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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047004
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷物の生産方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
G06F3/12 326
G06F3/12 304
G06F3/12 388
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152409
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 祐司
(72)【発明者】
【氏名】坂井 俊文
(57)【要約】
【課題】異なる媒体に対して印刷を行う複数種のプリンターを連携することが考慮されていない。
【解決手段】第1媒体に印刷する第1印刷機構と、第2媒体に印刷する第2印刷機構と、印刷データを取得する取得部と、取得した前記印刷データの画像を分析し、前記印刷データの画像が、前記第1媒体への印刷および前記第2媒体への印刷を許可する第1種画像と、前記第1媒体への印刷を許可し前記第2媒体への印刷を禁止する第2種画像と、を含む複数種類の画像のいずれであるかを判断する判断部と、判断結果に基づいて前記第1印刷機構または前記第2印刷機構に前記印刷データの印刷を行わせる制御部と、を備えた印刷システムを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1媒体に印刷する第1印刷機構と、
第2媒体に印刷する第2印刷機構と、
印刷データを取得する取得部と、
取得した前記印刷データの画像を分析し、前記印刷データの画像が、前記第1媒体への印刷および前記第2媒体への印刷を許可する第1種画像と、前記第1媒体への印刷を許可し前記第2媒体への印刷を禁止する第2種画像と、を含む複数種類の画像のいずれであるかを判断する判断部と、
判断結果に基づいて前記第1印刷機構または前記第2印刷機構に前記印刷データの印刷を行わせる制御部と、
を備えた印刷システム。
【請求項2】
前記第1媒体は陶器または缶バッジであり、
前記第2媒体は紙であり、
前記判断部は、前記画像が紙幣の画像であれば、前記第2種画像と判断する、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記第1媒体は紙であり、
前記第2媒体は陶器または缶バッジであり、
前記判断部は、前記画像がカレンダーの画像であれば、前記第2種画像と判断する、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記判断部は、前記第1種画像と、前記第2種画像と、前記第1媒体への印刷を禁止し前記第2媒体への印刷も禁止する第3種画像と、を含む複数種類の画像のいずれであるかを判断する、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記判断部は、前記第1種画像と、前記第2種画像と、前記第1媒体への印刷を禁止し前記第2媒体への印刷を許可する第4種画像と、を含むいずれであるかを判断する、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項6】
印刷データを取得し、
取得した前記印刷データの画像が、第1条件の印刷および第2条件の印刷を許可する第1種画像と、前記第1条件の印刷を許可し前記第2条件の印刷を禁止する第2種画像と、を含む複数種類の画像のいずれであるかの判断結果に基づいて、印刷物を生産する方法であって、
前記第1種画像を前記第1条件で印刷することが希望されている場合、前記第1条件で前記印刷データに基づく印刷を行って前記印刷物を生産し、
前記第1種画像を前記第2条件で印刷することが希望されている場合、前記第2条件で前記印刷データに基づく印刷を行って前記印刷物を生産し、
前記第2種画像を前記第1条件で印刷することが希望されている場合、前記第1条件で前記印刷データに基づく印刷を行って前記印刷物を生産し、
前記第2種画像を前記第2条件で印刷することは禁止する、
印刷物の生産方法。
【請求項7】
前記第1条件は、陶器または缶バッジへの印刷であり、
前記第2条件は、紙への印刷であり、
前記第2種画像は、紙幣の画像である、
請求項6に記載の生産方法。
【請求項8】
前記第1条件は、紙への印刷であり、
前記第2条件は、陶器または缶バッジへの印刷であり、
前記第2種画像は、カレンダーの画像である、
請求項6に記載の生産方法。
【請求項9】
前記第2条件は、所定の印刷解像度および所定の印刷サイズであり、
前記第1条件はその他の印刷解像度およびその他の印刷サイズである、
請求項6に記載の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、印刷物の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙媒体以外の様々な媒体に印刷を行う技術が知られている。例えば特許文献1には、缶の表面への印刷について記載されている。特許文献2には、鏡面反射層を有する媒体への印刷について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-39737号公報
【特許文献2】特開2021-187025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来は、異なる媒体に対して印刷を行う複数種のプリンターを連携することは考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための印刷システムは、第1媒体に印刷する第1印刷機構と、第2媒体に印刷する第2印刷機構と、印刷データを取得する取得部と、取得した印刷データの画像を分析し、印刷データの画像が、第1媒体への印刷および第2媒体への印刷を許可する第1種画像と、第1媒体への印刷を許可し第2媒体への印刷を禁止する第2種画像と、を含む複数種類の画像のいずれであるかを判断する判断部と、判断結果に基づいて第1印刷機構または第2印刷機構に印刷データの印刷を行わせる制御部と、を備える。
【0006】
上記の課題を解決するための印刷方法は、印刷データを取得し、取得した印刷データの画像が、第1条件の印刷および第2条件の印刷を許可する第1種画像と、第1条件の印刷を許可し第2条件の印刷を禁止する第2種画像と、を含む複数種類の画像のいずれであるかの判断に基づいて、印刷物を生産する方法であって、第1種画像を第1条件で印刷することが希望されている場合、第1条件で印刷データに基づく印刷を行って印刷物を生産し、第1種画像を第2条件で印刷することが希望されている場合、第2条件で印刷データに基づく印刷を行って印刷物を生産し、第2種画像を第1条件で印刷することが希望されている場合、第1条件で印刷データに基づく印刷を行って印刷物を生産し、第2種画像を第2条件で印刷することは禁止する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】印刷システムのブロック図。
図2】全体の処理の流れを示すシーケンス図。
図3】画像の種類と媒体への印刷可否の関係を示す図。
図4】サーバーの構成を示すブロック図。
図5】端末の構成を示すブロック図。
図6】プリンターの構成を示すブロック図。
図7】印刷管理処理のフローチャート。
図8】他の実施形態にかかる画像の種類と媒体への印刷可否の関係を示す図。
図9】他の実施形態にかかる印刷管理処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷システムの構成:
(1-1)サーバーの構成:
(1-2)端末の構成:
(1-3)プリンターの構成:
(2)印刷管理処理:
(3)他の実施形態:
【0009】
(1)印刷システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる印刷システムの一例を模式的に示す図である。印刷システム1は、サーバー10、端末20、プリンター30を備える。図示された装置の数は一例であり、数は限定されない。例えば、複数台表記された端末20やプリンター30は図1に図示された数に限定されないし、1台表記されたサーバー10は複数であっても良い。これらの装置は、ネットワークを介して互いに通信することができる。ネットワークの態様は種々の態様であって良く、ローカルネットワークであっても良いし、インターネット等を介して物理的に離れた位置に存在する装置同士が通信しても良い。
【0010】
複数のプリンター30は、それぞれ異なる種類の媒体に印刷を行うことができる。本実施形態においては、プリンター30は、写真紙への印刷に適したプリンター31(ミニラボ機)と、マグカップ(陶器)や缶バッチやスマートフォンケースに圧着するための昇華転写紙への印刷を行うことができるプリンター32(昇華転写プリンター)と、ポスター等の大判の紙媒体への印刷に適したプリンター33(大判プリンター)と、Tシャツ等の布製品に直接印刷を行うことができるプリンター34(DTG(Direct To Garment)プリンター)等を含んでいる。
【0011】
本実施形態において、昇華転写プリンターであるプリンター32やDTGプリンターであるプリンター34は第1印刷機構に相当し、紙媒体への印刷を行うプリンター31,33は第2印刷機構に相当する。すなわち、画像が形成されて最終的にカスタマーに受け渡される形態が紙以外となる商品向けの画像を印刷するプリンターは、本実施形態においては第1印刷機構であり、画像が形成されて最終的にカスタマーに受け渡される形態が紙となる商品向けの画像を印刷するプリンターは本実施形態においては第2印刷機構である。
【0012】
本実施形態において、端末20およびプリンター30は、一例として写真店や雑貨店等の店舗に設置されている。端末20は、来店したカスタマーが使用する端末(カスタマー端末21)と、店舗のスタッフが使用する端末(スタッフ端末22)と、各プリンター30のプリンタードライバーがインストールされた端末(印刷制御端末23)を含んでいる。なお、もちろんこれらのうちの少なくとも2つが同じ装置で実現されてもよい。当該店舗では、カスタマーが選択した媒体(マグカップ、Tシャツ、スマートフォンケース、缶バッチ、各種サイズや材質の紙等)に対し、カスタマーが指定した写真等を用いてデザインした画像を印刷し、記念品や顧客オリジナルのグッズを製作するサービスを提供する。
【0013】
図2は、このサービスの大まかな流れを示すシーケンス図である。カスタマーは、カスタマー端末21を操作し、カスタマー端末21にインストールされたデザインアプリケーションを利用して、媒体に印刷する画像をデザインし、カスタマー端末21はデザインを受け付ける(ステップS10)。具体的には、カスタマーは、デザインアプリケーションを利用して、媒体に応じたテンプレートを選択する。さらに、カスタマーは、デザインアプリケーションを利用してカスタマー所望の写真を指定し、テンプレートを用いて媒体に印刷する画像をデザインする。カスタマーは、例えば自身の所有する携帯端末に保存された写真をカスタマー端末21に転送することができ、転送した写真を指定することができる。カスタマーは、必要に応じてスタッフに相談しながら媒体の種類や素材や色や形等を選択することができる。カスタマーは、部数を指定し、自らがデザインした画像を選択した媒体に印刷する注文を行うと、カスタマー端末21は注文を受け付ける(ステップS20)。カスタマー端末21は、当該注文の内容を示す印刷データをカスタマー端末21からサーバー10に送信する。印刷データには、カスタマーが選択した媒体に印刷する画像や部数の情報等が含まれる。
【0014】
印刷データを受信した後、サーバー10は、後述する印刷管理処理を実行する(ステップS30)。印刷データは、サーバー10の記録媒体に蓄積される。スタッフは、スタッフ端末22を操作して、サーバー10に蓄積された印刷データの進捗状況を参照することができる。また、スタッフは、未印刷の印刷データに対して、印刷を実行するプリンター30を選択し、予め準備された印刷設定のリストの中から印刷データの印刷に使用する印刷設定を選択して、選択したプリンター30における印刷をサーバー10に対して指示する(ステップS40)。スタッフ端末22からの印刷指示を受けて、サーバー10は、印刷制御端末23に対し、選択されたプリンター30における印刷指示を送信する。サーバー10から印刷制御端末23には、出力先のプリンターの識別情報や、印刷する画像、部数、印刷設定が受け渡される。印刷制御端末23は、サーバー10からの印刷指示を受けて、指定されたプリンター30に印刷指示を送信する(ステップS50)。すなわち印刷制御端末23は、プリンタードライバーにより、画像を、印刷設定に基づいて、指定のプリンター30における印刷に適した形式のデータに変換し、プリンター30に送信する。プリンター30は、印刷制御端末23から送信されたデータに基づいて印刷を実行する(ステップS60)。プリンター30は、印刷の進捗情報を、印刷制御端末23を介してサーバー10に送信する。
【0015】
なお、印刷の後工程が必要なプリンター30については、後工程用の装置も店舗に設置されている。例えば、昇華転写用プリンターについては、昇華転写紙の画像をTシャツ等の平面に転写するための平型プレス機(不図示)、マグカップ等の円筒形の物体の表面に転写するためのマグプレス機、スマートフォンカバーに転写するためのプレス機等、各種のプレス機も店舗に設置される。スタッフがこれらのプレス機を用いて媒体に転写を行い、カスタマーによってデザインされた画像が形成された商品を得ることができる。カスタマーは、デザインし注文した店舗で直ちに商品を受け取ることができる。
【0016】
ところで、印刷対象としてカスタマーが選択した画像が、特定の媒体への印刷に適さない場合がある。例えば、図3に示すように、紙幣や証券等の画像は、紙媒体への印刷が法律で禁止されている。しかし、紙幣や証券の画像は、紙以外の例えば陶器や缶バッチ等への印刷は禁止されていない。また例えば、カレンダー等のように複数頁からなる画像は、陶器や缶バッチへの印刷には適さず、紙媒体への印刷に適している。また例えば、著作権のある画像等のように複製が禁止される画像は、どのような媒体への印刷も適さない。
【0017】
このように、画像データの内容によっては、出力先のプリンターの選択に制限がある場合がある。スタッフが印刷データに対して印刷先のプリンター30を選択する際に、選択すべきでないプリンター30を誤って選択してしまうと、印刷ミスとなり媒体を浪費することとなる。あるいは法律に抵触してしまうこととなる。そのため、印刷システム1では、印刷データの画像を分析して当該画像の種類を判断し、判断結果に応じて印刷を実行させる機能を実現する。
【0018】
以下、このような機能を実現するための印刷システム1の各装置の構成を説明する。
(1-1)サーバーの構成:
図4は、サーバー10の構成を示すブロック図である。サーバー10は、プロセッサー10aと、通信部10bと、不揮発性メモリー10cとを備える。プロセッサー10aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー10cに記録された種々のプログラムを実行しサーバー10の各部やネットワークに接続された各装置を制御することができる。なお、プロセッサー10aは、単一のチップで構成されても良いし、複数のチップで構成されても良いし、プリンターを動作させる様々な機能ブロックとともにSoCとして構成されていても良い。また、例えばCPUに替えてASICが採用されても良いし、CPUとASICとが協働する構成であっても良い。本実施形態における各装置がプロセッサーを備える場合、そのプロセッサーは、プロセッサー10aと同様に種々の態様で実現可能である。
【0019】
通信部10bは、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。サーバー10は、当該通信部10bを介して他の装置と通信することが可能である。なお、通信部10bは、サーバー10に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。
【0020】
サーバー10の不揮発性メモリー10cには、各種の情報が蓄積される。例えば、不揮発性メモリー10cには、印刷データ10c1が含まれる。印刷データ10c1は、媒体に印刷される画像や、印刷部数を含む。
【0021】
本実施形態において、プロセッサー10aは、印刷データ10c1を取得する取得部10a1として機能する。また、プロセッサー10aは、印刷データ10c1に含まれる印刷対象である画像を分析し、印刷データの画像が、第1種画像と、第2種画像とを含む複数種類の画像のいずれであるかを判断する判断部10a2として機能する。また、プロセッサー10aは、判断結果に基づいて印刷を行わせる制御部10a3として機能する。詳細は後述する。
(1-2)端末の構成:
図5は、端末20構成を示すブロック図である。端末20は、プロセッサー20aと、通信部20bと、不揮発性メモリー20cと、ディスプレイ20dと、入力部20eとを備える。プロセッサー20aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー20cに記録された種々のプログラムを実行し端末20の各部を制御することができる。
【0022】
通信部20bは、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。端末20は、当該通信部20bを介して他の装置と通信することが可能である。また、通信部20bは、端末20に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含む。
【0023】
ディスプレイ20dは、任意の画像を表示する表示装置である。入力部20eは、ユーザーが入力操作を行う装置であり、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される。いずれにしても、ユーザー(カスタマーまたはスタッフ)は、ディスプレイ20dに表示される画像や文字を視認しながら、入力部20eを操作してユーザーの意図を入力することができる。
【0024】
カスタマー端末21においては、不揮発性メモリー20cに、印刷データ10c1が記録される。カスタマーはカスタマー端末21を操作して、媒体の種類に応じたテンプレートの選択および画像の指定を行い、テンプレートに画像を配置しその他の装飾等を施す等してデザインし、印刷部数を指定して、注文を行う。当該注文を示す印刷データ10c1は、サーバー10に転送される。なお、印刷データ10c1はカスタマー端末21の揮発性メモリーには一時的に記憶され、サーバー10に転送されサーバー10の不揮発性メモリー10cに長期的に保存されるように構成されてもよい。
【0025】
スタッフは、スタッフ端末22を操作して、サーバー10に保存された印刷データ10c1をサーバー10が提供するWebサイトを介して閲覧することができる。また、スタッフは、サーバー10に保存された印刷データ10c1に対し、Webサイトを介して、印刷を実行するプリンター30を選択し、予め準備された印刷設定のリストの中から印刷データの印刷に使用する印刷設定を選択して、選択したプリンター30に印刷実行を指示する。
【0026】
印刷制御端末23は、通信部20bを介して、サーバー10から印刷指示を受信すると、プリンタードライバーにより、指定された印刷設定に基づき、印刷データの画像を指定されたプリンターでの印刷形式に変換し、変換したデータを部数の情報とともにプリンター30に出力する。
【0027】
(1-3)プリンターの構成:
図6は、プリンター30の構成を示すブロック図である。プリンター30は、プロセッサー30aと、通信部30bと、不揮発性メモリー30cと、印刷部30dと、UI部30eと、を備える。プロセッサー30aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー30cに記録された種々のプログラムを実行しプリンター30の各部を制御することができる。
【0028】
通信部30bは、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。プリンター30は、当該通信部30bを介して他の装置と通信することが可能である。なお、通信部30bは、プリンター30に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。
【0029】
印刷部30dは、印刷を実行する部位であり、普通紙、写真紙、昇華転写紙、布等を含む各種の媒体にインクジェット方式等の各種の印刷方式で印刷を施す。印刷部30dは、各種の媒体に印刷を実行するためのアクチュエーターや各種装置、センサー、駆動回路、機械部品等を備えている。センサーは、プリンター30において変化し得る各種の検出対象を検出するセンサーを含む。検出対象は限定されず、例えば、メディアの残量を検出するセンサーや印刷に使用される色毎のインクの残量を検出するセンサー等が挙げられる。
【0030】
UI部30eは、タッチパネルディスプレイや各種のキーやスイッチ等を含む。タッチパネルディスプレイは、各種の情報、例えば、プリンター30のステータスやインクの残量等を表示する表示パネルと、当該表示パネルに重ねられたタッチ検出パネルとを備え、タッチ操作を検出する。プロセッサー30aは、UI部30eを介してスタッフの操作内容を取得することができる。また、プロセッサー30aは、UI部30eのディスプレイに各種の情報を表示しスタッフに通知することができる。
【0031】
本実施形態においてプリンター30は、写真店や雑貨店等の店舗内に複数台設置され、カスタマーからの注文およびスタッフの印刷指示に応じて印刷が実施される。プリンター30のプロセッサー30aは、通信部30bを介して、プリンター30の印刷形式に変換されたデータを取得し、当該データに基づいて印刷部30dを制御し、印刷を実施する。印刷が終了すると、プロセッサー30aは、通信部30bを介して印刷が終了したことを示す情報を出力する。サーバー10が、通信部10bを介して当該情報を取得すると、サーバー10のプロセッサー10aは、印刷が終了した印刷データ10c1の進捗状態を「終了」に更新する。
【0032】
(2)印刷管理処理:
図7は、本実施形態における、印刷管理処理のフローチャートである。図7の印刷管理処理は、図2のシーケンスにおけるS30に相当する処理であり、本実施形態においてはサーバー10のプロセッサー10aによって実行される。本実施形態においては、カスタマー端末21から印刷データ10c1を受信すると、プロセッサー10aは、図7に示す印刷管理処理を実行する。
【0033】
印刷管理処理が開始されると、プロセッサー10aは、取得部10a1の機能により、画像を取得する(ステップS100)。すなわち、プロセッサー10aは、印刷データ10c1に含まれる印刷対象の画像を取得する。続いて、プロセッサー10aは、判断部10a2の機能により、画像を分析する(ステップS105)。すなわち、本実施形態において、プロセッサー10aは、画像が第1種画像、第2種画像、第3種画像、第4種画像のうちのいずれであるかを判断する。
【0034】
第1種画像は、第1媒体への印刷および第2媒体への印刷が許可される画像である。例えば、本実施形態においては、図3に示すように、第1媒体は、マグカップ等の陶器や缶バッチであることを想定し、第2媒体は紙であることを想定している。第1種画像は、後述する第2種画像、第3種画像、第4種画像のような制約がない画像を想定している。第2種画像は、第1媒体への印刷が許可され前記第2媒体への印刷が禁止される画像である。本実施形態において、第2種画像は、紙幣や証券である。プロセッサー10aは、公知の紙幣識別技術を用いて、画像が紙幣であるか否かを判断する。また例えば、プロセッサー10aは、証券の特徴を示すパターンを用いたパターンマッチングにより画像が証券であるか否かを判断する。
【0035】
第3種画像は、第1媒体への印刷が禁止され、第2媒体への印刷も禁止される画像である。本実施形態において、第3種画像は、著作権のある画像等の複製が禁止されている画像である。プロセッサー10aは、例えば著作権のある画像を用いて学習した学習モデルを用いて、画像が著作権のある画像であるか否かを判断する。あるいは、プロセッサー10aは、複製禁止を示すデータが画像に含まれているか否かを判断する。
【0036】
第4種画像は、第1媒体への印刷が禁止され、第2媒体への印刷が許可される画像である。本実施形態において、第4種画像は、カレンダー等のように複数の頁を有する画像である。マグカップや缶バッチに圧着する昇華転写紙には1枚につき1頁の画像が印刷されることが想定されるため、複数頁からなる画像は昇華転写紙への印刷には適さないと本実施形態では見なされる。プロセッサー10aは、画像が、複数頁からなるか否かを判断する。このようにして、プロセッサー10aは、画像が第1~第4種画像のうちのいずれに該当するかを判断する。
【0037】
ステップS105で画像の分析を終えた後、スタッフ端末22を介してスタッフから処理対象の印刷データを選択される(図2、ステップS40)と、プロセッサー10aは、画像の種類に応じたプリンターを選択させるGUIを表示させ、ユーザー(スタッフ)の選択を受け付ける(ステップS110)。すなわち、プロセッサー10aは、図3に示す対応関係に基づいて、特定した種類の画像の印刷が許可されている媒体を特定し、特定した媒体への印刷を行うプリンターを特定する。そして、プロセッサー10aは、特定したプリンターを選択肢とするGUIを含んだ表示データをスタッフ端末22に送信する。スタッフ端末22には当該表示データに基づいて、特定されたプリンターの選択肢が提示される。例えば、画像が第2種画像の場合、最終的に画像が形成されてカスタマーに受け渡される形態が紙以外であるプリンター32とプリンター34が選択肢として提示される。画像が形成された最終的にカスタマーに受け渡される商品の形態が紙であるプリンター31,33は選択肢としては提示されない(あるいはグレーアウトして選択できないように表示される)。スタッフは、選択可能に提示された選択肢の中からプリンターを選択することができる。さらにスタッフは、印刷設定を選択し、印刷指示の操作を行うと、プロセッサー10aは通信部10bを介してスタッフ端末22から印刷指示を取得する。プロセッサー10aは、制御部10a3の機能により、ステップS110で選択されたプリンターで印刷を実行させる(ステップS115)。すなわち、プロセッサー10aは、通信部10bを介して、印刷制御端末23に、選択されたプリンターの識別情報と印刷設定と、印刷データ10c1とを送信する(図2、ステップS50)。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、異なる種類の媒体にそれぞれ印刷を行う各種のプリンターを連携して管理するシステムにおいて、印刷データの画像を分析し、画像の内容に応じ印刷機構に印刷を行わせることができる。そのため、印刷失敗を発生しにくくすることができる。
【0039】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、上記実施形態では4つのプリンターが店舗に設置されている例を示したが、必ずしもこの種類のプリンターが全て設置されなくてもよい。また、上記実施形態で示したプリンターの種類は、一例に過ぎず、他にも様々な媒体への印刷を行うことができるプリンターが採用されてもよい。第1印刷機構や第2印刷機構はそのうちの少なくとも各1個のプリンターであればよい。また、複数の印刷機構は1台のプリンターに備えられていても良い。なお、陶器や缶バッチ、スマートフォンケース等への印刷は、昇華転写方式の他に、ロボットアーム等で立体物に直接印刷するプリンターが採用されてもよい。
【0040】
印刷制御端末23は省略され、プリンターとサーバーとが印刷制御端末23を介さずにデータの授受をするように構成されてもよい。端末やプリンターはカスタマーが来店する店舗に設置されない構成も想定してよい。端末は店舗に設置され、プリンターは印刷業者の印刷施設に設置され、印刷物は印刷施設から依頼者の元へ配達されてもよい。また、端末は店舗に設置されなくてもよく、可搬型の端末で様々な場所から、注文や、印刷データの編集や、最終的な印刷指示をユーザーが行うことができるように構成されてもよい。
【0041】
取得部において、印刷データは任意の態様で取得されてよい。例えば、印刷物の生産を依頼した依頼者が作成した印刷データは、ネットワーク経由で印刷システムに転送されてもよいし、リムーバブルメモリーに記録されリムーバブルメモリーから印刷システムに転送される構成であっても良い。依頼者が、印刷システムを構成する端末を用いてユーザーがアプリケーションプログラム等で印刷データを作成しても良い。もちろん、依頼者が作成した印刷データを依頼者以外のユーザーが編集し、編集された印刷データが取得されてもよい。
【0042】
判断部の処理は、印刷データを取得してから、印刷データの印刷を行わせるまでの間の、任意のトリガで行われても良い。例えば、取得部が印刷データを取得したことに応じて判断部による画像の種類の判断が行われても良い。ユーザーが印刷データの詳細を確認するために印刷データを選択した際に判断部の処理が行われても良い。あるいは、ユーザーが印刷データの印刷実行を指示する際に判断部の処理が行われても良い。
【0043】
判断部において、画像をどのような手法で分析するかや、何種類に分類するのかや、どのような画像をどのように印刷することを許可しどのように印刷することを禁止するかは、適宜設計することが可能であり、上述の実施形態に限定されるものではない。第1種画像は、第1媒体にも第2媒体にも印刷が許可された画像であればよい。第2媒体は、いずれか一方の媒体には印刷が許可され他方の媒体には印刷が許可されない画像であればよい。なお、第2種画像が印刷することが許可された媒体および許可されていない媒体は、第2種画像がどのような特徴を持つ画像であるかに応じて異なりうる。例えば、上記実施形態では、図3に示すように、複数頁からなる画像は第4種画像と分類し、第2媒体としての紙には印刷が許可され第1媒体としての陶器や缶バッチには印刷が禁止される構成であった。印刷先の制約がない第1種画像との関係だけに着目すると、複数頁からなる画像は、図8に示すように、第2種画像と見なすこともできる。すなわち、このような場合、紙が第1媒体に相当し、陶器や缶バッチが第2媒体に相当する。また、紙幣や証券等の画像は、陶器や缶バッチへの印刷であっても禁止される国では、紙幣や証券等の画像は、第3種画像に分類するべきである。
【0044】
判断部において、画像の種類は、上述のように画像に含まれるオブジェクトによって判別されてもよいが、画像の形状で画像の種類が判別されてもよい。例えば、画像が、CDのレーベルを示す円環形状である場合、DTGプリンターは出力先のプリンターの選択肢から除外されるか、あるいは、DTGプリンターで印刷して良いか否かをユーザーに確認するように構成されてもよい。
【0045】
制御部は、判断部による判断結果に基づいて印刷を行わせること、あるいは行わせないことができればよい。上記実施形態のように、判断部によって特定された種類の画像の印刷が許可されている媒体に対応する印刷機構に選択肢を絞り(許可されない媒体の印刷機構は選択肢から除外)、ユーザーに当該選択肢から印刷機構を選択させる構成であってもよい。あるいは図9に示すように、ユーザーが選択した印刷機構に対して印刷可否を判断して通知するように構成されてもよい。
【0046】
図9は、他の実施形態にかかる印刷管理処理のフローチャートである。図9の印刷管理処理は、例えば、サーバー10に蓄積された印刷データに対してスタッフが印刷のための操作を開始した場合に実行される。印刷管理処理が開始されると、プロセッサー10aは、制御部10a3の機能により、プリンターを選択させるGUIを表示し、ユーザーの選択を受け付ける(ステップS200)。すなわちこの段階では、画像の種類に基づく制限はない状態で、例えば店舗に設置された全てのプリンターが選択肢として提示される。続いてプロセッサー10aは、取得部10a1の機能により、画像を取得し(ステップS205)、判断部10a2の機能により、画像を分析する(ステップS210)。すなわち印刷データに含まれる印刷対象の画像がどの種類に分類されるかが判断される。
【0047】
プロセッサー10aは、制御部10a3の機能により、ステップS205で取得した画像が、ステップS200で選択されたプリンターでの印刷が許可されているか否かを判定し(ステップS215)、許可されている場合、選択された印刷先で印刷を実行させる(ステップS220)。許可されていない場合、プロセッサー10aは、制御部10a3の機能により、エラーを通知する(ステップS225)。すなわち、プロセッサー10aは、選択されたプリンターでは印刷データの画像の印刷が許可されていないため印刷できない旨を通知する。なお、ステップS225の後、画像を印刷可能なプリンターの選択肢を提示するように構成されてもよい。
【0048】
本発明は、画像の種類に応じて印刷が許可される条件が決められている場合の、印刷物の生産方法の発明としても成立する。すなわち、印刷データの画像が、第1条件の印刷および第2条件の印刷を許可する第1種画像と、第1条件の印刷を許可し第2条件の印刷を禁止する第2種画像と、を含む複数種類の画像のいずれであるかの判断結果に基づいて、印刷物を生産する方法である。当該印刷物の生産方法では、第1種画像を第1条件で印刷することが希望されている場合、第1条件で印刷データに基づく印刷を行って印刷物を生産し、第1種画像を第2条件で印刷することが希望されている場合、第2条件で印刷データに基づく印刷を行って印刷物を生産する(すなわち第1種画像は第1条件および第2条件のいずれであっても印刷可能である)。第2種画像を第1条件で印刷することが希望されている場合、第1条件で印刷データに基づく印刷を行って印刷物を生産し、第2種画像を第2条件で印刷することは禁止する(第2種画像は、第1条件では印刷可能であり第2条件では印刷可能でない)。
【0049】
例えば、第2種画像が紙幣の画像である場合、第1条件は陶器または缶バッジへの印刷であり、第2条件は紙への印刷である。すなわち紙幣の画像は、紙媒体への印刷は禁止され、陶器や缶バッチには印刷可能とされる。
また例えば、第2種画像がカレンダーの画像である場合、第1条件は紙への印刷であり、第2条件は陶器または缶バッジへの印刷である。
【0050】
なお、「第1条件」や「第2条件」には、上記のような、印刷する媒体の種類の指定以外の印刷条件も想定してよい。例えば、第2条件は、所定の印刷解像度および所定の印刷サイズであり、第1条件はその他の印刷解像度とおよびその他の印刷サイズである(すなわち印刷解像度や印刷サイズに制限がない)構成であってもよい。印刷する媒体は例えば紙媒体という点で同一であったとしても、画像の解像度と大きく異なる解像度(所定の解像度)での印刷や、画像の解像度に適した媒体のサイズと大きく異なるサイズ(所定の印刷サイズ)での印刷が印刷条件(第2条件)として希望された場合、その条件での印刷を禁止するように構成されてもよい。例えば、A4の媒体への印刷が想定されていることを示す解像度の画像は、A4やA5の媒体への印刷は許可される。A3の媒体への印刷が想定されていることを示す解像度の画像は、A4の媒体には印刷が許可されA5には印刷が禁止される。あるいは、缶バッチのような小さな媒体への印刷が想定されていることを示す解像度の画像を、A1等のように大きな印刷サイズで印刷することが禁止される。
【0051】
さらに、本発明は、コンピューターが実行するプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置が備える部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリーであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0052】
1…印刷システム、10…サーバー、10a…プロセッサー、10a1…取得部、10a2…判断部、10a3…制御部、10b…通信部、10c…不揮発性メモリー、10c1…印刷データ、20…端末、20a…プロセッサー、20b…通信部、20c…不揮発性メモリー、20d…ディスプレイ、20e…入力部、21…カスタマー端末、22…スタッフ端末、23…印刷制御端末、30…プリンター、30a…プロセッサー、30b…通信部、30c…不揮発性メモリー、30d…印刷部、30e…UI部、31~34…プリンター
図1
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図6
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図9