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特開2024-46985電子機器、車両、表示制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046985
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】電子機器、車両、表示制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
G08G1/09 D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152390
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】河野 崇
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC12
(57)【要約】
【課題】車両が走行する車線に適した制限速度を特定する。
【解決手段】電子機器3は、地図情報を記憶する記憶部32と、車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度と、車両の位置と、を取得する取得部331と、撮像画像に含まれる標識が示す制限速度を表示部4に表示させる表示制御部332と、を有し、表示制御部332は、車両と分岐点との距離が閾値未満である間に取得部331が取得した制限速度を、表示部4に表示させない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を記憶する記憶部と、
車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度と、前記車両の位置と、を取得する取得部と、
前記撮像画像に含まれる標識が示す前記制限速度を表示部に表示させる表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記車両と分岐点との距離が閾値未満である間に前記取得部が取得した制限速度を、前記表示部に表示させない、
電子機器。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間は、前記距離が閾値以上である位置を前記車両が走行している際に前記取得部が取得した制限速度を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記車両が分岐路に進入すると判定した場合、前記車両と前記分岐点との距離が前記閾値未満である間に前記取得部が取得した制限速度を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記地図情報は、複数の車線の位置と、前記複数の車線の位置それぞれに対応する車線の種別と、を含み、
前記表示制御部は、前記分岐点の通過前に前記車両が走行する車線の種別が、前記分岐点の通過後に前記車両が走行する車線の種別と異なることを条件として、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間に前記取得部が取得した前記制限速度を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記距離が閾値未満である位置を前記車両が走行している際に前記車両の方向指示器が作動していることを条件として、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間に前記取得部が取得した前記制限速度を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間に前記取得部が取得した前記制限速度と、前記分岐点の通過後に前記車両が走行する車線の種別とを前記表示部に表示させる、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
請求項1に記載の電子機器と、
前記撮像画像を生成する前記カメラと、
を有することを特徴とする車両。
【請求項8】
プロセッサが実行する、
車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度と、前記車両の位置と、を取得するステップと、
前記撮像画像に含まれる標識が示す前記制限速度を表示部に表示させるステップと、
を有し、
前記表示させるステップにおいて、前記車両と分岐点との距離が閾値未満である間に取得した制限速度を前記表示部に表示させない、
表示制御方法。
【請求項9】
プロセッサに、
車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度と、前記車両の位置と、を取得するステップと、
前記撮像画像に含まれる標識が示す前記制限速度を表示部に表示させるステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記表示させるステップにおいて、前記車両と分岐点との距離が閾値未満である間に取得した制限速度を前記表示部に表示させない、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が走行する車線に適した制限速度を取得する電子機器、車両、表示制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のシステムは、カメラが取得したイメージから制限速度を認識し、最高速度として設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-4492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシステムは、本線を走行中の車両が分岐点に近づくと分岐路の制限速度を検出することにより、本線の制限速度として分岐路の制限速度を設定してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車両が走行する車線に適した制限速度を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る電子機器は、地図情報を記憶する記憶部と、車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度と、前記車両の位置と、を取得する取得部と、前記撮像画像に含まれる標識が示す前記制限速度を表示部に表示させる表示制御部と、を有し、前記表示制御部は、前記車両と分岐点との距離が閾値未満である間に前記取得部が取得した制限速度を、前記表示部に表示させない。
【0007】
前記表示制御部は、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間は、前記距離が閾値以上である位置を前記車両が走行している際に前記取得部が取得した制限速度を前記表示部に表示させてもよい。
【0008】
前記表示制御部は、前記車両が分岐路に進入すると判定した場合、前記車両と前記分岐点との距離が前記閾値未満である間に前記取得部が取得した制限速度を前記表示部に表示させてもよい。
【0009】
前記地図情報は、複数の車線の位置と、前記複数の車線の位置それぞれに対応する車線の種別と、を含み、前記表示制御部は、前記分岐点の通過前に前記車両が走行する車線の種別が、前記分岐点の通過後に前記車両が走行する車線の種別と異なることを条件として、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間に前記取得部が取得した前記制限速度を前記表示部に表示させてもよい。
【0010】
前記表示制御部は、前記距離が閾値未満である位置を前記車両が走行している際に前記車両の方向指示器が作動していることを条件として、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間に前記取得部が取得した前記制限速度を前記表示部に表示させてもよい。
【0011】
前記表示制御部は、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間に前記取得部が取得した前記制限速度と、前記分岐点の通過後に前記車両が走行する車線の種別とを前記表示部に表示させてもよい。
【0012】
本発明の第2の態様に係る車両は、上記に記載の電子機器と、前記撮像画像を生成する前記カメラと、を有する。
【0013】
本発明の第3の態様に係る表示制御方法は、プロセッサが実行する、車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度と、前記車両の位置と、を取得するステップと、前記撮像画像に含まれる標識が示す前記制限速度を表示部に表示させるステップと、を有し、前記表示させるステップにおいて、前記車両と分岐点との距離が閾値未満である間に取得した制限速度を前記表示部に表示させない。
【0014】
本発明の第4の態様に係るプログラムは、プロセッサに、車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度と、前記車両の位置と、を取得するステップと、前記撮像画像に含まれる標識が示す前記制限速度を表示部に表示させるステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記表示させるステップにおいて、前記車両と分岐点との距離が閾値未満である間に取得した制限速度を前記表示部に表示させない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両が走行する車線に適した制限速度を特定するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る車両Sの概要を説明するための図である。
図2】取得部331の動作の一例を説明するための図である。
図3】車線Bを走行する車両Sの動作を説明するための図である。
図4】車両の位置と車線の種別とを説明するための図である。
図5】電子機器3における処理シーケンスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<車両Sの概要>
図1は、本実施形態に係る車両Sの概要を説明するための図である。図1に示す車両Sは、カメラ1と、GPS(Global Positioning System)ユニット2と、電子機器3と、表示部4と、を備える。車両Sは、車両Sの進行方向前方に設置された標識が示す制限速度をディスプレイ等の表示部4に表示する機能を有する。
【0018】
カメラ1は、車両Sの進行方向前方を撮像して生成した撮像画像から制限速度を示す標識を抽出し、抽出した標識が示す制限速度を電子機器3に送信する。
【0019】
GPSユニット2は、GPS衛星が送信する電波を受信し、受信した電波に含まれている情報に基づいて緯度・経度を算出する。GPSユニット2は、算出した緯度・経度を車両Sの位置情報として電子機器3に送信する。
【0020】
電子機器3は、カメラ1から取得した制限速度を示す画像又はテキスト等のデータを表示部4に表示させる処理を実行する。電子機器3の形態は任意であり、電子部品を含む筐体を有していてもよく、電子部品が実装されたプリント基板であってもよい。本実施例において、電子機器3は、プロセッサや記憶部が実装された車両制御用の基板であるとする。
【0021】
表示部4は、速度、燃料の残量、時刻又は気温等を表示するディスプレイであり、制限速度を示すデータを電子機器3から取得して表示する。表示部4は、車両Sのインストルメンタルパネルに設けられているが、運転手が使用する情報端末に設けられていてもよい。
【0022】
ところで、撮像画像に含まれる規制標識の情報を表示する従来の標識認識機能では、車両Sが高速道路などの本線を走行中に、分岐路に設けられた分岐路の制限速度を示す標識を認識した場合に、当該標識に示される情報を表示してしまうことがある。具体的には、本線を走行する車両Sが分岐点に近づくと、カメラ1が撮像画像に含まれる分岐路の標識を抽出し、分岐路の制限速度を電子機器3に送信し、電子機器3が本線の制限速度として分岐路の制限速度を表示部4に表示させてしまう。
【0023】
これに対して、電子機器3は、GPSユニット2から取得した車両Sの位置と電子機器3が記憶する地図情報に含まれる分岐点の位置との間の距離が閾値未満である場合は、カメラ1から取得した制限速度を表示部4に表示させない。電子機器3がこのように動作することで、車両Sが本線を走行する際に分岐路の制限速度を表示することを防止できる。
以下、電子機器3の構成及び動作を詳細に説明する。
【0024】
<電子機器3の構成>
電子機器3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を有する。制御部33は、取得部331と、表示制御部332と、を有する。
【0025】
通信部31は、ネットワーク又はデジタル信号伝送バスを介して情報を送受信するための通信デバイスを含む。通信デバイスは、例えば、CAN(Controller Area Network)コントローラである。
【0026】
記憶部32は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを記憶している。記憶部32は、制限速度を示すデータを表示部4に表示させるための各種の情報を記憶している。一例として、記憶部32は、地図情報を記憶する。地図情報は、車線の分岐点の緯度・経度を示す位置情報を含む。
【0027】
制御部33は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はECU(Electronic Control Unit)などの、いわゆる、プロセッサである。制御部33は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部331及び表示制御部332として機能する。なお、制御部33は、1つのプロセッサで構成されていてもよいし、複数のプロセッサや1以上のプロセッサと電子回路の組み合わせにより構成されていてもよい。
以下、制御部33により実現される各部の構成を説明する。
【0028】
取得部331は、車両Sが備えるカメラ1が生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度と、車両Sの位置と、を取得する。例えば、取得部331は、カメラ1から制限速度を示す制限速度情報を取得し、制限速度情報を取得した時刻に関連付けて記憶部32に記憶させる。取得部331は、GPSユニット2から車両Sの緯度・経度を示す位置情報を取得し、位置情報を取得した時刻に関連付けて記憶部32に記憶させる。
【0029】
さらに、取得部331は、位置情報を取得する度に、地図情報に含まれる進行方向前方の分岐点の位置と車両Sの位置との距離を算出し、位置情報を取得した時刻に関連付けて記憶部32に記憶させる。
【0030】
図2は、取得部331の動作の一例を説明するための図である。図2においては、本線である車線Aの制限速度を示す標識R1及び分岐路である車線Bの制限速度を示す標識R2が示されている。図2に示す経路L(一点鎖線)は車両Sが走行する経路であり、経路L上には、位置情報を取得する位置P1及び位置P2と、制限速度を取得する位置Q1及び位置Q2と、分岐点C2及び分岐点C2から距離Tだけ手前の位置C1と、が示されている。距離T及び位置C1については後述する。
【0031】
例えば、取得部331は、位置P1において、車両Sが走行する位置P1と分岐点C2との距離を算出した後に、位置Q1において、標識R1が示す制限速度(80km/h)を取得する。続いて、取得部331は、位置P2において、位置P2と分岐点C2との距離を算出した後に、位置Q2において、標識R2が示す制限速度(40km/h)を取得する。
【0032】
表示制御部332は、カメラ1が生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度を表示部4に表示させる。例えば、表示制御部332は、地図情報に含まれる進行方向前方の分岐点C2と車両Sとの距離が閾値以上の位置を車両Sが走行している間は、取得部331が取得する第1制限速度を表示部4に表示させる。
【0033】
すなわち、表示制御部332は、車両Sが分岐点C2から閾値以上手前を走行している際は、第1制限速度を表示部4に表示させる。閾値は、カメラ1が生成した撮像画像から分岐路の制限速度を示す標識が抽出できる距離、又は当該撮像画像に含まれる標識から分岐路の制限速度を特定できる距離であり、例えば300mである。図2においては、閾値は、分岐点C2と位置C1との距離Tである。
【0034】
例えば、取得部331は、位置Q1において標識R1が示す第1制限速度(80km/h)を取得する。表示制御部332は、位置P1において取得部331が算出した距離(すなわち、位置P1と分岐点C2との距離)が距離T以上であることにより、第1制限速度に対応する画像又はテキスト等のデータを表示部4に表示させる。さらに、表示制御部332は、第1制限速度を記憶部32に記憶させる。
【0035】
表示制御部332は、車両Sと分岐点C2との距離が閾値未満である間に取得部331が取得した制限速度を表示部4に表示させない。例えば、表示制御部332は、地図情報に含まれる進行方向前方の分岐点C2と車両Sとの距離が距離T未満の位置を車両Sが走行している間は、取得部331が取得する第2制限速度を表示部4に表示させない。すなわち、表示制御部332は、車両Sが分岐点C2から所定の範囲内にある場合、撮像画像から制限速度を特定したとしても、特定された制限速度(第2制限速度)を表示部4に表示させない。
【0036】
例えば、取得部331は、位置Q2において標識R2が示す第2制限速度(40km/h)を取得する。表示制御部332は、位置P2において取得部331が算出した距離(すなわち、位置P2と分岐点C2との距離)が距離T未満であることにより、第2制限速度に対応するデータを表示部4に表示させない。さらに、表示制御部332は、第2制限速度を記憶部32に記憶させる。表示制御部332が第2制限速度を表示部4に表示させないことで、車両Sが本線を走行中に分岐路の制限速度を表示させることを防げる。
【0037】
また、表示制御部332は、進行方向前方の分岐点C2と車両Sとの距離が距離T未満の位置を車両Sが走行している間は、当該距離が閾値以上である位置を車両Sが走行している際に取得部331が取得した第1制限速度を表示部4に表示させる。例えば、表示制御部332は、位置Q2において、分岐点C2と位置P2との距離が距離T未満であることにより、位置P1において取得部331が取得した、標識R1が示す第1制限速度を表示部4に表示させる。表示制御部332がこのように動作することで、車両Sが分岐点に近い位置を走行している間であっても車両Sが走行する車線に適した制限速度を表示させることができる。
【0038】
ところで、本線である車線Aを走行する車両Sが分岐点C2から分岐路である車線Bへ車線変更する場合、運転者にとっては、車線Bを走行中に車線Bの制限速度(すなわち、図2における標識R2が示す40km/h)を表示させた方が望ましい。そこで、本実施形態における表示制御部332は、車両Sが分岐路に進入する(進入している)と判定した場合に、当該分岐路に対応する分岐点C2と車両Sとの距離が距離T未満である間に取得された制限速度を、表示部4に表示させる。
【0039】
例えば、表示制御部332は、分岐点C2の通過前に車両Sが走行する車線の種別が、分岐点C2の通過後に車両Sが走行する車線の種別と異なる場合に、車両Sが分岐路に進入する(進入している)と判定する。すなわち、表示制御部332は、分岐点C2の通過前に車両Sが走行する車線の種別が、分岐点C2の通過後に車両Sが走行する車線の種別と異なることを条件として、進行方向前方の分岐点C2と車両Sとの距離が距離T未満の位置を車両Sが走行している間に取得部331が取得した第2制限速度を表示部4に表示させる。
【0040】
図3は、車線Bを走行する車両Sの動作を説明するための図である。図4は、車両の位置と車線の種別とを説明するための図である。図3においては、分岐点C2より後の経路Lが車線Bになっている点と、車線Bにおける経路L上に位置P3が示されている点において図2と異なり、他の点において同じである。図4においては、時刻と、取得部331が取得した位置と、車線の種別とが関連付けられている。表示制御部332は、地図情報に含まれる複数の車線の位置と、複数の車線の位置それぞれに対応する車線の種別とを参照することにより、取得部331が取得した車両Sの位置に対応する車線の種別を特定することができる。
【0041】
例えば、表示制御部332は、記憶部32に記憶された地図情報を参照することにより、位置P1に対応する車線Aの種別「高速道路」を特定し、取得部331が位置P1を取得した時刻T1及び位置P1に関連付けて記憶部32に記憶させる。同様に表示制御部332は、時刻T2及び位置P2に関連付けて、車線Aの種別「高速道路」を記憶部32に記憶させる。
【0042】
続いて、表示制御部332は、位置P3において特定した車線Bの種別「分岐路」が、分岐点C2を通過する前の位置P2に対応する車線Aの種別「高速道路」と異なることにより、位置Q2において取得した、標識R2が示す第2制限速度(40km/h)を表示部4に表示させる。表示制御部332がこのように動作することで、車両Sが車線を変更した場合に、変更した車線に適した制限速度を表示させることができる。
【0043】
また、表示制御部332は、進行方向前方の分岐点C2と車両Sとの距離が距離T未満である位置を車両Sが走行している際に車両Sの方向指示器が作動していることを条件として、分岐点C2の通過前に車両Sが走行する車線の種別が、分岐点C2の通過後に車両Sが走行する車線の種別と異なるか否かを判定してもよい。すなわち、表示制御部332は、車両Sが分岐点C2に近接している際に方向指示器が作動している場合は、車両Sが分岐点C2に達した後に、分岐点C2を通過する前の車線の種別が分岐点C2を通過した後の車線の種別と異なるか否かを判定する。表示制御部332がこのように動作することで、車両Sが分岐路を走行しない場合に車線の種別が変化したかを判定しないため、処理の負荷を軽減することができる。
【0044】
さらに、表示制御部332は、距離が距離T未満の位置を車両Sが走行している間に取得部331が取得した第2制限速度と、分岐点C2の通過後に車両Sが走行する車線の種別とを表示部4に表示させてもよい。例えば、表示制御部332は、位置P3において、位置Q2において取得した第2制限速度に対応するデータと、位置P3を含む車線Bの種別「分岐路」を示す画像又はテキスト等のデータとを表示部4に表示させる。表示制御部332がこのように動作することで、運転者は、表示部4に表示された制限速度が、走行している車線の制限速度であるか否かを知ることができる。
【0045】
また、表示制御部332は、進行方向前方の分岐点C2と車両Sとの距離が距離T未満である位置を車両Sが走行している際に車両Sの方向指示器が作動している場合に、取得部331が取得した制限速度を表示部4に表示してもよい。方向指示器が作動している場合、車両Sの運転者は、車両Sを分岐路に進入させる蓋然性が高い。したがって、このような場合には、表示制御部332は、分岐点C2と車両Sとの距離が距離T未満であっても、取得された標識R2に示された制限速度を示す情報を、表示部4に表示させる。
【0046】
これにより、運転者が本線を走行時には分岐路の制限速度を本線の制限速度と誤認することが抑制される一方で、車両Sが分岐路に進入しようとする際に分岐路の制限速度を認識しやすくなる。なお、上記の判定には、方向指示器の動作に加えて、ステアリングの操作角度の大きさを判断条件に加えることも可能である。
【0047】
<電子機器3における処理シーケンス>
図5は、電子機器3における処理シーケンスの例を示す図である。図5に示す処理シーケンスは、一例として、進行方向前方の標識が示す制限速度を取得してから当該制限速度を表示するまでの動作を示している。
【0048】
取得部331は、カメラ1から車両Sの進行方向前方の標識が示す制限速度を取得し(S11)、GPSユニット2から車両Sの位置を示す位置情報を取得する(S12)。取得部331は、記憶部32に記憶された地図情報に含まれる、車両Sの進行方向前方にある分岐点C2の位置と、GPSユニット2から取得した車両Sの位置との距離を特定する(S13)。
【0049】
表示制御部332は、取得部331が特定した距離が閾値(図2に示す距離T)以上である場合(S14のYES)、ステップS11において取得した制限速度(第1制限速度)を表示部4に表示させる(S15)。
【0050】
表示制御部332は、取得部331が特定した距離が距離T未満である場合(S14のNO)、ステップS11において取得した制限速度(第2制限速度)を表示させない(S16)。続いて、表示制御部332は、取得部331が特定した距離が距離T以上の位置を走行していた際に取得した制限速度(第1制限速度)を表示部4に表示させる(S15)。
【0051】
<電子機器3による効果>
以上説明したように、電子機器3は、地図情報を記憶する記憶部32と、車両が備えるカメラ1が生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度と、車両の位置と、を取得する取得部331と、撮像画像に含まれる標識が示す制限速度を表示部4に表示させる表示制御部332と、を有する。そして、表示制御部332は、車両と分岐点との距離が閾値未満である間に取得部331が取得した制限速度を、表示部4に表示させない。
【0052】
電子機器3がこのように構成されることで、車両Sが本線を走行している間に分岐路の制限速度を表示部4に表示することを防げるため、車両Sが走行する車線に適した制限速度を表示させることができる。その結果、運転者は、走行中の車線に適した制限速度を知ることができる。
【0053】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0054】
1 カメラ
2 GPSユニット
3 電子機器
4 表示部
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 取得部
332 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を記憶する記憶部と、
車両の進行方向前方の分岐点の位置と前記車両の位置との距離を算出した後に、前記車両の位置よりも前記分岐点に近い位置において前記車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度を取得する取得部と、
前記撮像画像に含まれる標識が示す前記制限速度を表示部に表示させる表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記距離が閾値未満であることにより、前記車両の位置よりも前記分岐点に近い位置において前記取得部が取得した制限速度を、前記表示部に表示させない、
電子機器。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間は、前記距離が閾値以上である位置を前記車両が走行している際に前記取得部が取得した制限速度を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記車両が分岐路に進入すると判定した場合、前記車両と前記分岐点との距離が前記閾値未満である間に前記取得部が取得した制限速度を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記地図情報は、複数の車線の位置と、前記複数の車線の位置それぞれに対応する車線の種別と、を含み、
前記表示制御部は、前記分岐点の通過前に前記車両が走行する車線の種別が、前記分岐点の通過後に前記車両が走行する車線の種別と異なることを条件として、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間に前記取得部が取得した前記制限速度を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記距離が閾値未満である位置を前記車両が走行している際に前記車両の方向指示器が作動していることを条件として、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間に前記取得部が取得した前記制限速度を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記距離が前記閾値未満の位置を前記車両が走行している間に前記取得部が取得した前記制限速度と、前記分岐点の通過後に前記車両が走行する車線の種別とを前記表示部に表示させる、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
請求項1に記載の電子機器と、
前記撮像画像を生成する前記カメラと、
を有することを特徴とする車両。
【請求項8】
プロセッサが実行する、
車両の進行方向前方の分岐点の位置と前記車両の位置との距離を算出した後に、前記車両の位置よりも前記分岐点に近い位置において前記車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度を取得するステップと、
前記撮像画像に含まれる標識が示す前記制限速度を表示部に表示させるステップと、
を有し、
前記表示させるステップにおいて、前記距離が閾値未満であることにより、前記取得するステップにおいて前記車両の位置よりも前記分岐点に近い位置を走行する前記車両が取得した制限速度を前記表示部に表示させない、
表示制御方法。
【請求項9】
プロセッサに、
車両の進行方向前方の分岐点の位置と前記車両の位置との距離を算出した後に、前記車両の位置よりも前記分岐点に近い位置において前記車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度を取得するステップと、
前記撮像画像に含まれる標識が示す前記制限速度を表示部に表示させるステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記表示させるステップにおいて、前記距離が閾値未満であることにより、前記取得するステップにおいて前記車両の位置よりも前記分岐点に近い位置を走行する前記車両が取得した制限速度を前記表示部に表示させない、
プログラム。