(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046914
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】需要予測装置、需要予測方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240329BHJP
G06Q 30/0202 20230101ALI20240329BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q30/02 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152282
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】小宮 健志
(72)【発明者】
【氏名】稲村 恭介
(72)【発明者】
【氏名】上田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】納 友裕
(72)【発明者】
【氏名】板橋 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】上村 誠
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】 地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要に関する情報を提供する。
【解決手段】 取得部(11)は、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、地方公共団体の特徴を表す統計データを取得し、予測部(12)は、取得された統計データに基づいて、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測し、出力部(13)は、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、前記地方公共団体の特徴を表す統計データを取得する取得手段と、
取得された前記統計データに基づいて、前記地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する予測手段と、
前記特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する出力手段と
を備えた需要予測装置。
【請求項2】
前記予測手段は、前記地方公共団体に属する領域の一部または全体における前記特定の施設についての潜在需要を予測する
ことを特徴とする請求項1に記載の需要予測装置。
【請求項3】
前記予測手段は、前記地方公共団体に属する領域をいくつかに分割した地域ブロックごとに、前記特定の施設についての潜在需要を予測する
ことを特徴とする請求項1に記載の需要予測装置。
【請求項4】
前記統計データは、前記地方公共団体に所属する前記住民が利用する社会保障制度に関するものである
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の需要予測装置。
【請求項5】
前記社会保障制度は、子どもの福利厚生に関係するものであり、
前記特定の施設は、保育所、幼稚園、児童預かり所、および児童養護施設のうち少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項4に記載の需要予測装置。
【請求項6】
前記社会保障制度は、高齢者の医療及び介護に関係するものであり、
前記特定の施設は、健康増進施設、老人ホーム、介護施設、および医療施設のうち少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項4に記載の需要予測装置。
【請求項7】
取得された前記統計データから、前記地方公共団体の特徴を抽出し、抽出された前記地方公共団体の特徴に基づいて、前記特定の施設を推薦する推薦手段をさらに備え、
前記予測手段は、推薦された前記特定の施設についての潜在需要を予測する
ことを特徴とする請求項1に記載の需要予測装置。
【請求項8】
前記地方公共団体の特徴は、前記住民の収入分布、年齢構成、健康状態指標、および家族類型のうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の需要予測装置。
【請求項9】
コンピュータが、
地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、前記地方公共団体の特徴を表す統計データを取得し、
取得された前記統計データに基づいて、前記地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測し、
前記特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する
需要予測方法。
【請求項10】
地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、前記地方公共団体の特徴を表す統計データを取得することと、
取得された前記統計データに基づいて、前記地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測することと、
前記特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力することと
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要予測装置、需要予測方法、およびプログラムに関し、特に、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する需要予測装置、需要予測方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地方公共団体は、定住の促進や、雇用の促進等を目的として、店舗や施設を出店する企業を誘致する場合がある。一般的に、企業は、出店を決定する前に、商圏を判断し、そして立地を検討する。企業は、周辺に出店している競合店の集客数や売上げ等に基づいて、住民のニーズを把握したうえで、出店するかどうかを決定する。
【0003】
特許文献1には、商圏内の世帯数、世帯ごとの貯蓄額、及び世帯ごとのローン額に基づいて、商圏内の住民が保有する金融資源量を算出することが記載されている。さらに、特許文献1には、算出した金融資源量、および、この商圏における予想シェアに基づいて、金融機関の支店が新たに出店された場合の予想収益を算出することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、過去に出店された複数の店舗における業績データに基づいて、市場選定モデルを構築し、構築した市場選定モデルにより業績の予測値を得ること、そして、得られた予測値に基づいて、出店の候補地を決定することが記載されている。さらに、特許文献2には、決定した出店の候補地において、ニーズのアンケートを実施して、アンケート結果に基づいて、物件選定モデルを構築することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-272722号公報
【特許文献2】特開2008-065607号公報
【特許文献3】特開2003-320270号公報
【特許文献4】特開2018-197929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大規模な地方公共団体では、先に出店している企業が多数あるので、企業は、商圏を判断することが容易である。他方、中小の地方公共団体では、競合店の絶対数が少ないので、企業は、住民のニーズを把握することが難しい。そのため、企業は、中小の地方公共団体へ出店することをためらいがちである。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要に関する情報を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る需要予測装置は、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、前記地方公共団体の特徴を表す統計データを取得する取得手段と、取得された前記統計データに基づいて、前記地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する予測手段と、前記特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する出力手段とを備えている。
【0009】
本発明の一態様に係る需要予測方法では、コンピュータが、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、前記地方公共団体の特徴を表す統計データを取得し、取得された前記統計データに基づいて、前記地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測し、前記特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、前記地方公共団体の特徴を表す統計データを取得することと、取得された前記統計データに基づいて、前記地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測することと、前記特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力することとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要に関する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1~3のいずれかに係る需要予測装置を備えた情報分析システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】実施形態1に係る需要予測装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係る需要予測装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態2に係る需要予測装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態2に係る需要予測装置の動作の第1の例を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態2に係る需要予測装置の動作の第2の例を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態3に係る需要予測装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】実施形態3に係る需要予測装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態1~3のいずれかに係る需要予測装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、いくつかの実施形態について、以下で説明する。
【0014】
(情報分析システム1)
図1を参照して、後述する実施形態1~3に係る需要予測装置10,20,30のいずれかを備えた情報分析システム1の構成の一例を、最初に説明する。
図1において、「需要予測装置10(20,30)」とは、実施形態1~3に係る需要予測装置10,20,30のいずれかを表す。
【0015】
図1に示すように、情報分析システム1は、需要予測装置10(20,30)、端末100、およびデータベース200を備えている。需要予測装置10(20,30)、端末100、およびデータベース200は、有線又は無線のネットワークを介して、通信可能に接続されている。
【0016】
端末100は、地方公共団体の職員等により使用される。端末100には、特定の施設についての潜在需要を調査するためのクエリが入力される。特定の施設とは、何らかの事業領域(例えば、医療、介護、健康増進、娯楽、飲食、学習、運動、団らん)と関連する業界により運営または管理される施設のことである。
【0017】
端末100は、例えば、オフィスコンピュータ、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、あるいは多機能端末機である。端末100は、地方公共団体の役所などに設置されている。
【0018】
地方公共団体の職員は、端末100を用いて、需要予測装置10(20,30)に対して、クエリとして、例えば特定の施設の一般名称(例えば、「病院」)を入力する。端末100は、入力されたクエリを示す情報を、需要予測装置10(20,30)へ送信する。
【0019】
データベース200には、地方公共団体に所属する住民に関する情報が格納されている。住民に関する情報は、いわゆる「個人情報」、「個人データ」、および「保有個人データ」を含み、かつ、住民に関するその他の機微情報(例えば、住民のプライバシーや人権に関わる情報、住民税や固定資産税など地方税に関する情報、児童手当などの支給金に関する情報)も含む。
【0020】
需要予測装置10(20,30)は、データベース200に格納されている住民に関する情報を参照し、それを取得する。ここでの住民に関する情報には、他の情報と照合せずに、または照合して、特定の住民を識別できるもののほか、上述した機微情報も含まれる。
【0021】
需要予測装置10(20,30)は、データベース200から取得した住民に関する情報に基づいて、特定の施設についての潜在需要を予測する。そして、需要予測装置10(20,30)は、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する。
【0022】
なお、需要予測装置10(20,30)の各機能およびそれらが実行する処理については、後述する実施形態1~3で説明する。
【0023】
〔実施形態1〕
図2~
図3を参照して、実施形態1について説明する。
【0024】
(需要予測装置10)
図1は、本実施形態1に係る需要予測装置10の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、需要予測装置10は、取得部11、予測部12、および出力部13を備えている。
【0025】
取得部11は、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベース200(
図1)から、地方公共団体の特徴を表す統計データを取得する。取得部11は、取得手段の一例である。
【0026】
一例では、地方公共団体の特徴は、地方公共団体に所属する住民の集合が統計的に示す特徴、例えば、住民の収入分布、年齢構成、健康状態指標、および家族類型のうち少なくとも1つを含む。地方公共団体の特徴を表す統計データとは、例えば、地方公共団体に属する領域の一部または全体における年齢層ごとの住民の割合である。他の例では、地方公共団体の特徴を表す統計データとは、地方公共団体に属する領域の一部または全体における高齢者の人数である。
【0027】
統計データは、地方公共団体に所属する住民が利用する社会保障制度に関するものであってもよい。この場合、社会保障制度は、子どもの福利厚生に関係するものであり、特定の施設は、保育所、幼稚園、児童預かり所、および児童養護施設のうち少なくとも1つであってもよい。あるいは、社会保障制度は、高齢者の医療及び介護に関係するものであり、特定の施設は、健康増進施設、老人ホーム、介護施設、および医療施設のうち少なくとも1つであってもよい。
【0028】
取得部11は、データベース200(
図1)から取得した統計データを、予測部12へ出力する。
【0029】
予測部12は、取得された統計データに基づいて、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する。予測部12は、予測手段の一例である。
【0030】
一例では、予測部12は、取得部11から、データベース200(
図1)から取得された統計データを受信する。予測部12は、受信した統計データに基づいて、特定の施設についての潜在需要を予測する。
【0031】
例えば、予測部12は、特定の施設に関する既知の需要予測モデルに対して、統計データを入力する。予測部12は、需要予測モデルに実装されたアルゴリズムにしたがって、統計データを解析する。そして、予測部12は、統計データから導出された、特定の施設潜在需要に関する予測の結果を、出力部13へ出力する。
【0032】
出力部13は、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する。出力部13は、出力手段の一例である。
【0033】
例えば、出力部13は、予測部12から、特定の潜在需要に関する予測の結果を受信する。出力部13は、特定の潜在需要に関する予測の結果を、地方公共団体の職員等が使用する端末100(
図1)へ送信する。
【0034】
(地方公共団体の特徴の具体例)
地方公共団体の特徴として、以下の具体例を挙げることができる。共働きの世帯数、地価、学校の有無、交通機関の利便性、治安、小売店の数、災害、盛り土、交通・人流。ただし、地方公共団体の特徴は、上記の例に限定されない。
【0035】
(地方公共団体の特徴を表す統計データの具体例)
例えば、統計データは、地方公共団体に所属する住民が利用する社会保障制度に関する統計データである。
【0036】
本例では、社会保障制度は、子どもの福利厚生に関係するものであり、特定の施設は、保育所、幼稚園、児童預かり所、および児童養護施設のうち少なくとも1つであってもよい。あるいは、社会保障制度は、高齢者の医療及び介護に関係するものであり、特定の施設は、健康増進施設、老人ホーム、介護施設、および医療施設のうち少なくとも1つであってもよい。
【0037】
他の例では、統計データは、地方公共団体が徴収する地方税に関する統計データである。
【0038】
本例では、地方税は、固定資産税及び住民税に関係するものであり、特定の施設は、富裕者向けの奢侈品または高級サービスを提供するものである。
【0039】
(需要予測装置10の動作)
図3を参照して、本実施形態1に係る需要予測装置10の動作を説明する。
図3は、需要予測装置10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
図3に示すように、取得部11は、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、地方公共団体の特徴を表す統計データを取得する(S101)。取得部11は、データベース200(
図1)から取得した統計データを、予測部12へ出力する。
【0041】
予測部12は、取得部11から、データベース200(
図1)から取得された統計データを受信する。予測部12は、取得された統計データに基づいて、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する(S102)。予測部12は、統計データから導出された、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を、出力部13へ出力する。
【0042】
出力部13は、予測部12から、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を受信する。出力部13は、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する(S103)。
【0043】
以上で、需要予測装置10の動作は終了する。
【0044】
(変形例)
一変形例では、予測部12は、地方公共団体に属する領域の一部または全体における特定の施設についての潜在需要を予測してもよい。他の一変形例では、予測部12は、地方公共団体に属する領域をいくつかに分割した地域ブロックごとに、特定の施設についての潜在需要を予測してもよい。例えば、予測部12は、市の西側(あるいは山側)の地域ブロックと、東側(あるいは海側)の地域ブロックとで、それぞれ、特定の施設についての潜在需要を予測する。
【0045】
これにより、地方公共団体に属する地域が地域ブロックごとに異なる特徴を有する場合であっても、需要予測装置10は、需要に対応することができる。例えば、市の西側(あるいは山側)では、高齢者の送迎のためのコミュニティバスサービスの需要が多いことが予測される一方、市の東側(あるいは海側)では、若者あるいは子育て世代向けの施設の需要が多いことが予測される。
【0046】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、取得部11は、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、地方公共団体の特徴を表す統計データを取得する。予測部12は、取得された統計データに基づいて、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する。出力部13は、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する。
【0047】
このようにして、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要に関する情報を提供することができる。例えば、地方公共団体の職員が、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を参照する。そして、特定の施設についての潜在需要が大きい場合には、職員は、関連企業を誘致する。一方、特定の施設についての潜在需要が小さい場合には、職員は、関連企業を誘致することを取りやめることができる。
【0048】
〔実施形態2〕
図4~
図6を参照して、実施形態2について説明する。前記実施形態1では、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する構成を説明した。本実施形態2では、地方公共団体に属する領域を限定または指定する構成を説明する。なお、本実施形態2では、前記実施形態1と共通する構成要素に同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0049】
(需要予測装置20)
図4は、本実施形態2に係る需要予測装置20の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、需要予測装置20は、取得部11、予測部22、および出力部13を備えている。
【0050】
前記実施形態1に係る需要予測装置10の予測部12(
図2)と同様に、本実施形態2に係る予測部22は、取得部11から、データベース200(
図1)から取得された統計データを受信する。
【0051】
第1の例では、予測部22は、地方公共団体に属する領域の一部または全体における特定の施設についての潜在需要を予測する。
【0052】
本例では、予測部22は、地方公共団体に属する領域の一部または全部を指定する情報を取得する。例えば、予測部22は、地方公共団体の職員が使用する端末100から、職員が入力した情報を取得する。職員が端末100に入力した情報には、地方公共団体に属する領域の一部または全部を指定する情報が含まれる。
【0053】
予測部22は、職員が入力した情報に基づいて、指定された領域を特定する。そして、予測部22は、地方公共団体に属する領域の一部または全体における特定の施設についての潜在需要を予測する。
【0054】
本例の構成によれば、地方公共団体に属する領域のうち、職員が潜在需要を予測したい所望の領域における潜在需要を予測することができる。
【0055】
第2の例では、予測部22は、地方公共団体に属する領域をいくつかに分割した地域ブロックごとに、特定の施設についての潜在需要を予測する。
【0056】
本例では、予測部22は、まず、地方公共団体に属する領域をいくつかに分割する。このとき、予測部22は、地方公共団体に属する領域を、同じサイズの地域ブロックに分割してもよい。あるいは、予測部22は、地方公共団体の区分(例えば、丁)に基づいて、地方公共団体に属する領域をいくつかに分割してもよい。
【0057】
その後、予測部22は、地方公共団体に属する領域をいくつかに分割した地域ブロックごとに、特定の施設についての潜在需要を予測する。
【0058】
本例の構成によれば、地方公共団体に属する領域における潜在需要をより精密に予測することができる。
【0059】
予測部22は、統計データから導出された、特定の施設潜在需要に関する予測の結果を、出力部13へ出力する。
【0060】
(需要予測装置20の動作:第1の例)
図5を参照して、本実施形態2に係る需要予測装置20の動作の第1の例を説明する。
図5は、本例において、需要予測装置20が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
図5に示すように、取得部11は、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、地方公共団体の特徴を表す統計データを取得する(S201)。取得部11は、データベース200(
図1)から取得した統計データを、予測部22へ出力する。
【0062】
予測部22は、取得部11から、データベース200(
図1)から取得された統計データを受信する。予測部22は、取得された統計データに基づいて、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する。このとき、予測部22は、地方公共団体に属する領域の一部または全体における特定の施設についての潜在需要を予測する(S202A)。予測部22は、統計データから導出された、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を、出力部13へ出力する。
【0063】
出力部13は、予測部22から、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を受信する。出力部13は、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する(S203)。
【0064】
以上で、需要予測装置20の動作は終了する。
【0065】
(需要予測装置20の動作:第2の例)
図6を参照して、本実施形態2に係る需要予測装置20の動作の第2の例を説明する。
図6は、本例において、需要予測装置20が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0066】
図6に示すように、取得部11は、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、地方公共団体の特徴を表す統計データを取得する(S201)。取得部11は、データベース200(
図1)から取得した統計データを、予測部22へ出力する。
【0067】
予測部22は、取得部11から、データベース200(
図1)から取得された統計データを受信する。予測部22は、取得された統計データに基づいて、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する。このとき、予測部22は、地方公共団体に属する領域をいくつかに分割した地域ブロックごとに、特定の施設についての潜在需要を予測する(S202B)。予測部22は、統計データから導出された、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を、出力部13へ出力する。
【0068】
出力部13は、予測部22から、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を受信する。出力部13は、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する(S203)。
【0069】
以上で、需要予測装置20の動作は終了する。
【0070】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、取得部11は、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、地方公共団体の特徴を表す統計データを取得する。予測部22は、取得された統計データに基づいて、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する。出力部13は、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する。
【0071】
このようにして、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要に関する情報を提供することができる。例えば、地方公共団体の職員が、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を参照する。そして、特定の施設についての潜在需要が大きい場合には、職員は、関連企業を誘致する。一方、特定の施設についての潜在需要が小さい場合には、職員は、関連企業を誘致することを取りやめることができる。
【0072】
さらに、第1の例では、予測部22は、地方公共団体に属する領域の一部または全体における特定の施設についての潜在需要を予測する。本例の構成によれば、地方公共団体に属する領域のうち、職員が潜在需要を予測したい所望の領域における潜在需要を予測することができる。
【0073】
第2の例では、予測部22は、地方公共団体に属する領域をいくつかに分割した地域ブロックごとに、特定の施設についての潜在需要を予測する。本例の構成によれば、地方公共団体に属する領域における潜在需要をより精密に予測することができる。
【0074】
〔実施形態3〕
図7~
図8を参照して、実施形態3について説明する。前記実施形態1~2では、特定の施設が予め定められている構成を説明した。本実施形態3では、特定の施設を推薦する構成を説明する。本実施形態3では、前記実施形態1または2と共通する構成要素に同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0075】
(需要予測装置30)
図7は、本実施形態3に係る需要予測装置30の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、需要予測装置30は、取得部11、予測部12、および出力部13を備えている。需要予測装置30は、推薦部34をさらに備えている。
【0076】
推薦部34は、取得された統計データから、地方公共団体の特徴を抽出し、推薦部34は、抽出された地方公共団体の特徴に基づいて、特定の施設を推薦する。推薦部34は、推薦手段の一例である。
【0077】
一例では、推薦部34は、取得部11から、データベース200(
図1)から取得された統計データを受信する。推薦部34は、取得された統計データから、地方公共団体の特徴を抽出する。地方公共団体の特徴は、例えば、住民の収入分布、年齢構成、健康状態指標、および家族類型のうち少なくとも1つを含む。
【0078】
その後、推薦部34は、抽出された地方公共団体の特徴に基づいて、特定の施設を推薦する。推薦部34は、推薦する特定の施設を示す情報を、予測部12へ出力する。
【0079】
本実施形態3では、予測部12は、推薦部34から、推薦された特定の施設を示す情報を受信する。そして、予測部12は、推薦された特定の施設についての潜在需要を予測する。
【0080】
(需要予測装置30の動作)
図8を参照して、本実施形態3に係る需要予測装置30の動作を説明する。
図8は、需要予測装置30が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0081】
図8に示すように、取得部11は、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、地方公共団体の特徴を表す統計データを取得する(S301)。取得部11は、データベース200(
図1)から取得した統計データを、予測部12および推薦部34へ出力する。
【0082】
推薦部34は、取得部11から、地方公共団体の特徴を表す統計データを受信する。推薦部34は、取得された統計データから、地方公共団体の特徴を抽出し、推薦部34は、抽出された地方公共団体の特徴に基づいて、特定の施設を推薦する(S302)。
【0083】
推薦部34は、推薦する特定の施設を示す情報を、予測部12へ出力する。
【0084】
予測部12は、取得部11から、データベース200(
図1)から取得された統計データを受信する。また、予測部12は、推薦部34から、推薦された特定の施設を示す情報を受信する。
【0085】
予測部12は、取得された統計データに基づいて、推薦された特定の施設についての潜在需要を予測する(S303)。予測部12は、統計データから導出された、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を、出力部13へ出力する。
【0086】
出力部13は、予測部12から、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を受信する。出力部13は、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する(S304)。
【0087】
以上で、需要予測装置30の動作は終了する。
【0088】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、取得部11は、地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、地方公共団体の特徴を表す統計データを取得する。予測部12は、取得された統計データに基づいて、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する。出力部13は、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する。
【0089】
このようにして、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要に関する情報を提供することができる。例えば、地方公共団体の職員が、特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を参照する。そして、特定の施設についての潜在需要が大きい場合には、職員は、関連企業を誘致する。一方、特定の施設についての潜在需要が小さい場合には、職員は、関連企業を誘致することを取りやめることができる。
【0090】
(ハードウェア構成について)
前記実施形態1~3で説明した需要予測装置10、20、30の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。これらの構成要素の一部又は全部は、例えば
図9に示すような情報処理装置900により実現される。
図9は、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0091】
図9に示すように、情報処理装置900は、一例として、以下のような構成を含む。
【0092】
CPU(Central Processing Unit)901
ROM(Read Only Memory)902
RAM(Random Access Memory)903
RAM903にロードされるプログラム904
プログラム904を格納する記憶装置905
記録媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
データの入出力を行う入出力インタフェース910
各構成要素を接続するバス911
前記実施形態1~3で説明した需要予測装置10、20、30の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム904をCPU901が読み込んで実行することで実現される。各構成要素の機能を実現するプログラム904は、例えば、予め記憶装置905やROM902に格納されており、必要に応じてCPU901がRAM903にロードして実行される。なお、プログラム904は、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記録媒体906に格納されており、ドライブ装置907が当該プログラムを読み出してCPU901に供給してもよい。
【0093】
上記の構成によれば、前記実施形態1~3で説明した需要予測装置10、20、30が、ハードウェアとして実現される。したがって、前記実施形態1~3のいずれかにおいて説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0094】
(付記)
本発明の一態様は、以下のようにも記載され得るが、以下に限定されない。
【0095】
(付記1)
地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、前記地方公共団体の特徴を表す統計データを取得する取得手段と、
取得された前記統計データに基づいて、前記地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測する予測手段と、
前記特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する出力手段と
を備えた需要予測装置。
【0096】
(付記2)
前記予測手段は、前記地方公共団体に属する領域の一部または全体における前記特定の施設についての潜在需要を予測する
ことを特徴とする付記1に記載の需要予測装置。
【0097】
(付記3)
前記予測手段は、前記地方公共団体に属する領域をいくつかに分割した地域ブロックごとに、前記特定の施設についての潜在需要を予測する
ことを特徴とする付記1に記載の需要予測装置。
【0098】
(付記4)
前記統計データは、前記地方公共団体に所属する前記住民が利用する社会保障制度に関するものである
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の需要予測装置。
【0099】
(付記5)
前記社会保障制度は、子どもの福利厚生に関係するものであり、
前記特定の施設は、保育所、幼稚園、児童預かり所、および児童養護施設のうち少なくとも1つである
ことを特徴とする付記4に記載の需要予測装置。
【0100】
(付記6)
前記社会保障制度は、高齢者の医療及び介護に関係するものであり、
前記特定の施設は、健康増進施設、老人ホーム、介護施設、および医療施設のうち少なくとも1つである
ことを特徴とする付記4に記載の需要予測装置。
【0101】
(付記7)
取得された前記統計データから、前記地方公共団体の特徴を抽出し、抽出された前記地方公共団体の特徴に基づいて、前記特定の施設を推薦する推薦手段をさらに備え、
前記予測手段は、推薦された前記特定の施設についての潜在需要を予測する
ことを特徴とする付記1に記載の需要予測装置。
【0102】
(付記8)
前記地方公共団体の特徴は、前記住民の収入分布、年齢構成、健康状態指標、および家族類型のうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする付記7に記載の需要予測装置。
【0103】
(付記9)
コンピュータが、
地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、前記地方公共団体の特徴を表す統計データを取得し、
取得された前記統計データに基づいて、前記地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測し、
前記特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力する
需要予測方法。
【0104】
(付記10)
地方公共団体に所属する住民に関する情報を格納したデータベースから、前記地方公共団体の特徴を表す統計データを取得することと、
取得された前記統計データに基づいて、前記地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要を予測することと、
前記特定の施設についての潜在需要に関する予測の結果を出力することと
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【0105】
(付記11)
前記統計データは、前記地方公共団体が徴収する地方税に関する統計データである
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の需要予測装置。
【0106】
(付記12)
前記地方税は、固定資産税及び住民税に関係するものであり、
前記特定の施設は、富裕者向けの奢侈品または高級サービスを提供するものである
ことを特徴とする付記11に記載の需要予測装置。
【0107】
(付記13)
付記1から3のいずれか1項に記載の需要予測装置と、
前記需要予測装置へ、前記特定の施設についての潜在需要を調査するためのクエリを入力するための端末と、
前記地方公共団体が保有する前記住民に関する情報を格納したデータベースと
を備えた情報分析システム。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、例えば、地方公共団体に属する領域における特定の施設についての潜在需要の予測結果を、当該地方公共団体に企業を誘致するために利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 情報分析システム
10 需要予測装置
11 取得部
12 予測部
13 出力部
20 需要予測装置
22 予測部
30 需要予測装置
34 推薦部
100 端末
200 データベース