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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047046
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】圧電発振器
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20240329BHJP
   G04G 3/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H03B5/32 Z
H03B5/32 H
G04G3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152458
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 重善
【テーマコード(参考)】
2F002
5J079
【Fターム(参考)】
2F002AA04
2F002AC01
2F002CB03
2F002CB06
5J079AA04
5J079AB03
5J079AB04
5J079AB08
5J079BA44
5J079FA01
5J079HA03
5J079HA07
5J079KA02
(57)【要約】
【課題】32.768kHzの信号を2出力、及びMHzの信号を1出力生成することが可能な圧電発振器を提供する。
【解決手段】圧電発振器10は、第1圧電振動子61aが接続される圧電端子60a、60b、第1圧電振動子用の発振回路61、発振回路の第1周波数信号を出力する出力端子60c、第1周波数より低周波の第2周波数信号を生成するCR発振回路63、及び、第2周波数信号を出力する出力端子60dを備える半導体チップ60と、第2圧電振動子用の圧電端子70a、70b、第2圧電振動子用の発振回路73、発振回路の出力信号を分周する分周回路75、分周回路の出力信号を出力する出力端子70c、及び、圧電端子70a、70bのうちの一方を分周回路の入力に接続している内部配線70dを備える第2半導体チップ70と、圧電振動子61aと、第1半導体チップ及び第2半導体チップ間を接続している所定の配線11と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1圧電振動子が接続される第1圧電端子及び第2圧電端子、前記第1圧電振動子用の発振回路、前記発振回路の出力である第1周波数信号を出力する第1出力端子、記第1周波数より低周波の第2周波数信号を生成する信号生成回路、及び、前記第2周波数信号を出力する第2出力端子を備える第1半導体チップと、
第2圧電振動子用の第3圧電端子及び第4圧電端子、前記第2圧電振動子用の発振回路、前記発振回路の出力信号を分周する分周回路、前記分周回路の出力信号を出力する第3出力端子、及び、前記第3圧電端子及び前記第4圧電端子のうちの一方を前記分周回路の入力に接続している内部配線を備える第2半導体チップと、
当該第1圧電振動子と、
前記第3圧電端子及び前記第4圧電端子のうちの前記分周回路に接続されている圧電端子並びに前記第1出力端子を接続している配線と、
を備えたことを特徴とする圧電発振器。
【請求項2】
前記第1圧電振動子が、MHz帯で振動するものであり、
前記分周回路が、前記MHz帯の第1圧電振動子からkHz帯の信号を生成する分周段を有するものであり、
前記信号生成回路がkHz帯の信号を生成するものであること
を特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
【請求項3】
前記圧電発振器は、前記第1半導体チップ及び前記第2半導体チップを平面的に実装している基板又は容器を備え、かつ、
前記第1半導体チップ及び前記第2半導体チップは、前記第1出力端子と、前記第3圧電端子及び前記第4圧電端子のうちの前記分周回路に接続されている圧電端子とが、最近接するように、前記基板上又は前記容器内に配置してあること
を特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
【請求項4】
前記圧電発振器は、前記第1半導体チップ及び前記第2半導体チップを平面的に実装している基板又は容器を備え、かつ、
前記基板又は容器の、前記第2出力端子と前記第3出力端子との間に当たる領域に、グランド配線を引き回してあること
を特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の半導体チップを使用して、32.768kHzの信号を2出力、及びMHzの信号を1出力生成する圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
基準発振信号を生成するために、圧電発振器、典型的には水晶発振器を用いることが知られている。その中でも、時計に使用される32.768kHzの発振信号を生成する圧電発振器について、特許文献1、非特許文献1及び特許文献2に記載されている。
先ず、特許文献1には、水晶発振回路から生成されるMHz帯の第1信号と、CR発振回路から生成される32kHz帯の第2信号と、を生成出来る圧電発振器の例が記載されている。また、非特許文献1には、特許文献2に開示された圧電発振器のより具体的な製品例が記載されている。特許文献2及び非特許文献1に記載の圧電発振器、特に非特許文献1に記載の圧電発振器内の半導体チップ部は、簡単にブロック図化すると、図5(a)に示すものである。すなわち、半導体チップ60は、外付けされる圧電振動子61aと協働して発振部を構成する発振回路61と、CR発振回路63とを備えるものである。
また、特許文献2には、外部からの信号または自身が持つ発振部の信号のいずれかを出力する発振部と、発振部の信号を分周する分周器と、を備える圧電発振器の例が記載されている。特許文献2に記載の圧電発振器の半導体チップ部は、簡単にブロック図化すると、図5(b)に示すものである。すなわち、特許文献2に記載されている半導体チップ70は、外部の周波数信号を受ける入力部71と、圧電振動子73aを備える発振回路73と、分周回路75とを備えている(特許文献2の段落0006)。この半導体チップ70は、入力部71に所定精度の信号が入力されている場合、その信号を分周回路75に出力し、そうで無い場合、発振回路73の出力信号を、分周回路75に出力する(特許文献2の段落0018、0019)。分周回路75は、発振回路73から出力される信号の分周信号である32.768KHzの信号を外部に出力する(特許文献2の段落0024)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5266168号公報
【非特許文献1】セイコーNPC株式会社ホームページ,7701シリーズ[2波出力水晶発振器用IC],[online],[2022年9月26日検索],インターネット<URL:https://www.npc.co.jp/products/444>
【特許文献2】特開2018-011163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば付加機能がある時計用に圧電発振器を使用する際、時刻を刻むための32.768kHz出力の圧電発振器と、付加機能として例えばストップウォッチ等に使用するための32.768kHz出力の圧電発振器と、の2つのkHz出力の圧電発振器が必要になる。しかも、その時計の内部に備わる通信手段のため、MHz帯の所定周波数の信号を出力する圧電発振器も必要になる。
このような要求を実現するため、カスタムの半導体チップを作る策も考えられるが、カスタム化に要する費用が嵩むとか、カスタムの半導体チップの開発期間が必要等の問題点がある。
別の策として、図5(a)及び(b)に示した半導体チップをそれぞれ用いることも考えられる。しかし、その策の場合は、圧電振動子が2個必要になるという問題点がある。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、従ってこの出願の目的は、32.768kHzの信号を2出力、及びMHzの信号を1出力生成出来る圧電発振器であって、既存の技術を利用し、かつ、圧電振動子の使用数を削減出来る圧電発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的の達成を図るため、この出願に係る発明者は、既に完成している半導体チップの利用法を鋭意検討した。詳細には、図5(a)及び(b)に示された2種類の半導体チップの使用法を鋭意検討したところ、これらの半導体チップ間の接続関係を工夫することによって上記課題を解決出来ることを見出した。
従って、この発明の圧電発振器によれば、第1圧電振動子が接続される第1圧電端子及び第2圧電端子、前記第1圧電振動子用の発振回路、前記発振回路の出力である第1周波数信号を出力する第1出力端子、前記第1周波数より低周波の第2周波数信号を生成する信号生成回路、及び、前記第2周波数信号を出力する第2出力端子を備える第1半導体チップと、
第2圧電振動子用の第3圧電端子及び第4圧電端子、前記第2圧電振動子用の発振回路、前記発振回路の出力信号を分周する分周回路、前記分周回路の出力信号を出力する第3出力端子、及び、前記第3圧電端子及び前記第4圧電端子のうちの一方を前記分周回路の入力に接続している内部配線を備える第2半導体チップと、
当該第1圧電振動子と、
前記第3圧電端子及び前記第4圧電端子のうちの前記分周回路に接続されている圧電端子並びに前記第1出力端子を接続している配線と、
を備えたことを特徴とする。
この圧電発振器の発明を実施するにあたり、前記圧電発振器は、前記第1半導体チップ及び前記第2半導体チップを平面的に実装している基板を備え、かつ、
前記基板の、前記第2出力端子と、前記第3出力端子との間に、グランド配線を引き回してあること
が好ましい。
【発明の効果】
【0007】
この発明の圧電発振器によれば、第2圧電振動子は用いずに第1圧電振動子のみを用い、かつ、第1半導体チップにおいて生じる第1圧電振動子の発振出力を第2半導体チップの分周回路に入力しこの分周回路を活用することによって、目的とする3つの信号を生成出来る。従って、圧電振動子の使用数を少なくすることが出来、然も、新たな半導体チップを開発する手間が省け、開発コストがかからない。これらのことから、32.768kHzの信号を2出力、及びMHzの信号を1出力生成出来る圧電発振器であって、既存の技術を利用し、かつ、圧電振動子の使用数を削減出来る圧電発振器を提供出来る。
グランド配線を設ける構成の場合、第2出力端子と、第3出力端子との間にグランド配線を引き回すことで、出力信号同士を切り離すことが出来、出力信号の干渉防止の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の圧電発振器10を説明するためのブロック図である。
図2】(a)図は、本発明の実施形態の圧電発振器10の上面図、(b)図は、本発明の実施形態の圧電発振器10の断面図である。
図3図2(a)の部品搭載部の詳細を示した図である。
図4】(a)図は、本発明の他の実施形態の圧電発振器10の上面図、(b)図は、本発明の他の実施形態の圧電発振器10の断面図である。
図5】(a)図は、既存の2出力半導体チップのブロック図、(b)図は、既存の1出力半導体チップのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照してこの発明の圧電発振器の実施形態についてそれぞれ説明する。
なお、説明に用いる各図はこの発明を理解出来る程度に概略的に示してあるにすぎない。また、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。また、従来と同様な構成成分については従来と同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。また、以下の説明で述べる形状、材質等はこの発明の範囲内の好適例に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0010】
図1は、実施形態の圧電発振器10を説明するブロック図である。圧電発振器10は、第1半導体チップ60と、第2半導体チップ70と、第1圧電振動子61aと、所定の配線11と、を備えている。
【0011】
第1半導体チップ60は、図5(a)を用いて説明した従来構成のもので良い。具体的には、第1半導体チップ60は、第1圧電振動子61aが接続される第1圧電端子60a及び第2圧電端子60bと、第1圧電振動子61a用の発振回路61と、発振回路の出力である第1周波数信号を出力する第1出力端子60cと、第1周波数より低周波の第2周波数信号を生成するCR発振回路63と、第2周波数信号を出力する第2出力端子60dと、を備える第1半導体チップである。ここで、第1周波数信号は、所定のMHz帯の信号(詳細は後述)であり、第2周波数信号は32kHz帯の信号、詳細には32.768kHzの信号である。本発明において、第1圧電振動子61aは、あらゆるものを想定している。例えば、水晶振動子や音叉型振動子等でもよい。
第2半導体チップ70は、図5(b)を用いて説明した従来構成のもので良い。具体的には、第2半導体チップ70は、第2圧電振動子用の第3圧電端子70a及び第4圧電端子70bと、第2圧電振動子用の発振回路73と、発振回路73の出力信号を分周する分周回路75と、分周回路75の出力信号を出力する第3出力端子70cと、第3圧電端子70a及び第4圧電端子70bのうちの一方を分周回路75の入力に接続している内部配線70dと、を備える第2半導体チップである。ただし、本発明においては、第2圧電振動子は、第2半導体チップ70に接続しない。
【0012】
第1圧電振動子61aは、第1周波数信号である例えば、16.777216MHz又は、25.165824MHz又は、33.554432MHzで振動するものであり、かつ、それらを512分周又は、768分周又は、1024分周することによって第3周波数信号32kHz帯、詳細には32.768kHzの信号を生成出来る。主に第1周波数信号は、システムクロック用に使用される。
【0013】
所定の配線11は、第2半導体チップ70の第3圧電端子70a及び第4圧電端子70bのうちの分周回路75に接続されている圧電端子と、第1半導体チップ60の第1出力端子60cとを接続している。すなわち、発振回路73が、例えばインバータを用いた発振回路の場合であれば、インバータの出力端子側に接続されている圧電端子と、第1半導体チップ60の第1出力端子60cとを接続している。
【0014】
第1半導体チップ60において、第1圧電振動子61aは、第1半導体チップの第1圧電端子60a及び第2圧電端子60bに接続される。第1圧電振動子用の発振回路61は、第1圧電振動子と同じMHz帯の周波数である第1周波数振動を生成し、第1出力端子60cから出力する。CR発振回路63は、第1周波数信号より低周波の第2周波数信号、具体的には32.768kHzを生成し、第2出力端子60dから出力する。第2周波数信号は第2出力端子から常時出力される。第1周波数信号は、第1出力端子から出力される他に、所定の配線11を介して、第4圧電端子70bから第2半導体チップ70に入力される。配線11は、直流カット用のコンデンサ11xを介してもよい(図1中の破線丸部分。以下の他の実施例において同じ。)。
【0015】
第2半導体チップ70において、第4圧電端子70bに第1半導体チップ60の第1周波数信号が入力される。第2半導体チップ70に圧電振動子は接続していないので、第3圧電端子70aはオープン状態となっているため、第2圧電振動子用の発振回路73は動作せず、第1周波数信号は、第4圧電端子70bと分周回路75の入力を接続している内部配線70dを介して、分周回路75に入力される。第1周波数信号は、分周回路75で分周され32.768kHzとなり、第3出力端子70cから、第3周波数信号として出力される。なお、第2半導体チップ70は、第3周波数信号を常時出力するものでも、又は、第3周波数信号についてのスタンバイ機能を備えるものでも良い。後者の場合、第3周波数信号は、スタンバイ機能により、選択的に出力することが出来る。
【0016】
このように、2種類の既存の半導体チップを接続することで、32.768kHzの信号を2出力、及びMHzの信号を1出力生成出来る圧電発振器を構成することが出来る。また、既存の半導体チップを組み合わせて使用しているため、コストを抑えた圧電発振器を提供出来る。然も、MHz帯の所定の圧電振動子を1個使うのみで、目的を達成出来る。
【0017】
図2(a)は、基板80に、第1圧電振動子61aと、第1半導体チップ60と、第2半導体チップ70と、が実装された状態を、蓋部材(図示省略)から見た上面図である。図2(b)は、図2(a)中のA-A線に沿った断面図である。
【0018】
第1圧電振動子61aと、第1半導体チップ60と、第2半導体チップ70と、が基板80上に平面的に実装されており、第1半導体チップ60及び第2半導体チップ70は、隣り合うように実装されている。
第1圧電振動子61aは、平面視において矩形状であり、圧電振動片をパッケージ化したものであり、外部接続用の端子を備えている。
第1半導体チップ60及び第2半導体チップ70は、平面視において矩形状であり、実装面に球形状のバンプを備えている。また、バンプは金又は半田で形成されている。
基板80は、所定の配線11及び配線パターン12を備えている。また、FR-4やFR-5のガラスエポキシ製が好ましい。
蓋部材25は、金属製で凹部を備えた形状であり、基板80と蓋部材25は、半田を介して封止している。
【0019】
第1圧電振動子61aは、半田21を介して、基板80の配線パターン12と接続している。第1半導体チップ60及び第2半導体チップ70は、バンプ22を介して、基板80の配線パターン12と接続している。
【0020】
図3は、図2(a)で示した上面図の部材の接続関係を詳細に示した図である。第1圧電振動子61aは、第1振動子出力端子61b及び第2振動子出力端子61cの2つの出力端子を備えている。第1振動子出力端子61bは、第1半導体チップ60の第1圧電端子60aと、配線パターン12を介して接続している。第2振動子出力端子61cは、第1半導体チップ60の第2圧電端子60bと、配線パターン12を介して接続している。第1半導体チップ60の第1出力端子60c及び第2出力端子60dは、基板80上の配線パターン(図示省略)を介して、第1周波数信号及び第2周波数信号を出力する。
【0021】
第1半導体チップ60と第2半導体チップ70は、基板80上に最近接するように配置されており、2つの半導体チップは、基板80上の所定の配線11を介して、接続している。具体的には、第1半導体チップの第1出力端子60cと、第2半導体チップ70の第4圧電端子70bが、所定の配線11を介して、基板設計における最短の距離で接続している。
半導体チップ同士を最近接で配置することで、第1周波数信号を、配線抵抗等の影響を最小限に抑えた状態で第2半導体チップ70に入力することが出来、周波数信号の劣化を抑制することが出来る。
【0022】
第4圧電端子70bから第2半導体チップ70に入力した第1周波数信号は、分周回路75で分周される。分周された周波数信号は、第3出力端子70cから基板80上の配線パターン(図示省略)を介して、第3周波数信号として出力される。
第1半導体チップ60のグランド端子60e及び、第2半導体チップ70のグランド端子70eは、基板80上のグランド配線パターン13によって繋がっており、共通となっている。
このようにグランド配線の引き回しをすることで、同じ32.768kHzを出力する、第2出力端子60dと第3出力端子70cが、グランド配線パターン13によって基板80上で遮蔽されている状態となる。このことにより、互いの周波数信号に干渉することなく、kHzの周波数信号を出力することが出来る。
【0023】
図4は、本発明の他の実施形態の図である。図4(a)は、圧電発振器10のパッケージ90に、第1半導体チップ60及び第2半導体チップ70及び第1圧電振動子用の圧電振動片、例えば水晶振動片61xが実装された状態を、半導体チップの上方側から見た上面図である。図4(b)は、図4(a)中のA-A線に沿った断面図である。
【0024】
圧電発振器10は、凹部91aを有するパッケージ90と、凹部91aの底面91bに設けられ第1半導体チップ60及び第2半導体チップ70が接続される配線パターン12と、凹部91a内に実装されている水晶振動片61x及び第1半導体チップ60及び第2半導体チップ70と、パッケージ90に接合された蓋部材25と、を備えている。
【0025】
パッケージ90は、第一層91x、第二層91y及び第三層91zの三層の積層構造をしている。第二層91y及び第三層91zは、パッケージ90の縁で土手部91cを構成しており、土手部91cの内側に凹部91aを構成している。凹部91aの底面91bは、所定の配線11及び配線パターン12を備えている。パッケージ90の第二層91yは、第三層91zに比べて、パッケージ90の中心に張り出している。この張り出した箇所に、水晶振動片61xを接続する為の配線パターン12を備えている。なお、パッケージ90は既知のセラミック製パッケージによって構成出来る。
【0026】
第1半導体チップ60及び第2半導体チップ70は、平面視において矩形状であり、接続パッドにそれぞれ球形状のバンプを備えている。バンプは金又は半田で形成されている。
水晶振動片61xは、平面視において矩形状であり、表裏の面に励振用電極(図示省略)と、それぞれの励振用電極から水晶振動片61xの短辺に引き出した、引き出し電極(図示省略)と、を備えている。
蓋部材25は、平面視において矩形状であり、例えば金属製である。
【0027】
圧電発振器10は、パッケージ90の底面91bの配線パターン12と、第1半導体チップ60及び第2半導体チップ70のパッドとを、バンプ22を介して接合する。その後、パッケージ90の第二層91yに備えられた配線パターン12と、水晶振動片61xとを、導電性接着剤24を介して接合する。凹部91a内を適度な真空又は不活性ガス雰囲気にした後、シールリング23と蓋部材25をシーム溶接で接合し、封止する。
【0028】
この実施形態においても、第1半導体チップ及び第2半導体チップを、パッケージ90の底面91bに最近接で配置するため、周波数信号の劣化を抑制することが出来る。また、パッケージ90の底面91bに設けられたグランド配線パターン13によって、第1半導体チップ及び第2半導体チップのkHz周波数信号を出力する端子同士が遮蔽されるため、互いの周波数信号に干渉することなく、同じkHzの周波数信号を出力することが出来る。
【0029】
上述した第2周波数信号及び第3周波数信号は、実施形態では32.768kHzの信号の例としたが、この信号をさらに分周した1Hzの信号とする場合でもよい。また、第1半導体チップ60及び第2半導体チップ70は、実施形態ではベアチップ形状の例としたが、樹脂モールド品とする場合でもよい。
【符号の説明】
【0030】
10:圧電発振器 11:所定の配線
12:配線パターン 13:グランド配線パターン
21:半田 22:バンプ
23:シールリング 24:導電性接着剤
25:蓋部材 60:第1半導体チップ
60a:第1圧電端子 60b:第2圧電端子
60c:第1出力端子 60d:第2出力端子
60e、70e:グランド端子 61:第1圧電振動子用の発振回路
61a:第1圧電振動子 61b:第1振動子出力端子
61c:第2振動子出力端子 61x:圧電振動片(水晶振動片)
63:CR発振回路 70:第2半導体チップ
70a:第3圧電端子 70b:第4圧電端子
70c:第3出力端子 70d:内部配線
73:第2圧電振動子用の発振回路 75:分周回路
80:基板 90:パッケージ
91a:パッケージの凹部 91b:パッケージの底面
91c:パッケージの土手部 91x:パッケージの第一層
91y:パッケージの第二層 91z:パッケージの第三層
図1
図2
図3
図4
図5