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特開2024-46930エンジンのシリンダーカバーとエンジンの制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046930
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】エンジンのシリンダーカバーとエンジンの制御装置
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/04 20060101AFI20240329BHJP
   F02M 26/47 20160101ALI20240329BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
F01M13/04 E
F02M26/47 C
F02F7/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152312
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】金野 晃大
(72)【発明者】
【氏名】糸永 薫
(72)【発明者】
【氏名】上田 晋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 幹大
(72)【発明者】
【氏名】岡本 英章
(72)【発明者】
【氏名】森本 宏
(72)【発明者】
【氏名】福山 尚尋
(72)【発明者】
【氏名】大久保 真司
(72)【発明者】
【氏名】足立 憲司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 礼
(72)【発明者】
【氏名】竹▲崎▼ 直人
(72)【発明者】
【氏名】矢口 勝己
【テーマコード(参考)】
3G015
3G024
3G062
【Fターム(参考)】
3G015BD02
3G015BE02
3G015BE07
3G015BF05
3G015BF07
3G024AA72
3G062ED08
3G062FA10
3G062GA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、クランクケースで発生するブローバイガスに含まれるオイルミストをシリンダーカバー内でオイルに凝縮してブリーザに送るオイルミストを少なくすることを課題とする。
【解決手段】エンジンシリンダーを内装するクランクケースの上部を覆うシリンダーカバー1にオイルミストセパレーター2を設け、クランクケース内で発生するブローバイガスをオイルミストセパレーター2でオイルに凝縮してクランクケース内に戻すエンジンにおいて、シリンダーカバー1の上内壁にロッカーアーム軸4に沿うガス溝5aを形成し、このガス溝5aを覆うバッフルプレート3を設けてブローバイガス室5を形成し、バッフルプレート3のロッカーアーム軸4端上にブローバイガス室5に通じるガス通路3a,3bを設けたことを特徴とするエンジンのシリンダーカバーとする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンシリンダーを内装するクランクケースの上部を覆うシリンダーカバー(1)にオイルミストセパレーター(2)を設け、クランクケース内で発生するブローバイガスをオイルミストセパレーター(2)でオイルに凝縮してクランクケース内に戻すエンジンにおいて、シリンダーカバー(1)の上内壁にロッカーアーム軸(4)に沿うガス溝(5a)を形成し、このガス溝(5a)を覆うバッフルプレート(3)を設けてブローバイガス室(5)を形成し、バッフルプレート(3)のロッカーアーム軸(4)端上にブローバイガス室(5)に通じるガス通路(3a,3b)を設けたことを特徴とするエンジンのシリンダーカバー。
【請求項2】
ガス通路(3a,3b)にオイルメッシュ(6)を設けた請求項1に記載のエンジンのシリンダーカバー。
【請求項3】
ブローバイガス室(5)内に障壁(3c)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのシリンダーカバー。
【請求項4】
エンジン(12)の吸気マニホールド(15)にEGRバルブ(13)を通じて排気ガスを送るEGRエンジンの制御装置において、吸気路にエアフロ―センサ(16)を設け、運転中に一瞬EGRバルブ(13)を閉じて、吸気量の増加分からEGR率を予測してEGRバルブ(13)を制御することを特徴とするエンジンの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのクランクケース上部に設けるシリンダーカバーとエンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第45971017号公報に記載の如く、クランクケースの上部を覆うシリンダーカバーにはクランクケースで発生するブローバイガスを集めてブリーザに送り出すブローバイガス空間が設けられ、ブリーザでブローバイガスに含まれるオイルミストを凝縮してオイルに戻すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第45971017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クランクケースのロッカーアームではカムが高速回転してオイルミストが発生しているので、シリンダーカバー内にオイルミストが含まれたブローバイガスがブリーザに送られるが、オイルの含有量が多くてオイルの回収が充分でない。
【0005】
本発明は、クランクケースで発生するブローバイガスに含まれるオイルミストをシリンダーカバー内でオイルに凝縮してブリーザに送るオイルミストを少なくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1の発明は、エンジンシリンダーを内装するクランクケースの上部を覆うシリンダーカバー1にオイルミストセパレーター2を設け、クランクケース内で発生するブローバイガスをオイルミストセパレーター2でオイルに凝縮してクランクケース内に戻すエンジンにおいて、シリンダーカバー1の上内壁にロッカーアーム軸4に沿うガス溝5aを形成し、このガス溝5aを覆うバッフルプレート3を設けてブローバイガス室5を形成し、バッフルプレート3のロッカーアーム軸4端上にブローバイガス室5に通じるガス通路3a,3bを設けたことを特徴とするエンジンのシリンダーカバーとする。
【0007】
請求項2の発明は、ガス通路3a,3bにオイルメッシュ6を設けた請求項1に記載のエンジンのシリンダーカバーとする。
【0008】
請求項3の発明は、ブローバイガス室5内に障壁3cを設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのシリンダーカバーとする。
【0009】
請求項4の発明は、エンジン12の吸気マニホールド15にEGRバルブ13を通じて排気ガスを送るEGRエンジンの制御装置において、吸気路にエアフロ―センサ16を設け、運転中に一瞬EGRバルブ13を閉じて、吸気量の増加分からEGR率を予測してEGRバルブ13を制御することを特徴とするエンジンの制御装置とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明で、クランクケースで発生したブローバイガスがシリンダーカバー1内のガス溝5aとバッフルプレート3で覆われたブローバイガス室5を通してオイルミストセパレーター2に送られて、オイルミストがオイルに凝縮されてクランクケースに戻されるが、オイルミストが多く発生するロッカーアーム軸4の上部がブローバイガス室5で覆われているので、ロッカーアームで生じるオイルミストがブローバイガス室5に直接送られることなく、ロッカーアーム軸4の軸端に設けるガス通路3a,3bを通してブローバイガス室5にブローバイガスが送られるので、ブローバイガス室5に送られるオイルミストが少なくなり、オイルミストセパレーター2で効率よくオイルが凝縮される。
【0011】
請求項2の発明で、バッフルプレート3の端部に設けるガス通路3a,3bを通るブローバイガスに含まれるオイルミストがオイルメッシュ6でオイルに戻されてブローバイガス室5に入るオイルミストがさらに減少してオイルミストセパレーター2でのオイル凝縮がさらに効率化する。
【0012】
請求項3の発明で、ブローバイガス室5でオイルミストセパレーター2に移動するブローバイガスが障壁3cに衝突してオイルミストの一部がオイルに結露してオイルミストセパレーター2に送られるオイルミストの量が少なくなる。
【0013】
請求項4の発明で、吸気マニホールド15に設けるエアフロ―センサ16でEGR率を予測できるので、高価なO2センサを必要とせず、EGRバルブ13の制御が安価で出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態にかかるシリンダーカバーの側面図である。
図2】同上シリンダーカバーの内部を示す底面図である。
図3】同上シリンダーカバーの側断面図である。
図4】同上実施形態のEGR付のエンジンの概略構成図である。
図5】本発明の実施形態にかかるディーゼルエンジンのDPF装置の概略図である。
図6】同上DPF装置の断面図である。
図7】同上エンジンの冷却水容器の部分側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0016】
シリンダーカバー1は、シリンダーカバー1の上部を覆って取り付ける横長キャップ状の樹脂成型品で、中央から右側に寄せた位置にオイルミストセパレーター2を設けてオイルに凝縮してクランクケースに戻している。
【0017】
シリンダーカバー1の内壁に形成するガス溝5aを覆ってプレート状のバッフルプレート3をリブ1aにボルトで取り付けて、内壁との間にブローバイガス室5を形成している。このバッフルプレート3はロッカーアーム軸4上を覆うように設けられ、ロッカーアームで生じるオイルミストを受け止めてブローバイガス室5に侵入しないようにしている。
【0018】
このバッフルプレート3の上面には千鳥状にミストセパレーター2に向かって傾斜起立して配置した障壁3cが設けられ、ブローバイガスがオイルミストセパレーター2に向かって移動する際にオイルミストが衝突してオイルに結露し、バッフルプレート3上に滴下する。また、バッフルプレート3の端部はロッカーアーム軸4の外側でシリンダーカバー1の内壁との間にガス通路3a,3bを形成し、ブローバイガスが上昇通過し、バッフルプレート3上に溜まるオイルがクランクケース内へ滴下する。
【0019】
なお、ガス通路3a,3bにはオイルメッシュ6を設けるとオイルミストがブローバイガス室5に移動するのを少なく出来る。また、オイルメッシュ6をクランクケースに取り付けてブローバイガスを通してオイルミストセパレーター2に導く構成も考えられる。
【0020】
また、ガス通路3a,3bをバッフルプレート3の両端に設けることなく、片側のみに設けても良い。
【0021】
図4は、EGR付のエンジンの概略構成図で、吸気マニホールド15とDPF装置10からの排気マニホールド14の空気がターボチャージャー11で混合されてエンジン12に供給されるが、その空気混合率はエンジンコントローラ17で制御されるEGRバルブ13の開度調整で調整されている。
【0022】
吸気量はエアフロ―センサ16で計測されているので、EGRバルブ13を瞬間的に閉じて、その瞬間の吸気量増加分からEGR率を予測することで、EGRバルブ13の開度を制御する。この構成で、吸気マニホールド15に設けるエアフロ―センサ16でEGR率を予測できるので、高価なO2センサを必要とせず、EGRバルブ13の制御が安価で出来る。
【0023】
EGRクーラ付きのエンジンで、運転中の指示噴射量を積算しECUデータに保存し、閉塞状態の基準としての運転時間と指示噴射量の積算でMAPを構成し、それに閾値を設定し、その閾値より下回った際にEGRクーラが閉塞状態であると判断してエラー表示させ、EGRクーラが閉塞状態になる前に警告する。エラー表示後の制御としては手動再生後期のセーフモードと同様で回転数、噴射量を制御し通常運転できない状態にする。
【0024】
電子制御エンジンの燃料噴射制御において、エンジン制御装置で燃料噴射量を積算し、積算燃料噴射量に応じて燃料噴射量減小の補正を行い、PM増加、排ガス成分の悪化を抑制する。
【0025】
なお、DPF付きエンジンを搭載し、電子ミッション(自動変速)を有した農業機械で、DPFの手動再生が必要となった場合、エンジン回転数や出力が低下し、ブザー、ランプなどで報知する。また、緊急のDPFの手動再生が必要となった場合、電子ミッションの制御により、車両速度を制限する(速度が徐々に低下していく)。また、PTOや刈り取りなど、作業機の駆動を停止するのも良い。さらに、緊急の手動再生が必要である場合は、確実に作業を中断させる。また、操作手順などを携帯端末に表示し、携帯端末を操作することで、手動再生が開始するようにしても良い。
【0026】
図5は、ディーゼルエンジンの排気浄化装置であるDPF装置10の概略図で、DOC18とDPF19で構成し、DPC19の入口センサ21と出口センサ22で排気温度を計測している。そして、入口センサ21で計測する入口温度が2回連続して低下したら、DOC閉塞アラートを発報し、オペレータにDPF装置10の手動再生を要求して、手動再生によるDPFの再生回復を行って、DPF閉塞ぎみを回復させる。
【0027】
DPFの手動再生後にエンジン回転数をハイアイドルに上げて排ガス流量アップし、吸気スロットルバルブの開け閉めを繰り返して排ガス流量を増減させることで、DOC18を通過する排ガスに脈動を発生させて、閉塞を引き起こす煤をDPF側へ吹き飛ばして、触媒能力を回復させる。
【0028】
GPS衛星による測位装置を備えたトラクタでは、作業地の高度を判断してエンジンの出力低下を表示して、その出力低下を考慮した作業を行うようにすれば良い。
【0029】
ディーゼルエンジンを搭載した農業用トラクタにおいて、DPF装置10の再生が行われている途中に、メンテンナンスなどにより、一時的にローアイドル状態などになった時DPF再生処理中には実噴射量に閾値を設け、実噴射量が閾値を下回った場合、再生処理を維持しようとしないで、一時中断し、実噴射量が閾値を上回った時には、再生処理を再開することで、ポスト噴射量が抑制され、燃費が向上する。
【0030】
図6は、DPF装置10の側面にプラグ孔20を設け、DPF19に詰りが生じると、プラグ孔20のカバーを外してエアーガンを差し込んで煤を吹き飛ばすようにしている。この構成で、DPF装置10をエンジン12から取り外さずにメンテナンスを行える。プラグ孔20は左右に設けると作業が容易になる。
【0031】
図7は、冷却水容器内に設けるサーモスタット25の固定方法を示している。下ケース23の段部23aにサーモスタット25の端部を載せて、上ケース24を重ねてガスケット26を挟む際に、ガスケット26に設ける膨らみ部26aがサーモスタット25を固定することで、安定して保持できる。
【符号の説明】
【0032】
1 シリンダーカバー
2 オイルミストセパレーター
3 バッフルプレート
3a,3b ガス通路
3c 障壁
4 ロッカーアーム軸
5 ブローバイガス室
6 オイルメッシュ
12 エンジン
13 EGRバルブ
15 吸気マニホールド
16 エアフロ―センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7