(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046973
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ヒータユニット及びその応用品
(51)【国際特許分類】
H05B 3/84 20060101AFI20240329BHJP
H05B 3/14 20060101ALI20240329BHJP
H05B 3/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H05B3/84
H05B3/14 A
H05B3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152368
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000129529
【氏名又は名称】株式会社クラベ
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輝
(72)【発明者】
【氏名】小久保 和弥
【テーマコード(参考)】
3K034
3K092
【Fターム(参考)】
3K034AA07
3K034AA16
3K034BA14
3K034EA14
3K092PP15
3K092QA05
3K092QB03
3K092QB30
3K092QB54
3K092QC31
3K092RF11
3K092VV22
(57)【要約】
【課題】温度の過昇防止機能を有し、温度の均一化がなされ、コンパクト化がなされたヒータユニットを提供すること。
【解決手段】第一発熱素子11及び第二発熱素子12が、一対の電極が形成されたセラミック系の正特性サーミスタ素子からなり、第一電極端子21と第一発熱素子11の一方の電極層、第二電極端子22と第一発熱素子11のもう一方の電極層、第三電極端子23と第二発熱素子12の一方の電極層、第四電極端子24と第二発熱素子12のもう一方の電極層とが電気的に接続され、第一リード部31の一方の端が第一電極端子21と、第二リード部32の一方の端が第一電極端子21と、第二リード部32のもう一方の端が第三電極端子23と、第三リード部33の一方の端が第二電極端子22と、第三リード部33のもう一方の端が第四電極端子24と、第四リード部34の一方の端が第四電極端子23と接続されているヒータユニット。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一発熱素子と、第二発熱素子と、第一電極端子と、第二電極端子と、第三電極端子と、第四電極端子と、第一リード部と、第二リード部と、第三リード部と、第四リード部と、からなり、
上記第一発熱素子及び上記第二発熱素子が、一対の電極が形成されたセラミック系の正特性サーミスタ素子からなるものであり、
上記第一電極端子と上記第一発熱素子の一方の電極層とが電気的に接続され、上記第二電極端子と上記第一発熱素子のもう一方の電極層とが電気的に接続されており、上記第三電極端子と上記第二発熱素子の一方の電極層とが電気的に接続され、上記第四電極端子と上記第二発熱素子のもう一方の電極層とが電気的に接続されており、
上記第一リード部の一方の端が上記第一電極端子と接続され、上記第二リード部の一方の端が上記第一電極端子と接続され、上記第二リード部のもう一方の端が上記第三電極端子と接続され、上記第三リード部の一方の端が上記第二電極端子と接続され、上記第三リード部のもう一方の端が上記第四電極端子と接続され、上記第四リード部の一方の端が上記第四電極端子と接続されているヒータユニット。
【請求項2】
上記第一リード部、上記第二リード部、上記第三リード部及び上記第四リード部が、それぞれ1本の絶縁電線である請求項1記載のヒータユニット。
【請求項3】
上記第一リード部、上記第二リード部、上記第三リード部及び上記第四リード部の内の複数が、収束部材によって保持されている請求項2記載のヒータユニット。
【請求項4】
請求項1~3何れか記載のヒータユニットと、車両のウインドシールドに取付けられるブラケットと、上記ブラケットに収容されたセンサユニットと、を備えた車両用ウインドシールド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両におけるカメラユニット、ウインドシールド、レーダユニット等に付着した結露、氷、霜、水滴を除去するとともに、曇り、結露、氷、霜の付着を防止するためのヒータユニット、及び、このヒータユニットが備えられたウインドシールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ウインドシールド装置は、ウインドシールドの車室側に取付けられて、車両前方の他車両や障害物の有無の検知に用いられる。車両用ウインドシールド装置は、ウインドシールドに固定されるブラケットと、ブラケットに支持されるカメラユニットまたはレーダユニットと、太陽光などの外光がカメラユニットに入射することを抑制する遮光フードを備える。ここで、車室内の湿度が高い場合や、車外の温度が低い場合には、曇り、結露、霜、氷などがウインドシールドに付着するため、車両用ウインドシールド装置は、遮光フードを加熱するためのヒータユニットを遮光フードの裏側に備えている。このヒータユニットから発せられる熱によって、遮光フードと対向するウインドシールドに付着した曇り、結露、霜、氷などは溶融、蒸発して除去される。これにより、カメラユニットによる撮影は鮮明なものとなる。また、レーダユニットからのレーダが減衰することなく、正確な検知が可能となる(特許文献1など参照)。
【0003】
ヒータユニットとしては、例えば、加熱される面状の対象領域を均一に昇温するため、対象領域の周縁に位置する第1の線状発熱体と、対象領域の内部に位置する第2の線状発熱体とを別々に備えたものが知られている(特許文献2など参照)。また、線状発熱体としても種々のものが知られている(特許文献3など参照)。ヒータユニットとしても、種々の態様のものが知られている(特許文献4~6など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-185893公報
【特許文献2】実用新案登録第1801190号
【特許文献3】特許第6320935号
【特許文献4】特開2019-93794公報
【特許文献5】特開2019-104378公報
【特許文献6】特開2021-153036公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のヒータユニットは、温度の過昇防止のためにヒューズが使用され、ショートや制御系の故障によって設計で意図しない高温の発熱が生じた場合は、このヒューズで通電が遮断され、ヒータユニットへの通電が停止されるようになっていた。しかし、ヒューズを設置する場合、部品点数が増加してしまうとともに、ヒータユニットの厚さも厚くなり、また、ヒータユニットにヒューズ形状の凹凸が生じてしまうという問題があった。また、ヒューズを使用せずに温度の過昇防止をする手段としては、ヒータ素子として正特性サーミスタ素子(PTC素子)を使用することが考えられる。PTC素子としては、セラミック系のものと有機系のものがあるが、現在、車両用ウインドシールド装置に対しては、主に有機系のPTC素子が多く検討されている。これには、被加熱対象の範囲が広く、ヒータ素子の設置スペースに余裕がないことから、フィルムのような薄い平面形状に加工しやすい有機系のPTC素子が好まれているという背景がある。しかしながら、有機系のPTC素子は、その構造上、高温環境下での劣化や経時的な劣化の課題が付きまとっており、特に自動車のような長期間の耐久性と過酷な温度環境への耐性が要求される分野では限定的な使用にとどまっている。一方、セラミック系のPTC素子は、硬く、ある程度の厚さを有するものであり、薄い平面形状への加工が困難であることから、広範囲を均等に加熱する用途に向いていないという課題もあった。また、セラミック系のPTC素子の硬く、ある程度の厚さを有するという性状は、PTC素子を配置する際にも課題があった。PTC素子への給電はリード線を介して行われる。例えば
図7に示すように、PTC素子101を複数使用し、これらを並列接続しようとすると、リード線103同士を結線する接続端子107が必要となる。この接続端子107には、物理的かつ電気的に確実な接続が求められることから、接続端子107のコンパクト化は難しい。車両用ウインドシールド装置は、運転者の視界を妨げないよう、より小さく、より薄くすることが求められていることから、リード線の取り回しについてもコンパクト化が求められている。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、温度の過昇防止機能を有し、温度の均一化がなされ、且つ、コンパクト化がなされたヒータユニットと、それを備えた車両用ウインドシールド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく、本発明によるヒータユニットは、第一発熱素子と、第二発熱素子と、第一電極端子と、第二電極端子と、第三電極端子と、第四電極端子と、第一リード部と、第二リード部と、第三リード部と、第四リード部と、からなり、上記第一発熱素子及び上記第二発熱素子が、一対の電極が形成されたセラミック系の正特性サーミスタ素子からなるものであり、上記第一電極端子と上記第一発熱素子の一方の電極層とが電気的に接続され、上記第二電極端子と上記第一発熱素子のもう一方の電極層とが電気的に接続されており、上記第三電極端子と上記第二発熱素子の一方の電極層とが電気的に接続され、上記第四電極端子と上記第二発熱素子のもう一方の電極層とが電気的に接続されており、上記第一リード部の一方の端が上記第一電極端子と接続され、上記第二リード部の一方の端が上記第一電極端子と接続され、上記第二リード部のもう一方の端が上記第三電極端子と接続され、上記第三リード部の一方の端が上記第二電極端子と接続され、上記第三リード部のもう一方の端が上記第四電極端子と接続され、上記第四リード部の一方の端が上記第四電極端子と接続されているヒータユニット。
また、上記第一リード部、上記第二リード部、上記第三リード部及び上記第四リード部が、それぞれ1本の絶縁電線であることが考えられる。
また、上記第一リード部、上記第二リード部、上記第三リード部及び上記第四リード部の内の複数が、収束部材によって保持されていることが考えられる。
また、本発明による応用品としての車両用ウインドシールド装置は、上記のヒータユニットと、車両のウインドシールドに取付けられるブラケットと、上記ブラケットに収容されたセンサユニットと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リード部同士の接続をすることなく、発熱素子の並列接続が可能となるため、リード部同士を接続する接続端子が不要となり、リード部のコンパクト化、即ち、ヒータユニット全体としてのコンパクト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態によるヒータユニットの構成を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施の形態によるヒータユニットの一部(ヒータ部)の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態によるヒータユニットの一部(ヒータ部)の構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態によるヒータユニットの一部(ヒータ部)の構成を示す断面図で、
図2におけるIV-IV´断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態によるヒータユニットの一部(ヒータ部)の各構成を示す分解斜視図である。
【
図6】本発明によるヒータユニットを使用した車両用ウインドシールド装置の概要を示す断面図である。
【
図7】従来例によるヒータユニットの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1~
図6を参照して実施の形態を説明する。本実施の形態は、本発明によるヒータユニットを車両用ウインドシールド装置に適用することを想定した例を示すものである。なお、
図1においては一部を透過して示しており、透過した部分を破線にて示している。
【0011】
本実施の形態によるヒータユニットは、
図1にしめすように、第一ヒータ部1と、第二ヒータ部2が、第一リード部31,第二リード部32,第三リード部33,第四リード部34によって接続されている。以下、各構成の詳細を説明する。
【0012】
図5は第一ヒータ部1の各構成を分解して示す図である。
図5に示すように、基材51は、PPS樹脂やPBT樹脂のようなエンジニアリングプラスチックからなり、全体形状としておおむね平板状の略直方体形状となっている。基材51における一方の主面においては、略中央部に凹部51cが形成されており、この凹部51cの形状は、後述する第一発熱素子11を配置し保持できる形状となっており、深さ1.4mmとなっている。また、この凹部51cと連続して、後述する第二電極端子22をリード部まで引き出すための引出溝51bが形成されている。また、引出し溝51bの隣には、隔壁を隔てて、後述する第一電極端子21をリード部まで引き出すための引出溝51aが形成されている。また、基材51の周辺部には、後述する第一電極端子21の延長部21eを挿通するための貫通孔51hが4つ形成されている。
【0013】
第一発熱素子11は、縦6.6mm、横35.0mm、厚さ1.2mmの略角板状に形成されたチタン酸バリウム系セラミックの正特性サーミスタ素子(PTC素子)からなり、
図5に示すように、一つの主面に銀ペーストからなる電極層が形成され、もう一方の主面にも銀ペーストからなる電極層が形成され、それぞれ電極層11a、電極層11bとされている(なお、
図5において、電極層11bは裏面に位置するため表れない)。この電極層11a,電極層11bの内の一方が+極、もう一方が-極とされる。尚、第一発熱素子11の材料については、必要とされる発熱特性(例えば、キュリー温度等)に応じて適宜設定すればよい。
【0014】
本実施の形態における第一ヒータ部1は、厚さ0.5mmの銅板からなる第一電極端子21と、厚さ0.2mmのバネ弾性に優れたリン青銅板からなる第二電極端子22が使用される。第一電極21及び第二電極22を
図5に示す。第一電極端子21は、基材51における一方の主面を略覆うような形状となっており、そこにリード部引出部と、4つの延長部21eが連設された形状となっている。また、第二電極22は、基材51の凹部51c及び引出溝51bと略同形状となっており、凹部51cに対応する部分は縦14.0mm、横50.0mmの長方形形状となっており、そこにリード部引出部が連設された形状となっている。また、第二電極22の一部には、幅が狭くなっている部分がある。何らかの原因で何れかの箇所でショートが起こってしまった場合、この幅の狭い部分が電流ヒューズとなり断線するので、他の機器や素子を過電流から保護することができる。
【0015】
第一リード部31、第二リード部32、第三リード部33、第四リード部34は、銅合金線からなる導体線の外周に、フッ素樹脂からなる絶縁被覆が形成された絶縁電線からなる。これらの両端部は絶縁被覆が除去されて導体線が露出しており、この露出した導体線が他の部材と接続されて電気的接続がなされることとなる。
【0016】
これらの構成材料の組み立てについて以下に説明する。
図2は第一ヒータ部1の全体構成、
図3は
図2と逆の方向から見た第一ヒータ部1の全体構成、
図4は、
図2におけるIV-IV´断面を示す図、
図5は第一ヒータ部1の各構成を分解して示す図となる。まず、第二電極端子22と第三リード部33が、接続端子(図示しない)を介してスポット溶接によって接続される。この第三リード線33が接続された第二電極端子22は、基材51の凹部51c及び引出溝51bの底部に配置される。この際、第一発熱素子11を押止する方向に付勢するため、中央部が凸となるように、第二電極端子22を湾曲させておく。併せて、引出溝51b内に熱可塑性樹脂にからなる充填材57が充填され、第三リード線32と第二電極端子22の接続部分が外部から確実に絶縁されるようにする。次いで、基材51の凹部51c内に、電極層11bが凹部51cの底部に向き、電極層11aが凹部51cの開口部に向くよう、第一発熱素子11が配置される。次いで、第一電極端子21と第一リード線31が、接続端子(図示しない)を介してスポット溶接によって接続される。また、第一電極端子21と第二リード部32が、接続端子(図示しない)を介してスポット溶接によって接続される。併せて、第一電極端子21における延長部21eの根元部分が直角に折り曲げられる。この第一リード部31及び第二リード部32が接続された第一電極端子31について、延長部21eを貫通孔51hに相通させながら、第一発熱素子11の上に配置される。そして、第一電極端子22と第一発熱素子11、第一発熱素子11と第二電極端子22が十分密着するよう圧力をかけながら、延長部21eの先端が基材51における凹部51cを形成しない面上に沿うように折り曲げられ、第一電極端子21と基材51が固定される。これにより、第一発熱素子11は、第一電極端子21と第二電極端子22に挟持されるともに、第一電極端子21と第一発熱素子11の一方の電極層11aとが電気的に接続され、第二電極端子22と第一発熱素子11のもう一方の電極層11bとが電気的に接続されることとなる。また、第一電極端子21によって、第一発熱素子11及び第二電極端子22は、凹部51bの底部側に押さえつけられることになるため、湾曲させておいた第二電極端子22の復元力によって、第一発熱素子11は、押止されることになる。このようにして、第一ヒータ部1は構成される。
【0017】
第二ヒータ部2は、第一ヒータ部1と同様にして構成される。各図において、第二発熱素子12は第一発熱素子11と対応し、第三電極端子23は第二電極端子22と対応し、第四電極端子24は第一電極端子21と対応し、第二ヒータ部2側の基材52は基材51と対応する。また、第三電極端子23には第二リード部32における第一電極端子21と接続されていない側の端が接続され、第四電極端子24には、第三リード部33における第二電極端子と接続されていない側の端、及び、第四リード部34が接続される。
【0018】
上記のようにして得られた第一ヒータ部1と第二ヒータ部2は、各リード部により接続されている。第一リード部31の一方の端、及び、第二リード部32の一方の端が第一電極端子21と接続されている。第二リード部32のもう一方の端が第二電極端子22に接続されている。第三リード部33の一方の端が第三電極端子23に接続されている。第三リード部33のもう一方の端、及び、第四リード部34の一方の端が上記第四電極端子24に接続されている。また、第一リード部31のもう一方の端、及び、第四リード部34のもう一方の端はコネクタ41に接続されている。また、リード部には、各リード部を収束するための収束部材43を装着することも考えられる。本実施の形態においては、第一リード部31、第二リード部32及び第三リード部33が、熱収縮チューブからなる収束部材43によって保持されている。
【0019】
このようなヒータユニット10は、車両用ウインドシールド装置内に取り付けることができる。
図6を参照して車両用ウインドシールド装置の例を説明する。
図6における右側が車両前方となり、ウインドシールド97に取付けられる車両用ウインドシールド装置は、ブラケット91、遮光フード93、センサユニット95を備える。ブラケット91は、椀状の形状を有する樹脂部材であり、遮光フード93及びセンサユニット95を収容する。ブラケット91の周縁部には接着剤が形成され、ウインドシールド97の車室側に取付けられる。なお、ウインドシールド97は、一般的に、フロントガラス、サイドガラス、リアガラスと称されることがある。センサユニット95は、ブラケット内に形成された樹脂部材によって固定保持されることになる。なお、センサユニット95としては、カメラユニットやレーダユニット等が考えられる。この際、センサユニット95における受光部はウインドシールド97に向けられ、センサユニット95における受光部とウインドシールド97の間には他部材を介さないようにされる。車両用ウインドシールド装置においては、センサユニット95の受光部が受光する光の範囲を定めるものとして遮光フード93が使用されるが、本実施の形態におけるヒータユニット10は、この遮光フード93に取付けられている。また、ヒータユニット10は、基材51の形状を適宜設計することで、そのまま遮光フード93として使用することができる。
【0020】
ヒータユニット10を遮光フード93として使用する場合、ウインドシールド97と対向する側の面の最表面に、迷光防止材が形成されていることが好ましい。これにより、受光範囲以外からの外光が入射されることを抑えられるようになる。迷光防止材は、反射防止材と称されることもあり、不織布や、ナシ地加工、シボ加工、つや消し加工、植毛加工といった加工が表面になされたシートが挙げられる。また、迷光防止材を形成する一対応として、つや消し塗料を塗布することも考えられる。
【0021】
車室の湿度が高い場合や、車外の温度が低い場合、曇り、結露、霜、氷などがウインドシールド97に付着することがある。この曇り、結露、霜、氷などによって光が散乱し、センサユニット95による鮮明な撮影が阻害されるおそれがある。これはカメラユニットの代わりにレーダユニットを使用したときも同様である。そのため、本発明によるヒータユニット10が使用され、ヒータユニット10から発せられる熱によってウインドシールド97を加熱することで、曇り、結露、霜、氷が除去されることになる。また、ヒータユニット10からの熱によってブラケット91内の空気が加熱され、それによってブラケット91内の湿度が低下することにより、結露が除去されることになる。
【0022】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な応用が可能である。例えば、上記実施の形態のように第一ヒータ部1と第二ヒータの2つを接続するのみでなく、他の第三ヒータ、第四ヒータを接続することも考えられる。また、第一ヒータ部1に配置される発熱素子についても、1個ではなく、2個でも良いし、3個でも良いしそれ以上でも良い。複数の発熱素子を使用する場合は、それぞれキュリー温度の異なるものを使用すると、部分ごとの発熱温度を変化させたり、温度勾配を付けたりするなど温度設計も可能となる。また、基材51の形状も、平板形状に限られず、全く異なる形状でも良い。基材51に形成される凹部51cの位置、即ち第一発熱素子11を配置する位置についても、所望とする発熱特性や使用環境に応じ、適宜設計することができる。
【0023】
基材51においては、第一電極端子21が、有効加熱部に配置されていることになる。有効加熱部とは、発熱をさせるように設計する部分である。本実施の形態においては、第一電極端子21が配置されている部分となる。第一発熱素子11の固定と、第一発熱素子11、第一電極端子21及び第二電極端子22の電気的接続を考慮すると、有効加熱部の面積は、凹部51cの面積より大きいことが好ましい。
【0024】
特に、第一電極端子21により、基材における一つの面の全域が実質的に覆われていることが好ましい。ここで、全域が実質的に覆われているとは、完全に全ての領域が覆われているまでは必要なく、基材における一つの面の主要部が覆われていれば足りる。例えば、基材における一つの面の面積の80%が覆われていれば、全域が実質的に覆われていると考えられる。また、第一電極端子21が配置される箇所が発熱箇所となるため、必要とされる発熱箇所に応じて適宜第一電極端子21の形状を設計することが考えられる。また、第一電極端子21の厚さを部分ごとに変化させることで、部分ごとの発熱温度を変化させたり、温度勾配を付けたりするなど温度設計も可能となる。
【0025】
第一電極端子21、第二電極端子22、第三電極端子23、第四電極端子24の材料としては、従来公知の種々の導電材料を使用することができ、例えば、銅、リン青銅、ベリリューム銅、洋白、真鍮、ステンレス鋼、銀、アルミニウム、アルミニウム合金等が考えられる。また、各電極端子で異なる材料を使用しても良い。例えば、上記実施の形態においては、第二電極端子22は、第一発熱素子11を押止する方向に付勢するように使用されるため、リン青銅、SUS301、SUSU304のようなバネ弾性に優れた材料にすることが好ましい。一方で第一電極端子21には、銅のような導電率が高さや半田付けのしやすさを重視した材料を使用することが好ましい。
【0026】
また、基材51における凹部51cを形成する面は、平面であることが好ましいが、完全な平面である必要はない。凹凸を有していたり、曲面となっていたりしても良い。基材51における凹部51cを形成する面を平面とする場合、例えば、基材における一つの面の面積の平方根をL、凹凸や曲部の法線方向の最大値をHとしたときH/L>0.1程度であれば略平面であると考えられる。
【0027】
第一リード部31、第二リード部32、第三リード部33、第四リード部34は、本実施の形態のように絶縁電線の形態でもよいし、他の形態でもよい。リード部同士の空間絶縁が図られ、他部材との接触もない状態なら絶縁被覆を形成しないものも考えられる。また、導体線でなく、箔状の導体によって各リード部を形成することできる。この場合、リード部同士あるいはリード部と他部材との絶縁を図るため、リード部全体を一括して絶縁フィルム等によって挟持することも考えられる。勿論、導体や絶縁被覆等の材料、構造、寸法等は、使用環境や印可電圧等の諸条件に基づいて適宜設計することができる。導体の材料としては、例えば、上記の第一~第四電極端子と同様の導電材料を使用することができる。絶縁被覆の材料としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーンゴム、合成ゴム、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂など、従来公知の材料を使用することができる。
【0028】
上記実施の形態においては、第一リード部31、第二リード部32及び第三リード部33が収束部材43によって保持されているが、収束部材43によって保持されるリード線の本数に限定はない。例えば、リード部の内の2本のみが保持されることも考えられるし、全てのリード部が保持されることも考えられる。収束部材43としては、例えば、熱収縮チューブや編組チューブのようなチューブ形状のものや、いわゆる結束バンドのようなものが好適に使用されるが、各リード部がばらけないように束ねることができるものであれば、形状や材質は限定されない。また、この収束部材43には、リード部を他部材に固定保持させるための固定手段を有しているものも考えられる。ここでの固定手段としては、例えば、スナップフィット、フック、粘着テープ、面ファスナなどが考えられる。また、ネジ、リベット、タッカー、カシメ部材等で収束部材を他の部材に固定保持させることも考えられる。
【0029】
また、第一ヒータ部1には、第一発熱素子11が発する熱が外部に放出されないよう、断熱材を取付けることも考えられる。また、外部からの衝撃から保護するために、緩衝材を取付けることも考えられる。断熱材も緩衝材も、種々の発泡樹脂や発泡ゴムから構成することが好ましいため、断熱材と緩衝材を兼ねた部材とすることもできる。また、断熱特性、耐熱性、衝撃吸収性、外観など、種々の特性が異なるような複数の断熱材や緩衝材を組合せて使用することもできる。また、第一ヒータ部1を他部材に取付けるため、接着テープなどを適宜使用することも考えられる。
【0030】
なお、第一ヒータ部1において応用できる点については、当然に第二ヒータ部2においても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上詳述したように本発明によれば、温度の過昇防止機能を有し、温度の均一化がなされ、且つ、発熱素子等が適切に固定されたたヒータユニットを得ることができる。このようなヒータユニットは、例えば、家庭用暖房器具、自動車内装用暖房装置、産業用加熱装置、各種除雪解氷装置、防曇装置、加熱調理器具など、各種熱源として好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 第一ヒータ部
2 第二ヒータ部
10 ヒータユニット
11 第一発熱素子
12 第二発熱素子
21 第一電極端子
22 第二電極端子
23 第三電極端子
24 第四電極端子
31 第一リード部
32 第二リード部
33 第三リード部
34 第四リード部
41 コネクタ
43 結束部材
51 基材