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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046944
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】乗用苗移植機の安全装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240329BHJP
   A01C 11/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A01C11/02 350Z
A01C11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152328
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】石山 和宏
(72)【発明者】
【氏名】中西 康仁
(72)【発明者】
【氏名】名本 学
(72)【発明者】
【氏名】奥平 雄右
(72)【発明者】
【氏名】荒井 毅
(72)【発明者】
【氏名】山崎 仁史
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和之
(72)【発明者】
【氏名】景浦 宏一
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】栗田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】山下 智志
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和哉
(72)【発明者】
【氏名】川崎 優太
(72)【発明者】
【氏名】八塚 浩一
(72)【発明者】
【氏名】沖本 章
【テーマコード(参考)】
2B060
2B064
【Fターム(参考)】
2B060AA10
2B060AC03
2B060AD09
2B060AE10
2B060BA04
2B060BB08
2B060CA01
2B064AA05
2B064AA07
2B064AB01
2B064BA25
2B064BA26
(57)【要約】
【課題】乗用苗移植機は走行車体に設けた座席に座った作業者が操縦操作を行いながら走行車体の後部に設ける苗移植装置で自動的に苗の移植動作を行うので、作業者に危害を与える虞が少ないが、補助作業者が走行車体の近くで作業をしている場合には注意が必要である。本発明は、乗用苗移植機が移植作業を行っている際に補助作業者が不用意に接近しても危害が及ばないようにすることを課題とする。
【解決手段】走行車体2の後部に設ける苗植付部4で苗の移植作業を行う乗用苗移植機において、苗植付部4の苗植付装置52を囲んでその上部を覆う苗植付部カバー80を設けたことを特徴とする乗用苗移植機の安全装置とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の後部に設ける苗植付部(4)で苗の移植作業を行う乗用苗移植機において、苗植付部(4)の苗植付装置(52)を囲んでその上部を覆う苗植付部カバー(80)を設けたことを特徴とする乗用苗移植機の安全装置。
【請求項2】
走行車体(2)の座席(31)と苗植付部(4)の間に施肥装置(5)を設け、この施肥装置(5)の肥料ホッパ(60)下部に繰出しギヤ(84)の回転で肥料を繰出部(61)に繰出す施肥装置(5)を設けた乗用苗移植機の安全装置において、繰出しギヤ(84)の回転を断続する繰出しクラッチレバー(85)を肥料ホッパ(60)の平面シルエット内で座席(31)に向けて突設したことを特徴とすると乗用苗移植機の安全装置。
【請求項3】
走行車体(2)の座席(31)に作業者が座って操縦操作する乗用苗移植機の安全装置において、座席(31)に作業者が着座したのを検出する着座センサ(89を設け、作業者が座席(31)に着座して着座センサ(89)が着座を検出すると走行変速レバー(39)の変速操作を可能とし、走行中に座席(31)から離れても走行変速レバー(39)の変速位置を維持することを特徴とする乗用苗移植機の安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場で苗の移植作業を行う乗用苗移植機の安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用苗移植機は、特開2021―132575号公報や特許第5056677号公報に記載の如く、走行車体の後部に苗植付部を設けて、苗植付部に設けた苗植付装置が苗載台に搭載した苗マットから苗株を掻き取って圃場に移植している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021―132575号公報
【特許文献2】特許第5056677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗用苗移植機は走行車体に設けた座席に座った作業者が操縦操作を行いながら走行車体の後部に設ける苗移植装置で自動的に苗の移植動作を行うので、作業者に危害を与える虞が少ないが、補助作業者が走行車体の近くで作業をしている場合には注意が必要である。
【0005】
本発明は、乗用苗移植機が移植作業を行っている際に補助作業者が不用意に接近しても危害が及ばないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0007】
請求項1の発明は、走行車体2の後部に設ける苗植付部4で苗の移植作業を行う乗用苗移植機において、苗植付部4の苗植付装置52を囲んでその上部を覆う苗植付部カバー80を設けたことを特徴とする乗用苗移植機の安全装置とする。
【0008】
請求項2の発明は、走行車体2の座席31と苗植付部4の間に施肥装置5を設け、この施肥装置5の肥料ホッパ60下部に繰出しギヤ84の回転で肥料を繰出部61に繰出す施肥装置5を設けた乗用苗移植機おいて、繰出しギヤ84の回転を断続する繰出しクラッチレバー85を肥料ホッパ60の平面シルエット内で座席31に向けて突設したことを特徴とすると乗用苗移植機の安全装置とする。
【0009】
請求項3の発明は、走行車体2の座席31に作業者が座って操縦操作する乗用苗移植機において、座席31に作業者が着座したのを検出する着座センサ89を設け、作業者が座席31に着座して着座センサ89が着座を検出すると走行変速レバー39の変速操作を可能とし、走行中に座席31から離れても走行変速レバー39の変速位置を維持することを特徴とする乗用苗移植機の安全装置とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明で、乗用苗移植機で作業する作業者は前方に向かって圃場面を見ながら走行車体2を前進させて操縦操作を行うことで、走行車体の後部に設けた苗植付部4の苗植付装置52が自動的に苗を圃場へ移植するが、圃場で作業する補助作業者が不用意に近づくことがあっても苗植付装置52が苗植付装置カバー80で覆われているために、補助作業者の手や足が苗植付装置52に巻き込まれて危険な状態なることがない。また、苗植付装置カバー80を強固にすることで、苗を補給する作業を作業者が苗植付部カバー80に乗って安全に行うことも出来る。
【0011】
請求項2の発明で、走行車体2に搭乗して座席31に座って移植作業を行う作業者は振り返って施肥装置5のオン・オフを行って繰出部61から繰り出す施肥量を調節するが、繰出しギヤ84の回転を操作する繰出しクラッチレバー85が肥料ホッパ60の平面シルエット内に納まっているので、手探りで操作しても安全である。
【0012】
請求項3の発明で、作業者は走行車体2に搭乗して座席31に座ることで走行変速レバー39を操作して走行車体2を走行させて移植作業を行えるが、走行中は立ち上がって座席31から離れて苗マットの補充作業を行うことがあっても走行変速レバー39は変速位置を維持して走行を続けるので、移植作業を安全に継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の側面図である。
図2】同上乗用型田植機の平面図である。
図3】同上乗用型田植機の苗植付部の拡大側面図である。
図4】同上乗用型田植機の苗載台の支持構造の概略背面図である。
図5】同上乗用型田植機の苗植付部の概略平面図である。
図6】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の後部斜視図である。
図7】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の施肥装置の左側面図である。
図8】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の肥料ホッパの後斜視図である。
図9】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の座席と走行変速レバーの連動説明側面図である。
図10】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の行変速レバーの部分拡大側断面図である。
図11】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の走行変速レバーの部分拡大平面図である。
図12】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の植付伝動軸の側断面図である。
図13】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の燃料タンクを示す斜視図である。
図14】本発明の実施形態にかかる苗箱の一部斜視図である。
図15】(A),(B),(C)本発明の実施形態にかかる苗箱から苗マットを取り出す作業の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0015】
まず、従来の乗用苗移植機の概要を説明し、その後に、本発明の構成を説明する。
【0016】
図1及び図2は施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0017】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸11aに後輪11,11が取り付けられている。
【0018】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及び静油圧式無段変速装置(HST)23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
【0019】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0020】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0021】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a、・・・に供給する苗送りベルト51b、・・・により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、・・・に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、・・・、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(図示せず)等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、・・・により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎い角センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0022】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、・・・によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、・・・でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)まで導き、施肥ガイドの前側に設けた作溝体69、・・・によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、・・・に吹き込まれ、施肥ホース62、・・・内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0023】
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(27a,27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0024】
図3の側面図と図4の背面図にロータ支持構造の要部を示し、図5にロータ27a,27bとフロート55,56と苗植付装置52部分の要部平面図を示す。ロータ支持構造には、苗載台51の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した支持アーム67と該支持アーム67に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム68が設けられている。該ロータ支持フレーム68の下端にはロータ27(27a,27b)の駆動軸部70(70a,70b)が取り付けられている。また、該ロータ支持フレーム68の下端部近くは伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結している。
【0025】
なお、図5に示すようにロータ駆動ケース87のクラッチシフタ97及び該シフタ97作動用のクラッチケーブル99を後輪ギヤケース18の内側で、かつ機体中央部へ配置している。
【0026】
ロータ昇降用モータ63が梁部材66の軸方向延長線上に設けられている。図5に示すように、フロート55,56との配置位置の関係でセンターフロート55の前方にあるロータ(センタロータということがある)27bはサイドフロート56の前方にあるロータ(サイドロータということがある)27aより前方に配置されている。そのため、左側のロータ27aの駆動軸部70aへの動力は後輪11のギヤケース18内のギヤからロータ駆動ケース87内のギヤに伝達され、該ロータ駆動ケース87から自在継手72等を介して伝達され、ロータ27bの駆動軸部70bは左側のロータ27aの駆動軸部70aの車体内側の端部から動力が伝達されるチェーンケース73内のチェーン(図示せず)から動力伝達される。また、右側のロータ27aの駆動軸部70aはロータ27bの駆動軸部70bから右側のチェーン(図示せず)を介して動力伝達される。
【0027】
ロータ27bの駆動軸部70bは左クラッチシフタース73,73を介して支持されているだけなので、チェーンケース73,73の補強のために左右一対のチェーンケース73,73を橋渡しする補強部材74が設けられている。
【0028】
また、ロータ27bは梁部材66に上端部が支持された一対のリンク部材76,77によりスプリング78を介して吊り下げられている。該一対のリンク部材76,77は梁部材66に一端部が固着支持された第一リンク部材76と該第一リンク76の他端部に一端が回動自在に連結した第二リンク部材77からなり、該第二リンク部材77の他端部と補強部材74に回動自在に支持された取付片74aとの間に前記スプリング78が接続している。
【0029】
ロータ昇降用モータ63の作動により第一リンク部材76を上方へ回動する向きに梁部材66が回動し、該梁部材66の回動に伴って、第一リンク部材76と第二リンク部材77とスプリング78を介してロータ27bを上方に上げることができる。ロータ27bを上方に移動させると、駆動軸部70bと駆動軸部70aを介してロータ27aも同時に上方に移動する。
【0030】
図6は、本発明の構成を示し、苗植付部4の後において、苗載台51の後端で苗植付装置52の上側を左右に覆う苗植付部カバー80を昇降フレームの伝動ケース50に左右の取付ブラケット81で取り付けている。この苗植付部カバー80は左カバー80Lと右カバー80Rに左右分割してそれぞれの左右端部側を中心に起立回動可能にヒンジで取り付けて、上方へ開くことで下部の苗植付装置52のメンテナンスを行えるようにしている。
【0031】
この苗植付部カバー80は伝動ケース50へ強固に取り付けることで、作業者が乗り上がって苗載台51への苗マット供給作業を行えるようになる。
【0032】
図7は、施肥装置5の肥料ホッパ60下部に設ける樹脂ギヤ84をガードケース86で覆い、このガードケース86から座席31の後部に向けて繰出しクラッチレバー85を肥料ホッパ60の平面シルエットから前に突出させないで設けているので、作業者が後手で繰出しクラッチレバー85を操作しても手を傷つけない。
【0033】
図8は、肥料ホッパ60の前面に上下スライドのシャッター60aを設け、このシャッター60aを開いて内部の繰出しクラッチレバー85を操作するようにした構成で、雨や泥水が侵入しない。
【0034】
図9,10,11は、走行変速レバー94の変速規制構成を示し、座席31は前下部を枢軸31aでエンジンカバー30に枢支して、座ると後部が下がって水平になるようにしている。座席31の下部にはセンサアーム89が枢軸89aで枢支され、座席31が下がるとロッド92がセンサアーム89を押し下げてセンサアーム89が回動する。
【0035】
一方、走行変速レバー94は、変速ガイド96から上方に突出しているが、その中立位置に規制アーム93がバネ95で規制位置に保持されている。そして、前記センサアーム89と規制アーム93がワイヤ90で連結され、座席31に作業者が座ってセンサアーム89が回動すると規制アーム93がバネ95に抗して回動されて、変速規制位置から外れて走行変速レバー94を前後進走行位置に回動可能になる。
【0036】
そして、走行変速レバー94を前進走行位置にすると、作業者が座席31から立ち上がっても走行変速レバー94はそのままで変速位置に保持されて走行が可能になる。
【0037】
なお、座席31へ座ったのを電磁スイッチで検出し、走行変速レバー94の変速規制を電磁スイッチのオンで作動するソレノイドで行うことも可能である。また、作業者が乗用苗移植機を畦越えで圃場から脱出する際に使用する畦越え走行レバーの回動部にスイッチを設け、使用する場合は、走行変速レバー94の変速規制をソレノイドで解除して走行可能にすることが出来る。
【0038】
図12は、植付クラッチケース25から苗植付装置52に駆動力を伝動する自在継手で連結した植付伝動軸26を示し、両端の取付部にジャバラを設けた軸ガード106で覆って植付伝動軸26に藁屑等が巻き付かないようにしている。
【0039】
図13は、エンジンカバー30の左右後部にリヤステップ36に代えて燃料タンク70を設けた構成で、この燃料タンク70の上面をエンジンカバー30の高さと同じにすることで座席31の側部が左右にフラットな平面となって、作業者が予備苗載台38の苗箱から苗載台51に苗マットを補給する作業が行い易くなる。
【0040】
図14は、新構成の苗箱105で、内側底面に水抜き孔を設けず、周縁の起立縁にスリット105aを設けている。
【0041】
図15の(A)の如く、苗箱105のスリット105aに掬い取りフオーク106を差し込んで、(B)の如く、苗マット107を持ち上げ、(C)の如く、苗マット107をストッパ108にかけて掬い取りフオーク106を引き抜くと苗マット107が取り出せるので、苗マット107の自動取出し機構に利用出来る。
【符号の説明】
【0042】
2 走行車体
4 苗植付部
5 施肥装置
31 座席
89 着座センサ
52 苗植付装置
60 肥料ホッパ
61 繰出部
80 苗植付部カバー
84 繰出しギヤ
85 繰出しクラッチレバー
89 着座センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15