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特開2024-46897廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム及び取出し方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046897
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム及び取出し方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/30 20220101AFI20240329BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20240329BHJP
   B09B 101/15 20220101ALN20240329BHJP
【FI】
B09B3/30 ZAB
B09B3/35
B09B101:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152254
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505166122
【氏名又は名称】株式会社関東エコリサイクル
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩家 洋一
(72)【発明者】
【氏名】京井 正之
(72)【発明者】
【氏名】井関 崇
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓愛
(72)【発明者】
【氏名】本多 秀行
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA22
4D004CA02
4D004CA04
4D004CA08
4D004CB13
4D004DA17
(57)【要約】
【課題】各種の冷蔵庫において真空断熱材の取出し作業が容易になる廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムを提供する。
【解決手段】真空断熱材11が貼り付いた外板のうち後板5を引き剥がす後板真空断熱材回収部20と、真空断熱材11が貼り付いた外板のうち脇板を引き剥がす脇板真空断熱材回収部と、を備え、後板真空断熱材回収部20によって後板5を引き剥がした後、脇板真空断熱材回収部によって脇板を引き剥がす。後板真空断熱材回収部20は、後板5の底側をクランプして外板の天板2側に向けて引き剥がす。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空断熱材が設けられた廃冷蔵庫から当該真空断熱材を取り出す廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムであって、
外板を冷蔵庫本体から引き剥がすことで前記真空断熱材を回収する、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムにおいて、
前記真空断熱材が貼り付いた前記外板のうち後板を引き剥がす後板真空断熱材回収部と、前記真空断熱材が貼り付いた前記外板のうち脇板を引き剥がす脇板真空断熱材回収部と、を備え、
前記後板真空断熱材回収部によって前記後板を引き剥がした後、前記脇板真空断熱材回収部によって前記脇板を引き剥がす、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムにおいて、
前記後板真空断熱材回収部は、前記後板の底側をクランプして前記外板の天板側に向けて引き剥がす、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムにおいて、
前記真空断熱材が貼り付いたままの前記外板をロールプレスして前記真空断熱材の袋体内の芯材を粉体にするプレス部を備える、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムにおいて、
前記真空断熱材が貼り付いた前記外板を倒立させた状態で、前記真空断熱材の袋体の下部に切れ目を入れ、前記粉体を落下させて回収する倒立粉体回収部を備える、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムにおいて、
前記芯材の種類を判別する芯材種類判別部を備える、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムにおいて、
前記粉体を篩い器に投入して前記粉体に含まれる異物を除去する異物除去部を備える、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム。
【請求項8】
真空断熱材を備えた廃冷蔵庫から当該真空断熱材を取り出す廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法であって、
外板を冷蔵庫本体から引き剥がすことによって前記真空断熱材を回収する、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法。
【請求項9】
請求項8に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法において、
前記外板のうちの後板を前記真空断熱材とともに引き剥がした後、前記外板のうちの脇板を前記真空断熱材とともに引き剥がす、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法。
【請求項10】
請求項9に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法において、
前記後板の底側をクランプして前記外板の天板側に向けて引き剥がす、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法。
【請求項11】
請求項8に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法において、
前記真空断熱材が貼り付いたままの前記外板をロールプレスして前記真空断熱材の芯材を粉体にする、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法。
【請求項12】
請求項11に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法において、
前記真空断熱材が貼り付いた前記外板を倒立させた状態で、前記真空断熱材の袋体の下部に切れ目を入れ、前記粉体を落下させて回収する、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法。
【請求項13】
請求項12に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法において、
前記芯材を粉体にした後に当該芯材の種類を判別する、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法。
【請求項14】
請求項13に記載の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法において、
前記粉体を篩いに投入して当該粉体に含まれる異物を除去する、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム及び取出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭などから排出される家電製品をリサイクルして、資源として有効に利用することが求められている。近年、冷蔵庫には、断熱材として真空断熱材を備えるものが増えてきている。しかし、真空断熱材が入った状態の例えば冷蔵庫をそのまま破砕処理すると、その後の素材に真空断熱材が異物として混ざり、リサイクルに支障をきたす。そこで、冷蔵庫を破砕処理する前に冷蔵庫から真空断熱材を取り出す必要がある。特許文献1には、真空断熱材を取り出す技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-130675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の真空断熱材取出し方法では、外板の内壁面に貼り付けられた真空断熱材にガスを注入して膨らまさなければならず、ガス注入の位置を確認する必要がある。また、特許文献1の技術では、真空断熱材が膨らんだ後に、その周囲の外板を切断する必要がある。さらに、特許文献1の技術では、冷蔵庫の種類に応じて真空断熱材の位置が異なるため、真空断熱材の取出し作業が煩雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、真空断熱材が設けられた廃冷蔵庫から当該真空断熱材を取り出す廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムであって、外板を冷蔵庫本体から引き剥がすことで前記真空断熱材を回収する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムが適用される冷蔵庫の一例を示す分解斜視図である。
図2図1の脇板に内箱および底板を取り付けた状態を示す斜視図である。
図3】脇板と後板との境界の構造を示す断面図である。
図4】本実施形態の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムを示すブロック図である。
図5】本実施形態の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムの動作を示すフローチャートである。
図6】後板を引き剥がす際の工程を示し、後板の引き剥がし前、引き剥がし途中、引き剥がし後を示す後板の状態図である。
図7】後板を引き剥がす際のクランプ装置の動作図である。
図8】脇板を引き剥がす際の工程を示し、脇板の引き剥がし前、引き剥がし途中、引き剥がし後の脇板の状態図である。
図9】ロールプレス装置を示し、プレス前とプレス後を示す状態図である。
図10】芯材回収装置を示し、芯材回収前と芯材回収時の状態図である。
図11】吸引・篩いを用いた芯材回収装置を示す構成図である。
図12】篩いを用いた芯材回収装置を示す構成図である。
図13】廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムを示すレイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。なお、本発明は、以下の内容に何ら制限されず、本発明の要旨を損なわない範囲内で任意に変更して実施可能である。
図1は、本実施形態の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムが適用される冷蔵庫の一例を示す分解斜視図である。図2は、図1の脇板に内箱および底板を取り付けた状態を示す斜視図である。図3は、脇板と後板との境界の構造を示す断面図である。まず、真空断熱材の取り出しが行われる廃冷蔵庫の構成の一例について、図1ないし図3を参照して説明する。
図1および図2に示すように、冷蔵庫(廃冷蔵庫)は、冷蔵庫本体10を備えている。この冷蔵庫本体10から真空断熱材11(VIP)を取り出して回収する際には、回転式や引出式の扉、機械室内の圧縮機などの冷却機構部品などが取り外される。
【0008】
冷蔵庫本体10は、上面となる天板2、左右側面となる脇板3、下面となる底板4、背面となる後板5からなる外箱6と、この外箱6の内側に設けられる合成樹脂製の内箱7と、を備えて構成されている。また、天板2、脇板3、底板4および後板5は、鋼板製である。また、天板2および左右の脇板3は、1枚の鋼板を正面視で門型(コ字状)に折り曲げて構成されている。
【0009】
また、天板2の後方には門型に切除された切り欠き部2aが設けられており、ここに冷蔵庫の各種制御を行う制御基板(不図示)を設けるための基板ケース(不図示)が取り付けられる。
【0010】
底板4は、外箱6の下面となる金属製の板状部材である。また、底板4は、機械室の天井に配置される天井部4aと、冷蔵庫本体10の底面に配置される底部4bと、底部4bの後端に任意の角度で高さ方向に立ち上がり、天井部4aの前端と繋がる起立部4cとで構成されている。
【0011】
後板5は、矩形の板材であり、天板2の高さ位置から底板4の天井部4aまでの長さ(高さ)を有する。また、後板5の内壁面には、真空断熱材11が貼り付けられている。なお、真空断熱材11は、VIP(Vacuum Insulation Panel)とも呼ばれ、以下では、真空断熱材をVIPと略記して説明する場合もある。
【0012】
内箱7は、外箱6よりも一回り小さく、内箱7と外箱6の内側との空間に、例えば硬質ウレタンフォームからなる発泡断熱材を注入、発泡することによって構成された断熱材(不図示)が設けられる。また、内箱7の内側には、図示しない仕切壁(不図示)が設けられ、貯蔵室である冷蔵室、冷凍室、野菜室が任意に形成されている。
【0013】
図3に示すように、脇板3は、後端縁部が内側に折り曲げられた曲げ部3aを有し、その曲げ部3aに嵌合用の凹部3bが形成されている。後板5は、左右の縁部が前方に折り曲げられた曲げ部5aを有する。凹部3bには、曲げ部5aが後方から挿入され、嵌め込まれることで脇板3と後板5とが接合されている。なお、図3では、後板5が脇板3に嵌め込まれる途中の状態を示している。また、後板5の内壁面には、VIP11が貼り付けられている。
【0014】
また、図示していないが、後板5は、上下の四隅の計4か所において脇板3に対してねじ留めされている。また、機種に応じて、後板5の上下の四隅と、左右の高さ方向の中央の2箇所の計6か所において脇板3に対してねじ留めされている。
【0015】
なお、以下では、図1ないし図3に示す構造の冷蔵庫を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、天板2および左右の脇板3が鋼板を曲げ加工して構成されたものに限定されず、天板2を構成する矩形の板材の対辺に、左右の側面を構成する2枚の板材を組み合わせて溶接やスポット溶接、ねじ留めなどにより固定して脇板3としたものであってもよい。
【0016】
図4は、本実施形態の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムを示すブロック図である。なお、図4は、集中管理的なシステムとして図示しているが、集中管理的なシステムに限定されるものではなく、複数のシステムに分けて制御されるものであってもよい。
図4に示すように、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム1は、真空断熱材11が設けられた廃冷蔵庫から真空断熱材11を取り出すものであって、後板真空断熱材回収部20(以下、後板VIP回収部と表記)、脇板真空断熱材回収部30(以下、脇板VIP回収部と表記)30、プレス部40、倒立粉体回収部50、芯材種類判別部60、異物除去部70、制御部100を備えて構成されている。
【0017】
後板VIP回収部20は、冷蔵庫本体10の後板5を回収する機構であり、後板5をクランプして、後板5を冷蔵庫本体10から引き剥がす機構を有している。ここでの後板5は、冷蔵庫本体10の背面に配置される金属製の薄板を指している。後板5の内壁面(裏面側)には、VIP11(図1参照)が貼り付けられ、後板5を冷蔵庫本体10から引き剥がすことにより、VIP11(図1参照)が一緒に後板5とともに引き剥がされる。このように、VIP11が貼り付いた後板5を、以下では、後板VIP12とする。
【0018】
VIP11は、例えば、グラスウールなどの芯材をラミネートフィルム(袋体)に入れて、真空パックして内部を減圧して封止した断熱材からなり、高い断熱性を有するものである。芯材は、例えば、ガラス短繊維やガラス長繊維からなるグラスウールで構成される。
【0019】
脇板VIP回収部30は、冷蔵庫本体10の脇板3を回収する機構であり、脇板3をクランプして、脇板3を冷蔵庫本体10から引き剥がす機構を有している。ここでは脇板3は、冷蔵庫本体10の左右の外側面に配置される金属製の薄板を指している。脇板3の内壁面(裏面側)には、VIP11(図1参照)が貼り付けられ、脇板3を引き剥がすことにより、VIP11(図1参照)が脇板3とともに引き剥がされる。このように、VIP11が貼り付いた脇板3を、以下では、脇板VIP13とする。
【0020】
プレス部40は、引き剥がした後板VIP12、脇板VIP13をロールプレスすることによって、VIP11を圧縮する機構を有する。また、VIP11をロールプレスすることで、VIP11の袋体内の芯材を押し潰して粉体にする。
【0021】
倒立粉体回収部50は、プレス部40によって圧縮したVIP11を倒立させた状態にし(起立した状態にし)、VIP11から粉体状の芯材を取り出す機構を有する。この倒立粉体回収部50は、後板VIP12、脇板VIP13を起立させて、VIP11を倒立させる機構と、倒立させたVIP11から内部の芯材を回収する機構と、を有する。
【0022】
芯材種類判別部60は、倒立粉体回収部50によって取り出した芯材(粉体)に含まれるガラスの種類を判別する機構を有する。この判別する機構としては、例えば、蛍光エックス線装置を挙げることができ、VIP11の袋体を切って中のグラスウールの種類を蛍光エックス線装置によって確認する。VIP11の芯材には、糸状の長繊維からなるEガラスと、綿状の短繊維からなるCガラスとが用いられている。CガラスとEガラスは、含まれるアルミナの量が異なり、融点が異なる。Eガラスは、Cガラスよりもアルミナの量が多く、Cガラスよりも融けにくくなっている(含まれるアルカリの量も異なっている)。このようにガラスの種類毎に分けることで、その後、ガラスを再利用しやすくなる。
【0023】
異物除去部70は、VIP11の芯材に含まれる異物(吸着剤、ゲッター材)を除去する機構を有する。この異物を除去する装置は、後記する篩い器55によって構成されている。
【0024】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、インタフェース回路などを備え、メモリ(ROM)に記憶された制御プログラムにしたがって後板VIP回収部20、脇板VIP回収部30、プレス部40、倒立粉体回収部50、芯材種類判別部60、異物除去部70を制御する。
【0025】
図5は、本実施形態の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムの動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、ステップS10において、制御部100は、後板VIP回収部20を制御して、後板5を引き剥がすことで、VIP11が貼り付いた後板5である後板VIP12を回収する。そして、ステップS20において、制御部100は、脇板3を引き剥がすことで、VIP11が貼り付いた脇板3である脇板VIP13を回収する。そして、ステップS30において、制御部100は、引き剥がした後板VIP12および脇板VIP13をロールプレスによって圧縮して、VIP11内の芯材を粉体にする。そして、ステップS40において、制御部100は、VIP11の芯材の種類(短繊維ガラスか長繊維ガラス)を判別する。そして、ステップS50において、制御部100は、ロールプレスによって粉体にした芯材をVIPの袋体から取り出す。そして、ステップS60において、制御部100は、粉体を吸引して篩い器に導入して芯材に含まれる異物を除去する。
【0026】
なお、図5では、ロールプレス(ステップS30)の後に芯材種類判別(ステップS40)を実行しているが、これらの処理を逆にして、芯材種類判別の後にロールプレスを実行してもよい。
【0027】
図6は、後板を引き剥がす際の工程を示し、後板の引き剥がし前、引き剥がし途中、引き剥がし後を示す後板の状態図である。図7は、後板を引き剥がす際のクランプ装置の動作図である。なお、図6は、冷蔵庫本体10を寝かせて、左側面を上(図示手前)にした状態である。すなわち、図6の紙面奥側が冷蔵庫本体10の接地面であり、これを上方から観察したところを図示している。また、図6では、後板5の内壁面に設けられるVIP11を破線で示している。また、図6では、紙面垂直方向の奥側を接地面にしているが、接地面は、紙面上側(冷蔵庫扉側)でもよく、また紙面垂直方向の手前側(反対側の側面)でもよい。
【0028】
図6の上段に示すように、後板VIP回収部20は、後板VIP12の後板5をクランプするクランプ機構21と、クランプした後板5を引き剥がす引き剥がし機構22と、を有している。クランプ機構21は、天板2側の後板5ではなく、底板4側の後板5の縁部を挟んでクランプする。
【0029】
図7に示すように、クランプ機構21は、後板5をクランプするために、底板4に穿って開口を形成する開口形成部21aと、この開口形成部21aとともに後板5を挟み込んでクランプする押え部21bと、を有している。また、開口形成部21aと押え部21bとは、軸部21cによって連結されている。また、クランプ機構21は、軸部21cを一方向に回転させることで押え部21bが開口形成部21aに近づく方向(図7中、下方向)に動作し、他方向に回転させることで押え部21bが開口形成部21aから遠ざかる方向(図7中、上方向)に動作する。なお、本実施形態では、軸部21cが回転することでクランプする機構を例に挙げて説明しているが、油圧で挟み込む等の機構であってもよい。
【0030】
また、図7の符号100の状態図に示すように、クランプ機構21の開口形成部21aを後板5に近い位置で底板4に対向するように位置決めする。また、開口形成部21aと押え部21bとを離間させておく。そして、図7の符号200の状態図に示すように、開口形成部21aを、押え部21bとクランプできる位置まで底板4に突き刺す。そして、図7の符号300の状態図に示すように、軸部21cを回転させることで押え部21bを開口形成部21aに近づけて、後板5を開口形成部21aと押え部21bとでクランプする。そして、図7の符号400の状態図に示すように、後板5を開口形成部21aと押え部21bとでクランプしたまま、クランプ機構21を引き剥がし機構22を制御して冷蔵庫本体10の背面から離れる方向かつ天板2側に近づく方向(状態図400の矢印方向)に動作させる。
【0031】
図6の中段図に示すように、後板VIP12が、冷蔵庫本体10の発泡断熱材31(図7参照)から引き剥がされる。このとき、VIP11が後板5に固定されているので、VIP11が発泡断熱材31(図7参照)側に残ることなく、VIP11が後板5とともに引き剥がされる。なお、以下では、VIP11が貼り付いた後板5を、後板VIP12とする。また、冷蔵庫本体10は、発泡断熱材31を必ずしも備えない。
【0032】
そして、図6の中段図からさらにクランプ機構21が引き剥がし機構22によって矢印方向に動作することで、図6の下段図に示すように、後板VIP12が冷蔵庫本体10から完全に引き剥がされる。このように、後板5は、1枚の板材(鋼板)で構成され、脇板3とは別部品で構成されているので、後板5を底板4側から天板2側に向けて引き剥がすことにより、後板5を天板2から容易に引き剥がすことができる。
【0033】
また、後板5は、後板5の曲げ部5a(図3参照)が脇板3の凹部3b(図3参照)に嵌め込まれている。このように後板5が脇板3の外側に位置しているので、後板5を脇板3よりも先に引き剥がすことにより、後板5を脇板3から容易に引き剥がすことができる。
【0034】
また、一般的に、冷蔵庫は、幅よりも高さが長く形成されているので、後板5についても、幅寸法Wよりも高さ寸法Hが長く形成されている(図2参照)。このことから、後板5を引き剥がす場合、高さ寸法Hよりも短い幅寸法Wの底板4側から引き剥がすことにより、一度に剥がす面積を少なくでき、引き剥がし時間を短くできるとともに比較的小さい力で引き剥がすことができる。
【0035】
図8は、脇板を引き剥がす際の工程を示し、脇板の引き剥がし前、引き剥がし途中、引き剥がし後の脇板の状態図である。なお、図8は、冷蔵庫本体10を寝かせたまま、脇板3を横向きにした状態である。また、以下では、VIP11が貼り付いた脇板3を、脇板VIP13として説明する。
図8の上段図に示すように、脇板VIP回収部30は、脇板3をクランプするクランプ機構21と、クランプした脇板3を引き剥がす引き剥がし機構22と、を有している。なお、クランプ機構21は、後板VIP回収部20のクランプ機構21と同様に構成され、脇板3の長手方向(冷蔵庫本体10の高さ方向)の中央の縁部を挟んでクランプする。具体的には、クランプ機構21の開口形成部21a(図6参照)を脇板3の内側の発泡断熱材に挿入して、押え部21b(図6参照)を開口形成部21a(図6参照)とで挟み込むことができる位置まで発泡断熱材に挿入する。そして、軸部21c(図6参照)を回転させることで押え部21bを開口形成部21aに近づけて、脇板3を開口形成部21aと押え部21bとでクランプする。なお、脇板3をクランプして引き剥がす前に、脇板3と天板2との境界の角部付近をあらかじめ切断しておく。
【0036】
そして、図8の中段図に示すように、脇板VIP13が、引き剥がし機構22によって冷蔵庫本体10から引き剥がされる。VIP11が脇板3に固定されているので、VIP11が発泡断熱材側に残ることなく、VIP11が脇板3とともに引き剥がされる。
【0037】
そして、図8の中段図からさらにクランプ機構21が引き剥がし機構22によって矢印方向に動作することで、図8の下段図に示すように、脇板VIP13が冷蔵庫本体10から完全に引き剥がされる。
【0038】
なお、左右の脇板3にVIP11が貼り付けられている場合には、さらに、もう一方の脇板VIP13を冷蔵庫本体10から引き剥がす工程が追加されると好ましい。
【0039】
また、本実施形態では、図8に示すように左側の脇板3を剥がす際に接地面を貯蔵室開口側とした場合を例に挙げて説明したが、右側の脇板3を剥がす場合、左側の脇板3を接地させて剥がしてもよい。また、剥がす方向は、機械室側から剥がしてもよく、後板側から剥がしてもよい。また、貯蔵室開口部を接地した場合、左右両側の脇板3を同時に剥がすことが可能になる。このように、接地面については、装置のレイアウト等に応じて適宜変更することができる。
【0040】
また、本実施形態では、後板VIP回収部20と脇板VIP回収部30とを別々の装置として説明したが、後板VIP回収部20のクランプ機構21と脇板VIP回収部30のクランプ機構21とを、共有化してもよい。
【0041】
図9は、ロールプレス装置を示し、プレス前とプレス後を示す状態図である。
図9に示すように、プレス部40は、VIP11の芯材を圧縮して粉体にするものであり、後板VIP12(脇板VIP13)を圧縮するロール部41,41を有している。なお、VIP11は、真空引きされているので、プレス部40によって圧縮したとしても、袋体に孔が開くことは抑制されている。この場合、後板VIP12(脇板VIP13)からVIP11を取り外さずに、VIP11が後板5(脇板3)に貼り付いたままの後板VIP12(脇板VIP13)をプレス部40に通すことで、VIP11の形状が後板5(脇板3)によって維持され、VIP11を扱い易くなり、処理性が向上する。また、後板VIP12(脇板VIP13)をプレス部40によって圧縮することで、VIP11内の芯材が細かく砕かれて粉体となる。このように、芯材を粉体にすることにより、芯材の嵩が減り、回収した芯材の輸送効率が向上する。
【0042】
図10は、芯材回収装置を示し、芯材回収前と芯材回収時の状態図である。
図10の上図に示すように、倒立粉体回収部50は、VIP11から芯材を回収する機構を有し、後板VIP12(脇板VIP13)が固定される固定部51と、固定部51を水平状態(二点鎖線参照)と倒立状態(実線参照)との間で回動させる軸部52と、を有している。このように構成された倒立粉体回収部50は、固定部51を水平状態にした状態で、後板VIP12(脇板VIP13)を取り付ける。そして、固定部51を軸部53を支点として起立させることで、後板VIP12(脇板VIP13)を倒立した状態にする。また、後板VIP12(脇板VIP13)を倒立させる前に、倒立させたときに下部に位置する、VIP11の袋体11tの下部に切れ目11aを入れて、VIP11の袋体11tを開封する。
【0043】
そして、図10の下図に示すように、VIP11のグラスウールを含む粉体(芯材)11sが重力の影響によって下方に向けて落下する。VIP11の下方には、粉体11sを回収する粉体回収箱54が設けられているので、粉体11sが粉体回収箱54に向けて排出され、蓄積される。なお、粉体11sが排出され難い場合には、後板VIP12(脇板VIP13)を叩いて振動させて、粉体11sを排出させる。このように芯材を粉体11sにすることで、袋体11tから芯材(粉体11s)が排出され易くなり、取り扱いが容易になる。
【0044】
図11は、吸引・篩いを用いた芯材回収装置を示す構成図である。
図11に示すように、粉体回収箱54に回収された粉体11s(図10参照)は、吸引され、異物除去部70としての篩い器55に送られる。粉体回収箱54と篩い器55とは吸引管54aを介して接続されている。そして、粉体回収箱54に回収された粉体11sは、駆動部のポンプPによって吸引され、篩い器55に投入される。篩い器55では、芯材に付着した異物11c(ゲッタ―材)が篩い器55に残り、異物11cを含まない粉体11z(芯材)が篩い器55の底面の網目から篩い落とされる。なお、芯材を粉体11sにすることで、篩い器55にかけたときに、ゲッター材を選別し易くなる。
【0045】
篩い器55の下方には、フレキシブルコンテナバッグ56が設置されている。篩い器55から篩い落とされた粉体11zは、フレキシブルコンテナバッグ56に回収される。
【0046】
図12は、篩いを用いた芯材回収装置を示す構成図である。
図12に示すように、図11に示す実施形態では、粉体回収箱54から篩い器55に吸引する構成を例に挙げて説明したが、吸引を利用しない構成であってもよい。すなわち、粉体回収箱54の下方に篩い器55を設置し、篩い器55の下方に、フレキシブルコンテナバッグ56を配置するようにしてもよい。例えば、粉体回収箱54の底面を開閉可能な構成とし、粉体11sが蓄積された後に粉体回収箱54の底面を開放することで重力の作用によって粉体11sが篩い器55に落下する。篩い器55では、図11において説明したように、粉体11sから異物11cが取り除かれ、フレキシブルコンテナバッグ56に回収される。このように、吸引を利用しないことで、システムを簡略化できる。
【0047】
図13は、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステムのレイアウト図を示す。
図13に示すように、廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム1(VIP取出しシステム)は、VIPを備えていない冷蔵庫をリサイクル処理する通常のラインL1に、VIP11が搭載された冷蔵庫からVIP11を回収するVIP剥離ラインL10を追加することによって構成されている。
【0048】
VIP剥離ラインL10は、後板VIP回収ラインL11(後板VIP回収部20)と、脇板VIP回収ラインL12(脇板VIP回収部30)と、を備えている。また、VIP剥離ラインL10には、冷蔵庫から扉や圧縮機などが取り外されたキャビネット(冷蔵庫本体10)を流す投入ラインL13が接続されている。この投入ラインL13では、後板5と脇板3とを固定しているネジが前もって取り外される。このネジは、後板5の四隅の計4個所、または後板5の四隅の4個所と上下方向の中間の2箇所の計6個所に設けられている。ネジを外した後に、後板VIP回収ラインL11(後板VIP回収部20)にキャビネット(冷蔵庫本体10)が流される。
【0049】
後板VIP回収ラインL11では、キャビネットからVIP11が貼り付いた後板5(後板VIP12)が回収され、VIP回収ラインL14に流される。このVIP回収ラインL14は、後板VIP12の芯材を回収する別のラインに送られる。
【0050】
そして、後板5が外されたキャビネットは、脇板VIP回収ラインL12(脇板VIP回収部30)に送られる。この脇板VIP回収ラインL12によって、キャビネットからVIP11が貼り付いた脇板3(脇板VIP13)が回収され、VIP回収ラインL14に流される。このVIP回収ラインL14は、脇板VIP13の芯材を回収する別のラインに送られる。
【0051】
また、後板VIP12および脇板VIP13が取り除かれたキャビネットは、通常のラインL1に戻される。この通常のラインL1に戻されたキャビネットは、破砕処理機に送られ、金属として回収される。また、後板VIP12および脇板VIP13は、倒立粉体回収部50、芯材種類判別部60および異物除去部70に送られる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム1は、VIP11が設けられた廃冷蔵庫から当該VIP11を取り出す廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム1であって、外板(後板5及び脇板3)を冷蔵庫本体10から引き剥がすことでVIP11を回収する。また、本実施形態の廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法は、真空断熱材11を備えた廃冷蔵庫から真空断熱材11を取り出す廃冷蔵庫からの真空断熱材取出し方法であって、外板(後板5及び脇板3)を冷蔵庫本体10から引き剥がすことによって真空断熱材11を回収する。これによれば、冷蔵庫の様々な機種に対して真空断熱材(VIP)を容易に回収できる。
【0053】
また、本実施形態は、VIP11が付いた外板のうち後板5を引き剥がす後板VIP回収部20と、VIP11が付いた外板のうち脇板3を引き剥がす脇板VIP回収部30と、を備える。後板VIP回収部20によって後板5を引き剥がした後、脇板VIP回収部30によって脇板3を引き剥がす。これによれば、後板5を容易に引き剥がすことができる。
【0054】
また、本実施形態において、後板VIP回収部20は、後板5の底側をクランプして外板の天板側に向けて引き剥がす。これによれば、天板2の板厚よりも底板4の板厚の方が薄く形成されているので、クランプ機構21の開口形成部21aを挿し込み易くなる。また、天板2寄りにVIP11が配置されているので、底板4側から剥がした方がVIP11が傷付きにくい。
【0055】
また、本実施形態は、VIP11が貼り付いたままの後板5(VIP11が貼り付いたままの脇板3)をロールプレスしてVIP11の袋体11t内の芯材を粉体にするプレス部40を備える。これによれば、外板(後板5、脇板3)にVIP11が貼り付いたままロールプレスすることで、VIP11の形状をしっかり維持した状態で行うことができ、プレス処理が容易になる。また、VIP11の芯材を粉砕することにより、芯材の嵩を減らすことができ、輸送効率を高めることができる。また、芯材を粉砕することで、後の工程の芯材の回収処理をし易くなる。
【0056】
また、本実施形態は、VIP11が貼り付いた外板(後板5、脇板3)を倒立させた状態で、VIP11の袋体11tの下部に切れ目11aを入れ、粉体を落下させて回収する倒立粉体回収部50を備える。これによれば、重力によって粉体が落下するので粉体の回収が容易になる。
【0057】
また、本実施形態は、芯材の種類を判別する芯材種類判別部60を備える。これによれば、芯材のリサイクルが容易になる。
【0058】
また、本実施形態は、粉体を篩い器55に投入して粉体に含まれる異物を除去する異物除去部70を備える。これによれば、芯材のリサイクルが容易になる。
【符号の説明】
【0059】
1 廃冷蔵庫からの真空断熱材取出しシステム
2 天板
3 脇板(外板)
4 底板
5 後板(外板)
10 冷蔵庫本体
11 真空断熱材
11a 切れ目
11c 異物
11s 粉体(芯材)
11t 袋体
12 後板真空断熱材
13 脇板真空断熱材
20 後板真空断熱材回収部
30 脇板真空断熱材回収部
40 プレス部
50 倒立粉体回収部
51 固定部
52 軸部
54 紛体回収箱
54a 吸引管
55 篩い器
56 フレキシブルコンテナバッグ
60 芯材種類判別部
70 異物除去部
100 制御部
図1
図2
図3
図4
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図10
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図13