IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立国際電気の特許一覧

<>
  • 特開-カメラ及び列車監視システム 図1
  • 特開-カメラ及び列車監視システム 図2
  • 特開-カメラ及び列車監視システム 図3
  • 特開-カメラ及び列車監視システム 図4
  • 特開-カメラ及び列車監視システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046932
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】カメラ及び列車監視システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240329BHJP
   B61L 25/04 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 U
B61L25/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152314
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】岡戸 研太
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054GA04
5C054GB02
5C054GD01
5C054HA19
5C054HA27
(57)【要約】
【課題】表示用の映像ストリームと録画用の映像ストリームを配信する機能を持つ複数のカメラを備えた列車監視システムにおいて、映像ビットレートを低減させることなくネットワーク負荷を減らす。
【解決手段】カメラ110は、表示用に生成されたライブ再生用ストリームを映像表示装置130に配信するライブ再生用ストリーム配信部115と、記録用に生成された録画用ストリームを映像記録装置140に配信する録画用ストリーム配信部116と、録画用ストリームを一時的に格納することが可能な一時記憶部114とを備え、録画用映像ストリームの配信中にライブ再生用ストリームの配信を開始するイベントが発生した場合に、録画用ストリームの配信を中断し、ライブ再生用ストリームの配信中に生成された録画用ストリームを一時記憶部114に格納する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示用に生成された第1の映像ストリームを配信する第1の配信部と、
記録用に生成された第2の映像ストリームを配信する第2の配信部と、
前記第2の映像ストリームを一時的に格納することが可能なメモリとを備え、
前記第2の映像ストリームの配信中に前記第1の映像ストリームの配信を開始するイベントが発生した場合に、前記第2の映像ストリームの配信を中断し、前記第2の映像ストリームの配信の中断中に生成された前記第2の映像ストリームを前記メモリに格納することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記第1の映像ストリームの配信の終了に応じて、前記第2の配信部による前記メモリ内の前記第2の映像ストリームの配信を開始することを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラにおいて、
前記メモリ内の前記第2の映像ストリームの配信が完了するまで、その間に生成される前記第2の映像ストリームの前記メモリへの格納を継続し、前記メモリ内の前記第2の映像ストリームの配信の完了に応じて、その後に生成される前記第2の映像ストリームの配信を再開することを特徴とするカメラ。
【請求項4】
カメラと、映像表示装置と、映像記録装置とを列車に搭載した列車監視システムにおいて、
前記カメラは、
表示用に生成された第1の映像ストリームを前記映像表示装置に配信する第1の配信部と、
記録用に生成された第2の映像ストリームを前記映像記録装置に配信する第2の配信部と、
前記第2の映像ストリームを一時的に格納することが可能なメモリとを備え、
前記第2の映像ストリームの配信中に前記第1の映像ストリームの配信を開始するイベントが発生した場合に、前記第2の映像ストリームの配信を中断し、前記第1の映像ストリームの配信中に生成された前記第2の映像ストリームを前記メモリに格納することを特徴とする列車監視システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示用の映像ストリームと録画用の映像ストリームを配信する機能を持つカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
駅のプラットホームで乗客が列車に乗降する際の安全確保は、列車運行にとって重要な課題である。そのような安全対策の一環として、列車の各車両の外部側面に取り付けられたカメラでドア付近を撮影し、そのカメラ映像を運転台の映像表示装置に表示させる列車監視システムが開発されている。また、有事の際は、映像記録装置(NDR)に録画された映像が、状況の把握・分析のために利用されている。
【0003】
本発明に係る技術分野の従来技術としては、以下のようなものがある。例えば、特許文献1には、映像表示装置の画面領域を複数のエリアに分割し、各車両のカメラによって撮影された複数のカメラ映像を各エリアにそれぞれ割り当てて表示させる列車監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-113602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
列車の各車両のカメラは、撮影により得られた映像データを、映像表示装置に対するライブ再生用ストリームと、映像記録装置に対する映像記録用ストリームとして配信する機能を有する。ライブ再生用ストリームは、映像表示装置に伝送されて、映像表示装置でデコードして表示される。映像記録用ストリームは、映像記録装置に伝送されて、映像記録装置に常時記録される。
【0006】
列車監視システムは一般に、列車の各車両に中継装置を配備して車両内の機器を接続すると共に、各車両の中継装置をカスケード接続することで構築された、IPネットワーク上に実現される。このような列車監視システムでは、ライブ再生用ストリームおよび映像記録用ストリームの配信によるネットワーク負荷が懸念される。
【0007】
そこで、ネットワーク負荷を軽減するために、従来の方法(1)として、映像記録装置に映像記録用ストリームを配信して常時記録しつつ、イベント発生時のみライブ再生用ストリームを配信して映像表示装置に表示させる方法がある。従来の方法(2)として、カメラで撮影した映像を縮小し、映像記録装置にカメラ映像を常時記録しつつ、イベント発生時のみ映像表示装置にカメラ映像を表示させる方法がある。従来の方法(3)として、映像記録装置にカメラ映像を常時記録しつつ、イベント発生時のみ映像記録装置内の映像データを映像表示装置に再配信して表示させる方法がある。
【0008】
しかしながら、従来の方法(1)では、映像表示装置にライブ再生用ストリームを送信する期間は、映像記録用ストリームとライブ再生用ストリームの両方が同時に配信されるため、イベント発生時のネットワーク負荷が非常に高くなる。従来の方法(2)では、映像サイズを縮小するため、映像記録装置による記録映像および映像表示装置による再生映像が、いずれも不鮮明になってしまう。従来の方法(3)では、映像表示装置には再配信された映像が表示されることにあるため、配信遅延が増加してしまう。
【0009】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、表示用の映像ストリームと録画用の映像ストリームを配信する機能を持つ複数のカメラを備えた列車監視システムにおいて、映像ビットレートを低減させることなくネットワーク負荷を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様に係るカメラは、以下のように構成される。
すなわち、本発明に係るカメラは、表示用に生成された第1の映像ストリームを配信する第1の配信部と、記録用に生成された第2の映像ストリームを配信する第2の配信部と、第2の映像ストリームを一時的に格納することが可能なメモリとを備え、第2の映像ストリームの配信中に第1の映像ストリームの配信を開始するイベントが発生した場合に、第2の映像ストリームの配信を中断し、第2の映像ストリームの配信の中断中に生成された第2の映像ストリームをメモリに格納する。
【0011】
ここで、本発明に係るカメラは、第1の映像ストリームの配信の終了に応じて、第2の配信部によるメモリ内の第2の映像ストリームの配信を開始してもよい。
【0012】
また、本発明に係るカメラは、メモリ内の第2の映像ストリームの配信が完了するまで、その間に生成される第2の映像ストリームのメモリへの格納を継続し、メモリ内の第2の映像ストリームの配信の完了に応じて、その後に生成される第2の映像ストリームの配信を再開してもよい。
【0013】
また、本発明の別の態様に係る列車監視システムは、以下のように構成される。
すなわち、カメラと、映像表示装置と、映像記録装置とを列車に搭載した列車監視システムにおいて、カメラは、表示用に生成された第1の映像ストリームを映像表示装置に配信する第1の配信部と、記録用に生成された第2の映像ストリームを映像記録装置に配信する第2の配信部と、第2の映像ストリームを一時的に格納することが可能なメモリとを備え、第2の映像ストリームの配信中に第1の映像ストリームの配信を開始するイベントが発生した場合に、第2の映像ストリームの配信を中断し、第1の映像ストリームの配信中に生成された第2の映像ストリームをメモリに格納する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示用の映像ストリームと録画用の映像ストリームを配信する機能を持つ複数のカメラを備えた列車監視システムにおいて、映像ビットレートを低減させることなくネットワーク負荷を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る列車監視システムの構成例を示す図である。
図2図1の列車監視システムにおけるカメラの構成例を示す図である。
図3図1に示す制御装置の動作に関するフローチャート例を示す図である。
図4図1に示すカメラのライブ再生モード開始時の動作に関するフローチャート例を示す図である。
図5図1に示すカメラのライブ再生モード終了時の動作に関するフローチャート例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る列車監視システムの構成例を示してある。図1の列車は、3台の車両、すなわち、1号車101、2号車102、3号車103を連結して構成されている。図面左方向に列車が進行する場合、1号車101が先頭車両となり、3号車103が後尾車両となる。図面右方向に列車が進行する場合、3号車103が先頭車両となり、1号車101が後尾車両となる。なお、列車の車両数は任意であり、より多い又は少ない車両数で列車が編成されてもよい。
【0017】
1号車101の外部側面には、乗客が列車に乗降する様子を撮像するために、その車両のドアに向けて複数のカメラ110を取り付けてある。図1の例では、図面左方向への列車進行を基準にして、車体の右側前方に設置されたカメラ110Aと、車体の右側後方に設置されたカメラ110Bと、車体の左側後方に設置されたカメラ110Cと、車体の左側前方に設置されたカメラ110Dとが配備されている。カメラ110A,110Dは、前方側から後方側を撮影するように配置してある。一方、カメラ110B,110Cは、後方側から前方側を撮影するように配置してある。また、2号車102および3号車103にも、1号車101と同様の配置でカメラ110A~110Dを取り付けてある。本例では、1両につき4台のカメラを設けてあるが、より多い又は少ない数のカメラを設けてもよい。
【0018】
列車の一方の端部にある1号車101には運転室があり、その中に監視用の映像表示装置130が配備されている。また、列車の反対側の端部にある3号車103にも運転室があり、その中にも監視用の映像表示装置130が配備されている。映像表示装置130は、1台で構成されてもよく、複数台で構成されてもよい。
【0019】
列車の一方の端部にある1号車101には更に、各車両のカメラ110から配信された映像を記録する映像記録装置140が配備されている。なお、列車の反対側の端部にある3号車103にも、各車両のカメラ110から配信された映像を記録する映像記録装置140を配備してもよい。映像記録装置140は、1台で構成されてもよく、複数台で構成されてもよい。
【0020】
1号車101の映像表示装置130は、図面左方向に列車が進行する場合に使用され、3号車103の映像表示装置130は、図面右方向に列車が進行する場合に使用される。映像表示装置130の切替は、列車に搭載された制御装置150によって制御される。図1では、制御装置150を1号車101に配備してあるが、他の車両(例えば、3号車103)に配備してもよく、冗長化のために複数の車両に分散配置してもよい。
【0021】
また、各車両には、中継装置120(例えば、スイッチングハブ)がそれぞれ配備されている。1号車101の中継装置120には、その車両内の機器、すなわち、カメラ110A~110D、映像表示装置130、映像記録装置140、及び制御装置150が接続されている。2号車102の中継装置120には、その車両内の機器、すなわち、カメラ110A~110Dが接続されている。3号車103の中継装置120には、その車両内の機器、すなわち、カメラ110A~110D、及び映像表示装置130が接続されている。各車両の中継装置120は更に、隣接する車両の中継装置120と互いにカスケードに接続されており、これにより列車内にIPネットワークが構築されている。
【0022】
各車両のカメラ110A~110Dは、それぞれ、予め定められた視野内を撮像することで得られた映像データを、ライブ再生用ストリームおよび映像記録用ストリームとして配信する機能を有する。ライブ再生用ストリームは、映像表示装置130に対して送信される。映像記録用ストリームは、映像記録装置140に対して送信される。
【0023】
図2には、図1の列車監視システムで使用されるカメラ110の構成例を示してある。カメラ110は、撮像部111と、ライブ再生用ストリーム生成部112と、録画用ストリーム生成部113と、一時記憶部114と、ライブ再生用ストリーム配信部115と、録画用ストリーム配信部116と、配信制御部117とを備えている。
【0024】
撮像部111は、予め定められた視野内(例えば、ドア付近)を撮像することで得られた映像信号を出力する。撮像部111から出力された映像信号は、ライブ再生用ストリーム生成部112および録画用ストリーム生成部113に入力される。ライブ再生用ストリーム生成部112は、入力された映像信号をライブ再生用のフレームレート、画像サイズ、解像度、符号化方式でデータ化し、ライブ再生用ストリームを生成する。録画用ストリーム生成部113は、入力された映像信号を映像記録用のフレームレート、画像サイズ、解像度、符号化方式でデータ化し、録画用ストリームを生成する。フレームレート、画像サイズ、解像度、符号化方式などの条件は、任意に設定することが可能であり、各ストリームで共通でもよいし、異なってもよい。また、条件の一部を動的に変化させてもよく、例えば、録画用ストリームのフレームレートをライブ再生時のみ高くなるように設定してもよい。
【0025】
ライブ再生用ストリーム配信部115は、ライブ再生用ストリーム生成部112により生成されたライブ再生用ストリームを、列車内のIPネットワークを通じて映像表示装置130へ配信する。録画用ストリーム配信部116は、録画用ストリーム生成部113により生成された録画用ストリームを、列車内のIPネットワークを通じて映像記録装置140へ配信する。配信制御部117は、制御装置150からの指示に従って、ライブ再生用ストリームまたは録画用ストリームが択一的に配信されるように制御する。換言すれば、ライブ再生用ストリームと録画用ストリームの両方が同時に配信されないように制御する。
【0026】
一時記憶部114は、未配信の録画用ストリームを一時的に格納することが可能なメモリである。一時記憶部114は、揮発性メモリでもよいし、不揮発性メモリでもよい。ライブ再生用ストリームの配信中は録画用ストリームの配信が中断されるため、その間に生成された録画用ストリームが一時記憶部114に格納される。一時記憶部114内の録画用ストリーム(つまり、未配信の録画用ストリーム)は、ライブ再生用ストリームの配信を終了して録画用ストリームの配信を再開する際に、録画用ストリーム配信部116によって映像記録装置140へと配信される。また、録画用ストリームの配信を再開する前に電源断となった場合には、電源の再投入時に、一時記憶部114内の未配信の録画用ストリームを配信してもよい。
【0027】
映像表示装置130は、ライブ再生用ストリームを受信して映像表示する機能を有する。映像表示装置130による表示対象のカメラ110は、例えば、制御装置150からの情報に基づいて選択される。映像表示装置130は、一例として、その画面領域を複数に分割した各エリアに、各車両のプラットホーム側(つまり、ドア開扉側)のカメラ映像をそれぞれ割り当てて表示する。なお、映像表示装置130は、各車両のカメラ映像を順番に切り替えて表示する等、別の手法により複数のカメラ映像の表示を行ってもよい。映像表示装置130における表示の開始と停止は、列車の運行に伴って制御される。例えば、駅に列車が停車した際または列車のドアを開扉した際に自動的に表示を開始し、列車のドアを閉扉した際または駅から列車が発車した際に自動的に表示を停止するように制御される。
【0028】
映像記録装置140は、映像記録用ストリームを受信して映像記録する機能を有する。映像記録装置140による記録対象のカメラ110は、例えば、制御装置150からの情報に基づいて選択される。映像記録装置140は、一例として、列車内の全てのカメラ110から受信したカメラ映像を、各カメラの識別情報や撮影時刻と関連付けて記録する。映像記録装置140は、制御装置150からの信号に基づいて、記録の開始と停止が制御される。例えば、発車駅で列車の運行を開始する際に自動的に記録を開始し、終着駅で列車の運行を終了する際に自動的に記録を停止するように制御される。
【0029】
制御装置150は、外部からのイベント情報に基づいて、カメラ110、映像表示装置130、映像記録装置140の制御を行う。イベント情報は、例えば、外部システムから送信されるセンサ信号やトリガ信号などでもよく、制御装置150に搭載されたセンサから送信されるセンサ信号でもよい。また、映像表示装置130が、マウスやタッチパネルなどの操作手段を備える場合に、操作手段により得られた操作情報に基づいて、イベント情報を制御装置150に送信してもよい。
【0030】
イベント情報としては、通常録画開始信号、通常録画終了信号、ライブ再生開始信号、ライブ再生終了信号などが挙げられる。通常録画開始信号は、映像記録を開始するトリガーとなる信号であり、例えば、列車の運行開始時に発せされる。通常録画終了信号は、映像記録を終了するトリガーとなる信号であり、例えば、列車の運行終了時に発せされる。ライブ再生開始信号は、映像表示を開始するトリガーとなる信号であり、例えば、各駅での停車時やドア開扉時に発せられる。ライブ再生終了信号は、映像表示を終了するトリガーとなる信号であり、例えば、各駅でのドア閉扉時や発車時に発せられる。
【0031】
本例の列車監視システムの全体的な動作について、図3図5を参照して説明する。図3は、制御装置150の動作に関するフローチャート例を示す図である。図4は、ライブ再生モード開始時のカメラ110の動作に関するフローチャート例を示す図である。図5に、ライブ再生モード終了時のカメラ110の動作に関するフローチャート例を示す図である。
【0032】
制御装置150は、列車の運行開始に伴う通常録画開始信号を受信すると、カメラ110、映像表示装置130、映像記録装置140に対して、通常録画モード開始指示を送信する(ステップS101)。カメラ110は、通常録画モード開始指示の受信に応じて、録画用ストリームの配信を開始する。映像記録装置140は、通常録画モード開始指示の受信に応じて、カメラ110から配信される録画用ストリームの記録を開始する。なお、ネットワーク回線の負荷軽減のために、カメラ110は、配信する録画用ストリームを低ビットレート化または無効化してもよい。
【0033】
次いで、制御装置150は、各駅での停車やドア開扉に伴うライブ再生開始信号を受信するまで待機し(ステップS102)、ライブ再生開始信号を受信すると、カメラ110、映像表示装置130、映像記録装置140に対して、ライブ再生モード開始指示を送信する(ステップS103)。映像表示装置130は、ライブ再生モード開始指示の受信に応じて、カメラ110から配信されるライブ再生用ストリームの表示を開始する。一方、映像記録装置140は、ライブ再生モード開始指示の受信に応じて、録画用ストリームの記録を中断する。
【0034】
また、図4に示すように、カメラ110は、ライブ再生モード開始指示の受信に応じて、録画用ストリームの配信を終了(中断)し(ステップS201)、一時記憶部114への録画用ストリームの格納およびライブ再生用ストリームの配信を開始する(ステップS202,S203)。
【0035】
次いで、制御装置150は、各駅でのドア閉扉や発車に伴うライブ再生終了信号を受信するまで待機し(ステップS104)、ライブ再生停止信号を受信すると、カメラ110、映像表示装置130、映像記録装置140に対して、ライブ再生モード終了指示を送信する(ステップS105)。映像表示装置130は、ライブ再生モード終了指示の受信に応じて、ライブ再生用ストリームの表示を終了する。一方、映像記録装置140は、ライブ再生モード終了指示の受信に応じて、録画用ストリームの記録を再開する。
【0036】
また、図5に示すように、カメラ110は、ライブ再生モード終了指示の受信に応じて、ライブ再生用ストリームの配信を終了し(ステップS301)、一時記憶部114に格納されている未配信の録画用ストリームの配信を開始する(ステップS302)。一時記憶部114内の未配信の録画用ストリームの配信が完了するまで、新たに生成された録画用ストリームの一時記憶部114への格納が継続される。そして、一時記憶部114内の未配信の録画用ストリームの配信の完了後に、一時記憶部114への録画用ストリームの格納が停止され(ステップS303,S304)、内部記録映像配信完了通知が制御装置150へ送信され(ステップS305)、通常の録画用ストリームの配信が開始される(ステップS306)。
【0037】
上述したステップS102~S105の処理は、列車が駅に停車する毎に繰り返される。そして、制御装置150は、列車の運行終了に伴う通常録画終了信号を受信すると、カメラ110、映像表示装置130、映像記録装置140に対して、通常録画モード終了指示を送信する。カメラ110は、通常録画モード終了指示の受信に応じて、録画用ストリームの配信を終了する。また、映像記録装置140は、通常録画モード終了指示の受信に応じて、録画用ストリームの記録を終了する。
【0038】
以上のように、本例の列車監視システムは、列車の各車両に搭載されたカメラ110(110A~110D)と、映像表示装置130と、映像記録装置140とを備えており、カメラ110は、表示用に生成されたライブ再生用ストリームを映像表示装置130に配信するライブ再生用ストリーム配信部115と、記録用に生成された録画用ストリームを映像記録装置140に配信する録画用ストリーム配信部116と、録画用ストリームを一時的に格納することが可能な一時記憶部114とを備え、録画用映像ストリームの配信中にライブ再生用ストリームの配信を開始するイベントが発生した場合に、録画用ストリームの配信を中断し、ライブ再生用ストリームの配信中に生成された録画用ストリームを一時記憶部114に格納するように構成されている。
【0039】
このような構成により、各カメラ110の一時記憶部114には、ライブ再生用ストリームの配信中に生成された未配信の録画用ストリームが格納されるため、その後の任意のタイミングで、未配信の録画用ストリームを配信することが可能である。したがって、各映像ストリームのビットレートを低減させることなく、列車内のIPネットワークの負荷を減らすことが可能となる。
【0040】
また、本例の列車監視システムにおいて、各カメラ110は、ライブ再生用ストリームの配信の終了に応じて、一時記憶部114内の未配信の録画用ストリームの配信を開始するように構成されている。これにより、各カメラ110から時系列順に録画用ストリームが配信されるので、映像録画装置140は、受信した通りに録画用ストリームを記録するだけでよい。
【0041】
また、本例の列車監視システムにおいて、各カメラ110は、未配信の録画用ストリームの配信が完了するまで、その間に生成される録画用ストリームの一時記憶部114への格納を継続し、未配信の録画用ストリームの配信の完了に応じて、その後に生成される録画用ストリームの配信を再開するように構成されている。これにより、各カメラ110は、途切れのない録画用ストリームを配信することが可能となる。
【0042】
ここで、上記の実施例において、各カメラ110は、ライブ再生用ストリームの配信の終了後、直ちに、一時記憶部114内の未配信の録画用ストリームの配信しているが、列車の運行終了後に、一時記憶部114内の未配信の録画用ストリームを撮影時刻情報と共に配信してもよい。この場合には、映像録画装置140が、事後的に受信した未配信の録画用ストリームを、その撮影時刻情報に基づいて、記録済みの録画用ストリームの間に挟み込む処理を行うことで、時系列順に途切れのない録画用ストリームを得ることが可能となる。
【0043】
ここで、映像表示装置130に対するライブ再生用ストリームの配信と映像記録装置140に対する映像記録用ストリームの配信は、制御装置150により制御することが可能である。このような制御装置150は、例えば、プロセッサやメモリなどのハードウェア資源を備えたコンピュータが、本発明に係る各処理を実現するためのプログラムをメモリから読み出し、そのプログラムをプロセッサにて実行することで実現され得る。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これら実施形態は例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明は、その他の様々な実施形態をとることが可能であると共に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等の種々の変形を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0045】
また、本発明は、上記の説明で挙げたような装置や、これら装置で構成されたシステムとして提供することが可能なだけでなく、これら装置により実行される方法、これら装置の機能をプロセッサにより実現させるためのプログラム、そのようなプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、表示用の映像ストリームと録画用の映像ストリームを配信する機能を持つカメラに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
101,102,103:車両、 110A~110D:カメラ、 120:中継装置、 130:映像表示装置、 140:映像記録装置、 150:制御装置、 111:撮像部、 112:ライブ再生用ストリーム生成部、 113:録画用ストリーム生成部、 114:一時記憶部、 115:ライブ再生用ストリーム配信部、 116:録画用ストリーム配信部、 117:配信制御部

図1
図2
図3
図4
図5