IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特開2024-46980液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法
<>
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図1
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図2
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図3
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図4
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図5
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図6
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図7
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図8
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図9
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図10
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図11
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図12
  • 特開-液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046980
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/18 20060101AFI20240329BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240329BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B41J2/18
B41J2/01 401
B41J2/165 205
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152382
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英一郎
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA15
2C056EB08
2C056EB16
2C056EB29
2C056EB34
2C056EC17
2C056EC32
2C056FA04
2C056FA10
2C056KA10
2C056KB16
(57)【要約】
【課題】液体吐出ヘッドへの供給および排出のための圧力変化を伴うモード移行時におけるノズルからのインク垂れを抑制する。
【解決手段】液体吐出装置は、第1共通流路と第2共通流路とを有する液体吐出ヘッドと、第1共通流路に液体を供給するための加圧機構と、第2共通流路から液体を排出するための減圧機構と、加圧機構による第1圧力での加圧と減圧機構による第2圧力での減圧とのもとで液体吐出ヘッドの動作を制御する第1モードと、加圧機構による第3圧力での加圧と減圧機構による第4圧力での減圧とのもとで液体吐出ヘッドの動作を制御する第2モードと、の実行を制御するモード制御部と、を備え、モード制御部は、第1モードの実行から第2モードの実行へ切り替える場合、加圧機構による加圧動作の圧力を第1圧力から第3圧力まで漸次的に変化させ、かつ、減圧機構による減圧動作の圧力を第2圧力から第4圧力まで漸次的に変化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルに連通する圧力室をそれぞれ含む複数の個別流路と、前記複数の個別流路の一端に共通に接続する第1共通流路と、前記複数の個別流路の他端に共通に接続する第2共通流路と、を有する液体吐出ヘッドと、
前記第1共通流路に液体を供給するための加圧動作を行う加圧機構と、
前記第2共通流路から液体を排出するための減圧動作を行う減圧機構と、
前記加圧機構による第1圧力での加圧と前記減圧機構による第2圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第1モードと、前記加圧機構による第3圧力での加圧と前記減圧機構による第4圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第2モードと、を含む複数のモードの実行を制御するモード制御部と、を備え、
前記モード制御部は、前記第1モードの実行から前記第2モードの実行へ切り替える場合、前記加圧機構による加圧動作の圧力を前記第1圧力から前記第3圧力まで漸次的に変化させ、かつ、前記減圧機構による減圧動作の圧力を前記第2圧力から前記第4圧力まで漸次的に変化させる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記第1モードおよび前記第2モードのそれぞれは、前記液体吐出ヘッドの内部に液体が充填された状態で実行されるモードである、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記複数のモードは、
前記加圧機構による第5圧力での加圧と前記減圧機構による第6圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第3モードと、
前記加圧機構による第7圧力での加圧と前記減圧機構による第8圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第4モードと、を含み、
前記第3モードおよび前記第4モードのそれぞれは、前記液体吐出ヘッドの内部に液体が充填されていない状態で実行開始されるモードであり、
前記モード制御部は、前記第3モードの実行から前記第4モードの実行へ切り替える場合、前記加圧機構による加圧動作の圧力を前記第5圧力から前記第7圧力まで即時的に変化させ、かつ、前記減圧機構による減圧動作の圧力を前記第6圧力から前記第8圧力まで即時的に変化させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1圧力と前記第3圧力との差は、10kPaよりも大きく、
前記第2圧力と前記第4圧力との差は、10kPaよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記複数のモードは、
前記加圧機構による第9圧力での加圧と前記減圧機構による第10圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第5モードと、
前記加圧機構による第11圧力での加圧と前記減圧機構による第12圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第6モードと、を含み、
前記第9圧力と前記第11圧力との差は、10kPaよりも小さく、
前記第10圧力と前記第12圧力との差は、10kPaより小さく、
前記モード制御部は、前記第5モードの実行から前記第6モードの実行へ切り替える場合、前記加圧機構による加圧動作の圧力を前記第9圧力から前記第11圧力まで即時的に変化させ、かつ、前記減圧機構による減圧動作の圧力を前記第10圧力から前記第12圧力まで即時的に変化させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第1モードは、前記液体吐出ヘッド内の気泡を排出するための気泡排出動作であり、
前記第2モードは、前記液体吐出ヘッドから液体を吐出して印刷を行う印刷動作であり、
前記第3圧力は、前記第1圧力よりも小さく、
前記第4圧力は、前記第2圧力よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第1モードは、前記液体吐出ヘッドの内部に液体が充填された状態で待機する待機動作であり、
前記第2モードは、前記液体吐出ヘッド内の気泡を排出するための気泡排出動作であり、
前記第3圧力は、前記第1圧力よりも大きく、
前記第4圧力は、前記第2圧力よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記加圧機構と前記液体吐出ヘッドの間の圧力を検出する第1検出部と、
前記減圧機構と前記液体吐出ヘッドの間の圧力を検出する第2検出部と、をさらに備え、
前記モード制御部は、
前記第1モードの実行から前記第2モードの実行へ切り替える場合、
前記第1検出部の検出結果が前記第1圧力と前記第3圧力との間の圧力である第1目標圧力に到達するまでの期間にわたり、前記第1目標圧力を目標値として前記加圧機構の駆動を制御し、前記第1検出部の検出結果が前記第1目標圧力に到達した後、前記第1検出部の検出結果が前記第1目標圧力と前記第3圧力との間の圧力である第2目標圧力に到達するまでの期間にわたり、前記第2目標圧力を目標値として前記加圧機構の駆動を制御する加圧制御と、
前記第2検出部の検出結果が前記第2圧力と前記第4圧力との間の圧力である第3目標圧力に到達するまでの期間にわたり、前記第3目標圧力を目標値として前記減圧機構の駆動を制御し、前記第2検出部の検出結果が前記第3目標圧力に到達した後、前記第2検出部の検出結果が前記第3目標圧力と前記第4圧力との間の圧力である第4目標圧力に到達するまでの期間にわたり、前記第4目標圧力を目標値として前記減圧機構の駆動を制御する減圧制御と、を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記モード制御部は、前記第1モードの実行から前記第2モードの実行へ切り替える場合、前記第1検出部の検出結果と前記第2検出部の検出結果と前記第1目標圧力と前記第2目標圧力とに基づいて、前記加圧制御を実行し、かつ、前記第1検出部の検出結果と前記第2検出部の検出結果と前記第3目標圧力と前記第4目標圧力とに基づいて、前記減圧制御を実行する、
ことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記モード制御部は、前記第1モードの実行から前記第2モードの実行へ切り替える場合、前記個別流路内のノズル近傍の圧力が負圧となるように、前記加圧機構による加圧動作と前記減圧機構による減圧動作とを制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記モード制御部は、前記第1モードの実行から前記第2モードの実行へ切り替える場合、前記個別流路内の前記ノズル近傍の圧力がメニスカスを決壊する程度の負圧とならないように、前記加圧機構による加圧動作と前記減圧機構による減圧動作とを制御する、
ことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
液体を吐出するノズルに連通する圧力室をそれぞれ含む複数の個別流路と、前記複数の個別流路の一端に共通に接続する第1共通流路と、前記複数の個別流路の他端に共通に接続する第2共通流路と、を有する液体吐出ヘッドと、
前記第1共通流路に液体を供給するための加圧動作を行う加圧機構と、
前記第2共通流路から液体を排出するための減圧動作を行う減圧機構と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、
前記加圧機構による第1圧力での加圧と前記減圧機構による第2圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第1モードを実行するステップと、
前記第1モードの実行後、前記加圧機構による加圧動作の圧力を前記第1圧力から第3圧力まで漸次的に変化させ、かつ、前記減圧機構による減圧動作の圧力を前記第2圧力から第4圧力まで漸次的に変化させるモード間圧力制御を実行するステップと、
前記モード間圧力制御の実行後、前記加圧機構による前記第3圧力での加圧と前記減圧機構による前記第4圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第2モードを実行するステップと、を含む、
ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式のプリンターに代表される液体吐出装置では、インク等の液体を吐出する液体吐出ヘッドの内外で液体を循環させる構成を採用する場合がある。例えば、特許文献1に記載の装置は、ヘッドユニットと、ヘッドユニットにインクを供給するためのポンプと、ヘッドユニットからインクを排出するためのポンプと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-187009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように液体吐出ヘッドの内外で液体を循環させる構成では、液体吐出ヘッドに対する液体の供給および排出のための圧力の異なる複数のモードを切り替える場合がある。しかし、特許文献1に記載の装置では、モードの切り替えに伴ってヘッド内の圧力が意図せずに変動してしまい、この結果、ノズルからのインク垂れが発生する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本開示の液体吐出装置の一態様は、液体を吐出するノズルに連通する圧力室をそれぞれ含む複数の個別流路と、前記複数の個別流路の一端に共通に接続する第1共通流路と、前記複数の個別流路の他端に共通に接続する第2共通流路と、を有する液体吐出ヘッドと、前記第1共通流路に液体を供給するための加圧動作を行う加圧機構と、前記第2共通流路から液体を排出するための減圧動作を行う減圧機構と、前記加圧機構による第1圧力での加圧と前記減圧機構による第2圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第1モードと、前記加圧機構による第3圧力での加圧と前記減圧機構による第4圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第2モードと、を含む複数のモードの実行を制御するモード制御部と、を備え、前記モード制御部は、前記第1モードの実行から前記第2モードの実行へ切り替える場合、前記加圧機構による加圧動作の圧力を前記第1圧力から前記第3圧力まで漸次的に変化させ、かつ、前記減圧機構による減圧動作の圧力を前記第2圧力から前記第4圧力まで漸次的に変化させる。
【0006】
本開示の液体吐出装置の制御方法の一態様は、液体を吐出するノズルに連通する圧力室をそれぞれ含む複数の個別流路と、前記複数の個別流路の一端に共通に接続する第1共通流路と、前記複数の個別流路の他端に共通に接続する第2共通流路と、を有する液体吐出ヘッドと、前記第1共通流路に液体を供給するための加圧動作を行う加圧機構と、前記第2共通流路から液体を排出するための減圧動作を行う減圧機構と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、前記加圧機構による第1圧力での加圧と前記減圧機構による第2圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第1モードを実行するステップと、前記第1モードの実行後、前記加圧機構による加圧動作の圧力を前記第1圧力から第3圧力まで漸次的に変化させ、かつ、前記減圧機構による減圧動作の圧力を前記第2圧力から第4圧力まで漸次的に変化させるモード間圧力制御を実行するステップと、前記モード間圧力制御の実行後、前記加圧機構による前記第3圧力での加圧と前記減圧機構による前記第4圧力での減圧とのもとで前記液体吐出ヘッドの動作を制御する第2モードを実行するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る液体吐出装置の構成例を示す概略図である。
図2】循環機構を説明するための図である。
図3】液体吐出ヘッドのヘッドチップの分解斜視図である。
図4図3中のa-a線断面図である。
図5】第1実施形態に係る液体吐出装置の動作の流れを例示する図である。
図6】第1実施形態における各部の圧力の経時的変化を例示する図である。
図7】第1実施形態における各部の圧力の経時的変化を例示する図である。
図8】モード間圧力制御の一例を示す図である。
図9】モード間圧力制御の他の一例を示す図である。
図10】比較例1における各部の圧力の経時的変化を例示する図である。
図11】比較例2における各部の圧力の経時的変化を例示する図である。
図12】第2実施形態における各部の圧力の経時的変化を例示する図である。
図13】第3実施形態における各部の圧力の経時的変化を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0009】
なお、以下の説明は、便宜上、互いに交差するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いて行う。また、以下では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向と反対の方向がX2方向である。同様に、Y軸に沿って互いに反対の方向がY1方向およびY2方向である。また、Z軸に沿って互いに反対の方向がZ1方向およびZ2方向である。
【0010】
ここで、典型的には、Z軸が鉛直な軸であり、Z2方向が鉛直方向での下方向に相当する。ただし、Z軸は、鉛直な軸でなくともよい。また、X軸、Y軸およびZ軸は、典型的には互いに直交するが、これに限定されず、例えば、80°以上100°以下の範囲内の角度で交差すればよい。
【0011】
1.第1実施形態
1-1.液体吐出装置の概略構成
図1は、第1実施形態に係る液体吐出装置100の構成例を示す概略図である。液体吐出装置100は、液体の一例であるインクを液滴として媒体Mに吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体Mは、典型的には印刷用紙である。なお、媒体Mは、印刷用紙に限定されず、例えば、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象でもよい。
【0012】
図1に示すように、液体吐出装置100は、液体容器10と、「モード制御部」の一例である制御ユニット20と、搬送機構30と、移動機構40と、液体吐出ヘッド50と、循環機構60と、ポンプ70と、を備える。以下、図1に基づいて、これらを順に簡単に説明する。
【0013】
液体容器10は、インクを貯留する。液体容器10の具体的な態様としては、例えば、液体吐出装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで構成される袋状のインクパック、および、インクを補充可能なインクタンク等が挙げられる。
【0014】
液体容器10に貯留されるインクは、特に限定されず、例えば、染料または顔料等の色材を水系溶媒に溶解させた水系インクでもよいし、色材を有機溶剤に溶解させた溶剤系インクでもよいし、紫外線硬化型インクでもよいし、クリアインク、ホワイトインクまたは処理液でもよい。クリアインクは、色材を含有せず、色材により印刷された印刷面をオーバーコートすることにより、印刷面の耐擦過性を向上させたり、顔料成分による凹凸を低減させて乱反射による色味ズレを低減させたりするためのインクである。ホワイトインクは、白色顔料等を含有し、媒体Mの汚れ等による非白色性を低減させるためのインクである。処理液は、色材インクに含まれる成分との反応性を有し、媒体M上で色材インクと接触することにより色材インクの定着性等を高めるためのインクである。なお、液体容器10は、後述の複数のヘッドチップ51ごとに、互いに異なる種類のインクを貯留する複数の容器を有してもよい。
【0015】
制御ユニット20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体吐出装置100の各要素の動作を制御する。また、制御ユニット20は、液体吐出ヘッド50の動作を制御する複数のモードを切り替えて実行する。
【0016】
搬送機構30は、制御ユニット20による制御のもとで、媒体Mを搬送方向DMに搬送する。図1示す例では、搬送方向DMがY1方向である。移動機構40は、制御ユニット20による制御のもとで、複数の液体吐出ヘッド50をX1方向とX2方向とに往復させる。図1に示す例では、移動機構40は、液体吐出ヘッド50を収容するキャリッジと称される略箱型の搬送体41と、搬送体41が固定される搬送ベルト42と、を有する。なお、搬送体41には、複数の液体吐出ヘッド50のほかに、循環機構60の一部が搭載されてもよい。
【0017】
液体吐出ヘッド50は、制御ユニット20による制御のもとで、液体容器10からポンプ70および循環機構60をこの順で介して供給されるインクを複数のノズルNのそれぞれからZ2方向に媒体Mに吐出する。この吐出が搬送機構30による媒体Mの搬送と移動機構40による液体吐出ヘッド50の往復移動とに並行して行われることにより、媒体Mの表面にインクによる画像が形成される。
【0018】
ここで、液体吐出ヘッド50には、制御ユニット20から、液体吐出ヘッド50を駆動するための駆動信号Comと、液体吐出ヘッド50の駆動を制御するための制御信号SIと、が供給される。制御信号SIは、液体吐出ヘッド50の後述の圧電素子51eに対して駆動信号Comを供給するか否かを指定するための信号であり、画像データImgに基づいて生成される。画像データImgは、画像を示す情報であり、パーソナルコンピューターまたはデジタルカメラ等のホストコンピューターから制御ユニット20に供給される。
【0019】
図1に示す例では、液体吐出ヘッド50は、複数のヘッドチップ51を有する。当該複数のヘッドチップ51のそれぞれは、図示しない流路構造体の流路を介して、供給流路SJおよび回収流路CJに接続される。ヘッドチップ51の詳細については、後に図3および図4に基づいて説明する。なお、液体吐出ヘッド50の有するヘッドチップ51の数は、図1に示す例に限定されず、任意であり、単数であってもよい。
【0020】
図1に示す例では、液体容器10がポンプ70および循環機構60をこの順で介して液体吐出ヘッド50に接続される。循環機構60は、制御ユニット20による制御のもとで、液体吐出ヘッド50に供給流路SJを介してインクを供給するとともに、液体吐出ヘッド50から排出されるインクを液体吐出ヘッド50への再供給のために回収流路CJを介して回収する機構である。循環機構60の動作により、インクの粘度上昇を抑えたり、インク内の気泡の滞留を低減したりすることができる。供給流路SJおよび回収流路CJのそれぞれは、例えば、可撓性を有するチューブで構成される。なお、循環機構60の具体的な構成例については、後に図2に基づいて説明する。
【0021】
ポンプ70は、制御ユニット20による制御のもとで、液体容器10に貯留されたインクを循環機構60に供給する。ポンプ70は、例えば、チューブポンプである。なお、ポンプ70は、チューブポンプに限定されず、例えば、ダイアフラムポンプまたはシリンジポンプでもよい。
【0022】
1-2.循環機構の構成
図2は、循環機構60を説明するための図である。図2に示すように、循環機構60は、供給タンク61aと、回収タンク61bと、「第1検出部」の一例である圧力センサー62aと、「第2検出部」の一例である圧力センサー62bと、戻しポンプ63と、加圧機構64aと、減圧機構64bと、開閉弁65a、65bと、液面センサー66a、66bと、圧力センサー67a、67bと、逆止弁68と、を有する。
【0023】
供給タンク61aは、液体吐出ヘッド50に供給されるインクを一時的に貯留する容器である。供給タンク61aは、供給流路SJを介して液体吐出ヘッド50に接続されており、供給タンク61a内のインクは、供給流路SJを介して液体吐出ヘッド50に供給される。また、供給タンク61aは、中継流路IJを介して回収タンク61bに接続されており、中継流路IJを介して回収タンク61bからインクの供給を受ける。
【0024】
ここで、供給流路SJの途中には、圧力センサー62aが設けられる。圧力センサー62aは、加圧機構64aと液体吐出ヘッド50との間の圧力Pinを計測するためのセンサーであり、供給流路SJ内の圧力を計測する。圧力センサー62aとしては、特に限定されず、例えば、公知のダイアフラム式の圧力センサーを用いることができる。圧力センサー62aの計測結果を示す情報は、制御ユニット20に入力される。
【0025】
中継流路IJの途中には、戻しポンプ63が設けられる。戻しポンプ63は、制御ユニと20による制御のもとで、回収タンク61bから供給タンク61aにインクを移送するための圧力を生じさせるポンプであり、例えば、チューブポンプである。
【0026】
供給タンク61aには、加圧機構64aと開閉弁65aと液面センサー66aと圧力センサー67aとが設けられる。
【0027】
加圧機構64aは、供給タンク61a内を加圧するための機構であり、第1共通液室R1にインクを供給するための加圧動作を行う。図2に示す例では、加圧機構64aは、コンプレッサー641aとレギュレーター642aとを有する。コンプレッサー641aは、大気圧よりも高い正圧を発生させる。レギュレーター642aは、コンプレッサー641aと供給タンク61aとの間に設けられており、制御ユニット20の制御のもと、コンプレッサー641aで発生した圧力を調整し、調整後の圧力を供給タンク61aに供給する。なお、加圧機構64aは、コンプレッサー641aに代えて、チューブポンプ、シリンジポンプ、ダイアフラムポンプ等のポンプを有してもよい。
【0028】
開閉弁65aは、制御ユニット20の制御のもとで、供給タンク61a内と外部空間との間を開閉する弁機構である。開閉弁65aが開状態である場合、供給タンク61a内が大気開放され、一方、開閉弁65aが閉状態である場合、供給タンク61a内が密閉される。開閉弁65aは、例えば、制御ユニット20等の装置から制御可能な弁であればよく、例えば、ダイアフラム弁、電磁弁または電動弁等である。
【0029】
液面センサー66aは、供給タンク61a内のインクの液面が所定の高さ以上であるか否かを検出する。液面センサー66aとしては、特に限定されず、例えば、公知の接触式または非接触式の液面センサーを用いることができる。液面センサー66aの検出結果を示す情報は、制御ユニット20に入力される。
【0030】
圧力センサー67aは、供給タンク61a内の圧力Pt_inを計測する。圧力センサー67aとしては、特に限定されず、例えば、公知のダイアフラム式の圧力センサーを用いることができる。圧力センサー67aの計測結果を示す情報は、制御ユニット20に入力される。
【0031】
回収タンク61bは、液体吐出ヘッド50から排出されたインクを一時的に貯留する容器である。回収タンク61bは、回収流路CJを介して液体吐出ヘッド50に接続されており、回収流路CJを介して液体吐出ヘッド50から回収したインクの供給を受ける。また、回収タンク61bは、ポンプ70を介して液体容器10に連通しており、液体容器10からインクの供給を受ける。
【0032】
ここで、回収流路CJの途中には、圧力センサー62bが設けられる。圧力センサー62bは、減圧機構64bと液体吐出ヘッド50との間の圧力Poutを計測するためのセンサーであり、回収流路CJ内の圧力を計測する。圧力センサー62bとしては、特に限定されず、例えば、公知のダイアフラム式の圧力センサーを用いることができる。圧力センサー62bの計測結果を示す情報は、制御ユニット20に入力される。
【0033】
回収タンク61bとポンプ70との間には、逆止弁68が設けられる。逆止弁68は、液体容器10から回収タンク61bに供給されるインクが逆流することを抑制する。
【0034】
回収タンク61bには、減圧機構64bと開閉弁65bと液面センサー66bと圧力センサー67bとが設けられる。
【0035】
減圧機構64bは、回収タンク61b内を減圧するための機構であり、第2共通液室R2からインクを排出するための減圧動作を行う。図2に示す例では、減圧機構64bは、真空ポンプ641bとレギュレーター642bとを有する。真空ポンプ641bは、大気圧よりも低い負圧を発生させる。レギュレーター642bは、真空ポンプ641bと回収タンク61bとの間に設けられており、制御ユニット20の制御のもと、真空ポンプ641bで発生した圧力を調整し、調整後の圧力を回収タンク61bに供給する。
【0036】
開閉弁65bは、制御ユニット20の制御のもとで、回収タンク61b内と外部空間との間を開閉する弁機構である。開閉弁65bが開状態である場合、回収タンク61b内が大気開放され、一方、開閉弁65bが閉状態である場合、回収タンク61b内が密閉される。開閉弁65bは、例えば、制御ユニット20等の装置から制御可能な弁であればよく、例えば、ダイアフラム弁、電磁弁または電動弁等である。
【0037】
液面センサー66bは、回収タンク61b内のインクの液面が所定の高さ以上であるか否かを検出する。液面センサー66bとしては、特に限定されず、例えば、公知の接触式または非接触式の液面センサーを用いることができる。液面センサー66bの検出結果を示す情報は、制御ユニット20に入力される。
【0038】
圧力センサー67bは、回収タンク61b内の圧力Pt_outを計測する。圧力センサー67bとしては、特に限定されず、例えば、公知のダイアフラム式の圧力センサーを用いることができる。圧力センサー67bの計測結果を示す情報は、制御ユニット20に入力される。
【0039】
以上の循環機構60は、制御ユニット20の制御のもとで、供給タンク61a内の圧力Pt_inを回収タンク61b内の圧力Pt_outよりも高くすることにより、液体吐出ヘッド50、供給タンク61a、供給流路SJ、回収タンク61b、回収流路CJ、中継流路IJを含む循環経路KJでインクを循環させる。このとき、供給タンク61aから供給流路SJを介して液体吐出ヘッド50にインクが流入するとともに、液体吐出ヘッド50から回収流路CJを介して回収タンク61bへインクが回収される。また、必要に応じて、戻しポンプ63の動作によって中継流路IJを介して回収タンク61bから供給タンク61aにインクが移送される。
【0040】
ここで、制御ユニット20は、圧力センサー62a、62bの検出結果に基づいて、液体吐出ヘッド50内の圧力Pnが所定範囲内の負圧に維持されるように、加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作を制御する。圧力Pnが所定範囲内の負圧に維持されることにより、ノズルNのインクのメニスカスの決壊が防止され、ノズルNからのインク垂れが防止される。この制御の詳細については、後に図6から図9に基づいて説明する。
【0041】
1-3.ヘッドチップの構成
図3は、液体吐出ヘッド50のヘッドチップ51の分解斜視図である。図4は、図3中のa-a線断面図である。なお、図3中のa-a線は、X軸に平行であり、かつ、ノズル流路Nfを通る仮想的な線分である。
【0042】
図3および図4に示すように、ヘッドチップ51には、複数のノズルNと複数の個別流路PJと第1共通液室R1と第2共通液室R2とが設けられる。ここで、第1共通液室R1および第2共通液室R2は、複数の個別流路PJを介して互いに連通する。各個別流路PJは、圧力室Caと圧力室Cbとノズル流路Nfと個別供給流路Ra1と個別排出流路Ra2と第1連通流路Na1と第2連通流路Na2とを有する。
【0043】
ヘッドチップ51は、ノズル基板51aと流路基板51bと圧力室基板51cと振動板51dと複数の圧電素子51eとケース51fと保護板51gと配線基板51hと吸振体51jとを有する。
【0044】
図3および図4に示すように、ノズル基板51a、流路基板51b、圧力室基板51cおよび振動板51dは、この順にZ1方向に向かって積層される。これらの各部材は、Y軸に沿って延びており、例えば、半導体加工技術を用いてシリコンの単結晶基板を加工することにより製造される。また、これらの部材は、接着剤等により互いに接合される。なお、これらの部材のうちの隣り合う2つの部材間には、接着層等の他の層または基板が適宜に介在してもよい。
【0045】
ノズル基板51aには、複数のノズルNが設けられる。複数のノズルNのそれぞれは、インクを通過させる貫通孔であり、ノズル基板51aを貫通する。複数のノズルNは、Y軸に沿う方向に配列されており、ノズル列Lnを構成する。ノズル基板51aのZ2方向を向く面は、ノズル面FNである。
【0046】
流路基板51bには、第1共通液室R1および第2共通液室R2のそれぞれの一部と複数の個別流路PJにおける圧力室Caおよび圧力室Cbを除く部分とが設けられる。すなわち、流路基板51bには、ノズル流路Nf、第1連通流路Na1、第2連通流路Na2、個別供給流路Ra1および個別排出流路Ra2が設けられる。なお、以下では、圧力室Caおよび圧力室Cbのそれぞれを圧力室Cという場合がある。
【0047】
第1共通液室R1および第2共通液室R2のそれぞれの一部は、流路基板51bを貫通する空間である。流路基板51bのZ2方向を向く面には、当該空間による開口を閉塞する吸振体51jが設置される。
【0048】
吸振体51jは、弾性材料で構成されるシート状部材である。吸振体51jは、第1共通液室R1および第2共通液室R2のそれぞれの壁面の一部を構成しており、第1共通液室R1および第2共通液室R2における圧力変動を吸収する。
【0049】
ノズル流路Nfは、流路基板51bのZ2方向を向く面に設けられる溝内の空間である。ここで、ノズル基板51aは、ノズル流路Nfの壁面の一部を構成する。
【0050】
第1連通流路Na1および第2連通流路Na2のそれぞれは、流路基板51bを貫通する空間である。
【0051】
個別供給流路Ra1および個別排出流路Ra2のそれぞれは、流路基板51bを貫通する空間である。個別供給流路Ra1は、第1共通液室R1と圧力室Caとを連通させており、第1共通液室R1からのインクを圧力室Caに供給する。ここで、個別供給流路Ra1の一端は、流路基板51bのZ1方向を向く面に開口する。一方、個別供給流路Ra1の他端は、個別流路PJの上流の端であり、流路基板51bにおける第1共通液室R1の壁面の開口である。これに対し、個別排出流路Ra2は、第2共通液室R2と圧力室Cbとを連通させており、圧力室Cbからのインクを第2共通液室R2に排出する。ここで、個別排出流路Ra2の一端は、流路基板51bのZ1方向を向く面に開口する。一方、個別排出流路Ra2の他端は、個別流路PJの下流の端であり、流路基板51bにおける第2共通液室R2の壁面の開口である。
【0052】
圧力室基板51cには、複数の個別流路PJの圧力室Caおよび圧力室Cbが設けられる。圧力室Caおよび圧力室Cbのそれぞれは、圧力室基板51cを貫通しており、流路基板51bと振動板51dとの間における間隙である。
【0053】
振動板51dは、弾性的に振動可能な板状部材である。振動板51dは、例えば、酸化シリコンで構成される第1層と、酸化ジルコニウムで構成される第2層と、を含む積層体である。ここで、第1層と第2層との間には、金属酸化物等の他の層が介在してもよい。なお、振動板51dの一部または全部は、圧力室基板51cと同一材料で一体に構成されてもよい。例えば、所定厚の板状部材における圧力室Cに対応する領域について厚さ方向の一部を選択的に除去することで、振動板51dおよび圧力室基板51cを一体に形成することができる。また、振動板51dは、単一材料の層で構成されてもよい。
【0054】
振動板51dのZ1方向を向く面には、相異なる圧力室Cに対応する複数の圧電素子51eが設置される。各圧電素子51eは、例えば、互いに対向する第1電極および第2電極と、両電極間に配置される圧電体層との積層により構成される。各圧電素子51eは、圧力室C内のインクの圧力を変動させることで圧力室C内のインクをノズルNから吐出させる。圧電素子51eは、駆動信号Comが供給されることにより、自身の変形に伴い、振動板51dを振動させる。この振動に伴って、圧力室Cが膨張および伸縮することにより、圧力室C内のインクの圧力が変動する。なお、圧電素子51eは、駆動素子の一例である。ただし、ヘッドチップ51は、圧電素子51eの替わりに発熱素子を有してもよい。
【0055】
ケース51fは、インクを貯留するためのケースである。ケース51fには、第1共通液室R1および第2共通液室R2のそれぞれについて流路基板51bに設けられる一部以外の残部を構成する空間が設けられる。また、ケース51fには、第1共通液室R1と連通する導入口IO1と、第2共通液室R2と連通する排出口IO2とが設けられる。そして、第1共通液室R1には、導入口IO1を介してインクが供給される。また、第2共通液室R2に貯留されたインクは、排出口IO2を介して回収される。
【0056】
保護板51gは、振動板51dのZ1方向を向く面に設置される板状部材であり、複数の圧電素子51eを保護するとともに振動板51dの機械的な強度を補強する。ここで、保護板51gと振動板51dとの間には、複数の圧電素子51eを収容する空間が形成される。
【0057】
配線基板51hは、振動板51dのZ1方向を向く面に実装されており、制御ユニット20とヘッドチップ51とを電気的に接続するための実装部品である。例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)またはFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板51hが好適に利用される。配線基板51hには、駆動回路51iが実装される。駆動回路51iは、制御信号SIに基づいて、駆動信号Comに含まれる波形のうちの少なくとも一部を駆動パルスとして供給するか否かを切り替えるスイッチング素子を含む回路である。
【0058】
以上の構成のヘッドチップ51では、前述の循環機構60の動作により、インクが第1共通液室R1、個別供給流路Ra1、圧力室Ca、ノズル流路Nf、圧力室Cb、個別排出流路Ra2および第2共通液室R2にこの順に流通する。
【0059】
また、駆動回路51iからの駆動信号Comにより、圧力室Caおよび圧力室Cbの両方に対応する圧電素子51eが同時に駆動することで、圧力室Caおよび圧力室Cbの圧力を変動させ、圧力変動に伴ってノズルNからインクが吐出される。
【0060】
1-4.液体吐出装置の動作
図5は、第1実施形態に係る液体吐出装置100の動作の流れを例示する図である。液体吐出装置100では、図5に示すように、まず、ステップS1において、制御ユニット20が充填指示の有無を判断する。例えば、制御ユニット20は、液体吐出ヘッド50の交換があった場合、液体吐出装置100の最初の動作である場合、または、図示しない入力装置の入力結果に基づく充填指示があった場合、充填指示があったと判断する。ここで、液体吐出ヘッド50の交換があったか否かの判断は、例えば、液体吐出ヘッド50の着脱を検出するセンサーの検出結果に基づいて行われる。
【0061】
充填指示があった場合(ステップS1:YES)、ステップS2において、制御ユニット20が充填動作MFを実行する。充填動作MFは、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填されていない状態で実行開始されるモードであり、開閉弁65aを閉じた状態で、加圧機構64aを所定期間にわたり動作させる。当該所定期間では、制御ユニット20は、液体吐出ヘッド50を駆動させない。また、当該所定期間では、制御ユニット20は、開閉弁65bを閉じた状態で、減圧機構64bを所定時間にわたり動作させてもよいし、戻しポンプ63を動作させてもよい。当該所定期間中に減圧機構64bを動作させる場合、開閉弁65a、65bを閉じるタイミングと戻しポンプ63、加圧機構64aおよび減圧機構64bの駆動を開始するタイミングとは、特に限定されず、同時であっても異なってもよい。例えば、開閉弁65bを開状態とするとともに開閉弁65aを閉状態とした状態で、戻しポンプ63および加圧機構64aの駆動を開始し、その後、開閉弁65bを閉状態とした状態で、減圧機構64bの駆動を開始することもできる。これらのタイミングは、液体吐出ヘッド50内の圧力Pnをコントロールし易くするためには、同時であることが特に好ましい。
【0062】
ステップS2の後、または、充填指示がなかった場合(ステップS1:NO)、ステップS3において、制御ユニット20が待機動作MSを実行する。待機動作MSは、液体吐出ヘッド50を動作させない状態で、循環機構60を所定条件で動作させる。ここで、充填動作MFの実行前の初期に待機動作MSを実行する場合、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填されない状態で、待機動作MSが実行される。これに対し、充填動作MFの実行後に待機動作MSを実行する場合、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で、待機動作MSが実行される。この場合、待機動作MSは、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で待機するモードである。なお、以下では、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填されない状態で実行される待機動作MSを、他の待機動作MSである後述の待機動作MS_1、MS_2と区別して、待機動作MS_0という場合がある。
【0063】
ステップS3の後、ステップS4において、制御ユニット20が気泡排出指示の有無を判断する。例えば、制御ユニット20は、充填動作MFの直後である場合、または、図示しない入力装置の入力結果に基づく気泡排出指示があった場合、気泡排出指示があったと判断する
【0064】
気泡排出指示があった場合(ステップS4:YES)、ステップS5において、制御ユニット20がモード間圧力制御MM_1を実行した後、ステップS6において、制御ユニット20が気泡排出動作MDを実行する。モード間圧力制御MM_1は、待機動作MS_1の実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替える場合、加圧機構64aによる圧力Pinと減圧機構64bによる圧力Poutとのそれぞれを漸次的に変化させるためのモードであり、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で実行される。気泡排出動作MDは、液体吐出ヘッド50内の気泡を排出するためのモードであり、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で実行される。モード間圧力制御MM_1および気泡排出動作MDのそれぞれは、液体吐出ヘッド50を動作させない状態で、循環機構60を所定条件で動作させる。モード間圧力制御MM_1および気泡排出動作MDの詳細については、後に図6から図9に基づいて説明する。
【0065】
ステップS6の後、または、気泡排出指示がなかった場合(ステップS4:NO)、ステップS7において、制御ユニット20が印刷指示の有無を判断する。例えば、制御ユニット20は、印刷ジョブの入力があった場合、印刷指示があったと判断する。
【0066】
印刷指示があった場合(ステップS7:YES)、ステップS8において、制御ユニット20がモード間圧力制御MM_2を実行した後、ステップS8において、制御ユニット20が印刷動作MPを実行する。モード間圧力制御MM_2は、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、加圧機構64aによる圧力Pinと減圧機構64bによる圧力Poutとのそれぞれを漸次的に変化させるためのモードであり、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で実行される。ステップS8のモード間圧力制御MM_2は、圧力Pin、Poutの目標値が異なること以外は、ステップS5のモード間圧力制御MM_1と同様の手法により行われる。印刷動作MPは、液体吐出ヘッド50からインクを吐出して印刷を行うモードであり、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で実行される。印刷動作MPは、循環機構60を所定条件で動作させた状態で、画像データImgに基づいて液体吐出ヘッド50を動作させる。なお、以下では、モード間圧力制御MM_1およびモード間圧力制御MM_2のそれぞれをモード間圧力制御MMという場合がある。
【0067】
ステップS9の後、または、印刷指示がなかった場合(ステップS7:NO)、ステップS10において、制御ユニット20が終了指示の有無を判断する。例えば、制御ユニット20は、図示しない入力装置の入力結果に基づく終了指示があった場合、終了指示があったと判断する。
【0068】
制御ユニット20は、終了指示がない場合(ステップS10:NO)、ステップS1に戻り、一方、終了指示がある場合(ステップS10:YES)、処理を終了する。
【0069】
以上のように、制御ユニット20は、充填動作MF、待機動作MS、モード間圧力制御MM、気泡排出動作MDおよび印刷動作MPを含む複数のモードの実行を制御する。
【0070】
ここで、制御ユニット20が待機動作MS_1の実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替える場合、待機動作MS_1と気泡排出動作MDとの間にモード間圧力制御MM_1が実行される。この場合、待機動作MS_1が「第1モード」の一例であり、気泡排出動作MDが「第2モード」の一例である。また、制御ユニット20が気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、気泡排出動作MDと印刷動作MPとの間にモード間圧力制御MM_2が実行される。この場合、気泡排出動作MDが「第1モード」の一例であり、印刷動作MPが「第2モード」の一例である。
【0071】
また、制御ユニット20が待機動作MS_0の実行から充填動作MFの実行へ切り替える場合、待機動作MS_0が「第3モード」の一例であり、充填動作MFが「第4モード」の一例である。
【0072】
さらに、制御ユニット20が印刷動作MPの実行から待機動作MS_2の実行へ切り替える場合、印刷動作MPが「第5モード」の一例であり、待機動作MS_2が「第6モード」の一例である。
【0073】
図6および図7は、第1実施形態における各部の圧力Pin、Pout、Pnの経時的変化を例示する図である。図6では、待機動作MS_0、充填動作MF、待機動作MS_1、モード間圧力制御MM_1、気泡排出動作MD、モード間圧力制御MM_2、印刷動作MP、待機動作MS_2がこの順で行われる場合の圧力Pin、Pout、Pnの経時的変化が示される。なお、図6および以降の説明では待機動作MS_1が終了しモード間圧力制御MM_1が開始するタイミングを基準(0sec)として説明する。図7では、図6に示す圧力Pin、Pout、Pnの経時的変化のうち、モード間圧力制御MM_1の実行開始から印刷動作MPの実行終了までの期間が示される。
【0074】
待機動作MS_0は、図6に示すように、加圧機構64aによる圧力PT1_Sでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Sでの減圧とのもとで、液体吐出ヘッド50の動作を制御する。ここで、圧力PT1_Sは、「第5圧力」の一例であり、圧力PT2_Sは、「第6圧力」の一例である。図6に示す例では、圧力PT1_Sおよび圧力PT2_Sのそれぞれが0kPaである。
【0075】
待機動作MS_0と同様、充填動作MFの実行後の待機動作MS_1、MS_2のそれぞれは、加圧機構64aによる圧力PT1_Sでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Sでの減圧とのもとで液体吐出ヘッド50の動作を制御する。ただし、前述のように、待機動作MS_0が液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填されない状態で実行開始されるのに対し、待機動作MS_1、MS_2が液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で実行される。また、充填動作MFの実行後かつ気泡排出動作MDの実行前の待機動作MS_1では、圧力PT1_Sは、「第1圧力」の一例であり、圧力PT2_Sは、「第2圧力」の一例である。また、印刷動作MPの実行後の待機動作MS_2では、圧力PT1_Sは、「第11圧力」の一例であり、圧力PT2_Sは、「第12圧力」の一例である。
【0076】
なお、圧力PT1_Sおよび圧力PT2_Sのそれぞれは、図6に示す例に限定されない。例えば、圧力PT1_Sが微小な負圧であってもよいし、圧力PT2_Sが微小な正圧であってもよいし、圧力PT1_Sおよび圧力PT2_Sの絶対値が互いに異なってもよい。また、待機動作MSの実行期間の長さは、図6に示す例に限定されず、任意である。
【0077】
充填動作MFは、加圧機構64aによる圧力PT1_Fでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Fでの減圧とのもとで液体吐出ヘッド50の動作を制御する。ここで、圧力PT1_Fは、「第7圧力」の一例であり、圧力PT2_Fは、「第8圧力」の一例である。
【0078】
圧力PT1_Fは、圧力PT1_Sよりも大きい。図6に示す例では、圧力PT1_Fが25kPaであり、圧力PT2_Fは0kPaである。ここで、圧力PT1_Fの絶対値が圧力PT2_Fの絶対値よりも大きい。
【0079】
なお、圧力PT1_Fおよび圧力PT2_Fのそれぞれは、図6に示す例に限定されない。例えば、圧力PT2_Fが負圧であってもよいし、圧力PT1_Fおよび圧力PT2_Fの絶対値が互いに等しくてもよい。また、充填動作MFの実行期間の長さは、図6に示す例に限定されず、任意である。
【0080】
ここで、前述のように、待機動作MS_0および充填動作MFのそれぞれは、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填されていない状態で実行開始される。液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填されていない状態では、加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作を急激に変化させても、ノズルNからのインク垂れが生じない。
【0081】
そこで、待機動作MS_0の実行から充填動作MFの実行へ切り替える際、その切り替えの迅速化の観点から、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinと減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutとのそれぞれを即時的に変化させる。具体的には、制御ユニット20は、待機動作MS_0の実行から充填動作MFの実行へ切り替える場合、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinを圧力PT1_Sから圧力PT1_Fまで即時的に変化させ、かつ、減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutを圧力PT2_Sから圧力PT2_Fまで即時的に変化させる。
【0082】
なお、「即時的」とは、遷移するモード間の圧力差を100%としたとき、1秒当たりの圧力変化が50%以上であること、好ましくは、65%以上であることをいう。
【0083】
同様の観点から、制御ユニット20は、充填動作MFの実行から待機動作MS_1の実行へ切り替える場合、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinを圧力PT1_Fから圧力PT1_Sまで即時的に変化させ、かつ、減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutを圧力PT2_Fから圧力PT2_Sまで即時的に変化させる。ここで、ノズルNからのインク垂れが生じないよう、充填動作MFの実行期間の長さを設定することが好ましい。なお、制御ユニット20は、充填動作MFの実行から待機動作MS_1の実行へ切り替える際、後述のモード間圧力制御MMと同様、圧力Pin、Poutを漸次的に変化させてもよい。
【0084】
気泡排出動作MDは、加圧機構64aによる圧力PT1_Dでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Dでの減圧とのもとで液体吐出ヘッド50の動作を制御する。ここで、気泡排出動作MDが「第1モード」である場合、圧力PT1_Dは、「第1圧力」の一例であり、圧力PT2_Dは、「第2圧力」の一例である。気泡排出動作MDが「第2モード」である場合、圧力PT1_Dは、「第3圧力」の一例であり、圧力PT2_Dは、「第4圧力」の一例である。
【0085】
圧力PT1_Dは、圧力PT1_Sよりも大きく、かつ、圧力PT2_Dは、圧力PT2_Sよりも小さい。図6および図7に示す例では、圧力PT1_Dが18kPaであり、圧力PT2_Dが-20kPaである。ここで、圧力PT2_Dの絶対値が圧力PT1_Dの絶対値よりも大きい。このため、ノズルN近傍の圧力Pnが負圧である。この結果、ノズルNからのインク垂れが防止される。図6および図7に示す例では、圧力Pnが-2kPaである。このように圧力Pnが所定範囲内の負圧であることにより、ノズルNでのインクのメニスカスが維持される。この結果、ノズルNへの気泡の混入等が防止される。
【0086】
なお、圧力PT1_Dおよび圧力PT2_Dのそれぞれは、図6および図7に示す例に限定されない。また、気泡排出動作MDの実行期間の長さは、図6および図7に示す例に限定されず、任意である。
【0087】
ここで、前述のように、待機動作MS_1および気泡排出動作MDのそれぞれは、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で実行される。液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態では、加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作を急激に変化させると、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinと減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutとのバランスが崩れやすいので、ノズルN近傍の圧力Pnが意図せずに変動してしまい、この結果、ノズルNからのインク垂れが生じる虞がある。この問題は、移行するモード間における圧力Pinおよび圧力Poutのそれぞれの変化が大きいほど生じやすく、圧力Pinおよび圧力Poutのそれぞれの当該モード間の圧力差が10kPaよりも大きい場合に特に顕著である。
【0088】
そこで、待機動作MS_1の実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替える際、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinと減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutとのそれぞれを漸次的に変化させる。具体的には、制御ユニット20は、待機動作MS_1の実行後かつ気泡排出動作MDの実行前に、モード間圧力制御MM_1を実行する。
【0089】
モード間圧力制御MM_1は、待機動作MS_1の実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替える場合、圧力Pinを圧力PT1_Sから圧力PT1_Dまで漸次的に変化させ、かつ、圧力Poutを圧力PT2_Sから圧力PT2_Dまで漸次的に変化させる。このとき、圧力Pnが所定の負圧となるように、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinと減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutとのそれぞれが制御される。当該所定の負圧は、ノズルNでのインクのメニスカスを決壊させない程度であること、具体的には、-5kPa以上であることが好ましい。
【0090】
なお、「漸次的」とは、遷移するモード間の圧力差を100%としたとき、1秒当たりの圧力変化が50%未満であること、好ましくは、35%未満であることをいう。
【0091】
図6および図7に示す例では、モード間圧力制御MM_1において、加圧機構64aおよび減圧機構64bのそれぞれの動作期間の長さがモード間圧力制御MM_1の実行期間の長さに等しい。このため、モード間圧力制御MM_1において、加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作期間の長さが互いに等しい。このため、モード間圧力制御MM_1において、圧力Pnの意図しない変動を好適に低減することができる。
【0092】
印刷動作MPは、加圧機構64aによる圧力PT1_Pでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Pでの減圧とのもとで液体吐出ヘッド50の動作を制御する。ここで、圧力PT1_Pは、「第3圧力」および「第9圧力」の一例であり、圧力PT2_Dは、「第4圧力」および「第10圧力」の一例である。
【0093】
圧力PT1_Pは、圧力PT1_Dよりも小さく、かつ、圧力PT2_Pは、圧力PT2_Dよりも大きい。図6および図7に示す例では、圧力PT1_Pが3kPaであり、圧力PT2_Pが-5kPaである。ここで、圧力PT2_Pの絶対値が圧力PT1_Pの絶対値よりも大きい。このため、ノズルN近傍の圧力Pnが負圧である。この結果、ノズルNからのインク垂れが防止される。図6および図7に示す例では、圧力Pnが-2kPaである。このように圧力Pnが所定範囲内の負圧であることにより、ノズルNでのインクのメニスカスが維持される。この結果、ノズルN内への気泡の混入等が防止される。
【0094】
ここで、前述のように、気泡排出動作MDおよび印刷動作MPのそれぞれは、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で実行される。また、これらのモード間における圧力Pinおよび圧力Poutのそれぞれの変化が10kPaよりも大きい。
【0095】
そこで、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える際、ノズルNからのインク垂れを防止する観点から、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinと減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutとのそれぞれを漸次的に変化させる。具体的には、制御ユニット20は、気泡排出動作MDの実行後かつ印刷動作MPの実行前に、モード間圧力制御MM_2を実行する。
【0096】
モード間圧力制御MM_2は、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、圧力Pinを圧力PT1_Dから圧力PT1_Pまで漸次的に変化させ、かつ、圧力Poutを圧力PT2_Dから圧力PT2_Pまで漸次的に変化させる。このとき、圧力Pnが所定の負圧となるように、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinと減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutとのそれぞれが制御される。当該所定の負圧は、ノズルNでのインクのメニスカスを決壊させない程度であること、具体的には、-5kPa以上であることが好ましい。
【0097】
図6および図7に示す例では、モード間圧力制御MM_2において、加圧機構64aおよび減圧機構64bのそれぞれの動作期間の長さがモード間圧力制御MM_2の実行期間の長さに等しい。このため、モード間圧力制御MM_2において、加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作期間の長さが互いに等しい。このため、モード間圧力制御MM_2において、圧力Pnの意図しない変動を好適に低減することができる。
【0098】
圧力PT1_Pと圧力PT1_Sとの差、および、圧力PT2_Pと圧力PT2_Sとの差のそれぞれは、10kPaよりも小さい。したがって、印刷動作MPの実行から待機動作MSの実行へ切り替える際、加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作を急激に変化させても、ノズルNからのインク垂れが生じ難い。
【0099】
そこで、制御ユニット20は、印刷動作MPの実行から待機動作MSの実行へ切り替える場合、その切り替えの迅速化の観点から、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinを圧力PT1_Pから圧力PT1_Sまで即時的に変化させ、かつ、減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutを圧力PT2_Pから圧力PT2_Sまで即時的に変化させる。
【0100】
図8は、モード間圧力制御MMの一例を示す図である。図8に示すように、モード間圧力制御MMは、加圧制御CPと減圧制御CDとを実行する。
【0101】
加圧制御CPでは、まず、ステップS101において、制御ユニット20がkを(N-1)に設定する。Nは、3以上の自然数であり、好ましくは、4以上であり、より好ましくは、4以上10以下である。ここで、圧力Pinの目標値は、目標圧力[PT1-k(ΔP1/N)]である。したがって、制御ユニット20は、圧力Pinが目標圧力[PT1-k(ΔP1/N)]となるように、加圧機構64aの動作を制御する。
【0102】
PT1は、圧力Pinの最終的な目標圧力である。したがって、モード間圧力制御MM_1では、圧力PT1が圧力PT1_Dであり、モード間圧力制御MM_2では、圧力PT1が圧力PT1_Pである。ΔP1は、モード間圧力制御MM_1の前のモードにおける圧力Pinの目標値とモード間圧力制御MM_1の後のモードにおける圧力Pinの目標値との差分である。したがって、モード間圧力制御MM_1では、ΔP1が圧力PT1_Sと圧力PT1_Dとの差分であり、モード間圧力制御MM_2では、ΔP1が圧力PT1_Dと圧力PT1_Pとの差分である。
【0103】
ステップS101の後、ステップS102において、制御ユニット20は、圧力センサー62aの検出結果に基づいて、圧力Pinが目標圧力[PT1-k(ΔP1/N)]に達したか否かを判断する。このステップS102は、圧力Pinが目標圧力[PT1-k(ΔP1/N)]に達するまで繰り返し行われる(ステップS102:NO)。
【0104】
圧力Pinが目標圧力[PT1-k(ΔP1/N)]に達した場合(ステップS102:NO)、制御ユニット20がkに1を減じる。これにより、圧力Pinの目標値が最終的な目標圧力である圧力PT1に近づくように変更される。
【0105】
ステップS103の後、ステップS104において、制御ユニット20は、kが(-1)に達したか否かを判断する。制御ユニット20は、kが(-1)に達しない場合(ステップS104:NO)、ステップS102に戻り、一方、kが(-1)に達した場合(ステップS104:YES)、加圧制御CPの処理を終了する。
【0106】
このような加圧制御CPでは、圧力Pinの目標値が目標圧力[PT1-(N-1)(ΔP1/N)]から目標圧力(PT1)まで(ΔP1/N)ずつ段階的に変化する。これにより、圧力Pinを目標値まで漸次的に変化させることができる。ここで、[PT1-m(ΔP1/N)]が「第1目標圧力」の一例であり、[PT1-(m-1)(ΔP1/N)]が「第2目標圧力」の一例である。mは、2以上(N-1)以下の自然数である。
【0107】
例えば、図7に示すように、加圧制御CPの前のモードの圧力Pinの目標値が0kPaであり、かつ、加圧制御CPの後のモードの圧力Pinの最終的な目標圧力が18kPaである場合、加圧制御CPでは、Nを5とすると、圧力Pinの目標値が3.6kPa、7.2kPa・・・のように最終的な目標圧力に近づくように3.6kPaずつ変化する。
【0108】
同様に、減圧制御CDでは、まず、ステップS201において、制御ユニット20がjを(N-1)に設定する。Nは、3以上の自然数である。ここで、圧力変化を緩やかにするためには、Nはなるべく大きい方が良く、例えばNは4以上の自然数であることが好ましく、8以上の自然数であることが更に好ましい。但し、あまりにNが大きくなり過ぎると、緩やかになり過ぎ、モード間圧力制御MM_1の間に最終的な目標圧力PT1に到達できない虞がある。したがって、Nはモード間圧力制御MM_1の間に最終的な目標圧力PT1に到達できる範囲に収まっていることが好ましい。ここで、圧力Poutの目標値は、目標圧力[PT2-j(ΔP2/N)]である。したがって、制御ユニット20は、圧力Poutが目標圧力[PT2-j(ΔP2/N)]となるように、減圧機構64bの動作を制御する。
【0109】
PT2は、圧力Poutの最終的な目標圧力である。したがって、モード間圧力制御MM_1では、圧力PT2が圧力PT2_Dであり、モード間圧力制御MM_2では、圧力PT2が圧力PT2_Pである。ΔP2は、モード間圧力制御MM_1の前のモードにおける圧力Poutの目標値とモード間圧力制御MM_1の後のモードにおける圧力Poutの目標値との差分である。したがって、モード間圧力制御MM_1では、ΔP2が圧力PT2_Sと圧力PT2_Dとの差分であり、モード間圧力制御MM_2では、ΔP2が圧力PT2_Dと圧力PT2_Pとの差分である。
【0110】
ステップS201の後、ステップS202において、制御ユニット20は、圧力センサー62bの検出結果に基づいて、圧力Poutが目標圧力[PT2-j(ΔP2/N)]に達したか否かを判断する。このステップS202は、圧力Poutが目標圧力[PT2-j(ΔP2/N)]に達するまで繰り返し行われる(ステップS202:NO)。
【0111】
圧力Poutが目標圧力[PT2-j(ΔP2/N)]に達した場合(ステップS202:NO)、制御ユニット20がjに1を減じる。これにより、圧力Poutの目標値が最終的な目標圧力である圧力PT2に近づくように変更される。
【0112】
ステップS203の後、ステップS204において、制御ユニット20は、jが(-1)に達したか否かを判断する。制御ユニット20は、jが(-1)に達しない場合(ステップS204:NO)、ステップS202に戻り、一方、jが(-1)に達した場合(ステップS204:YES)、減圧制御CDの処理を終了する。
【0113】
このような減圧制御CDでは、圧力Poutの目標値が目標圧力[PT2-(N-1)(ΔP2/N)]から目標圧力(PT2)まで(ΔP2/N)ずつ段階的に変化する。これにより、圧力Poutを目標値まで漸次的に変化させることができる。ここで、[PT2-n(ΔP2/N)]が「第3目標圧力」の一例であり、[PT2-(n-1)(ΔP2/N)]が「第4目標圧力」の一例である。nは、2以上(N-1)以下の自然数である。
【0114】
例えば、図7に示すように、減圧制御CDの前のモードの圧力Poutの目標値が0kPaであり、かつ、減圧制御CDの後のモードの圧力Poutの最終的な目標圧力が-20kPaである場合、減圧制御CDでは、Nを5とすると、圧力Poutの目標値が-4.0kPa、-8.0kPa・・・のように最終的な目標圧力に近づくように4.0kPaずつ変化する。
【0115】
図9は、モード間圧力制御MMの他の一例を示す図である。図9に示すモード間圧力制御MMは、ステップS105およびステップS205を追加したこと以外は、前述の図8に示すモード間圧力制御MMと同様である。
【0116】
図9に示す加圧制御CPでは、圧力Pinが目標圧力[PT1-k(ΔP1/N)]に達した場合(ステップS102:NO)、ステップS105において、制御ユニット20は、圧力センサー62bの検出結果に基づいて、圧力Poutが目標圧力[PT2-j(ΔP2/N)]に達したか否かを判断する。
【0117】
制御ユニット20は、圧力Poutが目標圧力[PT2-j(ΔP2/N)]に達しない場合(ステップS105:NO)、ステップS102に戻り、一方、圧力Poutが目標圧力[PT2-j(ΔP2/N)]に達した場合(ステップS105:YES)、ステップS103に移行する。なお、制御ユニット20は、圧力Poutが目標圧力[PT2-j(ΔP2/N)]に達するまでステップS105だけを繰り返してもよい。
【0118】
このように、図9に示す加圧制御CPでは、圧力センサー62aの検出結果だけでなく、圧力センサー62bの検出結果を用いて、加圧機構64aの駆動が制御される。
【0119】
同様に、図9に示すモード間圧力制御MMの減圧制御CDでは、圧力Poutが目標圧力[PT2-j(ΔP2/N)]に達した場合(ステップS202:NO)、ステップS205において、制御ユニット20は、圧力センサー62aの検出結果に基づいて、圧力Pinが目標圧力[PT1-k(ΔP1/N)]に達したか否かを判断する。
【0120】
制御ユニット20は、圧力Pinが目標圧力[PT1-k(ΔP1/N)]に達しない場合(ステップS205:NO)、ステップS202に戻り、一方、圧力Pinが目標圧力[PT1-k(ΔP1/N)]に達した場合(ステップS205:YES)、ステップS203に移行する。なお、制御ユニット20は、圧力Pinが目標圧力[PT1-k(ΔP1/N)]に達するまでステップS205だけを繰り返してもよい。
【0121】
このように、図9に示す減圧制御CDでは、圧力センサー62bの検出結果だけでなく、圧力センサー62aの検出結果を用いて、加圧機構64aの駆動が制御される。
【0122】
図10は、比較例1における各部の圧力Pin、Pout、Pnの経時的変化を例示する図である。比較例1は、モード間圧力制御MMを省略したこと以外は、前述の図7に示すのと同様に加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作を制御する。したがって、比較例1では、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替える場合、および、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、圧力Pinおよび圧力Poutのそれぞれが即時的に変化する。このため、図10に現れないが、実際には、ノズルN近傍の圧力Pnが正側に変動し、この結果、ノズルNからのインク垂れが生じる虞がある。
【0123】
図11は、比較例2における各部の圧力Pin、Pout、Pnの経時的変化を例示する図である。比較例2は、比較例1と同様、モード間圧力制御MMを省略したこと以外は、前述の図7に示すのと同様に加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作を制御する。ただし、比較例2では、インクの流動抵抗等に起因して、比較例1に比べて、圧力Pin、Poutの変化が緩やかである。しかし、比較例2では、遷移するモード間の圧力差を100%としたとき、1秒当たりの圧力変化が50%未満である。
【0124】
したがって、比較例2においても、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替える場合、および、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、圧力Pinおよび圧力Poutのそれぞれが即時的に変化する。このため、図11に現れないが、実際には、ノズルN近傍の圧力Pnが正側に変動し、この結果、ノズルNからのインク垂れが生じる虞がある。
【0125】
以上のように、液体吐出装置100は、液体吐出ヘッド50と、加圧機構64aと、減圧機構64bと、「モード制御部」の一例である制御ユニット20と、を備える。液体吐出ヘッド50は、「液体」の一例であるインクを吐出するノズルNに連通する圧力室Cをそれぞれ含む複数の個別流路PJと、複数の個別流路PJの一端に共通に接続する「第1共通流路」の一例である第1共通液室R1と、複数の個別流路PJの他端に共通に接続する「第2共通流路」の一例である第2共通液室R2と、を有する。加圧機構64aは、第1共通液室R1にインクを供給するための加圧動作を行う。減圧機構64bは、第2共通液室R2からインクを排出するための減圧動作を行う。
【0126】
制御ユニット20は、「第1モード」の一例である待機動作MSと、「第2モード」の一例である気泡排出動作MDと、を含む複数のモードの実行を制御するか、または、「第1モード」の一例である気泡排出動作MDと、「第2モード」の一例である印刷動作MPと、を含む複数のモードの実行を制御する。
【0127】
待機動作MSは、加圧機構64aによる圧力PT1_Sでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Sでの減圧とのもとで液体吐出ヘッド50の動作を制御する。ここで、圧力PT1_Sは、「第1圧力」の一例であり、圧力PT2_Sは、「第2圧力」の一例である。
【0128】
気泡排出動作MDは、加圧機構64aによる圧力PT1_Dでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Dでの減圧とのもとで液体吐出ヘッド50の動作を制御する。ここで、気泡排出動作MDが「第1モード」である場合、圧力PT1_Dは、「第1圧力」の一例であり、圧力PT2_Dは、「第2圧力」の一例である。気泡排出動作MDが「第2モード」である場合、圧力PT1_Dは、「第3圧力」の一例であり、圧力PT2_Dは、「第4圧力」の一例である。
【0129】
印刷動作MPは、加圧機構64aによる圧力PT1_Pでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Pでの減圧とのもとで液体吐出ヘッド50の動作を制御する。ここで、圧力PT1_Pは、「第3圧力」の一例であり、圧力PT2_Dは、「第4圧力」の一例である。
【0130】
そのうえで、制御ユニット20は、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替える場合、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinを圧力PT1_Sから圧力PT1_Dまで漸次的に変化させ、かつ、減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutを圧力PT2_Sから圧力PT2_Dまで漸次的に変化させる。これにより、ノズルN近傍の圧力Pnの揺らぎを低減することができる。この結果、ノズルN近傍の圧力Pnが意図せずに正圧になることが低減されるので、ノズルNからのインク垂れが防止される。なお、「漸次的」とは、遷移するモード間の圧力差を100%としたとき、1秒当たりの圧力変化が50%未満であること、好ましくは、35%未満であることをいう。
【0131】
同様に、制御ユニット20は、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinを圧力PT1_Dから圧力PT1_Pまで漸次的に変化させ、かつ、減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutを圧力PT2_Dから圧力PT2_Pまで漸次的に変化させる。これにより、ノズルN近傍の圧力Pnの揺らぎを低減することができる。この結果、ノズルN近傍の圧力Pnが意図せずに正圧になることが低減されるので、ノズルNからのインク垂れが防止される。
【0132】
前述のように、待機動作MS、気泡排出動作MDおよび印刷動作MPのそれぞれは、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で実行されるモードである。このため、前述のように圧力Pin、Poutを漸次的に変化させることにより、ノズルNからのインク垂れを防止する効果が顕著に得られる。
【0133】
本実施形態では、前述のように、当該複数のモードは、「第3モード」の一例である待機動作MS_0と、「第4モード」の一例である充填動作MFと、を含む。待機動作MS_0は、加圧機構64aによる圧力PT1_Sでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Sでの減圧とのもとで液体吐出ヘッド50の動作を制御する。充填動作MFは、加圧機構64aによる圧力PT1_Fでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Fでの減圧とのもとで液体吐出ヘッド50の動作を制御する。ここで、圧力PT1_Sは、「第5圧力」の一例であり、圧力PT2_Sは、「第6圧力」の一例である。圧力PT1_Fは、「第7圧力」の一例であり、圧力PT2_Fは、「第8圧力」の一例である。
【0134】
待機動作MS_0および充填動作MFのそれぞれは、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填されていない状態で実行開始されるモードである。制御ユニット20は、待機動作MS_0の実行から充填動作MFの実行へ切り替える場合、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinを圧力PT1_Sから圧力PT1_Fまで即時的に変化させ、かつ、減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutを圧力PT2_Sから圧力PT2_Fまで即時的に変化させる。
【0135】
液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填されていない状態では、即時的に液体吐出ヘッド50の内部の圧力が変動しても、ノズルNからのインク垂れが生じない。したがって、待機動作MS_0の実行から充填動作MFの実行へ切り替える場合に圧力Pin、Poutのそれぞれを即時的に変化させることにより、ノズルNからのインク垂れを生じさせることなく、迅速にモード間の移行を行うことができる。
【0136】
また、前述のように、圧力PT1_Sと圧力PT1_Dとの差、圧力PT2_Sと圧力PT2_Dとの差、圧力PT1_Pと圧力PT1_Dとの差、および、圧力PT2_Pと圧力PT2_Dとの差のそれぞれは、10kPaよりも大きい。この場合、前述のように圧力Pin、Poutを漸次的に変化させることにより、ノズルNからのインク垂れを防止する効果が顕著に得られる。
【0137】
さらに、前述のように、当該複数のモードは、「第5モード」の一例である印刷動作MPと、「第6モード」の一例である待機動作MS_2と、を含む。印刷動作MPは、加圧機構64aによる圧力PT1_Pでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Pでの減圧とのもとで液体吐出ヘッド50の動作を制御する。ここで、圧力PT1_Pは、「第9圧力」の一例であり、圧力PT2_Dは、「第10圧力」の一例である。待機動作MSは、加圧機構64aによる圧力PT1_Sでの加圧と減圧機構64bによる圧力PT2_Sでの減圧とのもとで液体吐出ヘッド50の動作を制御する。ここで、圧力PT1_Sは、「第11圧力」の一例であり、圧力PT2_Sは、「第12圧力」の一例である。
【0138】
圧力PT1_Pと圧力PT1_Sとの差、および、圧力PT2_Pと圧力PT2_Sとの差のそれぞれは、10kPaよりも小さい。制御ユニット20は、印刷動作MPの実行から待機動作MSの実行へ切り替える場合、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinを圧力PT1_Pから圧力PT1_Sまで即時的に変化させ、かつ、減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutを圧力PT2_Pから圧力PT2_Sまで即時的に変化させる。
【0139】
モード間の圧力差が10kPaよりも小さい場合、即時的に液体吐出ヘッド50の内部の圧力が変動しても、ノズルNからのインク垂れが生じ難い。したがって、印刷動作MPの実行から待機動作MSの実行へ切り替える場合に圧力Pin、Poutのそれぞれを即時的に変化させることにより、ノズルNからのインク垂れを生じさせることなく、迅速にモード間の移行を行うことができる。
【0140】
また、前述のように、気泡排出動作MDは、液体吐出ヘッド50内の気泡を排出するためのモードであり、印刷動作MPは、液体吐出ヘッド50からインクを吐出して印刷を行うモードである。ここで、圧力PT1_Pは、圧力PT1_Dよりも小さく、かつ、圧力PT2_Pは、圧力PT2_Dよりも大きい。このような気泡排出動作MDおよび印刷動作MPのそれぞれは、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で実行される。したがって、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行に切り替える場合、圧力Pin、Poutを漸次的に変化させることにより、ノズルNからのインク垂れを防止する効果が顕著に得られる。
【0141】
さらに、前述のように、待機動作MSは、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で待機するモードであり、気泡排出動作MDは、液体吐出ヘッド50内の気泡を排出するためのモードである。ここで、圧力PT1_Dは、圧力PT1_Sよりも大きく、かつ、圧力PT2_Dは、圧力PT2_Sよりも小さい。このような待機動作MSおよび気泡排出動作MDのそれぞれは、液体吐出ヘッド50の内部にインクが充填された状態で実行される。したがって、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行に切り替える場合、圧力Pin、Poutを漸次的に変化させることにより、ノズルNからのインク垂れを防止する効果が顕著に得られる。
【0142】
また、前述のように、液体吐出装置100は、「第1検出部」の一例である圧力センサー62aと、「第2検出部」の一例である圧力センサー62bと、をさらに備える。圧力センサー62aは、加圧機構64aと液体吐出ヘッド50の間の圧力Pinを検出する。圧力センサー62bは、減圧機構64bと液体吐出ヘッド50の間の圧力Poutを検出する。
【0143】
制御ユニット20は、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替えるか、または、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、加圧制御CPと減圧制御CDとを実行する。
【0144】
待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替える場合、加圧制御CPは、圧力センサー62aの検出結果が圧力PT1_Sと圧力PT1_Dとの間の圧力である第1目標圧力[PT1-m(ΔP1/N)]に到達するまでの期間にわたり、第1目標圧力[PT1-m(ΔP1/N)]を目標値として加圧機構64aの駆動を制御し、圧力センサー62aの検出結果が第1目標圧力[PT1-m(ΔP1/N)]に到達した後、圧力センサー62aの検出結果が第1目標圧力[PT1-m(ΔP1/N)]と圧力PT1_Dとの間の圧力である第2目標圧力[PT1-(m-1)(ΔP1/N)]に到達するまでの期間にわたり、第2目標圧力[PT1-(m-1)(ΔP1/N)]を目標値として加圧機構64aの駆動を制御する。
【0145】
待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替える場合、減圧制御CDは、圧力センサー62bの検出結果が圧力PT2_Sと圧力PT2_Dとの間の圧力である第3目標圧力[PT2-n(ΔP2/N)]に到達するまでの期間にわたり、第3目標圧力[PT2-n(ΔP2/N)]を目標値として減圧機構64bの駆動を制御し、圧力センサー62bの検出結果が第3目標圧力[PT2-n(ΔP2/N)]に到達した後、圧力センサー62bの検出結果が第3目標圧力[PT2-n(ΔP2/N)]と圧力PT2_Dとの間の圧力である第4目標圧力[PT2-(n-1)(ΔP2/N)]に到達するまでの期間にわたり、第4目標圧力[PT2-(n-1)(ΔP2/N)]を目標値として減圧機構64bの駆動を制御する。
【0146】
このような加圧制御CPおよび減圧制御CDにより、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替える場合、比較的簡単に、圧力Pin、Poutを漸次的に変化させることができる。
【0147】
気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、加圧制御CPは、圧力センサー62aの検出結果が圧力PT1_Dと圧力PT1_Pとの間の圧力である第1目標圧力[PT1-m(ΔP1/N)]に到達するまでの期間にわたり、第1目標圧力[PT1-m(ΔP1/N)]を目標値として加圧機構64aの駆動を制御し、圧力センサー62aの検出結果が第1目標圧力[PT1-m(ΔP1/N)]に到達した後、圧力センサー62aの検出結果が第1目標圧力[PT1-m(ΔP1/N)]と圧力PT1_Pとの間の圧力である第2目標圧力[PT1-(m-1)(ΔP1/N)]に到達するまでの期間にわたり、第2目標圧力[PT1-(m-1)(ΔP1/N)]を目標値として加圧機構64aの駆動を制御する。
【0148】
気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、減圧制御CDは、圧力センサー62bの検出結果が圧力PT2_Sと圧力PT2_Pとの間の圧力である第3目標圧力[PT2-n(ΔP2/N)]に到達するまでの期間にわたり、第3目標圧力[PT2-n(ΔP2/N)]を目標値として減圧機構64bの駆動を制御し、圧力センサー62bの検出結果が第3目標圧力[PT2-n(ΔP2/N)]に到達した後、圧力センサー62bの検出結果が第3目標圧力[PT2-n(ΔP2/N)]と圧力PT2_Pとの間の圧力である第4目標圧力[PT2-(n-1)(ΔP2/N)]に到達するまでの期間にわたり、第4目標圧力[PT2-(n-1)(ΔP2/N)]を目標値として減圧機構64bの駆動を制御する。
【0149】
このような加圧制御CPおよび減圧制御CDにより、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、比較的簡単に、圧力Pin、Poutを漸次的に変化させることができる。
【0150】
さらに、前述のように、制御ユニット20は、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替えるか、または、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、圧力センサー62aの検出結果と圧力センサー62bの検出結果と第1目標圧力[PT1-m(ΔP1/N)]と第2目標圧力[PT1-(m-1)(ΔP1/N)]とに基づいて、加圧制御CPを実行し、かつ、圧力センサー62aの検出結果と圧力センサー62bの検出結果と第3目標圧力[PT2-n(ΔP2/N)]と第4目標圧力[PT2-(n-1)(ΔP2/N)]とに基づいて、減圧制御CDを実行することが好ましい。この場合、加圧機構64aによる加圧動作の圧力Pinと減圧機構64bによる減圧動作の圧力Poutとをバランスよく変化させることができる。
【0151】
また、前述のように、制御ユニット20は、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替えるか、または、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、個別流路PJ内のノズルN近傍の圧力が負圧となるように、加圧機構64aによる加圧動作と減圧機構64bによる減圧動作とを制御する。このため、ノズルNからのインク垂れを生じさせずに、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替えるか、または、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替えることができる。
【0152】
さらに、前述のように、制御ユニット20は、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替えるか、または、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、個別流路PJ内のノズルN近傍の圧力がメニスカスを決壊する程度の負圧とならないように、加圧機構64aによる加圧動作と減圧機構64bによる減圧動作とを制御する。このため、ノズルNからのインク垂れを生じさせずに、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替えるか、または、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替えることができる。
【0153】
以上のような液体吐出装置100の制御方法は、ステップS3とステップS5とステップS6とを含むか、または、ステップS6とステップS8とステップS9とを含む。
【0154】
ステップS3は、待機動作MSを実行する。ステップS5は、待機動作MSの実行後、モード間圧力制御MMを実行する。ステップS6は、モード間圧力制御MMの実行後、気泡排出動作MDを実行する。ステップS8は、気泡排出動作MDの実行後、モード間圧力制御MMを実行する。ステップS9は、モード間圧力制御MMの実行後、印刷動作MPを実行する。
【0155】
モード間圧力制御MMは、待機動作MSの実行から気泡排出動作MDの実行へ切り替える場合、圧力Pinを圧力PT1_Sから圧力PT1_Dまで漸次的に変化させ、かつ、圧力Poutを圧力PT2_Sから圧力PT2_Dまで漸次的に変化させる。同様に、モード間圧力制御MMは、気泡排出動作MDの実行から印刷動作MPの実行へ切り替える場合、圧力Pinを圧力PT1_Dから圧力PT1_Pまで漸次的に変化させ、かつ、圧力Poutを圧力PT2_Dから圧力PT2_Pまで漸次的に変化させる。以上の制御方法により、ノズルNからのインク垂れが防止される。
【0156】
2.第2実施形態
以下、本開示の第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0157】
図12は、第2実施形態における各部の圧力Pin、Pout、Pnの経時的変化を例示する図である。第2実施形態は、第1実施形態に比較して、圧力PT2_D、PT2_Pが異なり、これに伴い、モード間圧力制御MM_1、MM_2の実行時の減圧機構64bの動作の制御が異なること以外は、第1実施形態と同様である。
【0158】
図12に示す例では、気泡排出動作MDにおいて、加圧機構64aによる圧力PT1_Dが18kPaであり、減圧機構64bによる圧力PT2_Dが-30kPaである。また、ノズルN近傍の圧力Pnが-12kPaである。このように圧力Pnが負圧であることにより、気泡排出動作MDにおいて、ノズルNからのインク垂れが防止される。ただし、圧力Pnが-5kPa未満であるため、ノズルNのインクのメニスカスが決壊する可能性がある。
【0159】
図12に示す例では、印刷動作MPにおいて、加圧機構64aによる圧力PT1_Pが3kPaであり、減圧機構64bによる圧力PT2_Pが-15kPaである。また、ノズルN近傍の圧力Pnが-12kPaである。このように圧力Pnが負圧であることにより、印刷動作MPにおいて、ノズルNからのインク垂れが防止される。ただし、圧力Pnが-5kPa未満であるため、ノズルNのインクのメニスカスが決壊する可能性がある。
【0160】
以上のように、第2実施形態によっても、ノズルNからのインク垂れが防止される。
【0161】
3.第3実施形態
以下、本開示の第3実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0162】
図13は、第3実施形態における各部の圧力Pin、Pout、Pnの経時的変化を例示する図である。第3実施形態は、第1実施形態と比較して、モード間圧力制御MM_2の実行期間の長さが異なるとともに、モード間圧力制御MM_2における加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作期間の長さが互いに異なること以外は、第1実施形態と同様である。
【0163】
図13に示す例では、モード間圧力制御MM_2の実行期間の長さが8秒である。また、モード間圧力制御MM_2において、減圧機構64bの動作期間の長さがモード間圧力制御MM_2の実行期間の長さに等しい。これに対し、モード間圧力制御MM_2において、加圧機構64aの動作期間の長さがモード間圧力制御MM_2の実行期間の長さよりも短い。この結果、ノズルN付近のインクの圧力Pnがモード間圧力制御MM_2の実行期間中に変化する。ここで、圧力Pnは、負圧である。このため、モード間圧力制御MM_2において、ノズルNからのインク垂れが防止される。ただし、圧力Pnが-5kPa未満となる可能性があるため、ノズルNのインクのメニスカスが決壊する可能性がある。
【0164】
以上のように、第3実施形態によっても、ノズルNからのインク垂れが防止される。
【0165】
4.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0166】
4-1.変形例1
前述の形態では、加圧機構64aがコンプレッサー641aとレギュレーター642aとを有し、かつ、減圧機構64bが真空ポンプ641bとレギュレーター642bとを有する態様が例示されるが、この態様に限定されない。例えば、加圧機構64aがレギュレーター642aを有しない構成であってもよいし、減圧機構64bがレギュレーター642bを有しない構成であってもよい。
【0167】
4-2.変形例2
前述の形態では、圧力センサー62aおよび圧力センサー62bの両方の検出結果を用いて加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作を制御する態様が例示されるが、この態様に限定されない。例えば、圧力センサー62aおよび圧力センサー62bのうちの一方の検出結果を用いて加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作が制御されてもよい。この場合、圧力センサー62aおよび圧力センサー62bのうちの他方が省略されてもよい。また、圧力センサー62aおよび圧力センサー62bの検出結果の平均値等に基づいて加圧機構64aおよび減圧機構64bの動作が制御されてもよい。
【0168】
4-3.変形例3
前述の形態では、「第1モード」としての待機動作MSの実行から「第2モード」としての気泡排出動作MDの実行へ切り替える場合と、「第1モード」としての気泡排出動作MDから「第2モード」としての印刷動作MPへ切り替える場合と、が例示されるが、「第1モード」および「第2モード」は、この例示に限定されない。また、制御ユニット20により実行制御される複数のモードは、「第1モード」および「第2モード」に相当する動作またはモードが含まれていれば、前述の例示以外の動作またはモードが含まれてもよいし、前述の例示のうちの1以上が省略されてもよい。
【0169】
ここで、圧力Pinおよび圧力Poutの互いに異なる2つのモードを切り替える場合、当該2つのモードのうち、先行のモードが「第1モード」であり、後行のモードが「第2モード」である。ここで、前述のように、典型的には、第1モードの第1圧力としての圧力Pinと第2モードの第3圧力としての圧力Pinとの差、または、第1モードの第2圧力としての圧力Poutと第2モードの第4圧力としての圧力Poutとの差が10kPaよりも大きい。
【0170】
4-4.変形例4
前述の形態では、加圧制御CPおよび減圧制御CDのそれぞれにおいて圧力の目標値を等間隔に変化させる態様が例示されるが、この態様に限定されず、当該目標値の変化の間隔は、任意である。また、モード間圧力制御MMにおいて、圧力Pin、Poutを漸次的に変化させることができればよく、当該目標値を変化させる態様に限定されない。
【0171】
4-5.変形例5
前述の各形態で例示する液体吐出装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体吐出装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0172】
10…液体容器、20…制御ユニット、30…搬送機構、40…移動機構、41…搬送体、42…搬送ベルト、50…液体吐出ヘッド、51…ヘッドチップ、51a…ノズル基板、51b…流路基板、51c…圧力室基板、51d…振動板、51e…圧電素子、51f…ケース、51g…保護板、51h…配線基板、51i…駆動回路、51j…吸振体、60…循環機構、61a…供給タンク、61b…回収タンク、62a…圧力センサー、62b…圧力センサー、63…戻しポンプ、64a…加圧機構、64b…減圧機構、65a…開閉弁、65b…開閉弁、66a…液面センサー、66b…液面センサー、67a…圧力センサー、67b…圧力センサー、68…逆止弁、70…ポンプ、100…液体吐出装置、641a…コンプレッサー、641b…真空ポンプ、642a…レギュレーター、642b…レギュレーター、C…圧力室、CD…減圧制御、CJ…回収流路、CP…加圧制御、Ca…圧力室、Cb…圧力室、Com…駆動信号、DM…搬送方向、FN…ノズル面、IJ…中継流路、IO1…導入口、IO2…排出口、Img…画像データ、KJ…循環経路、Ln…ノズル列、M…媒体、MD…気泡排出動作(第1モード、第2モード)、MF…充填動作(第4モード)、MM…モード間圧力制御、MM_1…モード間圧力制御、MM_2…モード間圧力制御、MP…印刷動作(第2モード、第5モード)、MS…待機動作、MS_0…待機動作(第3モード)、MS_1…待機動作(第1モード)、MS_2…待機動作(第6モード)、N…ノズル、Na1…第1連通流路、Na2…第2連通流路、Nf…ノズル流路、PJ…個別流路、PT1…圧力、PT1_D…圧力(第1圧力、第3圧力)、PT1_F…圧力(第7圧力)、PT1_P…圧力(第3圧力、第9圧力)、PT1_S…圧力(第1圧力、第5圧力、第11圧力)、PT2…圧力、PT2_D…圧力(第2圧力、第4圧力)、PT2_F…圧力(第8圧力)、PT2_P…圧力(第4圧力、第10圧力)、PT2_S…圧力(第2圧力、第6圧力、第12圧力)、Pin…圧力、Pn…圧力、Pout…圧力、Pt_in…圧力、Pt_out…圧力、R1…第1共通液室、R2…第2共通液室、Ra1…個別供給流路、Ra2…個別排出流路、S1…ステップ、S2…ステップ、S3…ステップ、S4…ステップ、S5…ステップ、S6…ステップ、S7…ステップ、S8…ステップ、S9…ステップ、S10…ステップ、S101…ステップ、S102…ステップ、S103…ステップ、S104…ステップ、S105…ステップ、S201…ステップ、S202…ステップ、S203…ステップ、S204…ステップ、S205…ステップ、SI…制御信号、SJ…供給流路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13