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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046899
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】液晶パネル及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20240329BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20240329BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20240329BHJP
【FI】
G02F1/1335 500
G02F1/1339 500
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152256
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】内田 誠一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 訓明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭介
【テーマコード(参考)】
2H189
2H192
2H291
【Fターム(参考)】
2H189DA07
2H189DA32
2H189EA02X
2H189FA16
2H189JA10
2H189JA14
2H189LA15
2H192AA24
2H192BC12
2H192EA02
2H192EA17
2H192EA22
2H192EA42
2H192EA67
2H192GD23
2H192JA13
2H192JA33
2H291FA14Y
2H291FD25
2H291FD26
2H291GA11
2H291LA24
2H291MA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】視認性が良好で、表示品位の低下が充分に抑制された液晶パネル、並びに、これを用いたヘッドマウントディスプレイ及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】複数の行及び複数の列を有するマトリクス状に配列された複数の画素を有し、第一基板と、上記第一基板に対向する第二基板との間に、液晶層と、スペーサと、遮光部とを備え、上記遮光部は、列方向に沿って配置され、かつ行方向に並ぶ上記複数の画素間を遮光する複数の列方向遮光部と、行方向に沿って配置され、かつ列方向に並ぶ上記複数の画素間を遮光する複数の行方向遮光部とを有し、上記行方向遮光部は、上記スペーサの配置領域を含む第一遮光部と、上記第一遮光部と列方向に隣り合う第二遮光部とを含み、上記第二遮光部の列方向の位置が、上記第二遮光部と行方向に隣り合う行方向遮光部の列方向の位置に対して、上記スペーサの配置領域とは逆方向にずれている、液晶パネル。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の行及び複数の列を有するマトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶パネルであって、
第一基板と、前記第一基板に対向する第二基板とを備え、
前記第一基板と前記第二基板との間に、液晶層と、スペーサと、遮光部とを備え、
前記遮光部は、列方向に沿って配置され、かつ行方向に並ぶ前記複数の画素間を遮光する複数の列方向遮光部と、行方向に沿って配置され、かつ列方向に並ぶ前記複数の画素間を遮光する複数の行方向遮光部とを有し、
前記行方向遮光部は、前記スペーサの配置領域を含む第一遮光部と、前記第一遮光部と列方向に隣り合う第二遮光部とを含み、
前記第二遮光部の列方向の位置が、前記第二遮光部と行方向に隣り合う行方向遮光部の列方向の位置に対して、前記スペーサの配置領域とは逆方向にずれている
ことを特徴とする液晶パネル。
【請求項2】
前記第二遮光部に重畳する構造物の列方向の位置が、前記第二遮光部に行方向に隣り合う行方向遮光部に重畳する構造物の列方向の位置に対して、前記スペーサの配置領域とは逆方向にずれている
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項3】
前記行方向遮光部は、前記第一基板側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項4】
前記行方向遮光部は、前記第二基板側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項5】
前記第一遮光部は、列方向に並ぶ複数の青色画素間を遮光する行方向遮光部である
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項6】
前記第一遮光部が遮光する列方向に並ぶ青色画素のうち一つ(a)の開口率をA(%)とし、前記青色画素(a)と前記第一遮光部とは逆の列方向に隣り合う青色画素(b)の開口率をB(%)としたときに、下記式(1)を満たす
(A/B)×100≧85(%) (1)
ことを特徴とする請求項5に記載の液晶パネル。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の液晶パネルを備えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイデバイス。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載の液晶パネルを備えることを特徴とする液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、液晶パネル及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の主要部品である液晶パネルは一般に、一対の基板間に液晶層を封入した構成からなり、液晶層に対して電圧を印加し、印加した電圧に応じて液晶分子の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御している。このような液晶パネルは、薄型、軽量及び低消費電力といった特長を活かし、各種用途に広く用いられている。
【0003】
液晶パネルでは通常、液晶層の厚み(セルギャップとも称す)を制御するために、柱状のスペーサ(フォトスペーサ又はスペーサとも称す)が設けられる。スペーサ周辺では、液晶分子が所望の配向方向とは異なる方向に配向して光漏れの原因となるため、これを防止するために、スペーサと重なるように遮光部が配置される。特許文献1には、スペーサと重なる位置に遮光部を配置し、更に一部の遮光部の幅を狭くして開口部の面積を調整する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-122175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図17は、従来の液晶パネルの画素の平面模式図(概念図)である。この液晶パネルは、一対の基板間に、液晶層とともに、スペーサ40Rと、複数の画素間を行方向に遮光する遮光部510R、及び、複数の画素間を列方向に遮光する遮光部520Rとを備える(図17では基板と液晶層は図示せず)。通常、スペーサ40Rの配置領域に設けられる遮光部は、スペーサを配置することに伴う光漏れを抑制するために、比較的大きなサイズで設けられる(遮光部5210R)。これに起因して、スペーサ周囲の画素(610R等)の開口率が、他の画素の開口率と比べて大きく低下することから、液晶パネルに画像を表示させて視認したときにスペーサ40Rが配置された部分だけ暗く視認されてしまい、視認性が良好とはならない。
【0006】
図18は、特許文献1に記載された液晶表示装置が有する画素の平面模式図である。図18では、図17と対比しやすくするために、画素を簡略化かつ概念化して示している。この装置でも、スペーサ40Rの配置領域に設けられる遮光部は、比較的大きなサイズで設けられる(遮光部5210R)。特許文献1では、スペーサ40Rの上下(図面中の上下を意味する)方向に位置する画素610Rと、当該画素610Rからスペーサ40Rと離れる上下方向にある620Rと、を遮光する遮光部5220Rの上下方向の幅を狭くしており、これにより、スペーサ40Rの上下に位置する画素610Rの開口率を調整している。しかし、開口率の調整が難しく、また光漏れが視認されてコントラストが低下するおそれもある。
【0007】
ところで、TVやスマートフォン、タブレット等の用途では、画素密度が1000ppi以下である低精細液晶パネルが通常使用される。一方、ヘッドマウントディスプレイ(HMDとも称す)のような、観察者の眼から液晶パネルまでの距離が非常に小さい機器では、画素密度が1000ppiを超えるような高精細液晶パネルが使用される。これらの液晶パネルの画素の一例を、図19及び図20にそれぞれ示す。
【0008】
図19は、低精細液晶パネル1Lの画素の平面模式図である。図20は、高精細液晶パネル1Hの画素の平面模式図である。簡略化のために、図19及び図20では、カラーフィルタ層60(赤色カラーフィルタ60R、緑色カラーフィルタ60G及び青色カラーフィルタ60B)、スペーサ40、ゲートライン71及びソースライン74のみ表示している。低精細液晶パネル1Lでは、図19に示すように、一つの画素の面積(サイズ)がスペーサ40に比べて大きいため、スペーサ40の配置領域に重なる画素610の開口率への影響は小さく、よって視認性への影響は小さいと考えられる。これに対し、高精細液晶パネル1Hでは、図20に示すように、低精細液晶パネル1Lに比べて、一つの画素の面積が小さくなる。そのため、スペーサ40の配置領域に重なる画素610の開口率への影響が相対的に大きくなる。即ち高精細液晶パネル1Hでは、画素サイズに対してスペーサ40のサイズを無視できなくなり、スペーサ40を配置する領域に重なる画素610の開口率が大きく低下してしまう。それゆえ、高精細液晶パネル1Hに画像を表示させて視認したときに、スペーサ40が配置された部分だけ暗く視認される(この現象を「高精細画素のスクリーンドア効果」とも称す)。このようにスペーサ40による画素開口率への影響は、高精細液晶パネルにおいて特に顕著な課題となる。従って、高精細液晶パネルであっても視認性を良好にすることができる技術が要求される。
【0009】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、視認性が良好で、表示品位の低下が充分に抑制された液晶パネル、並びに、これを用いたヘッドマウントディスプレイ及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の一実施形態は、複数の行及び複数の列を有するマトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶パネルであって、第一基板と、上記第一基板に対向する第二基板とを備え、上記第一基板と上記第二基板との間に、液晶層と、スペーサと、遮光部とを備え、上記遮光部は、列方向に沿って配置され、かつ行方向に並ぶ上記複数の画素間を遮光する複数の列方向遮光部と、行方向に沿って配置され、かつ列方向に並ぶ上記複数の画素間を遮光する複数の行方向遮光部とを有し、上記行方向遮光部は、上記スペーサの配置領域を含む第一遮光部と、上記第一遮光部と列方向に隣り合う第二遮光部とを含み、上記第二遮光部の列方向の位置が、上記第二遮光部と行方向に隣り合う行方向遮光部の列方向の位置に対して、上記スペーサの配置領域とは逆方向にずれている、液晶パネル。
【0011】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記第二遮光部に重畳する構造物の列方向の位置が、上記第二遮光部に行方向に隣り合う行方向遮光部に重畳する構造物の列方向の位置に対して、上記スペーサの配置領域とは逆方向にずれている、液晶パネル。
【0012】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、上記行方向遮光部は、上記第一基板側に配置されている、液晶パネル。
【0013】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)又は上記(3)の構成に加え、上記行方向遮光部は、上記第二基板側に配置されている、液晶パネル。
【0014】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、上記第一遮光部は、列方向に並ぶ複数の青色画素間を遮光する行方向遮光部である、液晶パネル。
【0015】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、上記第一遮光部が遮光する列方向に並ぶ青色画素のうち一つ(a)の開口率をA(%)とし、上記青色画素(a)と上記第一遮光部とは逆の列方向に隣り合う青色画素(b)の開口率をB(%)としたときに、下記式(1)を満たす、液晶パネル。
(A/B)×100≧85(%) (1)
【0016】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)又は上記(6)に記載の液晶パネルを備える、ヘッドマウントディスプレイデバイス。
【0017】
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)又は上記(6)に記載の液晶パネルを備える、液晶表示装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、視認性が良好で表示品位の低下が充分に抑制された液晶パネル、並びに、これを用いたヘッドマウントディスプレイ及び液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1~4の液晶パネルの全体を、観察面側から見たときの平面模式図である。
図2】実施形態1~4の液晶パネルの断面模式図である。
図3】実施形態1~4の液晶パネルが有する画素の平面模式図である。
図4】実施形態1に関する図3中のX部分を拡大した図である。
図5図4を簡略化した図である。
図6図4を簡略化した図である。
図7】実施形態1に関する図4中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図8】実施形態1に関する図4中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)である。
図9】実施形態1の液晶表示装置の断面模式図である。
図10】実施形態1の液晶パネルを備えるHMDの外観の一例を示す斜視模式図である。
図11】実施形態2に関する図4中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図12】実施形態3に関する図3中のX部分を拡大した図である。
図13】実施形態3に関する図12中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図14】実施形態4に関する図3中のX部分を拡大した図である。
図15】実施形態4に関する図14中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図16】実施形態4に関する図14中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)である。
図17】従来の液晶パネルの画素の平面模式図である。
図18】特許文献1に記載された液晶表示装置が有する画素の平面模式図である。
図19】低精細液晶パネル1Lの画素の平面模式図である。
図20】高精細液晶パネル1Hの画素の平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(用語の定義)
本明細書中、観察面側とは、液晶表示装置又は液晶パネルの画面(表示面)に対してより近い側を意味し、背面側とは、液晶表示装置又は液晶パネルの画面(表示面)に対してより遠い側を意味する。
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で適宜設計変更を行うことが可能である。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の液晶パネルの全体を、観察面側から見たときの平面模式図である。図2は、本実施形態の液晶パネルの断面模式図である。図3は、本実施形態の液晶パネルが有する画素の平面模式図である。簡略化のために、図3では、カラーフィルタ層60(赤色カラーフィルタ60R、緑色カラーフィルタ60G、青色カラーフィルタ60B)、スペーサ40、ゲートライン71及びソースライン74のみ表示している。図4は、図3中のX部分を拡大した図(概念図)である(カラーフィルタ層60は図示せず)。図5は、スペーサ40と遮光部50との関係を分かりやすく示すために、図4を簡略化した図である。図6は、画素の開口率を検討するために、図4を簡略化した図である。図7は、図4中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。図8は、図4中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)である。
【0023】
本実施形態の液晶パネル1は、図2に示すように、背面側から順に、第一基板10と、液晶層20と、第二基板30とを備える。即ち液晶層20が、対向配置された第一基板10と第二基板30との間に挟持された構造を有する。第一基板10と第二基板30との間には更に、スペーサ40と遮光部50とが配置されている(図2には図示せず)。本実施形態では、第一基板10として、支持基板110上に薄膜トランジスタ(TFTと称す)素子を備えるTFT基板を用い、第二基板30として、支持基板310上にカラーフィルタ(CFと称す)60を備えるCF基板を用いる形態について説明する。第二基板を、対向基板とも称す。
【0024】
図1に示すように、液晶パネル1中央の表示部Aの両側(図面では左右両側)に、ゲートドライバ70が配置されている。ここでは、ゲートドライバ70は表示部Aの両側に配置されているが、左右どちらか一方の配置でもよい。表示部Aは、列方向(図面では上下方向)に沿って互いに平行に配置された複数のソースライン(信号線)74と、各ソースライン74と垂直に交わるように行方向(図面では左右方向)に沿って互いに平行に配置された複数のゲートライン(走査線)71と、を有する。これら複数のソースライン74と複数のゲートライン71は、各画素を区画するように、全体としてマトリクス状(格子状)に形成されている。即ち本実施形態の液晶パネル1は、複数の行及び複数の列を有するマトリクス状に配列された複数の画素(サブ画素)600を有する。各画素600では、ソースライン74とゲートライン71との交点に、スイッチング素子としてのTFTが配置されている。TFTとは、ゲート電極72、ソース電極75及び半導体膜85を有する素子である。
【0025】
TFT基板10は、支持基板110上に、種々の構成物を備える(例えば図1図4及び図7を参照)。TFTの半導体部(半導体膜とも称す)85には、第一のコンタクト部76を介してソースライン74が重なっており、その重なり部分が、TFTのソース電極75となっている。またゲートライン71が、TFTのゲート電極72となっている。半導体膜85の先には第二のコンタクト部77が設けられており、第二のコンタクト部77を介して第一の透明電極91が接続されている。この第一の透明電極91が、画素電極となる。第一の透明電極91の上に、絶縁膜(第四の絶縁膜84)が形成され、その上に第二の透明電極92が形成されている。この第二の透明電極92が、共通電極(コモン電極とも称す)となる。TFT基板10は、必要に応じて平坦化膜80を有する。各層間には、必要に応じて絶縁膜が設けられる(第一、第二、第三の絶縁膜81、82、83、ゲート絶縁膜73等)。
【0026】
CF基板30は、支持基板310上にカラーフィルタ層60を備える(例えば図7参照)。CF基板30は更に、ブラックマトリクス(BMとも称す)を備える。より具体的には、支持基板310上に、BMと、BMの格子間に周期的に配列するように設けられたカラーフィルタ層60(赤色カラーフィルタ60R、緑色カラーフィルタ60G及び青色カラーフィルタ60B)と、を備える構成が挙げられる(図3も参照)。なお、BMは、遮光部50として機能する。例えば本実施形態では、CF基板30に形成したBMにより、列方向遮光部510を構成している。
【0027】
図4及び図5に示すように、列方向及び行方向に、複数の画素間を遮光する遮光部50が配置されている(列方向遮光部510及び行方向遮光部520)。列方向遮光部510は、第二基板(CF基板)30側に配置されており、この列方向遮光部510に重なるように、第一基板(TFT基板)10側にソースライン74が配置されている。列方向遮光部510は、列方向(図面の上下方向)に沿って配置され、かつ行方向(図面の左右方向)に並ぶ複数の画素間を遮光する。行方向遮光部520は、行方向に沿って配置され、かつ列方向に並ぶ複数の画素間を遮光する。なお、行方向遮光部520は、一つの行方向において、点線状に分離していてもよいし、一つの繋がりとして配置されていてもよい。列方向遮光部510もまた、一つの列方向において、点線状に分離していてもよいし、一つの繋がりとして配置されていてもよい。
【0028】
行方向遮光部520の少なくとも一つ(第一遮光部5210)に重なるように、第一基板10と第二基板30との間にスペーサ40が配置されている(図5図6及び図7参照)。即ちスペーサ40の配置領域に、第一遮光部5210が設けられている。本実施形態では、第一遮光部5210等の行方向遮光部520は、第一基板10側に配置されている(図7参照)。第一遮光部5210は、列方向に並ぶ画素610間を遮光している(図5参照)。
第二遮光部5220は、画素610を挟んで、第一遮光部5210と列方向(図面では上下方向)に隣り合う行方向遮光部を意味する(図5参照)。
【0029】
第二遮光部5220は、その列方向の位置が、第二遮光部5220と行方向(図面では左右方向)に隣り合う行方向遮光部5230の列方向の位置に対して、スペーサ40の配置領域とは逆方向にずれている(特に図5中、y部分を参照)。行方向遮光部5230の列方向の位置もまた、行方向遮光部5230と行方向に隣り合う行方向遮光部(第二遮光部5220とは逆の行方向に隣り合う行方向遮光部)の列方向の位置に対して、スペーサの配置領域とは逆方向にずれていてもよい。このように第二遮光部5220の列方向の位置をずらすことで、第二遮光部5220の列方向の幅を変更させることなく、第一遮光部5210が遮光する画素610の開口率を調整することができる。即ち画素610の開口率の低下を充分に抑制することができる。
【0030】
スペーサ40の配置領域が重なる画素は、青色画素であることが好ましい。これは、人間工学上、青色が最も視認性が悪いため、開口率低下による視認性への影響が最も小さくなると考えられるためである。それでも一般的には、上述した通り、画素が高精細になると、視認性への影響を無視できなくなると考えられる。だが、本実施形態の液晶パネルは、上述した通り、第二遮光部5220の列方向の位置がずれていることで、第一遮光部5210が遮光する列方向に並ぶ画素610の開口率低下が充分に抑制されるため、画素が高精細になっても良好な視認性を発揮することができる。
【0031】
例えば図6に示すように、スペーサ40の配置領域に重なる画素610と、第一遮光部5210とは逆の列方向に隣り合う画素を画素620とし、画素610の開口率をA(%)、画素620の開口率をB(%)とした場合、理想的にはA=Bとなることが好適である。視認性が最も良くなるためである。一方で、Aが小さすぎると、スペーサ40が視認されるおそれがある。実用上は、AとBとが下記式(1)を満たすことが好適である。
(A/B)×100≧85(%) (1)
{(A/B)×100}は、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%以上である。好ましい上限は100%である。
【0032】
中でも特に、画素610が青画素の場合に、上記式(1)を満たすことが好適である。即ち、第一遮光部5210が遮光する列方向に並ぶ青色画素610のうち一つの画素(画素aと称す)の開口率をA(%)とし、この青色画素aと第一遮光部5210とは逆の列方向に隣り合う青色画素(画素bと称す)の開口率をB(%)としたときに、上記式(1)を満たすことが特に好ましい。人間の視覚では、青色が最も感度が低く、開口率低下による視認性低下の許容が大きい。それゆえ、上記画素aが青色画素であるときに上記式(1)を満たせば、多くの人間はスペーサ40が配置された部分を視認することができない。本発明では、特に青色画素において上記式(1)を満たすように、第二遮光部5220の列方向の位置を、行方向遮光部5230の列方向の位置に対して、スペーサ40の配置領域とは逆方向に移動させることが好適である。
【0033】
画素a、bの開口率A、Bと、スペーサ40の配置領域に重ならない画素(例えば、図6中の画素c)の開口率との関係は、特に限定されない。例えば、画素cの開口率をC(%)とした場合、スペーサ40があるために、通常はC>A、C>Bとなる。だが、カラーフィルタの材料や膜厚による色味の調整によって所望の色が調整できるならば、A/C、B/Cの比率は特に限定されない。例えば、画素a、bが青色カラーフィルタ画素であり、画素cが赤色カラーフィルタ画素である場合、青色カラーフィルタの色を濃く調整する(例えば、濃い色の材料を用いたり、膜厚を増やしたりする等)ことで、色味の調整ができるため、A/C、B/Cの比率を調整することができる。
【0034】
本実施形態では、第二遮光部5220に重畳する構造物の列方向の位置が、第二遮光部5220に行方向に隣り合う行方向遮光部5230に重畳する構造物の列方向の位置に対して、スペーサ40の配置領域とは逆方向にずれている(図4及び図5参照)。第二遮光部5220の列方向の位置をずらすと、第二遮光部5220が本来遮光するはずの画素内構造物(例えば、ゲート電極、TFT、コンタクト部等)が開口部に現れることがある。この場合、開口率の制御がより容易にならないことや、光漏れをより抑制してコントラストを更に高めることが難しくなることがある。だが、本実施形態では、第二遮光部5220とともに、第二遮光部5220に重畳する構造物も同様に移動させている。即ち、第二遮光部5220の列方向の位置がずれた後も第二遮光部5220に重畳する構造物を遮光できるように、第二遮光部5220に重畳する構造物の列方向の位置を移動させている。これにより、開口率の制御がより容易になるうえ、光漏れがより充分に抑制されてコントラストをより一層高めることが可能になる。
【0035】
本実施形態において、液晶パネルの液晶モードは特に限定されず、液晶層中の液晶分子を基板面に垂直に配向させることで黒表示を行うものであってもよいし、液晶層中の液晶分子を基板面に平行に又は垂直でも平行でもない方向に配向させることで黒表示を行うものであってもよい。また、液晶パネルの駆動形式としては、TFT方式(アクティブマトリクス方式)の他、単純マトリクス方式(パッシブマトリクス方式)、プラズマアドレス方式等であってもよい。
【0036】
本実施形態の液晶パネルは、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加し、液晶層に横電界(フリンジ電界を含む)又は縦電界を印加することにより、表示を行うことができる。横電界方式としては、電圧無印加時に液晶層中の液晶分子が基板面に対して平行に配向する、FFS(Fringe Field Switching)モードやIPS(In Plane Switching)モードが挙げられる。縦電界方式としては、電圧無印加時に液晶層中の液晶分子が基板面に対して垂直に配向する、垂直配向(VA:Vertical Alignment)が挙げられる。
【0037】
本実施形態の液晶パネルは、低精細液晶パネルであってもよいし、高精細液晶パネルであってもよい。上述したように、スペーサ40による画素開口率への影響は、高精細液晶パネルにおいて特に顕著な課題となるが、本発明の液晶パネルであれば、高精細液晶パネルである場合も、視認性が良好で、表示品位の低下が充分に抑制されるという効果を充分に発揮することができる。それゆえ、本実施形態の液晶パネルは、高精細液晶パネルであることが好適である。
【0038】
本実施形態の液晶パネルは、例えば、下記方法により作製されるCF基板(対向基板)30とTFT基板10とを互いに貼り合わせ、両者の間隙に液晶組成物を注入することによって液晶層20を形成した後、得られた構造体を分断することにより、製造することができる(図7を適宜参照)。
【0039】
(1)CF基板30の作製方法
まず支持基板310上に遮光膜を成膜し、この遮光膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、複数の列方向遮光部510を形成する。遮光膜の材料は、例えば、BM(ブラックマトリクス)の材料として使用される材料を用いればよい。具体的には、黒色の感光性樹脂材料であってもよいし、金属材料であってもよい。例えば樹脂材料を用いる場合、得られる遮光部の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は10μm以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は100nm以上、上限は3μm以下である。
【0040】
次に、赤色画素R、緑色画素G及び青色画素Bに対応する領域に、赤色カラーフィルタ60R、緑色カラーフィルタ60G及び青色カラーフィルタ60Bを順次形成することにより、カラーフィルタ層60を形成する。各カラーフィルタの材料は、例えば、着色された感光性樹脂材料を用いることができる。通常、全ての画素に、赤色カラーフィルタ60R、緑色カラーフィルタ60G及び青色カラーフィルタ60Bの組み合わせが配置され、赤色カラーフィルタ60R、緑色カラーフィルタ60G及び青色カラーフィルタ60Bを透過する色光の量を制御しつつ混色させることで、各画素において所望の色が得られる。なお、カラーフィルタ層60の液晶層20側の表面は、平坦であってもよし、平坦でなくてもよい。平坦にする場合は、カラーフィルタ層60を覆うような平坦化膜を設けてもよい。
【0041】
その後、複数のスペーサ40を形成する。スペーサ40は、例えば、透光性を有する樹脂材料から形成される。スペーサ40は、後述のTFT基板10側に形成する行方向遮光部520(特に第一遮光部5210)に重なるように配置される。また上述したように、スペーサ40の配置領域は青色画素に重なることが好ましいため、青色カラーフィルタ60Bを列方向に遮光する位置に、スペーサ40を配置する。
【0042】
最後に、カラーフィルタ層60(又は平坦化膜)に、必要に応じて配向膜(図示せず)を形成することで、CF基板30が得られる。配向膜には、配向処理(例えば光配向処理)が行われる。
【0043】
(2)TFT基板10の作製方法
まず支持基板110上に導電性膜を成膜し、この導電性膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、複数の行方向遮光部520(例えば、第一遮光部5210、第二遮光部5220、第二遮光部5220と行方向に隣り合う行方向遮光部5230等)を形成する。導電性膜の材料は特に限定されないが、例えば、BM(ブラックマトリクス)の材料として使用される金属材料を用いればよい。具体的には、タングステン(W)等が挙げられる。例えば金属材料を用いる場合、得られる遮光部の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は30nm以上、上限は500nm以下である。
【0044】
次に、絶縁膜(第一の絶縁膜81)を形成した後、第一の絶縁膜81上にTFTの半導体部(半導体膜)85を成膜し、この半導体膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングする。半導体膜85は、例えば、In-Ga-Zn-O系の酸化物半導体膜が好適である。また、アモルファスシリコン、ポリシリコン等からなる高抵抗半導体層と、アモルファスシリコンにリン等の不純物をドープしたn+アモルファスシリコン等からなる低抵抗半導体層とによって構成してもよい。半導体膜85の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は30nm以上、上限は500nm以下である。
【0045】
次に、ゲート絶縁膜73を形成した後、ゲート絶縁膜73上に導電性膜を成膜し、この導電性膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、ゲートライン71及びゲート電極72を形成する。ゲートライン71及びゲート電極72の材料は、例えば、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の金属又はこれらの合金が挙げられ、単層であってもよいし、複数層の積層構造であってもよい。
【0046】
次に、絶縁膜(第二の絶縁膜82)を成膜し、フォトリソ工程により、後のコンタクトホール(第一のコンタクト部76)となる領域に開口部を形成する(つまり、この領域に成膜された当該絶縁膜を取り除く)。
【0047】
次に、第二の絶縁膜82上に導電性膜を成膜し、この導電性膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、ソースライン74及びソース電極75を形成する。ソースライン74及びソース電極75の材料は、例えば、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の金属又はこれらの合金が挙げられ、単層であってもよいし、複数層の積層構造であってもよい。
【0048】
次に、絶縁膜(第三の絶縁膜83)を成膜し、フォトリソ工程により、後のコンタクトホール(第二のコンタクト部77)となる領域に開口部を形成する(つまり、この領域に成膜された当該絶縁膜を取り除く)。
【0049】
次に、第三の絶縁膜83上に平坦化膜80を成膜し、フォトリソ工程により、後のコンタクトホール(第二のコンタクト部77)となる領域に開口部を形成する(つまり、この領域に成膜された当該平坦化膜を取り除く)。
【0050】
次に、平坦化膜80上に透明導電膜を成膜し、この透明導電膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、透明電極(第一の透明電極91)を形成する。本実施形態では、第一の透明電極91が画素電極として機能する。
【0051】
次に、絶縁膜(第四の絶縁膜84)を形成した後、第四の絶縁膜84上に透明導電膜を成膜し、この透明導電膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、透明電極(第二の透明電極92)を形成する。本実施形態では、第二の透明電極92が、共通電極として機能する。
【0052】
最後に、必要に応じて配向膜(図示せず)を形成することで、TFT基板10が得られる。配向膜には、配向処理(例えば光配向処理)が行われる。
【0053】
支持基板110、310は、絶縁性の基板(絶縁基板とも称す)である。また、透明基板であることが好ましい。例えば、ガラス基板、プラスチック基板等が挙げられる。
【0054】
透明電極91、92(及び後述する93)は、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の透明導電材料、又は、これらの合金で形成することができる。透明電極の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は30nm以上、上限は500nm以下である。
【0055】
絶縁膜81、82、83、84及びゲート絶縁膜73は、例えば、無機絶縁膜が好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(SiO)等の無機膜(比誘電率ε=5~7)や、これらの積層膜を用いることができる。各絶縁膜の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は30nm以上、上限は500nm以下である。
【0056】
平坦化膜(平坦化膜80等)は、例えば、有機絶縁膜が好ましい。有機絶縁膜としては、例えば、感光性樹脂等の比誘電率の小さい有機膜(比誘電率ε=2~5)や、その積層膜を用いることができる。具体的には例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂等の有機膜や、これらの積層体が挙げられる。平坦化膜の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は5000nm以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は30nm以上、上限は3000nm以下である。
【0057】
なお上記では、TFT基板10が平坦化膜80を有する構成を例示したが、平坦化膜80を有さなくてもよい。また、共通電極として機能する第二の透明電極92が、画素電極として機能する第一の透明電極91の上に位置する構成を例示したが、画素電極として機能する第一の透明電極91が、共通電極として機能する第二の透明電極92の上に位置する構成を採用してもよい。更に、FFSモードで表示を行う(つまり横電界を利用して表示を行う)形態を例示したが、VAモードのような縦電界を利用して表示を行う形態を採用してもよく、この場合は、対向基板30側に、画素電極に対向する共通電極が設けられる。
【0058】
本実施形態では、第二遮光部5220の列方向の位置を、第二遮光部5220と行方向に隣り合う行方向遮光部5230の列方向の位置に対して、スペーサ40の配置領域とは逆方向にずらしている。本実施形態では更に、第二遮光部5220の列方向の位置がずれた後も第二遮光部5220に重畳する構造物を遮光できるように、第二遮光部5220に重畳する構造物の列方向の位置を移動させている。
【0059】
以下では、本実施形態の液晶パネルを備える液晶表示装置を例に挙げて説明する。
図9は、本実施形態の液晶表示装置の断面模式図である。図9に示す通り、本実施形態の液晶表示装置1000は、本実施形態の液晶パネル1と、バックライト2と、を備える。
【0060】
バックライト2は、光を照射するものであれば特に限定されず、直下型やエッジ型やその他のどの方式でもよい。具体的には例えば、バックライト2は、導光板及び光源を含む光源ユニットと、反射シートと、拡散シートとを備えるものが好ましい。光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)を用いることができる。
【0061】
本実施形態の液晶表示装置は、上述した部材の他、偏光板;TCP(テープ・キャリア・パッケージ)、PCB(プリント配線基板)等の外部回路;視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム等の光学フィルム;ベゼル(フレーム);等の複数の部材により構成されるものであり、部材によっては、他の部材に組み込まれていてもよい。既に説明した部材以外の部材については特に限定されず、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができるので、説明を省略する。
【0062】
図10は、本実施形態に係る液晶表示装置をヘッドマウントディスプレイ(HMD)として使用したときの外観の一例、即ち本実施形態の液晶パネルを備えるHMDの外観の一例を示す斜視模式図である。図10に示すように、ヘッドマウントディスプレイ1000Xは、画像を表示するための本実施形態の液晶パネル1と、光学素子3と、バックライト(図示せず)とを備え、ユーザの頭部に装着可能な表示装置である。光学素子3は、例えば、レンズである。この図では両眼型HMDを例示したが、片眼型HMDであってもよい。
【0063】
HMDの表示方式は特に限定されず、水平配向モード、垂直配向モード等の各種表示モードが好ましく採用される。例えば、水平配向モードを利用したHMDとしては、特開2019-113584号公報に記載のように、フリンジ電界の形成に用いる電極の開口形状に特徴を持たせた技術を採用することが好適である。
【0064】
(実施形態2)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態では、行方向遮光部520が、第二基板30側に配置される形態について説明する。
【0065】
図1は、本実施形態の液晶パネルの全体を、観察面側から見たときの平面模式図でもある。図2は、本実施形態の液晶パネルの断面模式図でもある。図3は、本実施形態の液晶パネルが有する画素の平面模式図でもある。図4は、図3中、X部分を拡大した図(概念図)である(カラーフィルタ層60は図示せず)。図5は、スペーサ40と遮光部50との関係を分かりやすく示すために、図4を簡略化した図である。図6は、画素の開口率を検討するために、図4を簡略化した図である。図11は、図4中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
【0066】
実施形態1では、行方向遮光部520が、第一基板10側に配置されているが(図7参照)、本実施形態では、行方向遮光部520が、第二基板30側に配置されている(図11参照)。それ以外の構成は、実施形態1の液晶パネルと同様である。本実施形態の液晶パネルもまた、視認性が良好で、表示品位の低下が充分に抑制されている。
【0067】
本実施形態の液晶パネルは、例えば、下記方法により作製されるCF基板(対向基板)30とTFT基板10とを互いに貼り合わせ、両者の間隙に液晶組成物を注入することによって液晶層20を形成した後、得られた構造体を分断することにより、製造することができる(図11を適宜参照)。
【0068】
(1)CF基板30の作製方法
実施形態1における上記(1)の方法ではまず、支持基板310上に複数の列方向遮光部510を形成したが、本実施形態では、支持基板310上に遮光膜を成膜し、この遮光膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、複数の列方向遮光部510及び複数の行方向遮光部520を形成する。この他は、実施形態1における上記(1)の方法と同じである。
【0069】
(2)TFT基板10の作製方法
実施形態1における上記(2)の方法ではまず、支持基板110上に複数の行方向遮光部520を形成する工程を行うが、本実施形態ではこの工程を省略する。即ち支持基板110上に、絶縁膜(第一の絶縁膜81)を形成する。この他は、実施形態1における上記(2)の方法と同じである。
【0070】
(実施形態3)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態では、TFT基板側にカラーフィルタを設ける形態、即ちCOA(Color filter On Arraey)構造の液晶パネルである形態について説明する。
【0071】
図1は、本実施形態の液晶パネルの全体を、観察面側から見たときの平面模式図でもある。図2は、本実施形態の液晶パネルの断面模式図でもある。図3は、本実施形態の液晶パネルが有する画素の平面模式図でもある。図12は、図3中、X部分を拡大した図(概念図)である(カラーフィルタ層60は図示せず。)。図13は、図12中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
【0072】
実施形態1では、第一基板10としてTFT基板を用い、第二基板30としてCF基板を用いたが(図7参照)、本実施形態では、第一基板10としてCOA構造のTFT基板を用い、第二基板(対向基板)30として支持基板310を用いる(図13参照)。本実施形態の液晶パネルもまた、視認性が良好で、表示品位の低下が充分に抑制されている。
【0073】
TFT基板10は、支持基板110上に、種々の構成物を備える(例えば図1図12及び図13を参照)。TFTの半導体部(半導体膜)85には、第一のコンタクト部76を介してソースライン74が重なっており、その重なり部分が、TFTのソース電極75となっている。またゲートライン71が、TFTのゲート電極72となっている。半導体膜85の先には第二のコンタクト部77が設けられており、第二のコンタクト部77を介して第一の透明電極91が接続されている。第一の透明電極91の上に、カラーフィルタ層60及び平坦化膜80が形成され、その上に、第二の透明電極92が形成されている。この第二の透明電極92が、画素電極となる。第二の透明電極92の上に、絶縁膜(第四の絶縁膜84)が形成され、その上に第三の透明電極93が形成されている。この第三の透明電極93が、共通電極となる。各層間には、必要に応じて絶縁膜が設けられる(第一、第二、第三の絶縁膜81、82、83、ゲート絶縁膜73等)。
【0074】
本実施形態の液晶パネルは、例えば、下記方法により作製される第二基板(対向基板)30とTFT基板10とを互いに貼り合わせ、両者の間隙に液晶組成物を注入することによって液晶層20を形成した後、得られた構造体を分断することにより、製造することができる(図13を適宜参照)。
【0075】
(1)対向基板30の作製方法
支持基板310上に複数のスペーサ40を形成する。スペーサ40は、後述のTFT基板10側に形成する行方向遮光部520(特に第一遮光部5210)に重なるように配置される。また、後述のTFT基板10側に形成する青色カラーフィルタ50Bを列方向に遮光する位置に、スペーサ40を配置する。
【0076】
(2)TFT基板10の作製方法
まず支持基板110上に導電性膜を成膜し、この導電性膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、複数の行方向遮光部520及び列方向遮光部510を形成する。その後、第三の絶縁膜83を成膜して後のコンタクトホール(第二のコンタクト部77)となる領域に存在する当該絶縁膜を取り除く工程まで、実施形態1における上記(2)の方法と同様に行う。
【0077】
次に、第三の絶縁膜83上に透明導電膜を成膜し、この透明導電膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、透明電極(第一の透明電極91)を形成する。
【0078】
次に、カラーフィルタの材料(例えば、着色された感光性樹脂材料)を成膜し、後のコンタクトホール(第三のコンタクト部78)となる領域に開口部を形成する(つまり、この領域に成膜された当該カラーフィルタ層60を取り除く)。この工程を、赤色、緑色及び青色のカラーフィルタ材料でそれぞれ行い、赤色画素R、緑色画素G及び青色画素Bに対応する領域に、赤色カラーフィルタ60R、緑色カラーフィルタ60G及び青色カラーフィルタ60Bをそれぞれ形成する。
【0079】
次に、カラーフィルタ層60上に平坦化膜80を成膜し、フォトリソ工程により、後のコンタクトホール(第三のコンタクト部78)となる領域に開口部を形成する(つまり、この領域に成膜された当該平坦化膜を取り除く)。
【0080】
次に、平坦化膜80上に透明導電膜を成膜し、この透明導電膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、透明電極(第二の透明電極92)を形成する。本実施形態では、第二の透明電極92が画素電極として機能する。
【0081】
次に、平坦化膜80(第二の平坦化膜)を成膜し、フォトリソ工程により、後のコンタクトホール(第三のコンタクト部78)となる領域に存在する該平坦化膜のみ残す。即ち、第三のコンタクト部78内に平坦化膜が存在する。第三のコンタクト部78を平坦化膜で埋めることで、画素部が平坦化される。
【0082】
次に、絶縁膜(第四の絶縁膜84)を形成した後、第四の絶縁膜84上に透明導電膜を成膜し、この透明導電膜をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、透明電極(第三の透明電極93)を形成する。本実施形態では、第三の透明電極93が、共通電極として機能する。
【0083】
最後に、必要に応じて配向膜(図示せず)を形成することで、TFT基板10が得られる。配向膜には、配向処理(例えば光配向処理)が行われる。
【0084】
(実施形態4)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。実施形態4では、第二遮光部5220に重畳する構造物の列方向の位置を移動させない形態について説明する。
【0085】
図1は、本実施形態の液晶パネルの全体を、観察面側から見たときの平面模式図でもある。図2は、本実施形態の液晶パネルの断面模式図でもある。図3は、本実施形態の液晶パネルが有する画素の平面模式図でもある。図14は、図3中、X部分を拡大した図(概念図)である(カラーフィルタ層60は図示せず。)。図15は、図14中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。図16は、図14中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)である。
【0086】
実施形態1では、第二遮光部5220とともに、第二遮光部5220に重畳する構造物も同様に移動させている。即ち、第二遮光部5220が、その列方向の位置がずれた後も、第二遮光部5220に重畳する構造物を遮光できるように、第二遮光部5220に重畳する構造物の列方向の位置を移動させている(図4及び図5参照)。これに対し、本実施形態では、第二遮光部5220に重畳する構造物の位置は移動させず、第二遮光部5220のみ列方向の位置を移動させる。本実施形態では、ゲートライン71の形状を直線のままにすることで、ゲートライン71の加工形状安定性を向上させることができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明したが、説明された個々の事項は、すべて本発明全般に対して適用され得るものである。
【0088】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0089】
(実施例1)
実施形態1の液晶パネルを作製した(図1~7参照)。より具体的には、下記方法に従って作製したCF基板30とTFT基板10とを貼り合わせて液晶組成物(液晶層20)を注入した後、基板を分断して、液晶パネル1を得た。
【0090】
(1-1)CF基板30の作製方法
ガラス基板310上に遮光性樹脂膜(厚み1000nm)を成膜し、フォトリソ工程により所望の形状に加工する。この遮光性樹脂膜が、列方向遮光部510となる。その後、カラーフィルタをR、G、Bごとに所望の位置に形成し(カラーフィルタ層60)、スペーサ40を所望の位置に形成する。
【0091】
(1-2)TFT基板10の作製方法
ガラス基板110上に導電性膜(タングステン膜;厚み50nm)を成膜し、フォトリソ工程により導電性膜を所望の形状に加工する。この導電性膜が、行方向遮光部520(例えば、第一遮光部5210、第二遮光部5220、第二遮光部5220と行方向に隣り合う行方向遮光部5230等)となる。
次に第一の絶縁膜81(SiO(厚み100nm)/SiN(厚み70nm)の積層構造)を成膜する。
次に半導体膜85(酸化物半導体(IGZO);厚み50nm)を成膜し、フォトリソ工程により半導体膜を所望の形状に加工する。
次にゲート絶縁膜73(SiO;厚み85nm)を成膜する。
次に導電性膜(Ti(厚み100nm)/Al(厚み150nm)/Ti(厚み30nm)の積層構造)を成膜し、フォトリソ工程により導電性膜を所望の形状に加工する。この導電性膜が、ゲート電極72となる。
次に第二の絶縁膜82(iO;厚み500nm)を成膜し、フォトリソ工程により、第一のコンタクト部76となる領域に存在する該絶縁膜82を取り除く。
次に導電性膜(Ti(厚み60nm)/Al(厚み300nm)/Ti(厚み20nm)の積層構造)を成膜し、フォトリソ工程により該導電性膜を所望の形状に加工する。この導電性膜が、ソースライン74及びソース電極75となる。
次に第三の絶縁膜83(SiO;厚み500nm)を成膜し、フォトリソ工程により、第二のコンタクト部77となる領域に存在する該絶縁膜83を取り除く。
次に平坦化膜80(感光性樹脂膜;厚み2000nm)を成膜し、フォトリソ工程により、第二のコンタクト部77となる領域に存在する該平坦化膜80を取り除く。
次に第一の透明電極91(IZO;厚み100nm)を成膜し、フォトリソ工程により透明電極91をパターニングする。この透明電極91が、画素電極となる。
次に第四の絶縁膜84(SiN;厚み100nm)を成膜する。
次に第二の透明電極92(IZO;厚み100nm)を成膜し、フォトリソ工程により透明電極92をパターニングする。この透明電極92が、共通電極となる。
【0092】
本実施例では、第二遮光部5220の列方向の位置を、第二遮光部5220と行方向に隣り合う行方向遮光部5230の列方向の位置に対して、スペーサ40の配置領域とは逆方向にずらすことで、スペーサ40の配置領域に重なる画素610の開口率を調整した。本実施例では更に、第二遮光部5220の移動に合わせて、第二遮光部5220に重畳する構造物(例えば、ゲート電極、TFT、コンタクト部等)の列方向の位置も、第二遮光部5220に行方向に隣り合う行方向遮光部5230に重畳する構造物の列方向の位置に対して、スペーサ40の配置領域とは逆方向にずらした。即ち第二遮光部5220の列方向の位置がずれた後も第二遮光部5220に重畳する構造物を遮光できるように、第二遮光部5220に重畳する構造物の列方向の位置を移動させた。このように本実施例では、第二遮光部5220の列方向の幅を変更させることなく、第二遮光部5220の位置を移動させることで、画素の開口率(特に第一遮光部5210が遮光する画素610の開口率)を調整した。これにより、第一遮光部5210が遮光する画素610の開口率と、他の画素の開口率との差が小さくなるため、視認性が改善され、画素の表示品位が向上した。更に、第二遮光部5220に重畳する構造物も同様に移動させたため、例えば、ゲート電極やコンタクト部等が開口部に現れてコントラストが低下するといったことも防止された。
【0093】
(実施例2)
実施形態2の液晶パネルを作製した(図1図6及び図11参照)。実施例1と異なる点は、実施例1ではTFT基板側に配置していた導電性膜(行方向遮光部520)を、対向基板側に配置した点である。それ以外は、実施例1と液晶パネルの構成は同様である。より具体的には、下記方法に従って作製したCF基板30とTFT基板10とを貼り合わせて液晶組成物(液晶層20)を注入した後、基板を分断して、液晶パネル1を得た。
【0094】
(2-1)CF基板30の作製方法
ガラス基板310上に遮光性樹脂膜(厚み1000nm)を成膜し、フォトリソ工程により所望の形状に加工する。この遮光性樹脂膜が、列方向遮光部510及び行方向遮光部520となる。その後、カラーフィルタをR、G、Bごとに所望の位置に形成し(カラーフィルタ層60)、スペーサ40を所望の位置に形成する。
【0095】
(2-2)TFT基板10の作製方法
ガラス基板110上に、導電性膜を成膜せずに第一の絶縁膜81を成膜すること以外は、上記(1-2)の方法と同様である。
【0096】
本実施例のように行方向遮光部520を、対向基板側に配置した場合でも、実施例1と同様に、視認性が改善され、画素の表示品位が向上した。更に、第二遮光部5220に重畳する構造物も同様に移動させたため、例えば、ゲート電極やコンタクト部等が開口部に現れてコントラストが低下するといったことも防止された。それゆえ、本実施例で得た液晶パネルは、視認性が極めて良好で、表示品位の低下がより充分に抑制されたものであった。
【0097】
(実施例3)
実施形態3の液晶パネルを作製した(図1図3図12及び図13参照)。実施例1と異なる点は、本実施例の液晶パネルがCOA構造である点にある。より具体的に説明すると、下記方法に従って作製した対向基板30とTFT基板10とを貼り合わせて液晶組成物(液晶層20)を注入した後、基板を分断して、液晶パネル1を得た。
【0098】
(3-1)対向基板30の作製方法
ガラス基板310上に、スペーサ40を所望の位置に作製する。
【0099】
(3-2)TFT基板10の作製方法
ガラス基板110上に導電性膜(タングステン膜;厚み50nm)を成膜し、フォトリソ工程により導電性膜を所望の形状に加工する。この導電性膜が、列方向遮光部510及び行方向遮光部520となる。
次に第一の絶縁膜81(SiO(厚み100nm)/SiN(厚み70nm)の積層構造)を成膜する。
次に半導体膜85(酸化物半導体(IGZO);厚み50nm)を成膜し、フォトリソ工程により半導体膜を所望の形状に加工する。
次にゲート絶縁膜73(SiO;厚み85nm)を成膜する。
次に導電性膜(Ti(厚み100nm)/Al(厚み150nm)/Ti(厚み30nm)の積層構造)を成膜し、フォトリソ工程により導電性膜を所望の形状に加工する。この導電性膜が、ゲート電極72となる。
次に第二の絶縁膜82(SiO;厚み500nm)を成膜し、フォトリソ工程により、第一のコンタクト部76となる領域に存在する該絶縁膜82を取り除く。
次に導電性膜(Ti(厚み60nm)/Al(厚み300nm)/Ti(厚み20nm)の積層構造)を成膜し、フォトリソ工程により該導電性膜を所望の形状に加工する。この導電性膜が、ソースライン74及びソース電極75となる。
次に第三の絶縁膜83(SiO;厚み500nm)を成膜し、フォトリソ工程により、第二のコンタクト部77となる領域に存在する該絶縁膜83を取り除く。
次に第一の透明電極91(IZO;厚み100nm)を成膜し、フォトリソ工程により透明電極91をパターニングする。
次にカラーフィルタ材料(感光性樹脂膜;厚み1000nmを成膜し、フォトリソ工程により第三のコンタクト部78となる領域に存在する該カラーフィルタを取り除く。この操作を、赤色、緑色及び青色のカラーフィルタ材料でそれぞれ実施し、赤色、緑色、青色の画素に対応する部分にそれぞれの色のカラーフィルタを形成する(カラーフィルタ層60)。
次に平坦化膜80(感光性樹脂膜;厚み2000nm)を成膜し、フォトリソ工程により、第三のコンタクト部78となる領域に存在する該平坦化膜80を取り除く。
次に第二の透明電極92(IZO;厚み100nm)を成膜し、フォトリソ工程により透明電極92をパターニングする。この透明電極92が、画素電極となる。
次に平坦化膜80(第二の平坦化膜)を成膜し、フォトリソ工程により、後のコンタクトホール(第三のコンタクト部78)となる領域に存在する該平坦化膜のみ残す。
次に第四の絶縁膜84(SiN;厚み100nm)を成膜する。
次に第三の透明電極93(IZO;厚み100nm)を成膜し、フォトリソ工程により透明電極93をパターニングする。この透明電極93が、共通電極となる。
【0100】
本実施例のようにCOA構造の液晶パネルである場合でも、実施例1と同様に、視認性が改善され、画素の表示品位が向上した。更に、第二遮光部5220に重畳する構造物も同様に移動させたため、例えば、ゲート電極やコンタクト部等が開口部に現れてコントラストが低下するといったことも防止された。
【0101】
(実施例4)
実施形態4の液晶パネルを作製した(図1図3及び図14図16参照)。実施例1と異なる点は、本実施例では第二遮光部5220に重畳する構造物(例えば、ゲート電極、TFT、コンタクト部等)の列方向の位置は移動させずに、第二遮光部5220の列方向の位置のみ移動させた点にある。
【0102】
本実施例では、第二遮光部5220の列方向の幅を変更させることなく、第二遮光部5220の位置を移動させることで、画素の開口率(特に第一遮光部5210が遮光する画素610の開口率)を調整した。第二遮光部5220に重畳する構造物の位置は移動させないことにより、行方向に沿って配置されるゲートライン71の形状が、行方向に直線になるため、ゲートライン71の加工形状安定性が向上した。だが、光漏れをより充分に抑制できる点で、実施例1~3のように第二遮光部5220に重畳する構造物の位置を移動させる形態がより好適である。
【0103】
以上に示した本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1、1H、1L :液晶パネル
2 :バックライト
3 :光学素子
A :液晶パネルの表示部
10 :第一基板
20 :液晶層
30 :第二基板
110、310 :絶縁基板
40、40R :スペーサ
50 :遮光部
510、510R:列方向遮光部
520、5210、5220、5230、520R、5210R、5220R:行方向遮光部
60 :カラーフィルタ層
60R ;赤色カラーフィルタ
60G :緑色カラーフィルタ
60B :青色カラーフィルタ
70 :ゲートドライバ
71 :ゲートライン
72 :ゲート電極
73 :ゲート絶縁膜
74 :ソースライン
75 :ソース電極
76、77、78:コンタクト部
80 :平坦化膜
81、82、83、84:絶縁膜
85 :半導体膜(半導体部)
91、92、93:透明電極
1000 :液晶表示装置
1000X :ヘッドマウントディスプレイ
600、610、620、a、b、c、610R、620R:画素(サブ画素)
U :ユーザ(観察者)の眼

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