(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047007
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】算出装置、プログラム及び算出方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240329BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G06Q50/30
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152413
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】504103984
【氏名又は名称】ウイングアーク1st株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 由貢
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 誉也
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181MB02
5L049CC41
(57)【要約】
【課題】貨物自動車運送事業で用いることができる新たな指標を算出することができる算出装置、プログラム及び算出方法を提供すること。
【解決手段】実施形態の算出装置は、所定期間にかかる運送用の車両のコストを、所定期間の車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる車両のコスト、所定期間にかかる車両のコストを、所定期間の車両の走行時間で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる車両のコスト、所定期間にかかる車両のコスト及び所定期間にかかる車両の運転手の人件費を、所定期間の車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる車両及び運転手のコスト、及び所定期間にかかる車両のコスト及び所定期間にかかる運転手の人件費を、所定期間の車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる車両及び運転手のコストの少なくともいずれかを算出する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間にかかる運送用の車両のコストを、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる前記車両のコストである、距離当たり車両コスト、
前記所定期間にかかる前記車両のコストを、前記所定期間の前記車両の走行時間で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる前記車両のコストである、時間当たり車両コスト、
前記所定期間にかかる前記車両のコスト及び前記所定期間にかかる前記車両の運転手の人件費を、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる前記車両及び前記運転手のコストである、距離当たり運行コスト、
及び前記所定期間にかかる前記車両のコスト及び前記所定期間にかかる前記運転手の人件費を、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる前記車両及び前記運転手のコストである、時間当たり運行コスト、の少なくともいずれかを算出する算出部を備える算出装置。
【請求項2】
前記算出部によって算出された前記距離当たり車両コスト、前記時間当たり車両コスト、前記距離当たり運行コスト及び前記時間当たり運行コストの少なくともいずれかを表示する表示部をさらに備える、請求項1に記載の算出装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記距離当たり運行コストを算出し、前記距離当たり運行コストに、前記車両を用いた運行又は前記運行の一部である工程における前記車両の走行距離をかけた、第1の運行コストを算出する、請求項1に記載の算出装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記運行又は前記工程の運賃から、前記第1の運行コストを引いた第1の運賃差異を算出する、請求項3に記載の算出装置。
【請求項5】
前記第1の運賃差異を表示する表示部をさらに備える、請求項4に記載の算出装置。
【請求項6】
前記算出部は、前記時間当たり運行コストを算出し、前記時間当たり運行コストに、前記車両を用いた運行又は前記運行の一部である工程における前記車両の走行時間をかけた、第2の運行コストを算出する、請求項1に記載の算出装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記運行又は前記工程の運賃から、前記第2の運行コストを引いた第2の運賃差異を算出する、請求項6に記載の算出装置。
【請求項8】
前記第2の運賃差異を表示する表示部をさらに備える、請求項6又は請求項7に記載の算出装置。
【請求項9】
算出装置が備えるプロセッサーを、
所定期間にかかる運送用の車両のコストを、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる前記車両のコストである、距離当たり車両コスト、
前記所定期間にかかる前記車両のコストを、前記所定期間の前記車両の走行時間で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる前記車両のコストである、時間当たり車両コスト、
前記所定期間にかかる前記車両のコスト及び前記所定期間にかかる前記車両の運転手の人件費を、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる前記車両及び前記運転手のコストである、距離当たり運行コスト、
及び前記所定期間にかかる前記車両のコスト及び前記所定期間にかかる前記運転手の人件費を、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる前記車両及び前記運転手のコストである、時間当たり運行コスト、の少なくともいずれかを算出する算出部として機能させるプログラム。
【請求項10】
所定期間にかかる運送用の車両のコストを、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる前記車両のコストである、距離当たり車両コスト、
前記所定期間にかかる前記車両のコストを、前記所定期間の前記車両の走行時間で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる前記車両のコストである、時間当たり車両コスト、
前記所定期間にかかる前記車両のコスト及び前記所定期間にかかる前記車両の運転手の人件費を、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる前記車両及び前記運転手のコストである、距離当たり運行コスト、
及び前記所定期間にかかる前記車両のコスト及び前記所定期間にかかる前記運転手の人件費を、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる前記車両及び前記運転手のコストである、時間当たり運行コスト、の少なくともいずれかを算出する算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、算出装置、プログラム及び算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国土交通省は、貨物自動車運送事業の高度化する運行をモニタリングする指標として、稼働率、積載率、実車率、空車率、及び実働率の5つの指標が有効であるとして推奨している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような指標だけでは運行のモニタリングは不十分である。
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、貨物自動車運送事業で用いることができる新たな指標を算出することができる算出装置、プログラム及び算出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の算出装置は、距離当たり車両コスト、時間当たり車両コスト、距離当たり運行コスト及び時間当たり運行コストの少なくともいずれかを算出する算出部を備える。距離当たり車両コストは、所定期間にかかる運送用の車両のコストを、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる前記車両のコストである。時間当たり車両コストは、前記所定期間にかかる前記車両のコストを、前記所定期間の前記車両の走行時間で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる前記車両のコストである。距離当たり運行コストは、前記所定期間にかかる前記車両のコスト及び前記所定期間にかかる前記車両の運転手の人件費を、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる前記車両及び前記運転手のコストである。距離当たり運行コストは、前記所定期間にかかる前記車両のコスト及び前記所定期間にかかる前記運転手の人件費を、前記所定期間の前記車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる前記車両及び前記運転手のコストである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、貨物自動車運送事業で用いることができる新たな指標を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る指標算出システム及び当該指標算出システムに含まれる構成要素の要部構成の一例を示すブロック図。
【
図2】
図1中のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャート。
【
図3】
図1中のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】
図1中のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】
図1中の出力デバイスに表示される画面の一例を示す図。
【
図6】
図1中の出力デバイスに表示される画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る指標算出システムについて図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。また、各図面及び本明細書中において、同一の符号は同様の要素を示す。
図1は、実施形態に係る指標算出システム1及び指標算出システム1に含まれる構成要素の要部構成の一例を示すブロック図である。指標算出システム1は、一例として、指標算出装置100及び運行記録装置200を含む。
【0010】
指標算出装置100は、運送事業者などが使用する装置である。指標算出装置100は、様々な指標などを算出する装置である。当該様々な指標は、運送事業者におけるKPI(key performance indicator)となる新たな指標などを含む。指標算出装置100は、例えば、PC(personal computer)又はサーバーなどである。指標算出装置100は、一例として、プロセッサー101、ROM(read-only memory)102、RAM(random-access memory)103、補助記憶装置104、通信インターフェース106、入力デバイス107及び出力デバイス108を含む。そして、バス109などが、これら各部を接続する。なお、指標算出装置100は、算出装置の一例である。
【0011】
プロセッサー101は、指標算出装置100の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー101は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)などである。あるいは、プロセッサー101は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー101は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー101は、ROM102又は補助記憶装置104などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、指標算出装置100の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー101は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー101の回路内に組み込まれていても良い。
【0012】
ROM102及びRAM103は、プロセッサー101を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ROM102は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM102は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM102は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
RAM103は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM103は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM103は、典型的には揮発性メモリである。
【0013】
補助記憶装置104は、プロセッサー101を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置104は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置104は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置104は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー101での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0014】
また、補助記憶装置104は、運行DB(database)及びコストDBを記憶する。運行DBは、運行記録データ及び配車データを記憶及び管理する。
運行記録データについては後述する。
【0015】
配車データは、配車などについて記録したデータである。配車データは、例えば、配車表、各運送案件についての情報、運送予定の荷物などについての情報、運転手が行く予定の場所及び通行する予定のルートについての情報、及び運転手が乗車予定の運送用車両についての情報、運転手の乗車予定日時などを含む。なお、運送用車両を以下単に「車両」という。
【0016】
コストDBは、コストデータ及び各種指標などを記憶及び管理する。
コストデータは、運行にかかる金銭的なコストに関するデータである。コストデータは、例えば、車両コスト、人件費データ及びコスト指標などを含む。
【0017】
車両コストは、車両ごと又は車両の種類ごとにかかる、車両が運行するのにかかるコスト又は車両が走行するのにかかるコストを示す。コストDBは、例えば、車両の車両ID(identifier)と関連付けることで、当該車両の車両コストを記憶する。車両IDは、車両ごとにユニークな識別情報である。車両コストは、車両変動費及び車両固定費の2種類に分類可能である。
車両変動費は、車両ごと又は車両の種類ごとにかかる変動費を示す。車両変動費は、例えば、車両の燃料代及び高速道路などの有料道路の通行料金などの変動費と分類できるコストを含む。
【0018】
車両固定費は、車両ごとにかかる固定費を示す。車両固定費は、例えば、リース代、保険代、車検代、修理費及びタイヤ代などの固定費と分類できるコストを含む。
【0019】
なお、車両変動費と車両固定費に含まれる各コストの分類は、上記に示したものに限らない。例えば、上記において車両固定費に分類されているコストのうちの一部が車両変動費に分類されていても良い。上記において車両変動費に分類されているコストのうちの一部が車両固定費に分類されていても良い。
【0020】
人件費データは、車両を運転する運転手の給与などの人件費に関するデータである。コストDBは、例えば、運転手の運転手IDと関連付けることで、当該運転手の人件費データを記憶する。運転手IDは、運転手ごとにユニークな識別情報である。
【0021】
コスト指標は、1km当たり変動費、1km当たり固定費、1h当たり変動費、1h当たり固定費、1km当たり車両コスト、1h当たり車両コスト、1km当たり人件費、1h当たり人件費、1km当たり運行コスト及び1h当たり運行コストなどの種類がある。
【0022】
以下、コスト指標を算出する対象の車両を対象車両というものとする。また、コスト指標を算出する対象の運転手を対象運転手というものとする。
【0023】
対象車両は、1台の車両であっても良いし、複数台の車両であっても良い。対象車両が複数台である場合、対象車両は、例えば、同じ種類の車両の集合であっても良い。車両の種類の分類には、例えば、車種及び車両のサイズなどを用いることができる。しかしながら、その他の基準で車両が種類ごとに分類されていても良い。また、全ての車両が対象車両であっても良い。
【0024】
対象運転手は、1人の運転手であっても良いし、複数人の運転手であっても良い。対象運転手が複数人である場合、対象運転手は、同じ種類の運転手の集合であっても良い。運転手の種類の分類には、例えば、運転可能な車両の種類、所持する運転免許、勤続年数、経験年数、所持するスキル、年齢、勤務地及び所属営業所などを用いることができる。しかしながら、その他の基準で運転手が種類ごとに分類されていても良い。また、コストDBに人件費データが記録された全ての運転手が対象運転手であっても良い。
【0025】
1km当たり変動費、1km当たり固定費、1h当たり変動費、1h当たり固定費、1km当たり車両コスト、及び1h当たり車両コストは、対象車両ごとに算出される。
1km当たり人件費及び1h当たり人件費は、例えば、対象運転手ごとに算出される。
1km当たり運行コスト及び1h当たり運行コストは、対象組み合わせごとに算出される。対象組み合わせは、対象車両と対象運転手の組み合わせである。
【0026】
1km当たり変動費は、例えば、車両を1km走行させるのにかかる車両変動費である。対象車両の1km当たり変動費は、例えば、下式によって求めることができる。
(1km当たり変動費)=(対象車両の変動費)÷(対象車両の走行距離) (1)
対象車両の変動費は、所定の期間T1における車両変動費の合計である。対象車両の走行距離は、期間T1における走行距離の合計である。走行距離は、運行距離とも呼ばれる。期間T1は、一例として、直近3か月などである。期間T1は、所定期間の一例である。
【0027】
1km当たり固定費は、例えば、車両を1km走行させるのにかかる車両固定費である。対象車両の1km当たり固定費は、例えば、下式によって求めることができる。
(1km当たり固定費)=(対象車両の固定費)÷(対象車両の走行距離) (2)
対象車両の変動費は、所定の期間T1における車両固定費の合計である。
【0028】
1h当たり変動費は、例えば、車両を1時間使用するのにかかる車両変動費である。対象車両の1h当たり変動費は、例えば、下式によって求めることができる。
(1h当たり変動費)=(対象車両の変動費)÷(対象車両の走行時間) (3)
対象車両の変動費は、所定の期間T1における車両変動費の合計である。対象車両の走行時間は、期間T1における走行時間の合計である。走行時間は、運行時間とも呼ばれる。
【0029】
1h当たり固定費は、例えば、車両を1時間使用するのにかかる車両固定費である。対象車両の1h当たり変動費は、例えば、下式によって求めることができる。
(1h当たり固定費)=(対象車両の固定費)÷(対象車両の走行時間) (4)
【0030】
1km当たり車両コストは、例えば、車両を1km走行させるのにかかる車両コストを示す。対象車両の1km当たり車両コストは、例えば、下式によって求めることができる。
(1km当たり車両コスト)=(対象車両の固定費+対象車両の変動費)÷(対象車両の走行距離) (5)
【0031】
1h当たり車両コストは、例えば、車両を1時間使用するのにかかる車両コストを示す。対象車両の1km当たり車両コストは、例えば、下式によって求めることができる。
(1h当たり車両コスト)=(対象車両の固定費+対象車両の変動費)÷(対象車両の走行時間) (6)
【0032】
1km当たり人件費は、例えば、車両を1km走行させるのにかかる人件費を示す。対象運転手の1km当たり人件費は、例えば、下式によって求めることができる。
(1km当たり人件費)=(対象運転手の人件費)÷(対象運転手の走行距離) (7)
対象運転手の人件費は、期間T1における対象運転手の人件費である。人件費に代えて給与であっても良い。対象運転手の走行距離は、期間T1における対象運転手が車両を運転した距離である。
【0033】
1h当たり人件費、例えば、車両を1時間走行させるのにかかる人件費を示す。対象運転手の1h当たり人件費は、例えば、下式によって求めることができる。
(1h当たり人件費)=(対象運転手の人件費)÷(対象運転手の走行時間) (8)
対象運転手の走行時間は、期間T1における対象運転手が車両を運転した時間である。
【0034】
1km当たり人件費及び1h当たり人件費は、例えば、運転手ごと又は運転手の種類ごとに異なる。
【0035】
1km当たり運行コストは、例えば、車両を1km走行させるのにかかるコストを示す。1km当たり運行コストは、1km当たり車両コスト及び1km当たり人件費を含む。対象組み合わせの1km当たり運行コストは、例えば、下式によって求めることができる。
(1km当たり運行コスト)=(対象車両の1km当たり車両コスト)+(対象運転手1km当たり人件費) (9)
【0036】
1h当たり運行コストは、例えば、車両を1時間使用するのにかかるコストを示す。1h当たりコストは、1h当たり車両コスト及び1h当たり人件費を含む。対象組み合わせの1h当たり運行コストは、例えば、下式によって求めることができる。
(1h当たり運行コスト)=(対象車両の1h当たり車両コスト)+(対象運転手の1h当たり人件費) (10)
【0037】
入力インターフェース105は、運行記録装置200によって記録された運行記録データの入力を受ける。
入力インターフェース105は、例えば、運行記録装置200と通信することで運行記録データの入力を受ける通信用のインターフェースである。当該通信は、有線又は無線のいずれであっても良い。また、当該通信は、LAN(local area network)などのプライベートネットワーク又はインターネットなどを介した通信であっても良い。
あるいは、入力インターフェース105は、リムーバブルな記憶媒体を読み取る装置である。入力インターフェース105は、当該記憶媒体から、当該記憶媒体に記憶された運行記録データを読み取ることで、当該運行記録データの入力を受ける。プロセッサー101は、入力インターフェース105に入力された運行記録データを運行DBに記憶する。運行記録データについては後述する。
【0038】
通信インターフェース106は、指標算出装置100がネットワークなどを介して通信するためのインターフェースである。当該ネットワークは、例えば、LANなどのプライベートネットワーク又はインターネットなどである。
【0039】
入力デバイス107は、指標算出装置100の操作者(以下、単に「操作者」という。)による操作を受け付ける。入力デバイス107は、例えば、キーボード、キーパッド、タッチパッド、マウス又はコントローラーなどである。また、入力デバイス107は、音声入力用のデバイスであっても良い。
【0040】
出力デバイス108は、操作者に各種情報を通知するための画面を表示する。出力デバイス108は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(electro-luminescence)ディスプレイなどのディスプレイである。また、入力デバイス107及び出力デバイス108としては、タッチパネルを用いることもできる。すなわち、タッチパネルが備える表示パネルを出力デバイス108として、タッチパネルが備えるタッチパッドを入力デバイス107として用いることができる。
【0041】
バス109は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、指標算出装置100の各部で授受される信号を伝送する。
【0042】
運行記録装置200は、は、例えばデジタルタコグラフなどである。運送用の車両などは、運行記録装置を搭載する。運行記録装置は、当該車両の運行中の様々な情報を記録する。なお、運行記録装置が記録する情報を、「運行記録データ」というものとする。運行記録データは、例えば、出庫日時、入庫日時、運転時間、拘束時間、労働時間、走行時間、休憩開始日時、休憩終了日時、待機開始日時、待機終了日時、作業開始日時、作業終了日時、荷積み開始日時、荷積み終了日時、荷下ろし開始日時、荷下ろし終了日時などの運転手の行動を表す時間を含む。また、運行記録データは、例えば、走行距離、走行時間、位置の変化、速度の変化、加速度の変化、エンジン回転数の変化などの運転状況に関する情報を含む。
【0043】
以下、実施形態に係る指標算出システム1の動作を
図2~
図4などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
図2~
図4は、指標算出装置100のプロセッサー101による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー101は、例えば、ROM102又は補助記憶装置104などに記憶されたプログラムに基づいて
図2~
図4の処理を実行する。
【0044】
プロセッサー101は、例えば、定期的に
図2に示す処理を開始する。プロセッサー101は、例えば、バッチ処理などとして
図2に示す処理を実行する。
あるいは、プロセッサー101は、コスト指標の算出を開始するように指示する入力があった場合に
図2に示す処理を開始する。当該入力は、例えば、入力デバイス107に対する操作に基づく入力である。あるいは、当該入力は、通信インターフェース106などを介して入力される他の装置からの入力などである。
【0045】
図2のステップST1において指標算出装置100のプロセッサー101は、コスト指標を算出する対象である車両と運転手の組み合わせ、すなわち対象組み合わせを決定する。対象組み合わせは、対象車両と対象運転手の組み合わせである。対象車両は、コスト指標を算出する対象の車両である。対象運転手は、コスト指標を算出する対象の運転手である。プロセッサー101は、例えば、どの車両を対象車両とするか及びどの運転手を対象運転手とするかを操作入力に基づいて決定する。プロセッサー101は、例えば、どの車両を対象車両とするか及びどの運転手を対象運転手とするかを他の装置からの入力に基づいて決定する。
【0046】
ステップST2においてプロセッサー101は、コストDBを参照して対象車両の固定費及び対象車両の変動費を取得する。そして、プロセッサー101は、上記(1)~(6)式などを用いて、対象車両についての1km当たり変動費、1km当たり固定費、1h当たり変動費、1h当たり固定費、1km当たり車両コスト及び1h当たり車両コストを算出する。なお、プロセッサー101は、このうちの一部のみを算出しても良い。
【0047】
プロセッサー101は、算出した1km当たり変動費、1km当たり固定費、1h当たり変動費、1h当たり固定費、1km当たり車両コスト及び1h当たり車両コストを、対象車両の車両IDと関連付けてコストDBに記憶する。
【0048】
なお、プロセッサー101は、対象車両についての1km当たり変動費、1km当たり固定費、1h当たり変動費、1h当たり固定費、1km当たり車両コスト及び1h当たり車両コストのうち、既にコストDBに記憶されている指標については算出しなくても良い。この場合、プロセッサー101は、対象車両についての1km当たり変動費、1km当たり固定費、1h当たり変動費、1h当たり固定費、1km当たり車両コスト及び1h当たり車両コストのうち算出しなかった指標をコストDBから取得する。
【0049】
ただし、プロセッサー101は、コストDBに記憶されている指標が古いデータである場合には、指標を算出し直しても良い。例えば、プロセッサー101は、指標の算出された日が現在日時と比較して所定以上に前である場合に古いデータであるとみなす。例えば、プロセッサー101は、指標の算出に用いられたデータが現在日時と比較して所定以上に前である場合に、古いデータであるとみなす。
【0050】
ステップST3においてプロセッサー101は、コストDBを参照して対象運転手の人件費を取得する。そして、プロセッサー101は、上記(7)式及び(8)式などを用いて1km当たり人件費及び1h当たり人件費を算出する。なお、プロセッサー101は、1km当たり人件費及び1h当たり人件費のいずれかのみを算出しても良い。
【0051】
プロセッサー101は、算出した1km当たり人件費及び1h当たり人件費を、対象運転手の運転手IDと関連付けてコストDBに記憶する。
【0052】
なお、プロセッサー101は、対象運転手についての1km当たり人件費及び1h当たり人件費のうち、既にコストDBに記憶されているものについては算出しなくても良い。この場合、プロセッサー101は、対象運転手についての1km当たり人件費及び1h当たり人件費のうち算出しなかったものをコストDBから取得する。
【0053】
ステップST4においてプロセッサー101は、対象組み合わせについて、上記(8)式及び(9)式などを用いて1km当たり運行コスト及び1h当たり運行コストを算出する。この際、プロセッサー101は、例えば、ステップST2で算出又は取得した1km当たり車両コスト及び1h当たり車両コストと、ステップST3で算出又は取得した1km当たり人件費及び1h当たり人件費を用いる。なお、プロセッサー101は、1km当たり運行コスト及び1h当たり運行コストのいずれかのみを算出しても良い。
【0054】
プロセッサー101は、算出した1km当たり運行コスト及び1h当たり運行コストを、対象車両の車両ID及び対象運転手の運転手IDと関連付けてコストDBに記憶する。プロセッサー101は、ステップST4の処理の後、
図2に示す処理を終了する。
【0055】
なお、プロセッサー101は、対象組み合わせを変更しながら、複数の組み合わせに対して
図2の処理を実行しても良い。
【0056】
1km当たり車両コストは、所定期間にかかる運送用の車両のコストを、所定期間の車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる車両のコストである、距離当たり車両コストの一例である。
【0057】
1h当たり車両コストは、所定期間にかかる車両のコストを、所定期間の車両の走行時間で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる車両のコストである、時間当たり車両コストの一例である。
【0058】
1km当たり運行コストは、所定期間にかかる車両のコスト及び所定期間にかかる車両の運転手の人件費を、所定期間の車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の距離ごとにかかる車両及び運転手のコストである、距離当たり運行コストの一例である。
【0059】
1h当たり運行コストは、所定期間にかかる車両のコスト及び所定期間にかかる運転手の人件費を、所定期間の車両の走行距離で割ることによって求められる、所定の時間ごとにかかる車両及び前記運転手のコストである、時間当たり運行コストの一例である。
【0060】
以上より、プロセッサー101は、ステップST2及びステップST3の少なくともいずれかの処理を行うことで、距離当たり車両コスト、時間当たり車両コスト、距離当たり運行コスト及び時間当たり運行コストの少なくともいずれかを算出する算出部の一例として機能する。
【0061】
プロセッサー101は、例えば、運行コストを表示するように指示する入力があった場合に
図3に示す処理を開始する。当該入力は、例えば、入力デバイス107に対する操作に基づく入力である。あるいは、当該入力は、通信インターフェース106などを介して入力される他の装置からのコマンドなどである。
【0062】
図3のステップST11において指標算出装置100のプロセッサー101は、運行コストを表示する対象(以下「表示対象」という。)を決定する。表示対象は、例えば、1回分の運行である。1回分の運行とは、例えば、出発地から目的地へ行き、元の出発地へ戻ってくるまでの運送である。あるいは、1回分の運行とは、例えば、出発地から目的地までの運送である。1回分の運行には、複数の目的地を含んでも良い。1回分の運行には、複数の出発地を含んでも良い。1回分の運行は、出発地から目的地までの間に、車両から別の車両への荷物の積み替え、又は車両から別の車両へのトレーラーヘッドとシャーシの繋ぎかえなどがあっても良い。また、1回分の運行は、途中で運転手の乗り換えがあっても良い。また、1回分の運行は、鉄道などの自動車以外の運送手段を用いた荷物の運送を含んでも良い。また、1回分の運行の範囲は、操作者によって定められても良い。
また、表示対象は、既に終わった過去の運行であっても良いし、これから行われる予定の運行であっても良いし、架空の運行であっても良い。
【0063】
図5は、出力デバイス108に表示される画面SC1の一例を示す図である。
図5の表T11は、1回分の運行を3つの工程に分割して示している。当該3つの工程を第1-1工程~第1-3工程というものとする。表T11に示す運行の内容の一部を、以下に示す。
発日(積日):2022年6月22日
着日(卸日):2022年6月23日
車番:4989
運転手の運転手ID:1001
【0064】
第1-1工程の内容の一部を以下に示す。
荷主名(運送料金の請求先):荷主B1
運行状態:運行
発地(積地):P11
着地(降地):P12
荷物の品名・積載量:パレット5.6t
請求運賃:52000円
支払運賃:45000円
走行距離:146km
走行時間:2時間32分
【0065】
第1-2工程の内容の一部を以下に示す。
荷主名(運送料金の請求先):無し
運行状態:空車回送
発地(降地):P12
着地(積地):P13
荷物の品名・積載量:無し
請求運賃:無し
支払運賃:無し
走行距離:45km
走行時間:1時間10分
【0066】
第1-3工程の内容の一部を以下に示す。
荷主名(運送料金の請求先):荷主B2
運行状態:運行
発地(積地):P13
着地(降地):P11
荷物の品名・積載量:パレット5.5t
請求運賃:50000円
支払運賃:45000円
走行距離:191km
走行時間:2時間40分
【0067】
なお、請求運賃とは、例えば、荷主などの取引先との間で発生した運賃などを示す。請求運賃は、売掛金である場合もある。また、支払運賃とは、例えば、傭車の提供元などの委託先との間で発生した運賃などを示す。支払運賃は、買掛金である場合もある。
また、運行状態とは、運送の荷物を運んで走る工程であるか否かを示す。運行状態が「運行」である工程は、車両が運送の荷物を積んで走ることを示す。運行状態が「空車回送」である工程は、車両が運送の荷物を積まずに走ることを示す。
【0068】
図5の表T11に示す例では、表示対象のコストデータは、車番4989の車両のコストデータ及び運転手ID1001の運転手のコストデータである。
【0069】
ステップST12においてプロセッサー101は、表示対象についての配車データを取得する。例えば、プロセッサー101は、表示対象に含まれる運行についての配車データを取得する。
【0070】
ステップST13においてプロセッサー101は、表示対象が過去の運行である場合、表示対象の運行記録データを取得する。プロセッサー101は、運行DBから表示対象の運行記録データを取得する。あるいは、プロセッサー101は、入力インターフェース105を介して運行記録装置200から表示対象の運行記録データを取得しても良い。なお、表示対象の運行記録データとは、表示対象の運行を行った車両に搭載された運行記録装置200によって記録された、表示対象の運行が行われた際の運行記録データである。荷物の積み替えなどが発生している場合など、複数台の車両によって1回の運行が行われた場合には、表示対象の運行記録データは、それぞれの車両に搭載された運行記録装置200によって記録されたものである。
【0071】
ステップST14においてプロセッサー101は、表示対象のコストデータをコストDBなどから取得する。なお、プロセッサー101は、表示対象のコストデータがコストDBに記憶されていない場合、
図2の処理を行うことで、表示対象のコストデータを算出する。
【0072】
ステップST15においてプロセッサー101は、表示対象について、合計運行コストを算出する。
【0073】
合計運行コストは、運行の工程又は運行にかかる運行コストを示す指標である。なお、合計運行コストが対象とする工程又は運行は、1つの工程又は1つの運行に限らず、2以上の工程又は2以上の運行であっても良い。合計運行コストには、合計運行コスト(時間)と合計運行コスト(距離)の2種類がある。ある工程の合計運行コスト(時間)は、当該工程の1h当たり運行コストに、当該工程にかかる走行時間をかけたものである。すなわち、合計運行コスト(時間)は、下式によって求めることができる。
(合計運行コスト(時間))=(1h当たり運行コスト)×(走行時間) (11)
【0074】
例えば、
図5に示す第1-1工程の1h当たり運行コストは、12750円である。また、第1-1工程の走行時間は、2時間32分である。したがって、この場合、合計運行コスト(時間)は、12750[円/時間]×2時間32分=32300[円]より32300円である。
【0075】
ある工程の合計運行コスト(距離)は、当該工程の1km当たり運行コストに、当該工程の走行距離又は走行距離をかけたものである。すなわち、合計運行コスト(距離)は、下式によって求めることができる。
(合計運行コスト(距離))=(1km当たり運行コスト)×(走行距離) (12)
【0076】
例えば、
図5に示す第1-1工程の1km当たり運行コストは、200円である。また、第1-1工程の走行距離は、146kmである。したがって、この場合、合計運行コスト(距離)は、200[円/km]×146[km]=29200[円]より29200円である。
【0077】
合計運行コスト(距離)は、距離当たり運行コストに、車両を用いた運行又は運行の一部である工程における車両の走行距離をかけた、第1の運行コストの一例である。
合計運行コスト(時間)は、時間当たり運行コストに、車両を用いた運行又は運行の一部である工程における車両の走行時間をかけた、第2の運行コストの一例である。
【0078】
したがって、プロセッサー101は、ステップST15の処理を行うことで、第1の運行コストを算出する算出部の一例として機能する。また、プロセッサー101は、ステップST15の処理を行うことで、第2の運行コストを算出する算出部の一例として機能する。
【0079】
ステップST16においてプロセッサー101は、運賃差異を算出する。運賃差異は、運行の工程又は運行について、合計運行コストと、運賃との差異を示す指標である。したがって、運賃差異は、運行の工程又は運行について、利益を示す指標である。なお、運賃差異が対象とする工程又は運行は、1つの工程又は1つの運行に限らず、2以上の工程又は2以上の運行であっても良い。運賃差異には、運賃差異(時間)と運賃差異(距離)の2種類がある。ある工程の運賃差異(時間)は、当該工程の運賃から、当該工程の合計運行コスト(時間)を引いたものである。すなわち、運賃差異(時間)は、下式によって求めることができる。
(運賃差異(時間))=(運賃)-(合計運行コスト(時間)) (13)
【0080】
例えば、
図5に示す第1-1工程の運賃は、52000円である。また、第1-1工程の合計運行コスト(時間)は、32300円である。したがって、第1-1工程の運賃差異(時間)は、52000[円]-32300[円]=19700[円]より、19700円である。
【0081】
ある工程の運賃差異(距離)は、当該工程の運賃から、当該工程の合計運行コスト(距離)を引いたものである。すなわち、運賃差異(距離)は、下式によって求めることができる。
(運賃差異(距離))=(運賃)-(合計運行コスト(距離)) (14)
【0082】
例えば、
図5に示す第1-1工程の運賃は、52000円である。また、第1-1工程の合計運行コスト(距離)は、29200円である。したがって、第1-1工程の運賃差異(距離)は、52000[円]-29200[円]=22800[円]より、22800円である。
【0083】
なお、空車回送については通常、運賃は0円として扱う。例えば、
図5に示す第1-2工程の運賃差異(時間)は、合計運行コスト(時間)が14875円であるので、0[円]-14875[円]=-14875[円]より、-14875円である。
【0084】
運賃差異(距離)は、運行又は工程の運賃から、第1の運行コストを引いた第1の運賃差異の一例である。
運賃差異(時間)は、運行又は工程の運賃から、第2の運行コストを引いた第2の運賃差異の一例である。
【0085】
したがって、プロセッサー101は、ステップST16の処理を行うことで、第1の運賃差異を算出する算出部の一例として機能する。また、プロセッサー101は、ステップST16の処理を行うことで、第2の運賃差異を算出する算出部の一例として機能する。
【0086】
ステップST17においてプロセッサー101は、
図5に示すような画面SC1に対応した画像を生成する。そして、プロセッサー101は、生成したこの画像を表示するように出力デバイス108に対して指示する。表示の指示を受けて出力デバイス108は、画面SC1を表示する。
【0087】
画面SC1は、例えば、表T11、表T12、及びボタンB11~ボタンB13を含む。
【0088】
表T11は、表示対象の運行の内容を、工程ごとに表示するための表である。表T11は、表示対象が、予定の運行又は架空の運行である場合、各工程に使用する車両及び担当する運転手の変更が可能である。例えば、各工程の車番の部分を操作することで、異なる車番の車両に変更が可能である。また、例えば、各工程の運転手(ID)の部分を操作することで、異なる運転手IDの運転手に変更が可能である。
【0089】
表T12は、表示対象についての指標などを、工程ごとに表示する表である。
図5の表T12には、各工程について走行距離、走行時間、1h当たり運行コスト、合計運行コスト(時間)、運賃差異(時間)、1km当たり運行コスト、合計運行コスト(距離)、運賃差異(距離)を示している。また、表T12には、複数の工程を合わせた工程の指標なども示している。
図5では、第1-1工程と第1-2工程を合わせた工程、第1-2工程と第1-3工程を合わせた工程、及び第1-1工程~第1-3工程を合わせた工程についての指標などを示している。なお、第1-1工程~第1-3工程を合わせた工程は、すなわち、1回分の運行である。
【0090】
また、表T12は、1km当たり変動費、1km当たり固定費、1h当たり変動費、1h当たり固定費、1h当たり車両コスト、1km当たり車両コスト、1h当たり人件費及び1km当たり人件費なども表示しても良い。
【0091】
ボタンB11は、表示対象の運行について、工程又は運行に使用する車両及び担当する運転手の少なくともいずれかを変更した場合に操作者が操作するためのボタンである。ボタンB11は、表T12に表示される各指標を、変更後の車両及び運転手を用いたものに更新させる場合に操作者が操作するためのボタンである。
操作者は、例えば、工程又は運行に使用する車両及び担当する運転手の少なくともいずれかを変更する操作を行った後、ボタンB11を操作する。
【0092】
ボタンB12は、表示対象の運行について、運行に使用する車両及び担当する運転手の少なくともいずれかを変更した場合に、変更内容を指標算出装置100に記憶させることで、変更内容を反映させる場合に操作者が操作するためのボタンである。
ボタンB13は、画面SC1の表示を終了させる場合に操作者が操作するためのボタンである。
【0093】
以上より、プロセッサー101は、出力デバイス108と協働して、ステップST17の処理を行うことで、算出部によって算出された距離当たり車両コスト、時間当たり車両コスト、距離当たり運行コスト及び時間当たり運行コストの少なくともいずれかを表示する表示部の一例として機能する。
【0094】
また、プロセッサー101は、出力デバイス108と協働して、ステップST17の処理を行うことで、第1の運行コスト及び第1の運賃差異の少なくともいずれかを表示する表示部の一例として機能する。
また、プロセッサー101は、出力デバイス108と協働して、ステップST17の処理を行うことで、第2の運行コスト及び第2の運賃差異の少なくともいずれかを表示する表示部の一例として機能する。
【0095】
図2のステップST18において指標算出装置100のプロセッサー101は、変更後の車両及び運転手を用いた指標に更新させる操作が行われたか否かを判定する。すなわちプロセッサー101は、ボタンB11を操作するなどの予め定められた操作が行われたか否かを判定する。プロセッサー101は、表示対象の運行について、運行に使用する車両及び担当する運転手の少なくともいずれかを変更する操作が行われないならば、ステップST18においてNoと判定してステップST19へと進む。
【0096】
ステップST19においてプロセッサー101は、車両及び運転手の変更内容を記憶する操作が行われたか否かを判定する。すなわちプロセッサー101は、ボタンB12を操作するなどの予め定められた操作が行われたか否かを判定する。プロセッサー101は、車両及び運転手の変更内容を記憶する操作が行われないならば、ステップST19においてNoと判定してステップST20へと進む。
【0097】
ステップST20においてプロセッサー101は、画面SC1の表示を終了する操作が行われたか否かを判定する。すなわちプロセッサー101は、ボタンB13を操作するなどの予め定められた操作が行われたか否かを判定する。プロセッサー101は、画面SC1の表示を終了する操作が行われないならば、ステップST20においてNoと判定してステップST18へと戻る。かくして、プロセッサー101は、変更後の車両及び運転手を用いた指標に更新させる操作が行われるか、車両及び運転手の変更内容を記憶する操作が行われるか、画面SC1の表示を終了する操作が行われるまでステップST18~ステップST20を繰り返す待受状態となる。
【0098】
プロセッサー101は、ステップST18~ステップST20の待受状態にあるときに変更後の車両及び運転手を用いた指標に更新させる操作が行われたならば、ステップST18においてYesと判定してステップST13へと戻る。
【0099】
プロセッサー101は、ステップST18からステップST13に戻ったならば、変更後の車両及び運転手を用いてステップST13~ステップST17の処理を実行する。
【0100】
プロセッサー101は、ステップST18~ステップST20の待受状態にあるときに車両及び運転手の変更内容を記憶する操作が行われたならば、ステップST19においてYesと判定してステップST21へと進む。
【0101】
ステップST21においてプロセッサー101は、例えば、表示対象の配車データを書き換えることで、変更後の車両及び運転手を、運行DBなどに記憶する。これにより、運行の予定が書き換わり、当該運行に使用される車両及び担当する運転手が変更後のものとなる。プロセッサー101は、ステップST21の処理の後、ステップST18へと戻る。
【0102】
プロセッサー101は、ステップST18~ステップST20の待受状態にあるときに画面SC1の表示を終了する操作が行われたならば、ステップST20においてYesと判定して
図3に示す処理を終了する。
【0103】
プロセッサー101は、例えば、定期的に
図4に示す処理を開始する。プロセッサー101は、例えば、バッチ処理などとして
図4に示す処理を実行する。
あるいは、プロセッサー101は、指標を算出するように指示する入力があった場合に
図4に示す処理を開始する。当該入力は、例えば、入力デバイス107に対する操作に基づく入力である。あるいは、当該入力は、通信インターフェース106などを介して入力される他の装置からのコマンドなどである。
【0104】
図4のステップST31において指標算出装置100のプロセッサー101は、各指標を算出する対象(以下「算出対象」という。)を決定する。算出対象は、例えば、1回分の運行である。算出対象は、既に終わった過去の運行であっても良いし、これから行われる予定の運行であっても良いし、架空の運行であっても良い。
【0105】
プロセッサー101は、例えば、
図4の処理によって算出される各指標を未算出である運行の中から1つを算出対象として決定する。なお、プロセッサー101は、どの運行を算出対象とするかを指定する入力を受けた場合には、当該入力で指定された運行を算出対象とする。
【0106】
図4のステップST32において指標算出装置100のプロセッサー101は、算出対象の配車データを取得する。プロセッサー101は、例えば、運行DBから算出対象の配データを取得する。あるいは、プロセッサー101は、入力インターフェース105を介して、配車データを記憶するシステム又は装置などから算出対象の配車データを取得しても良い。なお、算出対象の配車データとは、算出対象の運行についての配車データである。
【0107】
図6を用いて、算出対象の配車データについて説明する。
図6は、出力デバイス108に表示される画面SC2の一例を示す図である。
【0108】
画面SC2は、一例として、表T21~表T24を含む。表T21を用いて算出対象の配車データについて説明する。表T21は、算出対象の1回分の運行についての情報の一部又は全部を表の形式で表したものである。
【0109】
図6の表T21に示す運行の内容の一部を、以下に示す。
発日(積日):2021年8月1日
着日(卸日):2021年8月2日
荷主名(運送料金の請求先):A社
荷主への請求金額:25万円
請求金額の合計:25万円
運送する物の品名:飲料
運送する物の数量:20000本
積地:場所P1
第1経由地:場所P2
第2経由地:場所P3
降地:場所P3
【0110】
1回分の運行は、変化点毎に分けることができる。変化点とは、例えば、乗務員の乗り換え、荷物の積み替え、荷物の積み下ろし及びトレーラーヘッドとシャーシとの繋ぎかえなどである。また、その他の事象を変化点としても良い。例えば、事象の前後で車両変動費及び車両固定費の少なくともいずれかが変化するような場合は、変化点とすることが好ましい。また、運送している荷物の一部が変化したような場合も変化点とすることが好ましい。また、運送する車両が変化する場合も変化点とすることが好ましい。しかしながら、このような条件を満たさないような任意の点を変化点とすることも可能である。
【0111】
表T21では、1回分の運行を、2つの変化点によって3つの工程に分割して示している。表T21に示す運行の変化点は、第1経由地での荷物の積み替え及び第2経由地での荷物の積み替えである。すなわち、表T21は、1回分の運行を、積地から第1経由地まで、第1経由地から第2経由地まで、及び第2経由地から降地までの3つの工程に分割して示している。以下、積地から第1経由地までを「第2-1工程」、第1経由地から第2経由地までを「第2-2工程」、第2経由地から降地までを「第2-3工程」というものとする。
【0112】
第2-1工程では、自社が運用する車両(以下「自車」という。)を用いて運送した。
第2-2工程では、傭車を用いて運送した。
第2-3工程では、自車を用いて運送した。ただし、第2-3工程で用いた車両は、第2-1工程で用いた車両とは異なる。
【0113】
図4のステップST33において指標算出装置100のプロセッサー101は、算出対象が過去の運行である場合、算出対象の運行記録データを取得する。プロセッサー101は、運行DBから算出対象の運行記録データを取得する。あるいは、プロセッサー101は、入力インターフェース105を介して運行記録装置200から算出対象の運行記録データを取得しても良い。なお、算出対象の運行記録データとは、算出対象の運行を行った車両に搭載された運行記録装置200によって記録された、算出対象の運行が行われた際の運行記録データである。荷物の積み替えなどが発生している場合など、複数台の車両によって1回の運行が行われた場合には、算出対象の運行記録データは、それぞれの車両に搭載された運行記録装置200によって記録されたものである。
【0114】
図6の表T21に示す例では、算出対象の運行記録データは、第2-1工程~第2-3工程のそれぞれにおいて用いられた車両についての運行記録データである。第2-1工程において用いられた車両の、算出対象の運行記録データは、走行距離が150kmで走行時間が15時間であることを示す。第2-2工程において用いられた車両の、算出対象の運行記録データは、走行距離が200kmで走行時間が20時間であることを示す。第2-3工程において用いられた車両の、算出対象の運行記録データは、走行距離が150kmで走行時間が13時間であることを示す。なお、各工程の走行距離は、その工程において車両が走行した距離を示す。また、各工程の走行時間は、その工程にかかった時間を示す。
【0115】
図4のステップST34において指標算出装置100のプロセッサー101は、算出対象のコストデータをコストDBなどから取得する。算出対象のコストデータは、算出対象の運行に使用される車両及び当該車両を運転する運転手についてのコストデータである。
図6の表T21に示す例では、算出対象のコストデータは、第2-1工程に用いられた自車及び第2-3工程に用いられた自車についてのコストデータである。傭車については、1回の運行で使用する金額は固定であるので、コストデータを取得する必要はない。表T21の例では、第2-2工程の傭車の使用料金は50000円である。
【0116】
図4のステップST35において指標算出装置100のプロセッサー101は、各工程について工程変動費を算出する。工程変動費は、1つの工程にかかった自車の変動費である。工程変動費は、工程で用いられた車両の車両変動費に、工程で用いられた車両の走行距離を掛けたものである。すなわち、
(工程変動費)=(車両変動費)×(走行距離) (15)
である。
【0117】
例えば、第2-1工程の工程変動費は、360×150=54000で54000円である。第2-3工程の工程変動費は、370×150=55500で55500円である。第2-2工程については、傭車のみを使用しているので工程変動費を算出するには及ばない。
【0118】
また、プロセッサー101は、運行変動費を算出する。運行変動費は1回分の運行の工程変動費の合計である。
例えば、
図6の表T21に示す例では、運行変動費は、54000+55500=1095000で109500円である。
【0119】
図4のステップST36において指標算出装置100のプロセッサー101は、各工程について工程固定費を算出する。工程固定費は、1つの工程にかかった自車の固定費である。工程固定費は、工程で用いられた車両の車両固定費に、工程で用いられた車両の走行時間をかけたものである。すなわち、
(工程固定費)=(車両固定費)×(走行時間) (16)
である。
【0120】
例えば、第2-1工程の工程固定費は、500×15=7500で7500円である。第2-3工程の工程固定費は、800×130=10400で10400円である。第2-2工程については、傭車のみを使用しているので工程固定費を算出するには及ばない。
【0121】
また、プロセッサー101は、運行固定費を算出する。運行固定費は1回分の運行の工程変動費の合計である。
例えば、
図6の表T21に示す例では、運行固定費は、7500+10400=17900で17900円である。
【0122】
ステップST37においてプロセッサー101は、各工程について工程コストを算出する。工程コストは、工程にかかるコストを表す。自車を使用している場合の工程コストは、工程変動費と工程固定費の合計である。傭車を使用している場合の工程コストは、傭車の使用料金である。
図6の例では、第2-1工程の工程コストは、54000+7500=61500で615000円である。第2-2工程については、傭車のみを使用しているので工程コストは、50000円である。第2-3工程の工程コストは、55500+10400=65900で65900円である。
【0123】
また、プロセッサー101は、運行コストを算出する。運行コストは、1回の運行にかかるコストを表す。運行コストは、工程コストの合計である。
図6の例では、運行コストは、61500+50000+65900=177400で177400円である。
【0124】
図4のステップST38において指標算出装置100のプロセッサー101は、1回の運行で運ぶ荷物が複数の荷主の荷物を含む場合、各工程について工程荷主別運賃を算出する。工程荷主別運賃は、荷主別運賃を走行距離又は走行時間によって工程別に按分した金額である。なお、荷主別運賃は、1回の運行における各荷主の運賃である。
【0125】
工程荷主別運賃を、走行距離を用いて求める場合、第n工程の走行距離をD_nと置き、
(第n工程の第m荷主の工程荷主別運賃)=(第m荷主の荷主別運賃)×((D_n)/Σ(D_m)) (17)
である。ここで、Σ(D_m)は、第m荷主の荷物を積んで走行した工程の走行距離の合計である。また、nは、1≦n≦Nの整数である。また、mは、1≦m≦Mの整数である。また、Nは、1回の運行の工程の数である。Mは、1回の運行で運ぶ荷物の荷主の総数である。すなわち、1回の運行で運ぶ荷物の荷主の数は、第1荷主~第M荷主のM者である。
【0126】
例えば、
図6の例に示す運行で運ぶ荷物は、第1荷主~第3荷主の3つの荷主の荷物であるとする。また、第2-1工程は、第1荷主及び第2荷主の荷物、第2-2工程は第1荷主~第3荷主の荷物、第2-3工程は第1荷主及び第3荷主の荷物であるとする。また、第1荷主の運賃を150000円、第2荷主の運賃を65000円、第3荷主の運賃を35000円とする。なお、運賃の合計は、250000円である。
【0127】
この場合、各工程荷主別運賃は、以下のようになる。
第2-1工程の第1荷主の工程荷主別運賃は、150000×(150/(150+200+150))=45000で45000円である。
第2-1工程の第2荷主の工程荷主別運賃は、65000×(150/(150+200))≒27857で27857円である。
第2-1工程の第3荷主の工程荷主別運賃は、0円である。
【0128】
第2-2工程の第1荷主の工程荷主別運賃は、150000×(200/(150+200+150))=60000で60000円である。
第2-2工程の第2荷主の工程荷主別運賃は、65000×(200/(150+200))≒37143で37143円である。
第2-2工程の第3荷主の工程荷主別運賃は、35000×(200/(150+200))=20000で20000円である。
【0129】
第2-3工程の第1荷主の工程荷主別運賃は、150000×(150/(150+200+150))=45000で45000円である。
第2-3工程の第2荷主の工程荷主別運賃は、0円である。
第2-3工程の第3荷主の工程荷主別運賃は、35000×(150/(150+200))=15000で15000円である。
【0130】
工程荷主別運賃を、走行時間を用いて求める場合、第n工程の総労働距離をT_nと置き、
(第n工程の第m荷主の工程荷主別運賃)=(第m荷主の荷主別運賃)×((T_n)/Σ(T_m)) (18)
である。ここで、Σ(T_m)は、第m荷主の荷物を積んで走行した工程の走行時間の合計である。
【0131】
図4のステップST39において指標算出装置100のプロセッサー101は、各工程について、第1種工程運賃及び第2種工程運賃を算出する。第1種工程運賃及び第2種工程運賃は、各工程の運賃を表す。第1種工程運賃は、工程荷主別運賃の合計である。すなわち、
(第n工程の第1種工程運賃)=Σ(第n工程の第m荷主の工程荷主別運賃)
である。
【0132】
ステップST38における例では、各工程の第1種工程運賃は、以下のようになる。ただし、ここでの第1種工程運賃は、走行距離を用いて求めた値を用いるものとするが、走行時間を用いて求めた値であっても良い。
第2-1工程の第1種工程運賃は、45000+27857=72857で72857円である。
第2-2工程の第1種工程運賃は、60000+37142+20000=117143で117143円である。
第2-3工程の第1種工程運賃は、45000+15000=60000で60000円である。
【0133】
第2種工程運賃は、走行距離を用いて求める場合
(第n工程の第2種工程運賃)=(運賃の合計)×((D_n)/ΣD) (19)
である。ここで、ΣDは、1回の運行中の全ての工程の走行距離の合計である。換言すると、ΣDは、1回の運行の走行距離である。
あるいは、第2種工程運賃は、走行時間を用いて求める場合、
(第n工程の第2種工程運賃)=(運賃の合計)×((T_n)/ΣT) (20)
である。ここで、ΣTは、1回の運行中の全ての工程の走行時間の合計である。換言すると、ΣTは、1回の運行の走行時間である。
【0134】
なお、荷主の数が1である場合には、各工程の第1種工程運賃、第2種工程運賃及び工程荷主別運賃は同じ値となる。ただし、走行距離を用いて求めた値と走行時間を用いて求めた値が混在していないものとする。
【0135】
例えば、
図6の例では、走行距離を用いて求める場合の第2-1工程の第2種工程運賃は、250000×(150/(150+200+150))=75000で75000円である。また、第2-2工程の第2種工程運賃は、250000×(200/(150+200+150))=100000で100000円である。そして、第2-3工程の第2種工程運賃は、250000×(150/(150+200+150))=75000で75000円である。
【0136】
図4のステップST40において指標算出装置100のプロセッサー101は、各工程の利益及び利益率を算出する。なお、工程の利益を以下「工程利益」という。また、工程の利益率を以下「工程利益率」という。工程利益は、工程運賃から工程コストを引いたものである。すなわち、
(工程利益)=(工程運賃)-(工程コスト) (21)
である。ここで、工程運賃は、第1種工程運賃又は第2種工程運賃のいずれかである。第1種工程運賃を用いた場合の工程利益を、第1種工程利益といい、第2種工程運賃を用いた場合の工程利益を、第2種工程利益というものとする。
【0137】
例えば、ステップST38における例では、第2-1工程の第1種工程利益は、72857-61500=11357で11357円である。第2-2工程の第1種工程利益は、117143-50000=67143で67143円である。第2-3工程の第1種工程利益は、60000-65900=-5900で-5900円である。
例えば、
図6の例では、第2-1工程の第2種工程利益は、75000-61500=13500で13500円である。第2-2工程の第2種工程利益は、100000-50000=50000で50000円である。第2-3工程の第2種工程利益は、75000-65900=9100で9100円である。
【0138】
また、工程利益率は、
(工程利益率)=(工程利益)÷(工程運賃) (22)
である。ここで、工程利益は、第1種工程利益及び第2種工程利益のいずれかである。第1種工程利益を用いた場合の工程利益率を、第1種工程利益率、第2種工程利益を用いた場合の工程利益率を、第2種工程利益率というものとする。
【0139】
例えば、ステップST38における例では、第2-1工程の第1種工程利益率は、11357÷72857≒0.156で15.6%である。第2-2工程の第1種工程利益率は、67143÷117143≒0.573で57.3%である。第2-3工程の第1種工程利益率は、-5900÷60000≒-0.098で-9.8%である。
例えば、
図6の例では、第2-1工程の第2種工程利益率は、13500÷75000=0.18で18%である。第2-2工程の第2種工程利益率は、50000÷100000=0.5で50%である。第2-3工程の第2種工程利益率は、9100÷75000≒0.121で12.1%である。
【0140】
また、プロセッサー101は、各工程について、第3種工程利益率も算出する。第3種工程利益率は、
(第3種工程利益率)=(第2種工程利益)÷(運賃の合計) (23)
である。
【0141】
例えば、
図6の例では、第2-1工程の第3種工程利益率は、13500÷250000=0.054で5.4%である。第2-2工程の第3種工程利益率は、50000÷250000=0.2で20%である。第2-3工程の第3種工程利益率は、9100÷250000≒0.036で3.6%である。
【0142】
さらに、プロセッサー101は、自車利益及び傭車利益を求める。自車利益は、自車を用いた工程の利益の合計である。なお、第1種工程利益を合計した自車利益を第1種自車利益、第2種工程利益を合計した自車利益を第2種自車利益というものとする。また、傭車利益は、傭車を用いた工程の利益の合計である。なお、第1種工程利益を合計した傭車利益を第1種傭車利益、第2種工程利益を合計した傭車利益を第2種傭車利益というものとする。
【0143】
例えば、ステップST38における例では、第1種自車利益は、11357+(-5900)=5457で5457円である。第2種自車利益は、13500+9100=22600で22600円である。第1種傭車利益は、67143円である。第2種傭車利益は、50000円である。
【0144】
さらに、プロセッサー101、合計利益を算出する。合計利益は、運賃の合計から運行コストを引いたものである。あるいは、合計利益は、工程の利益を合計したものである。どちらでも同じ値となる。
例えば、
図6の例では、合計利益は、250000-177400=72600で72600円となる。
【0145】
また、プロセッサー101は、合計利益率を算出する。合計利益率は、合計利益を運賃の合計で割ったものである。
例えば、
図6の例では、合計利益率は、72600÷250000≒0.290で29.0%となる。
【0146】
図4のステップST41において指標算出装置100のプロセッサー101は、ステップST35~ステップST40で算出した各値を運行DBに記憶する。
【0147】
ステップST42においてプロセッサー101は、
図6に示すような画面SC2に対応した画像を生成する。そして、プロセッサー101は、生成したこの画像を表示するように出力デバイス108に対して指示する。表示の指示を受けて出力デバイス108は、画面SC2を表示する。
【0148】
実施形態の算出装置100は、1km当たり車両コスト、1h当たり車両コスト、1km当たり運行コスト及び1h当たり運行コストの少なくともいずれかの指標を算出する。経営者及び担当者などは、1km当たり車両コスト、1h当たり車両コスト、1km当たり運行コスト及び1h当たり運行コストなどの指標を用いることによって、運行について、案件ごと、工程ごと、及び運行ごとなどの利益及びコストなどを把握しやすくなる。また、このような指標は、貨物自動車運送事業においてKPIなどとして用いることができる。
【0149】
また、実施形態の算出装置100は、各種指標を出力デバイス108に表示させる。これにより、出力デバイス108を見た者は、運行の利益及びコストなどを把握しやすい。
【0150】
また、実施形態の算出装置100は、合計運行コストを算出する。経営者及び担当者などは、合計運行コストを用いることで、運行の利益及びコストなどを把握しやすくなる。
【0151】
また、実施形態の算出装置100は、運賃差異を算出する。経営者及び担当者などは、合計運行コストを用いることで、運行の利益及びコストなどを把握しやすくなる。
【0152】
また、実施形態の算出装置100は、工程変動費、工程固定費、工程コスト、工程荷主別運賃、第1種工程運賃、第2種工程運賃、第1種工程利益、第2種工程利益、及び第1種工程利益率~第3種工程利益率などの様々な指標を算出することができる。このような指標は、貨物自動車運送事業で用いることができる指標である。また、このような指標は、貨物自動車運送事業においてKPIなどとして用いることができる。
【0153】
走行距離及び労働時間が同じ条件の案件を比較しても、輸送車両及び運転手の少なくともいずれかが変われば変動費及び固定費が変わる。工程コストなどを用いることで、粗利益を把握し、自社コスト削減対策、自社車両繰りの改善、及び傭車化の検討など経営改善に繋げると同時に、荷主へ運賃交渉を行い適正運賃の交渉に繋げることができる。
【0154】
走行距離及び労働時間が同じ条件の案件でも、車両及び運転手の少なくともいずれかが異なれば変動費及び固定費が変わるため、粗利益を把握することが難しい。実施形態の算出装置100は、工程コストを算出することにより、粗利益などの把握をしやすくする。また、粗利益の把握は、自社コスト削減対策、自社車両繰りの改善、傭車化の検討などによる経営改善に繋がり、また、荷主への運賃の適正化の交渉にも繋がる。
【0155】
上記の実施形態は、以下のような変形も可能である。
上記の実施形態では、指標算出装置100は、合計運行コスト(時間)及び運賃差異(時間)と、合計運行コスト(距離)及び運賃差異(距離)との両方を出力デバイス108に表示する。しかしながら、指標算出装置100は、いずれかだけの表示であっても良い。
【0156】
上記の実施形態では、指標算出システム1は、1h当たり変動費、1h当たり固定費、1h当たり車両コスト、1h当たり人件費及び1h当たり運行コストなどのように、1時間当たりのコストなどを示す各種指標を用いる。しかしながら、各指標に用いる時間の長さは1時間には限らない。例えば、1時間に代えて1分又は2時間などを用いることもできる。各指標に用いる時間の長さは、所定の時間の一例である。
【0157】
上記の実施形態では、指標算出システム1は、1km当たり変動費、1km当たり固定費、1km当たり車両コスト、1km当たり人件費及び1km当たり運行コストなどのように、1km当たりのコストなどを示す各種指標を用いる。しかしながら、各指標に用いる距離は、1kmには限らない。例えば、1kmに代えて、1メートル、2km又は1マイルなどを用いることができる。各指標に用いる距離は、所定の距離の一例である。
【0158】
上記の実施形態では自車と傭車を用いる場合を例にした。しかしながら、1回の運行は、鉄道での輸送など、自車及び傭車以外の方法での運送を含んでも良い。鉄道で輸送を行う工程は、走行距離及び走行時間の取得ができない。指標算出装置100は、走行距離及び走行時間の取得ができない工程については、例えば、走行距離及び走行時間を0として各値を算出する。あるいは、指標算出装置100は、例えば、工程の開始時刻から工程の終了時刻までの時間を、走行時間とする。
【0159】
プロセッサー101は、上記実施形態においてプログラムによって実現する処理の一部又は全部を、回路のハードウェア構成によって実現するものであっても良い。
【0160】
実施形態の処理を実現するプログラムは、例えば装置に記憶された状態で譲渡される。しかしながら、当該装置は、当該プログラムが記憶されない状態で譲渡されても良い。そして、当該プログラムが別途に譲渡され、当該装置へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、リムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはインターネット又はLANなどのネットワークを介したダウンロードによって実現できる。
【0161】
以上、本発明の実施形態を説明したが、例として示したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施可能である。
【符号の説明】
【0162】
1 指標算出システム
100 指標算出装置
101 プロセッサー
102 ROM
103 RAM
104 補助記憶装置
105 入力インターフェース
106 通信インターフェース
107 入力デバイス
108 出力デバイス
109 バス
200 運行記録装置