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特開2024-46919携帯端末装置、印刷サービスシステム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046919
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】携帯端末装置、印刷サービスシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240329BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240329BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G06F3/12 360
G06F3/12 367
G06F3/12 392
G06F3/12 338
G06F3/12 326
G06F3/12 359
G06F3/12 311
B41J29/38 201
B41J29/38 203
B41J29/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152290
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 悠二
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061HJ07
2C061HK05
2C061HK11
2C061HN05
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】印刷対象の文書ファイルに対する印刷の開始指示をユーザに出させなくても印刷をできるようにする。
【解決手段】携帯端末装置40は、文書の登録を印刷サービスサーバ30に要求して保存させる登録要求部411と、測位部42により測位された現在位置の遷移を参照してユーザの移動速度及び移動方向を取得するユーザ移動推定部412と、ユーザの移動方向を参照してユーザが登録した文書の印刷に利用しようとしている店舗2を推測する利用店舗推測部413と、ユーザの移動時間が文書の印刷所要時間以下になったときに印刷の開始を指示する開始指示部414と、を有する。印刷サービスサーバ30は、印刷の開始指示に応じて、携帯端末装置40により推測された店舗2に設置の複合機20に文書の印刷を指示する印刷制御部32を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
現在位置の遷移から自装置を携行するユーザの移動方向を推定し、
印刷対象の文書ファイルを印刷可能な画像形成装置の中から、前記ユーザの移動方向を参照することによって前記ユーザが前記文書ファイルの印刷に使用する画像形成装置を推測し、
前記ユーザが前記画像形成装置の設置位置に到着する時点で印刷が終了すると推定される距離まで前記画像形成装置に近付いたときに前記画像形成装置からの前記文書ファイルの印刷の開始を指示する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記文書ファイルの自動的な印刷の開始の指示の是非を前記ユーザに指定させることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、自動的な印刷の開始の指示が指定されている場合、前記ユーザが前記距離まで近付いたときに前記文書ファイルの印刷の開始を自動的に指示することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記文書ファイルの印刷が自動的に開始される旨を前記ユーザに通知することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記ユーザが前記旨の通知に応じて印刷に関する設定内容を変更した場合、変更した内容に従って前記文書ファイルの印刷を制御することを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、自動的な印刷の開始の指示が指定されていない場合、前記ユーザが前記画像形成装置に前記距離まで近付いたときに前記文書ファイルの印刷の開始の是非を前記ユーザに問い合わせることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記文書ファイルを印刷可能な画像形成装置それぞれの設置位置情報を取得し、
前記ユーザの現在位置から移動方向の所定の範囲内にあって最も近くに設置されている画像形成装置を、前記ユーザが前記文書ファイルの印刷に使用する画像形成装置と推測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
少なくとも1つの請求項1に記載の携帯端末装置と、
プロセッサ及びユーザインタフェースを少なくとも備える画像形成装置と、
プロセッサを備え、前記携帯端末装置からの印刷の開始の指示に応じて前記画像形成装置に印刷を指示するサービスサーバと、
を有し、
前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記サービスサーバからの印刷指示に応じて印刷を開始してから終了するまでの間、前記携帯端末装置を携行するユーザ以外の他のユーザによる前記画像形成装置の使用を制限することを特徴とする印刷サービスシステム。
【請求項9】
前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記サービスサーバからの印刷指示に応じて印刷を開始してから終了するまでの間、前記ユーザインタフェースに対する操作を制限することを特徴とする請求項8に記載の印刷サービスシステム。
【請求項10】
前記画像形成装置が備えるプロセッサは、搭載されている複数の機能のうち、印刷機能を利用しない機能の使用を許可することを特徴とする請求項8に記載の印刷サービスシステム。
【請求項11】
前記画像形成装置は、更に、
前記画像形成装置を操作しているユーザを撮影する撮影手段と、
印刷物が出力される出力トレイと、
前記出力トレイから印刷物を取り出す操作を検出するセンサ手段と、
を備え、
前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記他のユーザによる前記出力トレイからの印刷物の取り出し操作を検出すると、警告メッセージを前記インタフェースに出力することを特徴とする請求項8に記載の印刷サービスシステム。
【請求項12】
前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記携帯端末装置を携行するユーザによる印刷物の取り出し操作が検出されると、前記画像形成装置の使用の制限を解除することを特徴とする請求項11に記載の印刷サービスシステム。
【請求項13】
前記携帯端末装置が備えるプロセッサは、前記ユーザからの指示に応じて前記文書ファイルを印刷可能なユーザを前記サービスサーバに登録し、
前記サービスサーバが備えるプロセッサは、前記文書ファイルを印刷可能なユーザが携行する前記携帯端末装置からの印刷の開始の指示に応じて前記画像形成装置に前記文書ファイルの印刷を指示する、
ことを特徴とする請求項8に記載の印刷サービスシステム。
【請求項14】
コンピュータに、
現在位置の遷移から自装置を携行するユーザの移動方向を推定する機能、
印刷対象の文書ファイルを印刷可能な画像形成装置の中から、前記ユーザの移動方向を参照することによって前記ユーザが前記文書ファイルの印刷に使用する画像形成装置を推測する機能、
前記ユーザが前記画像形成装置の設置位置に到着する時点で印刷が終了すると推定される距離まで前記画像形成装置に近付いたときに前記画像形成装置からの前記文書ファイルの印刷の開始を指示する機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置、印刷サービスシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実店舗において、決済をせずに買物ができるレジなし無人店舗が登場している。決済が不要なので、ユーザは、買物が終了するとそのまま店外に出ることが可能である。つまり、レジに並ぶなど「待ち」が発生しない。
【0003】
ところで、近年では、ネットプリントなどと呼ばれるネットワークを介した印刷サービスが提供されている。印刷サービスでは、ユーザが、印刷したい文書を事前にアップロードしておき、アップロードした際に発行される予約番号を、所望のコンビニ等の店舗に設置の複合機に入力することで、印刷が実行されて印刷物を入手することができる。
【0004】
この印刷サービスを前述したレジなし無人店舗に適用することを検討してみると、印刷サービスでは、店舗に出向き、複合機に対するユーザ操作が必要になることから印刷物が出力されるまでの間、「待ち」が発生しうる。
【0005】
そこで、印刷物の出力が終了するまでに「待ち」が発生しないように、従来では、印刷に要する所要時間を予め計算しておくと共に、複合機とユーザが携行する携帯端末との間の無線通信に基づきユーザが複合機の設置位置に到着するまでの移動時間を所定の時間間隔で算出するようにし、そして移動時間が所要時間以下になった時点で印刷の実行を開始する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-162313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来においては、印刷に利用する画像形成装置をユーザに指定させ、その画像形成装置に対して印刷指示を事前に出させている。
【0008】
本発明は、印刷対象の文書ファイルに対する印刷の開始指示をユーザに出させなくても印刷をできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る携帯端末装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、現在位置の遷移から自装置を携行するユーザの移動方向を推定し、印刷対象の文書ファイルを印刷可能な画像形成装置の中から、前記ユーザの移動方向を参照することによって前記ユーザが前記文書ファイルの印刷に使用する画像形成装置を推測し、前記ユーザが前記画像形成装置の設置位置に到着する時点で印刷が終了すると推定される距離まで前記画像形成装置に近付いたときに前記画像形成装置からの前記文書ファイルの印刷の開始を指示する、ことを特徴とする。
【0010】
また、前記プロセッサは、前記文書ファイルの自動的な印刷の開始の指示の是非を前記ユーザに指定させることを特徴とする。
【0011】
また、前記プロセッサは、自動的な印刷の開始の指示が指定されている場合、前記ユーザが前記距離まで近付いたときに前記文書ファイルの印刷の開始を自動的に指示することを特徴とする。
【0012】
また、前記プロセッサは、前記文書ファイルの印刷が自動的に開始される旨を前記ユーザに通知することを特徴とする。
【0013】
また、前記プロセッサは、前記ユーザが前記旨の通知に応じて印刷に関する設定内容を変更した場合、変更した内容に従って前記文書ファイルの印刷を制御することを特徴とする。
【0014】
また、前記プロセッサは、自動的な印刷の開始の指示が指定されていない場合、前記ユーザが前記画像形成装置に前記距離まで近付いたときに前記文書ファイルの印刷の開始の是非を前記ユーザに問い合わせることを特徴とする。
【0015】
また、前記プロセッサは、前記文書ファイルを印刷可能な画像形成装置それぞれの設置位置情報を取得し、前記ユーザの現在位置から移動方向の所定の範囲内にあって最も近くに設置されている画像形成装置を、前記ユーザが前記文書ファイルの印刷に使用する画像形成装置と推測する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る印刷サービスシステムは、少なくとも1つの上記記載の携帯端末装置と、プロセッサ及びユーザインタフェースを少なくとも備える画像形成装置と、プロセッサを備え、前記携帯端末装置からの印刷の開始の指示に応じて前記画像形成装置に印刷を指示するサービスサーバと、を有し、前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記サービスサーバからの印刷指示に応じて印刷を開始してから終了するまでの間、前記携帯端末装置を携行するユーザ以外の他のユーザによる前記画像形成装置の使用を制限することを特徴とする。
【0017】
また、前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記サービスサーバからの印刷指示に応じて印刷を開始してから終了するまでの間、前記ユーザインタフェースに対する操作を制限することを特徴とする。
【0018】
また、前記画像形成装置が備えるプロセッサは、搭載されている複数の機能のうち、印刷機能を利用しない機能の使用を許可することを特徴とする。
【0019】
また、前記画像形成装置は、更に、前記画像形成装置を操作しているユーザを撮影する撮影手段と、印刷物が出力される出力トレイと、前記出力トレイから印刷物を取り出す操作を検出するセンサ手段と、を備え、前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記他のユーザによる前記出力トレイからの印刷物の取り出し操作を検出すると、警告メッセージを前記インタフェースに出力することを特徴とする。
【0020】
また、前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記携帯端末装置を携行するユーザによる印刷物の取り出し操作が検出されると、前記画像形成装置の使用の制限を解除することを特徴とする。
【0021】
また、前記携帯端末装置が備えるプロセッサは、前記ユーザからの指示に応じて前記文書ファイルを印刷可能なユーザを前記サービスサーバに登録し、前記サービスサーバが備えるプロセッサは、前記文書ファイルを印刷可能なユーザが携行する前記携帯端末装置からの印刷の開始の指示に応じて前記画像形成装置に前記文書ファイルの印刷を指示する、ことを特徴とする。
【0022】
本発明に係るプログラムは、コンピュータに、現在位置の遷移から自装置を携行するユーザの移動方向を推定する機能、印刷対象の文書ファイルを印刷可能な画像形成装置の中から、前記ユーザの移動方向を参照することによって前記ユーザが前記文書ファイルの印刷に使用する画像形成装置を推測する機能、前記ユーザが前記画像形成装置の設置位置に到着する時点で印刷が終了すると推定される距離まで前記画像形成装置に近付いたときに前記画像形成装置からの前記文書ファイルの印刷の開始を指示する機能、を実現させる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、印刷対象の文書ファイルに対する印刷の開始指示をユーザに出させなくても印刷することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、文書ファイルの印刷の開始指示を自動的に行うかどうかをユーザに選択させることができる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、ユーザからの操作指示無しに印刷を指示することができる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、文書ファイルの印刷が開始されることをユーザに知らせることができる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、当初の設定内容とは異なる設定内容に従って文書ファイルの印刷を行うことができる。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、ユーザから確認がとれてはじめて文書ファイルの印刷の開始を指示することができる。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、ユーザが向かっている先にある画像形成装置を、使用する画像形成装置と推測することができる。
【0030】
請求項8に記載の発明によれば、印刷の実行中、他のユーザによる画像形成装置の使用を制限することができる。
【0031】
請求項9に記載の発明によれば、印刷の実行中にユーザインタフェースを使用させないようにすることができる。
【0032】
請求項10に記載の発明によれば、印刷が実行されている間に、他の機能を使用させることができる。
【0033】
請求項11に記載の発明によれば、他のユーザによる印刷物の取り出しを抑制することができる。
【0034】
請求項12に記載の発明によれば、画像形成装置を通常通りに使用させることができる。
【0035】
請求項13に記載の発明によれば、自分以外の者に文書ファイルを印刷させることができる。
【0036】
請求項14に記載の発明によれば、印刷対象の文書ファイルに対する印刷の開始指示をユーザに出させなくても印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本実施の形態における印刷サービスシステムの全体構成図である。
図2】本実施の形態における携帯端末装置のハードウェア構成図である。
図3】本実施の形態における複合機のハードウェア構成図である。
図4】本実施の形態における印刷サービスシステムを示すブロック構成図である。
図5】本実施の形態における店舗関連情報のデータ構成の一例を示す図である。
図6】本実施の形態において、ユーザが印刷を登録して印刷物を入手するまでの処理を示すシーケンス図である。
図7】本実施の形態における文書登録画面の表示例を示す図である。
図8A】本実施の形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
図8B図8Aに続くフローチャートである。
図9】本実施の形態における印刷開始通知画面の表示例を示す図である。
図10】本実施の形態における設定変更画面の表示例を示す図である。
図11】本実施の形態における問合せ画面の表示例を示す図である。
図12】本実施の形態において複合機が実施する印刷処理を示すフローチャートである。
図13】本実施の形態における警告画面の表示例を示す図である。
図14】本実施の形態における複合機の操作パネルの表示例を示す図である。
図15】本実施の形態におけるユーザ追加用画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0039】
図1は、本実施の形態における印刷サービスシステムの全体構成図である。図1には、店舗2に設置される店舗管理サーバ10及び複合機20と、印刷サービスをユーザに提供する印刷サービスサーバ30と、ユーザにより携行される携帯端末装置40とが、インターネット等のネットワーク4を介して有線又は無線により接続される構成が示されている。
【0040】
店舗2は、来店者、本実施の形態の場合は携帯端末装置40を携行するユーザにより利用される。ユーザは、店舗2の出入口6から店内に入り、複合機20を利用したり、商品を購入したりした後に出入口6から退店する。出入口6には、ユーザが携帯端末装置40をかざすことによってNFC(Near Field Communication)規格により携帯端末装置40を無線接続する無線通信機器(図示せず)が配設される。無線通信機器は、店舗管理サーバ10と接続されており、無線接続された携帯端末装置40から読み取った情報を店舗管理サーバ10へ送信する。本実施の形態における店舗2は、決済をせずに買物ができるレジなし無人店舗を想定している。もちろん、複合機20が設置されていれば、レジのある有人店舗でもよい。
【0041】
ユーザは、複数の店舗2を利用し、また1つの店舗2は、複数のユーザにより利用されるかもしれないが、店舗2に設置の店舗管理サーバ10及び複合機20、また携帯端末装置40はそれぞれ、後述する機能を有していればよいので、図1には、一地点の店舗2及び一ユーザが携行する携帯端末装置40のみを図示している。
【0042】
図2は、本実施の形態における携帯端末装置40のハードウェア構成図である。携帯端末装置40は、ユーザにより携帯され、コンピュータが搭載される端末装置である。本実施の形態では、携帯端末装置40としてスマートフォンを想定して説明するが、タブレット端末等他の携帯端末装置でもよい。本実施の形態における携帯端末装置40は、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、携帯端末装置40は、図2に示すようにCPU401、ROM402、RAM403、文書や各種データを記憶する記憶手段としてのストレージ404、ユーザによる入力を受け付け、また表示するユーザインタフェースとしてのタッチパネル405、測位手段としてのGPS(Global Positioning System)406、ネットワーク4を介した通信を行う通信手段としてのネットワークインタフェース(IF)407、Wi-Fi(登録商標)による無線通信を行うための通信インタフェース408、Bluetooth(登録商標)による近距離無線通信を行うための通信インタフェース409及び出入口6に設置の無線通信機器と近距離無線通信を行うための通信インタフェース410を備える。
【0043】
なお、NFC対応の無線通信機器は、出入口6に組み込まれることから、無線通信機器を示す場合でも「出入口6」と記す場合がある。
【0044】
図3は、本実施の形態における複合機20のハードウェア構成図である。複合機20は、印刷機能、コピー機能、スキャナ機能等各種機能を搭載した画像形成装置の一形態であり、コンピュータを内蔵した装置である。複合機20は、図3に示すようにCPU201、ROM202、RAM203、スキャン文書等を記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)204、ユーザによる入力を受け付け、情報の表示を行うユーザインタフェースとしての操作パネル205、ユーザがセットした原稿を読み取り、電子データとしてHDD204に蓄積するスキャナ206、CPU201で実行される制御プログラムからの指示に従い出力用紙上に画像を印字するプリンタ207、ネットワーク4を介した通信を行う通信手段としてのネットワークインタフェース(IF)208、Bluetoothという通信規格に従い近距離無線通信を行うことで複合機20を無線通信機器として機能させる通信インタフェース209及び撮影手段としてのカメラ210を備える。
【0045】
図4は、本実施の形態における印刷サービスシステムを示すブロック構成図である。印刷サービスシステムは、店舗2に設置される店舗管理サーバ10及び複合機20と、印刷サービスサーバ30と、携帯端末装置40と、を有する。なお、各装置10,20,30,40において、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略している。
【0046】
店舗管理サーバ10は、店舗2の出入口6に設置の無線通信機器や複合機20等各種設備に関する情報の管理を行う。店舗管理サーバ10は、従前から存在する汎用的なサーバコンピュータのハードウェア構成にて実現される。本実施の形態における店舗管理サーバ10は、ユーザ認証部11及びユーザ行動解析部12を有している。ユーザ認証部11は、出入口6で携帯端末装置40から読み取ったユーザの識別情報(以下、「ユーザID」)に基づきユーザ認証を行う。ユーザ認証を行う際に参照するユーザ管理用データベースは、印刷サービスサーバ30が保持管理してもよいし、店舗管理サーバ10が当該店舗2の登録利用者分を保持していてもよい。ユーザ行動解析部12は、出入口6から入店したユーザの店内における行動を解析する。本実施の形態におけるユーザ行動解析部12は、特にユーザの行動から複合機20を利用しようとするユーザを特定する。店舗管理サーバ10における各構成要素11~12は、店舗管理サーバ10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0047】
複合機20は、サーバ連携部21、機能実行部22、表示制御部23及び制御部24を有している。サーバ連携部21は、店舗管理サーバ10と連携して動作する。具体的には、サーバ連携部21は、店舗管理サーバ10において認証されたユーザのうち、複合機20の利用者として認定されたユーザのユーザIDを取得する。機能実行部22は、印刷機能をはじめ、複合機20に搭載されている各種機能を実行する。表示制御部23は、制御部24による表示のもと操作パネル205の表示制御を行う。制御部24は、各構成要素21~23と連携動作して複合機20における動作全般の制御を行う。
【0048】
複合機20における各構成要素21~24は、複合機20に搭載されるコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0049】
印刷サービスサーバ30は、印刷サービスをユーザに提供するために使用されるサーバコンピュータである。印刷サービスサーバ30は、従前から存在する汎用的なサーバコンピュータのハードウェア構成にて実現される。本実施の形態における印刷サービスサーバ30は、文書登録要求受信部31、印刷制御部32及び記憶部33を有する。文書登録要求受信部31は、携帯端末装置40から送信されてくる文書の登録要求を受信する。印刷制御部32は、携帯端末装置40からの要求に応じて複合機20に印刷指示を出すなど情報の送受信や印刷サービスにおける印刷の制御等を行う。記憶部33には、印刷情報及び店舗関連情報が少なくとも記憶される。印刷情報は、携帯端末装置40からの登録要求に応じて作成され、当該登録要求に含まれている電子文書のデータファイル(以下、「文書ファイル」)、当該文書の識別情報(以下、「文書ID」)及び登録要求をしたユーザのユーザID、更に印刷ページ数、カラー/白黒、片面/両面印刷、用紙サイズ等の印刷属性を含む印刷設定情報や要求受信日時等を含む情報である。
【0050】
図5は、本実施の形態における店舗関連情報のデータ構成の一例を示す図である。店舗関連情報は、印刷サービスサーバ30が受け付けた文書を印刷可能な複合機20が設置されている店舗2に関連する情報を含む。本実施の形態における店舗関連情報は、店舗情報と複合機情報とを含む。店舗情報は、印刷サービスサーバ30と連携して印刷サービスを提供可能な上記店舗2に関する情報を含む。店舗情報は、当該店舗2を識別するための識別情報「店舗ID」及び当該店舗の位置を特定する設置位置情報として「位置情報」を含む。本実施の形態では、携帯端末装置40のGPS406の測位情報と合わせて利用するため、店舗2の位置を経緯度で示すのが好適である。複合機情報は、店舗2に設置される複合機20に関する情報を含む。複合機情報は、当該複合機20を識別するための識別情報「複合機ID」及び当該複合機20の「機種」を含む。なお、店舗2には、複数の複合機20が設置されていてもよい。
【0051】
印刷サービスサーバ30における各構成要素31~32は、印刷サービスサーバ30を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、記憶部33は、印刷サービスサーバ30に搭載されたHDDにて実現される。あるいは、RAM又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0052】
携帯端末装置40は、印刷アプリ実行部41、測位部42、表示制御部43及び記憶部44を有する。印刷アプリ実行部41は、印刷サービスサーバ30が提供する印刷サービスを利用するためのアプリケーションを実行する。印刷アプリ実行部41は、登録要求部411、ユーザ移動推定部412、利用店舗推測部413、開始指示部414及び印刷制御部415を含む。登録要求部411は、印刷対象とする文書ファイル等を送信して、印刷サービスを利用して印刷する文書の登録を印刷サービスサーバ30に要求する。ユーザ移動推定部412は、測位部42による測位データの遷移を参照してユーザの移動方向及び移動速度を推定する。利用店舗推測部413は、ユーザ移動推定部412により推定されるユーザ行動に基づき、ユーザが利用しようとしている店舗を推測する。開始指示部414は、ユーザが店舗2に到着するまでに要する移動時間が、印刷サービスサーバ30に登録した文書の印刷に要すると予想される時間(以下、「印刷所要時間」)以下になった時点で印刷の実行開始を指示する。印刷制御部415は、携帯端末装置40における印刷に関する動作制御を行う。
【0053】
測位部42は、GPS406と連携して、ユーザが店舗2の外を移動しているときの現在位置を取得する。なお、ユーザは、携帯端末装置40を携行して移動するので、ユーザの現在位置と携帯端末装置40の現在位置とは、常に一致する。表示制御部43は、タッチパネル405の表示を制御する。記憶部44には、印刷サービスサーバ30から取得した店舗関連情報が保存される。
【0054】
携帯端末装置40における各構成要素41~43は、携帯端末装置40を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU401で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、記憶部44は、携帯端末装置40に搭載されたストレージ404にて実現される。あるいは、RAM403又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0055】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0056】
次に、本実施の形態における動作について説明する。
【0057】
まず、ユーザは、携帯端末装置40を操作して、印刷対象とする文書ファイルを印刷サービスサーバ30に登録するが、この操作を行うときには店舗2の外にいるものとする。以下、ユーザが文書ファイルを登録するところから印刷物を入手するまでの処理について、図6に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、以降の説明では、店舗2には、1台の複合機20のみが設置されており、また説明の便宜上、特に断らない限り、店舗2の位置は、複合機20の位置と同じであるものとして説明する。また、文書を登録したユーザにおいては、店舗2の利用と複合機20の利用とは同義となる。
【0058】
ユーザは、携帯端末装置40を操作して、印刷サービスのアプリケーションを起動することで、印刷アプリ実行部41に処理の実行を開始させる。印刷アプリ実行部41は、起動されると、文書登録画面を携帯端末装置40のタッチパネル405に表示する。
【0059】
図7は、本実施の形態における文書登録画面の表示例を示す図である。ユーザは、文書登録画面から印刷対象とする文書のファイル名を入力する。そして、図7に例示しているように、文書登録画面には、文書の印刷を自動的に開始させるかどうかの問合せメッセージ71と、問合せメッセージ71に対応させてチェックボックス72が表示される。チェックボックス72にチェックを入れるか入れないかによって、文書の自動的な印刷の開始指示の是非をユーザに指定させる。従って、ユーザは、印刷を自動的に開始させること(以下、「自動印刷」ともいう)を選択したい場合、チェックボックス72にチェックを入れる。なお、ユーザの追加に関しては、後述する。
【0060】
ユーザが文書ファイルと自動印刷の是非を指定した後、OKボタン74を選択すると、登録要求部411は、携帯端末装置40のユーザのユーザID、文書ファイル及び当該文書の識別情報としての文書IDを含む文書登録要求を印刷サービスサーバ30へ送信する(ステップ410)。
【0061】
印刷サービスサーバ30における文書登録要求受信部31は、携帯端末装置40から送信されてくる文書登録要求を受信すると、文書登録要求に含まれているユーザID、文書ID及び文書ファイルを含む印刷情報を作成して記憶部33に保存する(ステップ310)。印刷情報には、更に文書ファイルに付加されている属性情報を参照して、文書登録要求の受信日時や印刷所要時間の算出に参照する印刷設定情報や要求受信日時等が含まれる。なお、以上説明した印刷サービスサーバ30への文書登録は、ジョブ登録処理と同様の処理であり、ジョブの実行を指示するものに該当しない。
【0062】
文書ファイルが印刷サービスサーバ30に登録されると、ユーザは、利用しようと考えている複合機20が設置されている店舗2に向けて移動を開始する。なお、本実施の形態では、ユーザの移動手段として歩行を想定して説明するが、測位部42によりユーザの現在位置を検出できるのであれば、車両等他の移動手段を利用してもよい。
【0063】
続いて、印刷アプリ実行部41は、店舗関連情報の送信を要求する(ステップ420)。印刷サービスサーバ30における印刷制御部32は、携帯端末装置40からの要求に応じて、記憶部33に登録されている店舗関連情報を読み出して携帯端末装置40へ送信する(ステップ320)。印刷アプリ実行部41は、送信要求に応じて送信されてきた店舗関連情報を記憶部44に保存する(ステップ430)。
【0064】
なお、印刷サービスサーバ30は、全国に展開している印刷サービスを提供する店舗2に対応する店舗関連情報を保持管理している場合がある。従って、全ての店舗関連情報を取得することは好ましくないかもしれないので、印刷アプリ実行部41は、店舗関連情報の送信を要求する際に、例えば、携帯端末装置40の現在位置を送信し、印刷サービスサーバ30における印刷制御部32は、携帯端末装置40の現在位置から所定の範囲内にある店舗2若しくは現在位置に近い方から所定数の店舗2に対応する店舗関連情報に絞り込んでから送信するようにしてもよい。また、印刷アプリ実行部41は、ユーザの移動手段を合わせて送信することで、印刷制御部32に移動手段から想定される移動範囲に基づき、上記所定の範囲や所定数を印刷サービスサーバ30に決めさせるようにしてもよい。
【0065】
また、印刷アプリ実行部41は、ユーザが移動を開始すると、印刷制御処理を実行する(ステップ440)。以下、本実施の形態において特徴的な印刷制御処理について、図8A図8Bに示すフローチャートを用いて説明する。
【0066】
前述したように、ユーザは、文書を登録した時点では、店舗2の外にいて、目的とする店舗2に向かって歩行している。測位部42は、移動するユーザの現在位置を取得する(ステップ421)。取得した現在位置は、移動速度等の計算のために保持しておく。
【0067】
続いて、ユーザ移動推定部412は、測位部42の測位により得られている現在位置の遷移を分析することによって、ユーザの移動速度及び移動方向を計算により推定する(ステップ422)。
【0068】
続いて、利用店舗推測部413は、ユーザの移動方向、すなわちユーザの進行方向を参照することにより、ユーザが利用しようとする店舗2、すなわち複合機20を推測する。そのために、利用店舗推測部413は、ユーザの進行方向に存在する店舗2を検出する(ステップ423)。厳密には、進行方向という直線上に限る必要はなく、ユーザが向かっていると想定できる進行方向から所定の角度を持たせた所定の範囲内における店舗2の有無を判断する。また、ユーザの移動速度を考慮して、ユーザの現在位置からの移動時間や移動距離を参照して店舗2の有無を判断してもよい。利用店舗推測部413は、店舗2の有無の判断を、ユーザの現在位置、移動方向及び移動速度と、記憶部44に保存した店舗関連情報の店舗情報を参照して行う。そして、利用店舗推測部413は、検出した店舗2を、ユーザが利用しようとしている店舗2と推測する。
【0069】
ユーザの進行方向に店舗2が検出されない場合(ステップ424でN)、印刷制御部415は、処理をステップ421に移行させて測位部42に測位を実施させる。
【0070】
ところで、ステップ421において、測位部42は、測位を定周期的に実施すればよい。測位の実施間隔が長いほど、ユーザの移動距離が延びるので、ステップ423において複数の店舗2が同時に見つかりやすくなる。その一方、携帯端末装置40にかかる負荷は小さくなる。ちなみに、店舗2は、ある程度の距離をあけて散在していると思われることから、測位部42は、一店舗ずつ検出されるように測位を所望の時間間隔、例えば数分毎に行うようにしてもよい。また、複数の店舗2が同時に見つかった場合、各店舗2の位置情報を参照し、ユーザの進行方向から所定の範囲内であってユーザの現在位置に最も近くにある店舗2を、ユーザが利用しようとする店舗2と推測してもよい。あるいは、検出された複数の店舗2をリスト表示して、印刷に利用する店舗2をユーザに選択させてもよい。
【0071】
ユーザの進行方向に店舗2を検出した場合(ステップ424でY)、利用店舗推測部413は、ユーザは検出した店舗2を目的地とし、その店舗2に向かって歩行していると推測する。この場合、印刷制御部415は、印刷所要時間を算出する(ステップ425)。
【0072】
印刷所要時間は、文書のサイズ等の属性情報や印刷部数やカラー/白黒等の印刷属性に依存すると共に、複合機の性能にも依存する。従って、印刷制御部415は、印刷サービスサーバ30に問い合わせるなどして、印刷に用いる複合機20の性能に関する情報を取得すると共に、必要により文書に関する情報を取得する。複合機20の性能は、複合機20の機種から判明できるので、印刷制御部415は、機種を印刷サービスサーバ30から取得して、複合機20の性能に関する情報を自ら特定するようにしてもよいし、印刷サービスサーバ30に取得してもらって、性能に関する情報を送ってもらうようにしてもよい。更に、複合機20の負荷状態や節電モード等の動作の状態を取得して、印刷所要時間の計算に利用してもよい。複合機20の状態に関する情報を利用することで、例えば節電状態からの復帰に要する時間を印刷所要時間に反映させることができるので、印刷所要時間をより正確に算出できる。
【0073】
また、印刷制御部415は、ユーザの現在位置、移動方向及び移動速度と、複合機20の位置に基づき、ユーザの現在位置から複合機20の設置位置までの移動時間を算出する(ステップ426)。本実施の形態では、便宜的に店舗2の位置を複合機20の設置位置とみなして移動時間を算出するが、敷地面積の広い店舗2などの場合は、店舗関連情報に含まれる当該店舗2の位置情報が示す位置から、複合機20の設置位置までの移動時間や距離を、店舗関連情報に設定し、その設定した情報を参照して移動時間を、より正確に算出できるようにしてもよい。なお、ステップ425とステップ426の処理順は、逆でもよい。
【0074】
ここで、移動時間(「AT」という記号で記す)が印刷所要時間(「PT」という記号で記す)と許容誤差(「SS」という記号で記す)との和以下でない場合(ステップ427でN)、つまり、移動に要する時間が印刷に要する時間より長い場合、現時点で文書の印刷を開始すると、ユーザが複合機20に到着する前に印刷が終了してしまうことになる。従って、印刷を開始させることなくステップ421に戻る。
【0075】
本実施の形態では、このようにステップ421まで戻ることにした。ユーザは、道に沿って歩行することになるので、ユーザの進行方向は、曲がり角があると一気に、例えば直角に変化する可能性がある。つまり、ユーザが所望の店舗2に向かって歩行していないときにステップ423における処理によって利用しない店舗2が誤って検出される可能性が生じてくる。これを修正できるようにするために、処理を最初からやり直せるようステップ421に戻るようにした。ユーザが所望の店舗2に向かって歩行しているときに曲がり角で方向を変更することによって所望の店舗2が検出されなくなるかもしれないが、ユーザは、最終的には所望の店舗2に向かって歩行することになるので、所望の店舗2は、再度検出されるはずである。また、ユーザが進行方向を変えなければ、同じ店舗2がその都度検出されることになり、いずれ移動時間(AT)が印刷所要時間(PT)と許容誤差(SS)との和以下となる。なお、同じ店舗2の場合、印刷所要時間は変わらないので、一度算出した印刷所要時間を一時的に保持して、ステップ425で再計算しなくて済むように処理してもよい。
【0076】
移動時間(AT)が印刷所要時間(PT)と許容誤差(SS)との和以下になった場合(ステップ427でY)、ユーザは、目的地とする店舗2にある程度近付いてきており、この時点で印刷を開始すると、ユーザが複合機20の設置位置に到着したときに印刷をちょうど終了させることができる。換言すると、ユーザが複合機20の設置位置に到着する時点で印刷がちょうど終了すると推定される距離まで複合機20に近付いたということができる。このとき、ユーザが文書登録画面から自動印刷を選択している場合(ステップ428でY)、印刷制御部415は、印刷を自動的に開始することをユーザに通知する(ステップ429)。本実施の形態では、自動選択の場合でも、印刷の開始をユーザに通知することによってユーザに最終確認を取るようにしたが、必ずしも通知しなくてよい。つまり、開始指示部414は、移動時間(AT)が印刷所要時間(PT)と許容誤差(SS)との和以下になった時点で印刷サービスサーバ30に対して印刷の開始を自動的に指示するようにしてもよい。あるいは、印刷の開始の通知だけをして、ユーザに最終確認をさせないようにしてもよい。ユーザへの通知は、印刷制御部415が表示制御部43と連携して実施される。すなわち、表示制御部43は、印刷制御部415からの指示に応じて、印刷開始通知画面をタッチパネル405に表示する。
【0077】
図9は、本実施の形態における印刷開始通知画面の表示例を示す図である。印刷開始通知画面には、確認メッセージと、印刷の実行の是非を最終確認するためのボタン76,78が表示される。ユーザは、印刷開始通知画面が表示されると、いずれかのボタン76,78を選択することによって印刷の開始の是非を指定する。
【0078】
ところで、図9では、“SS”秒後と図示している。つまり、上記説明の許容誤差(SS)というのは、ユーザが通知を受けてからボタン操作するまでに要すると推測する時間であり、ボタン操作までに許容する時間である。なお、表示制御部43は、印刷開始通知画面に表示される“SS”を、画面表示してからの時間の経過に応じてカウントダウンする、すなわちユーザが複合機20の設置位置に到着した時点で印刷をちょうど終了させるためにボタン操作すべき残りの時間を示すように表示してもよい。また、カウントダウンするSSが0秒になる前にユーザが「はい」ボタン76を選択した場合、論理的には残りの時間だけ印刷が早く終了してしまうので、印刷制御部415は、内部処理では、ユーザによる「はい」ボタン76の選択を受け付けた後、カウントダウンするSSが0秒になるまで、印刷開始の指示を待機するよう制御してもよい。
【0079】
ユーザによるボタン選択の結果、換言するとユーザによる自動印刷の対応を受信するが(ステップ430)、ユーザが「はい」ボタン76を選択した場合、つまり、文書登録時に設定した自動印刷の設定の変更を希望しなかった場合(ステップ431でN)、開始指示部414は、印刷制御部415からの指示に従い、印刷の開始を印刷サービスサーバ30に指示する(ステップ435)。この印刷サービスサーバ30に対する印刷開始指示は、図6にも図示しているが、図6に示すように、開始指示部414は、印刷対象とする文書の文書ID及び複合機IDを印刷開始指示に含める。
【0080】
図6に示すように、印刷サービスサーバ30における印刷制御部32は、印刷開始指示を携帯端末装置40から受信すると、複合機IDにより特定される複合機20に対して印刷を指示する(ステップ330)。複合機20に対して印刷を指示する際、印刷制御部32は、文書IDにより特定される文書ファイルを印刷情報から取り出し、印刷を指示したユーザのユーザIDと共に複合機20へ送信する(ステップ330)。
【0081】
複合機20における制御部24は、印刷サービスサーバ30からの印刷指示に応じて、機能実行部22に、送信されてきた文書ファイルの印刷処理を実施させる(ステップ210)。
【0082】
図8Bに戻り、ユーザが印刷開始通知画面から「いいえ」ボタン78を選択した場合、つまり、文書登録時に設定した自動印刷の設定の変更を希望した場合(ステップ431でN)、表示制御部43は、印刷制御部415からの指示に応じて、設定変更画面をタッチパネル405に表示する(ステップ432)。
【0083】
図10は、本実施の形態における設定変更画面の表示例を示す図である。設定変更画面には、自動印刷から変更可能な設定内容がリスト表示される。ユーザは、リストの中から所望の変更を選択し、OKボタン88を選択する。印刷制御部415は、ユーザにより選択された変更の内容に従って文書の印刷を制御することになる。なお、自動印刷を選択し直したい場合は、戻るボタン90を選択する。
【0084】
ユーザが設定変更画面から「店舗到着時に印刷を開始する。」のメッセージ80を選択した場合(ステップ432でY)、印刷制御部415は、自動印刷の設定をキャンセルし、現時点で印刷の実行開始を指示させない。そして、ユーザが店舗2に到着するまで待機する。
【0085】
ところで、ユーザが携帯端末装置40を店舗2の出入口6にかざすことによって店舗2に到着したことが検出できる。ユーザが店舗2に到着するまで待機し(ステップ434でN)、ユーザが店舗2に到着すると(ステップ434でY)、開始指示部414は、印刷制御部415からの指示に従い、印刷の開始を印刷サービスサーバ30に指示する(ステップ435)。印刷指示後の印刷サービスサーバ30及び複合機20の動作については、すでに説明しているので、ここでの説明は省略する。
【0086】
ユーザがその他の設定変更のメッセージ82,84,86を選択した場合(ステップ432でN)、印刷制御部415は、自動印刷の設定をキャンセルし、現時点で印刷の開始を指示させない。そして、処理をステップ421に戻す。
【0087】
ちなみに、「他の店舗で印刷する。(店舗を指定する。)」のメッセージ82が選択された場合、図示しない入力画面から他の店舗2を特定する情報をユーザに入力させる。あるいは、表示制御部43は、ステップ430で保存している店舗をリスト表示して、ユーザに選択させるようにしてもよい。そして、印刷制御部415は、ユーザにより指定された店舗2に対してステップ425以降の処理を実施する。「他の店舗で印刷する。(アプリからの提案を受ける。)」のメッセージ84が選択された場合、図示しない店舗表示画面に、推奨する店舗2の名称等を表示する。そして、印刷制御部415は、ユーザによる確認後に、推奨する店舗2に対してステップ425以降の処理を実施する。推奨する店舗2は、例えば現在位置から次に近い店舗2や高性能の複合機20が設置されている店舗2、あるいは来店者の少ない店舗2等から選出してもよい。「今回は印刷しない。」のメッセージ86が選択された場合は、印刷制御部415は、特別な処理を行うことなくステップ421に戻る。
【0088】
ところで、ユーザが文書登録画面から自動印刷を選択していない場合(ステップ428でN)、印刷制御部415は、印刷を自動的に開始させないものの、ユーザに印刷できる状態になったことをユーザに知らせると共に印刷の開始の是非を問い合わせる。そのために、表示制御部43は、印刷制御部415からの指示に応じて、問合せ画面をタッチパネル405に表示して、印刷の是非をユーザに問い合わせる(ステップ436)。
【0089】
図11は、本実施の形態における問合せ画面の表示例を示す図である。問合せ画面は、上記の通り、ユーザが自動印刷を選択していない場合に表示される。問合せ画面には、印刷できる状態であることと印刷する店舗2をユーザに通知するためのメッセージと、印刷の是非をユーザに選択させるためのボタン92,94が表示される。
【0090】
ユーザが印刷を希望する場合(ステップ437でY)、つまり、ユーザが「はい」ボタン92を選択すると、開始指示部414は、印刷制御部415からの指示に従い、印刷の開始を印刷サービスサーバ30に指示する(ステップ435)。印刷指示後の印刷サービスサーバ30及び複合機20の動作については、すでに説明しているので、ここでの説明は省略する。
【0091】
ユーザが印刷を希望しない場合(ステップ437でN)、つまり、ユーザが「いいえ」ボタン94を選択すると、印刷制御部415は、現時点で印刷を実行することなく、処理をステップ421に戻す。
【0092】
本実施の形態によれば、以上のようにして、登録した文書の印刷の開始指示をユーザに出させなくても、ユーザが複合機20の設置位置に到着する時点で印刷がちょうど終了するよう印刷を実行させることができる。
【0093】
ところで、複合機20は、上記の通り印刷サービスサーバ30からの印刷指示に応じて印刷を開始する。ただ、不特定の者が利用可能な店舗2の場合、来店者は、基本的には複合機20を利用することができる。文書を印刷サービスサーバ30に登録した者(以下、「登録者」ともいう)は、そもそも店舗2の外にいた携帯端末装置40のユーザであることから、ユーザが複合機20の設置位置に到着した時点で印刷が終了するように印刷制御している。しかしながら、実際には、ユーザが印刷の開始後、店舗2に到着する前に寄り道したり、予想以上に道が曲がりくねっていたりして、印刷の終了時点で店舗2に到着していない場合も想定できる。この場合、店舗2にいる第三者が印刷物を持ち去ってしまう可能性が生じてくる。
【0094】
そこで、本実施の形態における複合機20は、印刷指示に応じて印刷を開始する場合、印刷物の不正な持ち出しを阻止し、正規の登録者が印刷物を取得できるように印刷処理を実施する。以下、本実施の形態における複合機20が実施する印刷処理について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。
【0095】
前述したように、印刷サービスサーバ30から印刷指示を受けると、制御部24は、機能実行部22に印刷を開始させる(ステップ211)。ただ、印刷の開始時点では、登録者は、店舗2に到着していないと予想できる。このときに、複合機20が登録者以外の来店者に使用されると、不測の事態が発生する可能性がある。そのため、制御部24は、複合機20の使用を制限する。具体的には、操作パネル205からの操作を制限することによってパネル操作を受け付けないようにする(ステップ212)。この際、表示制御部23は、制御部24からの指示に応じて、現在、操作が制限されている旨のメッセージを操作パネル205に表示させることで、操作が制限されていることを、複合機20を使用しようとする来店者に知らせる。
【0096】
ところで、本実施の形態では、店舗2がレジなし無人店舗である場合を想定している。レジなし無人店舗の場合、店舗2の利用者は、携行する携帯端末装置40を出入口6にかざしてユーザ認証を受ける。ユーザ認証部11は、携帯端末装置40から読み取ったユーザの個人情報に基づきユーザ認証を行う。ユーザは、ユーザ認証部11によるユーザ認証に成功することによって入店できる。上記において簡単に説明したが、ユーザ認証処理自体は、従前と同じでよいので詳細な説明を省略する。
【0097】
図1には図示していないが、店舗2には、レジなし無人店舗システム上、複数台の監視カメラが設置されており、店舗管理サーバ10におけるユーザ行動解析部12は、各監視カメラの撮像画像を解析することによってユーザの行動を常時監視している。その結果、店舗管理サーバ10は、来店者のユーザの動きから複合機20を使用しようとするユーザを特定できる。
【0098】
複合機20を使用しようとするユーザ(以下、「利用者」ともいう)を特定できると、店舗管理サーバ10は、その利用者を複合機20に通知する。サーバ連携部21が店舗管理サーバ10からの通知を受けることによって複合機20の利用者を特定できる(ステップ213)。なお、本実施の形態では、レジなし無人店舗が有するシステムと連携して複合機20の利用者を特定するが、例えば複合機20が有するカメラ210を用いて複合機20の利用者を特定するようにしてもよい。
【0099】
ここで、複合機20の利用者が登録者の場合(ステップ214でY)、登録者、すなわち携帯端末装置40のユーザは、セキュリティ上、複合機20を利用するのに何の問題もないので、制御部24は、操作パネル205に対する操作の制限を解除する(ステップ215)。基本的には、携帯端末装置40のユーザが複合機20の設置位置に到着するときには、印刷が終了しているはずだが、何らかの事情により終了していない場合も想定しうるので(ステップ216でN)、終了するまで次の処理に移行しない。そして、印刷が終了すると(ステップ216でY)、複合機20は、ユーザに対して課金を行う(ステップ217)。店舗2は、レジなし無人店舗であることから、複合機20は、店舗管理サーバ10と連携するなどして人手を介することなく所定の手段を行使して課金を行う。
【0100】
一方、複合機20の利用者が登録者でない場合(ステップ214でN)、制御部24は、表示制御部23と連携して、操作パネル205の表示を制御する(ステップ208)。表示制御部23は、操作パネル205の表示制御として、例えば警告メッセージを操作パネル205に表示する。
【0101】
図13は、本実施の形態における警告画面の表示例を示す図である。警告画面は、図13に例示する警告メッセージを操作パネル205に表示するための画面である。本実施の形態における店舗2には、印刷物が出力される出力トレイからの印刷物の取り出しを物理的に阻止するための機構が設けられていない。しかしながら、本実施の形態において操作パネル205に表示する警告メッセージには、複合機20の利用者の名前が含まれているので、複合機20の利用者個人を特定できていることを、その利用者に知らせることができる。従って、この警告メッセージを操作パネル205に表示することは、不正行為の抑止効果を奏すると考えられる。
【0102】
出力トレイからの印刷物の取り出しは、複合機20にセンサ手段を設けることで検出できるようにしてもよい。そして、センサ手段が出力トレイからの印刷物の取り出し操作を検出したときに、店舗2の監視カメラあるいは複合機20のカメラ210が特定した来店者が登録者でない場合、表示制御部23は、警告メッセージを操作パネル205に出力させるようにしてもよい。
【0103】
ところで、複合機20の操作を制限することによって、印刷物の不正な持ち出しを阻止できるかもしれないが、複合機20が提供する複数の機能全てを利用できないようにすると、来店者にとって不便であるとも考えられる。例えば、印刷を伴わない機能、換言すると印刷物を生成しないことから出力トレイを操作する必要のない機能を登録者以外の来店者に利用させても問題ないとも考えられる。そこで、本実施の形態では、複合機20が提供する機能の一部を利用できるようにした。
【0104】
図14は、本実施の形態における複合機20の操作パネル205の表示例を示す図である。図14に例示するように、表示制御部23は、スキャンやFAX等、コピーや印刷などの印刷機能を利用しない機能を実行させるためのボタン96は、通常通りに選択可能に表示する。一方、表示制御部23は、コピーや印刷等、印刷を伴い印刷物を生成する印刷機能を利用する機能を実行させるためのボタン98は、ボタン96と表示形態を異ならせて、選択できないことが認識できるように表示する。実際、制御部24は、ボタン96が操作されると、選択されたボタン96に対応する機能の実行を許可する。つまり、当該機能を通常通り実行する。一方、制御部24は、ボタン98が操作されても、選択されたボタン96に対応する機能を実行しないよう制御する。
【0105】
なお、図13に示す警告メッセージは、図14に示すボタン96,98と合わせて操作パネル205に表示させてもよい。
【0106】
登録者による印刷が終了するまで(ステップ219でN)、上記操作パネル205の表示制御を継続し、印刷が終了し、登録者が印刷物を取り出すことをセンサ手段により検出されると(ステップ219でY)、制御部24は、操作パネル205の操作の制限を解除する(ステップ220)。これにより、複合機20は、通常通りの使用が可能となる。
【0107】
本実施の形態によれば、店内に登録者以外の来店者がいても印刷を実行でき、その一方、複合機20から印刷物を不正に持ち出そうとする来店者に対しては、警告メッセージにより不正行為を阻止することができる。また、来店者の複合機20の使用に関する都合を考慮して、印刷を機能を利用しない機能は利用できるようにした。
【0108】
ところで、文書を印刷サービスサーバ30に登録したものの、自分自身で印刷物を取りに行けない場合や、例えば客先に向かっている者に文書を追加して持たせたい場合など、登録者以外の者が印刷物を持ち出せるようにしたい場合がある。そこで、本実施の形態では、文書を印刷サービスサーバ30に登録したユーザ以外のユーザでも、登録済みの文書の印刷の開始指示をできる機能を設けている。
【0109】
すなわち、図7に示す文書登録画面において、ユーザがチェックボックス73にチェックを入れてOKボタン74を選択すると、タッチパネル405には、追加ユーザ設定画面が表示される。
【0110】
図15は、本実施の形態におけるユーザ追加用画面の表示例を示す図である。ユーザ追加用画面には、印刷を許容するユーザのリストが表示される。表示対象のユーザは、例えば、携帯端末装置40のユーザと同じ部署の者である。この場合、携帯端末装置40は、会社のシステムに問い合わせ、社員情報等の所定のデータベースを検索して抽出される同一部署の社員のリストを取得する。なお、取得する情報は、各ユーザの氏名とユーザIDを含む。登録者が、文書の印刷を許容するユーザに対応するチェックボックス100にチェックを入れることで、文書の印刷が可能となるユーザを選択し、その後OKボタン102を選択すると、図6に示すステップ410において、登録要求部411は、ユーザID、文書ID、文書ファイルに加えて、選択されたユーザのユーザIDを印刷サービスサーバ30へ送信することによって、文書を印刷可能なユーザを印刷サービスサーバ30に登録する。
【0111】
つまり、印刷サービスサーバ30における文書登録要求受信部31は、図6に示すステップ310において、携帯端末装置40から送信されてくる文書登録要求を受信すると、文書登録要求に含まれているユーザID、文書ID、文書ファイル及び当該文書を印刷可能なユーザのユーザIDを含む印刷情報を作成して記憶部33に保存する。
【0112】
その後の処理は、前述した処理を実施すればよい。ただ、ユーザが追加されたことにより印刷可能なユーザが複数になったので、各ユーザが携行する携帯端末装置40それぞれにおいて前述した処理は実施されることになる。
【0113】
例えば、2人のユーザ、すなわち文書を登録したユーザ(上記「登録者」)と登録者により印刷可能なユーザとして追加されたユーザ(以下、「追加者」)が文書の印刷を開始指示できる場合において、登録者が追加者に印刷を開始指示させたいとする。
【0114】
この場合、登録者が外出していなければ、つまり移動していなければ、印刷可能な店舗2が見つからないか(ステップ124でN)、少なくとも印刷開始通知画面(図9)で「いいえ」ボタン78を選択した後、設定変更画面(図10)で「今回は印刷しない。」のメッセージ86を選択すればよい。一方、追加者は、所望する店舗2に向かって歩行することで、いずれ表示されることになる印刷開始通知画面(図9)で「はい」ボタン76を選択すればよい。この結果、印刷サービスサーバ30は、追加者が携行する携帯端末装置40からの印刷の開始指示に応じて複合機20に対して文書の印刷を指示する。
【0115】
本実施の形態によれば、以上のようにして、登録者は他のユーザに印刷の開始指示を行わせることができる。
【0116】
なお、上記説明では、文書登録画面から印刷可能なユーザを追加できるようにしたが、文書登録後でも文書登録画面(図7)を介することなくユーザ追加用画面(図15)を表示させてユーザを追加できるようにしてもよい。
【0117】
また、本実施の形態では、文書を事前登録しておく印刷サービスに適用した場合を例にして説明したが、必ずしも文書を事前に登録しておく必要はない。例えば、印刷の開始指示と共に文書ファイルを印刷サービスサーバ30へ送信してもよいし、複合機20に直接送信するようにしてもよい。
【0118】
上記実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0119】
また上記実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0120】
(付記)
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
現在位置の遷移から自装置を携行するユーザの移動方向を推定し、
印刷対象の文書ファイルを印刷可能な画像形成装置の中から、前記ユーザの移動方向を参照することによって前記ユーザが前記文書ファイルの印刷に使用する画像形成装置を推測し、
前記ユーザが前記画像形成装置の設置位置に到着する時点で印刷が終了すると推定される距離まで前記画像形成装置に近付いたときに前記画像形成装置からの前記文書ファイルの印刷の開始を指示する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
(((2)))
前記プロセッサは、前記文書ファイルの自動的な印刷の開始の指示の是非を前記ユーザに指定させることを特徴とする(((1)))に記載の携帯端末装置。
(((3)))
前記プロセッサは、自動的な印刷の開始の指示が指定されている場合、前記ユーザが前記距離まで近付いたときに前記文書ファイルの印刷の開始を自動的に指示することを特徴とする(((2)))に記載の携帯端末装置。
(((4)))
前記プロセッサは、前記文書ファイルの印刷が自動的に開始される旨を前記ユーザに通知することを特徴とする(((1)))に記載の携帯端末装置。
(((5)))
前記プロセッサは、前記ユーザが前記旨の通知に応じて印刷に関する設定内容を変更した場合、変更した内容に従って前記文書ファイルの印刷を制御することを特徴とする(((4)))に記載の携帯端末装置。
(((6)))
前記プロセッサは、自動的な印刷の開始の指示が指定されていない場合、前記ユーザが前記画像形成装置に前記距離まで近付いたときに前記文書ファイルの印刷の開始の是非を前記ユーザに問い合わせることを特徴とする(((1)))に記載の携帯端末装置。
(((7)))
前記プロセッサは、
前記文書ファイルを印刷可能な画像形成装置それぞれの設置位置情報を取得し、
前記ユーザの現在位置から移動方向の所定の範囲内にあって最も近くに設置されている画像形成装置を、前記ユーザが前記文書ファイルの印刷に使用する画像形成装置と推測する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の携帯端末装置。
(((8)))
少なくとも1つの(((1)))に記載の携帯端末装置と、
プロセッサ及びユーザインタフェースを少なくとも備える画像形成装置と、
プロセッサを備え、前記携帯端末装置からの印刷の開始の指示に応じて前記画像形成装置に印刷を指示するサービスサーバと、
を有し、
前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記サービスサーバからの印刷指示に応じて印刷を開始してから終了するまでの間、前記携帯端末装置を携行するユーザ以外の他のユーザによる前記画像形成装置の使用を制限することを特徴とする印刷サービスシステム。
(((9)))
前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記サービスサーバからの印刷指示に応じて印刷を開始してから終了するまでの間、前記ユーザインタフェースに対する操作を制限することを特徴とする(((8)))に記載の印刷サービスシステム。
(((10)))
前記画像形成装置が備えるプロセッサは、搭載されている複数の機能のうち、印刷機能を利用しない機能の使用を許可することを特徴とする(((8)))に記載の印刷サービスシステム。
(((11)))
前記画像形成装置は、更に、
前記画像形成装置を操作しているユーザを撮影する撮影手段と、
印刷物が出力される出力トレイと、
前記出力トレイから印刷物を取り出す操作を検出するセンサ手段と、
を備え、
前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記他のユーザによる前記出力トレイからの印刷物の取り出し操作を検出すると、警告メッセージを前記インタフェースに出力することを特徴とする(((8)))に記載の印刷サービスシステム。
(((12)))
前記画像形成装置が備えるプロセッサは、前記携帯端末装置を携行するユーザによる印刷物の取り出し操作が検出されると、前記画像形成装置の使用の制限を解除することを特徴とする(((11)))に記載の印刷サービスシステム。
(((13)))
前記携帯端末装置が備えるプロセッサは、前記ユーザからの指示に応じて前記文書ファイルを印刷可能なユーザを前記サービスサーバに登録し、
前記サービスサーバが備えるプロセッサは、前記文書ファイルを印刷可能なユーザが携行する前記携帯端末装置からの印刷の開始の指示に応じて前記画像形成装置に前記文書ファイルの印刷を指示する、
ことを特徴とする(((8)))に記載の印刷サービスシステム。
(((14)))
コンピュータに、
現在位置の遷移から自装置を携行するユーザの移動方向を推定する機能、
印刷対象の文書ファイルを印刷可能な画像形成装置の中から、前記ユーザの移動方向を参照することによって前記ユーザが前記文書ファイルの印刷に使用する画像形成装置を推測する機能、
前記ユーザが前記画像形成装置の設置位置に到着する時点で印刷が終了すると推定される距離まで前記画像形成装置に近付いたときに前記画像形成装置からの前記文書ファイルの印刷の開始を指示する機能、
を実現させるためのプログラム。
【0121】
(((1)))に記載の発明によれば、印刷対象の文書ファイルに対する印刷の開始指示をユーザに出させなくても印刷することができる。
(((2)))に記載の発明によれば、文書ファイルの印刷の開始指示を自動的に行うかどうかをユーザに選択させることができる。
(((3)))に記載の発明によれば、ユーザからの操作指示無しに印刷を指示することができる。
(((4)))に記載の発明によれば、文書ファイルの印刷が開始されることをユーザに知らせることができる。
(((5)))に記載の発明によれば、当初の設定内容とは異なる設定内容に従って文書ファイルの印刷を行うことができる。
(((6)))に記載の発明によれば、ユーザから確認がとれてはじめて文書ファイルの印刷の開始を指示することができる。
(((7)))に記載の発明によれば、ユーザが向かっている先にある画像形成装置を、使用する画像形成装置と推測することができる。
(((8)))に記載の発明によれば、印刷の実行中、他のユーザによる画像形成装置の使用を制限することができる。
(((9)))に記載の発明によれば、印刷の実行中にユーザインタフェースを使用させないようにすることができる。
(((10)))に記載の発明によれば、印刷が実行されている間に、他の機能を使用させることができる。
(((11)))に記載の発明によれば、他のユーザによる印刷物の取り出しを抑制することができる。
(((12)))に記載の発明によれば、画像形成装置を通常通りに使用させることができる。
(((13)))に記載の発明によれば、自分以外の者に文書ファイルを印刷させることができる。
(((14)))に記載の発明によれば、印刷対象の文書ファイルに対する印刷の開始指示をユーザに出させなくても印刷することができる。
【符号の説明】
【0122】
2 店舗、4 ネットワーク、6 出入口、10 店舗管理サーバ、11 ユーザ認証部、12 ユーザ行動解析部、20 複合機、21 サーバ連携部、22 機能実行部、23,43 表示制御部、24 制御部、30 印刷サービスサーバ、31 文書登録要求受信部、32,415 印刷制御部、33,44 記憶部、40 携帯端末装置、41 印刷アプリ実行部、42 測位部、201,401 CPU、202,402 ROM、203,403 RAM、204 HDD(Hard Disk Drive)、205 操作パネル、206 スキャナ、207 プリンタ、208,407 ネットワークインタフェース(IF)、209,408,409,410 通信インタフェース、210 カメラ、404 ストレージ、405 タッチパネル、406 GPS、411 登録要求部、412 ユーザ移動推定部、413 利用店舗推測部、414 開始指示部。
図1
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図8A
図8B
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