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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047048
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ケーブル挿通具
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20240329BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240329BHJP
   H02G 3/04 20060101ALN20240329BHJP
【FI】
H02G3/22
B60R16/02 620C
H02G3/04 062
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152460
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康智
【テーマコード(参考)】
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD12
5G363AA01
5G363AA16
5G363BA01
5G363CA14
5G363CB08
5G363CB20
(57)【要約】
【課題】開閉式窓部の内側への雨水等の侵入を防止するために、部品点数の増大やコストアップを招くことなく、作業の簡素化を図り、使い勝手の良いものとする。
【解決手段】開閉式窓部の内側と外側との間で給電用ケーブル3を挿通させるケーブル挿通具において、開閉式窓部における窓部の一部を開放させて形成される窓開口を遮蔽するように取付自在な本体部2が備えられ、その本体部2は、窓枠部と窓部とで挟み込む状態で取り付けられ、本体部2には、給電用ケーブル3を挿通させるケーブル挿通部21と、本体部2の外周側からケーブル挿通部21までを繋ぎ、本体部2の外周側からケーブル挿通部21への給電用ケーブル3の挿入移動を可能とする切れ込み部22と、窓枠部と窓部とによる挟み込みにて圧縮力を受けて弾性変形することで、給電用ケーブル3が挿通されたケーブル挿通部21及び切れ込み部22を閉塞する閉塞部31とが備えられている。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉式窓部の内側と外側との間で給電用ケーブルを挿通させるケーブル挿通具において、
前記開閉式窓部における窓部の一部を開放させて形成される窓開口を遮蔽するように取付自在な本体部が備えられ、
その本体部は、開閉式窓部における窓枠部と窓部とで挟み込む状態で取り付けられ、
前記本体部には、
前記給電用ケーブルを挿通させるケーブル挿通部と、
前記本体部の外周側からケーブル挿通部までを繋ぎ、本体部の外周側からケーブル挿通部への給電用ケーブルの挿入移動を可能とする切れ込み部と、
前記窓枠部と前記窓部とによる挟み込みにて圧縮力を受けて弾性変形することで、給電用ケーブルが挿通されたケーブル挿通部及び切れ込み部を閉塞する閉塞部とが備えられているケーブル挿通具。
【請求項2】
前記本体部は、ケーブル挿通部及び切れ込み部の周囲を囲む状態で配設されて弾性変形自在な弾性変形部と、ケーブル挿通部及び切れ込み部の周囲を除く範囲に配設されて弾性変形部よりも固い材質の芯材部とが備えられ、
その芯材部には、窓枠部に係合自在な窓枠係合部が備えられ、
前記閉塞部は、芯材部及び弾性変形部を有しており、窓枠部と窓部との挟み込みによる圧縮力を芯材部に作用させ、その圧縮力を弾性変形部に伝達させて弾性変形部を弾性変形させて、給電用ケーブルが挿通されたケーブル挿通部及び切れ込み部を閉塞している請求項1に記載のケーブル挿通具。
【請求項3】
前記芯材部は、窓枠部と窓部とで挟み込む挟み込み方向に延びる形状に形成され、
前記窓枠係合部として、芯材部において窓部と対向する位置に配設された第1窓枠係合部に加えて、芯材部において挟み込み方向に対して直交する方向の一方側に配設された第2窓枠係合部と、芯材部において挟み込み方向に対して直交する方向の他方側に配設された第3窓枠係合部とが備えられている請求項2に記載のケーブル挿通具。
【請求項4】
前記芯材部は、窓枠部と窓部とで挟み込む挟み込み方向に延びる第1芯材部位と、その第1芯材部位において挟み込み方向に直交する方向の一端部から傾斜する方向に延びる第2芯材部位と、その第1芯材部位において挟み込み方向に直交する方向の他端部から傾斜する方向に延びる第3芯材部位とが備えられ、
前記窓枠係合部として、第1芯材部位において窓部と対向する位置に配設された第4窓枠係合部と、第2芯材部位の外周部に配設された第5窓枠係合部と、第3芯材部位の外周部に配設された第6窓枠係合部とが備えられている請求項2に記載のケーブル挿通具。
【請求項5】
前記ケーブル挿通部は、窓枠部と窓部とで挟み込む挟み込み方向に長尺な楕円形状に形成され、
前記切れ込み部は、窓枠部と窓部とで挟み込む挟み込み方向に対して左右方向の一方側に傾斜する第1傾斜部と、その第1傾斜部の端部から挟み込み方向に対して左右方向の他方側に傾斜する第2傾斜部とを有する傾斜形状に形成されている請求項1~4の何れか1項に記載のケーブル挿通具。
【請求項6】
前記ケーブル挿通部の内壁部には、その内方側に突出する凸部と、その外方側に凹入する凹部とが備えられ、
前記凸部と前記凹部とが、ケーブル挿通部の挿通方向において、交互に複数並ぶ状態で配設されている請求項1~4の何れか1項に記載のケーブル挿通具。
【請求項7】
前記給電用ケーブルの外周部を覆う状態で給電用ケーブルに外嵌自在で、且つ、給電用ケーブルに外嵌させた状態でケーブル挿通部に挿通自在な覆い部材が備えられ、
その覆い部材の内壁部には、その内方側に突出する内壁凸部と、その外方側に凹入する内壁凹部とが備えられ、
前記内壁凸部と前記内壁凹部とが、ケーブル挿通部の挿通方向において、交互に複数並ぶ状態で配設され、
前記覆い部材の外壁部には、その外方側に突出する外壁凸部と、その内方側に凹入する外壁凹部とが備えられ、
前記外壁凸部と前記外壁凹部とが、ケーブル挿通部の挿通方向において、交互に複数並ぶ状態で配設されている請求項1~4の何れか1項に記載のケーブル挿通具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉式窓部の内側と外側との間で給電用ケーブルを挿通させるケーブル挿通具に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなケーブル挿通具は、例えば、自動車の開閉式窓部において内側と外側との間で給電用ケーブルを挿通させることで、車内のコンセントと車外の電力機器とを給電用ケーブルにて接続し、車外において各種の電力機器を使用可能としている。自動車に限らず、例えば、住宅等の開閉式窓部においても内側と外側との間で給電用ケーブルを挿通させることで、屋外やベランダにて各種の電力機器を使用することもできる。
【0003】
従来のケーブル挿通具では、開閉式窓部の窓ガラスの一部を開放させて窓開口を形成し、その窓開口を遮蔽するように取付自在な遮蔽部材が備えられ、その遮蔽部材には、遮蔽部材を貫通させる状態で給電用ケーブルを配設させるケーブル挿通部が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ケーブル挿通部は、給電用ケーブルを挿通させるので、通常、給電用ケーブルの外径よりもひと回り大径のものとなる。そのために、給電用ケーブルの外周部とケーブル挿通部の内周部との間に隙間が形成されることになり、この隙間を通して雨水等が開閉式窓部の外側から内側に侵入する可能性がある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載のケーブル挿通具では、給電用ケーブルの外周部に液密に外嵌させる挿通孔部を有するグロメットが備えられ、給電用ケーブルが挿通されたグロメットをケーブル挿通部に液密に装着することで、開閉式窓部の内側への雨水等の侵入を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-128113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のケーブル挿通具では、開閉式窓部の内側への雨水等の侵入を防止するために、グロメットをあらたに備えなければならず、部品点数の増大やコストアップを招くことになる。しかも、ケーブル挿通部に給電用ケーブルを挿通させるに当たり、グロメットの挿通孔部に対して給電用ケーブルを液密に挿通させる挿通作業だけでなく、ケーブル挿通部に対してグロメットを液密に装着させる装着作業を行わなければならず、手間のかかる作業が必要となり、使い勝手の悪いものとなっている。
【0008】
また、特許文献1に記載のケーブル挿通具では、窓開口を形成する窓ガラスや窓枠部に係止する係止部材が備えられ、その係止部材を遮蔽部材にネジ止めすることで、窓開口を遮蔽するように遮蔽部材を取り付けている。そのために、窓ガラスや窓枠部に対して係止部材を係止させる係止作業だけでなく、係止部材を遮蔽部材にネジ止めするネジ止め作業も行わなければならず、この点でも、手間のかかる作業が必要となり、使い勝手の悪いものとなっている。
【0009】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、開閉式窓部の内側への雨水等の侵入を防止するために、部品点数の増大やコストアップを招くことなく、作業の簡素化を図り、使い勝手の良いケーブル挿通具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1特徴構成は、開閉式窓部の内側と外側との間で給電用ケーブルを挿通させるケーブル挿通具において、
前記開閉式窓部における窓部の一部を開放させて形成される窓開口を遮蔽するように取付自在な本体部が備えられ、
その本体部は、開閉式窓部における窓枠部と窓部とで挟み込む状態で取り付けられ、
前記本体部には、
前記給電用ケーブルを挿通させるケーブル挿通部と、
前記本体部の外周側からケーブル挿通部までを繋ぎ、本体部の外周側からケーブル挿通部への給電用ケーブルの挿入移動を可能とする切れ込み部と、
前記窓枠部と前記窓部とによる挟み込みにて圧縮力を受けて弾性変形することで、給電用ケーブルが挿通されたケーブル挿通部及び切れ込み部を閉塞する閉塞部とが備えられている点にある。
【0011】
本構成によれば、開閉式窓部における窓部の一部を開放させて窓開口を形成し、窓枠部と窓部とで本体部を挟み込むことで、窓開口を遮蔽するように本体部を取り付けることができる。これにより、窓枠部と窓部とで本体部を挟み込むだけでよく、特許文献1に記載の如く、係止部材を遮蔽部材にネジ止めするネジ止め作業を行う必要もなく、本体部の取付作業の簡素化を図ることができる。
【0012】
しかも、閉塞部は、窓枠部と窓部とによる挟み込みにて圧縮力を受けて弾性変形することで、給電用ケーブルが挿通されたケーブル挿通部及び切れ込み部を閉塞するので、窓枠部と窓部とで本体部を挟み込むだけで、本体部を取り付けることができるだけでなく、ケーブル挿通部や切れ込み部を閉塞して、開閉式窓部の内側への雨水等の侵入を防止することもでき、使い勝手の良いものとなる。
【0013】
本発明の第2特徴構成は、前記本体部は、ケーブル挿通部及び切れ込み部の周囲を囲む状態で配設されて弾性変形自在な弾性変形部と、ケーブル挿通部及び切れ込み部の周囲を除く範囲に配設されて弾性変形部よりも固い材質の芯材部とが備えられ、
その芯材部には、窓枠部に係合自在な窓枠係合部が備えられ、
前記閉塞部は、芯材部及び弾性変形部を有しており、窓枠部と窓部との挟み込みによる圧縮力を芯材部に作用させ、その圧縮力を弾性変形部に伝達させて弾性変形部を弾性変形させて、給電用ケーブルが挿通されたケーブル挿通部及び切れ込み部を閉塞している点にある。
【0014】
本構成によれば、本体部が備える芯材部と弾性変形部とを、そのまま閉塞部として活用することができるので、構成の簡素化及びコストの低減を図ることができる。しかも、芯材部に備えられた窓枠係合部を窓枠部に係合させることで、窓枠部と窓部との挟み込みによる圧縮力を芯材部に適切に作用させることができるだけでなく、その圧縮力を弾性変形部に伝達させて、弾性変形部を適切に弾性変形させることができる。よって、ケーブル挿通部及び切れ込み部の周囲を囲む状態で配設された弾性変形部を適切に弾性変形させることができ、給電用ケーブルが挿通されたケーブル挿通部及び切れ込み部を適切に閉塞して、開閉式窓部の内側への雨水等の侵入を適切に防止することもできる。
【0015】
本発明の第3特徴構成は、前記芯材部は、窓枠部と窓部とで挟み込む挟み込み方向に延びる形状に形成され、
前記窓枠係合部として、芯材部において窓部と対向する位置に配設された第1窓枠係合部に加えて、芯材部において挟み込み方向に対して直交する方向の一方側に配設された第2窓枠係合部と、芯材部において挟み込み方向に対して直交する方向の他方側に配設された第3窓枠係合部とが備えられている点にある。
【0016】
本構成によれば、芯材部は、窓枠部と窓部とで挟み込む挟み込み方向に延びる形状に形成されているので、窓枠部と窓部との挟み込みによる圧縮力を芯材部に適切に作用させることができる。窓枠係合部として、第1窓枠係合部に加えて、第2窓枠係合部及び第3窓枠係合部が備えられているので、挟み込み方向に直交する方向において本体部の芯材部を窓枠部に係合させることができ、本体部を安定した姿勢で取り付けることができる。
【0017】
本発明の第4特徴構成は、前記芯材部は、窓枠部と窓部とで挟み込む挟み込み方向に延びる第1芯材部位と、その第1芯材部位において挟み込み方向に直交する方向の一端部から傾斜する方向に延びる第2芯材部位と、その第1芯材部位において挟み込み方向に直交する方向の他端部から傾斜する方向に延びる第3芯材部位とが備えられ、
前記窓枠係合部として、第1芯材部位において窓部と対向する位置に配設された第4窓枠係合部と、第2芯材部位の外周部に配設された第5窓枠係合部と、第3芯材部位の外周部に配設された第6窓枠係合部とが備えられている点にある。
【0018】
例えば、自動車では、開閉式窓部の形状として、窓部が矩形状のものだけでなく、前後の両端部が傾斜した傾斜形状のものもある。そこで、本構成によれば、その傾斜形状の窓部に対応するために、芯材部として、第1芯材部位だけでなく、第2芯材部位と第3芯材部位とが備えられ、窓枠係合部として、第4窓枠係合部と第5窓枠係合部と第6窓枠係合部とが備えられている。
【0019】
前後が傾斜する傾斜形状の窓部において平坦状の中間部位では、第4窓枠係合部が窓枠部に係合する状態で窓部と窓枠部とで第1芯材部位を挟み込むことができる。窓部の前後の傾斜部位の夫々では、第5窓枠係合部が窓枠部に係合する状態で窓部と窓枠部とで第2芯材部位を挟み込むとともに、第6窓枠係合部が窓枠部に係合する状態で窓部と窓枠部とで第3芯材部位を挟み込むことができる。このようにして、窓部の中間部位だけでなく、前後の傾斜部位についても、窓枠部と窓部とで芯材部を挟み込むことができるので、その挟み込みによる圧縮力を、1つの第1方向だけでなく、その第1方向に直交する第2方向にも作用させることができる。これにより、本体部の弾性変形部を、第1方向だけでなく、第2方向にも弾性変形させることができるので、ケーブル挿通部や切れ込み部をより適切に閉塞して、開閉式窓部の内側への雨水等の侵入をより適切に防止することができる。
【0020】
本発明の第5特徴構成は、前記ケーブル挿通部は、窓枠部と窓部とで挟み込む挟み込み方向に長尺な楕円形状に形成され、
前記切れ込み部は、窓枠部と窓部とで挟み込む挟み込み方向に対して左右方向の一方側に傾斜する第1傾斜部と、その第1傾斜部の端部から挟み込み方向に対して左右方向の他方側に傾斜する第2傾斜部とを有する傾斜形状に形成されている点にある。
【0021】
本構成によれば、ケーブル挿通部は、挟み込み方向に長尺な楕円形状に形成されているので、窓枠部と窓部との挟み込みによる圧縮力を受けると、ケーブル挿通部が真円形状になり易く、給電用ケーブルが挿通されたケーブル挿通部を適切に閉塞し易くなる。切れ込み部は、第1傾斜部と第2傾斜部とを有する傾斜形状に形成されているので、窓枠部と窓部との挟み込みによる圧縮力を受けると、第1傾斜部及び第2傾斜部の夫々の隙間を閉塞する側に圧縮力が作用するので、切れ込み部を適切に閉塞し易くなる。
【0022】
本発明の第6特徴構成は、前記ケーブル挿通部の内壁部には、その内方側に突出する凸部と、その外方側に凹入する凹部とが備えられ、
前記凸部と前記凹部とが、ケーブル挿通部の挿通方向において、交互に複数並ぶ状態で配設されている点にある。
【0023】
本構成によれば、ケーブル挿通部の内壁部には、挿通方向において、凸部と凹部とが交互に複数並ぶ状態で配設されているので、挿通方向において、複数の凸部が間隔を隔てて給電用ケーブルの外周部に当接することになる。これにより、例えば、ケーブル挿通部に挿通された給電用ケーブルを引っ張った場合でも、複数の凸部の夫々にて抵抗力を与えることができ、ケーブル挿通部から給電用ケーブルが抜けてしまうのを防止することができる。
【0024】
本発明の第7特徴構成は、前記給電用ケーブルの外周部を覆う状態で給電用ケーブルに外嵌自在で、且つ、給電用ケーブルに外嵌させた状態でケーブル挿通部に挿通自在な覆い部材が備えられ、
その覆い部材の内壁部には、その内方側に突出する内壁凸部と、その外方側に凹入する内壁凹部とが備えられ、
前記内壁凸部と前記内壁凹部とが、ケーブル挿通部の挿通方向において、交互に複数並ぶ状態で配設され、
前記覆い部材の外壁部には、その外方側に突出する外壁凸部と、その内方側に凹入する外壁凹部とが備えられ、
前記外壁凸部と前記外壁凹部とが、ケーブル挿通部の挿通方向において、交互に複数並ぶ状態で配設されている点にある。
【0025】
給電用ケーブルとして、その外径の大きさが異なるものがあるので、給電用ケーブルの外径の大きさに対応させるために、ケーブル挿通部の内径の大きさを変更させると、それだけケーブル挿通具の種類が多くなり、製造作業の複雑化及びコストアップを招くことになる。
【0026】
そこで、本構成によれば、給電用ケーブルの外周部を覆う状態で給電用ケーブルに外嵌自在で、且つ、給電用ケーブルに外嵌させた状態でケーブル挿通部に挿通自在な覆い部材が備えられている。ケーブル挿通部の内径よりも小さな外径を有する給電用ケーブルについては、その給電用ケーブルに覆い部材を外嵌させ、給電用ケーブルに外嵌させた覆い部材をケーブル挿通部に挿通させることができる。また、覆い部材の内径や外径を変更することで、給電用ケーブルの外径の大きさの違いにも対応することができる。よって、製造作業の複雑化及びコストアップを招くことなく、給電用ケーブルの外径の大きさに対応しながら、ケーブル挿通部に給電用ケーブルを適切に挿通させることができる。
【0027】
しかも、覆い部材の内壁部には、挿通方向において、内壁凸部と内壁凹部とが交互に複数並ぶ状態で配設されているので、挿通方向において、複数の内壁凸部が間隔を隔てて給電用ケーブルの外周部に当接することになる。これにより、例えば、ケーブル挿通部に挿通された給電用ケーブルを引っ張った場合でも、複数の内壁凸部の夫々にて抵抗力を与えることができ、ケーブル挿通部から給電用ケーブルが抜けてしまうのを防止することができる。また、覆い部材の外壁部にも、挿通方向において、外壁凸部と外壁凹部とが交互に複数並ぶ状態で配設されているので、内壁凸部及び内壁凹部と同様に、例えば、ケーブル挿通部に挿通された給電用ケーブルを引っ張った場合に、複数の外壁凸部の夫々にて抵抗力を与えることができ、ケーブル挿通部から覆い部材が抜けてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】自動車等の開閉式窓部にケーブル挿通具を適用した場合の概略図
図2】本体部を示す斜視図
図3】本体部のケーブル挿通部に給電用ケーブルを挿通させた状態を示す斜視図
図4】本体部における芯材部と弾性変形部とを示す斜視図
図5】開閉式窓部に対して本体部を取り付ける際の取付手順を示す図
図6】開閉式窓部に対して本体部を取り付ける際の取付手順を示す図
図7】開閉式窓部に対して本体部を取り付けた状態での断面図
図8】(A)圧縮力が作用していない状態でのケーブル挿通部及び切れ込み部を示す図、(B)圧縮力が作用した状態でのケーブル挿通部及び切れ込み部を示す図
図9】(A)覆い部材の斜視図、(B)覆い部材の側面図
図10】第2実施形態における本体部を示す斜視図
図11】第2実施形態の本体部における芯材部と弾性変形部とを示す側面図
図12】第2実施形態において開閉式窓部に対して本体部を取り付ける際の取付手順を示す図
図13】第3実施形態において開閉式窓部に対して本体部を取り付ける際の取付手順を示す図
図14】第3実施形態において開閉式窓部に対して本体部を取り付ける際の取付手順を示す図
図15】第3実施形態において開閉式窓部に対して本体部を取り付ける際の取付手順を示す図
図16】第3実施形態において開閉式窓部に対して本体部を取り付ける際の取付手順を示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係るケーブル挿通具の実施形態について図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
このケーブル挿通具100は、図1に示すように、例えば、自動車101等の開閉式窓部1の内側と外側との間で給電用ケーブル3を挿通させることで、開閉式窓部1の外側において各種の電力機器を使用可能とするものである。
【0030】
開閉式窓部1には、図6(A)に示すように、窓部11の一部を開放させて窓開口12が形成することができ、ケーブル挿通具100は、図6(B)に示すように、その窓開口12を遮蔽するように取付自在な本体部2が備えられている。図6(A)では、窓部11(窓ガラス)を下方側に下げることで、上方側に窓開口12を形成している状態を示している。図6(B)では、図6(A)から窓部11を上方側に移動させることで、窓開口12を遮蔽するように本体部2を取り付けた状態を示している。図6では、主に、本体部2の取り付け状態を示すために、給電用ケーブル3を省略している。
【0031】
本体部2は、図6(B)に示すように、開閉式窓部1における窓枠部13と窓部11(窓ガラス)とで挟み込む状態で取り付けられている。図6(B)では、窓枠部13のうち、上方側に位置する上側の窓枠部13aと窓部11とで本体部2を上下方向に挟み込む状態で取り付けている。
【0032】
本体部2には、図2に示すように、給電用ケーブル3を挿通させるケーブル挿通部21と、そのケーブル挿通部21に給電用ケーブル3を挿入移動させるための切れ込み部22とが備えられている。図2に示すものでは、ケーブル挿通部21及び切れ込み部22は、本体部2の下方側部位に配設されている。これにより、図6(B)に示すように、上側の窓枠部13aと窓部11とで本体部2を上下方向に挟み込む状態で取り付けた場合に、雨水等の侵入を防止するカバ―部材(図示省略)が開閉式窓部1の上方側に配設されている自動車であっても、そのカバー部材よりも下方側にケーブル挿通部21及び切れ込み部22を配設させることができ、カバー部材との干渉を防止することができる。
【0033】
ケーブル挿通部21は、図2及び図3に示すように、本体部2を貫通させる状態で給電用ケーブル3を配設させるための孔部にて構成されている。切れ込み部22は、本体部2の外周側からケーブル挿通部21までを繋ぎ、本体部2の外周側からケーブル挿通部21への給電用ケーブル3の挿入移動を可能とする切れ込み状のスリットにて構成されている。
【0034】
本体部2は、図4に示すように、弾性変形自在な弾性変形部23と、弾性変形部23よりも固い材質の芯材部24とが備えられ、弾性変形部23と芯材部24とを一体的に備えることで、本体部2が構成されている。弾性変形部23は、例えば、シリコン等の弾性変形自在な樹脂材料にて構成され、芯材部24は、弾性変形部23よりも固い材質(例えば、樹脂材料)にて構成されている。
【0035】
芯材部24は、図4に示すように、窓枠部13(図6(B)参照)と窓部11(図6(B)参照)とで挟み込む挟み込み方向(図4において上下方向)、及び、その挟み込み方向に直交する直交方向(図4において左右方向、以下、単に「直交方向」と略称する)に延びる矩形状の板状体にて構成されている。弾性変形部23は、板状の芯材部24の表面側と裏面側とを挟み込む挟み込み部位23aと、板状の芯材部24よりも挟み込み方向の窓部11(図5(B)参照)が位置する側(図4において下方側)に延長させた延長部位23bとが備えられている。
【0036】
芯材部24には、図4に示すように、挟み込み方向の一方側(図4において上方側)、及び、直交方向の両側(図4において左右方向の両側)に、窓枠部13(図6(B)参照)に係合する窓枠係合部25が備えられている。窓枠係合部25は、挟み込み方向及び直交方向において、弾性変形部23よりも本体部2の外周側に突出する状態で備えられている。
【0037】
窓枠係合部25として、図4に示すように、芯材部24において窓枠部13が位置する側(図4において上方側)に配設された第1窓枠係合部26と、芯材部24において直交方向の一方側(図4において左側)に配設された第2窓枠係合部27と、芯材部24において直交方向の他方側(図4において右側)に配設された第3窓枠係合部28との3つの窓枠係合部が備えられている。第1~第3窓枠係合部26~28は、いずれも、本体部2の外周側に突出する矩形状の凸状にて形成され、図7に示すように、窓枠部13に形成された凹溝部14に係合自在に構成されている。図7では、第1窓枠係合部26が上側の窓枠部13aに形成された凹溝部14に係合している状態を示している。詳細な図示は省略するが、図6(B)に示すように、第2窓枠係合部27が前方側の窓枠部13bに形成された凹溝部14に係合し、第3窓枠係合部28が後方側の窓枠部13cに形成された凹溝部14に係合することになる。
【0038】
弾性変形部23の延長部位23bは、図2に示すように、その先端側になるほど細幅となる傾斜形状に形成されており、その先端部に、図2及び図7に示すように、窓部11に係合する窓係合部29が備えられている。窓係合部29は、凹状の溝部にて構成されており、その溝部に窓部11が係合自在に備えられている。
【0039】
ケーブル挿通部21及び切れ込み部22から雨水等が開閉式窓部1の内側に侵入するのを防止するために、図3に示すように、給電用ケーブル3が挿通されたケーブル挿通部21及び切れ込み部22を閉塞する閉塞部31が備えられている。閉塞部31は、芯材部24及び弾性変形部23を有しており、窓枠部13と窓部11との挟み込み(図6(B)参照)による圧縮力を芯材部24に作用させ、その圧縮力を弾性変形部23に伝達させて弾性変形部23を弾性変形させて、給電用ケーブル3が挿通されたケーブル挿通部21及び切れ込み部22を閉塞している。図3では、窓枠部13や窓部11を省略しているが、給電用ケーブル3が挿通されたケーブル挿通部21及び切れ込み部22を閉塞している状態を示している。
【0040】
図7に示すように、上側の窓枠部13aと窓部11とで本体部2を挟み込んだ状態では、第1窓枠係合部26が上側の窓枠部13aにおける凹溝部14に係合しており、弾性変形部23の窓係合部29が窓部11に係合しているので、図4の矢印にて示すように、本体部2に対して上下方向での圧縮力が作用する。このとき、芯材部24は、弾性変形部23よりも固い材質であるので、圧縮力が作用しても、芯材部24の弾性変形が抑制され、芯材部24を介して弾性変形部23に対して圧縮力を適切に伝達することができる。
【0041】
弾性変形部23は、図4に示すように、ケーブル挿通部21及び切れ込み部22の周囲を囲む状態で配設されている。それに対して、図4の点線にて示すように、芯材部24は、ケーブル挿通部21及び切れ込み部22の周囲を囲む部位に切り欠き部24aが備えられ、ケーブル挿通部21及び切れ込み部22の周囲を除く範囲に配設されている。これにより、図4の矢印にて示すように、ケーブル挿通部21及び切れ込み部22の周囲を囲む弾性変形部23に対して圧縮力が作用されて、その弾性変形部23が弾性変形することで、図3に示すように、ケーブル挿通部21の内壁部が給電用ケーブル3の外周部に当接してケーブル挿通部21の内壁部と給電用ケーブル3の外周部との間の隙間が閉塞されるとともに、切れ込み部22の隙間も閉塞される。
【0042】
ケーブル挿通部21は、図8(A)に示すように、挟み込み方向(図8において上下方向)に長尺な楕円形状に形成されている。これにより、挟み込み方向(図8において上下方向)に圧縮力を受けると、図8(B)に示すように、挟み込み方向で短くなり直交方向に伸びるので、ケーブル挿通部21が真円形状になり、真円形状の給電用ケーブル3の外周部とケーブル挿通部21の内周部とがその全周に亘って当接し易くなる。よって、ケーブル挿通部21の内壁部と給電用ケーブル3の外周部との間の隙間がその全周に亘って適切に閉塞することができ、雨水等の侵入を適切に防止することができる。
【0043】
切れ込み部22は、図8(A)に示すように、挟み込み方向(図8において上下方向)に対して左右方向の一方側に傾斜する第1傾斜部32と、その第1傾斜部32の端部から挟み込み方向に対して左右方向の他方側に傾斜する第2傾斜部33とを有する傾斜形状に形成されている。これにより、挟み込み方向(図8において上下方向)に圧縮力を受けると、図8(B)に示すように、第1傾斜部32において対向する一方側部位32aと他方側部位32bとが当接するとともに、第2傾斜部33においても対向する一方側部位33aと他方側部位33bとが当接して、第1傾斜部32及び第2傾斜部33の間の夫々の隙間が閉塞されることになる。ちなみに、この実施形態では、図8(A)に示すように、第2傾斜部33に引き続いて、第1傾斜部32と傾斜方向が同じとなる第3傾斜部36が備えられ、この第3傾斜部36についても、挟み込み方向(図8において上下方向)に圧縮力を受けると、図8(B)に示すように、対向する部位が当接してその間の隙間が閉塞される。
【0044】
切れ込み部22については、図8(A)に示すように、第1傾斜部32及び第2傾斜部33の夫々において、一方側部位32a、33aと他方側部位32b,33bとの傾斜角度を変更させている。これにより、挟み込み方向(図8において上下方向)に圧縮力を受けると、図8(B)に示すように、第1傾斜部32において対向する一方側部位32aと他方側部位32bとがより接近する側に弾性変形して適切に当接するとともに、第2傾斜部33においても対向する一方側部位33aと他方側部位33bとがより接近する側に弾性変形して適切に当接することになる。よって、挟み込み方向(図8において上下方向)での圧縮力が作用することで、第1傾斜部32及び第2傾斜部33の間の夫々の隙間を適切に閉塞することができる。また、第3傾斜部36についても、第1傾斜部32と同様に、対向する一方側部位と他方側部位との傾斜角度を変更させている。
【0045】
図8に示すように、ケーブル挿通部21の内壁部には、その内方側に突出する凸部34と、その外方側に凹入する凹部35とが備えられている。凸部34と凹部35とは、ケーブル挿通部21の挿通方向において、交互に複数並ぶ状態で配設されている。これにより、挿通方向において、複数の凸部34が間隔を隔てて給電用ケーブル3の外周部に当接することになるので、例えば、ケーブル挿通部21に挿通された給電用ケーブル3を引っ張った場合でも、複数の凸部34の夫々にて抵抗力を与えることができ、ケーブル挿通部21から給電用ケーブル3が抜けてしまうのを防止することができる。
【0046】
以下、ケーブル挿通具100の本体部2を開閉式窓部1に取り付ける手順について説明する。
【0047】
まず、図6(A)に示すように、窓部11を下方側に下げることで、上方側に窓開口12を形成して、その窓開口12において本体部2を窓部11及び前後の窓枠部13に係合させる状態で取り付けている。このとき、例えば、図5(A)に示すように、窓部11の上部において前後方向の中央部等に給電用ケーブル3を配設させて、本体部2における窓係合部29を窓部11に係合させていく。その係合の過程(途中)で、図5(B)及び(C)に示すように、本体部2の外周側から切れ込み部22を通してケーブル挿通部21に給電用ケーブル3を挿入移動させる。
【0048】
このようにして、ケーブル挿通部21に給電用ケーブル3を挿入移動させた状態で本体部2における窓係合部29を全長に亘って窓部11に係合させた状態で、図6(B)の矢印にて示すように、窓部11を上方側に移動させることで、上側の窓枠部13aと窓部11とで本体部2を上下方向に挟み込む状態で取り付ける。自動開閉機構等の機能により、窓部11の位置を保持して、上側の窓枠部13aと窓部11とで本体部2を上下方向に挟み込む状態が維持されることになる。
【0049】
給電用ケーブル3として、その外径の大きさが異なるものがあるので、給電用ケーブル3の外径の大きさに対応させるために、ケーブル挿通部21の内径の大きさを変更させると、それだけケーブル挿通具100の種類が多くなり、製造作業の複雑化及びコストアップを招くことになる。
【0050】
そこで、図9に示すように、給電用ケーブル3の外周部を覆う状態で給電用ケーブル3に外嵌自在で、且つ、給電用ケーブル3に外嵌させた状態でケーブル挿通部21に挿通自在な覆い部材41が備えられている。覆い部材41の外径は、ケーブル挿通部21の内径よりも少し小径又は略同径に形成されており、覆い部材41は、給電用ケーブル3に外嵌させた状態でケーブル挿通部21に挿通自在に備えられている。
【0051】
これにより、ケーブル挿通部21の内径よりも小さな外径を有する給電用ケーブル3については、図9に示すように、その給電用ケーブル3に覆い部材41を外嵌させ、給電用ケーブル3に外嵌させた覆い部材41をケーブル挿通部21に挿通させることができる。また、覆い部材41の内径や外径を変更することで、給電用ケーブル3の外径の大きさの違いにも対応することができる。
【0052】
覆い部材41は、図9(A)に示すように、その周方向の全長に亘って連続するリング状に形成されておらず、周方向で切れ目部46が備えられている。これにより、切れ目部46を通して覆い部材41の内方側に給電用ケーブル3を挿入移動させることができ、給電用ケーブル3の外周部を覆う状態で覆い部材41を給電用ケーブル3に容易に外嵌させることができる。覆い部材41は、例えば、樹脂等の弾性変形自在な材料にて構成されており、その弾性変形を利用しながら、給電用ケーブル3の外周部を覆う状態で覆い部材41を給電用ケーブル3に外嵌させることができる。
【0053】
覆い部材41の内壁部には、図9(A)に示すように、その内方側に突出する内壁凸部42と、その外方側に凹入する内壁凹部43とが備えられている。内壁凸部42と内壁凹部43とが、ケーブル挿通部21の挿通方向(図9の左右方向)において、交互に複数並ぶ状態で配設されている。また、覆い部材41の外壁部にも、図9(A)及び(B)に示すように、その外方側に突出する外壁凸部44と、その内方側に凹入する外壁凹部45とが備えられ、外壁凸部44と外壁凹部45とが、ケーブル挿通部21の挿通方向(図9の左右方向)において、交互に複数並ぶ状態で配設されている。
【0054】
これにより、例えば、ケーブル挿通部21に挿通された給電用ケーブル3を引っ張った場合でも、複数の内壁凸部42の夫々にて抵抗力を与えることができるとともに、複数の外壁凸部44の夫々にて抵抗力を与えることができるので、ケーブル挿通部21から覆い部材41や給電用ケーブル3が抜けてしまうのを防止することができる。
【0055】
〔第2実施形態〕
自動車では、開閉式窓部1の形状として、第1実施形態に示すように、窓部11が矩形状のものだけでなく、例えば、図10の下方側に示すように、前後の両端部が傾斜した傾斜形状の窓部11もある。そこで、第2実施形態では、図10図12を用いて、傾斜形状の窓部11に対応する形状のケーブル挿通具100について説明する。第2実施形態では、第1実施形態に対して、芯材部51及び弾性変形部61の形状が異なるだけであるので、同様の構成等について同符号等を記すことで、その説明は省略する。
【0056】
第1実施形態では、図4に示すように、芯材部24が挟み込み方向(図4において上下方向)、及び、直交方向(図4において左右方向)に延びる矩形状に形成されているが、この第2実施形態では、図11のグレー部分にて示すように、芯材部51の形状が異なっている。
【0057】
芯材部51は、第1芯材部位52と第2芯材部位53と第3芯材部位54との異なる形状の3つの部位の組み合せにて構成されている。第1芯材部位52は、挟み込み方向(図11において上下方向)及び直交方向(図11において左右方向)に延びる形状に形成されている。第2芯材部位53は、第1芯材部位52において直交方向の一端部から下方側に傾斜する方向に延びる形状に形成されている。第3芯材部位54は、第1芯材部位52において直交方向の他端部から下方側に傾斜する方向に延びる形状に形成されている。第3芯材部位54は、図10及び図11に示すように、窓部11の形状に対応して、第2芯材部位53よりも下方側に延びる長さが長く形成されている。
【0058】
窓枠係合部55として、図10及び図11に示すように、第1芯材部位52において窓枠部13が位置する側(図10及び図11において上方側)に配設された第4窓枠係合部56と、第2芯材部位53の外周部(図10及び図11において左側)に配設された第5窓枠係合部57と、第3芯材部位54の外周部(図10及び図11において右側)に配設された第6窓枠係合部58とが備えられている。
【0059】
弾性変形部61は、図10及び図11に示すように、第1芯材部位52に対応して配設されて第1芯材部位52を挟み込む第1弾性変形部位62と、第2芯材部位53に対応して配設されて第2芯材部位53を挟み込む第2弾性変形部位63と、第3芯材部位54に対応して配設されて第3芯材部位54を挟み込む第3弾性変形部位64と、第1~第3弾性変形部位62~64の夫々から下方側に延長された延長部位65とが備えられている。延長部位65には、図示は省略するが、第1実施形態と同様に、窓係合部29(図4参照)が備えられている。
【0060】
図12に示すように、前後が傾斜する傾斜形状の窓部11において平坦状の中間部位では、第4窓枠係合部56が上側の窓枠部13aに係合する状態で窓部11と窓枠部13とで第1芯材部位52(図11参照)を挟み込むことができる。窓部11の前後の傾斜部位の夫々でも、図12に示すように、第5窓枠係合部57が前側の窓枠部13bに係合する状態で窓部11と窓枠部13とで第2芯材部位53(図11参照)を挟み込むとともに、第6窓枠係合部58が窓枠部に係合する状態で窓部と窓枠部とで第3芯材部位54(図11参照)を挟み込むことができる。
【0061】
このようにして、窓部11の中間部位だけでなく、前後の傾斜部位についても、窓枠部13と窓部11とで芯材部51を挟み込むことができるので、図11の矢印にて示すように、その挟み込みによる圧縮力を、挟み込み方向(図11において上下方向)だけでなく、交差方向(図11において左右方向)にも作用させることができる。
【0062】
第1実施形態と同様に、図10に示すように、弾性変形部61は、ケーブル挿通部21及び切れ込み部22の周囲を囲む状態で配設されている。それに対して、図11のグレーにて示すように、第1芯材部位52は、ケーブル挿通部21及び切れ込み部22の周囲を囲む部位に切り欠き部52aが備えられ、ケーブル挿通部21及び切れ込み部22の周囲を除く範囲に配設されている。
【0063】
これにより、図11の矢印にて示すように、ケーブル挿通部21及び切れ込み部22の周囲を囲む弾性変形部61に対して圧縮力が作用されて、その弾性変形部61が弾性変形することで、図示は省略するが、ケーブル挿通部21の内壁部が給電用ケーブル3の外周部に当接してケーブル挿通部21の内壁部と給電用ケーブル3の外周部との間の隙間が閉塞されるとともに、切れ込み部22の隙間も閉塞される。
【0064】
本体部2を開閉式窓部1に取り付ける手順については、第1実施形態と同様に、図12(A)に示すように、まず、窓部11を下方側に下げることで、上方側に窓開口12を形成して、図12(B)に示すように、その窓開口12において本体部2を窓部11及び前後の窓枠部13に係合させる状態で取り付ける。図12(C)に示すように、窓部11を上方側に移動させることで、上側の窓枠部13aと窓部11とで本体部2を上下方向に挟み込み、前後の窓枠部13b、13cと窓部11とによっても本体部2の前後を挟み込む状態で本体部2を取り付ける。ちなみに、図12(B)に示すように、本体部2を窓部11や前後の窓枠部13に対して係合させるに当たり、例えば、その全体をきっちりと係合させていなくても、図12(C)に示すように、窓部11を上方側に移動させると、本体部2の弾性変形部61(図10参照)が弾性変形するので、本体部2を窓部11や前後の窓枠部13に対しても適切に係合させることができる。
【0065】
〔第3実施形態〕
第1実施形態及び第2実施形態では、自動車等の開閉式窓部1にケーブル挿通具100を適用した場合を例示したが、例えば、住宅等の開閉式窓部1にケーブル挿通具100を適用することで、屋外やベランダにて各種の電力機器を使用することもできる。
【0066】
そこで、この第3実施形態では、図13図16を用いて、住宅等の開閉式窓部1にケーブル挿通具100を適用した場合について説明する。ケーブル挿通具100の構成等について、第1実施形態と同様であり、本体部2を取り付ける方向等が異なるだけであるので、構成等については同符号等を記すことで、その説明は省略する。
【0067】
第1実施形態では、図1に示すように、自動車101等の開閉式窓部1が、図6に示すように、窓部11を上下方向に移動させて開閉させているので、窓枠部13と窓部11とで本体部2を上下方向で挟み込む状態で取り付けている。それに対して、図13図16に示すように、住宅102等の開閉式窓部1は、窓部11を左右方向に移動させて開閉させているので、窓枠部13と窓部11とで本体部2を左右方向で挟み込む状態で取り付けている。この第3実施形態では、図13に示すように、ケーブル挿通部21及び切れ込み部22が、本体部2の下方側部位に配設されている。
【0068】
本体部2を開閉式窓部1に取り付ける手順について説明すると、まず、図13に示すように、窓部11を左側に移動させることで、右側に窓開口12を形成し、本体部2のケーブル挿通部21に給電用ケーブル3を挿通させる。次に、図14に示すように、本体部2の窓枠係合部(図示省略)を上下及び右側の窓枠部13に係合させる状態で本体部2を窓開口12の右側端部に取り付ける。次に、図15の矢印にて示すように、窓部11を右側に移動させることで、窓部11と右側の窓枠部13とで本体部2を左右方向で挟み込む状態で本体部2を取り付けている。最後に、図16に示すように、窓部11の左側端部等に、窓部11の移動を阻止して窓部11の位置を保持するストッパー103を取り付けることで、窓部11と右側の窓枠部13とで本体部2を左右方向で挟み込む状態を維持している。
【0069】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0070】
(1)第1~第3実施形態における本体部2の形状については、窓部11の形状に対応させて適宜変更することができる。第1実施形態では、矩形状の本体部2を例示し、第2実施形態では、前後の両端部が傾斜した傾斜形状の本体部2を例示したが、例えば、台形状や、その他各種の形状を適用することができる。
【0071】
(2)第1~第3実施形態では、本体部2が、芯材部24、51と弾性変形部23、61とを備えているが、例えば、芯材部を備えなくてもよく、本体部2をどのような素材のもので構成するかは適宜変更することができる。
【0072】
(3)第1実施形態では、ケーブル挿通部21の形状について、挟み込み方向に長尺な楕円系形状としているが、この楕円形状に限らず、その他の形状を適用することもできる。
第2実施形態では、挟み込み方向だけでなく、直交方向においても、圧縮力を作用させることができるので、例えば、真円形状に形成することもできる。
【0073】
(4)第1実施形態では、切れ込み部22の形状について、第1傾斜部32と第2傾斜部33とを有する傾斜形状としているが、この傾斜形状に限らず、その他の形状を適用することもできる。
第2実施形態では、挟み込み方向だけでなく、直交方向においても、圧縮力を作用させることができるので、例えば、挟み込み方向に沿う直線状に形成することもできる。
【符号の説明】
【0074】
1 開閉式窓部
2 本体部
3 給電用ケーブル
11 窓部
12 窓開口
13 窓枠部
21 ケーブル挿通部
22 切れ込み部
23 弾性変形部
24 芯材部
25 窓枠係合部
26 第1窓枠係合部
27 第2窓枠係合部
28 第3窓枠係合部
31 閉塞部
32 第1傾斜部
33 第2傾斜部
34 凸部
35 凹部
41 覆い部材
42 内壁凸部
43 内壁凹部
44 外壁凸部
45 外壁凹部
51 芯材部
52 第1芯材部位
53 第2芯材部位
54 第3芯材部位
55 窓枠係合部
56 第4窓枠係合部
57 第5窓枠係合部
58 第6窓枠係合部
61 弾性変形部
100 ケーブル挿通具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16