(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046905
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】マーク検出方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240329BHJP
G06V 10/82 20220101ALI20240329BHJP
G03F 9/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G06V10/82
G03F9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152267
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】岡山 敏之
(72)【発明者】
【氏名】島田 佳典
【テーマコード(参考)】
2H197
5L096
【Fターム(参考)】
2H197DA02
2H197EA19
2H197EB16
2H197HA01
2H197HA02
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA02
5L096DA02
5L096EA05
5L096EA35
5L096FA12
5L096FA33
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA08
5L096GA30
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】アライメントマークを探す作業者の負担を軽減できる技術を提供する。
【解決手段】コンピュータ20により、エンコード工程と、画像選択工程とを実行する。エンコード工程では、学習済みのVAEモデルMに、対象物の複数の部分画像D2を入力し、複数の部分画像D2を多次元の潜在空間における複数の潜在変数にエンコードする。画像選択工程では、潜在空間における複数の潜在変数の分布に基づき、アライメントマークを含む可能性がある1つまたは複数の部分画像D2を選択する。このように、VAEモデルMを利用して、アライメントマークを含む可能性がある部分画像を、コンピュータ20により自動検出する。これにより、アライメントマークを探す作業者の負担を軽減できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物からアライメントマークを検出するマーク検出方法であって、
学習済みのVAEモデルに、前記対象物の複数の部分画像を入力し、前記複数の部分画像を多次元の潜在空間における複数の潜在変数にエンコードするエンコード工程と、
前記潜在空間における前記複数の潜在変数の分布に基づき、前記アライメントマークを含む可能性がある1つまたは複数の部分画像を選択する画像選択工程と、
をコンピュータにより実行する、マーク検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載のマーク検出方法であって、
前記画像選択工程は、
a)前記潜在空間において、前記潜在変数ごとに、最も近い潜在変数までの距離を算出する工程と、
b)前記距離が他の潜在変数よりも大きい1つまたは所定数の潜在変数に対応する1つまたは所定数の部分画像を、前記アライメントマークを含む可能性がある1つまたは複数の部分画像として選択する工程と、
を有する、マーク検出方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のマーク検出方法であって、
前記エンコード工程よりも前に、
前記対象物の画像から特徴的な形状を含む部分画像を抽出する部分画像抽出工程
をさらに実行し、
前記エンコード工程では、前記部分画像抽出工程により抽出された部分画像を前記VAEモデルに入力する、マーク検出方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のマーク検出方法であって、
教師あり学習により作成された分類器により、前記複数の部分画像から、プローブ痕、傷、またはパーティクルを有する部分画像を除去する画像除去工程
をさらに実行する、マーク検出方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のマーク検出方法であって、
機械学習により前記VAEモデルを作成または更新する学習工程
をさらに実行し、
前記学習工程では、前記対象物の学習用の入力画像を前記VAEモデルに入力し、前記入力画像と、前記潜在変数からデコードされた再構成画像との差分が小さくなるように、かつ、前記潜在空間における前記潜在変数の分布が所定の確率分布となるように、前記VAEモデルのパラメータを調整する、マーク検出方法。
【請求項6】
請求項5に記載のマーク検出方法であって、
前記学習工程は、
前記潜在空間を第1の次元数として機械学習を行う調整前学習工程と、
前記調整前学習工程の後、前記潜在空間の各次元における前記潜在変数の分布に基づいて、前記潜在空間の次元数を、前記第1の次元数よりも少ない第2の次元数に変更する次元数調整工程と、
前記潜在空間を前記第2の次元数として機械学習を行う調整後学習工程と、
を有する、マーク検出方法。
【請求項7】
請求項6に記載のマーク検出方法であって、
前記次元調整工程では、前記潜在空間における前記複数の潜在変数の成分毎に算出された分散または標準偏差に基づいて、前記潜在空間の次元数を減らす、マーク検出方法。
【請求項8】
請求項5に記載のマーク検出方法であって、
前記学習工程は、
第1入力画像に基づいて機械学習を行う第1学習工程と、
前記第1学習工程の後、前記潜在空間における潜在変数の複数の成分うち、標準偏差または分散が大きい所定数の有効成分を決定する有効成分決定工程と、
前記有効成分のみに値をもつ有効ベクトルをデコードすることにより、補正画像を生成する補正画像生成工程と、
前記第1入力画像に前記補正画像をブレンドすることにより、第2入力画像を生成する入力画像補正工程と、
前記第2入力画像に基づいて機械学習を行う第2学習工程と、
を有する、マーク検出方法。
【請求項9】
前記コンピュータに、請求項1または請求項2に記載のマーク検出方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物からアライメントマークを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置のように、対象物に対して精密な処理を行う装置では、対象物に付されたアライメントマークに基づいて、対象物の位置合わせを行っている。アライメントマークにより対象物の位置合わせを行う従来の技術については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の装置において、対象物の位置合わせを行うときには、従来、作業者が、対象物の画像を拡大しながら、アライメントマークを目視で探していた。しかしながら、このような従来の方法では、アライメントマークの設定に時間がかかり、作業者の負担も大きい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、アライメントマークを探す作業者の負担を軽減できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、対象物からアライメントマークを検出するマーク検出方法であって、学習済みのVAEモデルに、前記対象物の複数の部分画像を入力し、前記複数の部分画像を多次元の潜在空間における複数の潜在変数にエンコードするエンコード工程と、前記潜在空間における前記複数の潜在変数の分布に基づき、前記アライメントマークを含む可能性がある1つまたは複数の部分画像を選択する画像選択工程と、をコンピュータにより実行する。
【0007】
本願の第2発明は、第1発明のマーク検出方法であって、前記画像選択工程は、a)前記潜在空間において、前記潜在変数ごとに、最も近い潜在変数までの距離を算出する工程と、b)前記距離が他の潜在変数よりも大きい1つまたは所定数の潜在変数に対応する1つまたは所定数の部分画像を、前記アライメントマークを含む可能性がある1つまたは複数の部分画像として選択する工程と、を有する。
【0008】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明のマーク検出方法であって、前記エンコード工程よりも前に、前記対象物の画像から特徴的な形状を含む部分画像を抽出する部分画像抽出工程をさらに実行し、前記エンコード工程では、前記部分画像抽出工程により抽出された部分画像を前記VAEモデルに入力する。
【0009】
本願の第4発明は、第1発明から第3発明までのいずれか1発明のマーク検出方法であって、教師あり学習により作成された分類器により、前記複数の部分画像から、プローブ痕、傷、またはパーティクルを有する部分画像を除去する画像除去工程をさらに実行する。
【0010】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明までのいずれか1発明のマーク検出方法であって、機械学習により前記VAEモデルを作成または更新する学習工程をさらに実行し、前記学習工程では、前記対象物の学習用の入力画像を前記VAEモデルに入力し、前記入力画像と、前記潜在変数からデコードされた再構成画像との差分が小さくなるように、かつ、前記潜在空間における前記潜在変数の分布が所定の確率分布となるように、前記VAEモデルのパラメータを調整する。
【0011】
本願の第6発明は、第5発明のマーク検出方法であって、前記学習工程は、前記潜在空間を第1の次元数として機械学習を行う調整前学習工程と、前記調整前学習工程の後、前記潜在空間の各次元における前記潜在変数の分布に基づいて、前記潜在空間の次元数を、前記第1の次元数よりも少ない第2の次元数に変更する次元数調整工程と、前記潜在空間を前記第2の次元数として機械学習を行う調整後学習工程と、を有する。
【0012】
本願の第7発明は、第6発明のマーク検出方法であって、前記次元調整工程では、前記潜在空間における前記複数の潜在変数の成分毎に算出された分散または標準偏差に基づいて、前記潜在空間の次元数を減らす。
【0013】
本願の第8発明は、第5発明から第7発明までのいずれか1発明のマーク検出方法であって、前記学習工程は、第1入力画像に基づいて機械学習を行う第1学習工程と、前記第1学習工程の後、前記潜在空間における潜在変数の複数の成分うち、標準偏差または分散が大きい所定数の有効成分を決定する有効成分決定工程と、前記有効成分のみに値をもつ有効ベクトルをデコードすることにより、補正画像を生成する補正画像生成工程と、前記第1入力画像に前記補正画像をブレンドすることにより、第2入力画像を生成する入力画像補正工程と、前記第2入力画像に基づいて機械学習を行う第2学習工程と、を有する。
【0014】
本願の第9発明は、コンピュータプログラムであって、コンピュータに、第1発明から第8発明までのいずれか1発明のマーク検出方法を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本願の第1発明~第9発明によれば、VAEモデルを利用して、アライメントマークを含む可能性がある部分画像を、コンピュータにより自動検出する。これにより、アライメントマークを探す作業者の負担を軽減できる。
【0016】
特に、本願の第2発明によれば、潜在変数間の距離に基づいて、同様の特徴が少ない部分画像を選択する。これにより、アライメントマークを含む可能性がある部分画像を適切に選択できる。
【0017】
特に、本願の第3発明によれば、特徴的な形状を含む部分画像を予め抽出し、抽出された部分画像をVAEモデルに入力する。これにより、VAEモデルに入力する部分画像の数を減らすことができる。その結果、エンコード工程および画像選択工程の処理を高速化できる。
【0018】
特に、本願の第4発明によれば、プローブ痕、傷、またはパーティクルを有する部分画像が選択されることを抑制できる。これにより、アライメントマークの検出精度を向上させることができる。
【0019】
特に、本願の第6発明によれば、潜在空間の次元数を、適正な次元数に調整できる。これにより、エンコード工程および画像選択工程の処理を、より高速化できる。
【0020】
特に、本願の第8発明によれば、第1入力画像の特徴を捉えている有効成分のみに値をもつ有効ベクトルに基づいて補正画像を作成し、当該補正画像を第1入力画像にブレンドする。これにより、第1入力画像の特徴的な要素を強調した第2入力画像を生成できる。そして、当該第2入力画像に基づいて機械学習を行うことにより、より精度のよいVAEモデルを作成できる。その結果、アライメントマークの検出を、より精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】コンピュータの機能を概念的に示したブロック図である。
【
図4】学習処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】検査処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】潜在空間における潜在変数の分布の例を、概念的に示した図である。
【
図7】第1変形例に係る検査処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第2変形例に係る学習処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】複数の潜在変数の分散を、成分毎に算出した結果の例を示したグラフである。
【
図10】第3変形例に係る学習処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
<1.検査装置の構成>
図1は、検査装置1の構成を示した図である。この検査装置1は、本発明の一実施形態に係るマーク検出方法を実行しつつ、対象物9の検査を行う装置である。対象物9は、例えば、半導体基板である。ただし、対象物9は、液晶表示装置等のフラットパネルディスプレイに使用されるガラス基板であってもよい。また、対象物9は、プリント基板や電池部品等の他の精密電子部品であってもよい。また、対象物9は、印刷用紙等のシート状の基材であってもよい。
【0024】
図1に示すように、検査装置1は、撮像部10、コンピュータ20、および表示部30を備える。
【0025】
撮像部10は、対象物9を撮影するためのカメラ11を有する。カメラ11は、CCDやCMOS等の撮像素子と、対象物9から入射する光を撮像素子に結像させる光学系とを有する。また、撮像部10は、撮影時に対象物9に光を照射する照明装置を有していてもよい。撮像部10は、コンピュータ20と電気的に接続されている。
【0026】
図1に示すように、対象物9の表面には、配線パターンなどの被検査パターン91が形成されている。また、対象物9の表面には、アライメントマーク92が付されている。アライメントマーク92は、複数の対象物9を同じ位置で検査するために、検査装置1における対象物9の位置合わせを行うためのマークである。撮像部10は、被検査パターン91およびアライメントマーク92を撮像する。これにより、被検査パターン91およびアライメントマーク92を含む撮影画像D1が得られる。撮影画像D1は、多数の画素が二次元座標上に配列され、各画素に輝度値が規定されたデータである。撮像部10は、撮影により得られた撮影画像D1を、コンピュータ20へ入力する。
【0027】
コンピュータ20は、撮像部10から入力される撮影画像D1に基づいて、対象物9のアライメントを行うとともに、対象物9の検査を行う情報処理装置である。
図1に示すように、コンピュータ20は、CPU等のプロセッサ21、RAM等のメモリ22、およびハードディスクドライブ等の記憶部23を有する。
【0028】
記憶部23には、後述する学習処理、アライメントマーク92の検出処理、アライメント処理、および検査処理をコンピュータ20に実行させるためのコンピュータプログラム24が記憶されている。コンピュータプログラム24は、CDやDVDなどのコンピュータ20により読み取り可能な記憶媒体から読み取られて、記憶部23に記憶される。ただし、コンピュータプログラム24は、ネットワーク経由でコンピュータ20にダウンロードされるものであってもよい。
【0029】
表示部30は、検査装置1の処理に関する種々の情報を表示する装置である。表示部30には、例えば、液晶表示装置が使用される。表示部30は、コンピュータ20と電気的に接続されている。表示部30は、コンピュータ20から出力される情報を、画面に表示する。表示部30に表示される情報には、例えば、後述するアライメントマーク92の検出結果や、対象物9の検査結果が含まれる。
【0030】
図2は、上述したコンピュータ20の機能を、概念的に示したブロック図である。
図2に示すように、コンピュータ20は、学習部41、部分画像抽出部42、エンコード部43、最近傍距離算出部44、画像選択部45、アライメント部46、および検査部47を有する。学習部41、部分画像抽出部42、エンコード部43、最近傍距離算出部44、画像選択部45、アライメント部46、および検査部47の各機能は、コンピュータ20のプロセッサ21が、コンピュータプログラム24に従って動作することにより実現される。これらの各部の機能を、以下に、処理の流れとともに説明する。
【0031】
<2.学習処理について>
まず、検査装置1において、検査処理よりも前に予め実行される学習処理について、説明する。
【0032】
学習処理は、機械学習によりVAE(Variational Auto Encoder)モデルMを作成する処理である。
図3は、VAEモデルMを概念的に示した図である。VAEモデルMは、入力画像Diに対して、エンコードおよびデコードを行うことにより、再構成画像Doを出力する学習モデルである。
【0033】
図3に示すように、VAEモデルMは、エンコーダ部Meとデコーダ部Mdとを有する。エンコーダ部Meは、入力画像Diを、多次元の潜在空間(特徴空間)LSにおける潜在変数に変換(エンコード)する処理部である。潜在変数は、潜在空間LSの各次元の成分をもつベクトル値として表される。デコーダ部Mdは、潜在変数から画像を復元(デコード)して、入力画像Diに近似した再構成画像Doを出力する処理である。エンコーダ部Meおよびデコーダ部Mdには、多層ニューラルネットワークが使用される。
【0034】
潜在空間LSにおいて、1つの潜在変数は、1つの入力画像Diの特徴を表す。VAEモデルMでは、潜在空間LSにおける潜在変数の分布が、所定の確率分布となるように、多数の入力画像Diをエンコードする。確率分布には、例えば、正規分布が使用される。
【0035】
図4は、学習処理の流れを示すフローチャートである。コンピュータ20は、予め用意された多数の学習用の対象物9の入力画像Di(後述する部分画像D2に相当する画像)を、VAEモデルMに入力する(ステップS11)。そうすると、VAEモデルMは、各入力画像Diに対して、エンコードおよびデコードを行い、再構成画像Doを出力する(ステップS12)。
【0036】
コンピュータ20の学習部41は、入力画像Diと再構成画像Doとの差分が小さくなるように、かつ、潜在空間LSにおける潜在変数の分布が上述した所定の確率分布となるように、VAEモデルMのパラメータを調整する(ステップS13)。具体的には、入力画像Diと再構成画像Doとの差分を表す評価関数をMSE、潜在空間LSにおける潜在変数の分布の所定の確率分布からのずれ量を表す評価関数をKLDとして、損失関数Lossを次の式(1)で表す。そして、学習部41は、この損失関数Lossが最小となるように、VAEモデルMのパラメータを調整する。
Loss=MSE+β×KLD ・・・(1)
【0037】
上記の式(1)において、βは、損失関数Lossにおける評価関数KLDの重みを表す係数である。係数βを変化させることにより、2つの評価関数MSE,KLDの重み付けを調整できる。これにより、損失関数Lossをより適正化し、VAEモデルMの精度を、より向上させることができる。
【0038】
学習部41は、このようなステップS11~S13の処理を、所定の終了条件を満たすまで繰り返す(ステップS14)。これにより、対象物9の入力画像Diに基づいて再構成画像Doを精度よく出力可能なVAEモデルMが生成される。
【0039】
なお、学習部41は、一旦VAEモデルMを作成した後、VAEモデルMを更新するために、上記の学習処理を再度行ってもよい。
【0040】
<3.検査処理について>
続いて、対象物9の検査処理について説明する。
図5は、検査処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
対象物9の検査を行うときには、まず、撮像部10が、対象物9を撮影する(ステップS21)。本実施形態では、撮像部10は、対象物9のアライメントマーク92を含む一部分(アライメントマーク92の探索範囲)を撮影する。これにより、アライメントマーク92と、アライメントマーク92の周囲に存在する被検査パターン91の一部とを含む撮影画像D1が得られる。撮像部10は、得られた撮影画像D1を、コンピュータ20へ入力する。
【0042】
次に、コンピュータ20の部分画像抽出部42が、撮影画像D1から、撮影画像D1よりも小さい複数の部分画像D2を抽出する(ステップS22)。ステップS22は、本発明における「部分画像抽出工程」の一例である。部分画像D2は、アライメントマーク92を含む画像の候補となる画像である。
【0043】
アライメントマーク92は、典型的には十字状または矩形状であり、直角のコーナーを含んでいる。このため、本実施形態では、部分画像抽出部42は、まず、撮影画像D1中のコーナーを検出する。そして、部分画像抽出部42は、コーナーを中心とする所定サイズの画像を、部分画像D2として抽出する。
【0044】
部分画像抽出部42は、例えば、Harrisのコーナー検出アルゴリズムを使用して、撮影画像D1中のコーナーを検出する。ただし、部分画像抽出部42は、コーナーに限らず、円形状や配線パターンなどの特徴的な形状を含む部分画像D2を抽出してもよい。また、部分画像抽出部42は、Harrisのコーナー検出アルゴリズムに代えて、SIFT、SURF、ORBなどの他の特徴検出アルゴリズムを使用してもよい。
【0045】
本実施形態では、撮影画像D1の全ての領域から部分画像D2を切り出すのではなく、コーナーを含む部分画像D2のみを抽出する。このようにすれば、アライメントマーク92を含む画像の候補となる部分画像D2の数を減らすことができる。これにより、次のステップS23において、VAEモデルMに入力する部分画像D2の数を減らすことができる。その結果、ステップS23~S26の処理を高速化できる。
【0046】
コンピュータ20のエンコード部43は、抽出された複数の部分画像D2を、VAEモデルMに入力する(ステップS23)。そうすると、VAEモデルMは、複数の部分画像D2をエンコードする(ステップS24)。ステップS23~S24は、本発明における「エンコード工程」の一例である。これにより、複数の部分画像D2が、多次元の潜在空間LSにおける複数の潜在変数に変換される。上述の通り、潜在空間LSにおいて、複数の潜在変数は、所定の確率分布(例えば正規分布)に従って分布する。特徴の近い部分画像D2は、エンコードされることにより、潜在空間LSにおいて、互いに距離が近い潜在変数となる。
【0047】
続いて、コンピュータ20の最近傍距離算出部44は、潜在空間LSにおいて、潜在変数ごとに、最も近い潜在変数までの距離(以下「最近傍距離Lm」と称する)を算出する(ステップS25)。
図6は、潜在空間LSにおける潜在変数の分布の例を、概念的に示した図である。
図6の例では、潜在空間LS中の1つの潜在変数(破線で囲んだ潜在変数)についての最近傍距離Lmが示されている。最近傍距離算出部44は、このような最近傍距離Lmを、全ての潜在変数について算出する。
【0048】
潜在変数の最近傍距離Lmが小さい場合、潜在空間LSにおいて、その潜在変数の近傍に他の潜在変数が存在することを意味する。これは、その潜在変数に対応する部分画像D2に特徴が近い部分画像D2が存在することを表す。逆に、潜在変数の最近傍距離Lmが大きい場合、潜在空間LSにおいて、その潜在変数の近傍に他の潜在変数が存在しないことを意味する。これは、その潜在変数に対応する部分画像D2に特徴が近い部分画像D2が存在しないことを表す。
【0049】
コンピュータ20の画像選択部45は、ステップS25において算出された最近傍距離Lmに基づき、複数の部分画像D2から、アライメントマーク92を含む可能性がある部分画像D2を選択する(ステップS26)。ステップS25~S26は、本発明における「画像選択工程」の一例である。
【0050】
画像選択部45は、例えば、最近傍距離Lmが他の潜在変数よりも大きい所定数の潜在変数に対応する所定数の部分画像D2を、アライメントマーク92を含む可能性がある部分画像D2として選択する。選択される部分画像D2の数は、例えば5つとすればよい。そして、画像選択部45は、選択した所定数の部分画像D2を、表示部30に表示する。その際、所定数の部分画像D2を、最近傍距離Lmが大きい順にソートした状態で、表示部30に表示してもよい。
【0051】
作業者は、表示部30に表示された所定数の部分画像D2から、アライメントマーク92が含まれる部分画像D2を指定して、コンピュータ20に入力する。これにより、作業者は、アライメントマーク92を一から探す場合よりも容易に、アライメントマーク92を指定することができる。
【0052】
なお、画像選択部45は、最近傍距離Lmが他の潜在変数よりも大きい1つの潜在変数に対応する1つの部分画像D2のみを、アライメントマーク92を含む可能性がある部分画像D2として選択してもよい。その場合、作業者は、選択された部分画像D2を表示部30上で確認し、画像選択部45による部分画像D2の選択が正しいか否かを、コンピュータ20に入力するようにしてもよい。
【0053】
対象物9の表面の2箇所以上の領域においてアライメントマークを検出する場合、コンピュータ20は、各領域について、それぞれ、上述したステップS21~S26の処理を行う。これにより、コンピュータ20は、各領域において、アライメントマーク92を含む部分画像D2を選択できる。
【0054】
以上のように、この検査装置1は、複数の部分画像D2をVAEモデルMに入力し、潜在空間LSにおける複数の潜在変数の分布に基づいて、アライメントマーク92を含む可能性がある部分画像D2を選択する。このようにすれば、コンピュータ20により、アライメントマーク92を含む部分画像D2を自動的に検出できる。したがって、アライメントマーク92を探す作業者の負担を軽減できる。
【0055】
特に、本実施形態では、潜在空間LSにおける各潜在変数の最近傍距離Lmに基づいて、部分画像D2を選択する。これにより、同様の特徴が少ない部分画像D2を選択できる。このため、被検査パターン91とは異なる特徴を有するアライメントマーク92を、適切に検出できる。
【0056】
その後、コンピュータ20のアライメント部46が、選択された部分画像D2に基づいて、対象物9のアライメントを行う(ステップS27)。このステップS27では、アライメント部46が、選択された部分画像D2に含まれるアライメントマーク92の位置を、画像処理により特定する。そして、アライメント部46は、特定されたアライメントマーク92の位置に基づいて、対象物9の位置合わせを行う。
【0057】
対象物9の位置合わせは、例えば、カメラ11に対する対象物9の相対位置を、微調整することにより行われる。その際、対象物9を移動させてもよいし、カメラ11を移動させてもよい。
【0058】
アライメントが完了すると、コンピュータ20の検査部47が、対象物9の検査を行う(ステップS28)。具体的には、対象物9の表面のうち、アライメントマーク92を基準として設定される所定の検査範囲を、カメラ11により撮影する。そして、得られた撮影画像に基づいて、対象物9の被検査パターン91に欠陥が無いかどうかを検査する。
【0059】
検査部47は、例えば、撮影画像を、予め用意された基準画像と比較することにより、欠陥を検出する。ただし、検査部47は、上述したVAEモデルMに撮影画像を入力し、撮影画像と再構成画像との差分に基づいて、被検査パターン91の欠陥を検出してもよい。検査部47は、検査結果を表示部30に表示する。
【0060】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。以下では、種々の変形例について、上記の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0061】
<4-1.第1変形例>
上記の実施形態では、VAEモデルMの潜在空間LSにおける潜在変数の最近傍距離Lmに基づいて、特徴が近い部分画像D2が他に無い部分画像D2を、アライメントマーク92を含む部分画像D2と推定していた。しかしながら、この方法では、対象物9にプローブ痕、傷、またはパーティクルなどの固有の欠陥が存在する場合、当該欠陥を含む部分画像D2を、上記のステップS25において選択してしまう可能性がある。
【0062】
このような誤検出を抑制するために、
図7のように、プローブ痕、傷、またはパーティクルを含む部分画像D2を除去する工程(ステップS26A)を追加してもよい。ステップS26Aでは、例えば、教師あり機械学習により作成された分類器により、複数の部分画像D2から、プローブ痕、傷、またはパーティクルを含む部分画像D2を除去すればよい。
【0063】
分類器は、部分画像D2を入力とし、プローブ痕、傷、またはパーティクルの有無に応じた部分画像D2の分類結果を出力とする、学習済みモデルである。分類器は、予め、教師あり機械学習が可能な学習モデルに、プローブ痕、傷、またはパーティクルが存在する既知の部分画像D2と、プローブ痕、傷、またはパーティクルが存在しない既知の部分画像D2とを、学習させておけばよい。
【0064】
このようにすれば、プローブ痕、傷、またはパーティクルを含む部分画像D2を、アライメントマーク92を含む部分画像D2として誤検出してしまうことを、抑制できる。したがって、アライメントマーク92の検出精度を、より向上させることができる。
【0065】
なお、
図7の例では、ステップS26Aを、ステップS26の後に実行している。しかしながら、ステップS26Aは、ステップS26の前に実行してもよい。
【0066】
<4-2.第2変形例>
上記の実施形態では、多次元の潜在空間LSにおける潜在変数の分布に基づいて、アライメントマーク92を含む部分画像D2を選択していた。このような処理においては、潜在空間LSの次元数が多すぎると、処理にかかる時間が長くなる。そこで、以下に示す手順で、潜在空間LSの次元数を調整してもよい。
【0067】
図8は、潜在空間LSの次元数を調整しつつ、学習処理を行う手順を示すフローチャートである。
図8の例では、まず、学習部41が、潜在空間LSの次元数を第1の次元数として、機械学習を行う(ステップS31,調整前学習工程)。ステップS31では、上述した
図4のステップS11~S14と同様の処理を行う。これにより、VAEモデルMを一旦作成する。第1の次元数は、画像の再構成を十分な精度で行うことができる次元数とし、例えば512次元とする。
【0068】
次に、学習部41は、潜在空間LSの各次元における潜在変数の分布に基づいて、潜在空間LSの次元数を、第1の次元数から、第1の次元数よりも少ない第2の次元数に変更する(ステップS32,次元調整工程)。上述の通り、潜在変数は、潜在空間LSの各次元の成分をもつベクトル値として表される。このステップS32では、潜在空間LSにおける複数の潜在変数の分散を、成分毎に算出する。
【0069】
図9は、複数の潜在変数の分散を、成分毎に算出した結果の例を示したグラフである。
図9の横軸は、潜在空間LSの各次元に対応する成分を示している。
図9の縦軸は、分散の値を示している。
図9のグラフは、分散の値が高い成分から順にソートした状態で示している。
図9の例では、0よりも大きい分散の値が出ている成分の数は、64成分以下である。このため、実質的に部分画像D2の特徴を捉えている成分の数は、64成分以下であると考えられる。
【0070】
ステップS32では、このような成分毎の分散の算出結果に基づいて、潜在空間LSの次元数を減らす。例えば、
図9の例では、潜在空間LSの次元数を、実質的に部分画像D2の特徴を捉えている成分を含み、かつ、第1の次元数よりも少ない64次元を、第2の次元数とすればよい。これにより、潜在空間LSの次元数を適正化できる。なお、ステップS32の処理では、上記の分散に代えて、標準偏差を使用してもよい。
【0071】
その後、学習部41は、潜在空間LSの次元数を第2の次元数として、機械学習を行う(ステップS33,調整後学習工程)。ステップS33では、上述した
図4のステップS11~S14と同様の処理を行う。これにより、VAEモデルMを再作成する。このようにすれば、次元数が適正化されたVAEモデルMを作成できる。したがって、上述したステップS23~S26の処理を、より高速化できる。
【0072】
<4-3.第3変形例>
また、VAEモデルMにおける特徴抽出の精度を向上させるために、学習時の入力画像Diを、次のように加工してもよい。
【0073】
図10は、入力画像Diを加工する場合の学習の手順を示すフローチャートである。
図10の例では、まず、学習部41が、加工していない入力画像Di(以下「第1入力画像Di1」と称する)に基づいて、機械学習を行う(ステップS41,第1学習工程)。ステップS41では、上述した
図4のステップS11~S14と同様の処理を行う。これにより、VAEモデルMを一旦作成する。
【0074】
次に、学習部41は、作成されたVAEモデルMにおいて、上述したステップS32と同様に、潜在空間LSにおける複数の潜在変数の分散または標準偏差を、成分毎に算出する。そして、潜在変数の複数の成分のうち、分散または標準偏差が大きい所定数の成分(以下「有効成分」と称する)を決定する(ステップS42,有効成分決定工程)。有効成分は、例えば、分散または標準偏差の値が大きい上位10%の成分とすればよい。
【0075】
続いて、学習部41は、上記の有効成分のみに値をもつ潜在空間LSのベクトル(以下「有効ベクトル」と称する)を作成する。有効ベクトルは、例えば、上記の有効成分の基本ベクトルに、1以上の所定値を乗算することにより作成する。そして、学習部41は、当該有効ベクトルを、VAEモデルMのデコーダ部Mdでデコードすることにより、補正画像を生成する(ステップS43,補正画像生成工程)。
【0076】
続いて、学習部41は、第1入力画像Di1に、ステップS43で生成された補正画像をブレンドする。これにより、補正された入力画像Di(以下「第2入力画像Di2」と称する)が生成される(ステップS44,入力画像補正工程)。学習部41は、例えば、αブレンディングの手法を用いて、第1入力画像Di1に補正画像をブレンドする。ただし、学習部41は、αブレンディング以外の手法を用いて、第1入力画像Di1に補正画像をブレンドしてもよい。生成された第2入力画像Di2は、第1入力画像Di1の特徴的な要素が強調された画像となる。
【0077】
その後、学習部41は、第2入力画像Di2に基づいて、機械学習を行う(ステップS45,第2学習工程)。ステップS45では、上述した
図4のステップS11~S14と同様の処理を行う。これにより、VAEモデルMを再作成する。このように、ステップS45では、第1入力画像Di1の特徴的な要素を強調した第2入力画像Di2に基づいて、機械学習を行う。これにより、より精度のよいVAEモデルMを作成できる。したがって、上述したステップS23~S26によるアライメントマーク92の検出を、より精度よく行うことができる。
【0078】
<4-4.他の変形例>
上記の実施形態では、画像選択部45は、最近傍距離Lmに基づいて、アライメントマーク92を含む可能性がある部分画像D2を選択していた。しかしながら、画像選択部45は、最近防距離Lmとは異なる方法で、アライメントマーク92を含む可能性がある部分画像D2を選択してもよい。例えば、各潜在変数の周囲における潜在変数の密度に基づいて、アライメントマーク92を含む可能性がある部分画像D2を選択してもよい。
【0079】
また、上記の実施形態では、対象物9の表面に、配線パターンとは別に付されたアライメントマーク92を検出する例について説明した。しかしながら、本発明のマーク検出方法は、対象物9に付された配線パターン等の多数のパターンの中から、アライメントマークとして使用可能なパターンを検出するものであってもよい。
【0080】
また、上記の実施形態では、検査装置1におけるアライメントについて説明した。しかしながら、本発明のマーク検出方法は、検査装置以外の装置において、アライメントマークを検出するものであってもよい。例えば、本発明のマーク検出方法は、対象物に対して露光または描画を行う装置において、対象物からアライメントマークを検出するものであってもよい。
【0081】
また、上述した方法や装置の細部については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更したり、一部を省略したりすることが可能である。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【0082】
<5.他の観点の発明>
<5-1.第1の観点>
なお、「プローブ痕、傷、またはパーティクルを含む部分画像を除去しつつ、アライメントマークを含む可能性がある部分画像を検出すること」を第1の課題として設定すれば、VAEモデルの使用を必須要件とせず、それに変えて「画像除去工程」を必須要件とする発明を、上記の実施形態および変形例から抽出することができる。
【0083】
当該発明は、例えば、「対象物からアライメントマークを検出するマーク検出方法であって、前記対象物の複数の部分画像から、アライメントマークを含む可能性がある1つまたは複数の部分画像を選択する画像選択工程と、教師あり学習により作成された分類器により、前記複数の部分画像から、プローブ痕、傷、またはパーティクルを有する部分画像を除去する画像除去工程と、をコンピュータにより実行する、マーク検出方法。」となる。
【0084】
この発明によれば、プローブ痕、傷、またはパーティクルを有する部分画像が選択されることを抑制できる。これにより、アライメントマークの検出精度を向上させることができる。また、この発明に、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、組み合わせることも可能である。
【0085】
<5-2.第2の観点>
また、「高速処理が可能なVAEモデルを作成すること」を第1の課題として設定すれば、「調整前学習工程」、「次元数調整工程」、および「調整後学習工程」のみを必須要件とする学習方法の発明を,上記の実施形態および変形例から抽出することができる。
【0086】
当該発明は、例えば、「VAEモデルの学習方法であって、VAEモデルの潜在空間を第1の次元数として機械学習を行う調整前学習工程と、前記調整前学習工程の後、前記潜在空間の各次元における前記潜在変数の分布に基づいて、前記潜在空間の次元数を、前記第1の次元数よりも少ない第2の次元数に変更する次元数調整工程と、前記潜在空間を前記第2の次元数として機械学習を行う調整後学習工程と、を有する、学習方法」となる。
【0087】
この発明によれば、潜在空間の次元数を、適正な次元数に調整できる。これにより、高速処理が可能なVAEモデルを作成することができる。また、この発明に、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、組み合わせることも可能である。
【0088】
<5-3.第3の観点>
また、「精度のよいVAEモデルを作成すること」を第1の課題として設定すれば、「第1学習工程」、「有効成分決定工程」、「補正画像生成工程」、「入力画像補正工程」、および「第2学習工程」のみを必須要件とする学習方法の発明を、上記の実施形態および変形例から抽出することができる。
【0089】
当該発明は、例えば、「VAEモデルの学習方法であって、第1入力画像に基づいて機械学習を行う第1学習工程と、前記第1学習工程の後、潜在空間における潜在変数の複数の成分うち、標準偏差または分散が大きい所定数の有効成分を決定する有効成分決定工程と、前記有効成分のみに値をもつ有効ベクトルをデコードすることにより、補正画像を生成する補正画像生成工程と、前記第1入力画像に前記補正画像をブレンドすることにより、第2入力画像を生成する入力画像補正工程と、前記第2入力画像に基づいて機械学習を行う第2学習工程と、を有する学習方法。」となる。
【0090】
この発明によれば、第1入力画像の特徴的な要素を強調した第2入力画像を生成できる。そして、当該第2入力画像に基づいて機械学習を行うことにより、精度のよいVAEモデルを作成できる。また、この発明に、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 検査装置
9 対象物
10 撮像部
11 カメラ
20 コンピュータ
21 プロセッサ
22 メモリ
23 記憶部
24 コンピュータプログラム
30 表示部
41 学習部
42 部分画像抽出部
43 エンコード部
44 最近傍距離算出部
45 画像選択部
46 アライメント部
47 検査部
91 被検査パターン
92 アライメントマーク
D1 撮影画像
D2 部分画像
Di 入力画像
Do 再構成画像
Lm 最近傍距離
M VAEモデル
Me エンコーダ部
Md デコーダ部