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特開2024-46969磁界発生装置及びこれを用いたモーションキャプチャシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046969
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】磁界発生装置及びこれを用いたモーションキャプチャシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240329BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20240329BHJP
【FI】
G06F3/01 514
G06F3/0346 421
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152362
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】亀野 誠
【テーマコード(参考)】
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
5B087AA07
5B087AB09
5B087BC06
5E555AA11
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC04
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】磁界が届く範囲の広い磁界発生装置を提供する。
【解決手段】磁界発生装置100は、ソレノイドコイル110と、ソレノイドコイル110の内径領域に配置された軟磁性体120と、ソレノイドコイル110に交流信号を供給する信号発生部130とを備える。このように、ソレノイドコイル110の内径領域に軟磁性体120が配置されていることから、空芯コイルを用いた場合に比べて磁界が届く範囲を大幅に拡大することが可能となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドコイルと、
前記ソレノイドコイルの内径領域に配置された軟磁性体と、
前記ソレノイドコイルに交流信号を供給する信号発生部と、を備える磁界発生装置。
【請求項2】
前記軟磁性体は、前記ソレノイドコイルの内周壁に沿って配置された筒状形状を有する、請求項1に記載の磁界発生装置。
【請求項3】
前記交流信号は、デューティー比が30%以上、70%以下の矩形波である、請求項1に記載の磁界発生装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁界発生装置と、
前記ソレノイドコイルによって発生する磁界を検出し、互いに異なる空間位置に配置された複数の磁気センサと、を備えるモーションキャプチャシステム。
【請求項5】
前記磁界発生装置を複数備え、
前記複数の磁界発生装置に含まれる前記信号発生部は、互いに異なる周波数の交流信号を前記ソレノイドコイルに供給する、請求項4に記載のモーションキャプチャシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁界発生装置及びこれを用いたモーションキャプチャシステムに関し、特に、ソレノイドコイルを用いた磁界発生装置及びこれを用いたモーションキャプチャシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソレノイドコイルを用いて検出対象物の位置を特定するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-8342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムにおいては、ソレノイドコイルから磁界が届く範囲が狭いため、モーションキャプチャシステムなどに応用することは困難である。
【0005】
したがって、本発明は、磁界が届く範囲の広い磁界発生装置及びこれを用いたモーションキャプチャシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による磁界発生装置は、ソレノイドコイルと、ソレノイドコイルの内径領域に配置された軟磁性体と、ソレノイドコイルに交流信号を供給する信号発生部とを備える。
【0007】
本発明によれば、ソレノイドコイルの内径領域に軟磁性体が配置されていることから、空芯コイルを用いた場合に比べて磁界が届く範囲を大幅に拡大することが可能となる。
【0008】
本発明において、軟磁性体は、ソレノイドコイルの内周壁に沿って配置された筒状形状を有するものであっても構わない。これによれば、磁界発生装置を人体の指や手首などに装着することが可能となる。
【0009】
本発明において、交流信号は、デューティー比が30%以上、70%以下の矩形波であっても構わない。これによれば、磁界が届く範囲をより拡大することが可能となる。
【0010】
本発明によるモーションキャプチャシステムは、上記の磁界発生装置と、ソレノイドコイルによって発生する磁界を検出し、互いに異なる空間位置に配置された複数の磁気センサとを備える。
【0011】
本発明によれば、複数の磁気センサが互いに異なる空間位置に配置されていることから、磁界発生装置が存在する位置を検出することが可能となる。
【0012】
本発明によるモーションキャプチャシステムは、磁界発生装置を複数備え、複数の磁界発生装置に含まれる信号発生部は、互いに異なる周波数の交流信号をソレノイドコイルに供給するものであっても構わない。これによれば、各磁界発生装置の位置を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明によれば、磁界が届く範囲の広い磁界発生装置及びこれを用いたモーションキャプチャシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態によるモーションキャプチャシステム10の構成を説明するための模式図である。
図2図2は、人体30の指及び手首に磁界発生装置100を装着した例を示す模式図である。
図3図3は、磁界発生装置100の構造を示す略斜視図である。
図4図4は、ソレノイドコイル110に接続される信号発生部130のブロック図である。
図5図5は、磁気センサ20に接続される信号処理回路のブロック図である。
図6図6は、磁界発生装置からの距離と磁場強度の関係を示すグラフである。
図7図7は、信号発生部130からソレノイドコイル110に供給する交流信号のデューティー比と磁場強度の関係を距離ごとに示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態によるモーションキャプチャシステム10の構成を説明するための模式図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態によるモーションキャプチャシステム10は、複数の磁気センサ20と、磁気センサ20が配置された空間内に位置する複数の磁界発生装置100によって構成される。図1に示す例では、XY面を構成する壁面11、XZ面を構成する壁面12及びYX面を構成する壁面13のそれぞれに複数の磁気センサ20が配置されており、壁面11~13に囲まれた空間内に複数の磁界発生装置100が配置されている。このように、複数の磁気センサ20は、互いに異なる空間位置に配置されている。
【0018】
磁界発生装置100は、図2に示すように、例えば人体30の指や手首に装着可能な筒状体である。図2に示す例では、人体30の親指に1つ、人差し指、中指、薬指及び小指にそれぞれ2つ、手首に1つの磁界発生装置100が装着されている。本発明において複数の磁界発生装置100を用いることは必須でないが、指などの可動部の動きを検出するためには、複数の磁界発生装置100を用いることが好ましい。
【0019】
図3は、磁界発生装置100の構造を示す略斜視図である。
【0020】
図3に示すように、磁界発生装置100は、ソレノイドコイル110と、ソレノイドコイル110の内径領域に配置された軟磁性体120を有する。軟磁性体120はパーマロイなどの高透磁率材料からなり、ソレノイドコイル110の内周壁に沿って配置された筒状形状を有している。これにより、図2に示したように、人体30の指などに装着することが可能となる。例えば、磁界発生装置100を人体30の指に装着すると、指とソレノイドコイル110の間に軟磁性体120が位置することになる。軟磁性体120は、ソレノイドコイル110によって生じる磁界の磁束密度を高めることによって、磁界が届く範囲を拡大する役割を果たす。
【0021】
図4に示すように、ソレノイドコイル110は信号発生部130に接続される。信号発生部130は、ソレノイドコイル110に交流信号を供給することにより、交流磁界を発生させる。ここで、複数の磁界発生装置100を同時に用いる場合、信号発生部130は互いに異なる周波数の交流信号S1,S2,S3・・をそれぞれ対応するソレノイドコイルに供給しても構わない。この場合、複数のソレノイドコイル110によって発生する交流磁界の周波数も互いに異なった周波数となる。
【0022】
図5に示すように、複数の磁気センサ20は、A/Dコンバータ21、フーリエ変換部22、解析部23及びトラッキング部24を含む信号処理回路に接続される。A/Dコンバータ21は、複数の磁気センサ20から得られるアナログ信号をデジタル変換する役割を果たす。フーリエ変換部22は、A/Dコンバータ21の出力信号を周波数解析することによって、個々の磁界発生装置100に対応する信号に分離する役割を果たす。解析部23は、逆問題解析によって個々の磁界発生装置100の位置を特定する役割を果たす。トラッキング部24は、個々の磁界発生装置100の位置をトラッキングすることによって、3Dモーションキャプチャを行う。
【0023】
図6は、磁界発生装置からの距離と磁場強度の関係を示すグラフであり、符号Aは本実施形態による磁界発生装置100の特性を示し、符号Bは磁界発生装置100から軟磁性体120を削除した場合の特性を示し、符号Cは軟磁性体120をソレノイドコイル110の内径領域ではなく外周領域に配置した場合の特性を示している。
【0024】
図6に示すように、本実施形態による磁界発生装置100(符号A)を用いれば、同じ距離であっても、軟磁性体120がない場合(符号B)と比べて、約3倍の磁場強度が得られることが分かる。逆に、本実施形態による磁界発生装置100(符号A)を用いた場合、同じ磁場強度が得られる距離は、軟磁性体120がない場合(符号B)の約1.6倍となる。一方、符号Cで示すように、軟磁性体120をソレノイドコイル110の外周領域に配置すると、得られる磁場強度は、軟磁性体120がない場合(符号B)よりもさらに低下する。
【0025】
図7は、信号発生部130からソレノイドコイル110に供給する交流信号のデューティー比と磁場強度の関係を距離ごとに示すグラフである。
【0026】
信号発生部130からソレノイドコイル110に供給する交流信号は矩形波であり、図7に示すように、デューティー比が50%に近いほど、得られる磁場強度が高くなる。デューティー比が30%以上、70%以下の範囲では、得られる磁場強度に大きな変化はないが、デューティー比が30%未満または70%超になると、磁場強度が顕著に低減する。このため、信号発生部130からソレノイドコイル110に供給する交流信号のデューティー比は、30%以上、70%以下の矩形波であることが好ましい。また、信号発生部130からソレノイドコイル110に供給する交流信号については、サイン波であっても構わないが、矩形波を用いた方がより高い磁場強度を得ることが可能である。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によるモーションキャプチャシステム10は、複数の磁気センサ20と、磁気センサ20が配置された空間内に位置する磁界発生装置100を備えており、磁界発生装置100は、ソレノイドコイル110と、その内径領域に配置された軟磁性体120と、ソレノイドコイル110に交流信号を供給する信号発生部130とを備えていることから、空芯コイルを用いた場合と比べ、磁気センサ20に磁界が届く範囲が広くなる。このため、本実施形態によるモーションキャプチャシステム10は、人体の動きなどを3Dモーションキャプチャする用途に好適である。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0029】
10 モーションキャプチャシステム
11~13 壁面
20 磁気センサ
21 A/Dコンバータ
22 フーリエ変換部
23 解析部
24 トラッキング部
30 人体
100 磁界発生装置
110 ソレノイドコイル
120 軟磁性体
130 信号発生部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7