(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046975
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】管制システム、管理方法、および管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240329BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240329BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240329BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20240329BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152370
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聖也
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴広
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴士
(72)【発明者】
【氏名】新 吉高
(72)【発明者】
【氏名】布施 康宏
(72)【発明者】
【氏名】近藤 明宏
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181KK01
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL15
5H181LL17
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】自動運転車両の周囲の安全確認が確実に実施され、確認漏れによる始動時の衝突リスクを低減することができる自動運転向けの管制システム、管理方法、および管理プログラムを提供する。
【解決手段】車両の周囲を監視する車載カメラや車両の周囲に設定したQRコード(登録商標)やワンタイムパスワードで安全確認が実施されたかどうかを把握し、現場管理者による自動運転開始の指示に対して、確認結果を用いることで、誤った車両を始動させないようにする。また、確認を行った範囲に応じて、自動運転やリモコン操作を許諾する範囲を設定する。これにより、自動運転車両始動時の衝突リスクを低減する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両と、前記自動運転車両を管理する管理装置と、前記自動運転車両を遠隔で操作する操作端末とから構成される管制システムであって、
前記自動運転車両は、前記自動運転車両の周囲の安全を確認する安全確認部と、前記操作端末からの指令により自動運転を開始する自動運転部とを備え、
前記管理装置は、前記自動運転車両を管理する自動運転車両管理部を備え、
前記自動運転車両管理部は、前記操作端末より前記自動運転車両の操作要求を受信した場合、前記安全確認部の確認結果に基づき、前記操作要求を許可する許可信号を前記操作端末および前記自動運転車両へ送信し、
前記自動運転車両は、前記許可信号と前記操作端末からの操作指示に基づき、自動運転を実行することを特徴とする管制システム。
【請求項2】
請求項1に記載の管制システムであって、
前記自動運転車両管理部は、前記操作端末より前記自動運転車両の操作要求を受信した場合、前記安全確認部の確認結果に基づき、前記操作要求を許可する許可信号を前記操作端末および前記自動運転車両へ送信するとともに、前記操作端末から受信した操作指示を前記自動運転車両へ送信し、
前記自動運転車両は、前記自動運転車両管理部から送信された前記許可信号と前記操作指示に基づき、自動運転を実行することを特徴とする管制システム。
【請求項3】
請求項1に記載の管制システムであって、
前記自動運転車両管理部は、前記操作端末より前記自動運転車両の操作要求を受信した場合、前記安全確認部の確認結果に基づき、前記操作要求を許可する許可信号を前記操作端末および前記自動運転車両へ送信し、
前記操作端末は、前記許可信号に基づき、前記自動運転車両に操作指示を行い、
前記自動運転車両は、前記自動運転車両管理部から送信された前記許可信号と前記操作端末から送信された前記操作指示に基づき、自動運転を実行することを特徴とする管制システム。
【請求項4】
請求項1に記載の管制システムであって、
前記許可信号は、前記安全確認部により安全が確認された領域のみ前記操作要求を許可することを特徴とする管制システム。
【請求項5】
請求項1に記載の管制システムであって、
前記許可信号は、前記安全確認部の安全確認時刻からの経過時間が予め決められた閾値未満の場合のみ前記操作要求を許可することを特徴とする管制システム。
【請求項6】
請求項1に記載の管制システムであって、
前記許可信号は、前記自動運転車両の点検が実施された場合かつ前記自動運転車両の点検日時が予め決められた点検間隔未満の場合のみ前記操作要求を許可することを特徴とする管制システム。
【請求項7】
請求項1に記載の管制システムであって、
前記安全確認部は、前記自動運転車両の周囲の情報を検知する周囲環境検知部を備え、
前記安全確認部の安全確認処理は、前記周囲環境検知部の検知結果を前記管理装置に送信することを特徴とする管制システム。
【請求項8】
請求項1に記載の管制システムであって、
前記安全確認部は、前記自動運転車両の外周に所定の表示を表示する表示部を備え、
前記安全確認部の安全確認処理は、前記操作端末により前記表示部に表示された情報を読み取り、前記情報を前記操作端末から前記管理装置に送信し、前記操作端末からの前記情報と前記管理装置の情報を照合することを特徴とする管制システム。
【請求項9】
自動運転車両を遠隔で操作する操作端末からの指令により自動運転を開始する自動運転車両を管理する管理方法であって、
前記自動運転車両の周囲の安全を確認する安全確認ステップと、
前記操作端末より前記自動運転車両の操作要求を受信した場合、前記安全確認ステップの確認結果に基づき、前記操作要求を許可する許可信号を前記操作端末および前記自動運転車両へ送信する送信ステップと、
前記許可信号と前記操作端末からの操作指示に基づき、前記自動運転車両の自動運転を実行する自動運転実行ステップとを含むことを特徴とする管理方法。
【請求項10】
自動運転車両を遠隔で操作する操作端末からの指令により自動運転を開始する自動運転車両を管理するための管理プログラムであって、
前記操作端末より前記自動運転車両の操作要求を受信した場合、前記自動運転車両の周囲の安全を確認した確認結果に基づき、前記操作要求を許可する許可信号を前記操作端末および前記自動運転車両へ送信する手順をコンピューターに実行させるための管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車両を管理する管制センタの管制技術に関連する、自動運転向けの管制システム、管理方法、および管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や港湾設備などの広い敷地内で様々な資材の運搬が必要な業務において、資材運搬の効率化・省人化を目的に自動運転車両を用いたシステムが存在する。資材運搬では、資材の積込・荷下作業が発生し、自動運転車両の近傍で人が作業を行う場合があり、安全性を担保するために、システムで人を適切に検出して衝突を回避する必要がある。そのために、カメラやLIDARなどを用いて、人を検出して衝突を回避するという技術が実用化されている。しかし、カメラやLIDARは状況によって人の検出に失敗する可能性がある。特に車両が動き出すタイミングでは車両の周囲に死角が発生するため、システムだけでの安全性担保は困難であり、現場の人による目視での安全確認が重要となる。一方で、このような安全確認は作業の慣れにより形骸化しやすく、適切な確認行為が行われないことにより衝突リスクを増大させる場合がある。また、自動運転車両を複数台運用する場合、システムに始動の通知を行う際に、対象の自動運転車両を誤って選択し、安全確認を行っていない自動運転車両が動き出すリスクがある。換言すると、工場や港湾設備などの限られた範囲で資材を運搬するための自動運転システムにおいて、始動時や遠隔操作開始時の周囲の安全確認が形骸化して適切に実施されなかったり、対象車両の指定を間違えることで、自動運転車両始動時の衝突リスクが増大する恐れがある。そのため、安全確認が適切に実施されていることを如何にシステムで確認するかが重要となる。
【0003】
従来の安全確認に対する技術では、特許文献1のように周囲の所定位置に安全確認スイッチを複数設け、安全確認信号が入力されることによって、走行可能な状態とするという方法があった。また、車両の特定方法として特許文献2のようにQRコード(登録商標)を用いた方法があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-92347号公報
【特許文献2】国際公開第2020/121009号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のような従来技術では、物理的なボタンを押すところまで人が接近する必要があり、押した人間自身のリスクを下げる仕組みが必要であった。また、上記特許文献2のようなQRコード(登録商標)の利用は、安全確認として活用した場合、周囲の安全確認の担保にはならない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、自動運転車両の周囲の安全確認が確実に実施され、確認漏れによる始動時の衝突リスクを低減することができる自動運転向けの管制システム、管理方法、および管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る管制システムは、自動運転車両と、前記自動運転車両を管理する管理装置と、前記自動運転車両を遠隔で操作する操作端末とから構成される管制システムであって、前記自動運転車両は、前記自動運転車両の周囲の安全を確認する安全確認部と、前記操作端末からの指令により自動運転を開始する自動運転部とを備え、前記管理装置は、前記自動運転車両を管理する自動運転車両管理部を備え、前記自動運転車両管理部は、前記操作端末より前記自動運転車両の操作要求を受信した場合、前記安全確認部の確認結果に基づき、前記操作要求を許可する許可信号を前記操作端末および前記自動運転車両へ送信し、前記自動運転車両は、前記許可信号と前記操作端末からの操作指示に基づき、自動運転を実行することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る管理方法は、自動運転車両を遠隔で操作する操作端末からの指令により自動運転を開始する自動運転車両を管理する管理方法であって、前記自動運転車両の周囲の安全を確認する安全確認ステップと、前記操作端末より前記自動運転車両の操作要求を受信した場合、前記安全確認ステップの確認結果に基づき、前記操作要求を許可する許可信号を前記操作端末および前記自動運転車両へ送信する送信ステップと、前記許可信号と前記操作端末からの操作指示に基づき、前記自動運転車両の自動運転を実行する自動運転実行ステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る管理プログラムは、自動運転車両を遠隔で操作する操作端末からの指令により自動運転を開始する自動運転車両を管理するための管理プログラムであって、前記操作端末より前記自動運転車両の操作要求を受信した場合、前記自動運転車両の周囲の安全を確認した確認結果に基づき、前記操作要求を許可する許可信号を前記操作端末および前記自動運転車両へ送信する手順をコンピューターに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動運転車両の周囲の安全確認が確実に実施され、確認漏れによる始動時の衝突リスクを低減することが可能となる。
【0011】
上記した以外の課題、構成および効果については、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態のシステム構成を説明するための説明図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の管制センタの機能構成図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態における、自動運転車両のハードウェア構成図である。
【
図4a】本発明の第1の実施形態における、操作端末の画面を説明するための図であり、自動運転車両の始動入力画面の例である。
【
図4b】本発明の第1の実施形態における、操作端末の画面を説明するための図であり、始動が成功した時(操作成功時)の画面の例である。
【
図4c】本発明の第1の実施形態における、操作端末の画面を説明するための図であり、始動エラー時の画面の例である。
【
図5a】本発明の第1の実施形態における、内部でのデータ管理テーブル(地図データテーブル)の説明図である。
【
図5b】本発明の第1の実施形態における、内部でのデータ管理テーブル(車両状態管理テーブル)の説明図である。
【
図5c】本発明の第1の実施形態における、内部でのデータ管理テーブル(現場状態管理テーブル)の説明図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態における、自動運転の開始可否判定のフローチャートである。
【
図7】本発明の第2の実施形態における、自動運転車両のハードウェア構成図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態における、操作端末の画面の例である。
【
図9】本発明の第2の実施形態における、自動運転の開始可否判定のフローチャートである。
【
図10a】本発明の第3の実施形態における、操作端末の画面を説明するための図であり、自動運転車両の遠隔操作開始時の画面の例である。
【
図10b】本発明の第3の実施形態における、操作端末の画面を説明するための図であり、自動運転車両の遠隔操作中の画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態を説明するための全図において同一の機能を有する物は同一の符号をつけ、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を
図1~
図6を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の管制センタ100を含む自動運転システム(管制システム)の構成を示す図である。本実施形態の自動運転システム(管制システム)は、工場内物流や港湾設備などの資材を運搬する場所(サイト)での使用を想定しており、自動運転車両111、112や有人車両140、現場管理者130が混在した環境を想定し、自動運転車両111、112が移動する範囲として道路160や駐車エリア150が設定されている場合を想定する。
【0016】
管制センタ100は、サイト内にいる自動運転車両111、112や有人車両140、現場管理者130と無線通信を行い、位置や状態を把握すると共に、自動運転車両111、112に対して運搬のための移動の指示を実施する。また、管制センタ100は、管理者120に対してI/Fを持ち、サイト内の自動運転車両111、112や有人車両140、現場管理者130の状況や資材の運搬状況、駐車エリア150の状況などを管理者120に通知する。また、管制センタ100は、管理者120から自動運転車両111、112への資材の運搬指示や緊急時の緊急停止指示を受け付ける。管制センタ100は、サイト内に物理的にサーバーを設置したり、クラウド環境上に構築することを想定する。管制センタ100は、サイト内全体の安全を担保するために、自動運転車両111、112の状態を監視すると共に、現場管理者130による操作端末170での操作によって、自動運転車両の発進許可の情報などもあわせて、自動運転車両の発車判断を行うことで、サイト全体の安全を担保する。
【0017】
自動運転車両111、112は、管制センタ100からの指示に従い、サイト内の指定された道路160、駐車エリア150を移動し、資材の運搬を実施する。自動運転車両111、112は、GNSSシステムなどの位置情報取得のための装置や管制センタ100と通信するための通信装置を持ち、自身の位置情報や車速を定期的に管制センタ100に送信する。また、発車開始時には管制センタ100からの問い合わせに対し、自動運転車両111、112の周囲での安全確認の状況を通知する。自動運転車両111、112は、最終的な管制センタ100の判定を基に、自動運転開始が許可される。
【0018】
現場管理者130は、自動運転車両111、112を発車させる際に、周囲の安全確認を実施し、操作端末170にて発車を許可する。操作端末170は、タブレットやスマートフォンのような通信端末で、自動運転車両111、112を遠隔で操作するためのものであり、管制センタ100と通信を行う。
【0019】
有人車両140は、サイト内を走行し、人を運搬したり自動運転車両111、112が対応していない資材の運搬を行ったりする。有人車両140も、自動運転車両111、112と同様、GNSSシステムなどの位置情報取得のための装置や管制センタ100と通信するための通信装置を持ち、自車の位置情報や車速を定期的に管制センタ100に送信する。
【0020】
次に、本実施形態の自動運転システムを実現する、管制センタ100の機能について説明する。
図2に、管制センタ100のハードウェアおよびソフトウェア構成を示す。管制センタ100は、CPU201、通信I/F202、メモリ204、ストレージ205とこれらを接続するための内部バス203からなる。管制センタ100は、一般的なPCやサーバー、クラウドを想定する。なお、
図2では、ストレージ205とプログラムを実行するためのCPU201を同一装置として記載しているが、ストレージ205はDBサーバーとするなど、複数の装置を用いて実現しても良い。
【0021】
CPU201上では、車両情報受信プログラム211と業務状態受信プログラム212、車両操作プログラム213が実行される。車両情報受信プログラム211と車両操作プログラム213は合わせて管制センタ100による自動運転車両を管理するための自動運転車両管理部を構成する。
【0022】
メモリ204上には、車両情報受信プログラム211と業務状態受信プログラム212、車両操作プログラム213が展開されている。
【0023】
ストレージ205上には、地図データ(以下、地図データテーブルと記載する場合がある)231、車両状態管理テーブル232、現場状態管理テーブル233が保持される。
【0024】
車両情報受信プログラム211は、車両情報管理機能221と安全確認状態更新機能222を有し、自動運転車両111、112からの情報を受信すると、車両状態管理テーブル232の該当自動運転車両に関する状態を更新する。その際、地図データ231を用いて、現在の地図上での位置を確認する。また、自動運転車両111、112が停車している時は、自動運転車両111、112から送信される安全状態の確認状況に関し、車両状態管理テーブル232の該当自動運転車両に関する安全状態の確認結果(安全確認状態)を更新する。
【0025】
業務状態受信プログラム212は、作業管理機能223を有し、現場管理者130から情報を受信すると、地図データ231を用いて現場管理者130がどの駐車エリア150にいるかを確認し、現場状態管理テーブル233の該当する駐車エリア150に関する作業状態を更新する。また、本実施形態では、現場管理者130から直接作業状態を入力する場合を想定するが、他にもカメラなどを駐車エリア150に設置し、カメラで検出した現場管理者の情報などを基に、業務状態を通知し、作業管理機能223で現場状態管理テーブル233を更新しても良い。
【0026】
車両操作プログラム213は、自動運転開始操作受信機能224と安全確認状態確認機能225、自動運転開始指示機能226を有し、現場管理者130から操作端末170を用いて、自動運転車両の始動命令(操作要求)を受信すると、始動対象の自動運転車両について、車両状態管理テーブル232を検索し、車両状態管理テーブル232の安全確認状態を確認すると共に、地図データ231から該当エリアは始動しても良い場所かどうか、現場状態管理テーブル233から該当エリアが自動運転車両の始動を禁止する作業中かどうかを確認し、自動運転開始の可否を判定する。車両操作プログラム213は、この判定結果を対象とする自動運転車両および自動運転車両の始動命令(操作要求)を送信した操作端末170に送信する。
【0027】
地図データ231は、予め管制センタ100に登録されたデータで、サイト内の地図情報が設定されており、各駐車エリア150についてその座標や自動運転を開始して良い場所かなどの情報が設定される。
【0028】
車両状態管理テーブル232は、車両情報受信プログラム211により更新され、自動運転車両から通知される自動運転車両の位置や状態、安全確認の状態が設定される。
【0029】
現場状態管理テーブル233は、業務状態受信プログラム212により更新され、現場管理者130から通知される駐車エリア150での作業有無が設定される。
【0030】
自動運転車両111、112のハードウェア構成の例を
図3に示す。自動運転車両111、112は、車両制御システム301、自動運転装置302、安全確認装置303、これらの装置を接続する車載ネットワーク310からなる。
【0031】
車両制御システム301は、自動運転車両の制御システムで自動運転装置302からの加速・減速・操舵指示などに従い、自動運転車両を制御する。
【0032】
自動運転装置302は、GNSS308や通信装置309を有する。自動運転装置302は、GNSS308により自車両の位置情報を取得すると共に、通信装置309を介して管制センタ100と通信を行う。自動運転装置302は、自車両の位置を基に、管制センタ100からの指示に基づき、走行経路を演算し、車両制御システム301に対して、制御命令を発行する。これにより、自動運転装置302は、操作端末170からの始動命令により自動運転を開始することができる。一方で、自動運転装置302は、管制センタ100に対して定期的に自車両の位置や車速などの情報を送信する。また、自動運転装置302は、安全確認装置303から送信された周囲の安全確認状況の情報を管制センタ100に送信する。
【0033】
安全確認装置303は、前方カメラ304、後方カメラ305、右側方カメラ306、左側方カメラ307から構成され、自動運転車両の周囲の情報を検知する周囲環境検知部303Aと接続し、自動運転車両の周囲の状況を監視し、停車時は人を検出して自動運転車両の周囲の安全確認を行っているかどうかを監視する。安全確認装置303は、監視結果(つまり、周囲環境検知部303Aの検知結果)を定期的に自動運転装置302に出力する。なお、本実施形態では、4方向のカメラを記載しているが、自動運転車両のサイズや形状に応じて台数や方向を変更しても良い。また、カメラに代えてもしくはカメラと共にLIDARなどを使用しても良い。
【0034】
車載ネットワーク310は、自動運転車両内のコントーラーを接続するためのネットワークで、CAN(Controller Area Network)や車載Ethernetなどを用いる。
【0035】
現場管理者130が用いる、操作端末170の画面例を
図4a、4b、4cに示す。
図4aは、自動運転車両の運転を開始する際の画面を示す。
図4bは、自動運転車両の運転を開始した際に、安全確認ができていることが確認され、自動運転が開始される場合(操作成功時)の画面を示す。
図4cは、自動運転車両の運転を開始した際に、安全確認が不足しており、自動運転を開始できなかった場合(エラー時)の画面を示す。
【0036】
図4aで示す通り、操作端末170は、現場管理者130に対して、近隣の自動運転車両の位置や状態を示す。さらに、操作端末170は、自動運転を開始したい自動運転車両を選択し、開始指示を出すためのI/Fを備える。
図4aでは、走行中の自動運転車両3と荷下場所Dで停車している自動運転車両2がいる状況を示し、現場管理者130が自動運転車両2の自動運転を開始しようとしていることを示す。
【0037】
図4bで示す通り、操作端末170は、安全確認が実施された状態で自動運転を開始しようとした場合、自動運転が開始されることが示される。
【0038】
図4cで示す通り、操作端末170は、安全確認が不足している状態で自動運転を開始しようとした場合、エラーが示される。なお、自動運転を開始しようとする自動運転車両の選択を間違えた場合も該当自動運転車両の周囲での安全確認が実施できていないため、同様のエラーが示される。
【0039】
図5a、5b、5cに、管制センタ100で管理するテーブルの内容を示す。
図5aは地図データテーブル231の内容、
図5bは車両状態管理テーブル232の内容、
図5cは現場状態管理テーブル233の内容を示す。
【0040】
地図データテーブル231は、
図5aに示すように、エリア識別子501、エリア名502、自動運転開始可否503、座標504からなる。
【0041】
エリア識別子501は、各エリアを一意に識別するための識別子である。
【0042】
エリア名502は、各設定されたエリアの名称を示す。管制センタ100が現場管理者130に地図上でエリアを示すときなどに利用される。
【0043】
自動運転開始可否503は、各エリアに自動運転車両が停車している場合に、自動運転の開始をしてよい場所か否かを示す。
【0044】
座標504は、各エリアの範囲を示すための座標を示す。本実施形態では多角形を想定しており、各頂点の緯度・経度を座標504に設定する。なお、エリアの設定は多角形に限定されるわけではないため、中心点と半径を用いて円形に設定するなど様々な設定の仕方が考えられる。例えば、積込場所Aは4点からなる矩形で構成されており、各頂点の緯度・経度を座標504に設定する。
【0045】
車両状態管理テーブル232は、
図5bに示すように、車両識別子521、緯度522、経度523、速さ524、進行方向525、状態526、場所527、安全確認状態528、状態更新時刻529、安全確認時刻530、点検状態531、点検日時532からなる。
【0046】
車両識別子521は、自動運転車両を一意に識別するための識別子である。
【0047】
緯度522、経度523は、自動運転車両の現在位置を示す。
【0048】
速さ524、進行方向525は、自動運転車両が走行する速さと車両の向きを示す。なお、進行方向525は、例えば、基準の方向(北など)に対する角度で示される。
【0049】
状態526は、自動運転車両の状態を示す。例えば、自動運転車両が管制センタ100から指定された目的地に向けて走行しているときは一時停止なども含めて「走行中」、電源を入れた直後で管制センタ100からの指示を受ける前は「停車中」、管制センタ100からの指示で緊急停止をしているときは「緊急停止中」が設定される。
【0050】
場所527は、自動運転車両がいる場所を示す。駐車エリア150にいる場合は該当駐車エリア150のエリア識別子が設定される。それ以外の場所にいる場合は何も設定されない。
【0051】
安全確認状態528は、停車中の自動運転車両に対して、周囲安全確認が実施されたかどうかを示す。状態526が「走行中」の場合は対象外となるため「-」が設定され、それ以外の場合は、周囲の安全確認が実施された場合は「済」が設定され、周囲の安全確認が実施されていない場合は「未」が設定される。また、「済」の場合はどの方向の確認が完了しているかも設定される。これらの設定は、自動運転車両111の安全確認装置303で安全確認が実施されたことを検出した際に、自動運転装置302から通信装置309を経由して管制センタ100に入力され、設定される。また、自動運転車両が走行を始めた際は「-」に更新され、自動運転車両が停車した直後は「未」に更新される。
【0052】
状態更新時刻529は、該当自動運転車両の状態526が更新された時刻を示す。
【0053】
安全確認時刻530は、該当自動運転車両の安全確認状態528が「済」に更新された時刻が設定される。安全確認状態528が「済」以外の場合は「-」を設定する。
【0054】
点検状態531は、自動運転車両の点検実施の有無が設定される。点検が実施されている場合は「済」が設定され、点検が未実施の場合は「未」が設定される。
【0055】
点検日時532は、自動運転車両の点検が実施された日時が設定される。
【0056】
緯度522、経度523、速さ524、進行方向525、状態526、場所527、状態更新時刻529は、自動運転車両から管制センタ100に情報が入力された際に、車両情報受信プログラム211の車両情報管理機能221により更新される。
【0057】
安全確認状態528、安全確認時刻530は、自動運転車両が停車しているとき、自動運転車両から管制センタ100に情報が入力された際に、車両情報受信プログラム211の安全確認状態更新機能222により更新される。
【0058】
現場状態管理テーブル233は、
図5cに示すように、エリア識別子541、エリア名542、エリア状態543、状態更新時刻544からなる。
【0059】
エリア識別子541は、駐車エリア150などの各エリアを一意に識別するための識別子である。詳細な座標などは地図データテーブル231で管理されている。
【0060】
エリア名542は、各設定されたエリア名を示す。管制センタ100が現場管理者130に地図上でエリアを示すときなどに利用される。
【0061】
エリア状態543は、管制センタ100で管理する各エリアの状態を示す。例えば、現場管理者130が積込・荷下の作業を行っていることを示す「作業中」、現場管理者130が特に作業をしていないことを示す「作業無」が設定される。「作業中」の場合は安全のために自動運転車両の始動を抑制する。
【0062】
状態更新時刻544は、エリア状態543が更新された時刻が設定される。
【0063】
エリア状態543、状態更新時刻544は、現場で作業を開始・終了する際に現場(具体的には、現場の現場管理者130の操作端末170)から実施される管制センタ100への通知に基づき、業務状態受信プログラム212の作業管理機能223により更新される。
【0064】
図6に、車両操作プログラム213の安全確認状態確認機能225による自動運転の開始可否判定のフローチャートを示す。本フローは、現場管理者130が操作端末170を操作し、操作端末170から自動運転車両の操作要求(自動運転を開始する始動命令)を発信し、管制センタ100が操作端末170から自動運転車両の操作要求を受信し、操作要求がされた対象の自動運転車両の自動運転開始を行う(言い換えると、操作端末170からの指令により自動運転車両の自動運転を開始する)際に実行される。本フローは、実行されると(すなわち、操作端末170より自動運転車両の操作要求を受信すると)STEP701に進む。
【0065】
STEP701では、自動運転開始の要求がされた自動運転車両について、車両状態管理テーブル232から現在の場所527を確認し、地図データテーブル231の自動運転開始可否503から該当場所で自動運転を開始して良いかを確認する。自動運転開始可の場合はSTEP702に進み、自動運転開始不可の場合はSTEP706に進む。
【0066】
STEP702では、自動運転開始の要求がされた自動運転車両について、車両状態管理テーブル232から点検状態531および点検日時532を確認する。点検状態531が「済」かつ点検日時532が予め決められた点検間隔未満(例えば点検日時532が該当日か否か)の場合、STEP703に進み、点検日時532が予め決められた点検間隔以上過去であったり、点検状態531が「未」の場合、STEP706に進む。
【0067】
STEP703では、自動運転開始の要求がされた自動運転車両について、車両状態管理テーブル232から安全確認状態528を確認する。安全確認状態528が「済」の場合はSTEP704に進み、安全確認状態528が「未」または「-」の場合はSTEP706に進む。
【0068】
STEP704では、自動運転開始の要求がされた自動運転車両について、車両状態管理テーブル232から安全確認時刻530を確認する。安全確認時刻から現在までに予め決められた閾値以上の時間が経過している場合は(換言すると、安全確認時刻からの経過時間が予め決められた閾値以上の場合は)、安全確認が実施されたタイミングが古く再度確認が必要としてSTEP706に進む。安全確認時刻から現在までに予め決められた閾値以上の時間が経過していない場合は(換言すると、安全確認時刻からの経過時間が予め決められた閾値未満の場合は)、STEP705に進む。
【0069】
STEP705では、自動運転開始の要求がされた自動運転車両について、車両状態管理テーブル232の安全確認状態528で確認が実施された方向に対する動作開始許可信号(安全が確認された方向(領域)のみ、自動運転車両の操作要求を許可する許可信号)を生成し、同時に操作端末170に自動運転が開始されることを伝えるメッセージを生成し、本フローを終了する。生成した動作開始許可信号は操作要求がされた対象の自動運転車両に送信され、生成したメッセージを含む動作開始許可信号は操作要求を発信した操作端末170に送信される(
図4b参照)。また、自動運転車両には、生成した動作開始許可信号を送信すると同時に、操作端末170から受信した自動運転車両の遠隔操作指示が当該管制センタ100から送信される。自動運転車両は、管制センタ100から送信された動作開始許可信号と(操作端末170からの)遠隔操作指示に基づき、自動運転を実行(開始)する。
【0070】
STEP706では、安全確認が不十分のために動作開始を行えない状況と判定して操作端末170に対するエラーメッセージを生成し、本フローを終了する。生成したエラーメッセージは操作要求を発信した操作端末170に送信される(
図4c参照)。
【0071】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を
図7~
図9を用いて説明する。
【0072】
図7に、第2の実施形態における、自動運転車両111、112のハードウェア構成の例を示す。第2の実施形態では、カメラなどで自動運転車両の周囲の安全確認が実施されたかを監視するのではなく、安全確認装置303が自動運転車両の周囲(外周)への表示部303Bである前方ワンタイムパスワード表示装置314、後方ワンタイムパスワード表示装置315、右側面ワンタイムパスワード表示装置316、左側面ワンタイムパスワード表示装置317を介してワンタイムパスワードを表示する。表示部303Bの表示内容は、自動運転装置302および通信装置309を経由して管制センタ100に通知される。このワンタイムパスワードは、表示方向毎に異なるものとするとともに、自動運転車両毎に異なるものが表示されるようにする。
【0073】
このワンタイムパスワード(表示部303Bに表示された情報)を、自動運転車両の周囲の安全確認を実施する現場管理者130の操作端末170により読み取り、読み取った情報をその現場管理者130の操作端末170から管制センタ100に送信する(
図8参照)。
【0074】
なお、本実施形態では、ワンタイムパスワードの表示としているが、方向・自動運転車両で重複しないQRコード(登録商標)を表示するという方法もある。
【0075】
図8に、第2の実施形態における、現場管理者130が用いる、操作端末170で自動運転車両の運転を開始する際の画面例を示す。
【0076】
操作端末170は、現場管理者130に対して、近隣の自動運転車両の位置や状態を示す。また、操作端末170は、自動運転を開始したい自動運転車両を選択し、開始指示を出すためのI/Fを備える。さらに、操作端末170は、第1の実施形態と異なり、自動運転車両の各方向に表示しているワンタイムパスワードを入力するI/Fを備える。
【0077】
図9に、第2の実施形態における、車両操作プログラム213の安全確認状態確認機能225による自動運転の開始可否判定のフローチャートを示す。本フローは、現場管理者130が操作端末170を操作し、操作端末170から自動運転車両の操作要求(自動運転を開始する始動命令)を発信し、管制センタ100が操作端末170から自動運転車両の操作要求を受信し、操作要求がされた対象の自動運転車両の自動運転開始を行う(言い換えると、操作端末170からの指令により自動運転車両の自動運転を開始する)際に実行される。本フローは、実行されると(すなわち、操作端末170より自動運転車両の操作要求を受信すると)STEP1001に進む。
【0078】
STEP1001では、自動運転開始の要求がされた自動運転車両について、車両状態管理テーブル232から現在の場所527を確認し、地図データテーブル231の自動運転開始可否503から該当場所で自動運転を開始して良いかを確認する。自動運転開始可の場合はSTEP1002に進み、自動運転開始不可の場合はSTEP1006に進む。
【0079】
STEP1002では、自動運転開始の要求がされた自動運転車両について、車両状態管理テーブル232から点検状態531および点検日時532を確認する。点検状態531が「済」かつ点検日時532が予め決められた点検間隔未満(例えば点検日時532が該当日か否か)の場合、STEP1003に進み、点検日時532が予め決められた点検間隔以上過去であったり、点検状態531が「未」の場合、STEP1006に進む。
【0080】
STEP1003では、自動運転開始の要求がされた自動運転車両について、操作端末170から入力された情報(換言すると、操作端末170により読み取った情報)と自動運転車両から送信された認証などの入力情報の照合を行う。例えば、操作端末170から入力されたワンタイムパスワードと、自動運転車両から送信されたワンタイムパスワードが一致するかの認証を行う。入力情報の照合に成功する場合はSTEP1005に進み、入力情報の照合に失敗する場合はSTEP1006に進む。
【0081】
STEP1005では、自動運転開始の要求がされた自動運転車両について、ワンタイムパスワードの認証に成功した方向に対する動作開始許可信号(安全が確認された方向(領域)のみ、自動運転車両の操作要求を許可する許可信号)を生成し、同時に操作端末170に自動運転が開始されることを伝えるメッセージを生成し、本フローを終了する。生成した動作開始許可信号は操作要求がされた対象の自動運転車両に送信され、生成したメッセージを含む動作開始許可信号は操作要求を発信した操作端末170に送信される。また、自動運転車両には、生成した動作開始許可信号を送信すると同時に、操作端末170から受信した自動運転車両の遠隔操作指示が当該管制センタ100から送信される。自動運転車両は、管制センタ100から送信された動作開始許可信号と(操作端末170からの)遠隔操作指示に基づき、自動運転を実行(開始)する。
【0082】
STEP1006では、安全確認が不十分のために動作開始を行えない状況と判定して操作端末170に対するエラーメッセージを生成し、本フローを終了する。生成したエラーメッセージは操作要求を発信した操作端末170に送信される。
【0083】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態を
図10a、
図10bを用いて説明する。
【0084】
第3の実施形態では、現場管理者130が操作端末170を用いて自動運転車両の遠隔操作を行う場合を示す。自動運転車両の遠隔操作を行う場合は、現場管理者130が操作端末170を用いて自動運転車両に対する遠隔操作の要求を管制センタ100に実施する。管制センタ100では、操作端末170より自動運転車両に対する遠隔操作の要求を受信すると、対象自動運転車両の周囲の安全確認の実施状況を踏まえて遠隔操作開始の可否(遠隔操作の要求を許可するか否か)を判断し、遠隔操作開始可と判断した場合に、自動運転車両に対して遠隔操作が開始されること(遠隔操作開始許可信号)を通知すると共に、操作端末170に対して遠隔操作可能であること(遠隔操作開始許可信号)を通知する。これにより、現場管理者130が操作端末170上で遠隔操作開始となる。この場合に現場管理者130が操作端末170を操作すると、操作端末170は、前記遠隔操作開始許可信号に基づき、自動運転車両に遠隔操作指示を行い、対象自動運転車両は、管制センタ100から送信された遠隔操作開始許可信号と操作端末170から送信された遠隔操作指示に基づき、自動運転を実行(開始)する。管制センタ100における安全確認の方法は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様であり、操作端末170の画面内容が自動運転車両の遠隔操作を実施できるように異なるものとなる。
【0085】
図10a、10bに、第3の実施形態における、現場管理者130が用いる、操作端末170で自動運転車両の遠隔操作を開始する際の画面例および自動運転車両の遠隔操作中の画面例を示す。
図10aは遠隔操作を開始する際の画面、
図10bは遠隔操作が許可された後の遠隔操作中の画面を示す。
【0086】
図10aで示す通り、操作端末170は、現場管理者130に対して、近隣の自動運転車両の位置や状態を示す。さらに、操作端末170は、遠隔操作を開始したい自動運転車両を選択し、開始指示を出すためのI/Fを備える。なお、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、ワンタイムパスワードを用いて自動運転車両の周囲の安全確認を実施する場合の画面例を示す。
【0087】
図10bで示す通り、操作端末170は、安全確認が実施された状態で遠隔操作を開始しようとした場合、遠隔操作のための操作ボタンが表示される。なお、操作ボタンは、安全確認が実施された方向のみが利用可能となる。これにより、安全確認が実施された方向のみ、遠隔操作可能となる。
図10bの例では、前方と右側面のワンタイムパスワードが正しく入力され、前進および右折が遠隔操作可能な状態で、後退および左折の遠隔操作が実施できない状態を示す。
【0088】
[第1~第3の実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の管制システムは、自動運転車両と、前記自動運転車両を管理する管理装置(管制センタ100)と、前記自動運転車両を遠隔で操作する操作端末170とから構成される管制システムであって、前記自動運転車両は、前記自動運転車両の周囲の安全を確認する安全確認部(安全確認装置303)と、前記操作端末170からの指令により自動運転を開始する自動運転部(自動運転装置302)とを備え、前記管理装置(管制センタ100)は、前記自動運転車両を管理する自動運転車両管理部(211、213)を備え、前記自動運転車両管理部(211、213)は、前記操作端末170より前記自動運転車両の(自動運転を開始する)操作要求を受信した場合、前記安全確認部(安全確認装置303)の確認結果(STEP703、704)に基づき、前記操作要求を許可する許可信号を前記操作端末170および前記自動運転車両へ送信し、前記自動運転車両は、前記許可信号と前記操作端末からの操作指示に基づき、自動運転を実行する。
【0089】
前記自動運転車両管理部(211、213)は、前記操作端末170より前記自動運転車両の操作要求を受信した場合、前記安全確認部(安全確認装置303)の確認結果(STEP703、704)に基づき、前記操作要求を許可する許可信号を前記操作端末170および前記自動運転車両へ送信するとともに、前記操作端末170から受信した操作指示を前記自動運転車両へ送信し、前記自動運転車両は、前記自動運転車両管理部(211、213)から送信された前記許可信号と前記操作指示に基づき、自動運転を実行する。
【0090】
前記自動運転車両管理部(211、213)は、前記操作端末170より前記自動運転車両の操作要求を受信した場合、前記安全確認部(安全確認装置303)の確認結果(STEP703、704)に基づき、前記操作要求を許可する許可信号を前記操作端末170および前記自動運転車両へ送信し、前記操作端末170は、前記許可信号に基づき、前記自動運転車両に操作指示を行い、前記自動運転車両は、前記自動運転車両管理部(211、213)から送信された前記許可信号と前記操作端末170から送信された前記操作指示に基づき、自動運転を実行する。
【0091】
前記許可信号は、(前記自動運転車両の周囲において)前記安全確認部(安全確認装置303)により安全が確認された領域(方向)のみ前記操作要求(自動運転開始)を許可する。
【0092】
前記許可信号は、前記安全確認部(安全確認装置303)の安全確認時刻からの経過時間が予め決められた閾値未満の場合のみ前記操作要求(自動運転開始)を許可する。
【0093】
前記許可信号は、前記自動運転車両の点検が実施された場合(前記自動運転車両の安全を確認した場合)かつ前記自動運転車両の点検日時が予め決められた点検間隔未満の場合のみ前記操作要求(自動運転開始)を許可する。
【0094】
前記安全確認部(安全確認装置303)は、前記自動運転車両の周囲の情報を検知する周囲環境検知部303Aを備え、前記安全確認部(安全確認装置303)の安全確認処理は、前記周囲環境検知部303Aの検知結果を前記管理装置(管制センタ100)に送信する。
【0095】
前記安全確認部(安全確認装置303)は、前記自動運転車両の外周に所定の表示(QRコード(登録商標)、ワンタイムパスワード)を表示する表示部303Bを備え、前記安全確認部(安全確認装置303)の安全確認処理は、前記操作端末170により前記表示部303Bに表示された情報を読み取り、前記情報を前記操作端末170から前記管理装置(管制センタ100)に送信し、前記操作端末170からの前記情報と前記管理装置(管制センタ100)の情報を照合する。
【0096】
すなわち、本実施形態の管制システムは、車両の周囲を監視する車載カメラや車両の周囲に設定したQRコード(登録商標)やワンタイムパスワードで安全確認が実施されたかどうかを把握し、現場管理者による自動運転開始の指示に対して、確認結果を用いることで、誤った車両を始動させないようにする。また、確認を行った範囲に応じて、自動運転やリモコン操作を許諾する範囲を設定する。
【0097】
本実施形態によれば、自動運転車両周囲の安全確認が実施されたかどうかを自動運転車両で検出したり、自動運転車両周囲の情報を入力させることで、安全確認が実施されたことを確認し、安全性を担保する。これにより、自動運転車両の周囲の安全確認が確実に実施され、確認漏れによる始動時の衝突リスクを低減することが可能となる。
【0098】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0099】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0100】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0101】
100 管制センタ(管理装置)
111、112 自動運転車両
120 管理者
130 現場管理者
140 有人車両
150 駐車エリア
160 道路
170 操作端末
211 車両情報受信プログラム(自動運転車両管理部)
212 業務状態受信プログラム
213 車両操作プログラム(自動運転車両管理部)
221 車両情報管理機能
222 安全確認状態更新機能
223 作業管理機能
224 自動運転開始操作受信機能
225 安全確認状態確認機能
226 自動運転開始指示機能
231 地図データ(地図データテーブル)
232 車両状態管理テーブル
233 現場状態管理テーブル
301 車両制御システム
302 自動運転装置(自動運転部)
303 安全確認装置(安全確認部)
303A 周囲環境検知部
303B 表示部
310 車載ネットワーク