(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047050
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】熱媒体加熱装置
(51)【国際特許分類】
F24H 1/10 20220101AFI20240329BHJP
H05B 3/40 20060101ALI20240329BHJP
H05B 3/44 20060101ALI20240329BHJP
B60H 1/03 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
F24H1/10 D
H05B3/40 A
H05B3/44
B60H1/03 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152463
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 雅史
(72)【発明者】
【氏名】増田 真一
(72)【発明者】
【氏名】本間 淳
【テーマコード(参考)】
3K092
3L034
3L211
【Fターム(参考)】
3K092PP11
3K092PP15
3K092QA01
3L034BB03
3L211BA02
3L211DA50
(57)【要約】
【課題】複数の棒状発熱体が筐体に収容された熱媒体加熱装置において、棒状発熱体に沿って並列された加熱流路とこれを連通させる連通流路の流通抵抗を改善し、複数の加熱流路における熱媒体の流れの不均一さを解消する。
【解決手段】熱媒体加熱装置は、並列配置した複数の棒状発熱体と、複数の棒状発熱体が収容された筐体とを備え、筐体が、棒状発熱体に沿って熱媒体を流通させる複数の加熱流路と複数の加熱流路を連通させる連通流路を備える熱媒媒体加熱装置であって、連通流路は、前記加熱流路の延長方向とは逆側に熱媒体の流路幅を拡大させる流路拡大部を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列配置した複数の棒状発熱体と、複数の前記棒状発熱体が収容された筐体とを備え、前記筐体が、前記棒状発熱体に沿って熱媒体を流通させる複数の加熱流路と複数の前記加熱流路を連通させる連通流路を備える熱媒媒体加熱装置であって、
前記連通流路は、前記加熱流路の延長方向とは逆側に熱媒体の流路幅を拡大させる流路拡大部を有することを特徴とする熱媒体加熱装置。
【請求項2】
前記流路拡大部は、前記加熱流路の延長方向に対して鈍角に交わる方向に熱媒体の流路を形成することを特徴とする請求項1記載の熱媒体加熱装置。
【請求項3】
前記筐体は、
複数の前記加熱流路と該加熱流路の端部を連通させる前記連通流路が形成された第1筐体部と、前記連通流路に対して前記流路拡大部を追加させる第2筐体部を備えることを特徴とする請求項1記載の熱媒体加熱装置。
【請求項4】
前記第2筐体部は、複数の前記棒状発熱体の端子部を囲むと共に前記連通流路における流通方向の両外側で前記第1筐体部に密着するシール部を備えることを特徴とする請求項3記載の熱媒体加熱装置。
【請求項5】
前記シール部は、前記連通流路に沿った内縁に、前記流路拡大部の中央に向けてシール幅が広がる傾斜部が設けられ、前記連通流路の流通方向の両外側の一方側に設けた前記傾斜部が他方側に設けた前記傾斜部より長いことを特徴とする請求項4記載の熱媒体加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒体加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両空調等に用いられる熱媒体の加熱装置は、棒状の発熱体が収容された筐体内に、発熱体に沿って熱媒体を流通させる加熱流路が形成されている。複数の発熱体が収容される筐体では、並列配置された複数の発熱体に沿って複数の加熱流路が形成されると共に、複数の加熱流路を連通させる連通流路が形成されており、筐体の流入口から流入した熱媒体は、複数の加熱流路と連通流路を経由して筐体の流出口に至る間に、所定の温度に加熱される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の熱媒体加熱装置は、複数の棒状発熱体が並列配置されており、並列した直線状の加熱流路に対して、それとは直交する方向に連通流路が形成されている。このため、加熱流路から連通流路に向かう熱媒体の流れが急激に方向変換されることで流通抵抗が大きくなり、連通流路を挟む複数の加熱流路における熱媒体の流れが不均一になる問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、複数の棒状発熱体が筐体に収容された熱媒体加熱装置において、棒状発熱体に沿って並列配置された複数の加熱流路とこれらを連通させる連通流路の流通抵抗を改善し、複数の加熱流路における熱媒体の流れの不均一さを解消すること、などが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明による熱媒体加熱装置は、以下の構成を具備するものである。
並列配置した複数の棒状発熱体と、複数の前記棒状発熱体が収容された筐体とを備え、前記筐体が、前記棒状発熱体に沿って熱媒体を流通させる複数の加熱流路と複数の前記加熱流路を連通させる連通流路を備える熱媒媒体加熱装置であって、前記連通流路は、前記加熱流路の延長方向とは逆側に熱媒体の流路幅を拡大させる流路拡大部を有することを特徴とする熱媒体加熱装置。
【発明の効果】
【0007】
このような特徴を有する本発明によると、棒状発熱体に沿って並列された複数の加熱流路とこれらを連通させる連通流路の流通抵抗を改善し、複数の加熱流路における熱媒体の流れの不均一さを解消することで、熱媒体加熱装置の加熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】熱媒体加熱装置の熱媒体の流れを示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0010】
図1及び
図2に示すように、熱媒体加熱装置1は、複数の棒状発熱体2(2A,2B)と筐体3を備える。複数の棒状発熱体2(2A,2B)は、筐体3内に収容され、筐体3には、棒状発熱体2(2A,2B)の周囲に、棒状発熱体2(2A,2B)に沿って熱媒体を流通させる加熱流路10(10A,10B)が形成されている。また、筐体3には、複数の加熱流路10(10A,10B)を連通するための連通流路11が形成されている。
【0011】
棒状発熱体2(2A,2B)は、一端側に端子部2Tが設けられ、この端子部2Tが図示両略の制御基板に接続配線(バスバー)を介して接続されている。棒状発熱体2(2A,2B)の両端は、筐体3内においてシール部材(Oリングなど)4を介して支持されている。
【0012】
複数の棒状発熱体2(2A,2B)は、筐体3内で並列配置されている。筐体3には、複数の棒状発熱体2(2A,2B)を収容する直線状の収容空間が形成されており、この収容空間に棒状発熱体2(2A,2B)を収容した状態で、棒状発熱体2(2A,2B)の周囲に形成される隙間が熱媒体の加熱流路10(10A,10B)になる。
【0013】
図示の例では、筐体3には、棒状発熱体2(2A,2B)における端子部2Tの逆側に、熱媒体の流入部13と流出部14が設けられている。流入部13は、一つの棒状発熱体2(2A)が収容された加熱流路10(10A)に連通し、流出部14は、他の棒状発熱体2(2B)が収容された加熱流路10(10B)に連通している。筐体3の流入部13から流入した熱媒体は、棒状発熱体2(2A)が収容された一つの加熱流路10(10A)を通過する間に加熱され、連通流路11を流通して、棒状発熱体2(2B)が収容された他の加熱流路10(10B)を通過する間に更に加熱されて流出部14に至る。
【0014】
筐体3において、並列配置された複数の加熱流路10(10A,10B)の間には、回路部品収容部30が形成されている。回路部品収容部30には、図示省略の制御基板に接続される回路部品等が収容されている。
【0015】
筐体3は、第1筐体部3Aと第2筐体部3Bを備えている。第1筐体部3Aには、前述した複数の加熱流路10(10A,10B)と連通流路11が形成されると共に流入部10と流出部14が形成され、更に回路部品収容部30が設けられている。これに対して、第2筐体部3Bには、連通流路11の流路を拡大する流路拡大部20が形成されている。
【0016】
図3に示すように、第2筐体部3Bによって連通流路11に追加される流路拡大部20は、加熱流路10(10A,10B)の延長方向とは逆側に熱媒体の流路幅を拡大させる。図示の例では、流路拡大部20が設けられていない場合は、加熱流路10(10A,10B)の延長方向に沿った連通流路11の流路幅はW1であるが、第2筐体部3Bによって流路拡大部20が追加されることで、加熱流路10(10A,10B)の延長方向に沿った連通流路11の流路幅はW2(>W1)に拡大される。換言すると、流路拡大部20によって、連通流路11における加熱流路10(10A,10B)の延長方向に沿った流路幅が、(W2-W1)だけ加熱流路10(10A,10B)の延長方向とは逆側に拡大されることになる。
【0017】
図3において、一つの加熱流路10(10A)から連通流路11を通って他の加熱流路10(10B)に至る熱媒体の流れを説明する。流路拡大部20を設けない場合には、熱媒体の流れは、図示の破線で示すように、略直角に流路方向が変更されることになり、この急激な流路方向の変更によって、流通抵抗が大きくなる問題があった。
【0018】
これに対して、流路拡大部20が追加されると、熱媒体の流れは、図示の一点鎖線で示すようになり、流路拡大部20が、加熱流路10(10A,10B)の延長方向に対して鈍角に交わる方向に熱媒体の流路を形成する。これによって、一つの加熱流路10(10A)から連通流路11を通って他の加熱流路10(10B)に至る熱媒体の流れは、急激な流路方向の変更が緩和されて流通抵抗が改善される。
【0019】
第2筐体部3Bは、
図4に示すように、単一部品で構成することができ、第1筐体部3Aに密着接合することで、加熱流路10(10A,10B)における棒状発熱体2(2A,2B)の端子部2T側を封止すると共に、連通流路11に流路拡大部20を追加形成する。このため、第2筐体部3Bは、複数の棒状発熱体2(2A,2B)の端子部2Tを囲むと共に連通流路11における流通方向の両外側で第1筐体部3Aに密着するシール部21を備えている。
【0020】
図4は、第2筐体部3Bのシール部21の平面構成を示している。シール部21は、連通流路11に沿った内縁に、流路拡大部20の中央に向けてシール幅が広がる傾斜部21A,21Bが設けられている。そして、連通流路11の流通方向の両外側の一方側に設けた傾斜部21Aが他方側に設けた傾斜部21Bより長くなっている。また、シール部21の両端には、棒状発熱体2(2A,2B)の端子部2Tが挿通される端子部挿通孔23が設けられている。
【0021】
シール部21に設けられる傾斜部21A,21Bは、シール部21のシール面に締結孔22を設けるために形成されている。締結孔22は、第2筐体部3Bを第1筐体部3Aに接合する際に締結部材を挿入するための孔である。前述したように、傾斜部21Aを傾斜部21Bより長く形成することで、傾斜部21A側には締結孔22を一つ設け、傾斜部21B側には締結孔22を二つ設ける3点締結が可能になる。このように、3点締結によって傾斜部21A側の傾斜を長く緩やかにすることで、シール部21のシール性を確保しつつ、第2筐体部3Bによって形成される流路拡大部20内の流通抵抗を抑制することができる。
【0022】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る熱媒体加熱装置1によると、棒状発熱体2(2A,2A)に沿って並列配置された加熱流路10(10A,10B)間を連通させる連通流路11に、加熱流路10(10A,10B)の延長方向とは逆側に熱媒体の流路幅を拡大させる流路拡大部20を設けることで、一つの加熱流路10(10A)から連通流路11を通って他の加熱流路10(10B)に至る熱媒体の流れの流通抵抗を改善することができる。この流通抵抗の改善により、複数の加熱流路10(10A,10B)における熱媒体の流れの不均一さが解消されることになり、加熱流路10(10A,10B)を流れる熱媒体の均一な流れによって、熱媒体加熱装置1の加熱効率を向上させることができる。
【0023】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1:熱媒体加熱装置,2,2A,2B:棒状発熱体,2T:端子部,
3:筐体,3A:第1筐体部,3B:第2筐体部,4:シール部材,
10,10A,10B:加熱流路,11:連通流路,
13:流入部,14:流出部,
20:流路拡大部,21:シール部,21A,21B:傾斜部,22:締結孔,
23:端子部挿通孔,30:回路部品収容部