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特開2024-4708エンターテインメント演出用懸垂装置およびエンターテインメント演出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004708
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】エンターテインメント演出用懸垂装置およびエンターテインメント演出装置
(51)【国際特許分類】
   A63J 5/12 20060101AFI20240110BHJP
   A63J 1/02 20060101ALI20240110BHJP
   F16H 25/12 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A63J5/12
A63J1/02
F16H25/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104466
(22)【出願日】2022-06-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】592203292
【氏名又は名称】三精テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】荻野 均
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴生
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA60
3J062AB31
3J062AC07
3J062BA12
3J062CC13
(57)【要約】
【課題】より精密かつ自由度の高い演出を行うことが可能なエンターテインメント演出用懸垂装置およびエンターテインメント演出装置を提供することにある。
【解決手段】エンターテインメント演出用懸垂装置の一態様は、支持機構と、支持機構に設けられた第1シャフトと、支持機構に固定され、第1シャフトを正逆回転させる駆動機構と、第1シャフトの外周に設けられ、第1シャフトとともに正逆回転するドラムと、第1シャフトの正逆回転に伴ってドラムを第1シャフトの延在方向に往復移動させるスライド移動機構と、ドラムの外周に巻回された線状部材とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持機構と、
前記支持機構に設けられた第1シャフトと、
前記支持機構に固定され、前記第1シャフトを正逆回転させる駆動機構と、
前記第1シャフトの外周に設けられ、前記第1シャフトとともに正逆回転するドラムと、
前記第1シャフトの正逆回転に伴って前記ドラムを前記第1シャフトの延在方向に往復移動させるスライド移動機構と、
前記ドラムの外周に巻回された線状部材とを備えた、エンターテインメント演出用懸垂装置。
【請求項2】
前記スライド移動機構は、
前記第1シャフトと平行に延びるように前記支持機構に設けられた第2シャフトと、
前記第1シャフトの正逆回転を前記第2シャフトに伝達する伝達部材と、
前記第2シャフトの外周に設けられ、前記第2シャフトの正逆回転に伴って前記第2シャフトの延在方向に往復移動し、前記ドラムの正逆回転を許容しながら前記第1シャフトの延在方向に前記ドラムを支持する往復部材とを含み、
前記往復部材は、前記第1シャフトから離間した位置で前記ドラムを支持する、請求項1に記載のエンターテインメント演出用懸垂装置。
【請求項3】
前記支持機構は可搬式である、請求項1または請求項2に記載のエンターテインメント演出用懸垂装置。
【請求項4】
複数の懸垂装置を備えたエンターテインメント演出装置であって、
前記複数の懸垂装置は、
支持機構と、
前記支持機構に設けられた第1シャフトと、
前記支持機構に固定され、前記第1シャフトを正逆回転させる駆動機構と、
前記第1シャフトとともに正逆回転するドラムと、
前記第1シャフトの正逆回転に伴って前記ドラムを前記第1シャフトの延在方向に沿って往復移動させるスライド移動機構と、
前記ドラムの外周に巻回された線状部材とを各々含み、
前記エンターテインメント演出装置は、前記複数の懸垂装置の前記駆動機構を互いに独立して制御可能な制御装置をさらに備えた、エンターテインメント演出装置。
【請求項5】
前記複数の懸垂装置は、第1懸垂装置および第2懸垂装置を含み、
前記第1懸垂装置は、前記第1シャフトの前記延在方向が第1方向を向くように配置され、
前記第2懸垂装置は、前記第1シャフトの前記延在方向が前記第1方向とは異なる第2方向を向くように配置される、請求項4に記載のエンターテインメント演出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、エンターテインメント演出用懸垂装置およびエンターテインメント演出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
正逆巻取器に線状体を巻取り、巻戻しする巻取機構を用いた送り装置が従来から知られている。このような送り装置は、たとえば特開2009-204134号公報(特許文献1)などに記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-204134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
懸垂装置を用いるエンターテインメントにおいて、被懸垂物の動きを精密かつ自在に制御し、より精密かつ自由度の高い演出を行いたいという要請がある。
【0005】
本技術の目的は、より精密かつ自由度の高い演出を行うことが可能なエンターテインメント演出用懸垂装置およびエンターテインメント演出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係るエンターテインメント演出用懸垂装置の一態様は、支持機構と、支持機構に設けられた第1シャフトと、支持機構に固定され、第1シャフトを正逆回転させる駆動機構と、第1シャフトの外周に設けられ、第1シャフトとともに正逆回転するドラムと、第1シャフトの正逆回転に伴ってドラムを第1シャフトの延在方向に往復移動させるスライド移動機構と、ドラムの外周に巻回された線状部材とを備える。
【0007】
第1シャフトの正逆回転に伴ってドラムを第1シャフトの延在方向に往復移動させることにより、線状部材の巻出し量に関わらず、その巻取り/巻出し位置を略一定に保つことができる。この結果、被懸垂物の位置を精密に制御することが可能となり、自由度の高い演出を行うことが可能となる。また、駆動機構および支持機構は静止させ、ドラムのみを往復移動させる構造とすることで、電装品を移動させる必要がなく、より、ねじれに強い高スペックの移動用ケーブルを用いる必要がない。この結果、コストを増大させることなく、懸垂装置の耐久性を向上させることが可能である。
【0008】
エンターテインメント演出用懸垂装置の1つの実施態様において、スライド移動機構は、第1シャフトと平行に延びるように支持機構に設けられた第2シャフトと、第1シャフトの正逆回転を第2シャフトに伝達する伝達部材と、第2シャフトの外周に設けられ、第2シャフトの正逆回転に伴って第2シャフトの延在方向に往復移動し、ドラムの正逆回転を許容しながら第1シャフトの延在方向にドラムを支持する往復部材とを含む。往復部材は、第1シャフトから離間した位置でドラムを支持する。
【0009】
第1シャフトから離間した位置において往復部材にドラムを支持させることにより、往復部材を小型化することができる。この結果、エンターテインメント演出用懸垂装置が小型化および軽量化され、その配置の自由度が高まる。このため、より自由度の高い演出を行うことが可能となる。
【0010】
エンターテインメント演出用懸垂装置の1つの実施態様において、支持機構は可搬式である。ここでいう「可搬式」は、劇場などのエンターテインメント会場において、演出の態様に応じ、その都度、支持機構の位置および角度が変更可能であることを意味する。
【0011】
支持機構を可搬式とすることにより、懸垂装置の配置を適宜変更することができるので、より自由度の高い演出を行うことが可能となる。
【0012】
本技術に係るエンターテインメント演出装置は、その一態様において、複数の懸垂装置を備える。複数の懸垂装置は、支持機構と、支持機構に設けられた第1シャフトと、支持機構に固定され、第1シャフトを正逆回転させる駆動機構と、第1シャフトとともに正逆回転するドラムと、第1シャフトの正逆回転に伴ってドラムを第1シャフトの延在方向に沿って往復移動させるスライド移動機構と、ドラムの外周に巻回された線状部材とを各々含む。エンターテインメント演出装置は、複数の懸垂装置の駆動機構を互いに独立して制御可能な制御装置をさらに備える。
【0013】
懸垂装置の第1シャフトの正逆回転に伴ってドラムを第1シャフトの延在方向に往復移動させることにより、被懸垂物に連結された線状部材の角度を略一定に維持したまま線状部材の巻取り/巻出しを行うことが可能である。また、複数の懸垂装置の駆動機構を互いに独立して制御可能とすることで、複数の線状部材の巻取り/巻出しを自在に行うことができる。また、複数の懸垂装置を用いるため、各々の懸垂装置を小型化することが可能である。以上の結果、より精密かつ自由度の高い演出を行うことが可能となる。
【0014】
エンターテインメント演出装置の1つの実施態様において、複数の懸垂装置は、第1懸垂装置および第2懸垂装置を含む。第1懸垂装置は、第1シャフトの延在方向が第1方向を向くように配置され、第2懸垂装置は、第1シャフトの延在方向が第1方向とは異なる第2方向を向くように配置される。
【0015】
第1懸垂装置および第2懸垂装置が互いに異なる方向を向くように配置されることにより、複数の方向から1つの被懸垂物を懸垂することができる。この結果、より自由度の高い演出を行うことが可能となる。
【0016】
エンターテインメント演出用懸垂装置およびエンターテインメント演出装置の一例として、舞台機構における吊物機構が挙げられる。ただし、本技術におけるエンターテインメント演出用懸垂装置およびエンターテインメント演出装置は、舞台機構における吊物機構に限定されるものではなく、たとえばスポーツホールや屋外で用いられるものであってもよいし、吊物機構のみならず床機構などにも適用可能である。
【発明の効果】
【0017】
本技術によれば、懸垂装置を用いるエンターテインメントにおいて、より精密かつ自由度の高い演出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】エンターテインメント演出用懸垂装置の上面図である。
図2】エンターテインメント演出用懸垂装置の正面図である。
図3】エンターテインメント演出用懸垂装置の側面図(その1)である。
図4】エンターテインメント演出用懸垂装置の側面図(その2)である。
図5】カムフォロアの拡大図である。
図6】懸垂装置を用いたエンターテインメント演出装置の例を示す図である。
図7】懸垂装置を用いたエンターテインメント演出装置の変形例を示す図(その1)である。
図8】懸垂装置を用いたエンターテインメント演出装置の変形例を示す図(その2)である。
図9】懸垂装置を用いたエンターテインメント演出装置の変形例を示す図(その3)である。
図10】懸垂装置を用いたエンターテインメント演出装置の変形例を示す図(その4)である。
図11】懸垂装置を用いたエンターテインメント演出装置の変形例を示す図(その5)である。
図12】懸垂装置を用いたエンターテインメント演出装置の変形例を示す図(その6)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0020】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0021】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0022】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0023】
図1図2は、各々、本実施の形態に係る懸垂装置1の上面図および正面図である。図3図4は、懸垂装置1の側面図であり、図3は、図1図2の左側から、図4は、図1図2の右側から見た状態を示す。
【0024】
図1ないし図4に示すように、懸垂装置1は、第1シャフト100と、駆動機構200と、ドラム300と、第2シャフト400と、ベルト500と、カムフォロア600と、支持機構700とを含む。
【0025】
第1シャフト100は、矢印DR1方向に延在するように設けられる。第1シャフト100は、矢印DR1方向の軸まわりに回転可能に支持機構700に支持される。
【0026】
駆動機構200は、モータ210と、ブレーキ220とを含む。駆動機構200は、支持機構700に固定される。駆動機構200は、第1シャフト100を正逆回転させることが可能である。駆動機構200は、減速機を介さずに第1シャフト100に接続される。減速機が設けられていないため、懸垂装置1の軽量化を図ることができる。
【0027】
ドラム300は、第1シャフト100の外周に設けられる。ドラム300は、第1シャフト100とともに正逆回転する。ドラム300の外周には、ワイヤ300A(線状部材)が巻回されている。ワイヤ300Aは、矢印DR1方向に対して略直交する方向に沿って巻取り/巻出しされる。
【0028】
第2シャフト400は、第1シャフト100と平行に延びるように設けられる。すなわち、第2シャフト400は、矢印DR1方向に延在するように設けられる。第2シャフト400は、矢印DR1方向の軸まわりに回転可能に支持機構700に支持される。
【0029】
ベルト500(伝達部材)は、第1シャフト100および第2シャフト400に取り付けられる。ベルト500は、第1シャフト100の正逆回転を第2シャフト400に伝達する。
【0030】
図5は、カムフォロア600(往復部材)の構造を示す拡大図である。図5に示すように、カムフォロア600は、スライドテーブル610と、カラー620と、ローラ630とを含む。
【0031】
スライドテーブル610は、第2シャフト400の外周に設けられ、第2シャフト400の正逆回転に伴って第2シャフト400の延在方向(矢印DR1方向)に往復移動する。カラー620は、スライドテーブル610に固定される。
【0032】
ローラ630は、2つのローラ631,632を含む。ローラ631,632は、矢印DR1方向に直交する方向の軸まわりに回転可能に支持される。2つのローラ631,632は、ドラム300から径方向外方に延びるように形成されたフランジ部310を挟むように設けられる。
【0033】
したがって、カムフォロア600は、ドラム300を矢印DR1方向に支持する。図2および図5に示すように、カムフォロア600は、第1シャフト100から離間した位置でドラム300を支持する。
【0034】
第2シャフト400、ベルト500、およびカムフォロア600は、第1シャフト100の正逆回転に伴ってドラム300を矢印DR1方向に往復移動させる「スライド移動機構」を構成する。
【0035】
懸垂装置1においては、第1シャフト100の正逆回転に伴ってドラム300を第1シャフト100の延在方向(矢印DR1方向)に往復移動させることにより、ワイヤ300Aの巻出し量に関わらず、その巻取り/巻出し位置を略一定に保つことができる。ここで、駆動機構200および支持機構700は静止させ、ドラム300およびカムフォロア600のみを往復移動させる構造とすることで、懸垂装置1が大型化することを抑制できる。
【0036】
また、第1シャフト100から離間した位置においてカムフォロア600にドラム300を支持させることにより、カムフォロア600を第1シャフト100にまで延ばす場合と比較して、カムフォロア600を小型化することができる。この結果、懸垂装置1をさらに小型化ないし軽量化することができる。
【0037】
図6は、懸垂装置1を用いたエンターテインメント演出装置の例を示す図である。エンターテインメント演出装置は、複数の懸垂装置1を含む。
【0038】
図6に示す例では、3つの懸垂装置1(第1の懸垂装置、第2の懸垂装置、および第3の懸垂装置)が互いに異なる方向を向くように配置されている。すなわち、3つの懸垂装置1の第1シャフト100の延在方向(矢印DR1方向)が、互いに異なる3つの方向(第1方向、第2方向、および第3方向)を向くように配置される。各々のワイヤ300Aの一端はドラム300に巻回固定され、各々のワイヤ300Aの他端は被懸垂物2に連結される。被懸垂物2は、人であってもよいし、物(大道具、照明器具、音響機器、スクリーン設備、舞台幕(どん帳、オペラカーテン、一文字幕、暗転幕、ホリゾント幕、バック幕)、音響反射板、舞台の床部材など)であってもよし、人を乗せた物(ゴンドラなど)であってもよい。
【0039】
エンターテインメント演出装置は、制御装置3を含む。制御装置3は、複数の懸垂装置1の動作を制御する。より具体的には、制御装置3は、複数(図6の例では3つ)の懸垂装置1の駆動機構200を互いに独立して制御可能である。このようにすることで、複数のワイヤ300Aの巻取り/巻出しを自在に行うことができるので、3次元空間の中で被懸垂物2を自在に移動させることが可能となる。
【0040】
上述のとおり、各々の懸垂装置1において、ワイヤ300Aの巻取り/巻出し位置は略一定に保たれる。被懸垂物2の位置を精密に制御することが可能となる。また、複数の懸垂装置1が互いに異なる方向を向くように配置されているため、複数の方向から1つの被懸垂物2を懸垂することができる。さらに、制御装置3により複数の懸垂装置1の駆動機構200を互いに独立して制御することで、複数のワイヤ300Aの巻取り/巻出しを自在に行うことができる。
【0041】
本実施の形態に係るエンターテインメント演出装置によれば、以上の結果として、精密かつ自由度の高い演出を行うことが可能となる。
【0042】
図7ないし図12は、懸垂装置1を用いたエンターテインメント演出装置の変形例を示す図である。図7ないし図12においては、制御装置3の図示を省略している。
【0043】
図7の例では、4つの懸垂装置1が、互いに斜めに交差する4方向から1つの被懸垂物2を懸垂している。図8の例では、8つの懸垂装置1のワイヤ300Aが、互いに異なる8方向から略立方体状の被懸垂物2の8つの角部に各々連結される。図7図8の例においても、複数のワイヤ300Aの巻取り/巻出しを自在に行うことにより、3次元空間の中で被懸垂物2を自在に移動させることができる。
【0044】
図9の例では、2つの懸垂装置1が、互いに斜めに交差する2方向から1つの被懸垂物2に各々連結される。この場合、被懸垂物2を二次元方向(図9における紙面の延在方向)に移動させることができる。
【0045】
図10の例では、2つの懸垂装置1が、互いに逆向きの2方向から1つの被懸垂物2に各々連結される。この場合、被懸垂物2を矢印DR2方向に移動させることができる。たとえば、被懸垂物2は平面状の部材であり、被懸垂物2の移動方向(矢印DR2方向)は、被懸垂物2の平面方向(たとえば水平方向)である。
【0046】
図11図12の例では、複数の懸垂装置1が、互いに同じ方向から1つの被懸垂物2を懸垂している。この場合、被懸垂物2は複数の懸垂装置1の巻取り/巻出し方向に移動することができる。また、複数の懸垂装置1の巻取り/巻出し量を各々調整することにより、被懸垂物2の姿勢を変化させることができる。
【0047】
図11図12の例においても、各々の懸垂装置1におけるワイヤ300Aの巻出し量に関わらず、その巻取り/巻出し位置を略一定に保つことができるため、被懸垂物2の姿勢を精密に制御することが可能である。
【0048】
このように、本実施の形態に係る懸垂装置1は、劇場などのエンターテインメント会場において、演出の態様に応じて、その都度、支持機構700の位置および角度を変更可能としたものである。すなわち、懸垂装置1の支持機構700は可搬式である。これにより、懸垂装置1の配置を適宜変更することができるので、状況に応じて、より自由度の高い演出を行うことが可能となる。
【0049】
支持機構700を可搬式とするために、たとえばフレーム710にローラを取り付けることなどが考えられる。また、懸垂装置1をエンターテインメント会場における既存構造物に設置しやすくするために、フレーム710に取付ピースを設けることなどが考えられる。
【0050】
一例として、各々の懸垂装置1の耐荷重(ワイヤ300Aの張力)は、1500N以下である。また、各々の懸垂装置1におけるワイヤ300Aの巻取り/巻出し速度は、0m/分以上90m/分以下である。
【0051】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
1 懸垂装置、2 被懸垂物、3 制御装置、100 第1シャフト、200 駆動機構、210 モータ、220 ブレーキ、300 ドラム、300A ワイヤ、310 フランジ部、400 第2シャフト、500 ベルト、600 カムフォロア、610 スライドテーブル、620 カラー、630,631,632 ローラ、700 支持機構、710 フレーム、720,730 プレート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持機構と、
前記支持機構に設けられた第1シャフトと、
前記支持機構に固定され、前記第1シャフトを正逆回転させる駆動機構と、
前記第1シャフトの外周に設けられ、前記第1シャフトとともに正逆回転するドラムと、
前記第1シャフトの正逆回転に伴って前記ドラムを前記第1シャフトの延在方向に往復移動させるスライド移動機構と、
前記ドラムの外周に巻回された線状部材とを備え、
前記スライド移動機構は、
前記第1シャフトと平行に延びるように前記支持機構に設けられた第2シャフトと、
前記第1シャフトの正逆回転を前記第2シャフトに伝達する伝達部材と、
前記第2シャフトの外周に設けられ、前記第2シャフトの正逆回転に伴って前記第2シャフトの延在方向に往復移動し、前記ドラムの正逆回転を許容しながら前記ドラムを支持する往復部材とを含み、
前記往復部材は、前記ドラムから径方向外方に延びるように形成されたフランジ部を前記第1シャフトの延在方向から挟むことにより、前記第1シャフトから離間した位置で前記ドラムを支持する、エンターテインメント演出用懸垂装置。
【請求項2】
前記往復部材は、前記第1シャフトの延在方向に直交する方向の軸まわりに回転可能な2つのローラを含み、前記2つのローラは、前記フランジ部を前記第1シャフトの延在方向から挟む、請求項1に記載のエンターテインメント演出用懸垂装置。
【請求項3】
前記支持機構は可搬式である、請求項1または請求項2に記載のエンターテインメント演出用懸垂装置。
【請求項4】
複数の懸垂装置を備えたエンターテインメント演出装置であって、
前記複数の懸垂装置は、
支持機構と、
前記支持機構に設けられた第1シャフトと、
前記支持機構に固定され、前記第1シャフトを正逆回転させる駆動機構と、
前記第1シャフトとともに正逆回転するドラムと、
前記第1シャフトの正逆回転に伴って前記ドラムを前記第1シャフトの延在方向に沿って往復移動させるスライド移動機構と、
前記ドラムの外周に巻回された線状部材とを各々含み、
前記エンターテインメント演出装置は、前記複数の懸垂装置の前記駆動機構を互いに独立して制御可能な制御装置をさらに備え、
前記スライド移動機構は、
前記第1シャフトと平行に延びるように前記支持機構に設けられた第2シャフトと、
前記第1シャフトの正逆回転を前記第2シャフトに伝達する伝達部材と、
前記第2シャフトの外周に設けられ、前記第2シャフトの正逆回転に伴って前記第2シャフトの延在方向に往復移動し、前記ドラムの正逆回転を許容しながら前記ドラムを支持する往復部材とを含み、
前記往復部材は、前記ドラムから径方向外方に延びるように形成されたフランジ部を前記第1シャフトの延在方向から挟むことにより、前記第1シャフトから離間した位置で前記ドラムを支持する、エンターテインメント演出装置。
【請求項5】
前記複数の懸垂装置は、第1懸垂装置および第2懸垂装置を含み、
前記第1懸垂装置は、前記第1シャフトの前記延在方向が第1方向を向くように配置され、
前記第2懸垂装置は、前記第1シャフトの前記延在方向が前記第1方向とは異なる第2方向を向くように配置される、請求項4に記載のエンターテインメント演出装置。