(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000047
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】帯電散布ヘッド
(51)【国際特許分類】
B05B 5/025 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
B05B5/025 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098567
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】辻 利秀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲雄
【テーマコード(参考)】
4F034
【Fターム(参考)】
4F034AA08
4F034BA01
4F034BB12
4F034BB14
4F034BB15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】誘導電極部の液体粒子帯電部の配置位置に影響を及ぼすことなく、誘導電極部のケーブル接続部を本体部に取付固定することを可能とする帯電散布ヘッドを提供する。
【解決手段】帯電散布ヘッド10は、散布するための液体粒子を放出するノズル部を有する本体部12と、ノズル部から放出された液体粒子を帯電させるリング部2430と、リング部2430から引き出され、リング部2430により液体粒子を帯電させる場合に所定の電圧を印加するための電圧印加ケーブル44が接続されるケーブル接続部とを有する誘導電極部24と、を備え、誘導電極部24のケーブル接続部の位置に対応して所定の方向に位置調整可能であり、誘導電極部24のケーブル接続部を本体部12に取付固定するケーブル接続部取付構造45が設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電液体粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッドであって、
少なくとも、
前記帯電液体粒子を散布するために液体粒子を放出するノズル部を有する本体部と、
前記ノズル部から放出された液体粒子を帯電させる液体粒子帯電部と、前記液体粒子帯電部から引き出され、前記液体粒子帯電部により液体粒子を帯電させる場合に所定の電圧を印加するための電源ケーブルが接続されるケーブル接続部と、を有する誘導電極部と、
を備え、
前記誘導電極部のケーブル接続部の位置に対応して所定の方向に位置調整可能であり、前記誘導電極部のケーブル接続部を前記本体部に取付固定するケーブル接続部取付構造が設けられたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項2】
帯電水粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッドであって、
少なくとも、
前記帯電液体粒子を散布するために液体粒子を放出するノズル部を有する本体部と、
所定の電圧が印加され、前記ノズル部から放出された液体粒子を帯電させる誘導電極部と、
を備え、
前記誘導電極部は、
前記ノズル部からの液体粒子の放出軸が開口の中心となるように配置され、通過した液体粒子を帯電させるリング部と、
前記リング部から引き出された電極引出部と、
前記電極引出部に形成され、所定のコネクタを接続して前記所定の電圧を印加するための電源ケーブルが接続されるケーブル接続部と、
を備え、
前記誘導電極部の前記ケーブル接続部の位置に対応して所定の方向に位置調整可能であり、前記所定のコネクタが接続された前記ケーブル接続部を前記本体部に取付固定するケーブル接続部取付構造が設けられたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2記載の帯電散布ヘッドにおいて、
前記ケーブル接続部取付構造は、3次元方向の各々に位置調整可能であることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項4】
請求項3記載の帯電散布ヘッドにおいて、
前記ケーブル接続部取付構造は、
前記本体部の所定位置に取付固定される本体固定部と、
前記本体固定部に対し前記3次元方向の何れの方向となる第1方向に位置調整可能であり、前記本体固定部に取付固定される第1移動部と、
前記第1移動部に対し前記3次元方向の何れかであり第1方向とは異なる第2方向に位置調整可能であり、前記第1移動部に取付固定される第2移動部と、
前記第2移動部に対し前記3次元方向の何れかであり第1方向及び第2方向とは異なる第3方向に位置調整可能であり、前記第2移動部に取付固定されると共に前記ケーブル接続部が取付固定される第3移動部と、
を備えたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項5】
請求項4記載の帯電散布ヘッドにおいて、
前記本体固定部、前記第1移動部、前記第2移動部及び前記第3移動部は板部材であり、
前記第2移動部は、前記第1移動部に取付固定され前記第2方向に延在して形成された第1屈曲面部と、前記第3移動部が取付固定され前記第3方向に延在して形成された第2屈曲面部と、を有することを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項6】
請求項5記載の帯電散布ヘッドにおいて、
取付固定される板部材に対して前記第1方向乃至第3方向の何れかに位置調整可能する構造として、
一方の板部材に形成された通し穴と、
他方の板部材に位置調整可能とする方向で形成された長穴と、
前記通し穴及び前記長穴に挿通される締結部と、
前記締結部が締結される締結受部と、
を備えたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体粒子を帯電させて散布する帯電散布ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体として水の微粒子を帯電させて散布する帯電散布ヘッドにあっては、平均粒子径が10~300μmの帯電液体粒子を散布させることができ、散布対象区画となる例えば建物等の消火設備に設けられ、火災で発生した煙を散布した帯電液体粒子に電気的に吸着させることで消煙し、また帯電液体粒子が消火対象物に電気的に付着することで消火効率を高めることを可能とする。また、建物の解体現場等において空気中に浮遊した粉塵を帯電液体粒子に電気的に吸着させることで、粉塵を空気中から除去することを可能とする。
【0003】
図15は従来の帯電散布ヘッドを示し、
図16は従来の帯電噴霧ヘッドの断面図を示している。
図15及び
図16に示すように、帯電散布ヘッド100は、本体部120、水側電極部140、電極連結部160、液体導管部180、本体カバー部200、ノズル部220、誘導電極部240及びアーム部260で構成される。
【0004】
ここで、
図15及び
図16の説明では、X-Y-Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、Y軸方向を帯電散布ヘッド100を通過する水の流通方向及び上下方向とし、X方向を左右方向とし、Z方向を前後方向とする。また、X方向における+X側を右側、-X側を左側とし、Y方向における+Y側を上側、-Y側を下側とし、Z方向における+Z側を前側、-Z側を後側とする。
【0005】
また、上下方向となるY軸方向は、ヘッド内を通過する水の流通方向となることから、上側となる+Y側を流入側といい、下側となる-Y側を流出側という場合がある。この点は本発明の実施形態となる
図1~
図14におけるX-Y-Z方向においても同様となる。尚、X-Y-Z方向は散布対象領域での帯電散布ヘッド100の取付状態に応じ変わる相対的な方向である。
【0006】
本体部120、液体導管部180、本体カバー部200、ノズル部220及びアーム部260は、例えばポリ塩化ビニル樹脂等の絶縁材質により製造された絶縁体である。水側電極部140及び電極連結部160は金属等の導電材質により製造された導電体である。
【0007】
本体部120の内部にはヘッド軸350方向(上下方向)に電極取付穴121が貫通して形成され、電極取付穴121に流出側から水側電極部140が嵌め込まれ、本体部120の流入側に形成された端子室124を介して本体部120に対して流入側から液体導管部180が嵌め込まれ、液体導管部180に電極連結部160を通して水側電極部140に電極連結部160がねじ込まれることで、水側電極部140を電極取付穴121に取付固定すると共に水側電極部140に液体導管部180を連結固定している。
【0008】
電極連結部160には複数のねじ穴164が設けられ、端子室124の横方向(上下方向に対して直交する方向であり、
図16では右方向)に形成された電極コネクタ取付穴127から防水コネクタを介して挿入されたアースケーブルの端子を接続可能としている。また、液体導管部180の上部は本体カバー部200を介して外部に取り出され、外部の給水ポンプ等から水が供給される。
【0009】
本体部102のヘッド軸350方向(上下方向)に沿って配置された水側電極部140の流出側の端部にはノズル部220が設けられ、ノズル部220から平均粒子径が10~300μmの水粒子を放出させる。ノズル部220の流出側の開放空間には、アーム部260により誘導電極部240のリング部243(液体粒子帯電部)が保持され、ノズル部220から放出された水粒子を帯電させる。誘導電極部240は、導電性のある電極芯材241を絶縁被覆242にて被覆して形成されている。
【0010】
また、
図15に示すように、誘導電極部240のリング部243の所定位置から横方向(上下方向に対して直交する方向であり、
図15では左方向)に取り出された後に上向きに延在するように電極引出部244が形成され、電極引出部244の先端からリング内の電極芯材241に接続されたケーブル接続部245が引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009-106405号公報
【特許文献2】特開2018-183712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、従来の帯電散布ヘッド100の誘導電極部240にあっては、アーム部260を含む電極保持構造により、リング部243の中心軸がノズル部220の放出軸を通るヘッド軸350に一致するようにセンタリングした状態で保持され、ノズル部220から放出された水粒子がリング部243の中心を通過することで、水粒子を均一に帯電させることを可能としている。
【0013】
また、誘導電極部240のリング部243の中心を通過する水粒子を帯電させるために、水側電極部140と誘導電極部240との間に所定の電圧を印加することから、電極コネクタ取付穴127から防水コネクタを介してアースケーブルを挿入して、水側電極部140と接続している電極連結部160にアースケーブルを接続すると共に、リング部220から取り出された電極引出部244の先端のケーブル接続部245に対して電圧印加ケーブルが防水コネクタを介して接続される。
【0014】
しかし、ケーブル接続部245に防水コネクタを接続することで電圧印加ケーブルを接続すると、リング部243に対して防水コネクタや電圧印加ケーブルの荷重や応力が加わり、電極保持構造により保持しているリング部243が動いてヘッド軸350にリング部243の中心軸を合わせたセンタリングに悪影響を及ぼすことから、防水コネクタや電圧印加ケーブルの荷重や応力がリング部243に加わらないように、防水コネクタが接続されたケーブル接続部245を本体部120に取付固定するケーブル接続部取付構造が必要となる。
【0015】
このようなケーブル接続部取付構造を帯電散布ヘッドに追加することは実現可能であるが、誘導電極部240やケーブル接続部取付構造の寸法ばらつきや、帯電散布ヘッドの組立ばらつきを考えると、ケーブル接続部取付構造による取付固定によって誘導電極部240側に荷重や変形応力が加わらないようにする対策を取る必要があり、この点が解決すべき課題として残されている。
【0016】
本発明は、誘導電極部の液体粒子帯電部の配置位置に影響を及ぼすことなく、誘導電極部のケーブル接続部を本体部に取付固定することを可能とする帯電散布ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(帯電散布ヘッド1)
本発明は、帯電液体粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッドであって、
少なくとも、
帯電液体粒子を散布するために液体粒子を放出するノズル部を有する本体部と、
ノズル部から放出された液体粒子を帯電させる液体粒子帯電部と、液体粒子帯電部から引き出され、液体粒子帯電部により液体粒子を帯電させる場合に所定の電圧を印加するための電源ケーブルが接続されるケーブル接続部と、を有する誘導電極部と、
を備え、
誘導電極部のケーブル接続部の位置に対応して所定の方向に位置調整可能であり、誘導電極部のケーブル接続部を本体部に取付固定するケーブル接続部取付構造が設けられたことを特徴とする。
【0018】
(帯電散布ヘッド2)
本発明は、帯電水粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッドであって、
少なくとも、
帯電液体粒子を散布するために散布するための液体粒子を放出するノズル部を有する本体部と、
所定の電圧が印加され、ノズル部から放出された液体粒子を帯電させる誘導電極部と、
を備え、
誘導電極部は、
ノズル部からの液体粒子の放出軸が開口の中心となるように配置され、通過した液体粒子を帯電させるリング部と、
リング部から引き出された電極引出部と、
電極引出部に形成され、所定のコネクタを接続して所定の電圧を印加するための電源ケーブルが接続されるケーブル接続部と、
を備え、
誘導電極部のケーブル接続部の位置に対応して所定の方向に位置調整可能であり、所定のコネクタが接続されたケーブル接続部を本体部に取付固定するケーブル接続部取付構造が設けられたことを特徴とする。
【0019】
(ケーブル接続部取付構造の位置調整方向)
ケーブル接続部取付構造は、3次元方向の各々に位置調整可能である。
【0020】
(ケーブル接続部取付構造)
ケーブル接続部取付構造は、
本体部の所定位置に取付固定される本体固定部と、
本体固定部に対し3次元方向の何れの方向となる第1方向に位置調整可能であり、本体固定部に取付固定される第1移動部と、
第1移動部に対し3次元方向の何れかであり第1方向とは異なる第2方向に位置調整可能であり、第1移動部に取付固定される第2移動部と、
第2移動部に対し3次元方向の何れかであり第1方向及び第2方向とは異なる第3方向に位置調整可能であり、第2移動部に取付固定されると共にケーブル接続部が取付固定される第3移動部と、
を備える。
【0021】
(板部材としたケーブル接続部取付構造)
本体固定部、第1移動部、第2移動部及び第3移動部は板部材であり、
第2移動部は、第1移動部に取付固定され第2方向に延在して形成された第1屈曲面部と、第3移動部が取付固定され第3方向に延在して形成された第2屈曲面部と、を有する。
【0022】
(3次元方向の何れかに位置調整可能とする構造)
取付固定される板部材に対して第1方向乃至第3方向の何れかに位置調整可能する構造として、
一方の板部材に形成された通し穴と、
他方の板部材に位置調整可能とする方向で形成された長穴と、
通し穴及び長穴に挿通される締結部と、
締結部が締結される締結受部と、
を備える。
【発明の効果】
【0023】
(帯電散布ヘッド1による効果)
本発明は、帯電液体粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッドであって、少なくとも、帯電液体粒子を散布するために液体粒子を放出するノズル部を有する本体部と、ノズル部から放出された液体粒子を帯電させる液体粒子帯電部と、液体粒子帯電部から引き出され、液体粒子帯電部により液体粒子を帯電させる場合に所定の電圧を印加するための電源ケーブルが接続されるケーブル接続部と、を有する誘導電極部と、を備え、誘導電極部のケーブル接続部の位置に対応して所定の方向に位置調整可能であり、誘導電極部のケーブル接続部を本体部に取付固定するケーブル接続部取付構造が設けられたため、ケーブル接続部取付構造により、誘導電極部のケーブル接続部に接続されるケーブル側の荷重や応力が誘導電極部の液体粒子帯電部に加わることが抑制・防止され、誘導電極部の液体粒子帯電部の位置がずれることなく、誘導電極部の液体粒子帯電部を通過する液体粒子に対し均一且つ安定した帯電を行うことを可能とする。
【0024】
また、ケーブル接続部取付構造は、誘導電極部のケーブル接続部の位置に対応して所定の方向に位置調整可能であることから、ケーブル接続部取付構造や誘導電極部の寸法ばらつきや帯電散布ヘッドの組立ばらつき等があっても、寸法や組立ばらつき等に合わせて位置調整し、ケーブル接続部取付構造による取付固定で誘導電極部側に加わる荷重や変形応力を抑制・防止し、この点からも誘導電極部の液体粒子帯電部の位置がずれることなく、誘導電極部の液体粒子帯電部を通過する液体粒子に対し均一且つ安定した帯電を行うことを可能とする。
【0025】
また、帯電散布ヘッド2についても帯電散布ヘッド1と同様の効果が生じる。
【0026】
(ケーブル接続部取付構造の効果)
また、ケーブル接続部取付構造は、3次元方向の各々に位置調整可能であり、本体部の所定位置に取付固定される本体固定部と、本体固定部に対し3次元方向の何れの方向となる第1方向に位置調整可能であり、本体固定部に取付固定される第1移動部と、第1移動部に対し3次元方向の何れかであり第1方向とは異なる第2方向に位置調整可能であり、第1移動部に取付固定される第2移動部と、第2移動部に対し3次元方向の何れかであり第1方向及び第2方向とは異なる第3方向に位置調整可能であり、第2移動部に取付固定されると共にケーブル接続部が取付固定される第3移動部と、を備えるため、第1方向乃至第3方向の各々の位置調整を個別に行うことができ、ケーブル接続部取付構造の位置調整を容易に行うことができる。
【0027】
(板部材としたケーブル接続部取付構造及び位置調整可能とする構造の効果)
また、本体固定部、第1移動部、第2移動部及び第3移動部は板部材であり、第2移動部は、第1移動部に取付固定され第2方向に延在して形成された第1屈曲面部と、第3移動部が取付固定され第3方向に延在して形成された第2屈曲面部と、を有すようにし、取付固定される板部材に対して第1方向乃至第3方向の何れかに位置調整可能する構造として、一方の板部材に形成された通し穴と、他方の板部材に位置調整可能とする方向で形成された長穴と、通し穴及び長穴に挿通される締結部と、締結部が締結される締結受部と、を備えたため、板部材と締結部材といった簡単な構造により位置調整可能なケーブル接続部取付構造を実現することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】帯電散布ヘッドの正面を示した説明図である。
【
図2】帯電散布ヘッドの平面及び底面を示した説明図である。
【
図3】帯電散布ヘッドを流出側から見て示した斜視図である。
【
図4】帯電散布ヘッドの内部構造を断面で示した説明図である。
【
図5】ケーブル接続部取付構造を備えた帯電散布ヘッドの正面を示した説明図である。
【
図6】ケーブル接続部取付構造を備えた帯電散布ヘッドの平面を示した説明図である。
【
図7】ケーブル接続部取付構造を備えた帯電散布ヘッドの側面を示した説明図である。
【
図8】本体固定板を取り出して示した斜視図である。
【
図9】第1移動板を取り出して示した説明図である。
【
図10】第2移動板を取り出して示した説明図である。
【
図11】第3移動板を取り出して示した説明図である。
【
図12】ケーブル接続部取付構造を取り出して示した説明図である。
【
図13】ケーブル接続部取付構造を取り出して示した説明図である。
【
図14】防水コネクタを取付固定する第3移動板の部分を取り出して示した説明図である。
【
図15】従来の帯電散布ヘッドを示した説明図である。
【
図16】従来の帯電散布ヘッドの内部構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る帯電散布ヘッドの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、この発明が限定されるものではない。
【0030】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に、帯電液体粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッドに関するものである。
【0031】
ここで、「帯電散布ヘッド」とは、帯電水粒子を散布対象領域へ散布するものであり、本発明に関する帯電散布ヘッドに関する構成として、少なくとも、帯電液体粒子を散布するために液体粒子を放出するノズル部を有する本体部と、ノズル部から放出された液体粒子を帯電させる液体粒子帯電部と、液体粒子帯電部から引き出され、液体粒子帯電部により液体粒子を帯電させる場合に所定の電圧を印加するための電源ケーブルが接続されるケーブル接続部と、を有する誘導電極部と、誘導電極部のケーブル接続部の位置に対応して所定の方向に位置調整可能であり、誘導電極部のケーブル接続部を本体部に取付固定するケーブル接続部取付構造と、を備える。
【0032】
また、「帯電液体粒子」とは、帯電散布ヘッドから散布される液体粒子を帯電させたものであり、例えば電源としての高圧電源装置から一方の電極となる誘導電極部ともう一方の電極となる帯電散布ヘッドの水側電極部との間に所定の高電圧を印加し、水側電極部に対する誘導電極部の電位を調整して誘導電極部の液体粒子帯電部に発生した高電界中を通過させる誘導帯電方式で帯電させた液体粒子である。また、散布される液体は、消煙効果、消火効果、粉塵除去効果等を有する任意の液体であり、例えば外部の給水ポンプ等で加圧されて供給される水等が含まれる。
【0033】
また、誘導電極部と水側電極部との間に所定の電圧を印加するために、誘導電極部と水側電極部には電源ケーブルが接続されることになるが、誘導電極部のケーブル接続部に接続される電源ケーブルを「電圧印加ケーブル」、水側電極部に接続される電源ケーブルを「アースケーブル」と呼ぶ場合がある。
【0034】
また、「誘導電極部」の具体的な態様として、液体粒子帯電部を本体部が有するノズル部からの液体粒子の放出軸が開口の中心となるように配置され、通過した液体粒子を帯電させるリング部とし、ケーブル接続部をリング部から引き出された電極引出部に形成されたものとしても良い。
【0035】
また、「ケーブル接続部取付構造」とは、ケーブル接続部に接続される所定のコネクタや電源ケーブル等の荷重や応力が誘導電極部の液体粒子帯電部(リング部)に加わらないようにケーブル接続部を本体部に取付固定するための構造であり、更に、ケーブル接続部取付構造が誘導電極部のケーブル接続部の位置に対応して所定の方向に位置調整可能であることから、ケーブル接続部取付構造や誘導電極部の寸法ばらつきや帯電散布ヘッドの組立ばらつき等があっても、これらのばらつき等に合わせて位置調整し、ケーブル接続部取付構造による取付固定での誘導電極部側に加わる荷重や変形応力を抑制・防止できるものである。
【0036】
また、ケーブル接続部取付構造の位置調整における「所定の方向」とは、ケーブル接続部取付構造や誘導電極部の寸法ばらつきや帯電散布ヘッドの組立ばらつき等を考慮した任意の方向であるが、例えば3次元方向の各々を含むものであり、「3次元方向の各々」とは、各方向を「第1方向」、「第2方向」及び「第3方向」とした場合に自身の方向と他の2つ方向の各々が直交する関係にあるものを指す。
【0037】
また、ケーブル接続部取付構造を3次元方向の各々に位置調整可能なものとした場合のケーブル接続部取付構造の具体的な態様として、本体部の所定位置に取付固定される本体固定部と、本体固定部に対し3次元方向の何れの方向となる第1方向に位置調整可能であり、本体固定部に取付固定される第1移動部と、第1移動部に対し3次元方向の何れかであり第1方向とは異なる第2方向に位置調整可能であり、第1移動部に取付固定される第2移動部と、第2移動部に対し3次元方向の何れかであり第1方向及び第2方向とは異なる第3方向に位置調整可能であり、第2移動部に取付固定されると共にケーブル接続部が取付固定される第3移動部と、を備える。
【0038】
そして、ケーブル接続部取付構造が備える「本体固定部」「第1移動部」、「第2移動部」及び「第3移動部」は板部材としても良く、板部材とした場合の「第2移動部」は、第1移動部に取付固定され第2方向に延在して形成された第1屈曲面部と、第3移動部が取付固定され第3方向に延在して形成された第2屈曲面部と、を有するものである。
【0039】
尚、板部材とした場合の「本体固定部」「第1移動部」、「第2移動部」及び「第3移動部」は、「本体固定板」、「第1移動板」、「第2移動板」及び「第3移動板」と呼ぶ場合がある。
【0040】
また、取付固定される板部材に対して第1乃至3移動部を第1方向乃至第3方向の何れかに位置調整可能する構造は任意であるが、例えば一方の板部材に形成された通し穴と、他方の板部材に位置調整可能とする方向に形成された長穴と、通し穴及び長穴に挿通される締結部と、締結部が締結される締結受部と、を備えるものとする。
【0041】
ここで、第1移動部と、第1移動部に対して第2方向に位置調整可能である第2移動部を例に取ると、第1移動部又は第2移動部の何れかに通し穴が設けられ、通し穴が設けられなかった移動部に第2方向に形成された長穴が設けられることになる。また、締結部及び締結受部の構造は任意であるが、例えば締結部を「ねじ」とし、締結受部を蝶ナット等の「ナット」や通し穴に形成された「ねじ穴」とするものがある。
【0042】
以下に示す実施形態では、「誘導電極部」が「リング部、電極引出部、ケーブル接続部を備えるもの」であり、「ケーブル接続部取付構造」が「本体固定板、第1移動板、第2移動板及び第3移動板を備えるもの」であり、「ケーブル接続部取付構造の位置調整可能な方向」が「第1方向、第2方向及び第3方向となる3次元方向の各々」であり、「第1方向」が「上下方向」であり、「第2方向」が「前後方向」であり、「第3方向」が「左右方向」であり、「位置調整可能とする構造の締結部」が「ねじ」であり、「位置調整可能とする構造の締結受部」が「ねじ穴又は蝶ナット」であり、「散布する帯電液体粒子」が「帯電水粒子」である場合で説明する。
【0043】
[実施形態の具体的内容]
実施形態の具体的内容について、以下のように分けて説明する。
a.帯電散布ヘッドの構造
b.ケーブル接続部取付構造
c.ケーブル接続部取付構造の構成部材
c1.本体固定板
c2.第1移動板
c3.第2移動板
c4.第3移動板
d.ケーブル接続部取付構造の位置調整
e.本発明の変形例
【0044】
[a.帯電散布ヘッドの構造」
まず、ケーブル接続部取付構造を設ける前の帯電散布ヘッドの構造について説明する。当該説明にあっては、帯電散布ヘッドの正面(前面)を示した
図1、帯電ヘッドの平面(上面)及び底面(下面)を示した
図2、帯電散布ヘッドを流出側から見て示した斜視図である
図3及び帯電散布ヘッドの内部構造を断面で示した
図4を参照する。尚、
図2(A)は平面を示し、
図2(B)は底面を示し、
図4は
図2(A)の切断線a-aの断面を示す。また、
図1及び
図4はアースケーブルが接続された状態で示している。
【0045】
図1乃至
図4に示すように、本実施形態の帯電散布ヘッド10は、本体部12、水側電極部14、電極連結部16、液体導管部18、本体カバー部20、ノズル部22、誘導電極部24、アーム部26で構成されている。
【0046】
本体部12、液体導管部18、本体カバー部20、ノズル部22及びアーム部26は絶縁材質の材料により製造された絶縁体であり、絶縁材質の材料として、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフロオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス(アルミナセラミックス)、ガラス琺瑯等を用いている。
【0047】
水側電極部14及び電極連結部16は導電材質の材料により製造された導電体であり、導電材質の材料として、金属が用いられ、金属以外に導電性を有する樹脂、繊維束、ゴム等を用いても良く、これらを組み合わせた複合体を用いても良い。
【0048】
図4の断面に示すように、本体部12の内部には流水方向となるヘッド軸35の方向(上下方向)に電極取付穴1210が貫通して形成され、電極取付穴1210に流出側(下側)から水側電極部14が挿入され、電極取付穴1210の流入側(上側)に形成された端子室1240に液体導管部18が配置され、電極取付穴1210から端子室1240に露出した水側電極部14の上端部には、液体導管部18を通して挿入された電極連結部16が螺合され、電極取付穴1210に水側電極部14を取付固定すると共に水側電極部14の流入側に液体導管部18の流出側を連結固定している。
【0049】
電極連結部16には複数のねじ穴1640が形成され、本体部12の端子室1240に対し横方向(上下方向に対して直交する方向であり、
図4では右方向)に形成された電極コネクタ取付穴1270に取り付けられる防水型のケーブルコネクタ36を介して挿入されたアースケーブル34の端子38が、何れかのねじ穴1640にねじ40により固定され接続される。
【0050】
液体導管部18は、端子室1240の流入側の開口に設けられた本体カバー部20を介して外部に露出し、外部の給水ポンプ等で加圧された水が供給される。液体導管部18に供給される水の圧力は例えば0.1~1.0MPaの範囲で調整される。
【0051】
本体部12のヘッド軸35方向に沿って取り付けられた水側電極部14の流出側(下端側)にはノズル部22が取り付けられる。ノズル部22は、
図3に示すように、ノズル孔2210が形成されており、所定の平均粒子径として、例えば平均粒子径が10~300μmの水粒子を放出する。
【0052】
ノズル部22の流出側の開放空間には、例えば
図3に示すように3本のアーム部26を用いて誘導電極部24が配置される。誘導電極部24は、例えばリング形状であり、
図4の断面に示すように、導電性のある電極芯材2410を絶縁被覆2420にて被覆して形成され、電極引出部2440がリング部2430の所定位置から横方向(上下方向に対して直交する方向であり、
図1では左方向)に取り出された後に上向きに延在するように形成され、電極引出部2440の先端には、リング内の電極芯材2410に接続されるケーブル接続部2450が露出し、ケーブル接続部2450には電圧印加ケーブルが接続される。
【0053】
誘導電極部24の電極芯材2410は導電材質の材料により製造された導電体であり、導電材質の材料として、金属が用いられ、金属以外に導電性を有する樹脂、繊維束、ゴム等を用いても良く、また、これらの材料を組み合わせた複合体を用いても良い。
【0054】
また、誘導電極部24における絶縁被覆2420の絶縁材質の材料としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフロオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス(アルミナセラミックス)、ガラス琺瑯等を用いており、電極芯材2410に例えば軟質としたポリ塩化ビニル(軟質塩化ビニル)でコーティング(被覆)することで絶縁する。この際、被覆にピンホールが残らないように、電極芯材2410に対して所定回数のコーティングを施す。また、コーティング厚が大きくなると、ノズル部22から放出された水粒子束のうち外周側の水粒子が誘導電極部24のリング部2430の内周側に当たる可能性があり、これにより誘導電極部24での水粒子の帯電効率の低下や誘導電極部24を通過した帯電水粒子の散布量の低下、指向性への悪影響等の問題に繋がることから、コーティング厚は大きくなり過ぎない程度に調整する。コーティングを施す回数は任意であり、実施形態では軟質塩化ビニルを用いて2回コーティングを施すことで電極芯材2410を被覆している。
【0055】
誘導電極部24のリング部2430は、
図4の断面に示すように、電極保持構造25を構成する3本のアーム部26、固定部28及び固定プレート部30によりノズル部22の流出側の開放空間の所定位置に保持される。アーム部26の上端外側の支点部2610が本体部12の溝部1280の外側コーナー部に当接しており、アーム部26の上端内側の押圧部2620は溝部1280から浮いた状態となっている。
【0056】
固定部28を回して溝部1280側(上側)にねじ込むと、固定プレート部30が上側に押圧され、アーム部26の押圧部2620が溝部1280に向かって押圧される。このため、アーム部26は支点部2610を中心に回転し、保持部2630が内側に向かうように傾倒する。そして、3本設けられたアーム部26の傾倒により、誘導電極部24のリング部2430がアーム部26の保持部2630の3点で押され、誘導電極部24はリング部2430の中心軸がヘッド軸35にセンタリングされた状態に保持される。
【0057】
アースケーブルの端子が電極連結部16の何れかのねじ穴1640に接続され、電圧印加ケーブルが誘導電極部24のケーブル接続部2450に接続されることで、水粒子を帯電させることが可能な電圧範囲中の所定調整範囲として、例えば水側電極部14と誘導電極部24の間に+0.5kV~+20kV又は-0.5Kv~-20kVの範囲の所定電圧を直流電圧、交流電圧、パルス電圧等として印加し、誘導電極部24のリング部2430の周囲に所定の外部電界が形成され、ノズル部22から放出され誘導電極部24のリング部2430を通過した水粒子を帯電させて散布させる。
【0058】
例えば、水側電極部14と誘導電極部24の間に直流電圧を印加した場合には、水側電極部14を基準電位(アース電位、0V)とした場合の誘導電極部24の極性が正(プラス)極性であれば負(マイナス)に帯電した水粒子が生成され、水側電極部14を基準電位(アース電位、0V)とした場合の誘導電極部24の極性が負(マイナス)極性であれば正(プラス)に帯電した水粒子が生成される。また、水側電極部14と誘導電極部24の間に印加する電圧を、+0.5kV~+20kV又は-0.5Kv~-20kVの範囲にすると、火花放電の発生が防止され、安全を確保しながら帯電した水粒子が生成される。
【0059】
粉塵を空気中から除去するために、例えば建物の解体現場等で帯電散布ヘッド10を使用する場合には、帯電散布ヘッド10から散布した帯電水粒子に、空気中に浮遊した粉塵を電気的に吸着させて捕捉して粉塵を落下させて空気中から除去することが可能になる。また、帯電散布ヘッド10を消火設備に設けた場合には、帯電散布ヘッド10から散布した帯電水粒子に、空気中に浮遊している煙粒子を電気的に吸着させて捕捉して煙粒子を落下させることで消煙効果が得られると共に、消火対象物に帯電水粒子が電気的に吸着することで消火性能を高めることが可能になる。
【0060】
[b.ケーブル接続部取付構造]
次に、帯電散布ヘッドに設けられるケーブル接続部取付構造について説明する。当該説明にあっては、ケーブル接続部取付構造を備えた帯電散布ヘッドの正面(前面)を示した
図5、ケーブル接続部取付構造を備えた帯電ヘッドの平面(上面)を示した
図6、ケーブル接続部取付構造を備えた帯電散布ヘッドの側面(左側からみた側面)を示した
図7を参照する。
【0061】
まず、ケーブル接続部取付構造により取付固定されるケーブル接続部について説明する。
図5乃至
図7に示すように、帯電散布ヘッド10のケーブル接続部2450(防水コネクタ42が接続された状態のため、
図5乃至
図7では図示なし)は、アーム部26によりノズル部22の流出側の開放空間に保持された誘導電極部24のリング部2430から引き出された電極引出部2440の先端に露出し、防水コネクタ42を介して電圧印加ケーブル44が電気的に接続されている。防水コネクタ42の構造や種類は任意であるが、誘導電極部24と水側電極部14との間に印加される高電圧に耐性のある高絶縁構造と防水構造を備えた公知の防水コネクタを使用している。
【0062】
次に、ケーブル接続部取付構造について説明する。
図5乃至
図7に示すように、ケーブル接続部取付構造45は、電圧印加ケーブル44が接続された防水コネクタ42が取り付けられたケーブル接続部2450の位置に対応して、三次元方向の各々、即ち上下方向、左右方向及び前後方向の各々で位置調整して本体部12の何れかの固定面部1260に対してケーブル接続部2450を取付固定するものであり、例えば本体固定板46、第1移動板48、第2移動板50及び第3移動板52を備えるものである。尚、実施形態では固定面部1260は、本体部12の左側及び前後側の3箇所に形成されており、
図5乃至
図7においては、左側の固定面部1260に対してケーブル接続部2450が取付固定されている。
【0063】
[c.ケーブル接続部取付構造の構成部材]
ここで、ケーブル接続部取付構造45が備える構成部材である、本体固定板46、第1移動板48、第2移動板50及び第3移動板52の各々について説明する。尚、
図8乃至
図11における上下方向、左右方向及び前後方向は、
図5乃至
図7で示した帯電散布ヘッドに設けられた状態での方向に対応している。
【0064】
(c1.本体固定板)
まず、本体固定板について説明する。当該説明にあっては、本体固定板を取り出して示した
図8を参照する。尚、
図8(A)は平面(上面)を示し、
図8(B)は正面(
図5乃至
図7では左側から見た面)を示す。
【0065】
本体固定板46は、
図5乃至
図7に示すように、ケーブル接続部取付構造45において、本体部12の固定面部1260に取付固定される板部材である。
図8に示すように、本体固定板46は、正面視で後側に矩形の本体固定面部4610と前側に本体固定面部4610よりも上側に延在した矩形の移動板固定面部4620を備えている。
【0066】
本体固定面部4610には4つの通し穴4630が形成されている。通し穴4630は、
図5乃至
図7に示した本体部12の固定面部1260に設けられた4箇所のねじ穴1262に対応して形成されている。これにより、本体固定板46は、
図5乃至
図7に示すように、本体部12の電極引出部2440側(左側)に位置する固定面部1260にねじ止めにより取付固定される。
【0067】
また、本体固定板46の移動板固定面部4620の前側の端部にストッパ部4650が屈曲形成されると共に、下側にねじ穴4640が設けられる。ストッパ部4650は、本体固定板46の左面に重ね合わせて配置される第1移動板48の回動の一部を制限して上下方向の移動をサポートするように案内する機能を果たしている。ねじ穴4640は、本体固定板46に対し第1移動板48を位置調整して取付固定する際に使用される。
【0068】
(c2.第1移動板)
続いて、第1移動板について説明する。当該説明にあっては、第1移動板を取り出して示した
図9を参照する。尚、
図9(A)は正面(
図5乃至
図7では左側から見た面)を示し、
図9(B)は側面(
図5乃至
図7では前側から見た面)を示す。
【0069】
図9に示すように、第1移動板48は、
図8に示した本体固定板46の左面に重ねて配置され、本体固定板46に対し上下方向に移動自在に位置調整可能な板部材である。
図9に示すように、第1移動板48は、下側に上下方向に延在した上下移動面部4830と上側に前後方向に延在した前後移動面部4840を備えている。
【0070】
上下移動面部4830の下側には上下方向に上下長穴4810が形成され、本体固定板46に重ねて配置した場合に、本体固定板46のねじ穴4640に上下長穴4810が相対し、
図7に示すように、ねじ54を上下長穴4810を介して本体固定板46のねじ穴4640に螺合することで、上下長穴4810の範囲内の上下方向に調整された位置で本体固定板46に対し第1移動板48が取付固定される。尚、本体固定板46のねじ穴4640を通し穴とし、ねじ54を上下長穴4810と通し穴に通して反対側からねじ54に蝶ナットを螺合するようにしても良い。
【0071】
前後移動面部4840の上前側には前後方向に前後長穴4820が形成され、前後長穴4820は、第1移動板48に対し第2移動板50を位置調整して取付固定する際に使用される。
【0072】
(c3.第2移動板)
続いて、第2移動板について説明する。当該説明にあっては、第2移動板を取り出して示した
図10を参照する。尚、
図10(A)は平面(上面)を示し、
図10(B)及び
図10(C)は側面(
図5乃至
図7では、(B)は前側から見た図であり、(C)は左側から見た図)を示す。
【0073】
第2移動板50は、
図9に示した第1移動板48の左面に重ねて配置され、第1移動板48に対し前後方向に移動自在に位置調整可能な板部材である。
図10(A)に示すように、直角に屈曲した板部材であり、前後方向に延在している一方の屈曲側に第1屈曲面部5010を形成し、左右方向に延在している他方の屈曲側に第2屈曲面部5020を形成している。
【0074】
第1屈曲面部5010には、
図10(C)に示すように、通し穴5030が形成されている。通し穴5030は、
図9に示した第1移動板48の前後移動面部4840の左面に第2移動板50の第1屈曲面部5010を重ねて配置した場合に、その前後長穴4820に相対した位置となるように形成され、
図5乃至
図7に示すように、第2移動板50の通し穴5030から第1移動板48の前後長穴4820にねじ56を通して右側から蝶ナット58をねじ56に螺合することで、前後長穴4820の範囲内の前後方向に調整された位置で第1移動板48に対し第2移動板50が取付固定される。
【0075】
また、第2屈曲面部5020には、
図10(B)に示すように、左右方向に左右長穴5040が形成され、左右長穴5040は、第2移動板50に対し第3移動板52を位置調整して取付固定する際に使用される。
【0076】
(c4.第3移動板)
最後に、第3移動板について説明する。当該説明にあっては、第3移動板を取り出して示した
図11を参照する。尚、
図11(A)は正面(
図5乃至
図7では前側から見た図)を示し、
図11(B)は側面(
図5乃至
図7では右側から見た図)を示す。
【0077】
第3移動板52は、
図10に示した第2移動板50の第2屈曲面部5020に重ねて配置され、第2移動板50に対し左右方向に移動自在に位置調整可能であると共に、防水コネクタ42を含むケーブル接続部が取付固定される板部材である。
【0078】
図11に示すように、第3移動板52は、左右方向に延在した左右移動面部5230と左右移動面部5230の下側から下方向に延在したコネクタ固定面部5240を備えている。
【0079】
左右移動面部5230には通し穴5210が形成され、通し穴5210は、第3移動板52を
図10に示した第2移動板50の第2屈曲面部5020の前面に重ねて配置した場合に、その左右長穴5040に相対した位置となるように形成され、
図5乃至
図7に示すように、第3移動板52の通し穴5210から第2移動板50の左右長穴5040にねじ60を通して後側から蝶ナット62をねじ60に螺合することで、左右長穴5040の範囲内の左右方向に調整された位置で第2移動板50に対し第3移動板52が取付固定される。
【0080】
また、第3移動板52のコネクタ固定面部5240には、2個所に通し穴5220が形成され、
図5乃至
図7に示すように、通し穴5220に通したねじ66により第3移動板52にコネクタ固定部64が取付固定され、そのコネクタ固定部64により防水コネクタ42が第3移動板52に取付固定される。
【0081】
[d.ケーブル接続部取付構造の位置調整]
最後に、ケーブル接続部取付構造の位置調整について説明する。当該説明にあっては、ケーブル接続部取付構造を取り出して示した
図12及び
図13、防水コネクタを取付固定する第3移動板の部分を取り出して示した
図14を参照する。尚、
図12(A)は前面を示し、
図12(B)は上面を示し、
図13(A)は左面を示し、
図13(B)は上面を示し、
図14(A)は前面を示し、
図14(B)は左面を示し、
図14(C)は
図14(A)の切断線b-bの断面を示す。
【0082】
図12及び
図13に示すように、本体固定板46の左面に第1移動板48が重ね合わせて配置され、ねじ54を第1移動板48の上下長穴4810に通して本体固定板48のねじ穴4640(
図8参照)に螺合して本体固定板46に第1移動板48を取付固定している。このため、ねじ54を緩めることによって、本体固定板46に対し第1移動板48を上下方向に移動して位置調整ができる。
【0083】
この位置調整の際、
図12及び
図13に示すように、第1移動板48の前側端部は本体固定板46のストッパ部4650によってねじ54を中心とした回動の一部が規制されることで、本体固定板46に対する第1移動板48の上下方向の移動をサポートし、第1移動板48が不必要に回動してしまうことを防止している。
【0084】
また、第1移動板48の左面の上部前側に第2移動板50の第1屈曲面部5010が重ね合わせて配置され、第2移動板52の第1屈曲面部5010の通し穴5030(
図10参照)を第1移動板50の前後長穴4820に位置合わせした状態で、ねじ56を通し穴5030と前後長穴4820に左側から通して右側から蝶ナット58をねじ56に螺合している。このため、蝶ナット58を緩めることによって、第1移動板48に対し第2移動板50を前後方向に移動して位置調整ができる。
【0085】
また、第2移動板50の第2屈曲面部5020の前面右側に第3移動板52が重ね合わせて配置され、第3移動板52の通し穴5210(
図11参照)を第2移動板50の第2屈曲面部5020の左右長穴5040に位置合わせした状態で、ねじ60を通し穴5210と左右長穴5040に前側から通して後側から蝶ナット62をねじ60に螺合している。このため、蝶ナット62を緩めることによって、第2移動板50に対し第3移動板52を左右方向に移動して位置調整ができる。
【0086】
また、第3移動板52には、
図14(C)に示すように、コネクタ固定面部5240の2個所に通し穴5220に通したねじ66によって第3移動板52の下部にコネクタ固定部64を取付固定し、コネクタ固定部64により防水コネクタ42を第3移動板52に取付固定している。コネクタ固定部64の構造は任意であるが、例えば二股に開いた湾曲係止部6410とし、湾曲係止部6410を防水コネクタ42の胴部の周囲に形成された複数の上下方向の突起部に係合させて防水コネクタ42を取付固定するものである。
【0087】
このため、
図5乃至
図7に示すように、本体固定板46が電極引出部2440側に位置する本体部12の固定面部1260に取付固定された状態で、第3移動板52にコネクタ固定部64により防水コネクタ42が接続されたケーブル接続部2450を取付固定した場合には、ねじ54、蝶ナット58、及び蝶ナット62による螺合を緩めた状態とすることで、コネクタ固定部64の位置を上下方向、左右方向及び前後方向となると三次元方向の各々で調整可能となる。
【0088】
このため、ケーブル接続部取付構造45や誘導電極部24のリング部2430から引き出された電極引出部2440等に許容範囲となる寸法ばらつきや帯電散布ヘッド10の組立ばらつき等があっても、これらのばらつきに合わせて第1移動板48、第2移動板50及び第3移動板52を移動させコネクタ固定部64の位置を調整できることから、コネクタ固定部64による取付固定により防水コネクタ42が接続されたケーブル接続部2450を介してリング部2430側に荷重や変形応力が加わることがなく、誘導電極部24のセンタリングに悪影響を及ぼすことがない。
【0089】
また、防水コネクタ42や電圧印加ケーブル44の荷重や応力がリング部2430に加わらないように、防水コネクタ42が接続されたケーブル接続部2450を本体部12に取付固定しているため、この点からも誘導電極部24のセンタリングへの影響を抑制・防止することができる。従って、ケーブル接続部取付構造45により、誘導電極部24のリング部2430のセンタリングは確実且つ安定して維持され、誘導電極部24のリング部2430を通過する水粒子に対し均一且つ安定した帯電を行うことを可能とする。
【0090】
[e.本発明の変形例]
本発明による帯電散布ヘッドの変形例について説明する。本発明による帯電散布ヘッドは、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
【0091】
(2枚の板部材の長穴と通し穴)
上記の実施形態は、第1移動板48、第2移動板50及び第3移動板52の内、相互に重なり合う2枚の板部材の間で所定の方向に移動可能とする構造として、一方に長穴を形成して他方に相対する通し穴を形成して所定の方向に移動自在としているが、長穴と通し穴を設ける板部材が別々の板部材であれば、長穴と通し穴をどちらの板部材に設けるかは任意である。
【0092】
(3次元方向の移動を可能とする移動板の配置構造)
また、上記の実施形態は、本体部12に取付固定する本体固定板46と防水コネクタ42が接続されたケーブル接続部2450を取付固定する第3移動板52の間に、第1移動板48と第2移動板50を順番に重ね合わせることで、3次元方向となる上下方向、左右方向及び前後方向に移動自在としているが、どの板部材をどの方向に移動自在とするかは任意である。実施形態では、本体固定板46に対し第1移動板を上下方向に移動自在とし、第1移動板に対し第2移動板を前後方向に移動自在とし、第2移動板に対し第3移動板を左右方向に移動自在としたが、例えば本体固定板46に対し第1移動板を左右方向又は前後方向に移動自在としても良く、第1移動板に対し第2移動板を上下方向又は左右方向に移動自在としても良く、第2移動板に対し第3移動板を上下方向又は前後方向に移動自在としても良く、つまり、全てを合わせて三次元方向となる上下方向、左右方向及び前後方向の何れにも移動自在できるように、各板部材の移動方向を選択すれば良い。
【0093】
(その他)
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0094】
10:帯電散布ヘッド
12:本体部
1210:電極取付穴
1240:端子室
1260:固定面部
1262:ねじ穴
1270:電極コネクタ取付穴
1280:溝部
14:水側電極部
16:電極連結部
1640:ねじ穴
18:液体導管部
20:本体カバー部
22:ノズル部
2210:ノズル孔
24:誘導電極部
2410:電極芯材
2420:絶縁被覆
2430:リング部
2440:電極引出部
2450:ケーブル接続部
25:電極支持部
26:アーム部
2610:支点部
2620:押圧部
2630:電極保持部
28:固定部
30:固定プレート部
34:アースケーブル
36:ケーブルコネクタ
42:防水コネクタ
44:電圧印加ケーブル
45:ケーブル接続部取付構造
46:本体固定板
4610:本体固定面部
4620:移動板固定面部
4630:通し穴
4640:ねじ穴
4650:ストッパ部
48:第1移動板
4810:上下長穴
4820:前後長穴
4830:上下移動面部
4840:前後移動面部
50:第2移動板
5010:第1屈曲面部
5020:第2屈曲面部
5030:通し穴
5040:左右長穴
52:第3移動板
5210,5220:通し穴
5230:左右移動面部
5240:コネクタ固定面部
54,56,60,66:ねじ
58,62:蝶ナット
64:コネクタ固定部
6410:湾曲係止部