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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047057
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】冷媒ユニット
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240329BHJP
   F25B 31/00 20060101ALI20240329BHJP
   F25B 41/40 20210101ALI20240329BHJP
   F25B 5/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
F25B1/00 D
F25B31/00 B
F25B41/40 B
F25B5/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152470
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 良介
(72)【発明者】
【氏名】都丸 高洋
(57)【要約】
【課題】複数の温調対象の異なる温度要求に対応して各熱交換器の熱交換量を適正化する。
【解決手段】冷媒回路と、冷媒回路の構成要素を集約的に支持する単一の支持部材12とを備えた冷媒ユニット10であって、冷媒回路は、機能の異なる第1熱交換器30と第2熱交換器41,42を備え、第1熱交換器は、複数の第2熱交換器の間に配置され、複数の第2熱交換器の一方側の熱交換量に対して、複数の第2熱交換器の他方側の熱交換量を大きくした冷媒ユニットを提供する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路と、前記冷媒回路の構成要素を集約的に支持する単一の支持部材とを備えた冷媒ユニットであって、
前記冷媒回路は、機能の異なる第1熱交換器と第2熱交換器を備え、
前記第1熱交換器は、複数の前記第2熱交換器の間に配置され、
複数の前記第2熱交換器の一方側の熱交換量に対して、複数の前記第2熱交換器の他方側の熱交換量を大きくしたことを特徴とする冷媒ユニット。
【請求項2】
一つの前記第1熱交換器と複数の前記第2熱交換器を繋ぐ複数の冷媒流路のそれぞれに、前記冷媒回路の減圧装置を配備したことを特徴とする請求項1記載の冷媒ユニット。
【請求項3】
前記支持部材には、前記支持部材を挟んだ一方側に、前記冷媒回路の構成要素である圧縮機と気液分離器が配置され、前記支持部材を挟んだ他方側には、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器が配置されていることを特徴とする請求項1記載の冷媒ユニット。
【請求項4】
前記支持部材は、前記圧縮機と前記気液分離器の配置に必要かつ十分な幅を有し、前記幅に対して、複数の前記第2熱交換器の一方側の幅を複数の前記第2熱交換器の他方側の幅より大きくしたことを特徴とする請求項3記載の冷媒ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用等の熱管理システムは、冷媒回路の吸放熱を利用して、車室内空調等の温調対象に対する熱管理を行うものである。熱管理システムの心臓部である冷媒回路は、車両等の装置内での集中管理を可能にするため、或いは、スペース効率良く装置内に配備できるようにするために、構成要素をコンパクトにユニット化することが求められている。
【0003】
ユニット化された冷媒回路(冷媒ユニット)は、冷媒回路の構成要素である、圧縮機、蒸発器又は凝縮器として機能する熱交換器、減圧装置(膨張弁)、気液分離器(アキュムレータ)などを、ベースとなる支持部材に対して集約配置すると共に、この支持部材に冷媒流路(マニホールド)を形成することで、ユニットのアッセンブル化を図っている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0039440号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱管理システムは、温調対象が複数存在する場合には、冷媒ユニットの蒸発器として機能する熱交換器と凝縮器として機能する熱交換器の一方又は両方を複数設けて、各熱交換器を複数の温調対象毎に対応させている。この際、蒸発器又は凝縮器として機能する複数の熱交換器に冷媒を分流する流路、又は複数の熱交換器からの冷媒を合流させる流路は、可能な限り短い流路長で行うことが求められる。
【0006】
冷媒ユニットにおいて、同一機能の熱交換器を複数の温調対象に対応させて複数設ける場合、前述したように、冷媒流路の流路長を短くすることに加えて、複数の温調対象の異なる温度要求に対して各熱交換器の熱交換量を適正化することが求められている。
【0007】
本発明は、このような問題に対応することを課題としている。すなわち、複数の温調対象に対応する複数の熱交換器を備えた冷媒ユニットおいて、同一機能の熱交換器を複数の温調対象に対応させて複数設ける場合、複数の温調対象の異なる温度要求に対応して各熱交換器の熱交換量を適正化すること、が本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明の一態様に係る冷媒ユニットは、以下の構成を具備するものである。
冷媒回路と、前記冷媒回路の構成要素を集約的に支持する単一の支持部材とを備えた冷媒ユニットであって、前記冷媒回路は、機能の異なる第1熱交換器と第2熱交換器を備え、前記第1熱交換器は、複数の前記第2熱交換器の間に配置され、複数の前記第2熱交換器の一方側の熱交換量に対して、複数の前記第2熱交換器の他方側の熱交換量を大きくしたことを特徴とする冷媒ユニット。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を有する冷媒ユニットは、複数の温調対象に対応する複数の熱交換器を備えた冷媒ユニットおいて、同一機能の熱交換器を複数の温調対象に対応させて複数設ける場合、複数の温調対象の異なる温度要求に対応して各熱交換器の熱交換量を適正化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る冷媒ユニットの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷媒ユニットの斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷媒ユニットの分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る冷媒ユニットにおいて、第2固定面側からみた支持部材と各熱交換器の位置関係を表す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る冷媒ユニットに適用される第1流路モジュール及び第2流路モジュールの第1固定面と同一面側に配置される面の平面図である。
図6】本発明の実施形態に係る冷媒ユニットに適用される第1流路モジュール及び第2流路モジュールの第2固定面と同一面側に配置される面の平面図である。
図7】本発明の実施形態に係る冷媒ユニットにおいて、冷房運転時の冷媒の流れを示す参考図である。
図8】本発明の実施形態に係る冷媒ユニットにおいて、暖房運転時の冷媒の流れを示す参考図である。
図9】本発明の実施形態に係る冷媒ユニットの変形例において、第2固定面側からみた支持部材と各熱交換器の位置関係を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一の符号は同一の機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0012】
図1及び図2は、本実施形態に係る冷媒ユニット10の斜視図であり、図3は、冷媒ユニット10の分解斜視図である。本実施形態に係る冷媒ユニット10は、冷媒回路を構成する各構成要素を支持部材12に固定してユニット化したものであり、例えば、走行用バッテリを備えた車両に搭載され、車室内の空調や車載機器の温度調整などを行う空調装置や熱管理システムに用いられる。
【0013】
各図に示すように、冷媒ユニット10は、圧縮機20、アキュムレータ22、第1熱交換器30、第2熱交換器41,42、第1流路モジュール51、第2流路モジュール52、流路方向切替手段としての四方弁60、減圧装置としての膨張弁71,72、及び、流路切替弁としての電磁弁81,82を冷媒配管91~94によって接続した冷媒回路と、これらを集約的に支持する支持部材12とを備えている。
【0014】
図1から図3に示すように、冷媒ユニット10では、冷媒回路を構成する圧縮機20、アキュムレータ22、第1熱交換器30、及び、第2熱交換器41,42がそれぞれ支持部材12に固定されている。また、後述するように、四方弁60はアキュムレータ22に固定され、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52は第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42に固定され、膨張弁71,72は第1流路モジュール51に固定され、電磁弁81,82は第2流路モジュール52に固定されることにより、支持部材12に間接的に固定されている。
【0015】
(各構成要素の位置関係について)
図1は、圧縮機20及びアキュムレータ22側から見た斜視図、図2は、第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42側から見た斜視図であり、図3は、圧縮機20側から見た分解斜視図である。
【0016】
支持部材12は、略矩形状の板状部材である底板部15と、底板部15と一体的に形成され、底板部15の一端側において底板部15に対して垂直に設けられる略矩形状の枠体部16とを有している。支持部材12は、圧縮機20、アキュムレータ22を配置でき、冷媒ユニット10に備えられた各構成要素と冷媒配管が干渉しない十分な幅を有する。
【0017】
底板部15は、枠体部16が設けられている面(表面)が冷媒回路の構成要素を固定する固定面であり、枠体部16と反対側の面(裏面)が冷媒ユニット10を車体等に取り付けるための取付面となっている。底板部15の裏面の4隅を、ゴムブッシュ11を介して締結具13によってそれぞれ締結することで、冷媒ユニット10を車体等の取付対象に取り付けることができる。
【0018】
枠体部16は、底板部15と平行な一対の横辺部161,162と、底板部15に対して垂直な一対の縦辺部163,164と、横辺部161,162と縦辺部163,164との間に形成される空間部165を有している。
【0019】
枠体部16は、その両面が冷媒回路の各構成要素を固定する固定面であり、特に、枠体部16において、底板部15が設けられた面と反対側の面(一方側の面)は第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42を固定する第1固定面であり、底板部15が設けられた面と同一側の面(他方側の面)は圧縮機20及びアキュムレータ22を固定する第2固定面となっている。
【0020】
枠体部16において、鉛直方向の上側に位置する横辺部161の一端側及び他端側には、第2熱交換器41,42を固定するための固定片171,172がそれぞれ設けられ、鉛直方向の下側に位置する横辺部162の中央部には、第1熱交換器30を固定するための固定片173が設けられている。
【0021】
図4は、第2固定面側からみた支持部材12と第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42の位置関係を表す平面図である。図4に示すように、枠体部16において、第1固定面には、第1熱交換器30が横辺部161と固定片173とによって固定され、第2熱交換器41が横辺部162と固定片171とによって固定され、第2熱交換器42が横辺部162と固定片172とによって固定されている。
【0022】
これにより、第1固定面において、第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42は、空間部165を挟んで横辺部161と横辺部162とを架け渡すように設けられる。また、第1固定面において、水平方向に並んで第2熱交換器41、第1熱交換器30、第2熱交換器42が互いに平行且つ離間して設けられている。
【0023】
図1から図4の例では、第1熱交換器30は、第2熱交換器41,42の間に配置され、第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42が等間隔で配置されている。
上述のように、第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42を、横辺部161と横辺部162とを架け渡すように固定して梁として機能させることで、支持部材12の強度を向上させながら、空間部165を確保することができ、支持部材12の軽量化と強度の向上を実現することができる。
【0024】
なお、第1熱交換器30の第1固定面に対する固定位置は、第2熱交換器41,42の第1固定面に対する固定位置と、鉛直方向に異なる位置となっている。本実施形態においては、第1熱交換器30は、第2熱交換器41,42よりも鉛直方向においてやや上方に位置するように第1固定面に固定されている。
【0025】
第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42には、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52が固定される。第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52は、第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42が第2固定面に固定されたときに、枠体部16の空間部165内に配置されるようになっている。なお、空間部165内において、鉛直方向の下方側に第1流路モジュール51が、鉛直方向の上方側に第2流路モジュール52が配置される。
【0026】
なお、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52の固定の態様は、第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42に固定するだけでなく、様々な態様を採用することができる。例えば、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52を、ブラケットなどの固定部材によって少なくとも一部を枠体部16に固定することができる。また、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52にフランジを形成して、フランジ部を締結することで直接的に枠体部16に固定することができる。
【0027】
このようにすることで、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52を支持部材12に強固に固定することができ、支持部材12延いては、冷媒ユニット10からの脱落を防止することができる。なお、固定部材やフランジを断熱部材で形成することにより、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52から固定部材や支持部材12への熱移動を防止することができる。
【0028】
また、第1流路モジュール51には第1流路モジュール51の内部に形成される冷媒流路(後述)に設けられる膨張弁71,72が固定されている。また、第2流路モジュール52には、第2流路モジュール52の内部に形成される冷媒流路(後述)に設けられる電磁弁81,82が固定されている。枠体部16の空間部165内において、膨張弁71及び電磁弁81は、第1熱交換器30と第2熱交換器41との間に、膨張弁72及び電磁弁82は、第1熱交換器30と第2熱交換器42との間に配置されている。
【0029】
枠体部16には、第2固定面において、空間部165を挟んで横辺部161と横辺部162とを架け渡すように梁状部材18が固定されている。また、第2固定面の一方の縦辺部164には、圧縮機20を固定するブラケット19が固定されている。梁状部材18を設けることで、支持部材12の強度を向上させることができる。
【0030】
枠体部16において、第2固定面には、圧縮機20及びアキュムレータ22が固定される。具体的には、圧縮機20は、底板部15から離間した状態で、梁状部材18と、ブラケット19を介して第2固定面に固定される。アキュムレータ22は、底板部15に載置されるとともに、図示しないブラケットを介して第2固定面に固定されている。
【0031】
(第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42について)
第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42は、冷媒と熱媒体(例えば、水)との熱交換を行う冷媒-熱媒体熱交換器であり、冷媒の熱を、熱媒体回路(図示せず)を介して温調対象に供給することで車室内の空調や車載機器の温調などを行う。
【0032】
第1熱交換器30には、冷媒の流通方向に応じて冷媒流入部又は冷媒流出部となる一対の冷媒流入出口304,305が設けられている。同様に、第2熱交換器41には、冷媒の流通方向に応じて冷媒の流入口又は流出口となる一対の冷媒流入出口414,415が設けられ、第2熱交換器42には、冷媒の流通方向に応じて冷媒の流入口又は流出口となる一対の冷媒流入出口424,425が設けられている。
【0033】
本実施形態係る冷媒ユニット10では、四方弁60により冷媒の流通方向を切り替えることが可能であり、第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42は、冷媒の流通方向に応じて蒸発器又は凝縮器として機能する。この際、第1熱交換器30と第2熱交換器41,42は、互いに異なる機能を有するようになっている。
【0034】
すなわち、冷媒ユニット10では、四方弁60を制御して冷媒の流通方向を切り替えることで、第1熱交換器30を凝縮器として機能させると共に、第2熱交換器41,42を蒸発器として機能させるように冷媒を循環させるか、又は、第1熱交換器30を蒸発器として機能させると共に、第2熱交換器41,42を凝縮器として機能させるように冷媒を循環させることができる。
【0035】
図2に示すように、第1熱交換器30には、熱媒体回路を循環する熱媒体が流入又は流出する熱媒体配管301,302が接続され、第2熱交換器41には、熱媒体回路を循環する熱媒体が流入又は流出する熱媒体配管411,412が接続され、第2熱交換器42には、熱媒体回路を循環する熱媒体が流入又は流出する熱媒体配管421,422が接続されている。
【0036】
第1熱交換器30には、熱媒体回路を循環する熱媒体が、熱媒体配管301又は熱媒体配管302の何れか一方から流入し第1熱交換器30において冷媒と熱交換して熱媒体配管302又は熱媒体配管301の何れか他方に流出する。
【0037】
同様に、第2熱交換器41には、熱媒体回路を循環する熱媒体が、熱媒体配管411又は熱媒体配管412の何れか一方から流入し、第2熱交換器41において冷媒と熱交換して熱媒体配管412又は熱媒体配管411の何れか他方に流出する。
【0038】
第2熱交換器42には、熱媒体回路を循環する熱媒体が、熱媒体配管421又は熱媒体配管422の何れか一方から流入し、第2熱交換器42において冷媒と熱交換して熱媒体配管422又は熱媒体配管421の何れか他方に流出する。
【0039】
(第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52について)
続いて、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52について説明する。
図5及び図6に、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52の平面図を示す。図5は、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52の第1固定面と同一面側に配置される面の平面図、図6は、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52の第2固定面と同一面側に配置される面の平面図である。
【0040】
第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52は、例えば、アルミニウムなどの金属からなるブロック体の内部に複数の冷媒流路が一体的に形成されたマニホールド構造をなし、冷媒回路における冷媒流路の少なくとも一部を一体部品として構成したものである。
【0041】
図5に示すように、第1流路モジュール51には、第1固定面側において同一平面上に、他の構成要素と第1流路モジュール51とを接続して冷媒を相互に流通させるための接続部511,512,513,751A,751B,752A,752Bが設けられている。また、図6に示すように、第1流路モジュール51には、第2固定面側において同一平面上に、冷媒ユニット10を循環する冷媒の状態を検出する検出装置S1,S2を取り付ける取付部518,519が設けられている。
【0042】
各接続部は、第1流路モジュール51が接続される機器の冷媒流入出口の位置に対応して設けられている。具体的には、接続部511は第2熱交換器41の冷媒流入出口415に対応する位置に、接続部512は第2熱交換器42の冷媒流入出口425に対応する位置に、接続部513は第1熱交換器30の冷媒流入出口305と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0043】
また、第1流路モジュール51において、膨張弁71に繋がる冷媒流路51Aと第1熱交換器30との接続部751Aが、膨張弁71に繋がる冷媒流路51Cと第2熱交換器41との接続部751Bに対して鉛直方向にずれて配置されている。一対の接続部751A,751Bは、膨張弁71の一対の冷媒流入出口(冷媒流入部又は冷媒流出部)71A,71Bに対応する位置に設けられている。
【0044】
同様に、第1流路モジュール51において、膨張弁72に繋がる冷媒流路51Bと第1熱交換器30との接続部752Aが、膨張弁72に繋がる冷媒流路52Dと第2熱交換器42との接続部752Bに対して鉛直方向にずれて配置されている。一対の接続部752A,752Bは、膨張弁72に設けられる一対の冷媒流入出口72A,72Bに対応する位置に設けられている。
このように、第1流路モジュール51に接続部751A,751B,752A,752Bを設けて膨張弁71,72を接続することにより、膨張弁71,72の着脱が容易となり、メンテナンス性が向上する。
【0045】
なお、図3に示すように、膨張弁71の一対の冷媒流入出口71A,71Bは、鉛直方向に沿って異なる高さに配置されている。冷媒の流通方向に応じて、一方が冷媒流入部となり、他方が冷媒流出部となる。同様に、膨張弁72の一対の冷媒流入出口72A,72Bは、鉛直方向に沿って異なる高さに配置され、冷媒の流通方向に応じて、一方が冷媒流入部となり、他方が冷媒流出部となる。
【0046】
第1流路モジュール51の内部には、接続部513と接続部751Aとを連通する冷媒流路51Aと、接続部513と接続部752Aとを連通する冷媒流路51Bと、接続部751Bと接続部511とを連通する冷媒流路51Cと、接続部752Bと接続部512とを連通する冷媒流路51Dとが形成されている。接続部513は、冷媒流路51A及び冷媒流路51Bの分岐点または合流点となる。
【0047】
第1流路モジュール51において、接続部513,751A,752Aは、鉛直方向において略同じ高さに配置されている。また、接続部511,512,751B,752Bは、鉛直方向において略同じ高さに配置され、これらは接続部513,751A,752Aよりも鉛直方向の下方に位置している。
従って、冷媒流路51A~51Dは、略平行に配置され、冷媒流路51A,51Bが冷媒流路51C,51Dよりも鉛直方向の上方に位置している。
【0048】
取付部518は、接続部513の裏面側に配置され、取付部519は、接続部751Bの裏面側に配置される。したがって、検出装置S1,S2は、第1流路モジュール51において第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42が接続される面と反対側の面に取り付けられる。
【0049】
また、取付部518に取り付けられる検出装置S1は、冷媒流路51Aと冷媒流路51Bとの分岐点又は合流点に設けられ、取付部519に取り付けられる検出装置S2は、冷媒流路51Cと膨張弁71との接続点に設けられる。つまり、検出装置S1は、冷媒流路51Aと冷媒流路51Bによって形成される第1熱交換器30と第2熱交換器41,42とを繋ぐ冷媒流路の分岐点又は合流点に設けられ、検出装置S2は、この分岐点又は合流点の近傍に設けられる。
【0050】
検出装置S1又は検出装置S2により、第1熱交換器30を流出して第2熱交換器41,42に分流される直前の冷媒の温度や圧力など冷媒の状態を検出することができるので、第2熱交換器41,42にそれぞれ検出装置を設ける必要がなく、冷媒ユニット10において、検出装置の数を減らすことができる。つまり、検出装置S1又は検出装置S2の配置位置を適正化することで、効率よく冷媒の状態を検出することができる。なお、検出装置S1,S2の検出結果は、図示しない制御装置に出力され、検出結果に応じて冷媒回路が制御される。
【0051】
第2流路モジュール52には、第1固定面側において同一平面上に、他の構成要素と第2流路モジュール52とを接続して冷媒を相互に流通させるための接続部521,522,851A,851B,852A,852Bが設けられている。また、第2流路モジュール52は、第2固定面側に、冷媒配管93と接続される接続部529が設けられている。
【0052】
各接続部は、第2流路モジュール52が接続される機器の冷媒流入出口の位置に対応して設けられている。具体的には、接続部521は第2熱交換器41の冷媒流入出口414に対応する位置に、接続部522は第2熱交換器42の冷媒流入出口424と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0053】
また、一対の接続部851A,851Bは、電磁弁81の一対の冷媒流入出口(冷媒流入部又は冷媒流出部)81A,81Bに対応する位置に、一対の接続部852A,852Bは、電磁弁82の一対の冷媒流入出口(冷媒流入部又は冷媒流出部)82A,82Bに対応する位置に設けられている。このように、第2流路モジュール52に接続部851A,851B,852A,852Bを設けて電磁弁81,82を接続することにより、電磁弁81,82の着脱が容易となり、メンテナンス性が向上する。
【0054】
なお、図3に示すように、電磁弁81の一対の冷媒流入出口81A,81Bは、鉛直方向に沿って異なる高さに配置され、冷媒の流通方向に応じて、一方が冷媒流入部となり、他方が冷媒流出部となる。同様に、電磁弁82の一対の冷媒流入出口82A,82Bは、鉛直方向に沿って異なる高さに配置され、冷媒の流通方向に応じて、一方が冷媒流入部となり、他方が冷媒流出部となる。
【0055】
第2流路モジュール52の内部には、接続部529と接続部851Bとを連通する冷媒流路52Aと、接続部529と接続部852Bとを連通する冷媒流路52Bと、接続部851Aと接続部521とを連通する冷媒流路52Cと、接続部852Aと接続部522とを連通する冷媒流路52Dとが形成されている。接続部529は、冷媒流路52A及び冷媒流路52Bの分岐点または合流点となる。
【0056】
第2流路モジュール52において、接続部529,851B,852Bは、鉛直方向において略同じ高さに配置されている。また、接続部521,522,851A,852Aは、鉛直方向において略同じ高さに配置され、これらは接続部529,851B,852Bよりも鉛直方向の上方に位置している。
従って、冷媒流路52A~52Dは、略平行に配置され、冷媒流路52C,52Dが冷媒流路52A,52Bよりも鉛直方向の上方に位置している。
【0057】
(冷媒回路の各構成要素の接続関係について)
冷媒ユニット10において、冷媒回路の各構成要素は、次のように接続されている(図7及び図8参照)。圧縮機20の冷媒吸入口は、冷媒配管94によって四方弁60を介してアキュムレータ22と接続され、圧縮機20の冷媒吐出口は、冷媒配管91によって四方弁60に接続されている。また、四方弁60は、冷媒配管92によって第1熱交換器30と接続されると共に、冷媒配管93によって第2流路モジュール52の接続部529と接続されている。冷媒配管93が第2流路モジュール52の接続部529に接続されることで、冷媒配管93と冷媒流路52A,52Bとが連通し、相互に冷媒が流通するようになっている。
【0058】
第1流路モジュール51において、接続部511は第2熱交換器41の冷媒流入出口415と接続され、接続部512は第2熱交換器42の冷媒流入出口425と接続され、接続部513は第1熱交換器30の冷媒流入出口305と接続される。また、接続部751A,751Bは、膨張弁71の冷媒流入出口71A,71Bにそれぞれ接続される。同様に、接続部752A,752Bは、膨張弁72の冷媒流入出口72A,72Bにそれぞれ接続される。
【0059】
これにより、第1流路モジュール51の内部において、接続部511と接続部513との間が冷媒流路51Aと膨張弁71と冷媒流路51Cにより連通し、第1熱交換器30と第2熱交換器41とを繋ぐ冷媒流路が形成される。また、第1流路モジュール51の内部において、接続部513と接続部512との間が冷媒流路51Bと膨張弁72と冷媒流路51Dとにより連通し、第1熱交換器30と第2熱交換器42とを繋ぐ冷媒流路が形成される。
【0060】
なお、流路抵抗に起因した熱交換器間の能力差を抑制するために、第1熱交換器30は、第2熱交換器41,42の間に配置され、第1熱交換器30と第2熱交換器41との距離、及び、第1熱交換器30と第2熱交換器42との距離が略等しくなるように配置し、第1熱交換器30と第2熱交換器41とを繋ぐ冷媒流路の長さと、第1熱交換器30と第2熱交換器42とを繋ぐ冷媒流路の長さとが等しくなるように構成することが好ましい。一方側の冷媒流路と他方側の冷媒流路との流路長の差をできる限り小さくすることで、両者において生じる流路抵抗の差を小さくし、2つの第2熱交換器41,42間に生じる能力差を抑制することができる。
【0061】
上述の通り、膨張弁71,72において、それぞれ冷媒流入出口が鉛直方向に並んで配置されている。このため、第1流路モジュール51に形成される第1熱交換器30と第2熱交換器41とを繋ぐ流路には、水平方向に配置される冷媒流路51A及び冷媒流路51Cと、これらの間に膨張弁71による鉛直方向の流路が含まれることとなる。つまり、冷媒流路51Aと冷媒流路51Cとの間に段差部が形成される。
【0062】
同様に、第1流路モジュール51に形成される第1熱交換器30と第2熱交換器42とを繋ぐ流路には、水平方向に配置される冷媒流路51B及び冷媒流路51Dと、これらの間に膨張弁72による鉛直方向の流路が含まれることとなる。つまり、冷媒流路51Bと冷媒流路51Dとの間に段差部が形成される。
【0063】
このため、冷媒流路51Aと膨張弁71と冷媒流路51Cとを流れる冷媒は、段差部により冷媒の流路方向が変更され、冷媒流路51Bと膨張弁72と冷媒流路51Dとを流れる冷媒は、段差部により冷媒の流路方向が変更される。
【0064】
つまり、第1流路モジュール51では、水平の冷媒流路51A及び冷媒流路51Cと、膨張弁71内部の鉛直方向の冷媒流路とを含んでおり、水平に流通する冷媒を、鉛直方向に流通させるよう流路方向を変更させ、その後、水平方向に流通させるよう流路方向を再び変更させるようになっている。また、第1流路モジュール51は、水平の冷媒流路51B及び冷媒流路51Dと、膨張弁72内部の鉛直方向の冷媒流路とを含んでおり、水平に流通する冷媒を、鉛直方向に流通させるよう流路方向を変更させ、その後、水平方向に流通させるよう流路方向を再び変更させるようになっている。
【0065】
このように、第1流路モジュール51では、第1熱交換器30と第2熱交換器41とを繋ぐ冷媒流路、及び、第1熱交換器30と第2熱交換器42とを繋ぐ冷媒流路において、共に流路方向が2回変更されるように形成されている。このように、第1熱交換器30と第2熱交換器41とを繋ぐ冷媒流路、及び、第1熱交換器30と第2熱交換器42とを繋ぐ冷媒流路における流路方向の変更回数を等しくすることで、流路抵抗に起因した熱交換器間の能力差を抑制することができる。
【0066】
第2流路モジュール52において、接続部521は第2熱交換器41の冷媒流入出口414と接続され、接続部522は第2熱交換器42の冷媒流入出口424と接続される。また、接続部851A,851Bは、電磁弁81の冷媒流入出口81A,81Bにそれぞれ接続される。同様に、接続部852A,852Bは、電磁弁82の冷媒流入出口82A,82Bにそれぞれ接続される。
【0067】
これにより、第2流路モジュール52の内部において、接続部521と接続部529との間が冷媒流路52Cと電磁弁81と冷媒流路52Aとにより連通し、これらと冷媒配管93とにより、第2熱交換器41と四方弁60を繋ぐ冷媒流路が形成される。また、第2流路モジュール52の内部において、接続部522と接続部529とが冷媒流路52Dと電磁弁82と冷媒流路52Bにより連通し、これらと冷媒配管93とにより、第2熱交換器42と四方弁60とを繋ぐ冷媒流路が形成される。
【0068】
(冷媒の流れについて)
次に、このような冷媒ユニット10における冷媒の循環について図7及び図8を用いて説明する。冷媒ユニット10では、例えば、空調目的又は温調対象に応じて、四方弁60によって冷媒の循環方向を切替えることができる。
【0069】
(1)冷房運転時の冷媒の流れ
例えば、冷媒ユニット10が用いられる空調装置において冷房運転が行われる場合には、冷媒は以下のように循環する(図7参照)。すなわち、冷媒は、圧縮機20によって圧縮されて高圧のガス冷媒となって吐出され、冷媒配管91を流通し、四方弁60に流入する。高圧のガス冷媒は、四方弁から冷媒配管92を流通し、第1熱交換器30に流入する。
【0070】
第1熱交換器30に流入した冷媒は、第1熱交換器30において他の熱媒体と熱交換することにより放熱した後に、第1熱交換器30を流出して第1流路モジュール51に流入し、第1流路モジュール51の接続部513において分岐し、冷媒流路51Aと冷媒流路51Bとに略均等に分流される。
【0071】
冷媒流路51Aを流通する冷媒は膨張弁71において減圧されて膨張し、低圧冷媒となって第2熱交換器41に流入する。一方、冷媒流路51Bを流通する冷媒は膨張弁72において減圧されて膨張し、低圧冷媒となって第2熱交換器42に流入する。
【0072】
第2熱交換器41,42に流入した低圧冷媒は、第2熱交換器41,42において他の熱媒体と熱交換することにより吸熱した後に、第2熱交換器41,42から流出する。
第2熱交換器41から流出した冷媒は、第2流路モジュール52の冷媒流路52Aを流通する過程で電磁弁81を通過し、接続部529で冷媒流路52Bを流れてきた冷媒と合流して冷媒配管93に流れる。
【0073】
同様に、第2熱交換器42から流出した冷媒は、第2流路モジュール52の冷媒流路52Bを流通する過程で電磁弁82を通過し、接続部529で冷媒流路52Aを流れてきた冷媒と合流して冷媒配管93に流れる。
第2流路モジュール52から冷媒配管93に流入した冷媒は、再び四方弁60に入り、四方弁60を介してアキュムレータ22に流入し、アキュムレータ22から四方弁60を介して圧縮機20へ戻る。圧縮機20に流入した冷媒は、再び圧縮され、上記循環を繰り返す。
【0074】
(2)暖房運転時の冷媒の流れ
例えば、冷媒ユニット10が用いられる空調装置において暖房運転が行われる場合には、冷媒は以下のように循環する(図8参照)。すなわち、冷媒は、圧縮機20によって圧縮されて高圧のガス冷媒となって吐出され、冷媒配管91を流通し、四方弁60に流入する。高圧のガス冷媒は、四方弁から冷媒配管93を流通し、第2流路モジュール52の接続部529において分岐し、冷媒流路52A及び冷媒流路52Bに略均等に分流される。
【0075】
冷媒流路52Aを流通した冷媒は、電磁弁81を通過して第2熱交換器41に流入し、第2熱交換器41において他の熱媒体と熱交換することにより放熱した後に、第2熱交換器41を流出して第1流路モジュール51の冷媒流路51Aに流入する。冷媒流路51Aを流通する冷媒は、膨張弁71において減圧されて膨張し、低圧冷媒となって第1流路モジュール51の接続部513において、冷媒流路51Bを流通してきた冷媒と合流して第1熱交換器30に流入する。
【0076】
冷媒流路52Bを流通した冷媒は、電磁弁82を通過して第2熱交換器42に流入し、第2熱交換器42において他の熱媒体と熱交換することにより放熱した後に、第2熱交換器42を流出して第1流路モジュール51の冷媒流路51Bに流入する。冷媒流路51Bを流通する冷媒は、膨張弁72において減圧されて膨張し、低圧冷媒となって第1流路モジュール51の接続部513において、冷媒流路51Aを流通してきた冷媒と合流して第1熱交換器30に流入する。
【0077】
第1熱交換器30に流入した冷媒は、第1熱交換器30において他の熱媒体と熱交換することにより吸熱した後に、第1熱交換器30から流出し、冷媒配管92を流れて四方弁60を経てアキュムレータ22に流入し、四方弁60を介して圧縮機20へ戻る。圧縮機20に流入した冷媒は、再び圧縮され、上記循環を繰り返す。
【0078】
(変形例)
冷媒ユニット10が適用される熱管理システムでは、車室内の空調や複数の車載機器など、様々な温調対象に対してそれぞれの温度要求に応じた温調を行うので、異なる温度要求に対応して各熱交換器の熱交換量を適正化することが望ましい。
【0079】
そこで、本実施形態の変形例に係る冷媒ユニット10では、図9に示すように、第1熱交換器30を、第1熱交換器30と機能の異なる第2熱交換器41,42の間に配置する。第1熱交換器30の一方側に配置された第2熱交換器42の熱交換量は、第1熱交換器30の他方側に配置された第2熱交換器41の熱交換量よりも大きいものとなっている。
【0080】
このようにすることで、第2熱交換器41と第2熱交換器42とで互いに異なる熱交換量の第2熱交換器41,42を設けることで、異なる温度帯の温調対象であってもそれぞれの温度要求に応じた温調を行うことができる。具体的には、第2熱交換器42を第2熱交換器41よりも温度要求が高い温調対象に用いることができる。
すなわち、本実施形態の変形例に係る冷媒ユニット10において、複数の温調対象それぞれの温度要求に対応して各熱交換器の熱交換量を適正化することができる。
【0081】
以上述べた如く、本実施形態及びその変形例に係る冷媒ユニット10によれば、冷媒回路の各構成要素が直接的又は間接的に支持部材12に固定されることでユニット化されている。このため、冷媒ユニット10に備えられた各構成要素の距離が互いに近接し、冷媒配管91~94の長さを最小限に留めることができるので、冷媒配管91~94における熱損失や、冷媒圧力損失を低減させることができる。
【0082】
また、冷媒回路の構成要素である支持部材12と第1流路モジュール51と第2流路モジュール52とがそれぞれ別個独立の部品で構成されているので、第1流路モジュール51又は第2流路モジュール52の何れか一方に流通する高圧冷媒に起因した熱が、支持部材12や第1流路モジュール51と第2流路モジュール52の何れか他方に伝わることを抑制することができる。
【0083】
より詳しくは、第1流路モジュール51と第2流路モジュール52とは、冷媒の循環方向が変更された場合であっても、両者には異なる温度帯の冷媒が流通し、何れか一方に高圧冷媒が循環する。このため、第1流路モジュール51、第2流路モジュール52及び支持部材12が一体的に構成されている場合には熱移動が生じる。
【0084】
本実施形態では、第1流路モジュール51と第2流路モジュール52と支持部材12とをそれぞれ別部材とし、互いに離間して配置することで、各部材間における熱移動を抑制するので、熱移動に起因した熱損失を抑制することができる。つまり、冷媒ユニット10の冷媒流路における高温冷媒の温度低下や低温冷媒の温度上昇を抑制し、冷媒ユニット10が適用される熱管理システムの性能維持を図ることができる。
【0085】
また、上述のように、第1流路モジュール51において、接続部511,512,513,751A,751B,752A,752Bは第1固定面側において同一平面上に設けられ、取付部518,519は第2固定面側において同一平面上に設けられている。また、第2流路モジュール52において、接続部521,522,851A,851B,852A,852Bは、第1固定面側において同一平面上に設けられている。
【0086】
このように、各接続部が、凹凸なく所定の平面上に設けられることで、第1流路モジュール51及び第2流路モジュール52とこれに接続される第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42とを冷媒流路が短くなるように接続することができ、各機器をコンパクトに配置することができる。
【0087】
また、第1流路モジュール51において、膨張弁71,72との接続部751A,751B,752A,752Bのうち、鉛直方向の下方に位置する接続部751B,752Bと、第2熱交換器41,42との接続部511,512を鉛直方向において同じ高さに配置している。これにより、第2熱交換器41と膨張弁71との間の冷媒流路51C、及び、第2熱交換器42と膨張弁72との間の冷媒流路51Dの流路長を短くすることができる。
【0088】
また、第1流路モジュール51において、膨張弁71,72との接続部751A,751B,752A,752Bのうち、鉛直方向の上方に位置する接続部751A,752Aと、第1熱交換器30との接続部513を鉛直方向において同じ高さに配置している。これにより、第1熱交換器30と膨張弁71との間の冷媒流路51A及び第1熱交換器と膨張弁72との間の冷媒流路51Bの流路長を短くすることができる。
【0089】
同様に、第2流路モジュール52において、電磁弁81,82との接続部851A,851B,852A,852Bのうち、鉛直方向の上方に位置する接続部851A,852Aと、第2熱交換器41,42との接続部521,522を鉛直方向において同じ高さに配置している。これにより、第2熱交換器41から電磁弁81への冷媒流路52Cと第2熱交換器42から電磁弁82への冷媒流路52Dの流路長を短くすることができる。
【0090】
このように、第1流路モジュール51に形成される冷媒流路51A,51B,51C,51D及び、第2流路モジュール52に形成される冷媒流路52A,52B,52C,52Dの流路長を短縮化することができる。すなわち、第1熱交換器30と第2熱交換器41,42間において冷媒を分流又は合流する流路の流路長を短縮化することができ、冷媒ユニット10の性能向上を図ることができる。
【0091】
支持部材12においては、第1固定面において、第1熱交換器30及び第2熱交換器41,42を、横辺部161と横辺部162とを架け渡すように固定して梁として機能させ、かつ、第2固定面において、横辺部161と横辺部162とを架け渡すように梁状部材18を設けている。これにより、支持部材12の強度を向上させて、冷媒回路の構成要素を安定して支持することができると共に、空間部165を広く確保して、支持部材12の軽量化を図ることができる。
【0092】
このように本実施形態によれば、複数の温調対象に対応する複数の熱交換器を備えた冷媒ユニットおいて、同一機能の熱交換器を複数の温調対象に対応させて複数設ける場合、複数の温調対象の異なる温度要求に対応して各熱交換器の熱交換量を適正化することができる。
【0093】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
10:冷媒ユニット、11:ゴムブッシュ、12:支持部材、13:締結具
15:底板部、16:枠体部、18:梁状部材、19:ブラケット
20:圧縮機、22:アキュムレータ、30:第1熱交換器、41,42:第2熱交換器
51:第1流路モジュール、52:第2流路モジュール
51A,51B,51C,51D,52A,52B,52C,52D:冷媒流路
60:四方弁、71,72:膨張弁、71A,71B,72A,72B:冷媒流入出口
81,82:電磁弁、81A,81B,82A,82B:冷媒流入出口
91~94:冷媒配管、161,162:横辺部、163,164:縦辺部
165:空間部、171,172,173:固定片
301,302,411,412,421,422:熱媒体配管
304,305,414,415,424,425:冷媒流入出口
511,512,513,751A,751B,752A,752B:接続部
518,519:取付部
521,522,529,851A,851B,852A,852B:接続部
S1,S2:検出装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9