作成部412は、携帯端末装置40のユーザが現在位置から印刷を実施させる複合機64の設置位置に到着するまでに要すると予想される移動時間(以下、「予想移動時間」)を含む予想移動時間情報を作成し、記憶部44に登録する。開始指示部413は、予想移動時間が印刷所要時間以下になった時点で印刷の実行開始を指示する。印刷制御部414は、携帯端末装置40における印刷処理に関する制御を行う。
【0055】
測位部42は、GPS406と連携して、屋外すなわち施設2の外にいるときのユーザの現在位置を取得する。表示制御部43は、タッチパネル405の表示を制御する。記憶部44には、印刷所要時間及び移動時間情報が記憶されるが、これらの情報は、動作の説明と合わせて説明する。
【0056】
携帯端末装置40における各構成要素41~43は、携帯端末装置40を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU401で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、記憶部44は、携帯端末装置40に搭載されたストレージ404にて実現される。あるいは、RAM403又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0057】
次に、本実施の形態における動作について説明する。
【0058】
まず、携帯端末装置40のユーザは、文書の印刷に、施設2の中に設置されている複合機64を利用しようとしており、また、文書の印刷を要求する際には施設2の外にいるものとする。以下、ユーザが印刷を要求して印刷物を入手するまでの処理について、図9に示すシーケンス図を用いて説明する。
【0059】
まず、ユーザは、携帯端末装置40を操作して、印刷サービスのアプリケーションを起動することで、印刷アプリ実行部41に処理の実行を開始させる。印刷アプリ実行部41は、起動されると、印刷要求画面をタッチパネル405に表示する。
【0060】
図10は、本実施の形態における印刷要求画面の表示例を示す図である。ユーザは、印刷要求画面から印刷対象とする文書のファイル名、印刷に利用したい複合機64が設置されている店舗6を入力する。もし、印刷対象とする文書を印刷サービスサーバ30に事前にアップロードして、予約番号を取得していれば、ファイル名の代わりに予約番号を入力すればよい。
【0061】
印刷要求画面からの「店舗」の指定は、複合機64を特定するための情報である。仮に、店舗6に複数台の複合機64が設置されていれば、設置されている複合機64をリスト表示して、ユーザに選択させるようにしてもよい。あるいは、ユーザからの指定は、店舗6の指定に留め、いずれの複合機64をユーザに利用させるかは、印刷サービスサーバ30や施設管理サーバ20に、複合機64の負荷状態や性能等を参照して選択させるように処理してもよい。
【0062】
前述したように、本実施の形態では、印刷に使用する複合機64を特定するために、便宜的に、ユーザに店舗6を指定させるようにした。ただ、ユーザインタフェースは、これに限る必要はない。例えば、印刷要求画面から印刷サービスを利用できる施設2をリスト表示してユーザに選択させ、更に選択された施設2において複合機64が設置されている店舗6をリスト表示してユーザに選択させるようにしてもよい。
【0063】
印刷アプリ実行部41は、施設2や店舗6をリスト表示するために、印刷サービスサーバ30から印刷要求画面をダウンロードして表示させたり、あるいは内部に保持している印刷要求画面を表示する際に、施設2及び店舗6のリストを印刷サービスサーバ30から取得したりしてもよい。印刷サービスサーバ30は、複合機管理情報を参照することで施設2及び店舗6のリストを印刷アプリ実行部41に提供することができる。
【0064】
また、印刷要求画面に示す「安全プリント」というのは、本実施の形態において特徴的な印刷サービス、具体的には、ユーザが複合機64の設置位置に到着した時点で、印刷要求をした文書の印刷がちょうど終了するよう印刷を実行するサービスのことをいう。ユーザは、安全プリントを利用することにより、印刷物が第三者に持ち去られたり、見られたりされないため安全である。ユーザは、安全プリントを利用したい場合には、印刷要求画面上の「ON」ボタンを選択する。ちなみに、ユーザが「OFF」ボタンを選択すると、ユーザは、従前と同様に、複合機64の操作パネル645を操作することで、印刷物を入手することができる。あるいは、ユーザの到着とは無関係に印刷が実行終了することによって、印刷物が排紙トレイに残された状態となる可能性がある。本実施の形態では、「ON」ボタンが選択され、またShop4に設置の複合機64が文書Dの印刷に使用する複合機として指定されたものとして説明する。
【0065】
ユーザが印刷要求画面から必要事項を指定した後、「印刷」ボタン45を選択すると、印刷要求部411は、印刷サービスサーバ30に印刷要求を送信する(ステップ410)。印刷要求には、印刷要求画面からユーザにより指定された店舗6及び文書ファイル、更に携帯端末装置40のユーザの識別情報としてユーザ名が含まれる。印刷サービスは、事前にユーザ登録されているユーザにサービスを提供するので、印刷サービスのアプリケーションは、内部に保持しているユーザ名を取り出して送信するようにしてもよい。また、本実施の形態では、印刷要求時に文書ファイルを送信するが、印刷サービスサーバ30に事前に登録しておいてもよい。この場合は、登録済みの文書を特定するファイル名若しくは予約番号を送信すればよい。あるいは、後述する印刷の開始指示と合わせて送信してもよい。ただ、この場合は、ファイルの大きさ、印刷属性等印刷所要時間の計算に必要な情報を、印刷要求と共に送信する必要はある。
【0066】
携帯端末装置40から印刷要求が送られてくると、印刷サービスサーバ30における印刷制御部31は、印刷要求により指定された店舗6を指定して、当該店舗6を有する施設2の施設管理サーバ20に所要時間の算出に必要な情報の提供を要求する(ステップ310)。
【0067】
施設管理サーバ20における状態取得部27は、印刷サービスサーバ30からの要求に応じて、当該店舗6に設置されている複合機64に対して、現在の状態を問い合わせる(ステップ210)。
【0068】
複合機64は、施設管理サーバ20からの問合せに応じて、現在の状態を収集する(ステップ6401)。現在の状態というのは、前述したように、複合機64の動作の状態や負荷に関する情報等であり、印刷所要時間の計算に利用される情報である。複合機64は、収集した情報を状態情報として施設管理サーバ20に提供する(ステップ6402)。
【0069】
状態取得部27が複合機64から状態情報を取得すると、情報管理部26は、複合機64に対応するShop4の移動時間情報及びShop4のある施設2の設備管理情報を施設データベース28から抽出し(ステップ220)、複合機64から取得した状態情報と合わせて印刷サービスサーバ30に提供する(ステップ230)。
【0070】
続いて、印刷所要時間算出部32は、印刷制御部31からの指示に応じて、選択された複合機64において、印刷対象の文書Dの印刷所要時間を算出する(ステップ320)。印刷所要時間は、文書に関連する情報と複合機64に関連する情報を参照して算出する。文書に関連する情報は、例えば文書Dのサイズ、カラー/白黒、用紙サイズ、部数などの文書の属性情報を含む印刷設定情報である。複合機64に関連する情報は、複合機64の性能、状態情報等である。特に、複合機64の状態情報を参照すると、複合機64が節電状態の場合、節電状態から動作可能な状態までの復帰時間を更に考慮して印刷所要時間を算出することになる。当然ながら、文書Dの印刷にかかる負荷(サイズや高品質等)が大きいほど、また複合機64における性能が低いほど、印刷所要時間は長くなる傾向にある。
【0071】
なお、仮に店舗6に複数の複合機64が設置されている場合、印刷制御部31は、文書の印刷に利用する複合機64を、状態情報や複合機64の性能情報を参照して選択してもよい。
【0072】
続いて、印刷制御部31は、算出された印刷所要時間と、施設管理サーバ20から取得した移動時間情報及び設備管理情報を携帯端末装置40に情報提供する(ステップ330)。
【0073】
携帯端末装置40は、印刷要求に応じて文書Dの印刷に要する印刷所要時間を取得すると、記憶部44に保存する。また、携帯端末装置40における予想移動時間情報作成部412は、取得した移動時間情報及び設備管理情報を取得すると、予想移動時間情報を作成して記憶部44に登録する。
【0074】
図11は、本実施の形態における記憶部44に記憶される予想移動時間情報のデータ構成の一例を示す図である。予想移動時間情報は、「検出設備」と「予想移動時間」との項目が組にして構成される。「検出設備」は、ユーザを検出する設備に関する情報であり、ユーザを検出した設備の設備名と、当該設備の固有情報を含む。「予想移動時間」は、当該設備によりユーザが検出されてから複合機64の設置位置までの移動時間と、その移動時間を便宜的に記す記号とを含む。予想移動時間情報は、取得した移動時間情報及び設備管理情報から項目データを抽出して作成される。
【0075】
なお、予想移動時間情報には、GPS406を用いた測位により特定されるユーザの現在位置から複合機64の設置位置までの移動時間を示す記号「AT0」を合わせて含めている。AT0の値は、ユーザの移動に伴い変化するので、予想移動時間情報ではブランクとする。
【0076】
なお、本実施の形態では、移動時間情報及び設備管理情報から予想移動時間情報を作成するようにしたが、取得した移動時間情報及び設備管理情報をそのまま保持するようにしてもよい。図4に示す記憶部44や図11に図示していないが、複合機64の固有情報は、記憶部44にて記憶される。
【0077】
続いて、印刷アプリ実行部41は、印刷制御処理を実行する(ステップ420)。以下、本実施の形態において特徴的な印刷制御処理について、図12A図12Bに示すフローチャートを用いて説明する。
【0078】
前述したように、ユーザは、印刷要求をした時点では、施設2の外にいる。そして、安全プリントを指定して印刷要求をしたことに伴い、ユーザは、複合機64が設置されている施設2に向かって移動する。なお、説明の便宜上、移動手段は歩行のみとする。測位部42は、移動するユーザの現在位置を取得する(ステップ421)。ユーザは、携帯端末装置40を常時携行しているので、携帯端末装置40の測位部42により測位された位置は、ユーザの現在位置に等しい。
【0079】
続いて、印刷制御部414は、ユーザの現在位置と複合機64の位置に基づき、ユーザの現在位置から複合機64の設置位置までの移動時間(AT0)を算出する(ステップ422)。ここで、移動時間AT0が印刷所要時間(「PT」という記号で記す)以下でない場合(ステップ423でN)、つまり、移動に要する時間が印刷に要する時間より長い場合、現時点で文書Dの印刷を開始すると、ユーザが複合機64に到着する前に印刷が終了してしまうことになる。従って、印刷を実行させない。
【0080】
一方、移動時間AT0が印刷所要時間PT以下になった場合(ステップ423でY)、ユーザが複合機64に到着するときに印刷が終了していることになり、ユーザは、待つことなく印刷物を入手できる。従って、開始指示部413は、移動時間AT0が印刷所要時間PT以下になった時点で、文書Dの印刷の実行の開始を印刷サービスサーバ30に指示する(ステップ431)。
【0081】
印刷サービスサーバ30における印刷制御部31は、携帯端末装置40からの印刷実行開始指示に応じて、文書Dのファイルを複合機64へ送信し、文書Dの印刷指示を出す(図9におけるステップ350)。複合機64における印刷処理部640は、印刷サービスサーバ30からの印刷指示に応じて文書Dの印刷を行う(図9におけるステップ6404)。
【0082】
これにより、ユーザが複合機64に到着する時点では印刷が終了し、印刷物を待つことなく入手できる。
【0083】
移動時間AT0が印刷所要時間PT以下でない場合において(ステップ423でN)、携帯端末装置40が施設2に設置のアクセスポイント24と無線接続されるまで(ステップ424でN)、印刷制御部414は、ステップ421に戻り、測位を繰り返し行うことになる。印刷は、移動時間AT0が印刷所要時間PT以下になったときに開始されるが、移動時間AT0が印刷所要時間PTに近い値ほど、つまりユーザが複合機64に近づいたときに印刷は終了する。従って、移動時間AT0が印刷所要時間PTになった時点で印刷の実行開始指示がされるのが好ましく、この場合、ユーザが複合機64の位置に到着したと同時に印刷が終了することになる。ユーザの到着と同時に印刷を終了させるためには、移動時間AT0が印刷所要時間PTと等しくなるタイミングを検出するのが望ましいので、ユーザ位置の測位は、極力短い周期で繰り返し行うのが好ましい。このことは、後述する移動時間A1~A3と印刷所要時間PTとを比較する処理(ステップ425,427,429)を繰り返し行う場合においても同様のことがいえる。
【0084】
ところで、ユーザの移動時間AT0は、ユーザの現在位置から複合機64までの移動距離を、ユーザの移動速度で除算することで算出できる。複合機64の設置位置は、記憶部44に記憶されているので、移動距離は、測位の都度算出できる。移動速度は、現在位置の遷移(つまり、移動距離)と経過時間により算出できる。仮にユーザが歩行以外の移動手段(車両等)を利用していても、移動速度は推定可能である。また、移動の実績情報からユーザの歩行速度を算出して保持するようにしてもよい。
【0085】
ユーザは、施設2に向かって歩行していくと、いずれ施設2に到着する。そして、出入口22から施設2の中に入ると、携帯端末装置40は、いずれ出入口22に最も近いアクセスポイント24と無線接続される。
【0086】
印刷制御部414は、移動時間AT0が印刷所要時間PT以下になる前にアクセスポイント24と無線接続されると(ステップ424でY)、予想移動時間情報を参照することで、接続されたアクセスポイント24の固有情報から特定できる予想移動時間AT1を第1移動所要時間として取得する。その後、印刷制御部414は、移動時間AT0に代えて予想移動時間AT1を印刷所要時間PTと比較する移動時間として用いる。
【0087】
なお、本実施の形態では、携帯端末装置40は、ステップ330における情報提供において、各移動時間(AT1~AT4)をまとめて取得して保持している。ただ、例えば移動時間AT1は、アクセスポイント24と無線接続されてはじめて必要となってくる情報なので、アクセスポイント24に無線接続された時点で、印刷サービスサーバ30から取得するように処理してもよい。他の移動時間(AT2~AT3)においても同様である。
【0088】
また、移動時間AT1は、アクセスポイント24の設置位置からの複合機64までの移動時間である。携帯端末装置40は、厳密には、アクセスポイント24から多少離れた位置で無線接続されるかもしれないが、本実施の形態では、便宜的にアクセスポイント24の設置位置で無線接続されるものとして説明する。無線接続される携帯端末装置40との距離及び方向を検出できる機能を有するアクセスポイント24を用いれば、移動時間をより正確に求めることは可能である。
【0089】
予想移動時間AT1が印刷所要時間PT以下でない場合(ステップ425でN)、現時点で文書Dの印刷を開始すると、ユーザが複合機64に到着する前に印刷が終了してしまうことになる。従って、印刷を実行させない。
【0090】
一方、予想移動時間AT1が印刷所要時間PT以下になった場合(ステップ425でY)、ユーザが複合機64に到着するときに印刷が終了していることになり、ユーザは、待つことなく印刷物を入手できる。従って、開始指示部413は、予想移動時間AT1が印刷所要時間PT以下になった時点で、文書Dの印刷の実行の開始を印刷サービスサーバ30に指示する(ステップ431)。なお、印刷サービスサーバ30が携帯端末装置40からの印刷実行開始指示に応じて、文書Dの印刷指示を複合機64に行い、複合機64が印刷サービスサーバ30からの印刷指示に応じて文書Dの印刷を行う一連の処理は、移動時間AT0を印刷所要時間PTと比較する場合の処理と同じなので、説明を省略する。以下に続くゲート62及びBluetoothに無線接続される場合の処理においても同様なので、開始指示部413が印刷の実行開始指示を行った後の処理の説明は省略する。
【0091】
予想移動時間AT1が印刷所要時間PT以下でない場合において(ステップ425でN)、携帯端末装置40がShop4のゲート62と無線接続されるまで(ステップ426でN)、印刷制御部414は、ステップ425に戻り、前述した予想移動時間AT1と印刷所要時間PTを比較する処理を実行する。
【0092】
ユーザは、施設2に到着して携帯端末装置40がアクセスポイント24と無線接続された後も、目的とする複合機64が設置されている店舗6まで移動し続ける。そして、ユーザが店舗6に到着すると、携帯端末装置40をゲート62にかざす。これにより、携帯端末装置40は、ゲート62と無線接続され、これにより、ユーザのゲート62の通過が確認される。なお、無線通信機器は、携帯端末装置40に記録されているユーザの識別情報を読み取るので、施設管理サーバ20は、入店したユーザを特定できる。
【0093】
印刷制御部414は、予想移動時間AT1が印刷所要時間PT以下になる前に、ゲート62と無線接続されると(ステップ426でY)、予想移動時間情報を参照することで、通過したゲート62の固有情報から特定できる予想移動時間AT2を第2移動所要時間として取得する。印刷制御部414は、予想移動時間AT1に代えて予想移動時間AT2を印刷所要時間PTと比較する移動時間として用いる。
【0094】
なお、本実施の形態では、複合機64の無線通信機器とは別に施設2に設置されている無線通信機器を、アクセスポイント24及びゲート62に設置する2段構成と階層化しているので、予想移動時間AT2を第2移動所要時間として取得したが、仮にアクセスポイント24が設置されていなければ、予想移動時間AT2は第1移動所要時間として取得される。
【0095】
予想移動時間AT2が印刷所要時間PT以下でない場合(ステップ427でN)、現時点で文書Dの印刷を開始すると、ユーザが複合機64に到着する前に印刷が終了してしまうことになる。従って、印刷を実行させない。
【0096】
一方、予想移動時間AT2が印刷所要時間PT以下になった場合(ステップ427でY)、ユーザが複合機64に到着するときに印刷が終了していることになり、ユーザは、待つことなく印刷物を入手できる。従って、開始指示部413は、予想移動時間AT2が印刷所要時間PT以下になった時点で、文書Dの印刷の実行の開始を印刷サービスサーバ30に指示する(ステップ431)。
【0097】
予想移動時間AT2が印刷所要時間PT以下でない場合において(ステップ427でN)、携帯端末装置40が複合機64とBluetoothにより無線接続されるまで(ステップ428でN)、印刷制御部414は、ステップ427に戻り、前述した予想移動時間AT2と印刷所要時間PTを比較する処理を実行する。
【0098】
印刷制御部414は、予想移動時間AT2が印刷所要時間PT以下になる前に、複合機64とBluetoothにより無線接続されると(ステップ428でY)、予想移動時間情報を参照することで、Bluetoothに対応する予想移動時間AT3を第3移動所要時間として取得する。そして、印刷制御部414は、予想移動時間AT2に代えて予想移動時間AT3を印刷所要時間PTと比較する移動時間として用いる。
【0099】
予想移動時間AT3が印刷所要時間PT以下でない場合(ステップ429でN)、現時点で文書Dの印刷を開始すると、ユーザが複合機64に到着する前に印刷が終了してしまうことになる。従って、印刷を実行させない。
【0100】
一方、予想移動時間AT3が印刷所要時間PT以下になった場合(ステップ429でY)、ユーザが複合機64に到着するときに印刷が終了していることになり、ユーザは、待つことなく印刷物を入手できる。従って、開始指示部413は、予想移動時間AT3が印刷所要時間PT以下になった時点で、文書Dの印刷の実行の開始を印刷サービスサーバ30に指示する(ステップ431)。
【0101】
予想移動時間AT3が印刷所要時間PT以下でない場合において(ステップ429でN)、携帯端末装置40のユーザが複合機64のカメラ650で検出されたという通知を受信するまで(ステップ430でN)、印刷制御部414は、ステップ429に戻り、前述した予想移動時間AT3と印刷所要時間PTを比較する処理を実行する。
【0102】
携帯端末装置40と無線通信機器との無線接続の関係に基づく印刷制御は、上記の通りであるが、本実施の形態においては、更に複合機64のカメラ650を利用して印刷の実行制御を行うようにしている。この処理に関しては、図9に示している。
【0103】
複合機64におけるカメラ650は、複合機64の前に立つユーザを撮影する。複合機64は、その撮影画像を、事前に登録されているユーザの顔画像と照合することによって複合機64の利用を開始しようとするユーザの認証を行う。本実施の形態では、複合機64のカメラ650を印刷制御に利用する。
【0104】
すなわち、複合機64は、カメラ650が撮影した画像を解析することで、印刷要求をしたユーザが複合機64の前にいるかどうかを確認する。なお、文書Dの印刷を要求したユーザは、正規のユーザであって顔画像を事前に登録している。
【0105】
ここで、カメラ650による撮影画像から文書Dの印刷を要求したユーザが検出されると、複合機64は、ユーザの検出を印刷サービスサーバ30に通知する(ステップ6403)。印刷サービスサーバ30における印刷制御部31は、カメラ650によりユーザが検出されたことを携帯端末装置40に通知する(ステップ340)。そして、印刷制御部31は、携帯端末装置40からの印刷指示を受けなくても、カメラ650によるユーザの検出に応じて印刷指示を複合機64に対して出す(ステップ350)。
【0106】
携帯端末装置40における印刷制御部414は、予想移動時間AT3が印刷所要時間PT以下でない場合において(ステップ429でN)、携帯端末装置40のユーザが複合機64のカメラ650で検出されたという通知を受信すると(ステップ430でY)、処理を終了する。印刷サービスサーバ30における印刷制御部31は、カメラ650によるユーザ検出に伴い複合機64に対する印刷指示をすでに済ませているので、携帯端末装置40では、印刷指示を行わないようにした。
【0107】
本実施の形態によれば、携帯端末装置40と、複合機64との無線接続に限定するのではなく、複合機64から離れた位置に固定して設置されている無線通信機器との間の無線接続により、ユーザの現在位置を把握するようにし、そして、現在位置からの移動時間を印刷所要時間と比較することによって、ユーザが複合機64の設置位置に到着した時点で印刷が終了するように印刷を制御した。そして、文書Dのサイズが大容量などの場合、施設2に到着してから印刷の実行を開始すると、ユーザが複合機64に到着するまでに印刷が終了しない可能性もある。本実施の形態においては、このような場合に対応するために、GPS406と連携することによって、ユーザが施設2の外にいるときでも印刷の実行を開始できるようにした。
【0108】
一方、複合機64のカメラ650を利用し、ユーザが複合機64の前にいるときには、印刷を即座に開始できるようにした。印刷対象の文書が1ページなど少ない数量の場合には便宜である。なお、撮影手段は、複合機64に搭載のカメラ650を利用したが、施設2に設置の監視カメラを利用してもよい。また、監視カメラを無線通信機器の代わりに、あるいは無線通信機器と併用してもよい。
【0109】
ところで、施設管理サーバ20が保持管理している移動時間情報に含まれる移動時間は、特定のユーザに依存しない移動時間の推定値である。携帯端末装置40を使用するユーザの年齢、性別等のユーザ特性は、特定可能であり、また過去の移動実績を蓄積しておくようにすれば、ユーザの歩行速度をより正確に得ることから、移動時間もより正確に算出することができる。従って、携帯端末装置40は、施設管理サーバ20が保持監視している移動時間を、ユーザの特性に応じて補正して予想移動時間情報に登録し、印刷制御に用いる予想移動時間(AT0~AT4)として用いてもよい。
【0110】
また、移動時間は、上記の通りユーザによって差異が生じてくる。これに対し、移動距離は、ユーザの特性に限らず一定値として取り扱いやすい。従って、本実施の形態では、施設管理サーバ20に移動時間を保持させているが、時間の代わりに距離に換算して印刷の開始指示をするタイミングを決定するように処理してもよい。
【0111】
上記実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0112】
また上記実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0113】
(付記)
(((1)))
プロセッサと、
無線通信手段と、
を備え、
前記プロセッサは、
ファイルの印刷に要する印刷所要時間を取得し、
自装置を携行するユーザが前記ファイルの印刷に使用する印刷装置まで移動する途中で、前記無線通信手段と無線接続された無線通信機器であって前記印刷装置とは別に設置されている無線通信機器から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第1移動所要時間を取得し、
前記無線通信手段が前記無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
(((2)))
前記無線通信機器は、前記印刷装置が設置されている施設の所定の位置に設置されることを特徴とする(((1)))に記載の携帯端末装置。
(((3)))
前記プロセッサは、
前記無線通信機器が更に前記施設に設けられている区域であって、前記印刷装置が設置されている区域の入口に設置されている場合、当該区域の入口に設置されている前記無線通信機器から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第2移動所要時間を取得し、
前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になる前に、前記無線通信手段が当該区域の入口に設置されている前記無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間に代えて前記第2移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する、
ことを特徴とする(((2)))に記載の携帯端末装置。
(((4)))
前記プロセッサは、
前記無線通信手段が前記印刷装置に搭載される近距離無線通信機器と無線接続される位置から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第3移動所要時間を取得し、
前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になる前に、前記無線通信手段が前記近距離無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間に代えて前記第3移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する、
ことを特徴とする(((2)))に記載の携帯端末装置。
(((5)))
測位手段を備え、
前記プロセッサは、
前記ユーザが前記印刷装置まで移動する途中で、前記無線通信手段が前記無線通信機器と無線接続されていない間、前記測位手段により特定される前記ユーザの現在位置に基づき前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間を推定することを特徴とする(((1)))に記載の携帯端末装置。
(((6)))
(((1)))に記載の携帯端末装置と、
サービスサーバと、
印刷装置と、
前記印刷装置とは別に設置されている無線通信機器と、
を有し、
前記サービスサーバが備えるプロセッサは、
前記携帯端末装置から印刷対象とするファイルを取得すると、前記印刷装置に関する情報及び当該ファイルの属性情報を参照に当該ファイルの印刷に要する印刷所要時間を算出して前記携帯端末装置に提供し、
前記無線通信機器から前記印刷装置までの移動に要する移動時間に関する情報を前記携帯端末装置に提供し、
前記携帯端末装置からの指示に応じて前記印刷装置に印刷を指示する、
ことを特徴とする印刷サービスシステム。
(((7)))
前記サービスサーバが備えるプロセッサは、前記印刷装置が備える撮影手段による撮影画像から前記ユーザが検出されると、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示することを特徴とする(((6)))に記載の印刷サービスシステム。
(((8)))
無線通信手段を備えるコンピュータに、
ファイルの印刷に要する印刷所要時間を取得する機能、
自装置を携行するユーザが前記ファイルの印刷に使用する印刷装置まで移動する途中で、前記無線通信手段と無線接続された無線通信機器であって前記印刷装置とは別に設置されている無線通信機器から前記印刷装置に到着するまでに要する前記ユーザの移動時間として第1移動所要時間を取得する機能、
前記無線通信手段が前記無線通信機器と無線接続された場合、前記第1移動所要時間が前記印刷所要時間以下になった時点で、前記ファイルの印刷を前記印刷装置に指示するよう制御する機能、
を実現させるためのプログラム。
【0114】
(((1)))に記載の発明によれば、印刷装置との無線通信に基づく測距のみを利用する場合に比して、印刷の終了時間を、ユーザが印刷装置に到着する時点に精度良く合わせることができる。
(((2)))に記載の発明によれば、施設の所定の位置にいるユーザが印刷装置に到着した時点で印刷を終了させることができる。
(((3)))に記載の発明によれば、印刷装置が設置されている区域まで移動してきたユーザが印刷装置に到着した時点で印刷を終了させることができる。
(((4)))に記載の発明によれば、印刷装置に近づいたユーザが印刷装置に到着した時点で印刷を終了させることができる。
(((5)))に記載の発明によれば、測位手段による測位を利用して、ユーザの移動時間を推定することができる。
(((6)))に記載の発明によれば、携帯端末装置とサービスサーバを連携させて、印刷の終了時間を、ユーザが印刷装置に到着する時点に精度良く合わせることができる。
(((7)))に記載の発明によれば、ユーザが印刷装置の直近にいることで印刷を印刷装置に行わせることができる。
(((8)))に記載の発明によれば、印刷装置との無線通信に基づく測距のみを利用する場合に比して、印刷の終了時間を、ユーザが印刷装置に到着する時点に精度良く合わせることができる。
【符号の説明】
【0115】
2 施設、4 ネットワーク、6 店舗、20 施設管理サーバ、22 出入口、24 アクセスポイント、26 情報管理部、27 状態取得部、28 施設データベース(DB)、30 印刷サービスサーバ、31 印刷制御部、32 印刷所要時間算出部、33,44 記憶部、40 携帯端末装置、41 印刷アプリ実行部、42 測位部、43表示制御部、62 ゲート、64 複合機、401,641 CPU、402,642 ROM、403,643 RAM、404 ストレージ、405 タッチパネル、406 GPS、407,648 ネットワークインタフェース(IF)、408,409,410,649 通信インタフェース、411 印刷要求部、412 予想移動時間情報作成部、413 開始指示部、414 印刷制御部、640 印刷処理部、644 HDD(Hard Disk Drive)、645 操作パネル、646 スキャナ、647 プリンタ、650 カメラ。
図1
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図12A
図12B