(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046955
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】配線回路基板の製造方法、および、配線回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/05 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
H05K1/05 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152345
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】福島 健太
(72)【発明者】
【氏名】高倉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 良介
【テーマコード(参考)】
5E315
【Fターム(参考)】
5E315AA03
5E315BB04
5E315BB05
5E315BB15
5E315BB16
5E315CC01
5E315DD15
5E315DD16
5E315GG22
(57)【要約】
【課題】配線支持部のファインピッチ化を図ることができる配線回路基板の製造方法、および、配線回路基板を提供する。
【解決手段】
配線回路基板1の製造方法は、基材Sを準備する準備工程と、厚み方向における基材Sの一方側に第1絶縁層14を形成する第1パターニング工程と、厚み方向における第1絶縁層14の一方側に導体パターン15を形成する第2パターニング工程と、基材Sをエッチングして厚み方向における第1絶縁層14の他方側に第1金属支持層11を形成するエッチング工程と、厚み方向における第1金属支持層11の他方側に金属を堆積させて第2金属支持層12を形成する堆積工程とを含む。第2金属支持層12は、導体パターン15の端子151A,151Bを支持する端子支持部111Aと、導体パターン15の配線153Aを支持する配線支持部121Aと、導体パターン15の配線153Bを支持する配線支持部121Bとを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を準備する準備工程と、
厚み方向における前記基材の一方側に、絶縁層を形成する第1パターニング工程と、
前記厚み方向における前記絶縁層の一方側に、第1端子と、第2端子と、前記第1端子と接続される第1配線と、前記第2端子と接続され、前記第1配線と間隔を隔てて並ぶ第2配線とを有する導体パターンを形成する第2パターニング工程と、
前記基材をエッチングして、前記厚み方向における前記絶縁層の他方側に、第1金属支持層を形成するエッチング工程と、
前記エッチング工程の後、前記厚み方向における前記第1金属支持層の他方側に金属を堆積させて、前記第1端子および前記第2端子を支持する端子支持部と、前記第1配線を支持する第1配線支持部と、前記第2配線を支持し、前記第1配線支持部と間隔を隔てて並ぶ第2配線支持部とを有する第2金属支持層を形成する堆積工程と
を含む、配線回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記堆積工程の前に、前記厚み方向において前記第1金属支持層の他方面上に、金属からなる密着層を形成する密着層形成工程を、さらに含み、
前記堆積工程において、前記密着層の上に第2金属支持層を形成する、請求項1に記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項3】
絶縁層と、
前記厚み方向における前記絶縁層の一方側に配置され、第1端子と、第2端子と、前記第1端子と接続される第1配線と、前記第2端子と接続され、前記第1配線と間隔を隔てて並ぶ第2配線とを有する導体パターンと、
前記厚み方向における前記絶縁層の他方側に配置される第1金属支持層と、
前記厚み方向における前記第1金属支持層の他方側に配置され、前記第1端子および前記第2端子を支持する端子支持部と、前記第1配線を支持する第1配線支持部と、前記第2配線を支持し、前記第1配線支持部と間隔を隔てて並ぶ第2配線支持部とを有する第2金属支持層と、
を備え、
前記第1配線支持部の幅は、前記第1配線支持部と前記絶縁層との間に配置される前記第1金属支持層の幅よりも広い、配線回路基板。
【請求項4】
前記第1配線支持部は、前記第1配線支持部と前記絶縁層との間に配置される前記第1金属支持層の側面を被覆する、請求項3に記載の配線回路基板。
【請求項5】
前記第1金属支持層と前記第2金属支持層との間に配置される密着層を、さらに有する、請求項3に記載の配線回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板の製造方法、および、配線回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートシンクとして機能する金属系支持層を備える配線回路基板において、第1連結体と、第1連結体から離れて配置される第2連結体と、第1連結体と第2連結体との間に配置され、互いに間隔を隔てて並ぶ複数の配線体とを設けて、放熱性の向上を図ることが提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載されるような配線回路基板において、配線体のさらなるファインピッチ化が要望されている。
【0005】
本発明は、配線支持部のファインピッチ化を図ることができる配線回路基板の製造方法、および、配線回路基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明[1]は、基材を準備する準備工程と、厚み方向における前記基材の一方側に、絶縁層を形成する第1パターニング工程と、前記厚み方向における前記絶縁層の一方側に、第1端子と、第2端子と、前記第1端子と接続される第1配線と、前記第2端子と接続され、前記第1配線と間隔を隔てて並ぶ第2配線とを有する導体パターンを形成する第2パターニング工程と、前記基材をエッチングして、前記厚み方向における前記絶縁層の他方側に、第1金属支持層を形成するエッチング工程と、前記エッチング工程の後、前記厚み方向における前記第1金属支持層の他方側に金属を堆積させて、前記第1端子および前記第2端子を支持する端子支持部と、前記第1配線を支持する第1配線支持部と、前記第2配線を支持し、前記第1配線支持部と間隔を隔てて並ぶ第2配線支持部とを有する第2金属支持層を形成する堆積工程とを含む、配線回路基板の製造方法を含む。
【0007】
このような方法によれば、金属を堆積させることにより、第2金属支持層を、所定の形状(端子支持部と、第1配線支持部と、第2配線支持部とを有する形状)にパターニングする。
【0008】
そのため、エッチングなどの方法によって金属を除去することにより第2金属支持層をパターニングする場合と比べて、金属を過度に除去してしまうことなく、所望の形状の第2金属支持層を、安定に得ることができる。
【0009】
その結果、配線支持部のファインピッチ化を図ることができる。
【0010】
本発明[2]は、前記堆積工程の前に、前記厚み方向において前記第1金属支持層の他方面上に、金属からなる密着層を形成する密着層形成工程を、さらに含み、前記堆積工程において、前記密着層の上に第2金属支持層を形成する、上記[2]の配線回路基板の製造方法を含む。
【0011】
このような方法によれば、第1金属支持層と第2金属支持層との密着性を確保できる。
【0012】
本発明[3]は、絶縁層と、前記厚み方向における前記絶縁層の一方側に配置され、第1端子と、第2端子と、前記第1端子と接続される第1配線と、前記第2端子と接続され、前記第1配線と間隔を隔てて並ぶ第2配線とを有する導体パターンと、前記厚み方向における前記絶縁層の他方側に配置される第1金属支持層と、前記厚み方向における前記第1金属支持層の他方側に配置され、前記第1端子および前記第2端子を支持する端子支持部と、前記第1配線を支持する第1配線支持部と、前記第2配線を支持し、前記第1配線支持部と間隔を隔てて並ぶ第2配線支持部とを有する第2金属支持層とを備え、前記第1配線支持部の幅が、前記第1配線支持部と前記絶縁層との間に配置される前記第1金属支持層の幅よりも広い、配線回路基板を含む。
【0013】
このような構成によれば、厚み方向における絶縁層の他方側に、第1金属支持層と第2金属支持層とからなる厚い金属支持層を形成することができる。
【0014】
これにより、配線回路基板の放熱性を確保できる。
【0015】
さらに、このような構成の配線回路基板は、上記した製造方法を使って製造できるので、配線支持部のファインピッチ化を図ることもできる。
【0016】
本発明[4]は、前記第1配線支持部が、前記第1配線支持部と前記絶縁層との間に配置される前記第1金属支持層の側面を被覆する、上記[3]の配線回路基板を含む。
【0017】
このような構成によれば、第1金属支持層を、第1配線支持部のアンカーとして機能させることができる。
【0018】
これにより、第1金属支持層で配線支持部を安定に支えることができる。
【0019】
本発明[5]は、前記第1金属支持層と前記第2金属支持層との間に配置される密着層をさらに有する、上記[3]の配線回路基板を含む。
【0020】
このような構成によれば、第1金属支持層と第2金属支持層との密着性を確保できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の配線回路基板の製造方法、および、配線回路基板によれば、配線支持部のファインピッチ化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態としての配線回路基板の平面図である。
【
図4】
図4Aから
図4Dは、配線回路基板の製造方法を示す工程図であって、
図4Aは、準備工程を示し、
図4Bは、第1パターン工程を示し、
図4Cは、第2パターン工程を示し、
図4Dは、第3パターン工程を示す。
【
図6】
図6は、
図5Aに示すエッチング工程におけるエッチングレジストの配置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.配線回路基板
図1から
図3を参照して、配線回路基板1について説明する。
【0024】
図1に示すように、配線回路基板1は、2つの端子配置部2A,2Bと、複数の接続部3A,3B,3Cとを有する。端子配置部2A,2Bは、第1方向において、互いに間隔を隔てて配置される。第1方向は、配線回路基板1の厚み方向と直交する。端子配置部2A,2Bのそれぞれは、第2方向に延びる。第2方向は、第1方向および厚み方向の両方と直交する。端子配置部2Aには、後述する導体パターン15の端子151A,151B,151Cが配置される。端子配置部2Bには、後述する導体パターン15の端子152A,152B,152Cが配置される。
【0025】
接続部3A,3B,3Cは、端子配置部2Aと端子配置部2Bとを繋ぐ。接続部3A,3B,3Cは、第1方向において、端子配置部2Aと端子配置部2Bとの間に配置される。本実施形態では、接続部3A,3B,3Cのそれぞれは、第1方向に延びる。第1方向における接続部3A,3B,3Cのそれぞれの一端部は、端子配置部2Aと接続される。第1方向における接続部3A,3B,3Cのそれぞれの他端部は、端子配置部2Bと接続される。なお、接続部3A,3B,3Cのそれぞれの形状は、限定されない。接続部3A,3B,3Cのそれぞれは、直線形状であってもよいし、湾曲していてもよい。接続部3A,3B,3Cは、第2方向において、互いに間隔を隔てて並ぶ。言い換えると、接続部3A,3B,3Cは、接続部3Aが延びる方向と直交する方向において、互いに間隔を隔てて並ぶ。接続部3Aには、後述する導体パターン15の配線153Aが配置される。接続部3Bには、後述する導体パターン15の配線153Bが配置される。接続部3Cには、後述する導体パターン15の配線153Cが配置される。
【0026】
接続部3A,3B,3Cのそれぞれの幅W0は、例えば、300μm以下、好ましくは、250μm以下である。幅W0は、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上である。
【0027】
なお、「幅」とは、接続部が延びる方向および厚み方向の両方と直交する方向における最大の長さである。例えば、接続部3Aの「幅」とは、接続部3Aが延びる方向および厚み方向の両方と直交する方向における最大の長さである。本実施形態では、「幅」とは、第2方向における最大の長さである。
【0028】
接続部3A,3B,3Cのそれぞれの間隔D1は、例えば、300μm以下、好ましくは、250μm以下である。間隔D1は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上である。
【0029】
図2Aおよび
図2Bに示すように、配線回路基板1は、第1金属支持層11と、第2金属支持層12と、密着層13と、絶縁層の一例としての第1絶縁層14と、導体パターン15と、第2絶縁層16とを備える。
【0030】
(1)第1金属支持層
図2Aおよび
図2Bに示すように、第1金属支持層11は、厚み方向において、第1絶縁層14の他方側に配置される。第1金属支持層11は、厚み方向における第1絶縁層14の他方面上に配置される。第1金属支持層11は、厚み方向において、第2金属支持層12と第1絶縁層14との間に配置される。接続部3A,3B,3Cのそれぞれにおいて、厚み方向における第1金属支持部11の一方面の幅は、厚み方向における第1金属支持部11の他方面の幅よりも広い。接続部3A,3B,3Cのそれぞれの第1金属支持部11の幅は、厚み方向の他方側に向かうにつれて、狭くなる。言い換えると、接続部3A,3B,3Cのそれぞれの第1金属支持部11は、テーパ形状を有する。第1金属支持層11は、金属からなる。第1金属支持層11の材料として、例えば、銅、銅合金、ステンレス、ニッケル、チタン、および42アロイが挙げられる。第1金属支持層11の材料として、好ましくは、銅合金が挙げられる。
【0031】
第1金属支持層11の厚みT1は、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、例えば、30μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0032】
接続部3A,3B,3Cのそれぞれの第1金属支持層11の幅W1は、接続部3A,3B,3Cのそれぞれの幅W0(
図1参照)以下である。接続部3A,3B,3Cのそれぞれにおける第1金属支持層11の幅W1は、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0033】
接続部3A,3B,3Cのそれぞれにおける第1金属支持層11の幅W1は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上である。
【0034】
(2)第2金属支持層
第2金属支持層12は、第1金属支持層11とともに、第1絶縁層14、導体パターン15とおよび第2絶縁層16を支持する。第2金属支持層12は、厚み方向において、第1絶縁層14および第1金属支持層11の他方側に配置される。第2金属支持層12は、金属からなる。第2金属支持層12の材料として、例えば、銅、ニッケル、コバルト、鉄、および、これらの合金が挙げられる。合金として、例えば、銅合金が挙げられる。第2金属支持層12の材料は、第1金属支持層11の材料と同じでもよく、異なっていてもよい。第1金属支持層11の材料として、好ましくは、銅合金が挙げられる。
【0035】
第2金属支持層12の厚みT2は、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上であり、例えば、300μm以下、好ましくは、250μm以下である。第2金属支持層12は、好ましくは、第1金属支持層11よりも厚い。
【0036】
第1金属支持層11の厚みT1の厚みに対する第2金属支持層12の厚みT1の比率(T1/T2)は、例えば、1.5以上、好ましくは、2以上、より好ましくは、4以上であり、例えば、20以下、好ましくは、10以下である。
【0037】
図3に示すように、第2金属支持層12は、2つの端子支持部121A,121Bと、複数の配線支持部122A,122B,122Cとを有する。
【0038】
端子支持部121Aは、端子配置部2A(
図1参照)の第2金属支持層12である。端子支持部121Aは、導体パターン15のうちの少なくとも端子151A,151B,151Cを支持する。端子支持部121Aは、導体パターン15のうちの配線153A,153B,153Cのそれぞれの一部を支持してもよい。
【0039】
端子支持部121Bは、端子配置部2B(
図1参照)の第2金属支持層12である。端子支持部121Bは、第1方向において、端子支持部121Aと間隔を隔てて配置される。端子支持部121Bは、導体パターン15のうちの少なくとも端子152A,152B,152Cを支持する。端子支持部121Bは、導体パターン15のうちの配線153A,153B,153Cのそれぞれの一部を支持してもよい。
【0040】
配線支持部122Aは、接続部3A(
図1参照)の第2金属支持層12である。配線支持部122Aは、端子支持部121Aと端子支持部121Bとを繋ぐ。配線支持部122Aは、第1方向において、端子支持部121Aと端子支持部121Bとの間に配置される。配線支持部122Aは、第1方向に延びる。第1方向における配線支持部122Aの一端部は、端子支持部121Aと接続される。第1方向における配線支持部122Aの他端部は、端子支持部121Bと接続される。配線支持部122Aは、配線153A(
図1参照)を支持する。
【0041】
配線支持部122Bは、接続部3B(
図1参照)の第2金属支持層12である。配線支持部122Bは、端子支持部121Aと端子支持部121Bとを繋ぐ。配線支持部122Bは、第1方向において、端子支持部121Aと端子支持部121Bとの間に配置される。配線支持部122Bは、第1方向に延びる。第1方向における配線支持部122Bの一端部は、端子支持部121Aと接続される。第1方向における配線支持部122Bの他端部は、端子支持部121Bと接続される。配線支持部122Bは、配線153B(
図1参照)を支持する。配線支持部122Bは、第2方向において、配線支持部122Aと間隔を隔てて並ぶ。
【0042】
配線支持部122Cは、接続部3C(
図1参照)の第2金属支持層12である。配線支持部122Cは、端子支持部121Aと端子支持部121Bとを繋ぐ。配線支持部122Cは、第1方向において、端子支持部121Aと端子支持部121Bとの間に配置される。配線支持部122Cは、第1方向に延びる。第1方向における配線支持部122Cの一端部は、端子支持部121Aと接続される。第1方向における配線支持部122Cの他端部は、端子支持部121Bと接続される。配線支持部122Cは、配線153C(
図1参照)を支持する。配線支持部122Cは、第2方向において、配線支持部122Bと間隔を隔てて並ぶ。
【0043】
図2Bに示すように、配線支持部122A,122B,122Cのそれぞれの幅W2は、例えば、300μm以下、好ましくは、250μm以下である。配線支持部122A,122B,122Cのそれぞれの幅W2は、好ましくは、接続部3A,3B,3Cのそれぞれの幅W0(
図1参照)よりも狭い。配線支持部122A,122B,122Cのそれぞれの幅W2は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上である。配線支持部122A,122B,122Cのそれぞれの幅W2は、接続部3A,3B,3Cのそれぞれにおける第1金属支持層11の幅W1よりも広い。つまり、配線支持部122Aの幅W2は、配線支持部122Aと第1絶縁層14との間に配置される第1金属支持層11の幅W1よりも広く、配線支持部122Bの幅W2は、配線支持部122Bと第1絶縁層14との間に配置される第1金属支持層11の幅W1よりも広く、配線支持部122Cの幅W2は、配線支持部122Cと第1絶縁層14との間に配置される第1金属支持層11の幅W1よりも広い。
【0044】
配線支持部122Aは、配線支持部122Aと第1絶縁層14との間に配置される第1金属支持層11の、厚み方向の他方面、および、幅方向の両側面を被覆する。言い換えると、接続部3Aにおいて、第1金属支持層11は、配線支持部122A内に埋まっている。同様に、配線支持部122Bは、配線支持部122Bと第1絶縁層14との間に配置される第1金属支持層11の、厚み方向の他方面、および、幅方向の両側面を被覆する。言い換えると、接続部3Bにおいて、第1金属支持層11は、配線支持部122B内に埋まっている。配線支持部122Cは、配線支持部122Cと第1絶縁層14との間に配置される第1金属支持層11の、厚み方向の他方面、および、幅方向の両側面を被覆する。言い換えると、接続部3Cにおいて、第1金属支持層11は、配線支持部122C内に埋まっている。
【0045】
配線支持部122A,122B,122Cのそれぞれの幅W2に対する第2金属支持層12の厚みT2の比率(T2/W2)は、例えば、1以上、好ましくは、5以上である。比率(T2/W2)が上記下限値以上であると、放熱性の向上を図ることができる。比率(T2/W2)は、例えば、30以下、好ましくは、10以下である。比率(T2/W2)が上記上限値以下であると、支持強度の低下を抑制できる。
【0046】
配線支持部122A,122B,122Cのそれぞれの間隔D2は、例えば、300μm以下、好ましくは、250μm以下である。間隔D2は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上である。間隔D2は、好ましくは、間隔D1よりも長い。間隔D2が間隔D1よりも長いことにより、配線支持部122A,122B,122Cのそれぞれの間からの放熱性を確保できる。
【0047】
(3)密着層
図2Aおよび
図2Bに示すように、密着層13は、必要により、第1金属支持層11と第2金属支持層12との間に配置される。密着層13は、厚み方向における第1金属支持層11の他方面上、および、幅方向における第1金属支持層11の両側面上に配置される。密着層13は、第1金属支持層12と接触する。密着層13は、第1金属支持層11に対する第2金属支持層12の密着性を確保する。密着層13は、金属からなる。密着層13の材料として、例えば、銅、クロム、ニッケル、および、コバルトが挙げられる。
【0048】
密着層13の厚みは、例えば、0.05μm以上、好ましくは、0.1μm以上であり、例えば、50μm以下、好ましくは、10μm以下である。
【0049】
(4)絶縁層
第1絶縁層14は、厚み方向において、第1金属支持層11の一方側に配置される。第1絶縁層14は、厚み方向において、第1金属支持層11の一方面上に配置される。第1絶縁層14は、第1金属支持層11と導体パターン15との間に配置される。第1絶縁層14は、第1金属支持層11と導体パターン15とを絶縁する。第1絶縁層14は、樹脂からなる。樹脂として、例えば、ポリイミド、マレイミド、エポキシ樹脂、ポリベンゾオキサゾール、および、ポリエステルが挙げられる。
【0050】
(5)導体パターン
導体パターン15は、厚み方向において、第1絶縁層14の一方側に配置される。導体パターン15は、厚み方向における第1絶縁層14の一方面上に配置される。導体パターン15は、厚み方向において、第1絶縁層14に対して、第1金属支持層11および第2金属支持層12の反対側に配置される。導体パターン15は、金属からなる。金属として、例えば、銅、銀、金、鉄、アルミニウム、クロム、および、それらの合金が挙げられる。良好な電気特性を得る観点から、好ましくは、銅が挙げられる。導体パターン15の形状は、限定されない。
【0051】
図1に示すように、導体パターン15は、複数の端子151A,151B,151Cと、複数の端子152A,152B,152Cと、複数の配線153A,153B,153Cとを有する。
【0052】
端子151A,151B,151Cは、端子配置部2Aに配置される。端子151A,151B,151Cのそれぞれは、角ランド形状を有する。端子151A,151B,151Cは、互いに間隔を隔てて第2方向に並ぶ。
【0053】
端子152A,152B,152Cは、端子配置部2Bに配置される。端子152A,152B,152Cのそれぞれは、角ランド形状を有する。端子152A,152B,152Cは、互いに間隔を隔てて第2方向に並ぶ。
【0054】
配線153Aは、端子151Aと端子152Aとを電気的に接続する。配線153Aの一端部は、端子151Aと接続される。配線153Aの他端部は、端子152Aと接続される。配線153Aの少なくとも一部は、接続部3Aに配置される。
【0055】
配線153Bは、端子151Bと端子152Bとを電気的に接続する。配線153Bの一端部は、端子151Bと接続される。配線153Bの他端部は、端子152Bと接続される。配線153Bの少なくとも一部は、接続部3Bに配置される。配線153Bは、第2方向において、配線153Aと間隔を隔てて並ぶ。
【0056】
配線153Cは、端子151Cと端子152Cとを電気的に接続する。配線153Cの一端部は、端子151Cと接続される。配線153Cの他端部は、端子152Cと接続される。配線153Cの少なくとも一部は、接続部3Cに配置される。配線153Cは、第2方向において、配線153Bと間隔を隔てて並ぶ。
【0057】
(6)第2絶縁層
図2Bに示すように、第2絶縁層16は、全ての配線153A,153B,153Cを覆う。第2絶縁層16は、厚み方向において、第1絶縁層14の上に配置される。なお、第2絶縁層16は、
図1および
図2Aに示すように、端子151A,151B,151C、および、端子152A,152B,152Cを覆わない。第2絶縁層16は、樹脂からなる。樹脂としては、例えば、ポリイミド、マレイミド、エポキシ樹脂、ポリベンゾオキサゾール、および、ポリエステルが挙げられる。
【0058】
2.配線回路基板の製造方法
次に、
図4Aから
図6を参照して、配線回路基板1の製造方法について説明する。
【0059】
配線回路基板1の製造方法は、準備工程(
図4A参照)と、第1パターニング工程(
図4B参照)と、第2パターニング工程(
図4C参照)と、第3パターニング工程(
図4D参照)と、エッチング工程(
図5A参照)と、密着層形成工程(
図5B参照)と、堆積工程(
図5C参照)とを含む。なお、密着層形成工程は、必要により実施される。
【0060】
(1)準備工程
図4Aに示すように、準備工程では、基材Sを準備する。本実施形態では、基材Sは、金属箔のロールから引き出された金属箔である。基材Sの材料は、第1金属支持層11の材料と同じである。
【0061】
(2)第1パターニング工程
図4Bに示すように、第1パターニング工程では、厚み方向における基材Sの一方側に、第1絶縁層14を形成する。第1パターニング工程では、厚み方向における基材Sの一方面上に、第1絶縁層14を形成する。
【0062】
第1絶縁層14を形成するには、まず、基材Sの上に感光性樹脂の溶液(ワニス)を塗布して乾燥し、感光性樹脂の塗膜を形成する。次に、感光性樹脂の塗膜を露光および現像する。これにより、第1絶縁層14が、基材Sの上に、所定のパターンで形成される。
【0063】
(3)第2パターニング工程
図4Cに示すように、第2パターニング工程では、電解メッキにより、厚み方向における第1絶縁層14の一方側に、導体パターン15を形成する。
【0064】
詳しくは、まず、第1絶縁層14および基材Sの表面にシード層を形成する。シード層は、例えば、スパッタリングにより形成される。シード層の材料としては、例えば、クロム、銅、ニッケル、チタン、および、これらの合金が挙げられる。
【0065】
次に、シード層が形成された第1絶縁層14および基材Sの上に、メッキレジストを貼り合わせて、導体パターン15が形成される部分を遮光した状態で、メッキレジストを露光する。
【0066】
次に、露光されたメッキレジストを現像する。すると、遮光された部分のメッキレジストが除去され、導体パターン15が形成される部分にシード層が露出する。なお、露光された部分、すなわち、導体パターン15が形成されない部分のメッキレジストは、残る。
【0067】
次に、露出したシード層の上に、電解メッキにより、導体パターン15を形成する。
【0068】
電解メッキが終了した後、メッキレジストは、剥離される。その後、メッキレジストによって覆われていたシード層を、エッチングにより除去する。
【0069】
(4)第3パターニング工程
次に、
図4Dに示すように、第3パターニング工程では、第1絶縁層14および導体パターン15の上に、第1絶縁層14と同様にして、第2絶縁層16を形成する。
【0070】
以上により、厚み方向における基材Sの一方面上に回路パターンが形成される。
【0071】
(5)エッチング工程
次に、
図5Aに示すように、エッチング工程では、基材Sをエッチングして、厚み方向における第1絶縁層14の他方側に、第1金属支持層11を形成する。
【0072】
詳しくは、エッチング工程では、まず、
図6に示すように、基材Sの両面にエッチングレジストR1を形成する。エッチングレジストR1は、基材Sのうち、端子支持部111A,111Bが形成される第1領域A1を覆い、配線支持部112A,112B,112Cが形成される第2領域A2を覆わない。
【0073】
次に、
図5Aに示すように、厚み方向における基材Sの一方側から、基材Sをウェットエッチングする。
【0074】
すると、第1絶縁層14、第2絶縁層16、および、エッチングレジストR1(
図6参照)がマスクとして機能し、第1絶縁層14、第2絶縁層16、および、エッチングレジストR1が形成されていない部分の基材Sが除去され、厚み方向における第1絶縁層14の他方面上に、第1金属支持層11が形成される。
【0075】
なお、エッチング工程では、基材Sをオーバーエッチングする。これにより、複数の接続部3A,3B,3Cが形成される部分において、第1金属支持層11の幅W1(
図2B参照)は、第1絶縁層14の幅よりも狭くなる。
【0076】
その後、エッチングレジストR1が剥離される。
【0077】
(6)密着層形成工程
次に、
図5Bに示すように、密着層形成工程では、堆積工程の前に、厚み方向における第1金属支持層11の他方面上に、密着層13を形成する。
【0078】
密着層13は、例えば、電解メッキまたはスパッタリングにより形成される。密着層13を電解メッキにより形成する場合、まず、回路パターンの全部を覆うように、厚み方向における第1金属支持層11の一方面にメッキレジストR2を形成する。次に、電解メッキにより、厚み方向における第1金属支持層11の他方面全部に、密着層13を形成する。密着層13をスパッタリングにより形成する場合、上記した密着層13の材料からなるターゲットを用いて、スパッタリングにより、厚み方向における第1金属支持層11の他方面全部に、密着層13を形成する。
【0079】
(6)堆積工程
次に、
図5Cに示すように、堆積工程では、エッチング工程の後、厚み方向における第1金属支持層11の他方側に金属を堆積させて、第2金属支持層12を形成する。詳しくは、密着層13の上に第2金属支持層12を形成する。堆積工程では、例えば、電解メッキによって金属を堆積させて、第2金属支持層12を形成する。
【0080】
詳しくは、メッキレジストR2を剥離しないで、まず、密着層13の上に、メッキレジストR3を貼り合わせて、第2金属支持層12が形成される部分を遮光した状態で、メッキレジストR3を露光する。
【0081】
次に、露光されたメッキレジストR3を現像する。すると、遮光された部分のメッキレジストが除去され、第2金属支持層12が形成される部分に密着層13が露出する。なお、露光された部分、すなわち、第2金属支持層12が形成されない部分のメッキレジストR3は、残る。
【0082】
次に、露出した密着層13の上に、電解メッキにより、金属を堆積させる。これにより、密着層13の上に第2金属支持層12が形成される。
【0083】
3.作用効果
(1)配線回路基板1の方法によれば、
図5Cに示すように、電解メッキによって金属を堆積させることにより、第2金属支持層12を、所定の形状(端子支持部121Aと、複数の配線支持部122A,122B,122Cとを有する形状、
図3参照)にパターニングする。
【0084】
そのため、エッチングなどの方法によって金属を除去することにより第2金属支持層12をパターニングする場合と比べて、金属を過度に除去してしまうことなく、所望の形状の第2金属支持層12を、安定に得ることができる。
【0085】
その結果、配線支持部122A,122B,122Cのファインピッチ化を図ることができる。
【0086】
(2)配線回路基板1の方法によれば、
図5Bに示すように、堆積工程の前に、厚み方向において第1金属支持層11の他方面上に、金属からなる密着層13を形成し、堆積工程において、密着層13の上に第2金属支持層12を形成する。
【0087】
そのため、第1金属支持層11と第2金属支持層12との密着性を確保できる。
【0088】
(3)配線回路基板1によれば、
図2Bに示すように、厚み方向における第1絶縁層14の他方側に、第1金属支持層11と第2金属支持層12とからなる厚い金属支持層を有する。
【0089】
これにより、配線回路基板1の放熱性を確保できる。
【0090】
さらに、このような構成の配線回路基板1は、上記した製造方法を使って製造できるので、配線支持部122A,122B,122Cのファインピッチ化を図ることもできる。
【0091】
(4)配線回路基板1によれば、
図2Bに示すように、配線支持部122Aは、配線支持部122Aと第1絶縁層14との間に配置される第1金属支持層11の側面を被覆する。
【0092】
そのため、第1金属支持層11を、配線支持部122Aのアンカーとして機能させることができる。
【0093】
これにより、第1金属支持層11で配線支持部122Aを安定に支えることができる。
【0094】
(5)配線回路基板1によれば、
図2Bに示すように、第1金属支持層11と第2金属支持層12との間に配置される密着層13を、さらに有する。
【0095】
このような構成によれば、第1金属支持層11と第2金属支持層12との密着性を確保できる。
【符号の説明】
【0096】
1 配線回路基板
11 第1金属支持層
12 第2金属支持層
13 密着層
14 第1絶縁層(絶縁層の一例)
15 導体パターン
121A 端子支持部
122A 配線支持部(第1配線支持部の一例)
122B 配線支持部(第2配線支持部の一例)
151A 端子(第1端子の一例)
151B 端子(第2端子の一例)
153A 配線(第1配線の一例)
153B 配線(第2配線の一例)
S 基材