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  • 特開-ウォッシャノズルの取付構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046941
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ウォッシャノズルの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/52 20060101AFI20240329BHJP
   B05B 15/658 20180101ALI20240329BHJP
【FI】
B60S1/52
B05B15/658
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152324
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永山 健太
(72)【発明者】
【氏名】菅原 眞次
(72)【発明者】
【氏名】養父 昌平
【テーマコード(参考)】
3D225
4D073
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AB01
3D225AC02
3D225AD02
3D225AD09
3D225AF08
4D073AA09
4D073BB03
4D073CA11
4D073CA19
4D073CA20
4D073CB02
4D073CB07
4D073CB14
(57)【要約】
【課題】ウォッシャノズルをぐらつきなく固定する。
【解決手段】ウォッシャノズル18は、ノズル本体22と、ノズル底面22aに立設されたノズル軸部24および1対の係合突起26とを含む。1対の係合突起26は、ノズル軸部24を挟む位置に配置されている。係合突起26は、先端側に位置する太径部30と、基端側に位置し、太径部30の最大直径より小さい直径の細径部32とを有する。取付対象部には、中心孔36と、1対の係合孔38が形成されている。係合孔38は、大径部40と、大径部40から円弧状に延びる円弧部42を有する。ノズル軸部24を中心孔36に、1対の係合突起26を1対の係合孔38の大径部40にそれぞれ挿入し、ウォッシャノズル18を回転させて、1対の係合突起26と係合孔38の円弧部42を係合させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォッシャノズルを取付対象部に取り付けるウォッシャノズルの取付構造であって、
前記ウォッシャノズルは、
ウォッシャ液を噴出するノズル孔を備えたノズル本体と、
前記ノズル本体の前記取付対象部に対向する対向面に立設された軸部と、
前記対向面の、前記軸部を挟む位置に立設された1対の係合突起であって、先端側に位置する太径部と、基端側に位置し、前記太径部の最大直径より小さい直径の細径部とを有する1対の係合突起と、
を含み、
前記取付対象部には、
前記軸部を受け入れる中心孔と、
前記1対の係合突起をそれぞれ受け入れる1対の係合孔であって、前記係合突起の前記太径部が通過可能な大径部と、前記大径部から前記中心孔と同心の円周に沿って延び、前記太径部の最大直径より狭く前記細径部の直径より広い幅を有する円弧部とを有する1対の係合孔と、
が形成され、
前記ウォッシャノズルの前記軸部および前記1対の係合突起を、それぞれ対応する前記取付対象部の前記中心孔および前記係合孔の前記大径部に挿入し、前記ウォッシャノズルを前記軸部を中心に回転させ、前記1対の係合突起を前記係合孔の前記円弧部に係合させて、当該ウォッシャノズルが取り付けられる、
ウォッシャノズルの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のウォッシャノズルの取付構造であって、前記1対の係合孔の前記円弧部は、前記大径部に隣接し、かつ当該大径部から離れるに従って幅が細くなるテーパ部分を有する、ウォッシャノズルの取付構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のウォッシャノズルの取付構造であって、前記1対の係合孔の前記円弧部の縁には、前記ウォッシャノズルの取付過程において前記係合突起が当該円弧部の端に達する直前の位置に、前記ウォッシャノズルの回転操作にクリック感を与える隆起が形成されている、ウォッシャノズルの取付構造。
【請求項4】
請求項1に記載のウォッシャノズルの取付構造であって、前記ノズル本体は、前記対向面に、前記軸部および前記1対の係合突起を一緒に囲むように設けられた環状の突条を有し、前記突条は、前記ウォッシャノズルが取り付けられた際には、前記取付対象部との隙間をシールする、ウォッシャノズルの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓等にウォッシャ液を噴射するウォッシャノズルを車体に取り付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、ウインドシールドやリヤウインドウの表面にウォッシャ液を噴射するウォッシャノズルが備えられている。下記特許文献1には、ウォッシャノズル(10)を車体パネル(20)に取り付けるための取付構造が示されている。ウォッシャノズル(10)の固定支持部(14)には、弾性を有する係止爪(15)が設けられ、一方、車体パネル(20)には、取付孔(21)が形成されている。係止爪(15)をたわませて、固定支持部(14)を取付孔(21)に挿入し、弾性によりたわみが戻った係止爪(15)を取付孔(21)の縁に係合させて、ウォッシャノズル(10)が車体に取り付けられる。下記特許文献2にも、弾性係止片(51g)を車体の一部であるカウルトップ(22)に形成された設置孔(22a)の縁に係止してウォッシャノズル(5)を車体に取り付ける構造が示されている。なお、上記の( )内の符号は、それぞれの特許文献で用いられている符号であり、本願の実施形態の説明で用いられる符号とは関連しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-117087号公報
【特許文献2】特開2008-13040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弾性を有する係止爪、係止片を利用したウォッシャノズルの取付においては、係止爪等と取付孔が確実に係合しないために、ウォッシャノズルが車体に対してぐらつく状態で取り付けられる場合がある。この場合、ウォッシャ液の噴射の反力で噴射方向が変わり、所定の位置にウォッシャ液を掛けることができなくなる。また、係止爪が折れて、ウォッシャノズルが車体から外れる場合がある。
【0005】
本発明は、車体に対してウォッシャノズルを確実に固定する取付構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るウォッシャノズルを取付対象部に取り付けるウォッシャノズルの取付構造は、ウォッシャノズルに設けられた突起と取付対象部に形成された孔との係合により、ウォッシャノズルを取付対象部に固定する。ウォッシャノズルは、ウォッシャ液を噴出するノズル孔を備えたノズル本体と、ノズル本体の取付対象部に対向する対向面に立設された軸部と、対向面の、軸部を挟む位置に立設された1対の係合突起とを含む。係合突起は、先端側に位置する太径部と、基端側に位置し、太径部の最大直径より小さい直径の細径部とを有する。取付対象部には、軸部を受け入れる中心孔と、1対の係合突起をそれぞれ受け入れる1対の係合孔が形成されている。係合孔は、係合突起の太径部が通過可能な大径部と、大径部から中心孔と同心の円周に沿って延び、太径部の最大直径より狭く細径部の直径より広い幅を有する円弧部とを有する。ウォッシャノズルの軸部および1対の係合突起を、それぞれ対応する取付対象部の中心孔および係合孔の大径部に挿入し、ウォッシャノズルを軸部を中心に回転させ、1対の係合突起を係合孔の円弧部に係合させて、当該ウォッシャノズルが取り付けられる。
【0007】
弾性変形する係止爪、係止片を用いていないため、ウォッシャノズルを取付対象部にぐらつかないように固定することができる。また、係止爪、係止片の破損による固定不良を避けることができる。
【0008】
上記のウォッシャノズルの取付構造において、1対の係合孔の円弧部は、大径部に隣接し、かつ当該大径部から離れるに従って幅が細くなるテーパ部分を有するものとすることができる。係合突起、特にその細径部を、係合孔の大径部から円弧部に滑らかに誘導することができる。
【0009】
上記のウォッシャノズルの取付構造において、1対の係合孔の円弧部の縁には、ウォッシャノズルの取付過程において係合突起が当該円弧部の端に達する直前の位置に、ウォッシャノズルの回転操作にクリック感を与える隆起が形成されてよい。係合突起が円弧部の端に達したことを、ウォッシャノズルを装着する者に示すことができる。
【0010】
上記のウォッシャノズルの取付構造であって、ノズル本体は、対向面に、軸部および1対の係合突起を一緒に囲むように設けられた環状の突条を有してよく、この突条は、ウォッシャノズルが取り付けられた際には、取付対象部との隙間をシールする。
【発明の効果】
【0011】
係止爪、係止片等の弾性を利用する取付構造ではないので、ウォッシャノズルをぐらつかないように固定することができる。また、ウォッシャ液の噴射の反力によるウォッシャノズルの動きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】車両の前部、特にフードおよびウインドシールドと、その周囲の構成を示す図である。
図2】ウォッシャノズルと、ウォッシャノズルを取り付けるカウルルーバの台座を示す図である。
図3】カウルルーバの台座に設けられた、ウォッシャノズルを取り付けるための中心孔および係合孔を示す図である。
図4】カウルルーバの台座の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。図1は、車両10の前部、特にフード12およびウインドシールド14とその周囲を示す図である。ウインドシールド14の前縁に隣接し、フード12との境界の車体の一部であるカウルルーバ16には、ウインドシールド14に向けてウォッシャ液を噴射するウォッシャノズル18が取り付けられている。より詳細には、カウルルーバ16に、周囲から台地状に突出した台座20を設け、ここにウォッシャノズル18が取り付けられる。ウォッシャノズル18およびカウルルーバ16は、合成樹脂製とすることができる。
【0014】
図2は、ウォッシャノズル18と、ウォッシャノズル18の取付対象部であるカウルルーバ16の台座20とを示す図である。(a)に示す図がウォッシャノズル18の側面図であり、(b)に示す図が台座20を示す斜視図である。
【0015】
ウォッシャノズル18は、車体表面に露出し、ウォッシャ液を噴出するノズル孔を有するノズル本体22と、カウルルーバ16の台座20を貫通するノズル軸部24および2つの係合突起26とを有する。ノズル本体22は、台座20に対向する面であるノズル底面22aを有し、ノズル軸部24および2つの係合突起26は、ノズル底面22aに立設されている。ノズル軸部24は、略円柱形状を有し、円柱の中心軸線に沿って延びる流路が形成されており、この流路をウォッシャ液が通る。ノズル軸部24の先端部(図2において下側の端部)には、ウォッシャ液を供給するチューブ(不図示)が結合されるチューブ結合部28が形成されている。ウォッシャ液は、チューブを介してウォッシャノズル18に送られ、ノズル軸部24内の流路を通ってノズル本体22のノズル孔に送られ、ここから噴射される。
【0016】
2つの係合突起26は、ノズル軸部24を挟む位置に配置され、ノズル軸部24からは離れている。係合突起26は、ノズル軸部24の中心軸線に関して対称に配置されてよい。2つの係合突起26は同形状であり、先端側(図2において下側)に位置する太径部30と、基端側に位置し太径部30の最大直径より小さい直径の細径部32を有している。太径部30は、先端部に先細となる円錐形または円錐台形のテーパ部34を有している。細径部32は円柱形であり、細径部32の直径は、太径部30のテーパ部34の最大直径よりも小さい。
【0017】
台座20は、カウルルーバ16から隆起しており、頂面20aが平面に形成されている。頂面20aには、ウォッシャノズル18のノズル軸部24と2つの係合突起26をそれぞれ通すための3つの孔が設けられている。ノズル軸部24が通る中心孔36は、ノズル軸部24とほぼ等しい直径の円形孔である。係合突起26が通る係合孔38は、係合突起26の太径部30が通過可能な大径部40と、大径部40から中心孔36と同心の円周に沿って延びる円弧部42を有する。円弧部42の幅、すなわち円弧部42が延びる方向に直交する方向の寸法は、ノズル軸部24の太径部30より狭く、細径部32よりも広い。
【0018】
ノズル底面22aには、ノズル軸部24および2つの係合突起26を一緒に囲むように環状の突条44が設けられている。突条44は、ウォッシャノズル18が台座20に取り付けられたとき、台座20の頂面20aに当接して、この頂面20aとの隙間を封止する。
【0019】
図3は、台座20の頂面20a、特に中心孔36および係合孔38の形状を示す平面図、図4は、台座20の断面図である。中心孔36は、点Oを中心とする円形孔であり、ノズル軸部24の基部との関係において、はめ合い公差がすきまばめとなる直径を有する。係合孔38は、中心孔36の中心Oを中心とする円弧Aに沿って延びており、一端に係合突起26の太径部30より大きな直径を有する円形の大径部40が設けられ、大径部40から円弧Aに沿って延びる円弧部42が設けられている。円弧部42の幅は、前述のようにノズル軸部24の太径部30より狭く、細径部32よりも広い。このため、係合突起26が、円弧部42に係合しているとき、ウォッシャノズル18は、台座20から外れなくなる。
【0020】
円弧部42の幅は、大径部40の隣接位置の幅waが大きく、大径部40から離れるに従って狭くなり、末端部の幅wbは係合突起26の細径部32との関係において、はめ合い公差がすきまばめとなる寸法となっている。また、円弧部42の大径部40に隣接する位置の幅waは、末端部の幅wbと等しくてもよい。円弧部42の末端部の手前の位置に、円弧部42の幅を狭くする隆起46が設けられている。円弧部42は、大径部40に隣接する位置から、隆起46のふもとまでの区間が、大径部40から離れるに従って幅が細くなるテーパ部分48として形成されている。
【0021】
台座20に形成された中心孔36の縁、特に中心孔36の壁面と台座の頂面20aとが接続して形成された縁には面取り50が施されてよい。面取り50は、丸面取り、または角面取りとしてよい。台座20に形成された係合孔38の縁、特に係合孔38の壁面と台座の頂面20aとが接続して形成された縁にも面取り52が施されてよい。面取り52も、丸面取り、または角面取りとしてよい。係合孔38の面取り52は、大径部40の縁にのみ施されてもよい。
【0022】
ウォッシャノズル18を取り付ける際には、まずノズル軸部24を台座20の中心孔36に挿入する。続けて、2つの係合突起26をそれぞれ対応する係合孔38の大径部40に挿入する。係合突起26の先端部のテーパ部34および係合孔38の大径部40の縁の面取りにより、係合突起26の位置が係合孔38から若干ずれていても、係合突起26が大径部40内に誘導される。ノズル本体22が台座20に当接するまで、つまりノズル底面22aが台座の頂面20aに接するまでウォッシャノズル18が挿入されると、係合突起26の太径部30は、台座20の係合孔38を通過し、細径部32が係合孔38に対応する位置となる。
【0023】
次に、ウォッシャノズル18をノズル軸部24を軸として回転させると、係合突起26は、係合孔38の円弧部42に進入する。円弧部42のテーパ部分48により、係合突起26は、係合孔38の大径部40から円弧部42に滑らかに誘導される。係合突起26の細径部32が隆起46を通過する際、隆起46の部分で円弧部42の幅が細径部32の直径より若干狭くなっているために、ウォッシャノズル18の回転操作に対してクリック感が与えられる。
【0024】
細径部32は、隆起46を越えると円弧部42の末端部に達する。図3によく示されるように、隆起46は、係合突起26の細径部32が末端部に達する直前の位置に設けられ、末端部に位置する細径部32が大径部40側に向けて移動することを抑制する。また、係合孔38の円弧部42の縁を、係合突起26の太径部30とノズル本体22とで挟むようにして、ウォッシャノズル18が台座20に固定される。
【0025】
最後に、チューブ結合部28にウォッシャ液を送るチューブを結合して、ウォッシャノズル18の取り付けが終了する。
【0026】
ウォッシャノズル18を取り外す際には、取り付け時と逆に回転させて取り外す。弾性を有する係止爪または係止片による取り付けの場合には、係止爪による係止の解除作業が手間となるが、このウォッシャノズル18では、回転させるだけで係合の解除ができ、作業が容易となる。また、繰り返し着脱が可能である。
【0027】
以上は、ウインドシールドに向けてウォッシャ液を噴射するウォッシャノズルについて説明したが、本発明は、リヤウインドウなどの他のウインドウガラスや、前照灯に向けてウォッシャ液を噴射するウォッシャノズルに適用することもできる。
【符号の説明】
【0028】
10 車両、12 フード、14 ウインドシールド、16 カウルルーバ、18 ウォッシャノズル、20 台座、20a 台座の頂面、22 ノズル本体、22a ノズル底面(対向面)、24 ノズル軸部、26 係合突起、28 チューブ結合部、30 太径部、32 細径部、34 テーパ部、36 中心孔、38 係合孔、40 大径部、42 円弧部、44 突条、46 隆起、48 テーパ部分、50,52 面取り。
図1
図2
図3
図4