(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046921
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】インクジェットインク組成物及び記録方法
(51)【国際特許分類】
C09D 11/322 20140101AFI20240329BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240329BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
C09D11/322
B41J2/01 501
B41M5/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152294
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】郷津 世奈
(72)【発明者】
【氏名】内田 健太
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EA05
2C056FC02
2H186BA10
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2H186FB54
4J039AE04
4J039BC09
4J039BC13
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4J039BC33
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4J039EA46
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4J039GA24
(57)【要約】
【課題】得られる画像の彩度、発色性が良好かつにじみが抑制され、成分の沈降や、記録媒体のカールが低減されるインクジェットインク組成物を提供する。
【解決手段】アゾ系の顔料と、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールと、を含有し、前記アゾ系の顔料の体積平均粒子径D50が110nm以下であり、前記炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールの含有量が、組成物の総質量に対して3.5質量%以下であり、水系のマゼンタインクである、インクジェットインク組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アゾ系の顔料と、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールと、を含有し、
前記アゾ系の顔料の体積平均粒子径D50が110nm以下であり、
前記炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールの含有量が、組成物の総質量に対して3.5質量%以下であり、
水系のマゼンタインクである、インクジェットインク組成物。
【請求項2】
請求項1において、
前記アゾ系の顔料が、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド269及びC.I.ピグメントレッド17から選択される、インクジェットインク組成物。
【請求項3】
請求項1において、
前記アゾ系の顔料が、下記式(I)で表される化学構造を有する、インクジェットインク組成物。
【化1】
(式(I)中、Aは、水素原子又は芳香族基を表す。)
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記アゾ系の顔料の含有量が、組成物の総質量に対して3質量%以上7質量%以下である、インクジェットインク組成物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールの含有量が、組成物の総質量に対して1.5質量%以上3.5質量%以下である、インクジェットインク組成物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記アゾ系の顔料の体積平均粒子径D50が80nm以上110nm以下である、インクジェットインク組成物。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
ベタイン化合物をさらに含む、インクジェットインク組成物。
【請求項8】
請求項7において、
前記ベタイン化合物の含有量が、組成物の総質量に対して4質量%以上6質量%以下である、インクジェットインク組成物。
【請求項9】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
吸収性記録媒体への記録に用いられる、インクジェットインク組成物。
【請求項10】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物を用いて行う記録方法であって、
前記インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させるインク付着工程、を含む、記録方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記記録媒体が、吸収性記録媒体である、記録方法。
【請求項12】
請求項10において、
前記インク付着工程における前記記録媒体へのインクジェットインク組成物の付着量が、6mg/inch2以下である、記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットインク組成物及び記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
幅広い分野でインクジェット記録が行われている。インクジェット記録は、ビジネス用途にも盛んに採用されている。ビジネス文書においては、例えば捺印部分の赤色の視認性向上のために、記録物における赤の彩度や発色性の高い画像の印刷が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、C.I.ピグメントバイオレット19及びC.I.ピグメントレッド202を含む固溶体を含むキナクリドン顔料と、C.I.ピグメントレッド150を含むアゾ顔料と、を含むインクジェット記録用水性インクが開示されている。同文献には、当該インクのマゼンタ~レッドにかけての彩度(a*-b*平面方向への色域)を広げつつ、記録濃度(L*-C*方向への色域)が高い旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記録物における赤の発色性向上のためにはアゾ系マゼンタ顔料を使用する場合において、発色性が未だ十分ではないことや、滲みの発生や、記録媒体のカールの発生や、インクに含む顔料の分散安定性が劣る問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインクジェットインク組成物の一態様は、
アゾ系の顔料と、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールと、を含有し、
前記アゾ系の顔料の体積平均粒子径D50が110nm以下であり、
前記炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールの含有量が、組成物の総質量に対して3.5質量%以下であり、
水系のマゼンタインクである。
【0007】
本発明に係る記録方法の一態様は、
上述のインクジェットインク組成物を用いて行う記録方法であって、
前記インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させるインク付着工程、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】記録方法で使用可能な記録装置の1例の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0010】
1.インクジェットインク組成物
本実施形態のインクジェットインク組成物は、アゾ系の顔料と、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールと、を含有し、前記アゾ系の顔料の体積平均粒子径D50が110nm以下であり、前記炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールの含有量が、組成物の総質量に対して3.5質量%以下であり、水系のマゼンタインクである。
【0011】
記録物における赤の発色性向上のために、アゾ系マゼンタ顔料を使用したとしても、記録媒体へのインクの浸透性(特に横方向への広がり性)が劣ると、記録媒体の表面がインクで全て覆われていない状態が生じ、白抜けとなることがあった。そして、白抜けが生じると、画像の彩度も低下する傾向があり、アゾ系顔料の性能を十分に発現させることは難しかった。また画像の滲みの発生の問題もあった。
【0012】
また、アゾ系マゼンタ顔料を使用し、さらに、インクの打ち込み量(付着量)を増やしたり、顔料の粒径として大きなものを使用するといった手法によりインクの発色性をより高めることが考えられる。
【0013】
しかし、記録媒体へのインクの打ち込み量を多くすることにより、画像の彩度の向上や白抜けの防止は、ある程度期待できるが、インクの打ち込み量が多くなると、記録媒体のカールが発生する懸念がある。また、顔料の粒子径を大きくするとインクの分散安定性が低下して、印字ムラに繋がる懸念がある。
【0014】
さらに他方、インクの打ち込み量を少なくすると、インクの消費量が少なくなるので、プリンターのインク容器やタンクにおいて、インクがより長い期間保持されることとなる。そのため、インク中の顔料などの成分の沈降が発生しやすくなることも懸念される。
【0015】
このような事情から、得られる画像の彩度や発色性が良好で、かつインクの顔料成分の沈降や、記録媒体のカール発生が低減されるインクジェットインク組成物が要求される。
【0016】
1.1.アゾ系の顔料
本実施形態のインクジェットインク組成物は、アゾ系の顔料を含む。アゾ系の顔料としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、縮合ジスアゾ顔料、ベンツイミダゾロン顔料等を挙げることができる。
【0017】
アゾ系の顔料としては、アゾ顔料であって、インクジェットインク組成物をマゼンタインクとして成立させることができる顔料を用いることができる。アゾ系の顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269、及びそれらの固溶体を挙げることができる。
【0018】
アゾ系の顔料を、上記例のうち、特に、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド269及びC.I.ピグメントレッド17、及びそれらの固溶体から選択することにより、より優れた発色性の画像を得ることができ好ましい。
【0019】
また、アゾ系の顔料の例として、下記式(I)で表される化学構造を有する顔料を挙げることができ好ましい。
【0020】
【0021】
(式(I)中、Aは、水素原子又は芳香族基を表す。)
【0022】
ここで、芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環を有する基であって、当該芳香環は、置換、未置換であることができる。また、芳香環は、芳香族基が結合する窒素原子に直接結合する。さらに、芳香環が置換基を有する場合の当該置換基は、特に限定されず、例えば、有機基や無機基であり、置換基の数も任意に選択できる。置換基は、限るものではないが、例えば、アルキル基、ハロ基、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
【0023】
アゾ系の顔料を、上記式(I)で表される化学構造を有する顔料及びその固溶体から選択することにより、さらに優れた発色性の画像を得ることができる。
【0024】
アゾ系の顔料は、後述する樹脂で分散した樹脂分散顔料としてもよいし、顔料表面を処理し官能基を導入した自己分散顔料としても良い、樹脂分散顔料が好ましい。
【0025】
アゾ系の顔料の体積平均粒子径D50は、110nm以下である。アゾ系の顔料の体積平均粒子径は、D50は、粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「ナノトラックシリーズ」マイクロトラックベル社製)が挙げられる。体積平均粒子径はD50値とする。
【0026】
アゾ系の顔料の体積平均粒子径は、10nm以上110nm以下が好ましく、50nm以上110nm以下がより好ましく、80nm以上110nm以下がさらに好ましく、80nm以上110nm未満がよりさらに好ましく、80nm以上100nm以下がことさらに好ましい。
【0027】
アゾ系の顔料の体積平均粒子径を上記範囲とすることにより、顔料の分散安定性が良好かつ発色性がより良好であり、保存時の成分の沈降がより抑制される。
【0028】
アゾ系の顔料の体積平均粒子径は、例えば、顔料粒子を粉砕する粉砕工程における、粉砕の程度、例えば粉砕の強さや粉砕時間を調節することで調製すればよい。また、顔料粒子を分散液に分散する分散工程において、攪拌の強さや時間を調節することで調整してもよい。また、粉砕や分散後に、フィルターにより分級することで、顔料の粒子径を調整しても良い。
【0029】
本実施形態のインク組成物は、上述のアゾ系顔料を含有することで、発色性の優れるインクとすることができる。このため、優れた発色性を得るためのインクの付着量を少なくすることができる。このため、インクの消費が少なく、インク収容体でインクが長期間、収容されたままになる傾向がある。このような場合でも、アゾ系の顔料の体積平均粒子径
を上記範囲とすることにより、顔料の分散安定性が良好かつ発色性がより良好であり、保存時の成分の沈降がより抑制される。
【0030】
アゾ系の顔料の含有量は、組成物の総質量に対して1質量%以上が好ましい。さらに好ましくは1~10質量%、好ましくは3質量%以上8質量%以下、より好ましくは3質量%以上7質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上7質量%以下である。さらに好ましくは5質量%以上7質量%以下、より好ましくは5.5質量%以上7質量%以下である。アゾ系の顔料の含有量がこの範囲であると、さらに優れた発色性の画像を得ることができる。
【0031】
1.2. 炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオール
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールを含む。本明細書では、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールを「特定有機溶剤」又は「特定浸透剤」と称することがある。特定有機溶剤は、インクジェットインク組成物の記録媒体への浸透性に寄与することができる。特定有機溶剤は、インクジェットインク組成物が記録媒体に付着した際、特に記録媒体の平面に沿う方向への浸透をより良好にする機能を有する。
【0032】
特定有機溶剤の例としては、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオールが挙げられる。また、特定有機溶剤は、アルカン部分に分岐を有してもよいが、直鎖でることがより好ましい。
【0033】
本実施形態に係るインクジェットインク組成物における、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールの含有量は、組成物の総質量に対して3.5質量%以下である。炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールの含有量がこの範囲であることにより、記録媒体上でのドットの横広がり性を高くでき、上記顔料の彩度や発色性の良さを充分に発揮でき、彩度や、白抜けの抑制に優れた画像が得られる。
【0034】
インクジェットインク組成物における炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオール(特定有機溶剤)の含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.5質量%以上3.5質量%以下である。さらに好ましくは1.0質量%以上3.5質量%以下、より好ましくは1.3質量%以上3.5質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上3.0質量%以下、特に好ましくは1.7質量%以上2.5質量%以下である。
【0035】
特定有機溶剤の含有量がこの範囲であれば、記録媒体上でのインクジェットインク組成物の広がりがより適切となり、画像の彩度や、白抜けの抑制に優れ、かつ、画像中のブリード(滲み)や混色がより発生しにくい。なお特定有機溶剤の含有量がこの範囲を超えると、画像において、隣接するインク滴同士が寄り集まることを促進してしまい、滲みや混色が発生する場合がある。
【0036】
1.3.水
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、水系のマゼンタインクである。水系とは主要な溶媒成分の1つとして水を含有する組成物である。このようにすれば、環境負荷を低減した、臭気等の少ない記録を行うことができる。
【0037】
水は、インクジェットインク組成物の主となる溶媒成分として含まれ、乾燥により蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、インクジェットインク組成物を
長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好適である。水の含有量はインクジェットインク組成物の総量に対して好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上98質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以上95質量%以下である。さらには65質量%以上90質量%以下が好ましく、70質量%以上85質量%以下がより好ましい。水の含有量が上記範囲以上の場合、インクの乾燥性が優れ、記録物の画像がこすれて汚れてしまうことを防止でき好ましい。反面、記録物のカールが発生しやすい傾向があるが、本実施形態のインクは、発色性が優れるため、インク付着量を少なくすることができ、カールの発生を抑制でき有用である。水の含有量が上記範囲以下の場合、カールの発生が少なく好ましい。
【0038】
1.4.その他の成分
1.4.1.ベタイン化合物
本実施形態のインクジェットインク組成物は、ベタイン化合物をさらに含有してもよい。ベタイン化合物としては、特に制限されないが、例えば、ジメチルグリシン、ジメチルアラニン、ジメチルグルタミン酸、及びジエチルグリシンなどの3級ベタイン;トリメチルグリシン、トリメチルアラニン、トリメチルグルタミン酸、及びトリエチルグリシンなどの4級ベタインが挙げられる。このなかでも、4級ベタインが好ましく、トリメチルグリシンがより好ましい。このようなベタインを用いることにより、記録媒体のカールを抑制する効果が高まる。カールの抑制効果は、特に二次カール(永久カール)において顕著である。なお、ベタインは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
なおベタイン化合物を含有させると、記録媒体の一次カール(インク付着して直ちに発生するカール)も抑制しやすいが、一次カールの発生により、排紙してトレイに積あげた紙がきれいに収まらず、トレイから飛び出してしまうスタック性の観点では、インク付着量を少なくすることのほうがより効果的である。
【0040】
インクジェットインク組成物にベタイン化合物を含有させる場合、その含有量は、組成物の総質量に対して1質量%以上15質量%以下が好ましい。さらには2質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上8質量%以下がより好ましく、4質量%以上6質量%以下がさらに好ましい。ベタイン化合物の含有量がこのような範囲であると、記録媒体の二次カールを抑制する効果がさらに優れたものとなる。
【0041】
1.4.2.その他の有機溶剤
インクジェットインク組成物は、その他の有機溶剤を含有してもよい。そのような有機溶剤は水溶性を有することが好ましい。有機溶剤の機能の一つは、記録媒体に対するインクジェットインク組成物の濡れ性を向上させることや、インクジェットインク組成物の保湿性を高めることが挙げられる。
【0042】
有機溶剤としては、エステル類、アルキレングリコールエーテル類、環状エステル類、含窒素溶剤、多価アルコール等を挙げることができる。含窒素溶剤としては環状アミド類、非環状アミド類などを挙げることができる。非環状アミド類としてはアルコキシアルキルアミド類などが挙げられる。
【0043】
エステル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート等のグリコールジエステル類が挙げられる。
【0044】
アルキレングリコールエーテル類としては、アルキレングリコールのモノエーテル又はジエーテルであればよく、アルキルエーテルが好ましい。具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、及び、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類が挙げられる。
【0045】
環状エステル類としては、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-ブチロラクトン等の環状エステル類(ラクトン類)、並びに、それらのカルボニル基に隣接するメチレン基の水素が炭素数1~4のアルキル基によって置換された化合物を挙げることができる。
【0046】
アルコキシアルキルアミド類としては、例えば、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド等を例示することができる。
【0047】
環状アミド類としては、ラクタム類が挙げられ、例えば、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-プロピル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン、等のピロリドン類などが挙げられる。これらは凝集剤の溶解性や、後述する樹脂粒子の皮膜化を促進させる点で好ましく、特に2-ピロリドンがより好ましい。
【0048】
また、アルコキシアルキルアミド類として、下記一般式(1)で表される化合物を用いることも好ましい。
【0049】
R1-O-CH2CH2-(C=O)-NR2R3 ・・・(1)
【0050】
上記式(1)中、R1は、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、R2及びR3は、それぞれ独立にメチル基又はエチル基を示す。「炭素数1以上4以下のアルキル基」は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基であることができる。上記式(1)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0051】
含窒素溶剤の機能としては、例えば、低吸収性記録媒体上に付着させた白色インク組成物の表面乾燥性及び定着性を高めることが挙げられる。特に、上記式(1)で表される化合物は、塩化ビニル系樹脂を適度に軟化・溶解する作用に優れている。そのため、上記式(1)で表される化合物は、塩化ビニル系樹脂を含有する被記録面を軟化・溶解して、低吸収性記録媒体の内部に白色インク組成物を浸透させることができる。このように白色インク組成物が低吸収性記録媒体に浸透することで、白色インク組成物が強固に定着し、かつ、白色インク組成物の表面が乾燥しやすくなる。したがって、得られる画像は、表面乾燥性及び定着性に優れたものとなりやすい。
【0052】
含窒素溶剤の含有量は、白色インク組成物の全質量に対して、特に限定されないが、5質量%以上50質量%以下程度であり、10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。含有量が上記範囲にあることで、画像の定着性及び表面乾燥性(特に高温多湿環境下で記録された場合の表面乾燥性)を一層向上できる場合がある。
【0053】
多価アルコールとしては、1,2-アルカンジオールを除く多価アルコール(ポリオール類)(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール(別名:1,3-ブチレングリコール)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等)等が挙げられる。
【0054】
ポリオール類は炭素数4以下のアルカンのポリオールか、炭素数4以下のアルカンのポリオールの水酸基同士の分子間縮合物である。アルカンの炭素数は好ましくは2~3である。ポリオール類の分子中の水酸基数は2以上であり、好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下である。ポリオール類が上記の分子間縮合物である場合、分子間縮合数は2以上であり、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。多価アルコール類は、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。
【0055】
インクジェットインク組成物がその他の有機溶剤を含む場合、その他の有機溶剤を一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。また、その他の有機溶剤の、インクジェットインク組成物全質量に対する合計の含有量は、例えば、5質量%以上50質量%以下であり、10質量%以上45質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましく、20質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。有機溶剤の含有量が上記範囲内にあることで、濡れ拡がり性と乾燥性のバランスがさらによく、さらに高画質な画像を形成しやすい。
【0056】
インクジェットインク組成物が含有する、前述の特定有機溶剤を含めた全有機溶剤の含有量を、上記範囲としても良く好ましい。
【0057】
1.4.3.界面活性剤
インクジェットインク組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、インクジェットインク組成物の表面張力を調節し、例えば記録媒体との濡れ性等を調整する機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0058】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG-50、104S、420、440、465、485、SE、SE-F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、エア・プロダクツ&ケミカルズ社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD-001、PD-002W、PD-003、PD-004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF-103、AF-104、AK-02、SK-14、AE-3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
【0059】
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン社製)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017(以上商品名、信越化学工業社製)、シルフェイスSAG002、005、503A、008(以上商品名、日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0060】
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK-3440(ビックケミー・ジャパン社製)、サーフロンS-241、S-242、S-243(以上商品名、AGCセイミケミカル社製)、フタージェント215M(ネオス社製)等が挙げられる。
【0061】
インクジェットインク組成物に界面活性剤を含有させる場合には、複数種を含有させてもよい。インクジェットインク組成物に界面活性剤を含有させる場合の含有量は、インクジェットインク組成物の全質量に対して、0.1質量%以上2質量%以下、好ましくは0.4質量%以上1.5質量%以下、より好ましくは、0.5質量%以上1.0質量%以下とすることができる。
【0062】
1.4.4.樹脂類
インクジェットインク組成物は、樹脂分散剤や樹脂粒子等の樹脂類を含有してもよい。
(樹脂分散剤)
アゾ系の顔料は、分散媒中に安定的に分散できることが好適であり、そのために分散剤を使用して分散させてもよい。分散剤としては、樹脂分散剤が挙げられ、アゾ系の顔料の分散安定性を良好とできるものから選択される。
【0063】
樹脂分散剤(分散剤樹脂)としては、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸-アクリルニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-(メタ)アクリル酸共重合体等の(メタ)アクリル系樹脂及びその塩;スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体等のスチレン系樹脂及びその塩;イソシアネート基とヒドロキシル基とが反応したウレタン結合を含む高分子化合物(樹脂)であって直鎖状及び/又は分岐状であってもよく、架橋構造の有無を問わないウレタン系樹脂及びその塩;ポリビニルアルコール類;ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体及びその塩;酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体及びその塩;並びに;酢酸ビニル-クロトン酸共重合体及びその塩等の水溶性樹脂を挙げることができる。これらの中でも、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
【0064】
スチレン系樹脂分散剤の市販品としては、例えば、X-200、X-1、X-205、
X-220、X-228(星光PMC社製)、ノプコスパース(登録商標)6100、6110(サンノプコ株式会社製)、ジョンクリル67、586、611、678、680、682、819(BASF社製)、DISPERBYK-190(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、N-EA137、N-EA157、N-EA167、N-EA177、N-EA197D、N-EA207D、E-EN10(第一工業製薬製)等が挙げられる。
【0065】
また、アクリル系樹脂分散剤の市販品としては、BYK-187、BYK-190、BYK-191、BYK-194N、BYK-199(ビックケミー株式会社製)、アロンA-210、A6114、AS-1100、AS-1800、A-30SL、A-7250、CL-2東亜合成株式会社製)等が挙げられる。
【0066】
さらに、ウレタン系樹脂分散剤の市販品としては、BYK-182、BYK-183、BYK-184、BYK-185(ビックケミー株式会社製)、TEGO Disperse710(Evonic Tego Chemi社製)、Borchi(登録商標)Gen1350(OMG Borschers社製)等が挙げられる。
【0067】
樹脂分散剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。分散剤の合計の含有量は、顔料50質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上25質量部以下、さらにより好ましくは1質量部以上20質量部以下、よりさらに好ましくは1.5質量部以上15質量部以下である。分散剤の含有量が顔料50質量部に対して0.1質量部以上であることにより、顔料の分散安定性をさらに高めることができる。また、分散剤の含有量が顔料50質量部に対して30質量部以下であれば、得られる分散体の粘度を小さく抑えることができる。
【0068】
上記例示した分散剤のなかでも、アニオン性の分散剤樹脂から選択される少なくとも一種であることがさらに好ましい。またこの場合、分散剤の重量平均分子量は、500以上であることがさらに好ましい。さらには5000以上100000以下が好ましく、10000以上50000以下がより好ましい。
【0069】
(樹脂粒子)
インクジェットインク組成物は、樹脂粒子を含有してもよい。樹脂粒子は、記録媒体に付着させたインクジェットインク組成物による画像の密着性などをさらに向上させることができる。
【0070】
樹脂粒子としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂(スチレンアクリル系樹脂を含む)、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等からなる樹脂粒子が挙げられる。なかでも、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオフレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。これらの樹脂粒子は、エマルジョン形態で取り扱われることが多いが、粉体の性状であってもよい。また、樹脂粒子は1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0071】
ウレタン系樹脂とは、ウレタン結合を有する樹脂の総称である。ウレタン系樹脂には、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂等を使用してもよい。また、ウレタン系樹脂として、市販品を用いてもよく、例えば、スーパーフレックス 420、460、460s、840、E-4000(商品名、第一工業製薬株式会社製)、レザミン D-1060、D-2020、
D-4080、D-4200、D-6300、D-6455(商品名、大日精化工業株式会社製)、タケラック WS-6021、W-512-A-6(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)、サンキュアー2710(商品名、LUBRIZOL社製)、パーマリンUA-150(商品名、三洋化成工業社製)などの市販品を用いてもよい。
【0072】
アクリル系樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系単量体を1成分として重合して得られる重合体の総称であって、例えば、アクリル系単量体から得られる樹脂や、アクリル系単量体とこれ以外の単量体との共重合体などが挙げられる。例えばアクリル系単量体とビニル系単量体との共重合体であるアクリル-ビニル系樹脂などが挙げられる。また例えば、ビニル系単量体としては、スチレンなどが挙げられる。
【0073】
アクリル系単量体としてはアクリルアミド、アクリロニトリル等も使用可能である。アクリル系樹脂を原料とする樹脂エマルジョンには、市販品を用いてもよく、例えばFK-854(商品名、中央理科工業社製)、モビニール952B、718A(商品名、日本合成化学工業社製)、NipolLX852、LX874(商品名、日本ゼオン社製)等の中から選択して用いてもよい。
【0074】
なお、本明細書において、アクリル系樹脂は、後述するスチレン・アクリル系樹脂であってもよい。また、本明細書において、(メタ)アクリルとの表記は、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
【0075】
スチレン・アクリル系樹脂は、スチレン単量体と(メタ)アクリル系単量体とから得られる共重合体であり、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。スチレン・アクリル系樹脂には、市販品を用いても良く、例えば、ジョンクリル62J、7100、390、678、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC-1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX-7630A、352J、352D、PDX-7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(商品名、BASF社製)、モビニール966A、975N(商品名、日本合成化学工業社製)、ビニブラン2586(日信化学工業社製)等を用いてもよい。
【0076】
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。オレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えばアローベースCB-1200、CD-1200(商品名、ユニチカ株式会社製)等を用いてもよい。
【0077】
また、樹脂粒子は、エマルジョンの形態で供給されてもよく、そのような樹脂エマルジョンの市販品の例としては、マイクロジェルE-1002、E-5002(日本ペイント社製商品名、スチレン-アクリル系樹脂エマルジョン)、ボンコート4001(DIC社製商品名、アクリル系樹脂エマルジョン)、ボンコート5454(DIC社製商品名、スチレン-アクリル系樹脂エマルジョン)、ポリゾールAM-710、AM-920、AM-2300、AP-4735、AT-860、PSASE-4210E(アクリル系樹脂エマルジョン)、ポリゾールAP-7020(スチレン・アクリル樹脂エマルジョン)、ポリゾールSH-502(酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ポリゾールAD-13、AD-2、AD-10、AD-96、AD-17、AD-70(エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ポリゾールPSASE-6010(エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)(昭和電工社製商品名)、ポリゾールSAE1014(商品名、スチレン-アクリル
系樹脂エマルジョン、日本ゼオン社製)、サイビノールSK-200(商品名、アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学社製)、AE-120A(JSR社製商品名、アクリル樹脂エマルジョン)、AE373D(イーテック社製商品名、カルボキシ変性スチレン・アクリル樹脂エマルジョン)、セイカダイン1900W(大日精化工業社製商品名、エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ビニブラン2682(アクリル樹脂エマルジョン)、ビニブラン2886(酢酸ビニル・アクリル樹脂エマルジョン)、ビニブラン5202(酢酸アクリル樹脂エマルジョン)(日信化学工業社製商品名)、エリーテルKA-5071S、KT-8803、KT-9204、KT-8701、KT-8904、KT-0507(ユニチカ社製商品名、ポリエステル樹脂エマルジョン)、ハイテックSN-2002(東邦化学社製商品名、ポリエステル樹脂エマルジョン)、タケラックW-6020、W-635、W-6061、W-605、W-635、W-6021(三井化学ポリウレタン社製商品名、ウレタン系樹脂エマルジョン)、スーパーフレックス420、870、800、150、420、460、470、610、700(第一工業製薬社製商品名、ウレタン系樹脂エマルジョン)、パーマリンUA-150(三洋化成工業株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、サンキュアー2710(日本ルーブリゾール社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、NeoRez R-9660、R-9637、R-940(楠本化成株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、アデカボンタイター HUX-380,290K(株式会社ADEKA製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、モビニール966A、モビニール7320(日本合成化学株式会社製)、ジョンクリル7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC-1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX-7630A、352J、352D、PDX-7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(以上、BASF社製)、NKバインダーR-5HN(新中村化学工業株式会社製)、ハイドランWLS-210(非架橋性ポリウレタン:DIC株式会社製)、ジョンクリル7610(BASF社製)等の中から選択して用いてもよい。
【0078】
樹脂粒子の体積平均粒子径は、10nm以上300nm以下が好ましく、30nm以上300nm以下がより好ましく、30nm以上250nm以下がさらに好ましく、40nm以上220nm以下が特に好ましい。体積平均粒子径は、前述の方法で測定することができる。
【0079】
インクジェットインク組成物に樹脂粒子を含有させる場合の含有量は、インクジェットインク組成物の全質量に対して、固形分として、0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは1質量%以上15質量%以下、より好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
【0080】
1.4.5.添加剤
インクジェットインク組成物は、添加剤として、尿素類、アミン類、糖類等を含有してもよい。尿素類としては、尿素、エチレン尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等、及び、ベタイン類(トリメチルグリシン、トリエチルグリシン、トリプロピルグリシン、トリイソプロピルグリシン、N,N,N-トリメチルアラニン、N,N,N-トリエチルアラニン、N,N,N-トリイソプロピルアラニン、N,N,N-トリメチルメチルアラニン、カルニチン、アセチルカルニチン等)等が挙げられる。
【0081】
アミン類としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。尿素類やアミン類は、pH調整剤あるいはアルカリ剤として機能させてもよい。
【0082】
糖類としては、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、及びマルトトリオース等が挙げられる。
【0083】
さらに、本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、必要に応じて、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防黴剤、ワックス等の成分を含有してもよい。また、本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、後述する効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、アゾ系の顔料以外の色材を含有してもよい。
【0084】
1.5.用途等
本実施形態のインクジェットインク組成物を付着させる記録媒体としては、以下のようなものが挙げられる。記録媒体は、インクを吸収する記録面を有するものであっても有しないものであってもよい。したがって記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、紙、フィルム、布等の液体吸収性記録媒体、印刷本紙などの液体低吸収性記録媒体、金属、ガラス、高分子等の液体非吸収性記録媒体などが挙げられる。
【0085】
液体低吸収性又は液体非吸収性の記録媒体とは、インクを全く吸収しない、又はほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には、液体非吸収性又は液体低吸収性の記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体」を指す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙-液体吸収性試験方法-ブリストー法」に述べられている。これに対して、液体吸収性の記録媒体とは、液体非吸収性及び液体低吸収性に該当しない記録媒体のことを示す。なお、本明細書では、液体低吸収性及び液体非吸収性を、単に低吸収性及び非吸収性と称することがある。
【0086】
液体非吸収性の記録媒体としては、例えば、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているもの、紙等の基材上にプラスチックフィルムが接着されているもの、吸収層(受容層)を有していないプラスチックフィルム等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0087】
また、液体低吸収性の記録媒体としては、例えば、表面に液体低吸収性の塗工層が設けられた記録媒体が挙げられる。例えば塗工紙と呼ばれるものである。例えば、基材が紙であるものとしては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられ、基材がプラスチックフィルムである場合には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の表面に、ポリマー等が塗工されたもの、シリカ、チタン等の粒子がバインダーとともに塗工されたものが挙げられる。
【0088】
記録媒体としては、液体吸収性の記録媒体も用いることができる。液体吸収性の記録媒体は、上述の「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2超である記録媒体」を指す。
【0089】
液体吸収性の記録媒体としては、記録媒体の表面に液体を吸収する受容層が設けられていることによって液体吸収性の記録媒体になっているものが挙げられる。例えば、インクジェット用紙(インクジェット専用紙)などが挙げられる。液体を吸収する受容層として
は、液体吸収性の樹脂、液体吸収性の無機微粒子などから構成された層が挙げられる。
【0090】
液体吸収性の記録媒体としては、記録媒体の基材そのものが液体吸収性である記録媒体も挙げられる。例えば、繊維からなる布帛、パルプを成分とする紙などが挙げられる。紙としては、普通紙、厚紙、ライナー紙などが挙げられる。ライナー紙は、クラフトパルプ、古紙などの紙から構成されるものが挙げられる。
【0091】
本実施形態のインクジェットインク組成物は、吸収性記録媒体への記録に用いられることにより、より優れた効果を奏することができる。すなわち、普通紙など、カールやインクの浸透が生じやすい吸収性記録媒体を用いても、得られる画像の彩度、発色性が良好かつにじみが抑制され、成分の沈降や、記録媒体のカールの低減ができるので、より顕著な効果が発現することとなる。
【0092】
1.6.調製及び物性
インクジェットインク組成物は、前述した成分を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
【0093】
インクジェットインク組成物は、記録媒体にインクジェット法により付着される。そのため、インクジェットインク組成物の粘度は、20℃において、1.5mPa・s以上15mPa・s以下とすることが好ましく、1.5mPa・s以上7mPa・s以下とすることがより好ましく、1.5mPa・s以上5.5mPa・s以下とすることがより好ましい。インクジェットインク組成物の粘度がこの範囲であれば、インクジェット法によって記録媒体に付着される場合、より容易に所定の画像を効率的に記録媒体に形成することができる。
【0094】
インクジェットインク組成物は、記録媒体への濡れ拡がり性を適切なものとする観点から、25℃における表面張力は、40mN/m以下、好ましくは38mN/m以下、より好ましくは35mN/m以下、さらに好ましくは30mN/m以下であることが好ましい。また、表面張力は、20mN/m以上がこのましく、25mN/m以上がより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP-Z(協和界面科学社製)を用いて、25℃の環境下で白金プレートを組成物で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
【0095】
1.7.メカニズム及び効果等
本実施形態のインクジェットインク組成物によれば、得られる画像の彩度、発色性が良好かつにじみが抑制され、成分の沈降や、記録媒体のカールが低減される。このインク組成物によれば、アゾ系の顔料を用いることにより、マゼンタインクの色が得られ、その上、より彩度の高い赤、レッド色の色再現性の高い赤、より発色性の高い赤の画像を記録することができる。
【0096】
本実施形態のインクジェットインク組成物は、マゼンタインクである。マゼンタインクは、通常、シアンインク、イエローインク、及び必要に応じてブラックインクと共にインクセットとして記録に用いられるインクを意味する。特に限定されないが、例えば、市販のインクにおいて、一般的にマゼンタインクという名称が付されるインクや、マゼンタインクであることが想起されるインク全般を含む。
【0097】
本実施形態のマゼンタインクは、例えば、白色のIJ用記録媒体(例えばセイコーエプ
ソン製 写真用紙(光沢))に対して、記録媒体の表面全体にインク組成物が付着して記録媒体の地が残っていないような最少の付着量によりインク組成物を付着させた画像に対して、CIEに準ずるCIELAV表色系で、D50光源、視野角2°で測色したときに、色相角ΔH°が330~360であることが好ましい。上記測定に用いる測色機としては、特に限定されないが、例えば、GretagMacbeth製Spectrolino等が挙げられる。
【0098】
赤系統の色の発色性や彩度を向上させる場合に、レッドインクなどの特色インクを追加するインクセットも考えられるが、この場合、プリンターが大型化し、設置場所に鑑み好ましくない場合がある。この点で、レッドインク等の特色インクを追加するよりも、マゼンタインクの彩度や発色性を向上させることが好ましい。そのため、より赤色の彩度や発色性が優れるマゼンタインクが有用である。
【0099】
本実施形態のマゼンタインクは、該マゼンタインクと、上述のシアンインク、イエローインク、及び必要に応じてブラックインクと共にインクセットを構成してもよい。
【0100】
本実施形態のインク組成物によれば、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールを総質量に対して3.5質量%以下含むことにより、記録媒体上でのドットの横広がり性を高くでき、上記顔料の彩度や発色性の良さを充分に発揮でき、彩度や、白抜けの抑制に優れた画像が得られる。
【0101】
さらに、上記顔料と特定の浸透溶剤を用いることにより、インクの付着量を増やすことなく、彩度や白抜けの抑制が良好であるので、記録媒体のカールを抑制する点においても優れる。また、インクの消費を少なくでき、印刷コストを低減できる。
【0102】
さらに、顔料の平均粒子径が110nm以下であることにより、インクの消費が少なく、カートリッジやタンク中にインクが長時間保持される場合であっても、インク成分の沈降を低減でき、得られる画像の濃度変動を抑制できる。また、アゾ系の顔料を採用しているので、彩度や発色性に優れ、顔料の平均粒子径を小さくしても十分に彩度や発色性の良好な画像を得ることができる。
【0103】
2.記録方法
2.1.インク付着工程
本実施形態に係る記録方法は、上述のインクジェットインク組成物を用いて行う記録方法であって、インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させるインク付着工程、を含む。
【0104】
インク付着工程は、インクジェットヘッドを記録媒体に対して走査しながらインクジェットインク組成物を付着させる態様であれば、どのような方式で行われてもよい。例えば、インクジェットヘッドをインクジェットヘッドとし、インクジェットヘッドからインクジェットインク組成物を吐出することにより行うことができ、好ましい。このようにすれば、小型の装置で少量多種類の印刷を効率よく行うことができる。また、インクジェット記録装置は、シリアル型であってもライン型であってもよい。
【0105】
インク付着工程におけるインクジェットインク組成物の付着量は、6.0mg/inch2以下が好ましい。さらには、5.5mg/inch2以下が好ましく、5.0mg/inch2以下であることがより好ましい。このようにすれば、記録媒体のカールの低減効果をより顕著に発現できるとともに発色性のよい画像を得ることができる。
【0106】
また、下限は、1.0mg/inch2以上が好ましく、2.0mg/inch2以上
がより好ましく、2.5mg/inch2以上がさらに好ましい。さらには3.0mg/inch2以上が好ましく、3.7mg/inch2以上がさらに好ましく、4.0mg/inch2以上がよりこの好ましい。
【0107】
上記の付着量は、記録方法における最大の付着量としても良く好ましい。つまり記録方法において、記録する画像中の場所によって付着量が異なる場所がある場合に、付着量が最も多い場所における付着量を上記付着量の範囲としてもよい。
【0108】
本実施形態のインク組成物は、上述のアゾ系顔料を含有することで、発色性の優れるインクとすることができる。このため、優れた発色性を得るためのインクの付着量を少なくすることができる。このため、インクの付着量を上記範囲以下とすることができ好ましい。
【0109】
2.2.その他の工程
本実施形態の記録方法は、記録媒体に付着したインクジェットインク組成物を乾燥させる乾燥工程(一次加熱工程)や、記録媒体を加熱する工程(後加熱工程)等を備えてもよい。
【0110】
2.3. 記録装置
上記本実施形態の記録方法に用いることができる記録装置は、インクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドに上記インクジェットインク組成物を供給する供給経路と、を有し、上記インク組成物を上記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に画像を形成することができるものであれば、特に限定されない。上記供給経路を構成する部分としては、特に限定されないが、例えば、インク収容体、及びその他の部分を含む。
【0111】
図1は、本実施形態で用いることができる記録装置の1例の概略斜視図である。記録装置であるプリンター1は、インクジェットヘッド3と、インクジェットヘッド3を搭載するとともにインク収容体であるインクタンク7a~7dを着脱可能に装着するキャリッジ4と、キャリッジ4を媒体幅方向に往復移動させる主走査機構5と、記録媒体2を記録媒体送り方向にあるプラテンに移送するプラテンローラー6と、を有する。また、プリンター1は、当該プリンター1全体の動作を制御する制御部(図示せず)を有している。なお、媒体幅方向とは、主走査方向(ヘッド走査方向)であり、媒体送り方向とは、副走査方向(主走査方向に直交する方向)である。
【0112】
主走査機構5は、キャリッジ4に接続されたタイミングベルト8と、タイミングベルト8を駆動するモーター9と、主走査方向に架設された支持部材であるガイド軸10と、を備える。キャリッジ4は、タイミングベルト8を介してモーター9によって駆動して、ガイド軸10に沿って主走査方向に往復移動するものである。
【0113】
図1の例では、インクタンク7a~7dは、独立した4つのインクタンクからなる。インクタンク7a~7dには、例えば、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの顔料を含有するインクジェットインク組成物がそれぞれ収容されている。
図1の例では、インクタンクの数が4つであるが、これに限定されず、所望の数のインクタンクを搭載することができる。インクタンク7a~7dの底部にあるインクタンク内のインクを導出するための導出部(図示せず)から、インクジェットヘッド3へ、インクが供給される。
【0114】
インクジェットヘッド3は、供給されたインクジェットインク組成物をインクジェットヘッド内に流通させる流路(図示せず)と、該流路に接続されインクを吐出するノズル(図示せず)と、を備える。インクタンクの導出部と、インクジェットヘッドの間は、例えばインク供給路により接続され、インクタンクからインクジェットヘッドにインク組成物
が供給される。インクタンクは、
図1では、キャリッジに配置されているが、これに限らず、キャリッジ以外の場所に配置されていてもよい。その場合も、インクタンクの導出部とインクジェットヘッドとの間は、インク供給路により接続されている。インク供給路は、2つの部品間を接続し、インク供給路の中をインクが通ることができ、2つの部品間でインクが供給されるものであればよく、例えばインクチューブなどである。
【0115】
インク収容体は、例えば、上記のインクタンクである。インクタンクは、例えば、インクカートリッジ等が挙げられる。インクカートリッジは、インクジェット記録装置に着脱することが可能な部品であり、インクパックなどであってもよい。
【0116】
インク収容体のインク容量は、例えば、50~1000gが好ましく、100~700gがより好ましく、150~500gがさらに好ましい。さらには160~250gが好ましい。インク容量が上記範囲以上の場合、1つのインク収容体のインクで記録可能な記録量を多くでき好ましい。インク容量が上記範囲以下の場合、インクの成分の沈降を少なくでき好ましい。
【0117】
インク容量は、インク収容体の使用開始時点のインク容量、つまり初期のインク容量である。
【0118】
その他の部分としては、特に限定されないが、例えば、インク供給路、フィルター、及び弁等が挙げられる。インク供給路の途中に中継タンクがあってもよい。
【0119】
また、本実施形態の記録装置としては、シリアル型およびライン型のいずれでも使用することができる。これらの型の記録装置には、インクジェットヘッドが搭載されており、記録媒体とインクジェットヘッドとの相対的な位置関係を変化させながら、インクジェットヘッドのノズル孔からインク組成物の液滴を所定のタイミングで(間欠的に)かつ所定の体積(質量)で吐出させ、記録媒体にインク組成物を付着させて所定の画像を形成することができる。
【0120】
ここで一般に、シリアル型の記録装置では、記録媒体の搬送方向と、インクジェットヘッドの往復動作の方向が交差しており、インクジェットヘッドの往復動作と記録媒体の搬送動作(往復動作も含む)との組み合わせによって、記録媒体とインクジェットヘッドとの相対的な位置関係を変化させる。またこの場合、一般的には、インクジェットヘッドには複数のノズル孔(インク組成物を吐出する孔)が配置され、記録媒体の搬送方向に沿ってノズル孔の列(ノズル列)が形成されている。また、インクジェットヘッドには、インク組成物の種類や数に応じて、複数のノズル列が形成される場合もある。
【0121】
また、一般に、ライン型の記録装置では、インクジェットヘッドは往復動作を行わず、記録媒体の搬送によって記録媒体とインクジェットヘッドとの相対的な位置関係を変化させて、記録媒体とインクジェットヘッドとの相対的な位置関係を変化させる。この場合においても、一般的には、インクジェットヘッドには、ノズル孔が複数配置され、記録媒体の搬送方向に交差する方向に沿って該ノズル孔の列(ノズル列)が形成されている。
【0122】
インクジェット記録装置における記録方式は、上述したようなシリアル型またはライン型の記録装置を用いるものであるが、方式としては、インク組成物を微細なノズル孔より液滴として吐出して該液滴を記録媒体に付着させることができれば、特に制限されない。例えば、インクジェット記録方式としては、静電吸引方式、ポンプ圧力によりインク滴を噴射させる方式、圧電素子を用いる方式、インク液を微小電極で加熱発泡させインク滴を噴射させる方式、等を挙げることができる。
【0123】
なお、本実施形態で用いられる記録装置には、特に限定されないが、例えば、加熱ユニット、乾燥ユニット、ロールユニット、巻き取り装置等の公知の構成を制限無く採用することができる。
【0124】
2.4.作用効果
本実施形態の記録方法によれば、得られる画像の彩度、発色性が良好かつにじみが抑制され、成分の沈降や、記録媒体のカールが低減された記録物を得ることができる。
【0125】
3.実施例及び比較例
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、「部」「%」は、特に記載のない限り、質量基準である。なお評価は、特に断りが無い場合は、温度25.0℃、相対湿度40.0%の環境下で行った。
【0126】
3.1.インクの調製
表1~表3の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過することで、実施例及び比較例に用いるインクジェットインク組成物を得た。なお、顔料及び樹脂の表中の数値は固形分量を表す(※1)。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
表1~表3に示す略称、製品名について、説明を補足する。
【0131】
・分散液A(*2)
顔料(C.I.ピグメントレッド150(アゾ系の顔料))20質量%、スチレン-アクリル酸共重合体の水酸化ナトリウム中和物 7質量%(酸価175mgKOH/g、分子量10000)に、純水を加え全体を100質量%とし、撹拌混合して混合物を得た。この混合物を、0.3mm径ジルコニアビーズを充填した湿式サンドミルに入れ、6時間分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズをセパレーターにより取り除き、孔径3.0μmセルロースアセテートフィルターでろ過することにより、表に示す顔料分散液Aを得た。なお、スチレン-アクリル酸共重合体は、ジョンクリル678(商品名、BASF
社製)を用いた。得られた分散液における顔料の体積平均粒子径D50は100nmであった。なお、表に記載の顔料の粒径の大きい分散液は、分散処理時間を長くして粒径小の分散液、分散処理時間を短くして別途調整して用いた。
・分散液B(*3)
顔料をC.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン系の顔料)に変更し分散液Aと同様に調製した。
・分散液C
顔料をC.I.ピグメントバイオレット269(アゾ系の顔料)に変更し分散液Aと同様に調製した。
【0132】
・アミノコート(ベタイン):トリメチルグリシン(旭化成ファインケム社製)
・Gly:グリセリン
・TEG:トリエチレングルコール
・TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
・オルフィンE1010:アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業社製)
・サーフィノール104:アセチレングリコール系界面活性剤(エア・プロダクツ&ケミカルズ社製)
・スーパーフレックス420:ウレタン系樹脂エマルション(第一工業製薬株式会社製)・TEA:トリエタノールアミン
【0133】
3.2.評価方法
3.2.1.印字試験
以下の条件で印字試験を行った。
印刷機:PX-M886FL(セイコーエプソン株式会社製)改造機
インク滴質量は12.5ng/dotとし、基本解像度を600×600dpiとしてベタパターンにおける付着量(塗布量)が表中の値になるようにドット密度を調整した。つまり1画素あたりのインク滴数を調整した。記録媒体は、xerox P紙(普通紙)とした。
【0134】
3.2.2.彩度の評価
各インクが入れられたカートリッジをプリンター(PX-M886FL:セイコーエプソン社製改造機)に装着し、XeroxP紙(普通紙)に温度25℃、湿度50%の環境下において、インク付着量が表中の値になるようテストパターンを片面印刷した。得られたテストパターンを測色機で測定し、彩度c*を以下の基準で評価して結果を表に記載した。
A: c*≧60
B: 60>c*≧55
C: 55> c*
なお、テストパターンは、インクセットを用いてレッド色のテストパターンを記録して測色した。インクセットは各例のマゼンタインクの他に、シアンインク、イエローインク、ブラックインクを用いた。シアンインク、イエローインク、ブラックインクは実施例1のインクで顔料を、それぞれ、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントイエロー155、カーボンブラックに置き換えたインクとした。
【0135】
3.2.3. 1次カールの評価
各インクが入れられたカートリッジをプリンター(PX-M886FL:セイコーエプソン社製改造機)に装着し、XeroxP紙(普通紙)A4サイズ、に温度25℃、湿度50%の環境下において、インク付着量が表中の値になるよう印刷密度:印刷範囲204mm×291mmになるよう各例のマゼンタインク単色のベタパターンを片面印刷した。印刷後フェイスダウンで放置した際の、用紙と床面が設置している地点と、用紙端の角度
を測定して1次カールの指標として、以下の基準で評価し結果を表に記載した。
A:最大カール角度90°未満
B:最大カール角度90°以上110°未満
C:最大カール角度110°以上
【0136】
3.2.4. 2次カールの評価
各インクが入れられたカートリッジをプリンター(PX-M886FL:セイコーエプソン社製改造機)に装着し、XeroxP紙(普通紙)A4サイズ、に温度25℃、湿度50%の環境下において、インク付着量が表中の値になるよう印刷密度:印刷範囲204mm×291mmになるよう各例のマゼンタインク単色のベタパターンを片面印刷した。印刷後フェイスアップで2週間放置した際の、用紙端の床面からの浮き上がり量を測定して2次カールの指標として、以下の基準で評価し結果を表に記載した。
AA:浮き上がり量10mm未満
A:浮き上がり量10以上15mm未満
B:浮き上がり量15以上20mm未満
C:浮き上がり量20mm以上
【0137】
3.2.5.顔料の沈降性の評価
上記プリンターのインクカートリッジに各例のインクを200g(インクカートリッジのインク容量)充填してカートリッジを装着した。
1日に表の付着量のテストパターン(3×3cm)を10個印刷し、これをカートリッジのインクが終わりになるまで続けた場合の、終わりになるまでに要する日数をA日とする。このA日は、上記の1日のテストパターンの印刷に使用するインク量から算出すればよい。
別途、初期のインクを55.0g用意し、12100rpmで遠心分離した。遠心分離の時間を16分×A/100分とした。
この評価においては、プリンターでカートリッジのインクを使い終わるまでの時間が長い為、この時間に応じた遠心分離の時間で加速試験し、インクの沈降の具合を確認できるようにした。
【0138】
各インク組成物について、上記の遠心分離をしていない初期のインク、及び上記の遠心分離したインクを、吸光度を測定した。
吸光度測定は、各インクを5ml採取し、これを水で1,000倍に希釈した希釈液について、吸光度を測定した。
遠心分離したインクは、インク組成物の最上部から5mlを採取して、同様に吸光度を測定した。
遠心分離していないインクの測定値を初期の吸光度とする。遠心分離後のインクの測定値を放置後の吸光度とする。
なお、吸光度については吸光度がピークの値を読み取った。そして、各インク組成物における顔料の沈降について、以下の基準で評価して、結果を表に記載した。
A:初期の吸光度と放置後の吸光度との相対誤差が、15%未満であった。
B:初期の吸光度と放置後の吸光度との相対誤差が、15%以上20%未満であった。
C:初期の吸光度と放置後の吸光度との相対誤差が、20%以上であった。
ここで、吸光度は顔料濃度に比例するものである。よって、吸光度が変わることは、顔料濃度が変わることであり、色ムラが発生することを表すことになる。従って、色ムラ発生は、この吸光度変化(顔料の沈降)を調べることで評価できる。
【0139】
3.2.6.発色性の評価
記録装置でインク付着量が表中の値になるようにマゼンタ単色のテストパターンをXe
roxP紙(普通紙)に記録した。測色機は、Xrite i1(Xrite社製)を用いた。テストパターンを測色機により測定しOD値を得て、以下の基準で評価して結果を表に記載した。
A: OD≧0.85
B: 0.85>OD≧0.75
C: 0.75>OD
【0140】
3.2.7.滲み(ブリード)の評価
各インクが入れられたカートリッジをプリンター(PX-M886FL:セイコーエプソン社製改造機)に装着し、XeroxP紙(普通紙)に温度25℃、湿度50%の環境下において、インク付着量が表中の値になるよう各例のマゼンタインク単色のテストパターンの印刷を行った。常温環境で30分間乾燥させた後、印刷物の滲みについて目視及びルーペを用いて評価を行った。評価基準は下記のとおりとし、結果を表に記載した。なお、AA、A、B評価を実用可能領域とした。なお滲みは、テストパターン中において、インクが濃度が一定になっておらず滲んで濃度不均一を生じていることである。
AA:ルーペ及び目視で滲みが見られなかった。
A:ルーペでは僅かに滲みが見られたが、目視で滲みが見られなかった。
B:目視で僅かに滲みが見られた。
C:目視で明らかに滲みが見られた。
【0141】
3.3.評価結果
表1~表3をみると、アゾ系の顔料と、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールと、を含有し、アゾ系の顔料の体積平均粒子径D50が110nm以下であり、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールの含有量が、組成物の総質量に対して3.5質量%以下である水系のマゼンタインクである、各実施例のインクジェットインク組成物は、得られる画像の彩度、発色性が良好かつにじみが抑制され、成分の沈降や、記録媒体のカールが低減されることが判明した。
【0142】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0143】
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
【0144】
インクジェットインク組成物は、
アゾ系の顔料と、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールと、を含有し、
前記アゾ系の顔料の体積平均粒子径D50が110nm以下であり、
前記炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールの含有量が、組成物の総質量に対して3.5質量%以下であり、
水系のマゼンタインクである。
【0145】
このインク組成物によれば、得られる画像の彩度、発色性が良好かつにじみが抑制され、成分の沈降や、記録媒体のカールが低減される。このインク組成物によれば、アゾ系の顔料を用いることにより、マゼンタインクの色が得られ、その上、より彩度の高い赤、レッド色の色再現性の高い赤、より発色性の高い赤の画像を記録することができる。
【0146】
また、このインク組成物によれば、炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールを
総質量に対して3.5質量%以下含むことにより、記録媒体上でのドットの横広がり性を高くでき、上記顔料の彩度や発色性の良さを充分に発揮でき、彩度や、白抜けの抑制に優れた画像が得られる。
【0147】
さらに、上記顔料と特定の浸透溶剤を用いることにより、インクの付着量を増やすことなく、彩度や白抜けの抑制が良好であるので、記録媒体のカールを抑制する点においても優れる。また、インクの消費を少なくでき、印刷コストを低減できる。
【0148】
さらに、顔料の平均粒子径が110nm以下であることにより、インクの消費が少なく、カートリッジやタンク中にインクが長時間保持される場合であっても、インク成分の沈降を低減でき、得られる画像の濃度変動を抑制できる。また、アゾ系の顔料を採用しているので、彩度や発色性に優れ、顔料の平均粒子径を小さくしても十分に彩度や発色性の良好な画像を得ることができる。
【0149】
上記インクジェットインク組成物において、
前記アゾ系の顔料が、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド269及びC.I.ピグメントレッド17から選択されてもよい。
【0150】
このインク組成物によれば、より優れた発色性の画像を得ることができる。
【0151】
上記インクジェットインク組成物において、
前記アゾ系の顔料が、下記式(I)で表される化学構造を有してもよい。
【0152】
【化2】
(式(I)中、Aは、水素原子又は芳香族基を表す。)
【0153】
このインク組成物によれば、さらに優れた発色性の画像を得ることができる。
【0154】
上記インクジェットインク組成物において、
前記アゾ系の顔料の含有量が、組成物の総質量に対して3質量%以上7質量%以下であってもよい。
【0155】
このインク組成物によれば、さらに優れた発色性の画像を得ることができる。
【0156】
上記インクジェットインク組成物において、
前記炭素数4以上8以下の1,2-アルカンジオールの含有量が、組成物の総質量に対して1.5質量%以上3.5質量%以下であってもよい。
【0157】
このインク組成物によれば、特定の1,2-アルカンジオールの含有量がより適切であるので、インクの広がりがより適切で、画像中のブリード(滲み)や混色がより発生しにくい。
【0158】
上記インクジェットインク組成物において、
前記アゾ系の顔料の体積平均粒子径D50が80nm以上110nm以下であってもよい。
【0159】
このインク組成物によれば、顔料の分散安定性が良好かつ発色性がより良好であり、保存時の成分の沈降がより抑制される。
【0160】
上記インクジェットインク組成物において、
ベタイン化合物をさらに含んでもよい。
【0161】
このインク組成物によれば、記録媒体のカールを抑制する効果がより高い。カールの抑制効果は、特に二次カール(永久カール)において顕著である。一次カール(インク付着して直ちに発生するカール)も抑制しやすいが、一次カール発生により、排紙してトレイに積あげた紙がきれいに収まらず、トレイから飛び出してしまうスタック性の観点では、インク付着量を少なくすることのほうがより効果的である。
【0162】
上記インクジェットインク組成物において、
前記ベタイン化合物の含有量が、組成物の総質量に対して4質量%以上6質量%以下であってもよい。
【0163】
このインク組成物によれば、記録媒体の二次カールを抑制する効果がさらに高い。
【0164】
上記インクジェットインク組成物において、
吸収性記録媒体への記録に用いられてもよい。
【0165】
このインク組成物によれば、普通紙など、カールやインクの浸透が生じやすい吸収性記録媒体であるので、得られる画像の彩度、発色性が良好かつにじみが抑制され、成分の沈降や、記録媒体のカールの低減といった効果をより顕著に発現できる。
【0166】
記録方法は、
上述のインクジェットインク組成物を用いて行う記録方法であって、
前記インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させるインク付着工程、を含む。
【0167】
この記録方法によれば、得られる画像の彩度、発色性が良好かつにじみが抑制され、成分の沈降や、記録媒体のカールが低減された記録物を得ることができる。
【0168】
上記記録方法において、
前記記録媒体が、吸収性記録媒体であってもよい。
【0169】
この記録方法によれば、得られる画像の彩度、発色性が良好かつにじみが抑制され、成分の沈降や、記録媒体のカールの低減といった効果をより顕著に発現できる。
【0170】
上記記録方法において、
前記インク付着工程における前記記録媒体へのインクジェットインク組成物の付着量が、6mg/inch2以下であってもよい。
【0171】
この記録方法によれば、記録媒体のカールの低減効果をより顕著に発現できる。