(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047001
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240329BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240329BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240329BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240329BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/06 102A
H01L27/088 331A
H01L21/28 301A
H01L31/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152406
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 勇士
【テーマコード(参考)】
4M104
4M118
5F048
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
4M104AA01
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(57)【要約】
【課題】新規なレイアウトを有するフォトダイオードを備えた半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置1Aは、第1主面3を有するチップ2と、少なくとも第1主面3の表層部に形成されたp型の第1半導体領域6と、第1半導体領域6内に位置するように第1主面3に形成されたトレンチ55、および、トレンチ55内においてチップ2に機械的および電気的に接続されたn型のポリシリコン56を含むトレンチ構造54と、トレンチ構造54の壁面に沿うように第1半導体領域6内に形成され、第1半導体領域6とフォトダイオードとしてのpn接合部を形成するn型の第2半導体領域59と、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有するチップと、
少なくとも前記主面の表層部に形成された第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域内に位置するように前記主面に形成されたトレンチ、および、前記トレンチ内において前記チップに機械的および電気的に接続された第2導電型のポリシリコンを含むトレンチ構造と、
前記トレンチ構造の壁面に沿うように前記第1半導体領域内に形成され、前記第1半導体領域とフォトダイオードとしてのpn接合部を形成する第2導電型の第2半導体領域と、を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第2半導体領域は、前記ポリシリコンの第2導電型不純物と同一種類の第2導電型不純物を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2半導体領域は、前記ポリシリコンよりも低い不純物濃度を有している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2半導体領域は、前記ポリシリコンを起点に漸減する濃度勾配を有している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記トレンチ構造は、前記ポリシリコン内において前記ポリシリコンよりも高い不純物濃度を有する第2導電型の不純物領域を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記不純物領域は、前記トレンチの底壁から間隔を空けて前記ポリシリコンの表層部に形成されている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記不純物領域は、前記トレンチの深さ範囲の中間部から前記トレンチの開口側に間隔を空けて形成されている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記不純物領域は、前記トレンチ内において前記ポリシリコンの内方部から周縁部に向けて漸減する濃度勾配を形成している、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記不純物領域は、前記ポリシリコンの第2導電型不純物とは異なる種類の第2導電型不純物を含む、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記主面を被覆する絶縁膜と、
前記絶縁膜内で前記ポリシリコンに電気的に接続されたビア電極と、をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ビア電極は、前記第2半導体領域から間隔を空けて前記ポリシリコンに機械的および電気的に接続されている、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ビア電極は、前記第2半導体領域に対する機械的接続部を有さない、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記トレンチ構造は、前記ポリシリコン内において前記ポリシリコンよりも高い不純物濃度を有する第2導電型の不純物領域を含む、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記不純物領域は、前記ポリシリコンの表層部に形成され、
前記ビア電極は、前記不純物領域とオーミック接触を形成している、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記絶縁膜の上で前記ビア電極に電気的に接続された配線をさらに含む、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記トレンチ構造から間隔を空けて前記第1半導体領域の表層部に形成された第2導電型のコンタクト領域をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記主面に設けられた受光領域と、
前記受光領域を他の領域から電気的に分離する領域分離構造と、をさらに含み、
前記トレンチ構造が前記受光領域に形成され、
前記第2半導体領域が前記受光領域において前記トレンチ構造の壁面に沿うように形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記主面に設けられた複数の受光領域をさらに含み、
前記トレンチ構造が各前記受光領域に形成され、
前記第2半導体領域が各前記受光領域において前記トレンチ構造の壁面に沿うように形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
主面を有し、少なくとも前記主面の表層部において第1導電型の第1半導体領域を有するウエハを用意する工程と、
前記第1半導体領域内に位置するように前記主面にトレンチを形成する工程と、
前記ウエハに機械的および電気的に接続されるように前記トレンチ内に第2導電型のポリシリコンを埋設する工程と、
前記ポリシリコンを個相拡散源として前記第1半導体領域内に第2導電型不純物を拡散させ、前記第1半導体領域とフォトダイオードとしてのpn接合部を形成する第2導電型の第2半導体領域を形成する工程と、を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第2半導体領域の形成工程後、前記ポリシリコンは前記第2半導体領域に対する極性電極として残存される、請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、撮像素子や太陽電池に供される半導体装置に関して、光電変換効率とpn接合部の深さに関する技術を開示している。特許文献1の
図1は、p型の半導体基板、および、半導体基板の表層部においてpn接合部を形成するn型のドーピング層を備えた半導体装置を開示している。
【0003】
この半導体装置の場合、半導体基板内の比較的浅い領域にpn接合部が形成されるため、当該pn接合部よりも深い領域で電子を励起させる波長帯の入射光を適切に検知できない。特許文献1の
図2および
図3は、このような問題を解決する構成を開示している。
【0004】
特許文献1の
図2は、p型の半導体基板、半導体基板の表面に形成されたトレンチ、および、トレンチに埋設されたn型のシリコン層を備えた半導体装置を開示している。この半導体装置の構成は、同出願人に係る特許文献2の
図2に具体的に開示されている。特許文献2の
図2では、n型のシリコン層がトレンチの壁面に沿って膜状に形成され、トレンチ内においてリセス空間を区画している。n型のシリコン層は、トレンチ内においてp型の半導体基板に直接接続され、当該半導体基板とpn接合部を形成している。
【0005】
特許文献1の
図3は、p型の半導体基板、半導体基板の表面に形成されたトレンチ、および、半導体基板内において半導体基板の表面およびトレンチの壁面に沿って形成されたn型のドーピング層を備えた半導体装置を開示している。n型のドーピング層は、p型の半導体基板とpn接合部を形成している。この半導体装置は、トレンチ内に埋設物を有さない。トレンチは、n型のドーピング層を外部に露出させる空洞からなる。
【0006】
この半導体装置の製造方法は、p型の半導体基板の表面にトレンチを形成する工程、n型不純物を含有する薄膜によって半導体基板の表面およびトレンチの壁面を膜状に被覆する工程、薄膜を個相拡散源として半導体基板中にn型不純物を拡散させて半導体基板の表面およびトレンチの壁面に沿うn型のドーピング層を形成する工程、および、半導体基板から薄膜を除去する工程を含む。
【0007】
特許文献1の段落[0016]では、酸化シリコン膜が個相拡散源薄膜として適用されている一方、シリコン膜は個相拡散源薄膜としての適用対象から除外されている。これは、半導体基板と同質のシリコン膜を個相拡散源薄膜として適用した場合、薄膜の除去工程においてシリコン膜と同時に半導体基板が除去されるためである。このような技術手段を以て、空洞からなるトレンチに沿うドーピング層を有する半導体装置が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-199417号公報
【特許文献2】特開2010-219089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一実施形態は、新規なレイアウトを有するフォトダイオードを備えた半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態は、主面を有するチップと、少なくとも前記主面の表層部に形成された第1導電型の第1半導体領域と、前記第1半導体領域内に位置するように前記主面に形成されたトレンチ、および、前記トレンチ内において前記チップに機械的および電気的に接続された第2導電型のポリシリコンを含むトレンチ構造と、前記トレンチ構造の壁面に沿うように前記第1半導体領域内に形成され、前記第1半導体領域とフォトダイオードとしてのpn接合部を形成する第2導電型の第2半導体領域と、を含む、半導体装置を提供する。
【0011】
一実施形態は、主面を有し、少なくとも前記主面の表層部に第1導電型の第1半導体領域を有するウエハを用意する工程と、前記第1半導体領域内に位置するように前記主面にトレンチを形成する工程と、前記ウエハに機械的および電気的に接続されるように前記トレンチ内に第2導電型のポリシリコンを埋設する工程と、前記ポリシリコンを個相拡散源として前記第1半導体領域内に第2導電型不純物を拡散させ、前記第1半導体領域とフォトダイオードとしてのpn接合部を形成する第2導電型の第2半導体領域を形成する工程と、を含む、半導体装置の製造方法を提供する。
【0012】
上述のまたはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面の参照によって説明される実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図5のトレンチ構造の上端部近傍を示す断面図である。
【
図8A】
図8Aは、
図7の第1ラインL1に沿う濃度勾配例を示す第1グラフである。
【
図8B】
図8Bは、
図7の第2ラインL2に沿う濃度勾配例を示す第2グラフである。
【
図9A】
図9Aは、トレンチ構造の第1変形例を示す断面図である。
【
図9B】
図9Bは、トレンチ構造の第2変形例を示す断面図である。
【
図9C】
図9Cは、トレンチ構造の第3変形例を示す断面図である。
【
図9D】
図9Dは、トレンチ構造の第4変形例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る半導体装置の受光領域を示す平面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る第2半導体領域の変形例を示す断面図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係る半導体装置の受光領域を示す平面図である。
【
図17】
図17は、第4実施形態に係る半導体装置の受光領域を示す平面図である。
【
図20】
図20は、第5実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図22】
図22は、第5実施形態に係る受光領域の変形例を示す断面図である。
【
図26】
図26は、カソードビア電極の第1変形例を示す平面図である。
【
図27】
図27は、カソードビア電極の第2変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、実施形態が詳細に説明される。添付図面は、模式図であり、厳密に図示されたものではなく、縮尺等は必ずしも一致しない。また、添付図面の間で対応する構造には同一の参照符号が付され、重複する説明は省略または簡略化される。説明が省略または簡略化された構造については、省略または簡略化される前になされた説明が適用される。
【0015】
比較対象(comparison target)が存する説明において「ほぼ(substantially)等しい」の文言が使用される場合、この文言は、比較対象の数値(形態)と等しい数値(形態)を含む他、比較対象の数値(形態)を基準とする±10%の範囲の数値誤差(形態誤差)も含む。実施形態では「第1」、「第2」、「第3」等の文言が使用されるが、これらは説明順序を明確にするために各構造の名称に付された記号であり、各構造の名称を限定する趣旨で付されていない。
【0016】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1Aを示す平面図である。
図1を参照して、半導体装置1Aは、この形態(this embodiment)では、Si単結晶からなるチップ2を含む。チップ2は、「Siチップ」と称されてもよい。チップ2は、六面体形状(具体的に直方体形状)に形成されている。チップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する第1~第4側面5A~5Dを有している。チップ2の厚さは、200μm以上500μm以下であってもよい。
【0017】
第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。法線方向Zは、チップ2の厚さ方向でもある。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1主面3に沿う第1方向Xに延び、第1主面3に沿って第1方向Xに交差(具体的には直交)する第2方向Yに対向(背向)している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向(背向)している。
【0018】
半導体装置1Aは、チップ2内に形成されたp型(第1導電型)の第1半導体領域6を含む。第1半導体領域6のp型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1016cm-3以下であってもよい。第1半導体領域6は、チップ2内において少なくとも第1主面3の表層部に形成されている。第1半導体領域6は、第1主面3から露出していることが好ましい。第1半導体領域6は、この形態では、チップ2の厚さ範囲の全域に形成され、第1主面3および第2主面4から露出している。
【0019】
具体的には、第1半導体領域6は、チップ2の全域において第1主面3および第2主面4に沿って延びる層状に形成され、第1主面3、第2主面4および第1~第4側面5A~5Dから露出している。つまり、第1半導体領域6は、この形態では、第1主面3、第2主面4および第1~第4側面5A~5Dを有している。
【0020】
この形態では、チップ2はp型の半導体基板(シリコン基板)からなる単層構造を有し、第1半導体領域6はp型の半導体基板を利用して形成されている。むろん、チップ2はn型の半導体基板からなる単層構造を有していてもよい。この場合、p型の第1半導体領域6は、n型の半導体基板において少なくとも第1主面3の表層部にp型不純物を導入することによって形成されてもよい。
【0021】
半導体装置1Aは、第1主面3に区画された複数の回路デバイス領域7を含む。複数の回路デバイス領域7の個数および配置は任意である。複数の回路デバイス領域7は、第1主面3および/または第1主面3の表層部を利用して形成された種々の回路デバイス(機能デバイス)を含む領域である。回路デバイスは、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。複数の回路デバイスは、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路を構成していてもよい。
【0022】
半導体スイッチングデバイスは、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor)およびJFET(Junction Field Effect Transistor)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0023】
半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファーストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動デバイスは、抵抗、コンデンサ、インダクタおよびヒューズのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0024】
複数の回路デバイス領域7は、この形態では、少なくとも1つのCMIS領域8(Complementary Metal Insulator Semiconductor region)、および、少なくとも1つの受光領域9を含む。CMIS領域8はCMISを含む領域であり、受光領域9は光検出用の受光デバイスを含む領域である。
【0025】
受光領域9は、第1主面3においてCMIS領域8とは異なる領域に設けられている。受光領域9は、典型的には、第1主面3の周縁部に設けられている。むろん、受光領域9は、第1主面3の内方部に配置され、他の回路デバイス領域7を挟んで第1主面3の周縁部に対向していてもよい。CMIS領域8および受光領域9の配置箇所は任意であり、特定のレイアウトに制限されない。以下、CMIS領域8の構成および受光領域9の構成が順に説明される。
【0026】
図2は、
図1のCMIS領域8を示す平面図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿う断面図である。
図2および
図3を参照して、CMIS領域8は、第1MIS領域8a(第1トランジスタ領域)および第2MIS領域8b(第2トランジスタ領域)を有している。第1MIS領域8aは、平面視において第1方向Xの一方側に配置されている。第2MIS領域8bは、第1MIS領域8aに対して第1方向Xの他方側に配置され、第1方向Xに第1MIS領域8aに対向している。
【0027】
むろん、第1MIS領域8aおよび第2MIS領域8bの配置は入れ替えられてもよい。また、第1MIS領域8aおよび第2MIS領域8bは、第2方向Yに沿って配置され、第2方向Yに互いに対向していてもよい。
【0028】
半導体装置1Aは、CMIS領域8を他の回路デバイス領域7(受光領域9等)から電気的に分離するように第1主面3に形成された第1領域分離構造10を含む。第1領域分離構造10は、この形態では、トレンチ絶縁構造からなる。第1領域分離構造10は、「第1トレンチ絶縁構造」と称されてもよい。第1領域分離構造10は、第1主面3から露出するように第1半導体領域6の表層部に形成されている。
【0029】
第1領域分離構造10は、平面視において第1MIS領域8aを取り囲む第1環状部、および、平面視において第2MIS領域8bを取り囲む第2環状部を有している。第1環状部は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)に平行な4辺を有する多角環状(この形態では四角環状)に形成されている。
【0030】
第2環状部は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁に平行な4辺を有する多角環状(この形態では四角環状)に形成され、第1環状部に接続されている。つまり、第1領域分離構造10は、平面視において第1MIS領域8aおよび第2MIS領域8bを取り囲む梯子状に形成されている。むろん、第2環状部は、第1環状部から間隔を空けて形成されていてもよい。
【0031】
第1領域分離構造10は、第1分離トレンチ11および第1埋設絶縁体12を含む。第1分離トレンチ11は、第1主面3に形成され、第1領域分離構造10の壁面を区画している。第1分離トレンチ11は、断面視において開口から底壁に向けて開口幅が徐々に狭まるテーパ形状に形成されている。
【0032】
第1分離トレンチ11の深さは、0.2μm以上1μm以下であってもよい。第1分離トレンチ11の深さは、0.2μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、および、0.75μm以上1μm以下のいずれかの範囲に属する値を有していてもよい。
【0033】
第1埋設絶縁体12は、第1分離トレンチ11に埋設されている。第1埋設絶縁体12は、この形態では、第1主面3に対して第1分離トレンチ11の底壁側に位置する第1埋設部、および、第1埋設部から第1主面3よりも上方に突出した第1突出部を有している。むろん、第1埋設絶縁体12は、第1主面3に対して面一に形成されていてもよい。第1埋設絶縁体12は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0034】
半導体装置1Aは、第1MIS領域8aに形成されたpnp型の第1MISFET構造13を含む。以下の構成は、半導体装置1Aの構成要素として説明されるが、第1MISFET構造13の構成要素でもある。
【0035】
半導体装置1Aは、第1MIS領域8aにおいて第1主面3の表層部に形成されたn型(第2導電型)の第1ウェル領域14を含む。第1ウェル領域14のn型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。第1ウェル領域14は、平面視において第1MIS領域8aの全域に形成され、第1領域分離構造10に接続されている。第1ウェル領域14は、第1領域分離構造10よりも深く形成され、第1領域分離構造10の底壁を被覆する部分を有している。
【0036】
半導体装置1Aは、第1MIS領域8aにおいて第1主面3の上に配置された第1プレーナゲート構造15を含む。第1プレーナゲート構造15は、第1ゲート絶縁膜16、第1ゲート電極17および第1側壁絶縁膜18を含む。第1側壁絶縁膜18は、「第1サイドウォール構造」と称されてもよい。第1側壁絶縁膜18の有無は任意であり、必要に応じて取り除かれてもよい。
【0037】
第1ゲート絶縁膜16は、第1MIS領域8aにおいて第1主面3を膜状に被覆している。第1ゲート絶縁膜16は、この形態では、第1MIS領域8aの全域を被覆し、第1領域分離構造10(第1埋設絶縁体12)に接続された部分を有している。第1ゲート絶縁膜16は、第1埋設絶縁体12の第1突出部の厚さよりも小さい厚さを有している。第1ゲート絶縁膜16は、酸化シリコン膜を含むことが好ましい。第1ゲート絶縁膜16は、チップ2(第1主面3)の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが特に好ましい。
【0038】
第1ゲート電極17は、第1MIS領域8aの内方部において第1ゲート絶縁膜16の上に配置されている。第1ゲート電極17は、この形態では、平面視において第2方向Yに延びる帯状に形成されている。第1ゲート電極17は、第1ゲート絶縁膜16の上から第1埋設絶縁体12の上にそれぞれ引き出された第1端部および第2端部を有している。
【0039】
第1端部および第2端部は、第1領域分離構造10のうち第1方向Xに延びる部分にそれぞれ直交している。第1ゲート電極17は、n型不純物(5価元素)および/またはp型不純物(3価元素)を含む導電性ポリシリコンを有していることが好ましい。
【0040】
第1側壁絶縁膜18は、第1ゲート電極17の側壁を被覆している。第1側壁絶縁膜18は、この形態では、第1埋設絶縁体12の上で第1ゲート電極17の側壁を被覆し、第1ゲート絶縁膜16の上で第1ゲート電極17の側壁を被覆している。第1側壁絶縁膜18は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0041】
半導体装置1Aは、第1ウェル領域14の表層部に形成されたp型の第1ドレイン領域19を含む。第1ドレイン領域19のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。第1ドレイン領域19のp型不純物濃度は、第1半導体領域6のp型不純物濃度よりも高い。第1ドレイン領域19は、第1プレーナゲート構造15に対して第1方向Xの一方側の領域に形成されている。第1ドレイン領域19は、平面視において第1領域分離構造10および第1プレーナゲート構造15の間の領域に形成されている。
【0042】
第1ドレイン領域19は、この形態では、第1側壁絶縁膜18に対して自己整合的に形成され、平面視において第1側壁絶縁膜18に沿って形成されている。第1ドレイン領域19は、第1領域分離構造10(第1分離トレンチ11)の底壁から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。第1ドレイン領域19は、第1領域分離構造10(第1分離トレンチ11)に接していてもよい。
【0043】
半導体装置1Aは、第1ドレイン領域19の表層部から第1側壁絶縁膜18の直下の領域に引き出されたp型の第1ドレイン表層領域20を含む。第1ドレイン表層領域20は、第1ゲート絶縁膜16を挟んで第1側壁絶縁膜18に対向している。第1ドレイン表層領域20は、第1ドレイン領域19のp型不純物濃度よりも低いp型不純物濃度を有していることが好ましい。第1ドレイン表層領域20のp型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
【0044】
第1ドレイン表層領域20は、この形態では、第1ゲート電極17の側壁に対して自己整合的に形成され、平面視において第1ゲート電極17の側壁に沿って形成されている。第1ドレイン表層領域20は、第1ドレイン領域19の底部に対して第1主面3側に形成されている。第1ドレイン表層領域20の有無は任意であり、必要に応じて取り除かれてもよい。
【0045】
半導体装置1Aは、第1ウェル領域14の表層部に形成されたp型の第1ソース領域21を含む。第1ソース領域21のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。第1ソース領域21のp型不純物濃度は、第1半導体領域6のp型不純物濃度よりも高い。第1ソース領域21のp型不純物濃度は、第1ドレイン領域19のp型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
【0046】
第1ソース領域21は、第1プレーナゲート構造15に対して第1方向Xの他方側の領域に形成されている。第1ソース領域21は、平面視において第1領域分離構造10および第1プレーナゲート構造15の間の領域に形成され、第1プレーナゲート構造15を挟んで第1ドレイン領域19に対向している。
【0047】
第1ソース領域21は、この形態では、第1側壁絶縁膜18に対して自己整合的に形成され、平面視において第1側壁絶縁膜18に沿って形成されている。第1ソース領域21は、第1領域分離構造10(第1分離トレンチ11)の底壁から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。第1ソース領域21は、第1領域分離構造10(第1分離トレンチ11)に接していてもよい。
【0048】
半導体装置1Aは、第1ソース領域21の表層部から第1側壁絶縁膜18の直下の領域に引き出されたp型の第1ソース表層領域22を含む。第1ソース表層領域22は、第1ゲート絶縁膜16を挟んで第1側壁絶縁膜18に対向している。第1ソース表層領域22は、第1ソース表層領域22のp型不純物濃度よりも低いp型不純物濃度を有していることが好ましい。第1ソース表層領域22のp型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。第1ソース表層領域22のp型不純物濃度は、第1ドレイン表層領域20のp型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
【0049】
第1ソース表層領域22は、第1ウェル領域14の一部を挟んで第1ドレイン表層領域20に対向している。第1ソース表層領域22は、この形態では、第1ゲート電極17の側壁に対して自己整合的に形成され、平面視において第1ゲート電極17の側壁に沿って形成されている。第1ソース表層領域22は、第1ソース領域21の底部に対して第1主面3側に形成されている。第1ソース表層領域22の有無は任意であり、必要に応じて取り除かれてもよい。
【0050】
半導体装置1Aは、第2MIS領域8bに形成されたnpn型の第2MISFET構造23を含む。第2MISFET構造23は、第1MISFET構造13に相補的に接続され、第1MISFET構造13とCMISを構成している。以下の構成は、半導体装置1Aの構成要素として説明されるが、第2MISFET構造23の構成要素でもある。
【0051】
半導体装置1Aは、第2MIS領域8bにおいて第1主面3の表層部に形成されたp型の第2ウェル領域24を含む。第2ウェル領域24のp型不純物濃度は、第1半導体領域6のp型不純物濃度よりも高い。第2ウェル領域24のp型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。第2ウェル領域24は、平面視において第2MIS領域8bの全域に形成され、第1領域分離構造10に接続されている。第2ウェル領域24は、第1領域分離構造10よりも深く形成され、第1領域分離構造10の底壁を被覆する部分を有している。
【0052】
半導体装置1Aは、第2MIS領域8bにおいて第1主面3の上に配置された第2プレーナゲート構造25を含む。第2プレーナゲート構造25は、第2ゲート絶縁膜26、第2ゲート電極27および第2側壁絶縁膜28を含む。第2側壁絶縁膜28は、「第2サイドウォール構造」と称されてもよい。第2側壁絶縁膜28の有無は任意であり、必要に応じて取り除かれてもよい。
【0053】
第2ゲート絶縁膜26は、第2MIS領域8bにおいて第1主面3を膜状に被覆している。第2ゲート絶縁膜26は、この形態では、第2MIS領域8bの全域を被覆し、第1領域分離構造10(第1埋設絶縁体12)に接続された部分を有している。第2ゲート絶縁膜26は、第1埋設絶縁体12の第1突出部の厚さよりも小さい厚さを有している。第2ゲート絶縁膜26は、酸化シリコン膜を含むことが好ましい。第2ゲート絶縁膜26は、チップ2(第1主面3)の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが特に好ましい。
【0054】
第2ゲート電極27は、第2MIS領域8bの内方部において第2ゲート絶縁膜26の上に配置されている。第2ゲート電極27は、この形態では、平面視において第2方向Yに延びる帯状に形成されている。第2ゲート電極27は、第2ゲート絶縁膜26の上から第1埋設絶縁体12の上にそれぞれ引き出された第1端部および第2端部を有している。
【0055】
第1端部および第2端部は、第1領域分離構造10のうち第1方向Xに延びる部分にそれぞれ直交している。第2ゲート電極27は、n型不純物(5価元素)および/またはp型不純物(3価元素)を含む導電性ポリシリコンを有していることが好ましい。第2ゲート電極27は、第1ゲート電極17の不純物濃度とは異なる不純物濃度を有していてもよい。
【0056】
第2側壁絶縁膜28は、第2ゲート電極27の側壁を被覆している。第2側壁絶縁膜28は、この形態では、第1埋設絶縁体12の上で第2ゲート電極27の側壁を被覆し、第2ゲート絶縁膜26の上で第2ゲート電極27の側壁を被覆している。第2側壁絶縁膜28は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0057】
半導体装置1Aは、第2ウェル領域24の表層部に形成されたn型の第2ドレイン領域29を含む。第2ドレイン領域29のn型不純物濃度は、第1ウェル領域14のn型不純物濃度よりも高い。第2ドレイン領域29のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。
【0058】
第2ドレイン領域29は、比較的小さい拡散係数を有するn型不純物(5価元素)を含むことが好ましい。第2ドレイン領域29のn型不純物は、ヒ素であることが好ましい。第2ドレイン領域29は、第2プレーナゲート構造25に対して第1方向Xの一方側の領域に形成されている。第2ドレイン領域29は、平面視において第1領域分離構造10および第2プレーナゲート構造25の間の領域に形成されている。
【0059】
第2ドレイン領域29は、この形態では、第2側壁絶縁膜28に対して自己整合的に形成され、平面視において第2側壁絶縁膜28に沿って形成されている。第2ドレイン領域29は、第1領域分離構造10(第1分離トレンチ11)の底壁から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。第2ドレイン領域29は、第1領域分離構造10(第1分離トレンチ11)に接していてもよい。
【0060】
半導体装置1Aは、第2ドレイン領域29の表層部から第2側壁絶縁膜28の直下の領域に引き出されたn型の第2ドレイン表層領域30を含む。第2ドレイン表層領域30は、第2ゲート絶縁膜26を挟んで第2側壁絶縁膜28に対向している。第2ドレイン表層領域30は、第2ドレイン領域29のn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有していることが好ましい。第2ドレイン表層領域30のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
【0061】
第2ドレイン表層領域30は、この形態では、第2ゲート電極27の側壁に対して自己整合的に形成され、平面視において第2ゲート電極27の側壁に沿って形成されている。第2ドレイン表層領域30は、第2ドレイン領域29の底部に対して第1主面3側に形成されている。第2ドレイン表層領域30の有無は任意であり、必要に応じて取り除かれてもよい。
【0062】
半導体装置1Aは、第2ウェル領域24の表層部に形成されたn型の第2ソース領域31を含む。第2ソース領域31のn型不純物濃度は、第1ウェル領域14のn型不純物濃度よりも高い。第2ソース領域31のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。第2ソース領域31のn型不純物濃度は、第2ドレイン領域29のn型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
【0063】
第2ソース領域31は、比較的小さい拡散係数を有するn型不純物(5価元素)を含むことが好ましい。第2ソース領域31のn型不純物は、ヒ素であることが好ましい。第2ソース領域31は、第2プレーナゲート構造25に対して第1方向Xの他方側の領域に形成されている。第2ソース領域31は、平面視において第1領域分離構造10および第2プレーナゲート構造25の間の領域に形成され、第2プレーナゲート構造25を挟んで第2ドレイン領域29に対向している。
【0064】
第2ソース領域31は、この形態では、第2側壁絶縁膜28に対して自己整合的に形成され、平面視において第2側壁絶縁膜28に沿って形成されている。第2ソース領域31は、第1領域分離構造10(第1分離トレンチ11)の底壁から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。第2ソース領域31は、第1領域分離構造10(第1分離トレンチ11)に接していてもよい。
【0065】
半導体装置1Aは、第2ソース領域31の表層部から第2側壁絶縁膜28の直下の領域に引き出されたn型の第2ソース表層領域32を含む。第2ソース表層領域32は、第2ゲート絶縁膜26を挟んで第2側壁絶縁膜28に対向している。第2ソース表層領域32は、第2ソース領域31のn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有していることが好ましい。第2ソース表層領域32のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。第2ソース表層領域32のn型不純物濃度は、第2ドレイン表層領域30のn型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
【0066】
第2ソース表層領域32は、第2ウェル領域24の一部を挟んで第2ドレイン表層領域30に対向している。第2ソース表層領域32は、この形態では、第2ゲート電極27の側壁に対して自己整合的に形成され、平面視において第2ゲート電極27の側壁に沿って形成されている。第2ソース表層領域32は、第2ソース領域31の底部に対して第1主面3側に形成されている。第2ソース表層領域32の有無は任意であり、必要に応じて取り除かれてもよい。
【0067】
半導体装置1Aは、第1主面3の上でCMIS領域8を被覆する層間絶縁膜33を含む。層間絶縁膜33は、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。層間絶縁膜33は、第1領域分離構造10、第1プレーナゲート構造15、第1ドレイン領域19、第1ソース領域21、第2プレーナゲート構造25、第2ドレイン領域29および第2ソース領域31を被覆している。
【0068】
半導体装置1Aは、第1MIS領域8a側において層間絶縁膜33に埋設された少なくとも1つ(この形態では複数)の第1ゲートビア電極34、少なくとも1つ(この形態では複数)の第1ドレインビア電極35、および、少なくとも1つ(この形態では複数)の第1ソースビア電極36を含む。
【0069】
複数の第1ゲートビア電極34は、層間絶縁膜33に形成されたビア開口内にそれぞれ埋設され、第1ゲート電極17に電気的に接続されている。複数の第1ゲートビア電極34は、この形態では、第1ゲート電極17の第1端部および第2端部にそれぞれ接続されている。つまり、複数の第1ゲートビア電極34は、第1ゲート電極17を挟んで第1領域分離構造10(第1埋設絶縁体12)に対向している。むろん、単一または複数の第1ゲートビア電極34が第1ゲート電極17の任意の位置(たとえば中央部)に接続されていてもよい。
【0070】
複数の第1ドレインビア電極35は、層間絶縁膜33に形成されたビア開口内にそれぞれ埋設され、第1ドレイン領域19に電気的に接続されている。複数の第1ドレインビア電極35は、この形態では、第2方向Yに間隔を空けて配列されている。むろん、第2方向Yに帯状に延びる単一または複数の第1ドレインビア電極35が第1ドレイン領域19に接続されていてもよい。
【0071】
複数の第1ソースビア電極36は、層間絶縁膜33に形成されたビア開口内にそれぞれ埋設され、第1ソース領域21に電気的に接続されている。複数の第1ソースビア電極36は、この形態では、第2方向Yに間隔を空けて配列されている。むろん、第2方向Yに帯状に延びる単一または複数の第1ソースビア電極36が第1ソース領域21に接続されていてもよい。
【0072】
半導体装置1Aは、第1MIS領域8a側において層間絶縁膜33の上に配置された第1ゲート配線37、第1ドレイン配線38および第1ソース配線39を含む。第1ゲート配線37は、層間絶縁膜33の上で複数の第1ゲートビア電極34に電気的に接続されている。第1ドレイン配線38は、層間絶縁膜33の上で複数の第1ドレインビア電極35に電気的に接続されている。第1ソース配線39は、層間絶縁膜33の上で複数の第1ソースビア電極36に電気的に接続されている。
【0073】
半導体装置1Aは、第2MIS領域8b側において層間絶縁膜33に埋設された少なくとも1つ(この形態では複数)の第2ゲートビア電極40、少なくとも1つ(この形態では複数)の第2ドレインビア電極41、および、少なくとも1つ(この形態では複数)の第2ソースビア電極42を含む。
【0074】
複数の第2ゲートビア電極40は、層間絶縁膜33に形成されたビア開口内にそれぞれ埋設され、第2ゲート電極27に電気的に接続されている。複数の第2ゲートビア電極40は、この形態では、第2ゲート電極27の第1端部および第2端部にそれぞれ接続されている。つまり、複数の第2ゲートビア電極40は、第2ゲート電極27を挟んで第1領域分離構造10(第1埋設絶縁体12)に対向している。むろん、単一または複数の第2ゲートビア電極40が第2ゲート電極27の任意の位置(たとえば中央部)に接続されていてもよい。
【0075】
複数の第2ドレインビア電極41は、層間絶縁膜33に形成されたビア開口内にそれぞれ埋設され、第2ドレイン領域29に電気的に接続されている。複数の第2ドレインビア電極41は、この形態では、第2方向Yに間隔を空けて配列されている。むろん、第2方向Yに帯状に延びる単一または複数の第2ドレインビア電極41が第2ドレイン領域29に接続されていてもよい。
【0076】
複数の第2ソースビア電極42は、層間絶縁膜33に形成されたビア開口内にそれぞれ埋設され、第2ソース領域31に電気的に接続されている。複数の第2ソースビア電極42は、この形態では、第2方向Yに間隔を空けて配列されている。むろん、第2方向Yに帯状に延びる単一または複数の第2ソースビア電極42が第2ソース領域31に接続されていてもよい。
【0077】
半導体装置1Aは、第2MIS領域8b側において層間絶縁膜33の上に配置された第2ゲート配線43、第2ドレイン配線44および第2ソース配線45を含む。第2ゲート配線43は、層間絶縁膜33の上で複数の第2ゲートビア電極40に電気的に接続されている。第2ドレイン配線44は、層間絶縁膜33の上で複数の第2ドレインビア電極41に電気的に接続されている。第2ソース配線45は、層間絶縁膜33の上で複数の第2ソースビア電極42に電気的に接続されている。
【0078】
図4は、
図1の受光領域9を示す平面図である。
図5は、
図4のV-V線に沿う断面図である。
図6は、
図4のVI-VI線に沿う断面図である。
図7は、
図5のトレンチ構造54の上端部近傍を示す断面図である。
【0079】
図4~
図7を参照して、半導体装置1Aは、受光領域9を他の回路デバイス領域7(CMIS領域8等)から電気的に分離するように第1主面3に形成された第2領域分離構造50を含む。第2領域分離構造50は、この形態では、トレンチ絶縁構造からなる。第2領域分離構造50は、「第2トレンチ絶縁構造」と称されてもよい。
【0080】
第2領域分離構造50は、第1主面3から露出するように第1半導体領域6の表層部に形成されている。第2領域分離構造50は、平面視において受光領域9を取り囲む環状に形成されている。第2領域分離構造50は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)に平行な4辺を有する多角環状(この形態では四角環状)に形成されている。
【0081】
第2領域分離構造50は、第2分離トレンチ51および第2埋設絶縁体52を含む。第2分離トレンチ51は、第1主面3に形成され、第2領域分離構造50の壁面を区画している。第2分離トレンチ51は、断面視において開口から底壁に向けて開口幅が徐々に狭まるテーパ形状に形成されている。
【0082】
第2分離トレンチ51の深さは、0.2μm以上1μm以下であってもよい。第2分離トレンチ51の深さは、0.2μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、および、0.75μm以上1μm以下のいずれかの範囲に属する値を有していてもよい。第2分離トレンチ51の深さは、第1分離トレンチ11の深さとほぼ等しいことが好ましい。むろん、第2分離トレンチ51の深さは、第1分離トレンチ11の深さよりも大きくてもよいし、第1分離トレンチ11の深さよりも小さくてもよい。
【0083】
第2埋設絶縁体52は、第2分離トレンチ51に埋設されている。第2埋設絶縁体52は、この形態では、第1主面3に対して第2分離トレンチ51の底壁側に位置する第2埋設部、および、第2埋設部から第1主面3よりも上方に突出した第2突出部を有している。むろん、第2埋設絶縁体52は、第1主面3に対して面一に形成されていてもよい。第2埋設絶縁体52は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0084】
半導体装置1Aは、受光領域9に形成された受光デバイスの一例としてのフォトダイオード構造53を含む。以下の構成は、半導体装置1Aの構成要素として説明されるが、フォトダイオード構造53の構成要素でもある。
【0085】
半導体装置1Aは、受光領域9において第1主面3に形成された少なくとも1つ(この形態では1つ)のトレンチ構造54を含む。トレンチ構造54は、第1半導体領域6内に位置している。トレンチ構造54は、第2領域分離構造50から間隔を空けて受光領域9の内方部に形成されている。
【0086】
トレンチ構造54は、この形態では、平面視において第2方向Yに延びる帯状に形成されている。むろん、トレンチ構造54は、平面視において第1方向Xに延びる帯状に形成されていてもよい。むろん、トレンチ構造54は、必ずしも平面視において一方方向に延びる帯状に形成されている必要はなく、平面視において多角形状(四角形状や六角形状等)、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。トレンチ構造54は、この形態では、第2領域分離構造50(第1主面3の周縁)に平行な4辺を有する多角形状(具体的には長方形状)に形成されている。
【0087】
トレンチ構造54は、断面視において第1領域分離構造10よりも深く形成されている。また、トレンチ構造54は、断面視において第2領域分離構造50よりも深く形成されている。つまり、トレンチ構造54の底壁は、第1領域分離構造10の底壁および第2領域分離構造50の底壁に対して第2主面4側の領域に位置している。トレンチ構造54の底壁は、第1ウェル領域14の底部および第2ウェル領域24の底部よりも第2主面4側の領域に位置していることが好ましい。
【0088】
トレンチ構造54は、トレンチ55、n型のポリシリコン56およびn型の高濃度不純物領域57を含む。ポリシリコン56は、「導電性ポリシリコン」、「ドープドポリシリコン」、「ドープドポリシリコン電極」、「ポリシリコン電極」等と称されてもよい。
【0089】
トレンチ55は、第1半導体領域6内に位置するように第1主面3に形成され、トレンチ構造54の壁面を区画している。トレンチ55は、この形態では、断面視において開口から底壁に向けて開口幅が徐々に狭まるテーパ形状に形成されている。
【0090】
トレンチ55は、第1方向Xに沿う断面視および第2方向Yに沿う断面視の双方においてテーパ形状に形成されていることが好ましい。むろん、トレンチ55は、第1主面3に対して垂直に形成されていてもよい。トレンチ55の底壁は、断面視において第1主面3に平行に形成されている。むろん、トレンチ55の底壁は、第2主面4側に向かう円弧状に形成されていてもよい。
【0091】
トレンチ55は、トレンチ幅Wおよびトレンチ深さDを有している。トレンチ幅Wは、0.5μm以上5μm以下であってもよい。トレンチ幅Wは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、および、4μm以上5μm以下のいずれかの範囲に属する値を有していてもよい。
【0092】
トレンチ深さDは、0.5μm以上20μm以下であってもよい。トレンチ深さDは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、および、15μm以上20μm以下のいずれかの範囲に属する値を有していてもよい。
【0093】
トレンチ55は、1以上のアスペクト比D/Wを有する高アスペクト比のトレンチであることが好ましい。アスペクト比D/Wは、トレンチ幅Wに対するトレンチ深さDの比である。アスペクト比D/Wは、1以上5以下であってもよい。アスペクト比D/Wは、1以上2以下、2以上3以下、3以上4以下、および、4以上5以下のいずれかの範囲に属する値を有していてもよい。
【0094】
トレンチ深さDは、受光領域9に対する入射光の波長帯に応じて調節される。入射光に起因するチップ2の内部光電効果(光導電)は、チップ2の材質に依存している。Si単結晶からなるチップ2の場合、チップ2は200nm以上1100nm以下の波長帯域(紫外領域~赤外領域)に感度を有している。
【0095】
500nm以下の比較的小さい波長域を有する青色光や紫外光は、チップ2に対する侵入長が小さいため、トレンチ深さDは比較的小さい値に設定されてよい。たとえば、500nm以下の比較的小さい波長域を有する入射光を検知する場合、トレンチ深さDは、0.5μm以上1μm以下であってもよい。
【0096】
一方、600nm以上の比較的大きい波長域を有する赤色光や赤外光は、チップ2に対する侵入長が大きいため、トレンチ深さDは比較的大きい値に設定される必要がある。たとえば、600nm以上の比較的大きい波長域を有する入射光を検知する場合、トレンチ深さDは、1μm以上20μm以下であってもよい。
【0097】
n型のポリシリコン56は、トレンチ55内に埋設され、トレンチ55の壁面においてチップ2に機械的および電気的に接続されている。絶縁体(絶縁膜)を介してポリシリコン56をトレンチ55に埋設させることも考えられるところ、ポリシリコン56は絶縁体を介さずにトレンチ55に埋設され、チップ2に対する機械的接続部を有している。
【0098】
ポリシリコン56は、この形態では、カソード埋設電極(極性埋設電極)としてトレンチ55内に埋設されている。ポリシリコン56は、トレンチ55に埋設されたポリシリコン、および、当該ポリシリコン内に形成されたn型の不純物領域(カソード領域)を含む埋設物であると見なされてもよい。
【0099】
ポリシリコン56は、第1ウェル領域14、第1ゲート電極17、第1ドレイン領域19(第1ソース領域21)、第2ゲート電極27および第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)とは異なる不純物濃度を有している。ポリシリコン56のn型不純物濃度は、第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)のn型不純物濃度よりも低いことが好ましい。ポリシリコン56のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下であってもよい。
【0100】
ポリシリコン56は、第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)のn型不純物(5価元素)とは異なる種類のn型不純物(5価元素)を含むことが好ましい。ポリシリコン56は、比較的大きい拡散係数を有するn型不純物を含むことが好ましい。ポリシリコン56は、ヒ素の拡散係数よりも大きい拡散係数を有するn型不純物を含むことが好ましい。ポリシリコン56のn型不純物は、燐またはアンチモンであることが好ましい。ポリシリコン56のn型不純物は、燐であることが特に好ましい。
【0101】
ポリシリコン56は、トレンチ55を底壁側から開口側に向けて埋め戻している。つまり、ポリシリコン56は、一体物としてトレンチ55内に埋設されている。具体的には、ポリシリコン56は、断面視においてトレンチ55の内方部で一体化するようにトレンチ55の壁面からトレンチ55の内方部に向けてポリシリコン層を積層することによって形成されている。
【0102】
つまり、ポリシリコン56は、トレンチ55の全体を埋め戻した構成を有し、トレンチ55内においてリセス空間を区画するようにトレンチ55の壁面を膜状に被覆する構成を有していない。ポリシリコン56は、内方部においてトレンチ55の深さ方向に沿って延びる積層境界部を有していてもよい。積層境界部は、断面視において両サイドの側壁から内方に向けて積層されたポリシリコン層の一体化部(接続部)である。
【0103】
図7を参照して、ポリシリコン56は、トレンチ55の開口から露出した上端部58(上端面)を有している。上端部58は、第1主面3に対して平行に延びる平坦面を有している。上端部58は、第1主面3に連なっていてもよい。つまり、上端部58は、第1主面3に対して面一に形成されていてもよい。この場合、第1主面3は研削面からなり、上端部58は研削面からなっていてもよい。つまり、上端部58は、第1主面3と1つの研削面を形成していてもよい。
【0104】
n型の高濃度不純物領域57は、ポリシリコン56のn型不純物濃度よりも高いn型不純物濃度を有し、ポリシリコン56内に形成されている。高濃度不純物領域57は、ポリシリコン56に対してn型不純物を導入することによって形成された領域である。つまり、高濃度不純物領域57は、この形態では、ポリシリコン56を低濃度カソード領域とする高濃度カソード領域である。
【0105】
高濃度不純物領域57のn型不純物濃度は、第2ドレイン表層領域30(第2ソース表層領域32)のn型不純物濃度よりも高いことが好ましい。高濃度不純物領域57のn型不純物濃度は、第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)のn型不純物濃度よりも高いことが好ましい。高濃度不純物領域57のn型不純物濃度は、ポリシリコン56のn型不純物濃度に第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)のn型不純物濃度を加算した値からなることが好ましい。
【0106】
高濃度不純物領域57は、ポリシリコン56のn型不純物(5価元素)とは異なるn型不純物(5価元素)を含むことが好ましい。高濃度不純物領域57は、ポリシリコン56のn型不純物の拡散係数よりも小さい拡散係数を有するn型不純物を含むことが好ましい。高濃度不純物領域57は、燐の拡散係数よりも小さい拡散係数を有するn型不純物を含むことが好ましい。
【0107】
高濃度不純物領域57のn型不純物は、ヒ素またはアンチモンであることが好ましい。ポリシリコン56のn型不純物は、ヒ素であることが特に好ましい。高濃度不純物領域57のn型不純物は、第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)のn型不純物と同じ種類であることが好ましい。
【0108】
この形態では、単一の高濃度不純物領域57がポリシリコン56内に形成されている。高濃度不純物領域57は、平面視においてトレンチ55に沿って第2方向Yに延びる帯状に形成されている。むろん、複数の高濃度不純物領域57が、平面視においてトレンチ55に沿って間隔を空けて形成されていてもよい。
【0109】
高濃度不純物領域57は、断面視においてポリシリコン56の下端(トレンチ55の底壁)からポリシリコン56の上端部58側に間隔を空けてポリシリコン56内に形成されている。これにより、高濃度不純物領域57は、トレンチ55の深さ方向に関して、ポリシリコン56の一部(低濃度不純物領域)を挟んでチップ2に対向している。高濃度不純物領域57は、トレンチ55の深さ範囲中間部からポリシリコン56の上端部58側に間隔を空けて形成されていることが好ましい。
【0110】
高濃度不純物領域57は、この形態では、ポリシリコン56の表層部に形成され、ポリシリコン56の上端部58から露出している。高濃度不純物領域57の厚さは、第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)の厚さとほぼ等しいことが好ましい。高濃度不純物領域57の厚さは、ポリシリコン56の上端部58を基準とする厚さである。ポリシリコン56の上端部58の高さ位置によっては、高濃度不純物領域57の底部は、必ずしも第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)の底部と同一平面上に位置するとは限らない。
【0111】
高濃度不純物領域57は、平面視および断面視においてトレンチ55の壁面から内方に間隔を空けてポリシリコン56内に形成されている。高濃度不純物領域57は、第1主面3に沿う水平方向(第1方向Xおよび第2方向Y)にポリシリコン56の一部を挟んで第1主面3の表層部に対向している。高濃度不純物領域57は、この形態では、平面視においてトレンチ55の壁面の全周から内方に間隔を空けて形成されている。つまり、高濃度不純物領域57は、平面視においてポリシリコン56の一部によって取り囲まれている。
【0112】
半導体装置1Aは、受光領域9においてトレンチ構造54の壁面に沿うようにチップ2内に形成されたn型の第2半導体領域59を含む。第2半導体領域59は、第1半導体領域6内に形成され、トレンチ55の壁面においてポリシリコン56に機械的および電気的に接続されている。第2半導体領域59は、第1半導体領域6とpn接合部を形成している。
【0113】
pn接合部は、アノードとしてのp型の第1半導体領域6およびカソードとしての第2半導体領域59を有するフォトダイオードとして機能する。第1半導体領域6および第2半導体領域59の間に逆バイアス電圧が印加された場合、pn接合部は、第1半導体領域6および第2半導体領域59の間の電位差に起因してチップ2内に空乏層を形成する。この空乏層に入射光が入り込むことによって光電効果に起因する光電流が生成される。
【0114】
第2半導体領域59は、高濃度不純物領域57のn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有している。第2半導体領域59のn型不純物濃度は、第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)のn型不純物濃度よりも低い。第2半導体領域59のn型不純物濃度は、ポリシリコン56のn型不純物濃度よりも低い。第2半導体領域59のn型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。
【0115】
第2半導体領域59は、第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)のn型不純物(5価元素)とは異なる種類のn型不純物(5価元素)を含むことが好ましい。第2半導体領域59は、高濃度不純物領域57のn型不純物とは異なる種類のn型不純物を含むことが好ましい。第2半導体領域59は、この形態では、p型の第1半導体領域6にn型不純物を導入した領域からなる。具体的には、第2半導体領域59は、ポリシリコン56を固相拡散源として第1半導体領域6中にn型不純物を拡散させた領域からなる。
【0116】
つまり、第2半導体領域59のn型不純物は、ポリシリコン56のn型不純物と同一種類であり、高濃度不純物領域57のn型不純物の拡散係数よりも大きい拡散係数を有している。また、第2半導体領域59は、第1半導体領域6のp型不純物およびポリシリコン56のn型不純物を含み、第1半導体領域6の導電型をp型からn型に置換している。したがって、第2半導体領域59のn型不純物濃度は、第1半導体領域6のp型不純物濃度よりも高い。
【0117】
高濃度不純物領域57は、第2半導体領域59に対する固相拡散源として形成されていない。また、高濃度不純物領域57のn型不純物は、比較的低い拡散係数を有している。また、高濃度不純物領域57は、ポリシリコン56の内方部に形成されている。したがって、高濃度不純物領域57は、第1半導体領域6にn型不純物を供給しない。
【0118】
仮に、高濃度不純物領域57が第1半導体領域6に対してn型不純物を供給していたとしても、その供給量は微量であり、第2半導体領域59のn型不純物濃度に影響を与えない程度である。したがって、第2半導体領域59は、高濃度不純物領域57のn型不純物を含まないと言える。第2半導体領域59のn型不純物濃度は、ポリシリコン56から供給されるn型不純物量によって決まり、ポリシリコン56のn型不純物濃度によって調節される。
【0119】
第2半導体領域59は、平面視においてトレンチ構造54の壁面を取り囲む環状(この形態では四角環状)に形成されている。第2半導体領域59は、断面視においてトレンチ構造54の側壁および底壁に沿って形成され、トレンチ構造54の開口側において第1主面3から露出している。
【0120】
第2半導体領域59は、トレンチ構造54の壁面の全域に亘ってポリシリコン56に機械的および電気的に接続され、トレンチ構造54の側壁および底壁に沿うpn接合部を形成している。第1主面3に対するpn接合部の深さ位置は、トレンチ深さDによって調節される。つまり、比較的大きいトレンチ深さDを有するトレンチ構造54を形成することによって、比較的深い位置にpn接合部を形成できる。これにより、比較的大きい波長帯の入射光(赤色光~赤外光)の検出感度を高めることができる。
【0121】
第2半導体領域59のうちトレンチ構造54の側壁に沿う部分は、トレンチ構造54の側壁に沿って第1主面3に対して傾斜して延びている。トレンチ構造54の側壁が第1主面3に対して垂直に形成されている場合、第2半導体領域59は第1主面3に対して垂直に延びていてもよい。第2半導体領域59のうちトレンチ構造54の底壁に沿う部分は、トレンチ構造54の底壁に対して平行に延びている。トレンチ構造54の底壁が円弧状に形成されている場合、第2半導体領域59は底壁に沿って円弧状に湾曲していてもよい。
【0122】
第2半導体領域59は、トレンチ構造54の開口端(第1主面3の表層部)においてポリシリコン56の一部を介して高濃度不純物領域57に対向する部分を有し、ポリシリコン56の一部を介して高濃度不純物領域57に電気的に接続されている。第2半導体領域59は、高濃度不純物領域57の底部に対してトレンチ構造54の底壁側の領域においてポリシリコン56に接続されている。
【0123】
第2半導体領域59は、断面視においてトレンチ構造54の壁面に倣って形成され、第1主面3の表層部において第1主面3に沿う水平方向(横方向)に層状に引き出された部分を有さない。
【0124】
以下、
図7に併せて
図8Aおよび
図8Bを参照して、ポリシリコン56、高濃度不純物領域57および第2半導体領域59の濃度勾配例がそれぞれ示される。
図8Aは、
図7の第1ラインL1に沿う濃度勾配例を示す第1グラフである。
図8Bは、
図7の第2ラインL2に沿う濃度勾配例を示す第2グラフである。
【0125】
図7を参照して、第1ラインL1は、ポリシリコン56、第2半導体領域59および第1半導体領域6を通過するように、ポリシリコン56の中央部から第1主面3に沿う水平方向(第1方向X)に設定された仮想ラインである。第2ラインL2は、高濃度不純物領域57、ポリシリコン56、第2半導体領域59および第1半導体領域6を通過するように、ポリシリコン56の中央部から第1主面3に沿う水平方向(第1方向X)に設定された仮想ラインである。
【0126】
図8Aおよび
図8Bにおいて、縦軸は不純物濃度[cm
-3]を示し、横軸はポリシリコン56の中央部を零地点としたときの距離[μm]を示している。
図8Aでは第2ラインL2に係る不純物濃度が破線によって示され、
図8Bでは第1ラインL1に係る不純物濃度が破線によって示されている。
【0127】
図8Aを参照して、ポリシリコン56は、比較的高いn型不純物濃度を有する内方部56a、および、内方部56aのn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有する周縁部56bを含む。内方部56aのn型不純物濃度はほぼ一定である。一方、周縁部56bのn型不純物濃度は内方部56aからトレンチ55の壁面に向けて漸減している。つまり、ポリシリコン56は、内方部56a(トレンチ55の中央部)から周縁部56b(トレンチ55の壁面)に向けて漸減する濃度勾配を有している。むろん、ポリシリコン56は、内方部56aから周縁部56bに向けて連続的に漸減する濃度勾配を有していてもよい。
【0128】
第2半導体領域59は、トレンチ構造54の壁面(ポリシリコン56の周縁部56b)を起点に漸減する濃度勾配を有している。第2半導体領域59のn型不純物濃度は、トレンチ構造54の壁面(ポリシリコン56の周縁部56b)から単調に減少している。第2半導体領域59のうち側壁を被覆する部分では、当該側壁を起点に水平方向に沿ってn型不純物濃度が漸減する。一方、第2半導体領域59のうち側壁を被覆する部分では、当該底壁を起点にチップ2の厚さ方向にn型不純物濃度が漸減する。
【0129】
図8Bを参照して、高濃度不純物領域57は、比較的高いn型不純物濃度を有する内方部57a、および、内方部57aのn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有する周縁部57bを含む。内方部57aのn型不純物濃度はほぼ一定である。一方、周縁部57bのn型不純物濃度は内方部57aからトレンチ55の壁面に向けて漸減している。
【0130】
つまり、高濃度不純物領域57は、内方部57a(トレンチ55の中央部)から周縁部57b(トレンチ55の壁面)に向けて漸減する濃度勾配を有している。高濃度不純物領域57の周縁部57bは、ポリシリコン56の内方部56aに接続されていてもよいし、ポリシリコン56の周縁部56bに接続されていてもよい。むろん、高濃度不純物領域57は、内方部57aから周縁部57bに向けて連続的に漸減する濃度勾配を有していてもよい。
【0131】
第2半導体領域59は、高濃度不純物領域57に対向する部分においても、トレンチ構造54の壁面(ポリシリコン56の周縁部56b)を起点に漸減する濃度勾配を有している。つまり、第2半導体領域59のn型不純物濃度は、高濃度不純物領域57の影響を受けていないと言える。この明細書は、このような状態を以て、第2半導体領域59は高濃度不純物領域57のn型不純物を含まないと定義している。
【0132】
図4~
図6を再度参照して、半導体装置1Aは、受光領域9においてトレンチ構造54から間隔を空けて第1主面3の表層部に形成されたp型のコンタクト領域60を含む。コンタクト領域60は、第1半導体領域6のp型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有している。つまり、コンタクト領域60は、第1半導体領域6を低濃度アノード領域とする高濃度アノード領域である。
【0133】
コンタクト領域60のp型不純物濃度は、第1ドレイン表層領域20(第1ソース表層領域22)のp型不純物濃度よりも高いことが好ましい。コンタクト領域60のp型不純物濃度は、第1ドレイン領域19(第1ソース領域21)のp型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。コンタクト領域60のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。
【0134】
コンタクト領域60は、この形態では、第2領域分離構造50および第2半導体領域59から間隔を空けて第2領域分離構造50および第2半導体領域59の間の領域に形成されている。コンタクト領域60は、第2領域分離構造50(トレンチ55第2分離トレンチ51)に接するように形成されていてもよい。コンタクト領域60は、第1主面3に沿う水平方向に第1半導体領域6の一部を挟んで第2半導体領域59に対向している。
【0135】
コンタクト領域60は、トレンチ構造54の底壁の深さ位置から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。つまり、コンタクト領域60は、トレンチ構造54よりも浅い領域に形成されている。コンタクト領域60は、第2領域分離構造50(第1領域分離構造10)の底壁の深さ位置から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。つまり、コンタクト領域60は、第2領域分離構造50よりも浅い領域に形成されている。コンタクト領域60は、第1ドレイン領域19(第1ソース領域21)の厚さとほぼ等しい厚さを有していることが好ましい。
【0136】
コンタクト領域60は、平面視においてトレンチ構造54に沿って延びる帯状に形成されている。コンタクト領域60は、この形態では、平面視において第1方向Xに沿って帯状に延びる部分、および、第2方向Yに沿って帯状に延びる部分を有している。具体的には、コンタクト領域60は、平面視においてトレンチ構造54を取り囲む環状(この形態では四角環状)に形成されている。
【0137】
半導体装置1Aは、受光領域9において第1主面3を被覆する主面絶縁膜61を含む。主面絶縁膜61は、受光領域9において第1主面3を膜状に被覆している。主面絶縁膜61は、この形態では、受光領域9の全域を被覆し、第2領域分離構造50(第2埋設絶縁体52)に接続された部分を有している。
【0138】
主面絶縁膜61は、受光領域9においてトレンチ構造54外を被覆する部分、および、トレンチ構造54内を被覆する部分を有している。主面絶縁膜61は、トレンチ構造54外の領域において、第1半導体領域6、第2半導体領域59およびコンタクト領域60を被覆している。主面絶縁膜61は、トレンチ構造54内の領域において、ポリシリコン56の内方部および周縁部を被覆している。つまり、主面絶縁膜61は、トレンチ構造54内の領域において高濃度不純物領域57も被覆している。
【0139】
主面絶縁膜61は、第2埋設絶縁体52の第2突出部の上端部58の厚さよりも小さい厚さを有している。主面絶縁膜61の厚さは、第1ゲート絶縁膜16の厚さおよび第2ゲート絶縁膜26の厚さのいずれか一方または双方とほぼ等しくてもよい。主面絶縁膜61は、酸化シリコン膜を含むことが好ましい。主面絶縁膜61は、チップ2(第1主面3)の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが特に好ましい。
【0140】
この場合、主面絶縁膜61は、ポリシリコン56を被覆する部分においてポリシリコン56の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。この場合、主面絶縁膜61は、ポリシリコン56を被覆する部分においてポリシリコン56のn型不純物および高濃度不純物領域57のn型不純物を含む。
【0141】
半導体装置1Aは、第1主面3の上で受光領域9を被覆する前述の層間絶縁膜33を含む。層間絶縁膜33は、受光領域9において、第1半導体領域6、第2領域分離構造50、トレンチ構造54、第2半導体領域59、コンタクト領域60および主面絶縁膜61を被覆している。
【0142】
半導体装置1Aは、受光領域9において層間絶縁膜33に埋設された少なくとも1つ(この形態では複数)のカソードビア電極62(第1極性ビア電極)、および、少なくとも1つ(この形態では複数)のアノードビア電極63(第2極性ビア電極)を含む。
【0143】
複数のカソードビア電極62は、層間絶縁膜33に形成されたビア開口内にそれぞれ埋設され、ポリシリコン56の上端部58に機械的および電気的に接続されている。複数のカソードビア電極62は、この形態では、高濃度不純物領域57に機械的および電気的に接続されている。複数のカソードビア電極62は、高濃度不純物領域57とオーミック接触を形成している。
【0144】
図7を参照して、ポリシリコン56の上端部58は、トレンチ55の底壁に向けて窪んだ複数のリセス58aを有していてもよい。この場合、複数のカソードビア電極62は、複数のリセス58aに連通する複数のビア開口を介してポリシリコン56の上端部58に接続されていてもよい。この形態では、複数のカソードビア電極62は、リセス内においてポリシリコン56(高濃度不純物領域57)に機械的および電気的に接続されている。
【0145】
複数のカソードビア電極62は、この形態では、トレンチ構造54の延在方向(第2方向Y)に間隔を空けて配列されている。むろん、第2方向Yに帯状に延びる単一または複数のカソードビア電極62がポリシリコン56に接続されていてもよい。
【0146】
複数のカソードビア電極62は、この形態では、第2半導体領域59から間隔を空けてポリシリコン56に接続されている。具体的には、複数のカソードビア電極62は、トレンチ55の壁面(ポリシリコン56の周縁)から間隔を空けてポリシリコン56の内方部に接続されている。したがって、複数のカソードビア電極62は、ポリシリコン56に対する機械的接続部のみを有し、第2半導体領域59に対する機械的接続部を有さない。
【0147】
複数のアノードビア電極63は、層間絶縁膜33に形成されたビア開口内にそれぞれ埋設され、コンタクト領域60の任意の箇所にそれぞれ電気的および機械的に接続されている。複数のアノードビア電極63は、この形態では、コンタクト領域60のうち第2方向Yに延びる部分において、第2方向Yに間隔を空けて配列されている。
【0148】
むろん、複数のアノードビア電極63は、コンタクト領域60のうち第1方向Xに延びる部分において、第1方向Xに間隔を空けて配列されていてもよい。また、複数のアノードビア電極63は、コンタクト領域60のうち第1方向Xに延びる部分において第1方向Xに間隔を空けて配列され、コンタクト領域60のうち第2方向Yに延びる部分において第2方向Yに間隔を空けて配列されていてもよい。
【0149】
むろん、コンタクト領域60に沿って第1方向Xおよび/または第2方向Yに帯状に延びる単一または複数のアノードビア電極63がコンタクト領域60に接続されていてもよい。たとえば、コンタクト領域60に沿って環状に延びる単一のアノードビア電極63が形成されていてもよい。
【0150】
半導体装置1Aは、受光領域9において層間絶縁膜33の上に配置された単一または複数(この形態では単一)のカソード配線64、および、単一または複数(この形態では単一)のアノード配線65を含む。カソード配線64は、層間絶縁膜33の上で複数のカソードビア電極62に接続されている。
【0151】
これにより、カソード配線64は、複数のカソードビア電極62を介して1つのトレンチ構造54(ポリシリコン56)に電気的に接続されている。むろん、複数のカソード配線64が複数のカソードビア電極62に接続されていてもよい。つまり、複数のカソード配線64が複数のカソードビア電極62を介して1つのトレンチ構造54(ポリシリコン56)に電気的に接続されていてもよい。
【0152】
アノード配線65は、層間絶縁膜33の上で複数のアノードビア電極63に電気的に接続されている。これにより、アノード配線65は、複数のアノードビア電極63を介して1つのコンタクト領域60に電気的に接続されている。むろん、複数のアノード配線65が複数のアノードビア電極63に接続されていてもよい。つまり、複数のアノード配線65が複数のアノードビア電極63を介して1つのコンタクト領域60に電気的に接続されていてもよい。
【0153】
以下、
図9A~
図9Dを参照して、トレンチ構造54の変形例(第1~第4変形例)が示される。
図9Aは、トレンチ構造54の第1変形例を示す断面図である。
図9Bは、トレンチ構造54の第2変形例を示す断面図である。
図9Cは、トレンチ構造54の第3変形例を示す断面図である。
図9Dは、トレンチ構造54の第4変形例を示す断面図である。
【0154】
図9Aを参照して、ポリシリコン56は、トレンチ55内に埋設されたトレンチ埋設部70、および、トレンチ埋設部70から第1主面3よりも上方(チップ2とは反対側)に突出したトレンチ突出部71を有していてもよい。トレンチ突出部71は、第2埋設絶縁体52の第2突出部の厚さよりも大きくてもよいし、第2埋設絶縁体52の第2突出部の厚さよりも小さくてもよい。ポリシリコン56の上端部58は、トレンチ突出部71によって形成されている。
【0155】
高濃度不純物領域57は、トレンチ埋設部70に位置する部分、および、トレンチ突出部71に位置する部分を有していてもよい。高濃度不純物領域57のうちトレンチ突出部71内に位置する部分の断面面積は、高濃度不純物領域57のうちトレンチ埋設部70内に位置する部分の断面面積よりも小さいことが好ましい。むろん、トレンチ突出部71内に位置する部分の断面面積は、トレンチ埋設部70内に位置する部分の断面面積よりも大きくてもよい。
【0156】
前述の主面絶縁膜61は、第2半導体領域59の上からポリシリコン56の突出側壁を介してポリシリコン56のトレンチ突出部71(上端部58)を被覆している。前述の複数のカソードビア電極62は、ポリシリコン56のトレンチ突出部71(上端部58)に機械的および電気的に接続されている。
【0157】
図9Bを参照して、ポリシリコン56は、第1主面3に対してトレンチ55の底壁側に位置する上端部58を有していてもよい。つまり、ポリシリコン56は、トレンチ55の側壁とリセス空間73を区画する上端部58を有していてもよい。リセス空間73の深さは、トレンチ55の深さ範囲中間部よりも浅いことが好ましい。リセス空間73の深さは、第1主面3を基準に1μm以下であることが好ましい。
【0158】
ポリシリコン56は、トレンチ55の側壁のうち上端部58および第1主面3の間に位置する部分において、チップ2の一部(第1主面3の表層部)を露出させる側壁窓部を区画している。ポリシリコン56は、トレンチ55の壁面の全周に亘って側壁窓部を区画していることが好ましい。
【0159】
前述の第2半導体領域59は、トレンチ55の壁面の全域に沿って形成されている。つまり、第2半導体領域59は、第1主面3の表層部においてトレンチ55の側壁窓部から露出した露出部59aを有している。露出部59aは、側壁窓部の全域から露出している。露出部59aは、第1主面3からも露出している。
【0160】
前述の主面絶縁膜61は、第1主面3(第2半導体領域59)の上からリセス空間73内に入り込み、トレンチ55の側壁窓部およびポリシリコン56の上端部58を膜状に被覆している。つまり、主面絶縁膜61は、トレンチ55の側壁窓部において第2半導体領域59の露出部59aを被覆している。主面絶縁膜61の絶縁主面のうちトレンチ55内に位置する部分の外面は、第1主面3に対してトレンチ55の底壁側に位置していてもよい。むろん、主面絶縁膜61のうちポリシリコン56を被覆する部分の外面は、第1主面3よりも上方に位置していてもよい。
【0161】
主面絶縁膜61がチップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含む場合、主面絶縁膜61は側壁窓部を被覆する部分において、第2半導体領域59のn型不純物を含んでいてもよい。つまり、主面絶縁膜61は、側壁窓部においてもポリシリコン56のn型不純物を含んでいてもよい。前述の複数のカソードビア電極62は、トレンチ55の壁面から内方に間隔を空けて形成され、トレンチ55内においてポリシリコン56の上端部58に機械的および電気的に接続されている。
【0162】
図9Cを参照して、トレンチ構造54は、ポリシリコン56の上端部58を被覆するシリサイド層74を含んでいてもよい。シリサイド層74は、ポリシリコン56の上端部58と一体化していてもよい。シリサイド層74は、ポリシリコン56の上端部58を金属材料によってシリサイド化したポリサイド領域からなることが好ましい。シリサイド層74は、TiSi層、TiSi
2層、NiSi層、CoSi層、CoSi
2層、MoSi
2層およびWSi
2層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0163】
シリサイド層74は、ポリシリコン56の上端部58に沿って層状または膜状に延びている。シリサイド層74は、高濃度不純物領域57の底部から間隔を空けてポリシリコン56の上端部58側に形成されていてもよい。つまり、シリサイド層74は、ポリシリコン56のn型不純物および高濃度不純物領域57のn型不純物を含んでいてもよい。むろん、高濃度不純物領域57のほぼ全域がシリサイド層74に置換されていてもよい。
【0164】
この形態では、単一のシリサイド層74がポリシリコン56の上端部58に形成されている。シリサイド層74は、平面視においてトレンチ55に沿って第2方向Yに延びる帯状に形成されている。むろん、複数のシリサイド層74が、平面視においてトレンチ55に沿って間隔を空けて形成されていてもよい。
【0165】
シリサイド層74は、平面視および断面視においてトレンチ55の壁面から内方に間隔を空けてポリシリコン56の上端部58に形成されていてもよい。この場合、シリサイド層74は、平面視においてトレンチ55の壁面の全周から内方に間隔を空けて形成されていてもよい。つまり、シリサイド層74は、平面視においてポリシリコン56(低濃度不純物領域)の一部によって取り囲まれていてもよい。
【0166】
シリサイド層74は、第1主面3に沿う水平方向(第1方向Xおよび第2方向Y)にポリシリコン56の一部を挟んで第1主面3の表層部に対向していてもよい。むろん、シリサイド層74は、チップ2の表層部に接するようにポリシリコン56の上端部58の全域を被覆していてもよい。むろん、シリサイド層74は、第2半導体領域59の表層部の一部または全部に形成されていてもよい。この場合、シリサイド層74は、第1主面3(チップ2)を金属材料によってシリサイド化したシリサイド領域からなることが好ましい。
【0167】
前述の主面絶縁膜61は、シリサイド層74を被覆する部分を有していてもよい。むろん、シリサイド層74を露出させる主面絶縁膜61が形成されていてもよい。前述の複数のカソードビア電極62は、シリサイド層74に機械的および電気的に接続されている。つまり、複数のカソードビア電極62は、シリサイド層74を介して高濃度不純物領域57およびポリシリコン56に接続されていている。複数のカソードビア電極62は、シリサイド層74とオーミック接触を形成している。
【0168】
前述のリセス58aは、この形態では、シリサイド層74に形成されている。むろん、リセス58aは、シリサイド層74を貫通してポリシリコン56を露出させていてもよい。トレンチ構造54がシリサイド層74を有する構成は、第1~第2変形例にも適用可能である。
【0169】
具体的な図示は省略されるが、ビア電極の接続対象となる構造物にはシリサイド層74と同様のシリサイド層が形成されていてもよい。つまり、第1ゲート電極17の表層部、第1ドレイン領域19(第1ドレイン表層領域20)の表層部、第1ソース領域21(第1ソース表層領域22)の表層部、第2ゲート電極27の表層部、第2ドレイン領域29(第2ドレイン表層領域30)の表層部、第2ソース領域31(第2ソース表層領域32)の表層部、および、コンタクト領域60の表層部には、シリサイド層がそれぞれ形成されていてもよい。
【0170】
図9Dを参照して、トレンチ構造54は、必ずしも高濃度不純物領域57を含む必要はない。したがって、高濃度不純物領域57を有さないトレンチ構造54が採用されてもよい。この場合、前述の主面絶縁膜61は、トレンチ構造54を被覆する部分においてポリシリコン56を被覆する。また、前述のカソードビア電極62は、ポリシリコン56に接続される。トレンチ構造54が高濃度不純物領域57を有さない構成は、第1~第3変形例にも適用可能である。
【0171】
以上、半導体装置は、チップ2、p型(第1導電型)の第1半導体領域6、トレンチ構造54およびn型(第2導電型)の第2半導体領域59を含む。チップ2は、第1主面3を有している。第1半導体領域6は、少なくとも第1主面3の表層部に形成されている。トレンチ構造54は、トレンチ55およびn型のポリシリコン56を含む。
【0172】
トレンチ55は、第1半導体領域6内に位置するように第1主面3に形成されている。ポリシリコン56は、トレンチ55内においてチップ2に機械的および電気的に接続されている。第2半導体領域59は、トレンチ構造54の壁面に沿うように第1主面3の表層部に形成されている。第2半導体領域59は、第1半導体領域6とフォトダイオードとしてのpn接合部を形成している。
【0173】
この構成によれば、トレンチ構造54を利用してチップ2内の比較的深い領域にpn接合部を形成できる新規なレイアウトを有するフォトダイオードを有する半導体装置1Aを提供できる。
【0174】
第2半導体領域59は、ポリシリコン56のn型不純物と同一種類のn型不純物を含むことが好ましい。第2半導体領域59は、ポリシリコン56よりも低い不純物濃度を有していることが好ましい。第2半導体領域59は、ポリシリコン56を起点に漸減する濃度勾配を有していることが好ましい。
【0175】
トレンチ構造54は、ポリシリコン56内においてポリシリコン56よりも高いn型不純物濃度を有するn型の高濃度不純物領域57を含むことが好ましい。高濃度不純物領域57は、トレンチ55の底壁から間隔を空けてポリシリコン56の表層部に形成されていることが好ましい。高濃度不純物領域57は、トレンチ55の深さ範囲の中間部からトレンチ55の開口側に間隔を空けて形成されていることが好ましい。
【0176】
高濃度不純物領域57は、トレンチ55内においてポリシリコン56の内方部から周縁部に向けて漸減する濃度勾配を形成していることが好ましい。高濃度不純物領域57は、ポリシリコン56のn型不純物とは異なる種類のn型不純物を含むことが好ましい。
【0177】
半導体装置1Aは、第1主面3を被覆する層間絶縁膜33、および、層間絶縁膜33内でポリシリコン56に電気的に接続されたカソードビア電極62(ビア電極)を含むことが好ましい。カソードビア電極62は、第2半導体領域59から間隔を空けてポリシリコン56に機械的および電気的に接続されていることが好ましい。カソードビア電極62は、第2半導体領域59に対する機械的接続部を有さないことが好ましい。カソードビア電極62は、高濃度不純物領域57とオーミック接触を形成していることが好ましい。
【0178】
半導体装置1Aは、層間絶縁膜33の上でカソードビア電極62に電気的に接続されたカソード配線64を含むことが好ましい。半導体装置1Aは、トレンチ構造54から間隔を空けて第1主面3の表層部に形成されたp型のコンタクト領域60を含むことが好ましい。コンタクト領域60は、第1半導体領域6のp型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有していることが好ましい。
【0179】
コンタクト領域60は、平面視においてトレンチ構造54に沿って帯状に延びていることが好ましい。コンタクト領域60は、平面視においてトレンチ構造54を取り囲む環状に形成されていることが好ましい。半導体装置1Aは、層間絶縁膜33内でコンタクト領域60に電気的に接続されたアノードビア電極63(ビア電極)を含むことが好ましい。半導体装置1Aは、層間絶縁膜33の上でアノードビア電極63に電気的に接続されたアノード配線65を含むことが好ましい。
【0180】
半導体装置1Aは、第1主面3に設けられた受光領域9、および、受光領域9を他の領域から電気的に分離する第2領域分離構造50を含むことが好ましい。この場合、トレンチ構造54は、受光領域9に形成される。また、第2半導体領域59は、受光領域9においてトレンチ構造54の壁面に沿うように形成される。
【0181】
半導体装置1Aは、第1主面3に設けられたCMIS領域8(トランジスタ領域)を含んでいてもよい。この場合、受光領域9は、第1主面3においてCMIS領域8とは異なる領域に設けられる。CMIS領域8は、第2プレーナゲート構造25(プレーナゲート構造)、n型の第2ドレイン領域29(ドレイン領域)およびn型の第2ソース領域31(ソース領域)を含んでいてもよい。
【0182】
第2プレーナゲート構造25は、第1主面3の上に配置されている。第2ドレイン領域29は、第1主面3の表層部において第2プレーナゲート構造25に対して一方側の領域に形成されている。第2ソース領域31は、第1主面3の表層部において第2プレーナゲート構造25に対して他方側の領域に形成されている。
【0183】
ポリシリコン56は、第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)のn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有していてもよい。第2半導体領域59は、第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)のn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有していてもよい。高濃度不純物領域57は、第2ドレイン領域29(第2ソース領域31)のn型不純物濃度よりも高いn型不純物濃度を有していてもよい。
【0184】
第2プレーナゲート構造25は、第1主面3の上に配置された第2ゲート絶縁膜26(ゲート絶縁膜)、および、第2ゲート絶縁膜26の上に配置された第2ゲート電極27(ゲート電極)を含む。第2ゲート電極27は、導電性ポリシリコンを含むことが好ましい。この場合、ポリシリコン56は、第2ゲート電極27とは異なる不純物濃度を有していることが好ましい。
【0185】
図10は、第2実施形態に係る半導体装置1Bの受光領域9を示す平面図である。
図11は、
図10のXI-XI線に沿う断面図である。
図12は、
図10のXII-XII線に沿う断面図である。
図10~
図12を参照して、半導体装置1Bは、受光領域9において間隔を空けて第1主面3に配列された複数のトレンチ構造54を有している。
【0186】
複数のトレンチ構造54は、第1方向Xまたは第2方向Yに間隔を空けて配列されていてもよい。複数のトレンチ構造54は、この形態では、第2方向Yに間隔を空けて配列されている。トレンチ構造54の個数は2つ以上であればよく、特定の個数に制限されない。この形態では、一例として、4つのトレンチ構造54が設けられている。
【0187】
複数のトレンチ構造54は、等間隔に配列されていることが好ましい。むろん、複数のトレンチ構造54は不等間隔に配列されていてもよい。各トレンチ構造54は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。複数のトレンチ構造54は、平面視において多角形状、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。その他、各トレンチ構造54の構成は、第1実施形態の場合と同様である。むろん、第1~第4変形例に係る構成が、各トレンチ構造54に適用されてもよい。
【0188】
半導体装置1Bは、受光領域9において複数のトレンチ構造54の壁面に沿うようにチップ2内に形成された複数の第2半導体領域59を含む。複数の第2半導体領域59は、複数のトレンチ構造54に対して1対1の対応関係でそれぞれ形成されている。各第2半導体領域59は、断面視において対応するトレンチ構造54の側壁および底壁に沿って形成され、トレンチ構造54の開口側において第1主面3から露出している。
【0189】
複数の第2半導体領域59は、第1実施形態の場合と同様、対応するトレンチ構造54のポリシリコン56を固相拡散源として第1半導体領域6中にn型不純物(5価元素)を拡散させた領域(拡散領域)からなる。第2半導体領域59は、対応するトレンチ構造54の側壁および底壁に沿うpn接合部を形成している。
【0190】
第1主面3に対する各pn接合部の深さ位置は、各トレンチ構造54のトレンチ深さDによって調節される。複数のトレンチ構造54は、互いに等しいトレンチ深さDを有していることが好ましい。むろん、複数のトレンチ深さDは検出すべき入射光の波長帯に応じて適宜調節可能であり、複数のトレンチ構造54は互いに異なるトレンチ深さDを有していてもよい。この場合、入射光の検出感度をトレンチ構造54毎に調節できる。
【0191】
複数の第2半導体領域59は、平面視において対応するトレンチ構造54の壁面を取り囲む環状(この形態では四角環状)にそれぞれ形成されている。複数の第2半導体領域59は、この形態では、隣り合う複数のトレンチ構造54の間の領域において接続されている。これにより、第1主面3の表層部には、複数のトレンチ構造54を一括して包含する単一の第2半導体領域59が形成されている。
【0192】
各第2半導体領域59のうち対応するトレンチ構造54の側壁に沿う部分は、トレンチ構造54の側壁に沿って第1主面3に対して傾斜して延びている。トレンチ構造54の側壁が第1主面3に対して垂直に形成されている場合、各第2半導体領域59は第1主面3に対して垂直に延びていてもよい。各第2半導体領域59のうち対応するトレンチ構造54の底壁に沿う部分は、トレンチ構造54の底壁に対して平行に延びている。トレンチ構造54の底壁が円弧状に形成されている場合、各第2半導体領域59は底壁に沿って円弧状に湾曲していてもよい。
【0193】
複数の第2半導体領域59は、この形態では、複数のトレンチ構造54の下方の領域において複数の膨出部75および複数の窪み部76を形成している。複数の膨出部75は、複数のトレンチ構造54の底壁に沿う部分にそれぞれ形成されている。複数の膨出部75は、第2主面4側に向かう円弧状に膨出している。各膨出部75は、対応するトレンチ構造54のトレンチ55幅よりも幅広に形成されている。
【0194】
複数の窪み部76は、複数の膨出部75の浅部同士が接続部に形成された部分であり、複数のトレンチ構造54の間の領域にそれぞれ形成されている。複数の窪み部76は、複数の膨出部75の最深部に対して第1主面3側に位置している。むろん、複数の第2半導体領域59は、複数の膨出部75および複数の窪み部76が形成されないように接続されていてもよい。
【0195】
複数の第2半導体領域59は、対応するトレンチ構造54の壁面の全域に渡ってポリシリコン56に機械的および電気的に接続されている。第2半導体領域59は、対応するトレンチ構造54の開口端(第1主面3の表層部)においてポリシリコン56の一部を介して高濃度不純物領域57に対向する部分を有し、ポリシリコン56の一部を介して高濃度不純物領域57に電気的に接続されている。第2半導体領域59は、高濃度不純物領域57の底部に対して対応するトレンチ構造54の底壁側の領域においてポリシリコン56に接続されている。
【0196】
図13は、
図12の第3ラインL3に沿う濃度勾配を示すグラフである。
図12を参照して、第3ラインL3は、複数のトレンチ構造54(ポリシリコン56)、複数の第2半導体領域59および第1半導体領域6を通過するように、複数のトレンチ構造54の厚さ範囲中間部を水平方向(第1方向X)に横切るように設定された仮想ラインである。
【0197】
図13において、縦軸は不純物濃度[cm
-3]を示し、横軸は第2方向Yの距離[μm]を示している。ここでは、複数の第2半導体領域59の濃度勾配が具体的に示されている。各トレンチ構造54内の濃度勾配については、
図8Aおよび
図8Bに係る説明が適用される。
【0198】
図13を参照して、複数の第2半導体領域59は、対応するトレンチ構造54の壁面(ポリシリコン56の周縁部56b)を起点に漸減する濃度勾配をそれぞれ有している。複数の第2半導体領域59のn型不純物濃度は、トレンチ構造54の壁面(ポリシリコン56の周縁部56b)から単調に減少している。
【0199】
複数の第2半導体領域59のうち対応するトレンチ構造54の側壁を被覆する部分では、当該側壁を起点に水平方向に沿ってn型不純物濃度が漸減する。一方、複数の第2半導体領域59のうち対応するトレンチ構造54の底壁を被覆する部分では、当該底壁を起点にチップ2の厚さにn型不純物濃度が漸減する。
【0200】
複数の第2半導体領域59の接続部では、n型不純物濃度が減少から増加に転じる濃度勾配が形成されている。これにより、複数のトレンチ構造54の間の領域には、n型不純物濃度のピーク値Peが形成されている。ピーク値Peは、一方側のポリシリコン56から拡散されたn型不純物および他方側のポリシリコン56から拡散されたn型不純物が隣り合う複数のトレンチ構造54の間の領域で重なり合うことによって形成されている。
【0201】
ピーク値Peは、この形態では、ポリシリコン56のn型不純物濃度よりも低い。むろん、ピーク値Peは、ポリシリコン56のn型不純物濃度よりも高くなるように調節されてもよい。ピーク値Peは、複数のトレンチ構造54の間隔、ポリシリコン56のn型不純物濃度、熱拡散処理の条件等によって調整される。ピーク値Peの調節は、pn接合部(フォトダイオード)の電気的特性の調節に寄与する。
【0202】
図9および
図10を再度参照して、前述のコンタクト領域60は、この形態では、平面視において複数のトレンチ構造54および複数の第2半導体領域59を一括して取り囲む環状に形成されている。これにより、コンタクト領域60は、第1半導体領域6の一部を挟んで水平方向に複数のトレンチ構造54および複数の第2半導体領域59に対向している。
【0203】
前述の複数のカソードビア電極62は、複数のポリシリコン56にそれぞれ接続されている。この形態では、単一のカソードビア電極62が1対1の対応関係で各ポリシリコン56に接続されている。むろん、複数のカソードビア電極62が各ポリシリコン56に接続されていてもよい。
【0204】
前述のカソード配線64は、この形態では、層間絶縁膜33の上において複数のカソードビア電極62に接続されている。これにより、カソード配線64は、複数のカソードビア電極62を介して複数のトレンチ構造54(複数のポリシリコン56)に電気的に接続されている。むろん、複数のカソード配線64が、複数のカソードビア電極62に接続されていてもよい。つまり、複数のカソード配線64が、複数のカソードビア電極62を介して複数のトレンチ構造54(複数のポリシリコン56)に電気的に接続されていてもよい。
【0205】
図14は、第2実施形態に係る第2半導体領域59の変形例を示す断面図である。第2実施形態では、複数の第2半導体領域59が互いに接続された例が示された。しかし、
図14に示されるように、複数の第2半導体領域59は、隣り合う複数のトレンチ構造54の間の領域において互いに間隔を空けて形成されていてもよい。
【0206】
この場合、複数の第2半導体領域59は、隣り合う複数のトレンチ構造54の間の領域において、第1半導体領域6の一部を挟んで互いに対向する。つまり、複数の第2半導体領域59は、隣り合う複数のトレンチ構造54の間の領域においてもpn接合部を形成する。この場合、前述のピーク値Pe(
図13参照)は、複数のトレンチ構造54の間の領域に形成されない。
【0207】
図15は、第3実施形態に係る半導体装置1Cの受光領域9を示す平面図である。
図16は、
図15のXVI-XVI線に沿う断面図である。
図15および
図16を参照して、半導体装置1Cは、半導体装置1Bと同様、受光領域9において間隔を空けて第1主面3に配列された複数のトレンチ構造54を有している。複数のトレンチ構造54は、第1方向Xまたは第2方向Yに間隔を空けて配列されていてもよい。
【0208】
複数のトレンチ構造54は、この形態では、第1方向Xに間隔を空けて配列され、第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。むろん、複数のトレンチ構造54は、第2方向Yに間隔を空けて配列され、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成されていてもよい。
【0209】
トレンチ構造54の個数は2つ以上であればよく、特定の個数に制限されない。この形態では、一例として、4つのトレンチ構造54が設けられている。その他、各トレンチ構造54の構成は、第1~第2実施形態の場合と同様である。むろん、第1~第4変形例に係る構成が、各トレンチ構造54に適用されてもよい。
【0210】
半導体装置1Cは、第2実施形態の場合と同様、受光領域9において複数のトレンチ構造54の壁面に沿うようにチップ2内に形成された複数の第2半導体領域59を含む。複数の第2半導体領域59は、平面視において対応するトレンチ構造54の壁面を取り囲む環状(この形態では長方形環状)にそれぞれ形成されている。その他、各第2半導体領域59の構成は、第1~第2実施形態の場合と同様である(
図10~
図14も参照)。
【0211】
前述の複数のカソードビア電極62は、複数のポリシリコン56にそれぞれ接続されている。この形態では、各ポリシリコン56に対して複数のカソードビア電極62が1対多の対応関係でそれぞれ接続されている。むろん、各ポリシリコン56に対して単一のカソードビア電極62が接続されていてもよい。
【0212】
前述のカソード配線64は、この形態では、層間絶縁膜33の上において複数のカソードビア電極62に接続されている。これにより、カソード配線64は、複数のカソードビア電極62を介して複数のトレンチ構造54(複数のポリシリコン56)に電気的に接続されている。むろん、複数のカソード配線64が、複数のカソードビア電極62に接続されていてもよい。つまり、複数のカソード配線64が、複数のカソードビア電極62を介して複数のトレンチ構造54(複数のポリシリコン56)に電気的に接続されていてもよい。
【0213】
図17は、第4実施形態に係る半導体装置1Dの受光領域9を示す平面図である。
図18は、
図17のXVIII-XVIII線に沿う断面図である。
図19は、
図17のXIX-XIX線に沿う断面図である。半導体装置1Dは、半導体装置1Bの構成および半導体装置1Cの構成を組み合わせた形態を有している。
【0214】
図17~
図19を参照して、半導体装置1Dは、受光領域9において第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて第1主面3に配列された複数のトレンチ構造54を有している。複数のトレンチ構造54は、この形態では、平面視において第1主面3に十字路が区画されるように第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて行列状に配列されている。
【0215】
行列状のレイアウトでは、第1方向Xに配列された複数のトレンチ構造54が、平面視において第2方向Yに他の複数のトレンチ構造54に対向する。また、第2方向Yに配列された複数のトレンチ構造54が、平面視において第1方向Xに他の複数のトレンチ構造54に対向する。
【0216】
むろん、複数のトレンチ構造54は、平面視において第1主面3にT字路が区画されるように第1方向Xおよび第2方向Yに千鳥状に配列されていてもよい。千鳥状のレイアウトでは、第1方向Xに配列された複数のトレンチ構造54が、平面視において第2方向Yに他の複数のトレンチ構造54の間の領域に対向してもよい。また、第2方向Yに配列された複数のトレンチ構造54が、平面視において第1方向Xに他の複数のトレンチ構造54の間の領域に対向してもよい。
【0217】
半導体装置1Dは、第2~第3実施形態の場合と同様、受光領域9において複数のトレンチ構造54の壁面に沿うようにチップ2内に形成された複数の第2半導体領域59を含む。複数の第2半導体領域59は、平面視において対応するトレンチ構造54の壁面を取り囲む環状(この形態では長方形環状)にそれぞれ形成されている。
【0218】
つまり、複数の第2半導体領域59は、複数のトレンチ構造54の配列に対応して、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って互いに間隔を空けて、または、互いに接続されるように、第1主面3の表層部に形成される。その他、各第2半導体領域59の構成は、第1~第3実施形態の場合と同様である(
図10~
図14も参照)。
【0219】
前述の複数のカソードビア電極62は、複数のポリシリコン56にそれぞれ接続されている。この形態では、各ポリシリコン56に対して単一のカソードビア電極62が1対1の対応関係で接続されている。むろん、各ポリシリコン56に対して複数のカソードビア電極62が接続されていてもよい。
【0220】
前述のカソード配線64は、この形態では、層間絶縁膜33の上において複数のカソードビア電極62に接続されている。これにより、カソード配線64は、複数のカソードビア電極62を介して複数のトレンチ構造54(複数のポリシリコン56)に電気的に接続されている。むろん、複数のカソード配線64が、複数のカソードビア電極62に接続されていてもよい。つまり、複数のカソード配線64が、複数のカソードビア電極62を介して複数のトレンチ構造54(複数のポリシリコン56)に電気的に接続されていてもよい。
【0221】
図20は、第5実施形態に係る半導体装置1Eを示す平面図である。
図21は、
図20の半導体装置1Eの一要部を示す断面図である。
図22は、第5実施形態に係る受光領域9の変形例を示す断面図である。
【0222】
半導体装置1Eは、複数の受光領域9を含む。複数の受光領域9は、この形態では、第1主面3の周縁部において互いに隣り合うように第1主面3に設けられている。むろん、複数の受光領域9は、任意であり、第1主面3の内方部に設けられていてもよい。また、複数の受光領域9のうちの少なくとも1つは、他の受光領域9に隣り合わないように他の回路デバイス領域7の間の領域に介在されていてもよい。
【0223】
各受光領域9は、前述の第2領域分離構造50によって他の領域から電気的に分離されている。各受光領域9は、第1~第4実施形態に係る受光領域9のいずれか1つであってもよい。すなわち、複数の受光領域9は、同一の内部構造を有していてもよいし、異なる内部構造を有していてもよい。
【0224】
複数の受光領域9は、異なる波長帯の入射光を検出する領域であってもよい。各受光領域9は、紫外光、青色光、緑色光、黄色光、赤色光および赤外光から選択されるいずれか1つの波長帯を有する入射光を検出する領域であってもよい。たとえば、複数の受光領域9は、第1波長の入射光を検出する第1受光領域9A、第1波長よりも小さい第2波長の入射光を検出する第2受光領域9B、および、第2波長よりも小さい第3波長の入射光を検出する第3受光領域9Cを含んでいてもよい。
【0225】
むろん、
図22を参照して、複数の受光領域9は、互いに異なるトレンチ深さDを有するトレンチ構造54を含んでいてもよい。つまり、複数のトレンチ構造54は、互いに異なるトレンチ深さDで複数の受光領域9に形成されていてもよい。複数のトレンチ深さDは、検出すべき入射光の波長帯に応じて調節されてもよい。
【0226】
第1受光領域9Aは、比較的小さいトレンチ深さDを有するトレンチ構造54を含んでいてもよい。第2受光領域9Bは、第1受光領域9A側のトレンチ深さDよりも大きいトレンチ深さDを有するトレンチ構造54を含んでいてもよい。第3受光領域9Cは、第2受光領域9B側のトレンチ深さDよりも大きいトレンチ深さDを有するトレンチ構造54を含んでいてもよい。
【0227】
これらの構成によれば、異なるトレンチ深さDを有するトレンチ構造54に沿って異なる深さの第2半導体領域59(pn接合部)を形成できる。したがって、異なる波長帯の入射光を複数の受光領域9によって適切に検出できる。
【0228】
以下、半導体装置1A~1Eに適用される製造方法例が示される。
図23A~
図23Wは、半導体装置1A~1Eの製造方法例を示す断面図である。以下では、半導体装置1Aの製造方法が例示される。半導体装置1B~1Eは、半導体装置1Aの製造方法において各種マスクのレイアウトの変更し、トレンチ構造54の個数やレイアウトを調節することによって得られる。
【0229】
図23Aを参照して、チップ2のベースとしての板状(たとえば円板状または多角板状)のウエハ80(この形態ではシリコンウエハ)が用意される。ウエハ80は、一方側の第1ウエハ主面81および他方側の第2ウエハ主面82を有している。第1ウエハ主面81および第2ウエハ主面82は、チップ2の第1主面3および第2主面4にそれぞれ対応している。
【0230】
ウエハ80は、その内部に第1半導体領域6を有している。第1半導体領域6は、ウエハ80内において少なくとも第1ウエハ主面81の表層部に形成されている。第1半導体領域6は、第1ウエハ主面81から露出していることが好ましい。第1半導体領域6は、この形態では、ウエハ80の厚さ範囲の全域に形成され、第1ウエハ主面81および第2ウエハ主面82から露出している。
【0231】
具体的には、第1半導体領域6は、ウエハ80の全域において第1ウエハ主面81および第2ウエハ主面82に沿って延びる層状に形成されている。この形態では、ウエハ80はp型の半導体ウエハからなる単層構造を有し、第1半導体領域6はp型の半導体ウエハを利用して形成されている。
【0232】
次に、半導体装置1A(半導体装置1B~1E)にそれぞれ対応した複数のデバイス形成領域83がウエハ80(第1ウエハ主面81)に設定される。たとえば、複数のデバイス形成領域83は、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って行列状に設定される。デバイス形成領域83は、複数の回路デバイス領域7を含む。
【0233】
複数の回路デバイス領域7は、少なくとも1つのCMIS領域8および少なくとも1つの受光領域9を含む。
図23A~
図23Wでは、紙面左側にCMIS領域8が示され、紙面右側に受光領域9が示されている。CMIS領域8は、第1MIS領域8aおよび第2MIS領域8bを含む。
【0234】
次に、
図23Bを参照して、第1ウエハ主面81の上に無機マスク84が形成される。無機マスク84の形成工程は、ウエハ80とは異なる材質からなる無機マスク84を形成する工程を含む。具体的には、無機マスク84は、ウエハ80のエッチングレートとは異なるエッチングレートを有する無機物膜を第1ウエハ主面81の上に形成する工程を含む。無機マスク84の形成工程は、この形態では、第1無機絶縁膜85の形成工程および第2無機絶縁膜86の形成工程を含む。
【0235】
第1無機絶縁膜85の形成工程は、第1ウエハ主面81を被覆する第1無機絶縁膜85を形成する工程を含む。第1無機絶縁膜85は、酸化シリコン膜であってもよい。第1無機絶縁膜85は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法および/または酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。酸化処理法では、第1ウエハ主面81に対する酸化処理によって第1無機絶縁膜85が形成される。
【0236】
第2無機絶縁膜86の形成工程は、第1無機絶縁膜85を被覆する第2無機絶縁膜86を形成する工程を含む。第2無機絶縁膜86は、第1無機絶縁膜85とは異なる絶縁体を含む。第2無機絶縁膜86は、窒化シリコン膜であってもよい。第2無機絶縁膜86は、CVD法によって形成されてもよい。第2無機絶縁膜86は、第1無機絶縁膜85よりも厚く形成されることが好ましい。無機マスク84は、第1無機絶縁膜85または第2無機絶縁膜86からなる単層構造を有していてもよい。
【0237】
次に、所定パターンを有する第1マスクM1が無機マスク84の上に形成される。たとえば、第1マスクM1は、レジストマスク(有機マスク)である。第1マスクM1は、受光領域9においてトレンチ55を形成すべき領域を露出させ、それ以外の領域を被覆するレイアウトを有している。
【0238】
次に、第1マスクM1を介するエッチング法によって第2無機絶縁膜86の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。次に、第1マスクM1を介するエッチング法によって第1無機絶縁膜85の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、トレンチ55を形成すべき領域を露出させる少なくとも1つ(この形態では1つ)の開口87を有する無機マスク84が第1ウエハ主面81の上に形成される。第1マスクM1は、その後、除去される。
【0239】
次に、
図23Cを参照して、無機マスク84を介するエッチング法によって第1ウエハ主面81の不要な部分が除去される。これにより、第1ウエハ主面81のうち開口87から露出した部分に開口87のレイアウトに対応したレイアウトを有するトレンチ55が形成される。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。比較的大きいトレンチ深さDを有するトレンチ55が形成される場合、ボッシュ法によってトレンチ55が形成されてもよい。
【0240】
次に、
図23Dを参照して、トレンチ55を埋めて無機マスク84を被覆するn型のポリシリコン層88が形成される。ポリシリコン層88は、トレンチ55の壁面および無機マスク84の外面に沿って膜状に堆積される。ポリシリコン層88は、断面視においてトレンチ55の両側壁を被覆する部分がトレンチ55の内方部において一体化するまで積層される。たとえば、ポリシリコン層88は、n型不純物(5価元素)をドーパントとして使用したCVD法によって形成されてもよい。CVD法は、減圧CVD法および/またはプラズマCVD法であってもよい。
【0241】
次に、
図23Eを参照して、ポリシリコン層88のうちトレンチ55内に位置する部分をn型不純物の固相拡散源として利用して、熱拡散法によってポリシリコン層88中のn型不純物を第1半導体領域6中に拡散させる。これにより、第1半導体領域6内においてトレンチ55の壁面に沿うn型の第2半導体領域59が形成される。第2半導体領域59は、第1半導体領域6とフォトダイオードとしてのpn接合部を形成する。
【0242】
ポリシリコン層88のうちトレンチ55外に位置する部分は、無機マスク84を挟んで第1ウエハ主面81に対向している。したがって、無機マスク84は、ポリシリコン層88中のn型不純物が第1ウエハ主面81側から第1半導体領域6中に拡散することを抑制するバリア膜として機能する。
【0243】
これにより、トレンチ55の壁面に沿って層状に延びる一方で、第1ウエハ主面81の表層部において水平方向に層状に引き出された部分を有さない第2半導体領域59が形成される。この工程で形成される第2半導体領域59の構成の具体的な説明は、前述の第1~第4実施形態の通りであるので省略される。
【0244】
比較的深く、かつ、比較的広い範囲にn型不純物の拡散領域を有する第2半導体領域59の形成工程では、比較的大きい熱負荷がウエハ80に付与される。したがって、第2半導体領域59の形成工程を他の半導体領域(CMIS領域8内の構造物等)の形成工程前に実施することによって、第2半導体領域59の熱拡散工程に起因する他の半導体領域の不所望な不純物拡散が回避される。たとえば、第2半導体領域59は、ウエハ80に対して実施される半導体プロセスにおいて最初に形成される不純物領域であることが好ましい。
【0245】
一方、他の不純物領域の熱拡散工程に起因する第2半導体領域59のn型不純物の拡散範囲は、逆算によって予め調節できる。したがって、第2半導体領域59の熱拡散工程は、後の工程の熱負荷に起因する拡散範囲を考慮して、n型不純物の拡散範囲を制限する(途中で留める)工程を含むことが好ましい。この方法によれば、一連の工程を通して、第2半導体領域59を適切に形成できると同時に、他の半導体領域も適切に形成できる。
【0246】
次に、
図23Fを参照して、ポリシリコン層88のうち無機マスク84を被覆する部分が除去される。ポリシリコン層88は、研削法および/またはエッチング法によって除去されてもよい。研削法は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。ポリシリコン層88がエッチング法によって除去される場合、ポリシリコン層88は第2無機絶縁膜86をエッチングストップ層として除去される。
【0247】
次に、第2無機絶縁膜86が除去される。第2無機絶縁膜86は、研削法および/またはエッチング法によって除去されてもよい。研削法は、CMP法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。第2無機絶縁膜86がエッチング法によって除去される場合、第2無機絶縁膜86は第1無機絶縁膜85をエッチングストップ層として除去される。ポリシリコン層88が研削法によって除去される場合、第2無機絶縁膜86はポリシリコン層88に対する研削法を利用してポリシリコン層88と同時に除去されてもよい。
【0248】
次に、
図23Gを参照して、第1無機絶縁膜85が除去される。第1無機絶縁膜85は、研削法および/またはエッチング法によって除去されてもよい。研削法は、CMP法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。第1無機絶縁膜85がエッチング法によって除去される場合、第1無機絶縁膜85はウエハ80をエッチングストップ層として除去される。これにより、トレンチ55内に埋設されたポリシリコン56を有するトレンチ構造54が形成される。
【0249】
第2無機絶縁膜86が研削法によって除去される場合、第1無機絶縁膜85は第2無機絶縁膜86に対する研削法を利用してポリシリコン層88と同時に除去されてもよい。ポリシリコン層88が研削法によって除去される場合、第2無機絶縁膜86は、ポリシリコン層88に対する研削法を利用してポリシリコン層88と同時に除去されてもよい。
【0250】
たとえば、前述の
図7の形態は、第1ウエハ主面81、無機マスク84(第2無機絶縁膜86)およびポリシリコン層88に対して研削法を実施することによって得られる。たとえば、前述の
図9Aの形態は、開口87内にポリシリコン層88の一部が残存している状態においてエッチング法によって無機マスク84(第1無機絶縁膜85および第2無機絶縁膜86を含む積層膜、または、第2無機絶縁膜86からなる単層膜)を除去することによって得られる。たとえば、前述の
図9Bの形態は、ポリシリコン層88のエッチング面が第1ウエハ主面81よりもトレンチ55の底壁側に位置するまでポリシリコン層88をエッチング法によって除去することによって得られる。
【0251】
前述の第2半導体領域59の拡散工程は、無機マスク84の除去工程(
図23G参照)の後(つまり、トレンチ構造54の形成後)に実施されてもよい。むろん、前述の第2半導体領域59の拡散工程は、無機マスク84の除去工程の途中に実施されてもよい。つまり、前述の第2半導体領域59の拡散工程は、第1無機絶縁膜85の除去工程(
図23F参照)および第2無機絶縁膜86の除去工程(
図23G参照)の間に実施されてもよい。
【0252】
次に、
図23Hを参照して、所定パターンを有する第2マスクM2が第1ウエハ主面81の上に形成される。たとえば、第2マスクM2は、ハードマスク(無機マスク)である。第2マスクM2は、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。第2マスクM2は、受光領域9において第1分離トレンチ11および第2分離トレンチ51を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆するレイアウトを有している。
【0253】
次に、第2マスクM2を介するエッチング法によって第1ウエハ主面81の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、第1分離トレンチ11および第2分離トレンチ51が第1ウエハ主面81に形成される。
【0254】
次に、
図23Iを参照して、第1分離トレンチ11および第2分離トレンチ51を埋めて第1ウエハ主面81を被覆するベース絶縁膜89が形成される。ベース絶縁膜89は、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。ベース絶縁膜89は、第2マスクM2とは異なる絶縁体を含むことが好ましい。たとえば、ベース絶縁膜89は、CVD法によって形成されてもよい。
【0255】
次に、
図23Jを参照して、ベース絶縁膜89のうち第2マスクM2を被覆する部分が除去される。ベース絶縁膜89は、研削法および/またはエッチング法によって除去されてもよい。研削法は、CMP法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。
【0256】
次に、第2マスクM2が除去される。第2マスクM2は、研削法および/またはエッチング法によって除去されてもよい。研削法は、CMP法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、第1領域分離構造10および第2領域分離構造50が形成される。
【0257】
ベース絶縁膜89が研削法によって除去される場合、第2マスクM2はベース絶縁膜89に対する研削法を利用してベース絶縁膜89と同時に除去されてもよい。この場合、突出部を有さない第1埋設絶縁体12および突出部を有さない第2埋設絶縁体52が形成される。
【0258】
つまり、第1埋設絶縁体12の端部は第1ウエハ主面81(ポリシリコン56の上端部58)に対して面一に形成され、第2埋設絶縁体52の端部は第1ウエハ主面81(ポリシリコン56の上端部58)に対して面一に形成される。第1埋設絶縁体12の端部は第1ウエハ主面81と1つの研削面を形成し、第2埋設絶縁体52の端部は第1ウエハ主面81と1つの研削面を形成する。
【0259】
次に、
図23Kを参照して、第1MIS領域8aにおいて第1ゲート絶縁膜16が第1ウエハ主面81の上に形成される。第1ゲート絶縁膜16は、酸化シリコン膜であってもよい。この場合、第1ゲート絶縁膜16の形成工程は、第1ウエハ主面81に対する酸化処理工程(たとえば熱酸化処理工程)を含んでいてもよい。むろん、第1ゲート絶縁膜16は、CVD法によって形成されてもよい。
【0260】
また、第2MIS領域8bにおいて第2ゲート絶縁膜26が第1ウエハ主面81の上に形成される。第2ゲート絶縁膜26は、酸化シリコン膜であってもよい。この場合、第2ゲート絶縁膜26の形成工程は、第1ウエハ主面81に対する酸化処理工程(たとえば熱酸化処理工程)を含んでいてもよい。むろん、第2ゲート絶縁膜26は、CVD法によって形成されてもよい。
【0261】
また、受光領域9において主面絶縁膜61が第1ウエハ主面81の上に形成される。主面絶縁膜61は、酸化シリコン膜であってもよい。この場合、主面絶縁膜61の形成工程は、第1ウエハ主面81に対する酸化処理工程(たとえば熱酸化処理工程)を含んでいてもよい。むろん、主面絶縁膜61は、CVD法によって形成されてもよい。
【0262】
酸化処理工程が実施される場合、主面絶縁膜61は、第1ウエハ主面81を被覆する部分においてウエハ80の酸化物からなる酸化シリコン膜を含み、ポリシリコン56を被覆する部分においてポリシリコン56の酸化物からなる酸化シリコン膜を含む。第1ゲート絶縁膜16の形成工程、第2ゲート絶縁膜26の形成工程および主面絶縁膜61の形成工程は同時に実施されてもよい。むろん、第1ゲート絶縁膜16の形成工程、第2ゲート絶縁膜26の形成工程および主面絶縁膜61の形成工程は別々に実施されてもよい。
【0263】
次に、
図23Lを参照して、所定パターンを有する第3マスクM3が第1ウエハ主面81の上に形成される。第3マスクM3は、イオン注入マスクとしてのレジストマスク(有機マスク)である。第3マスクM3は、第1MIS領域8aの第1ウエハ主面81を露出させ、それ以外の領域を被覆している。
【0264】
次に、第3マスクM3を介するイオン注入法によって、第1MIS領域8aの第1ウエハ主面81の表層部にn型不純物が導入される。その後、第3マスクM3が除去され、n型不純物の熱拡散処理を経て第1ウェル領域14が形成される。第1ウェル領域14の拡散工程は、ポリシリコン56のn型不純物の拡散工程および第2半導体領域59のn型不純物の拡散工程を含んでいてもよい。
【0265】
次に、
図23Mを参照して、所定パターンを有する第4マスクM4が第1ウエハ主面81の上に形成される。第4マスクM4は、イオン注入マスクとしてのレジストマスク(有機マスク)である。第4マスクM4は、第2MIS領域8bの第1ウエハ主面81を露出させ、それ以外の領域を被覆している。
【0266】
次に、第4マスクM4を介するイオン注入法によって、第2MIS領域8bの第1ウエハ主面81の表層部にp型不純物が導入される。その後、第4マスクM4が除去され、p型不純物の熱拡散処理を経て第2ウェル領域24が形成される。第2ウェル領域24の拡散工程は、ポリシリコン56のn型不純物の拡散工程および第2半導体領域59のn型不純物の拡散工程を含んでいてもよい。第2ウェル領域24の拡散工程は、第1ウェル領域14の拡散工程と同時に実施されてもよい。第2ウェル領域24のp型不純物導入工程は、第1ウェル領域14のn型不純物導入工程の前に実施されてもよい。
【0267】
次に、
図23Nを参照して、第1ゲート電極17および第2ゲート電極27のベースとなるゲート電極層90が第1ウエハ主面81の上に形成される。ゲート電極層90は、ポリシリコンを含み、CVD法によって形成されてもよい。
【0268】
次に、所定パターンを有する第5マスクM5がゲート電極層90の上に形成される。第5マスクM5は、第1ゲート電極17および第2ゲート電極27を形成すべき領域を被覆し、それら以外の領域露出させている。次に、第5マスクM5を介するエッチング法によってゲート電極層90の不要な部分が除去される。これにより、第1ゲート電極17および第2ゲート電極27が形成される。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。
【0269】
次に、
図23Oを参照して、所定パターンを有する第6マスクM6が第1ウエハ主面81の上に形成される。第6マスクM6は、イオン注入マスクとしてのレジストマスク(有機マスク)である。第6マスクM6は、第1MIS領域8aの第1ウエハ主面81を露出させ、それ以外の領域を被覆している。第6マスクM6は、第1MIS領域8aにおいて第1ゲート電極17も露出させている。
【0270】
次に、第6マスクM6を介するイオン注入法によって、第1MIS領域8aの第1ウエハ主面81の表層部にp型不純物が導入される。具体的には、p型不純物は、第1ウェル領域14の表層部および第1ゲート電極17に導入される。p型不純物は、第1ゲート電極17をマスク(遮蔽物)として第1ゲート電極17の側壁に対して自己整合的に導入される。
【0271】
その後、第6マスクM6が除去され、p型不純物の熱拡散処理を経て第1ドレイン表層領域20および第1ソース表層領域22が形成される。この拡散工程は、ポリシリコン56のn型不純物の拡散工程および第2半導体領域59のn型不純物の拡散工程を含んでいてもよい。
【0272】
次に、
図23Pを参照して、所定パターンを有する第7マスクM7が第1ウエハ主面81の上に形成される。第7マスクM7は、イオン注入マスクとしてのレジストマスク(有機マスク)である。第7マスクM7は、第2MIS領域8bの第1ウエハ主面81を露出させ、それ以外の領域を被覆している。第2MIS領域8bは、第1MIS領域8aにおいて第2ゲート電極27も露出させている。
【0273】
次に、第7マスクM7を介するイオン注入法によって、第2MIS領域8bの第1ウエハ主面81の表層部にn型不純物が導入される。具体的には、n型不純物は、第2ウェル領域24の表層部および第2ゲート電極27に導入される。n型不純物は、第2ゲート電極27をマスク(遮蔽物)として第2ゲート電極27の側壁に対して自己整合的に導入される。
【0274】
その後、第7マスクM7が除去され、n型不純物の熱拡散処理を経て第2ドレイン表層領域30および第2ソース表層領域32が形成される。第2ドレイン表層領域30(第2ソース表層領域32)の拡散工程は、ポリシリコン56のn型不純物の拡散工程および第2半導体領域59のn型不純物の拡散工程を含んでいてもよい。
【0275】
第2ドレイン表層領域30(第2ソース表層領域32)の拡散工程は、第1ドレイン表層領域20(第1ソース表層領域22)の拡散工程と同時に実施されてもよい。第2ドレイン表層領域30(第2ソース表層領域32)のn型不純物導入工程は、第1ドレイン表層領域20(第1ソース表層領域22)のp型不純物導入工程の前に実施されてもよい。
【0276】
次に、
図23Qを参照して、第1側壁絶縁膜18および第2側壁絶縁膜28が形成される。この工程では、第1側壁絶縁膜18および第2側壁絶縁膜28のベースとなる絶縁膜(図示せず)が第1ゲート電極17および第2ゲート電極27を被覆するように第1ウエハ主面81の上に形成される。絶縁膜は、CVD法によって形成されてもよい。
【0277】
次に、第1ゲート電極17の側壁および第2ゲート電極27の側壁に絶縁膜が部分的に残存するように、絶縁膜の不要な部分がエッチング法によって除去される。たとえば、エッチング法は、異方性エッチング法(ドライエッチング法)であってもよい。これにより、第1側壁絶縁膜18および第2側壁絶縁膜28が形成される。
【0278】
次に、
図23Rを参照して、所定パターンを有する第8マスクM8が第1ウエハ主面81の上に形成される。第8マスクM8は、イオン注入マスクとしてのレジストマスク(有機マスク)である。第8マスクM8は、第1MIS領域8aおよび受光領域9において、p型の第1ドレイン領域19、p型の第1ソース領域21およびp型のコンタクト領域60を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。第8マスクM8は、第1MIS領域8aにおいて第1ゲート電極17および第1側壁絶縁膜18も露出させている。
【0279】
次に、第8マスクM8を介するイオン注入法によって、第1MIS領域8aの第1ウエハ主面81の表層部にp型不純物が導入され、受光領域9の第1ウエハ主面81の表層部にp型不純物が導入される。第1MIS領域8aでは、p型不純物は第1ウェル領域14の表層部および第1ゲート電極17に導入される。
【0280】
p型不純物は、第1側壁絶縁膜18をマスク(遮蔽物)として第1側壁絶縁膜18に対して自己整合的に導入される。受光領域9では、p型不純物は、第1ウエハ主面81の表層部において第2領域分離構造50およびトレンチ構造54(第2半導体領域59)から間隔を空けた位置に導入される。
【0281】
その後、第8マスクM8が除去され、p型不純物の熱拡散処理を経て第1ドレイン領域19、第1ソース領域21およびコンタクト領域60が形成される。この拡散工程は、ポリシリコン56のn型不純物の拡散工程および第2半導体領域59のn型不純物の拡散工程を含んでいてもよい。第1ドレイン領域19の形成工程、第1ソース領域21の形成工程およびコンタクト領域60の形成工程は、任意の順序で別々に実施されてもよい。
【0282】
次に、
図23Sを参照して、所定パターンを有する第9マスクM9が第1ウエハ主面81の上に形成される。第9マスクM9は、イオン注入マスクとしてのレジストマスク(有機マスク)である。第9マスクM9は、第2MIS領域8bおよび受光領域9において、n型の第2ドレイン領域29、n型の第2ソース領域31およびn型の高濃度不純物領域57を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域被覆している。第9マスクM9は、第2MIS領域8bにおいて第2ゲート電極27および第2側壁絶縁膜28も露出させている。第9マスクM9は、受光領域9においてトレンチ構造54(ポリシリコン56)を露出させている。
【0283】
次に、第9マスクM9を介するイオン注入法によって、第2MIS領域8bの第1ウエハ主面81の表層部にn型不純物が導入され、受光領域9のポリシリコン56内にn型不純物が導入される。第2MIS領域8bにおいて、n型不純物は第2ウェル領域24の表層部および第2ゲート電極27に導入される。n型不純物は、第2側壁絶縁膜28をマスク(遮蔽物)として第2側壁絶縁膜28に対して自己整合的に導入される。受光領域9では、n型不純物はポリシリコン56の上端部58(表層部)に導入される。
【0284】
その後、第9マスクM9が除去され、n型不純物の熱拡散処理を経て第2ドレイン領域29、第2ソース領域31および高濃度不純物領域57が形成される。この拡散工程は、ポリシリコン56のn型不純物の拡散工程および第2半導体領域59のn型不純物の拡散工程を含んでいてもよい。
【0285】
第2ドレイン領域29等の拡散工程は、第1ドレイン領域19等の拡散工程と同時に実施されてもよい。第2ドレイン領域29等のn型不純物導入工程は、第1ドレイン領域19等のp型不純物導入工程の前に実施されてもよい。第2ドレイン領域29の形成工程、第2ソース領域31の形成工程および高濃度不純物領域57の形成工程は、任意の順序で別々に実施されてもよい。たとえば、前述の
図9Dの形態は、ポリシリコン層88(ポリシリコン56)に対するn型不純物の導入工程を省略することによって得られる。
【0286】
次に、
図23Tを参照して、CMIS領域8および受光領域9を被覆する層間絶縁膜33が第1主面3の上に形成される。層間絶縁膜33は、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。層間絶縁膜33は、CVD法によって形成されてもよい。
【0287】
次に、
図23Uを参照して、所定パターンを有する第10マスクM10が層間絶縁膜33の上に形成される。たとえば、第10マスクM10は、レジストマスク(有機マスク)である。第10マスクM10は、複数のビア開口を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。次に、第10マスクM10を介するエッチング法によって層間絶縁膜33の不要な部分が除去される。これにより、複数のビア開口が層間絶縁膜33に形成される。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。
【0288】
次に、
図23Vを参照して、複数のビア開口を埋めて層間絶縁膜33を被覆するベース電極91が形成される。n型のベース電極91は、スパッタ法および/またはCVD法によって形成されてもよい。次に、エッチング法によってベース電極91のうち層間絶縁膜33の上に位置する部分が除去される。これにより、第1ゲートビア電極34、第1ドレインビア電極35、第1ソースビア電極36、第2ゲートビア電極40、第2ドレインビア電極41、第2ソースビア電極42、カソードビア電極62およびアノードビア電極63が形成される。
【0289】
たとえば、ベース電極91の形成工程に先立って、または、ベース電極91の形成工程を利用して、シリサイド層74の形成工程を実施してもよい(
図9C参照)。この場合、複数のビア開口内において接続対象(第1ウエハ主面81、第1ゲート電極17、第2ゲート電極27、ポリシリコン56等)を被覆する金属膜が形成される。次に、金属膜が熱処理法によって接続対象とシリサイド化される。熱処理法は、RTA法(Rapid Thermal Anneal method)法であってもよい。金属膜は、ビア電極の一部として残存されてもよいし、エッチング法等によって除去されてもよい。
【0290】
次に、
図23Wを参照して、第1ゲート配線37、第1ドレイン配線38、第1ソース配線39、第2ゲート配線43、第2ドレイン配線44、第2ソース配線45、カソード配線64およびアノード配線65が形成される。この工程は、これらの配線のベースとなる電極層を層間絶縁膜33の上に形成する工程、および、所定パターンを有するマスクを介するエッチング法によって電極層の不要な部分を除去する工程を含む。その後、ウエハ80がデバイス形成領域83に沿って切断され、1枚のウエハ80から複数の半導体装置1Aが取得される。
【0291】
【0292】
図24Aを参照して、複数のトレンチ55を形成する場合、
図23Bの工程に係る第1マスクM1のレイアウトが変更され、複数のトレンチ55を形成すべき領域を露出させる複数の開口87を有する無機マスク84が形成される。
【0293】
次に、
図24Bを参照して、無機マスク84を介するエッチング法によって第1ウエハ主面81の不要な部分が除去され、複数のトレンチ55が第1ウエハ主面81に形成される(
図23C参照)。ほぼ等しいトレンチ深さDを有する複数のトレンチ構造54を形成する場合は、この工程の後に、
図23D以降の工程を実施すればよい。
【0294】
次に、
図24Cを参照して、第1トレンチマスクTM1が無機マスク84の上に形成される。第1トレンチマスクTM1は、トレンチ深さDを増加させるべき任意のトレンチ55を露出させ、トレンチ深さDを維持すべき任意のトレンチ55を被覆している。次に、第1トレンチマスクTM1を介するエッチング法によって、エッチング対象のトレンチ55が更に掘り下げられる。第1トレンチマスクTM1は、その後、除去される。
【0295】
次に、
図24Dを参照して、異なるトレンチ深さDを有するトレンチ55がさらに形成される場合、第2トレンチマスクTM2が無機マスク84の上に形成される。第2トレンチマスクTM2は、トレンチ深さDを増加させるべき任意のトレンチ55を露出させ、トレンチ深さDを維持すべき任意のトレンチ55を被覆している。
【0296】
次に、第2トレンチマスクTM2を介するエッチング法によって、エッチング対象のトレンチ55が更に掘り下げられる。第2トレンチマスクTM2は、その後、除去される。このようにして、異なるトレンチ深さDを有する複数のトレンチ55が形成される。この工程の後、
図23D以降の工程が実施される。
【0297】
以下、半導体装置1A~1Eに適用される変形例が示される。
図25は、チップ2の変形例を示す断面図である。前述の各実施形態では、第1半導体領域6(半導体基板)からなる単層構造を有するチップ2が示された。しかし、
図25に示されるように、チップ2は、半導体基板95(Si基板)およびエピタキシャル層96(Siエピタキシャル層)を有する積層構造を有していてもよい。
【0298】
半導体基板95の導電型は任意である。半導体基板95の導電型はn型であってもよいし、p型であってもよい。エピタキシャル層96の導電型は任意である。エピタキシャル層96の導電型はn型であってもよいし、p型であってもよい。エピタキシャル層96の厚さは、半導体基板95の厚さ未満であることが好ましい。
【0299】
たとえば、n型のエピタキシャル層96が採用される場合、p型の第1半導体領域6はn型のエピタキシャル層96にp型不純物を導入することによって形成されてもよい。たとえば、p型のエピタキシャル層96が採用される場合、p型の第1半導体領域6はp型のエピタキシャル層96によって形成されてもよい。
【0300】
つまり、第1半導体領域6は、第2主面4から第1主面3側に間隔を空けて第1主面3の表層部に形成されていてもよい。また、第1半導体領域6は、第1主面3の表層部において第1主面3に沿って延びる層状に形成され、第1主面3および第1~第4側面5A~5Dから露出していてもよい。
【0301】
p型の半導体基板95およびp型のエピタキシャル層96が採用される場合、第1半導体領域6は、p型の半導体基板95およびp型のエピタキシャル層96の双方によって形成されていると見做されてもよいし、p型のエピタキシャル層96の単体によって形成されていると見做されてもよい。
【0302】
p型の半導体基板95およびp型のエピタキシャル層96が採用される場合、トレンチ構造54は半導体基板95から間隔を空けてエピタキシャル層96内に形成されていてもよい。むろん、p型の半導体基板95およびp型のエピタキシャル層96が採用される場合、トレンチ構造54は半導体基板95およびエピタキシャル層96の境界部を横切って形成されていてもよい。
【0303】
つまり、トレンチ構造54は、半導体基板95内に位置する部分、および、エピタキシャル層96内に位置する部分を有していてもよい。この場合、第2半導体領域59は、半導体基板95内に位置する部分、および、エピタキシャル層96内に位置する部分を有していてもよい。
【0304】
変形例に係るチップ2では、エピタキシャル層96がデバイス形成層として設けられ、CMIS領域8の構造物および受光領域9の構造物がエピタキシャル層96にそれぞれ形成される。このような構成は、前述のウエハ80の用意工程(
図23A参照)において、半導体基板95およびエピタキシャル層96を含む積層構造を有するウエハ80を用意した後、
図23B以降の工程を実施することによって得られる。
【0305】
図26は、カソードビア電極62の第1変形例を示す平面図である。
図27は、カソードビア電極62の第2変形例を示す平面図である。前述の各実施形態では、カソードビア電極62が第2半導体領域59から間隔を空けてポリシリコン56に接続されていた。
【0306】
しかし、
図26を参照して、カソードビア電極62は、トレンチ55の側壁を横切ってポリシリコン56および第2半導体領域59の双方に機械的および電気的に接続されていてもよい。また、
図27を参照して、カソードビア電極62は、ポリシリコン56から間隔を空けて第2半導体領域59に機械的および電気的に接続されていてもよい。つまり、ポリシリコン56に対する機械的接続部を有さないカソードビア電極62が採用されてもよい。
【0307】
前述の実施形態は、さらに他の形態で実施できる。たとえば、前述の各実施形態では、第1主面3に複数の回路デバイス領域7が設けられていた。しかし、単一の受光領域9または複数の受光領域9のみが第1主面3に設けられ、他の回路デバイス領域7を有さない半導体装置1A~1Eが採用されてもよい。
【0308】
前述の実施形態では、第1領域分離構造10がトレンチ分離構造からなる例が示された。しかし、第1領域分離構造10は、第1主面3の選択酸化によって形成された第1フィールド酸化膜であってもよい。第1フィールド酸化膜は、「第1LOCOS(Local Oxidation of Silicon)膜」と称されてもよい。
【0309】
前述の実施形態では、第2領域分離構造50がトレンチ分離構造からなる例が示された。しかし、第2領域分離構造50は、第1主面3の選択酸化によって形成された第2フィールド酸化膜であってもよい。第2フィールド酸化膜は、「第2LOCOS膜」と称されてもよい。
【0310】
前述の実施形態では、第2領域分離構造50がトレンチ構造54よりも浅いトレンチ分離構造からなる例が示された。しかし、第2領域分離構造50は、トレンチ構造54のトレンチ深さD以上の深さを有するディープトレンチ分離構造からなっていてもよい。この場合、第2領域分離構造50は、絶縁膜を挟んで第2分離トレンチ51に埋設されたポリシリコンを含んでいてもよい。
【0311】
前述の実施形態では、第1方向Xおよび第2方向Yが第1~第4側面5A~5Dの延在方向によって規定された。しかし、第1方向Xおよび第2方向Yは、互いに交差(具体的には直交)する関係を維持する限り、任意の方向であってもよい。たとえば、第1方向Xは第3側面5C(第4側面5D)の延在方向であり、第2方向Yは第1側面5A(第2側面5B)の延在方向であってもよい。また、第1方向Xは第1~第4側面5A~5Dに交差する方向であり、第2方向Yは第1~第4側面5A~5Dに交差する方向であってもよい。
【0312】
以下、この明細書および添付図面から抽出される特徴例が示される。以下、括弧内の英数字は前述の実施形態における対応構成要素等を表すが、各項目(Clause)の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下の項目に係る「半導体装置」は、必要に応じて「フォトダイオード装置」、「半導体受光装置」、「集積回路装置」等に置き換えられてもよい。
【0313】
[A1]主面(3)を有するチップ(2)と、少なくとも前記主面(3)の表層部に形成された第1導電型(p型)の第1半導体領域(6)と、前記第1半導体領域(6)内に位置するように前記主面(3)に形成されたトレンチ(55)、および、前記トレンチ(55)内において前記チップ(2)に機械的および電気的に接続された第2導電型(n型)のポリシリコン(56)を含むトレンチ構造(54)と、前記トレンチ構造(54)の壁面に沿うように前記第1半導体領域(6)内に形成され、前記第1半導体領域(6)とフォトダイオードとしてのpn接合部を形成する第2導電型(n型)の第2半導体領域(59)と、を含む、半導体装置(1A~1E)。
【0314】
[A2]前記第2半導体領域(59)は、前記ポリシリコン(56)の第2導電型不純物と同一種類の第2導電型不純物を含む、A1に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0315】
[A3]前記第2半導体領域(59)は、前記ポリシリコン(56)よりも低い不純物濃度を有している、A1またはA2に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0316】
[A4]前記第2半導体領域(59)は、前記ポリシリコン(56)を起点に漸減する濃度勾配を有している、A1~A3のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0317】
[A5]前記トレンチ構造(54)は、前記ポリシリコン(56)内において前記ポリシリコン(56)よりも高い不純物濃度を有する第2導電型(n型)の不純物領域(57)を含む、A1~A4のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0318】
[A6]前記不純物領域(57)は、前記トレンチ(55)の底壁から間隔を空けて前記ポリシリコン(56)の表層部に形成されている、A5に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0319】
[A7]前記不純物領域(57)は、前記トレンチ(55)の深さ範囲の中間部から前記トレンチ(55)の開口側に間隔を空けて形成されている、A6に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0320】
[A8]前記不純物領域(57)は、前記トレンチ(55)内において前記ポリシリコン(56)の内方部から周縁部に向けて漸減する濃度勾配を形成している、A5~A7のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0321】
[A9]前記不純物領域(57)は、前記ポリシリコン(56)の第2導電型不純物とは異なる種類の第2導電型不純物を含む、A5~A8のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0322】
[A10]前記主面(3)を被覆する絶縁膜(33)と、前記絶縁膜(33)内で前記ポリシリコン(56)に電気的に接続されたビア電極(62)と、をさらに含む、A1~A4のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0323】
[A11]前記ビア電極(62)は、前記第2半導体領域(59)から間隔を空けて前記ポリシリコン(56)に機械的および電気的に接続されている、A10に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0324】
[A12]前記ビア電極(62)は、前記第2半導体領域(59)に対する機械的接続部を有さない、A10またはA11に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0325】
[A13]前記トレンチ構造(54)は、前記ポリシリコン(56)内において前記ポリシリコン(56)よりも高い不純物濃度を有する第2導電型(n型)の不純物領域(57)を含む、A10~A12のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0326】
[A14]前記不純物領域(57)は、前記ポリシリコン(56)の表層部に形成され、前記ビア電極(62)は、前記不純物領域(57)とオーミック接触を形成している、A13に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0327】
[A15]前記絶縁膜(33)の上で前記ビア電極(62)に電気的に接続された配線(64)をさらに含む、A10~A14のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0328】
[A16]前記トレンチ構造(54)から間隔を空けて前記第1半導体領域(6)の表層部に形成された第2導電型(n型)のコンタクト領域(60)をさらに含む、A1~A15のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0329】
[A17]前記コンタクト領域(60)は、平面視において前記トレンチ構造(54)に沿って帯状に延びている、A16に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0330】
[A18]前記コンタクト領域(60)は、平面視において前記トレンチ構造(54)を取り囲む環状に形成されている、A16または17に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0331】
[A19]前記主面(3)に設けられた受光領域(9、9A~9C)と、前記受光領域(9、9A~9C)を他の領域から電気的に分離する領域分離構造(50)と、をさらに含み、前記トレンチ構造(54)が前記受光領域(9、9A~9C)に形成され、前記第2半導体領域(59)が前記受光領域(9、9A~9C)において前記トレンチ構造(54)の壁面に沿うように形成されている、A1~A18のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0332】
[A20]前記主面(3)に設けられた複数の受光領域(9、9A~9C)をさらに含み、前記トレンチ構造(54)が各前記受光領域(9、9A~9C)に形成され、前記第2半導体領域(59)が各前記受光領域(9、9A~9C)において前記トレンチ構造(54)の壁面に沿うように形成されている、A1~A18のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0333】
[A21]前記主面(3)に設けられたトランジスタ領域(8、8a、8b)と、前記主面(3)に設けられた受光領域(9、9A~9C)と、をさらに含み、前記トレンチ構造(54)が前記受光領域(9、9A~9C)に形成され、前記第2半導体領域(59)が前記受光領域(9、9A~9C)において前記トレンチ構造(54)の壁面に沿うように形成されている、A1~A18のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0334】
[A22]前記トランジスタ領域(8、8a、8b)の前記主面(3)の上に配置されたプレーナゲート構造(25)と、前記トランジスタ領域(8、8a、8b)の前記主面(3)の表層部において前記プレーナゲート構造(25)に対して一方側の領域に形成され第2導電型(n型)のドレイン領域(21)と、前記トランジスタ領域(8、8a、8b)の前記主面(3)の表層部において前記プレーナゲート構造(25)に対して他方側の領域に形成され第2導電型(n型)のソース領域(31)と、をさらに含む、A21に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0335】
[A23]前記ポリシリコン(56)は、前記ドレイン領域(29)よりも低い第2導電型不純物濃度を有している、A22に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0336】
[A24]前記第2半導体領域59は、前記ドレイン領域(29)よりも低い第2導電型不純物濃度を有している、A22またはA23に記載の半導体装置(1A~1E)。
【0337】
[A25]前記第2半導体領域(59)は、前記トレンチ構造(54)の壁面に倣って形成され、前記主面(3)の表層部において前記主面(3)に沿う水平方向に層状に引き出された部分を有していない、A1~A24のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)。
【0338】
[B1]主面(81)を有し、少なくとも前記主面(81)の表層部において第1導電型(p型)の第1半導体領域(6)を有するウエハ(80)を用意する工程と、前記第1半導体領域(6)内に位置するように前記主面(81)にトレンチ(55)を形成する工程と、前記ウエハ(80)に機械的および電気的に接続されるように前記トレンチ(55)内に第2導電型(n型)のポリシリコン(56、88)を埋設する工程と、前記ポリシリコン(56、88)を個相拡散源として前記第1半導体領域(6)内に第2導電型不純物を拡散させ、前記第1半導体領域(6)とフォトダイオードとしてのpn接合部を形成する第2導電型(n型)の第2半導体領域(59)を形成する工程と、を含む、半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0339】
[B2]前記第2半導体領域(59)の形成工程後、前記ポリシリコン(56、88)は前記第2半導体領域(59)に対する極性電極として残存される、B1に記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0340】
[B3]前記第2半導体領域(59)の形成工程は、前記ポリシリコン(56、88)の第2導電型不純物と同一種類の第2導電型不純物を含む前記第2半導体領域(59)を形成する工程を含む、B1またはB2に記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0341】
[B4]前記第2半導体領域(59)の形成工程は、前記ポリシリコン(56、88)よりも低い不純物濃度を有する前記第2半導体領域(59)を形成する工程を含む、B1~B3のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0342】
[B5]前記第2半導体領域(59)の形成工程は、前記ポリシリコン(56、88)を起点に漸減する濃度勾配を有する前記第2半導体領域(59)を形成する工程を含む、B1~B4のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0343】
[B6]前記第2半導体領域(59)の形成工程後、前記ポリシリコン(56、88)内に第2導電型不純物を導入し、前記ポリシリコン(56、88)内に第2導電型(n型)の不純物領域(57)を形成する工程をさらに含む、B1~B5のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0344】
[B7]前記不純物領域(57)の形成工程は、前記トレンチ(55)の底壁から間隔を空けて前記ポリシリコン(56、88)の表層部に前記不純物領域(57)を形成する工程を含む、B6に記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0345】
[B8]前記不純物領域(57)の形成工程は、前記トレンチ(55)の深さ範囲の中間部から前記トレンチ(55)の開口側に間隔を空けた位置に前記不純物領域(57)を形成する工程を含む、B7に記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0346】
[B9]前記不純物領域(57)の形成工程は、前記ポリシリコン(56、88)の内方部から周縁部に向けて漸減する濃度勾配を形成する前記不純物領域(57)を形成する工程を含む、B6~B8のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0347】
[B10]前記不純物領域(57)の形成工程は、前記ポリシリコン(56、88)の第2導電型不純物とは異なる種類の第2導電型不純物を前記ポリシリコン(56、88)内に導入する工程を含む、B6~B9のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0348】
[B11]前記主面(81)を被覆する絶縁膜(33)を形成する工程と、前記ポリシリコン(56、88)に電気的に接続されるように前記絶縁膜(33)内にビア電極(62)を埋設する工程と、をさらに含む、B1~B5のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0349】
[B12]前記ビア電極(62)の形成工程は、前記第2半導体領域(59)から間隔を空けて前記ポリシリコン(56、88)に機械的および電気的に接続される前記ビア電極(62)を形成する工程を含む、B11に記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0350】
[B13]前記ビア電極(62)の形成工程は、前記第2半導体領域(59)に対する機械的接続部を有さない前記ビア電極(62)を形成する工程を含む、B11またはB12に記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0351】
[B14]前記第2半導体領域(59)の形成工程後、前記絶縁膜(33)の形成工程前に、前記ポリシリコン(56、88)内に第2導電型不純物を導入し、前記ポリシリコン(56、88)内に第2導電型(n型)の不純物領域(57)を形成する工程をさらに含む、B11~B13のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0352】
[B15]前記不純物領域(57)の形成工程は、前記ポリシリコン(56、88)の表層部に前記不純物領域(57)を形成する工程を含み、前記ビア電極(62)の形成工程は、前記不純物領域(57)とオーミック接触を形成する前記ビア電極(62)を形成する工程を含む、B14に記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0353】
[B16]前記ビア電極(62)の形成工程後、前記ビア電極(62)に電気的に接続されるように前記絶縁膜(33)の上に配線(64)を形成する工程をさらに含む、B11~B15のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0354】
[B17]前記トレンチ(55)の形成工程後、前記第1半導体領域(6)の表層部において前記トレンチ(55)から間隔を空けた領域に第1導電型不純物を導入し、第1導電型(p型)のコンタクト領域(60)を形成する工程をさらに含む、B1~B16のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0355】
[B18]前記コンタクト領域(60)の形成工程は、平面視において前記トレンチ(55)に沿って帯状に延びる前記コンタクト領域(60)を形成する工程を含む、B17に記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0356】
[B19]前記コンタクト領域(60)の形成工程は、平面視において前記トレンチ(55)を取り囲む環状に延びる前記コンタクト領域(60)を形成する工程を含む、B17またはB18に記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0357】
[B20]前記主面(81)に受光領域(9、9A~9C)を設定し、前記受光領域(9、9A~9C)の前記主面(81)に前記トレンチ(55)を形成する工程と、前記受光領域(9、9A~9C)を他の領域から電気的に分離する領域分離構造(50)を形成する工程と、をさらに含む、B1~B19のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0358】
[B21]前記主面(81)に複数の受光領域(9、9A~9C)を設定し、各前記受光領域(9、9A~9C)に前記トレンチ(55)を形成する工程をさらに含む、B1~B19のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0359】
[B22]前記トレンチ(55)の形成工程の前に、トランジスタ領域(8、8a、8b)および受光領域(9、9A~9C)を前記主面(81)に設定する工程をさらに含み、前記トランジスタ領域(8、8a、8b)に係る製造工程の実施前に、前記トレンチ(55)の形成工程、前記ポリシリコン(56、88)の埋設工程および前記第2半導体領域(59)の形成工程が実施される、B1~B19のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0360】
[B23]前記第2半導体領域(59)の形成工程は、前記主面(81)の表層部において前記主面(81)に沿う水平方向に層状に引き出された部分を有さない前記第2半導体領域(59)を形成する工程を含む、B1~B22のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0361】
[B24]前記トレンチ(55)の形成工程の前に、前記主面(81)を露出させる開口(87)を有するマスク(84)を前記主面(81)の上に形成する工程をさらに含み、前記トレンチ(55)の形成工程は、前記マスク(84)を介するエッチング法によって前記主面(81)のうち前記マスク(84)の前記開口(87)から露出する部分に前記トレンチ(55)を形成する工程を含み、前記ポリシリコン(56、88)の埋設工程は、前記トレンチ(55)を埋めて前記マスク(84)を被覆する第2導電型(n型)のポリシリコン層(88)を形成する工程を含む、B1~B23のいずれか一つに記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0362】
[B25]前記第2半導体領域(59)の形成工程の後、前記ポリシリコン層(88)のうち前記マスク(84)を被覆する部分を除去する工程をさらに含み、前記第2半導体領域(59)の形成工程は、前記ポリシリコン層(88)が前記マスク(84)を被覆している状態で実施される、B24に記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0363】
[B26]前記第2半導体領域(59)の形成工程の前に、前記ポリシリコン層(88)のうち前記マスク(84)を被覆する部分を除去する工程をさらに含み、前記第2半導体領域(59)の形成工程は、前記ポリシリコン層(88)が前記マスク(84)を露出させている状態で実施される、B24に記載の半導体装置(1A~1E)の製造方法。
【0364】
以上、実施形態が詳細に説明されたが、これらは技術的内容を明示する具体例に過ぎない。この明細書から抽出される種々の技術的思想は、明細書内の説明順序等に制限されずにそれらの間で適宜組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0365】
1A 半導体装置
1B 半導体装置
1C 半導体装置
1D 半導体装置
1E 半導体装置
2 チップ
3 第1主面
6 第1半導体領域
8 CMSI領域(トランジスタ領域)
8a 第1MIS領域(トランジスタ領域)
8b 第2MIS領域(トランジスタ領域)
9 受光領域
9A 第1受光領域
9B 第2受光領域
9C 第3受光領域
25 第2プレーナゲート構造
26 第2ゲート絶縁膜
27 第2ゲート電極
29 第2ドレイン領域
31 第2ソース領域
33 層間絶縁膜
50 第2領域分離構造
54 トレンチ構造
55 トレンチ
56 ポリシリコン
57 高濃度不純物領域
59 第2半導体領域
60 コンタクト領域
62 カソードビア電極
64 カソード配線
80 ウエハ
81 第1ウエハ主面
84 無機マスク
87 開口
88 ポリシリコン層