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特開2024-47111注入率制御システム、注入率制御方法、注入率制御プログラム、学習プログラム及び水処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047111
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】注入率制御システム、注入率制御方法、注入率制御プログラム、学習プログラム及び水処理システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/30 20060101AFI20240329BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20240329BHJP
   C02F 1/52 20230101ALI20240329BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240329BHJP
【FI】
B01D21/30 A
B01D21/01 B
C02F1/52 Z
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152544
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久本 祐資
(72)【発明者】
【氏名】山口 太秀
【テーマコード(参考)】
4D015
5L049
【Fターム(参考)】
4D015BA21
4D015CA14
4D015EA03
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】凝集剤の注入率を精度良く予測することを可能とする注入率制御システム、注入率制御方法、注入率制御プログラム、学習プログラム及び水処理システムを提供する。
【解決手段】被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する注入率制御システムにおいて、第1タイミングにおける被処理水の濁度についての第1変化傾向を取得する取得手段と、第1タイミングよりも前の複数の第2タイミングのそれぞれにおける被処理水の濁度と被処理水に対する凝集剤の注入率とを含む複数の教師データを、各教師データに対応する第2タイミングにおける被処理水の濁度についての第2変化傾向ごとにそれぞれ学習させた複数の学習モデルのうち、第1変化傾向に対応する学習モデルを用いることによって、第1タイミングにおける被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する制御手段と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する注入率制御システムにおいて、
第1タイミングにおける前記被処理水の濁度についての第1変化傾向を取得する取得手段と、
前記第1タイミングよりも前の複数の第2タイミングのそれぞれにおける前記被処理水の濁度と前記被処理水に対する凝集剤の注入率とを含む複数の教師データを、各教師データに対応する前記第2タイミングにおける前記被処理水の濁度についての第2変化傾向ごとにそれぞれ学習させた複数の学習モデルのうち、前記第1変化傾向に対応する学習モデルを用いることによって、前記第1タイミングにおける前記被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する制御手段と、を有する、注入率制御システム。
【請求項2】
前記複数の学習モデルは、前記複数の教師データを、各教師データに含まれる前記被処理水の濁度の範囲ごとであって各教師データに対応する前記第2変化傾向ごとにそれぞれ学習させた複数の学習モデルであり、
前記制御手段は、前記複数の学習モデルのうち、前記第1タイミングにおける前記被処理水の濁度を含む範囲と前記第1変化傾向とのそれぞれに対応する学習モデルを用いることによって、前記第1タイミングにおける前記被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する、請求項1に記載の注入率制御システム。
【請求項3】
前記複数の学習モデルは、各教師データに対応する前記第2変化傾向が第1傾向である前記複数の教師データを学習させた第1学習モデルと、各教師データに対応する前記第2変化傾向が前記第1傾向と異なる第2傾向である前記複数の教師データを学習させた第2学習モデルと、を含み、
前記制御手段は、前記第1変化傾向が前記第1傾向である場合、前記第1学習モデルを用いることによって前記第1タイミングにおける前記被処理水に対する凝集剤の注入率を制御し、前記第1変化傾向が前記第2傾向である場合、前記第2学習モデルを用いることによって前記第1タイミングにおける前記被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する、請求項1に記載の注入率制御システム。
【請求項4】
前記第1学習モデルは、前記第2変化傾向が前記第1傾向である前記複数の教師データのうち、各教師データに含まれる前記被処理水の濁度が閾値以上である前記複数の教師データを学習させた学習モデルであり、
前記第2学習モデルは、前記第2変化傾向が前記第2傾向である前記複数の教師データのうち、各教師データに含まれる前記被処理水の濁度が前記閾値以上である前記複数の教師データを学習させた学習モデルであり、
前記複数の学習モデルは、さらに、各教師データに含まれる前記被処理水の濁度が前記閾値未満である前記複数の教師データを学習させた第3学習モデルを含み、
前記制御手段は、前記第1タイミングにおける前記被処理水の濁度が前記閾値以上であって前記第1変化傾向が前記第1傾向である場合、前記第1学習モデルを用いることによって前記第1タイミングにおける前記被処理水に対する凝集剤の注入率を制御し、前記第1タイミングにおける前記被処理水の濁度が前記閾値以上であって前記第1変化傾向が第2傾向である場合、前記第2学習モデルを用いることによって前記第1タイミングにおける前記被処理水に対する凝集剤の注入率を制御し、前記第1タイミングにおける前記被処理水の濁度が前記閾値未満である場合、前記第3学習モデルを用いることによって前記第1タイミングにおける前記被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する、請求項3に記載の注入率制御システム。
【請求項5】
被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する処理をコンピュータが実行する注入率制御方法において、
第1タイミングにおける前記被処理水の濁度についての第1変化傾向を取得し、
前記第1タイミングよりも前の複数の第2タイミングのそれぞれにおける前記被処理水の濁度と前記被処理水に対する凝集剤の注入率とを含む複数の教師データを、各教師データに対応する前記第2タイミングにおける前記被処理水の濁度についての第2変化傾向ごとにそれぞれ学習させた複数の学習モデルのうち、前記第1変化傾向に対応する学習モデルを用いることによって、前記第1タイミングにおける前記被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する、注入率制御方法。
【請求項6】
被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する処理をコンピュータに実行させる注入率制御プログラムにおいて、
第1タイミングにおける前記被処理水の濁度についての第1変化傾向を取得し、
前記第1タイミングよりも前の複数の第2タイミングのそれぞれにおける前記被処理水の濁度と前記被処理水に対する凝集剤の注入率とを含む複数の教師データを、各教師データに対応する前記第2タイミングにおける前記被処理水の濁度についての第2変化傾向ごとにそれぞれ学習させた複数の学習モデルのうち、前記第1変化傾向に対応する学習モデルを用いることによって、前記第1タイミングにおける前記被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する、注入率制御プログラム。
【請求項7】
被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する学習モデルを生成する処理をコンピュータに実行させる学習プログラムにおいて、
複数のタイミングのそれぞれにおける前記被処理水の濁度と前記被処理水に対する凝集剤の注入率とを含む複数の教師データを、各教師データに対応する前記タイミングにおける前記被処理水の濁度についての変化傾向ごとにそれぞれ学習することによって複数の学習モデルを生成する、学習プログラム。
【請求項8】
請求項1に記載の注入率制御システムを備えた水処理システムであって、
さらに、前記制御手段によって制御された注入率に対応する凝集剤を前記第1タイミングにおける前記被処理水に注入する注入装置を備える、水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入率制御システム、注入率制御方法、注入率制御プログラム、学習プログラム及び水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、浄水場では、河川水や井戸水等の原水(以下、被処理水とも呼ぶ)に含まれる懸濁物質(SS:Suspended Solids)等を除去する浄水設備が用いられる。具体的に、このような浄水設備では、例えば、被処理水に凝集剤を混合することにより、被処理水に含まれる懸濁物質を凝集させて沈殿除去する(特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-098175号公報
【特許文献2】特開2021-098191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような浄水設備では、例えば、被処理水に対して注入する必要がある凝集剤の注入率を精度良く予測することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような凝集剤の注入率を精度良く予測するため、本発明における注入率制御システムは、被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する注入率制御システムにおいて、第1タイミングにおける前記被処理水の濁度についての第1変化傾向を取得する取得手段と、前記第1タイミングよりも前の複数の第2タイミングのそれぞれにおける前記被処理水の濁度と前記被処理水に対する凝集剤の注入率とを含む複数の教師データを、各教師データに対応する前記第2タイミングにおける前記被処理水の濁度についての第2変化傾向ごとにそれぞれ学習させた複数の学習モデルのうち、前記第1変化傾向に対応する学習モデルを用いることによって、前記第1タイミングにおける前記被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明における注入率制御システムによれば、凝集剤の注入率を精度良く予測することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施の形態における水処理システム100の構成図について説明する図である。
図2図2は、第1の実施の形態における情報処理装置1のハードウエア構成を説明する図である。
図3図3は、第1の実施の形態における情報処理装置1の機能のブロック図である。
図4図4は、第1の実施の形態における学習処理を説明するフローチャート図である。
図5図5は、複数の濁度データ131の具体例について説明する図である。
図6図6は、複数の教師データDTの具体例について説明する図である。
図7図7は、ステップS4の具体例について説明する図である。
図8図8は、第1の実施の形態における注入率制御処理を説明するフローチャート図である。
図9図9は、第1の実施の形態における変形例の具体例について説明する図である。
図10図10は、第1の実施の形態において生成した学習モデルMDについての実験結果を示す図である。
図11図11は、第1の実施の形態において生成した学習モデルMDについての実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
[第1の実施の形態における水処理システム100]
初めに、第1の実施の形態における水処理システム100の構成例について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における水処理システム100の構成図について説明する図である。
【0010】
水処理システム100は、例えば、上水プラントに配置される浄水処理システムであり、例えば、注入率制御システム10と、沈砂池11と、着水井12と、混和池13と、フロック形成池14と、沈殿池15と、濾過池16と、浄水池17と、配水池18とを有する。
【0011】
沈砂池11は、例えば、被処理水(原水)が最初に流入する槽であり、被処理水に含まれる土砂等を沈殿除去する槽である。
【0012】
着水井12は、例えば、沈砂池11から供給された被処理水の供給量を調整して混和池13に供給する槽である。
【0013】
混和池13は、例えば、着水井12から供給された被処理水に対して凝集剤を注入して撹拌する槽である。
【0014】
フロック形成池14は、例えば、混和池13から供給された被処理水に含まれる懸濁物質を注入された凝集剤により凝集させることによってフロックを形成する槽である。
【0015】
沈殿池15は、例えば、フロック形成池14から供給された被処理水に含まれるフロックを沈殿させて被処理水から分離する槽である。
【0016】
濾過池16は、例えば、砂や砂利等からなる濾過体(図示せず)を用いることによって、沈殿池15から供給された被処理水の濾過を行う槽である。
【0017】
浄水池17は、例えば、濾過池16から供給された被処理水(例えば、濾過池16の後段において塩素消毒が行われた後の被処理水)を一時的に貯留して配水池18に供給する槽である。
【0018】
配水池18は、例えば、浄水池17から供給された被処理水(処理水)を一時的に貯留して家庭等(図示せず)に供給する。
【0019】
注入率制御システム10は、例えば、混和池13における凝集剤の注入率を制御するシステムである。
【0020】
具体的に、注入率制御システム10は、例えば、情報処理装置1と、貯留槽2と、測定機器Mと、ポンプP(以下、注入装置Pとも呼ぶ)とを有する。
【0021】
測定機器Mは、例えば、着水井12に貯留する被処理水の水質データを測定する機器である。具体的に、測定機器Mは、例えば、濁度計であり、着水井12における被処理水の濁度を測定する。
【0022】
情報処理装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリを有するコンピュータ装置であり、混和池13において注入する凝集剤の注入率を制御する処理(以下、注入率制御処理とも呼ぶ)を行う。具体的に、情報処理装置1は、例えば、測定機器Mによって測定された濁度に基づいて、混和池13において注入する凝集剤の注入率を算出する。
【0023】
貯留槽2は、例えば、被処理水に対して注入する凝集剤を貯留する槽であり、ポンプPに対して凝集剤を供給する。
【0024】
ポンプPは、例えば、貯留槽2と混和池13とを連通する配管(図示せず)に設けられるポンプである。具体的に、ポンプPは、例えば、情報処理装置1が注入率制御処理を行うことによって制御(算出)した注入率に対応する凝集剤を混和池13に供給する。なお、ポンプPは、例えば、着水井12と混和池13とを連通する配管(図示せず)に対して凝集剤を供給するものであってもよい。
【0025】
さらに具体的に、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、所定のタイミング(以下、第1タイミングとも呼ぶ)における被処理水(以下、推定対象の被処理水とも呼ぶ)の濁度についての変化傾向(以下、第1変化傾向とも呼ぶ)を判定する。第1変化傾向は、例えば、推定対象の被処理水の濁度についての変化率であってよい。また、推定対象の被処理水は、例えば、第1タイミングにおいて着水井12に貯留されていた被処理水である。
【0026】
そして、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、学習済の複数の学習モデル(以下、単に複数の学習モデルとも呼ぶ)のうち、第1変化傾向に対応する学習モデルを用いることによって、推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する。複数の学習モデルは、例えば、第1タイミングよりも前の複数のタイミング(以下、第2タイミングとも呼ぶ)のそれぞれにおける被処理水(以下、学習対象の被処理水)の濁度と、その学習対象の被処理水に対して注入された凝集剤の注入率とをそれぞれ含む複数の教師データ(以下、単に複数の教師データとも呼ぶ)を、各教師データに対応する第2タイミングにおける学習対象の被処理水の濁度についての変化傾向(以下、第2変化傾向とも呼ぶ)ごとにそれぞれ学習させた複数の学習モデルである。また、第2変化傾向は、例えば、学習対象の被処理水の濁度についての変化率であってよい。さらに、学習対象の被処理水は、例えば、第2タイミングにおいて着水井12に貯留されていた被処理水である。
【0027】
すなわち、水処理システム100の管理者(以下、単に管理者とも呼ぶ)は、例えば、複数の教師データを用いた複数の学習モデルを生成する際に、各教師データに含まれる変化傾向に応じて複数の教師データを複数のグループ(以下、単に複数のグループとも呼ぶ)に予め分割する。そして、管理者は、例えば、分割された複数のグループごとに、各グループに含まれる各教師データを用いた機械学習を行うことによって複数の学習モデルを生成する。その後、情報処理装置1は、例えば、複数の学習モデルのうち、推定対象の被処理水についての濁度の変化傾向に応じた学習モデルを用いることによって、推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を算出(推定)する。
【0028】
これにより、本実施の形態における注入率制御システム10(情報処理装置1)は、例えば、推定対象の被処理水に対して注入することが好ましい凝集剤の注入率を精度良く推定することが可能になる。
【0029】
具体的に、注入率制御システム10は、例えば、被処理水の濁度から凝集剤の注入率を算出するために予め生成された式(以下、注入率式とも呼ぶ)や対応表等を用いる場合と比較して、推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を精度良く推定することが可能になる。また、注入率制御システム10は、例えば、ジャーテストを行うことによる凝集剤の注入率の補正を行う必要がなくなり、推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入に伴う作業負荷を低減させることが可能になる。
【0030】
なお、以下、1台の情報処理装置1が注入率制御処理を実行する場合について説明を行うが、これに限られない。具体的に、注入率制御処理の実行に要する各機能は、例えば、インターネット等のネットワークを介して互いにアクセス可能な複数台の情報処理装置1(以下、単に複数台の情報処理装置1とも呼ぶ)に分散配置されるものであってもよい。そして、注入率制御処理は、例えば、複数台の情報処理装置1が互いに連携することによって実行されるものであってもよい。
【0031】
具体的に、推定対象の被処理水の濁度についての第1変化傾向を判定する情報処理装置1(以下、第1情報処理装置1とも呼ぶ)は、例えば、推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する情報処理装置1(以下、第2情報処理装置1とも呼ぶ)と異なるものであってもよい。すなわち、第2情報処理装置1は、この場合、例えば、第1情報処理装置1によって判定された第1変化傾向を取得し、さらに、取得した第1変化傾向を用いることによって推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率の制御を行うものであってもよい。
【0032】
[注入率制御システムのハードウエア構成]
次に、注入率制御システム10のハードウエア構成について説明する。図2は、第1の実施の形態における情報処理装置1のハードウエア構成を説明する図である。
【0033】
情報処理装置1は、図2に示すように、プロセッサであるCPU101と、メモリ102と、通信装置103と、記憶媒体104とを有する。各部は、バス105を介して互いに接続される。
【0034】
記憶媒体104は、例えば、注入率制御処理を行うためのプログラム(図示しない)を記憶するプログラム格納領域(図示しない)を有する。また、記憶媒体104は、例えば、注入率制御処理を行う際に用いられる情報を記憶する記憶部130(以下、情報格納領域130とも呼ぶ)を有する。なお、記憶媒体104は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)であってよい。
【0035】
CPU101は、例えば、記憶媒体104からメモリ102にロードされたプログラムを実行することによって注入率制御処理を行う。
【0036】
通信装置103は、例えば、インターネット等のネットワーク(図示せず)を介して管理者の操作端末(図示せず)とアクセスを行う。
【0037】
[注入率制御システムの機能]
次に、注入率制御システム10の機能について説明を行う。図3は、第1の実施の形態における情報処理装置1の機能のブロック図である。
【0038】
情報処理装置1は、図3に示すように、例えば、CPU101やメモリ102等のハードウエアとプログラムとが有機的に協働することにより、データ取得部111と、変化傾向判定部112(以下、取得手段とも呼ぶ)と、データ生成部113と、モデル生成部114と、注入率制御部115(以下、制御手段とも呼ぶ)とを含む各種機能を実現する。
【0039】
また、情報処理装置1は、図3に示すように、例えば、濁度データ131と、変化傾向データ132と、注入率データ133と、教師データDTと、学習モデルMDとを情報格納領域130に記憶する。
【0040】
初めに、学習モデルMDの生成を行う処理(以下、学習処理とも呼ぶ)における機能について説明を行う。
【0041】
データ取得部111は、例えば、10分ごと等の定期的なタイミングにおいて、着水井12に貯留された被処理水(学習対象の被処理水)の濁度を示す濁度データ131を取得する。具体的に、データ取得部111は、例えば、測定機器Mによって測定された被処理水の濁度を示す濁度データ131を取得する。そして、データ取得部111は、例えば、取得した濁度データ131を情報格納領域130に記憶する。以下、データ取得部111が濁度データ131を取得した時間を測定時間とも呼ぶ。
【0042】
変化傾向判定部112は、例えば、データ取得部111が濁度データ131の取得を行うごとに、情報格納領域130に記憶された濁度データ131のうち、所定時間帯に取得された複数の濁度データ131を用いて濁度の変化傾向を示す変化傾向データ132を算出する。変化傾向データ132は、例えば、所定時間帯に取得された複数の濁度データ131が示す濁度の変化率を示すデータであってよい。また、所定時間帯は、例えば、最後の測定時間の所定時間前(例えば、60分前)から最後の測定時間までの時間帯である。その後、変化傾向判定部112は、例えば、算出した変化傾向データ132を情報格納領域130に記憶する。
【0043】
具体的に、変化傾向判定部112は、例えば、所定時間帯に取得された複数の濁度データ131のうちの最初に取得された濁度データ131(以下、最初の濁度データ131とも呼ぶ)と最後に取得された濁度データ131(以下、最後の濁度データ131とも呼ぶ)とを特定するものであってよい。そして、変化傾向判定部112は、例えば、最初の濁度データ131が示す濁度に対する最後の濁度データ131が示す濁度の変化率を変化傾向データ132として算出するものであってよい。すなわち、変化傾向データ132は、例えば、所定時間前に対する濁度の変化傾向を示すデータであってよい。
【0044】
なお、変化傾向判定部112は、例えば、データ取得部111が取得した濁度データ131と、その濁度データ131の取得に伴って算出された変化傾向データ132とを対応付ける形で情報格納領域130に記憶するものであってよい。
【0045】
また、変化傾向判定部112は、例えば、所定時間帯に取得された複数の濁度データ131が示す濁度の変化率に代えて、所定時間帯に取得された2つの濁度データ131の大小関係を示すデータを変化傾向データ132として生成するものであってもよい。具体的に、変化傾向判定部112は、例えば、最後の濁度データ131が示す濁度が最初の濁度データ131が示す濁度よりも大きい場合、被処理水の濁度が上昇していることを示すデータを変化傾向データ132として生成し、最後の濁度データ131が示す濁度が最初の濁度データ131が示す濁度よりも小さい場合、被処理水の濁度が下降していることを示すデータを変化傾向データ132として生成するものであってよい。
【0046】
データ生成部113は、例えば、データ取得部111が取得した濁度データ131(情報格納領域130に記憶された濁度データ131)をそれぞれ含む複数の教師データDTを生成する。複数の教師データDTのそれぞれは、例えば、データ取得部111が取得した濁度データ131と、その濁度データ131に対応する被処理水(学習対象の被処理水)に対して実際に注入された凝集率の注入率を示す注入率データ133とを含む。そして、データ生成部113は、例えば、生成した複数の教師データDTを情報格納領域130に記憶する。
【0047】
なお、複数の教師データDTは、例えば、管理者が手動で生成して情報処理装置1に入力するものであってもよい。そして、データ生成部113は、例えば、管理者によって入力された複数の教師データDTを情報格納領域130に記憶するものであってもよい。
【0048】
モデル生成部114は、例えば、データ生成部113が生成した複数の教師データDT(情報格納領域130に記憶された複数の教師データDT)の機械学習を行うことによって学習モデルMDを生成する。学習モデルMDは、例えば、被処理水(推定対象の被処理水)の濁度を示す濁度データ131が入力された場合、被処理水に対する凝集剤の注入率(被処理水に対して注入することが好ましい凝集剤の注入率)を示す注入率データ133を出力する学習モデルである。
【0049】
具体的に、モデル生成部114は、例えば、情報格納領域130に記憶された複数の教師データDTを、各教師データに含まれる濁度データ131に対応する変化傾向データ132(各教師データに含まれる濁度データ131の測定時に算出された変化傾向データ132)が示す変化傾向ごとに複数のグループに分割する。そして、モデル生成部114は、例えば、分割した複数のグループごとに、各グループに含まれる複数の教師データDTを用いた機械学習を行うことによって複数の学習モデルMDを生成する。そして、モデル生成部114は、例えば、生成した複数の学習モデルMDを情報格納領域130に記憶する。
【0050】
次に、注入率制御処理における機能について説明を行う。
【0051】
データ取得部111は、学習処理における場合と同様に、例えば、定期的なタイミングにおいて、着水井12に貯留された被処理水(推定対象の被処理水)の濁度を示す濁度データ131を取得する。そして、データ取得部111は、例えば、取得した濁度データ131を情報格納領域130に記憶する。
【0052】
変化傾向判定部112は、学習処理における場合と同様に、例えば、データ取得部111が濁度データ131を取得するごとに、情報格納領域130に記憶された濁度データ131のうち、所定時間帯に取得された濁度データ131を用いて濁度の変化傾向を示す変化傾向データ132を算出する。その後、変化傾向判定部112は、例えば、算出した変化傾向データ132を情報格納領域130に記憶する。
【0053】
注入率制御部115は、例えば、学習処理において生成した複数の学習モデルMD(情報格納領域130に記憶された学習モデルMD)のうち、変化傾向判定部112が算出した変化傾向データ132に対応する学習モデルMD(以下、特定の学習モデルMDとも呼ぶ)に対して、データ取得部111が取得した濁度データ131を入力する。そして、注入率制御部115は、例えば、特定の学習モデルMDから出力された注入率データ133を、着水井12に貯留された被処理水(推定対象の被処理水)に対して注入することが好ましい凝集剤の注入率を示す注入率データ133として取得する。
【0054】
その後、注入率制御部115は、例えば、取得した注入率データ133が示す注入率に従ってポンプPを制御することによって、着水井12に貯留された被処理水(推定対象の被処理水)に対する凝集剤の注入率が特定の学習モデルMDから取得した注入率データ133の注入率と一致するように制御を行う。
【0055】
[第1の実施の形態における学習処理]
次に、第1の実施の形態における学習処理について説明する。図4は、第1の実施の形態における学習処理を説明するフローチャート図である。また、図5から図7は、第1の実施の形態における学習処理を説明する図である。
【0056】
データ取得部111は、例えば、定期的なタイミングにおいて、着水井12に貯留された被処理水(学習対象の被処理水)の濁度を示す濁度データ131を取得する(図4のステップS1)。そして、データ取得部111は、例えば、取得した濁度データ131を情報格納領域130に記憶する。以下、情報格納領域130に記憶された複数の濁度データ131の具体例について説明を行う。
【0057】
[複数の濁度データ131の具体例]
図5は、複数の濁度データ131の具体例について説明する図である。図5に示す複数の濁度データ131は、例えば、濁度データ131(ステップS1で取得された濁度データ131)の測定時間が設定される「測定時間」と、濁度データ131が示す濁度が設定される「濁度」とを項目として有する。
【0058】
具体的に、図5に示す1行目の濁度データ131には、例えば、「測定時間」として「8/25 12:00」が設定され、「濁度」として「10(度)」が設定されている。また、図5に示す2行目の濁度データ131には、例えば、「測定時間」として「8/25 12:10」が設定され、「濁度」として「15(度)」が設定されている。図5に含まれる他の濁度データ131についての説明は省略する。
【0059】
図4に戻り、変化傾向判定部112は、例えば、データ取得部111が濁度データ131を取得するごとに、情報格納領域130に記憶された濁度データ131のうち、所定時間帯に取得された濁度データ131の濁度についての変化傾向を示す変化傾向データ132を算出する(図4のステップS2)。
【0060】
具体的に、変化傾向判定部112は、例えば、データ取得部111が濁度データ131の取得を行ったことに応じて、変化傾向データ132の算出を行う。その後、変化傾向判定部112は、例えば、算出した変化傾向データ132を情報格納領域130に記憶する。
【0061】
また、データ生成部113は、例えば、ステップS1で取得した濁度データ131と、その濁度データ131に対応する被処理水に対して注入した凝集率の注入率を示す注入率データ133とをそれぞれ含む複数の教師データDTを生成する(図4のステップS3)。
【0062】
具体的に、データ生成部113は、例えば、管理者が教師データDTの生成を行う旨の情報を情報処理装置1に入力したことに応じて、各教師データDTの生成を行う。そして、データ生成部113は、例えば、生成した複数の教師データDTを情報格納領域130に記憶する。以下、複数の教師データDTの具体例について説明を行う。
【0063】
[複数の教師データDTの具体例]
図6は、複数の教師データDTの具体例について説明する図である。以下、変化傾向データ132が被処理水の濁度についての変化率(以下、単に変化率とも呼ぶ)である場合について説明を行う。具体的に、図6(A)は、変化率が0以上である場合に測定された濁度を含む教師データDT(以下、教師データDTaとも呼ぶ)を説明する図である。また、図6(B)は、変化率が0未満である場合に測定された濁度を含む教師データDT(以下、教師データDTbとも呼ぶ)を説明する図である。なお、以下、ステップS1において、学習対象の被処理水の濁度に加え、学習対象の被処理水のpH、水温及びアルカリ度についても測定されるものとして説明を行う。
【0064】
図6に示す複数の教師データDTは、例えば、学習対象の被処理水の濁度(濁度データ131が示す濁度)が設定される「濁度」と、学習対象の被処理水のpHが設定される「pH」と、学習対象の被処理水の水温が設定される「水温」と、学習対象の被処理水のアルカリ度が設定される「アルカリ度」と、学習対象の被処理水に対して注入された凝集剤の注入率(注入率データ133が示す注入率)が設定される「注入率」とを項目として有する。
【0065】
具体的に、図6(A)に示す1行目の教師データDTaには、例えば、「濁度」として「100(度)」が設定され、「pH」として「7.0」が設定され、「水温」として「15(℃)」が設定され、「アルカリ度」として「25(mg/L)」が設定され、「注入率」として「60(mg/L)」が設定されている。また、図6(A)に示す2行目の教師データDTaには、例えば、「濁度」として「150(度)」が設定され、「pH」として「7.0」が設定され、「水温」として「15(℃)」が設定され、「アルカリ度」として「25(mg/L)」が設定され、「注入率」として「80(mg/L)」が設定されている。図6(A)に含まれる他の教師データDTaについての説明は省略する。
【0066】
また、図6(B)に示す1行目の教師データDTbには、例えば、「濁度」として「100(度)」が設定され、「pH」として「7.0」が設定され、「水温」として「15(℃)」が設定され、「アルカリ度」として「25(mg/L)」が設定され、「注入率」として「80(mg/L)」が設定されている。また、図6(B)に示す2行目の教師データDTbには、例えば、「濁度」として「150(度)」が設定され、「pH」として「7.0」が設定され、「水温」として「15(℃)」が設定され、「アルカリ度」として「25(mg/L)」が設定され、「注入率」として「100(mg/L)」が設定されている。図6(B)に含まれる他の教師データDTbについての説明は省略する。
【0067】
図4に戻り、モデル生成部114は、例えば、ステップS3で生成した複数の教師データDTの機械学習を行うことによって、複数の学習モデルMDを生成する(図4のステップS4)。具体的に、モデル生成部114は、例えば、管理者が複数の学習モデルMDの生成を行う旨の情報を情報処理装置1に入力したことに応じて、複数の学習モデルMDの生成を行う。
【0068】
さらに具体的に、モデル生成部114は、この場合、例えば、各教師データDTに含まれる濁度の測定時における濁度の変化傾向が所定の傾向(以下、第1傾向とも呼ぶ)である複数の教師データDTを学習させた学習モデルMD(以下、第1学習モデルMDとも呼ぶ)と、各教師データDTに含まれる濁度の測定時における濁度の変化傾向が第1傾向と異なる他の傾向(以下、第2傾向とも呼ぶ)である複数の教師データDTを学習させた学習モデルMD(以下、第2学習モデルMDとも呼ぶ)とを少なくとも生成する。
【0069】
そして、注入率制御部115は、後述するように、注入率制御処理において、例えば、推定対象の被処理水の濁度についての変化傾向が第1傾向であると判定した場合、第1学習モデルMDを用いることによって推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する。また、注入率制御部115は、例えば、推定対象の被処理水の濁度についての変化傾向が第2傾向であると判定した場合、第2学習モデルMDを用いることによって推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する。
【0070】
これにより、本実施の形態における注入率制御システム10(情報処理装置1)は、後述するように、例えば、推定対象の被処理水に対して注入することが好ましい凝集剤の注入率を精度良く推定することが可能になる。
【0071】
なお、第1学習モデルMDは、例えば、変化傾向データ132が示す変化率が閾値(以下、第1閾値とも呼ぶ)以上である複数の教師データDTを用いた学習モデルMDであってよい。また、第2学習モデルMDは、例えば、変化傾向データ132が示す変化率が第1閾値未満である複数の教師データDTを用いた学習モデルMDであってよい。
【0072】
そして、注入率制御部115は、例えば、推定対象の被処理水の濁度についての変化率が第1閾値以上である場合に、第1学習モデルMDを用いることによって推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御するものであってよい。また、注入率制御部115は、例えば、推定対象の被処理水の濁度についての変化率が第1閾値未満である場合に、第2学習モデルMDを用いることによって推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御するものであってよい。
【0073】
さらに、第1閾値は、例えば、0であってよい。すなわち、モデル生成部114は、例えば、変化傾向データ132が示す変化率が0以上である複数の教師データDT(例えば、図6(A)で説明した複数の教師データDTa)を用いた第1学習モデルMDと、変化傾向データ132が示す変化率が0未満である複数の教師データDT(例えば、図6(B)で説明した複数の教師データDTb)を用いた第2学習モデルMDとを少なくとも生成するものであってもよい。一方、第1閾値は、例えば、0よりも大きい値(正の値)や0よりも小さい値(負の値)であってもよい。
【0074】
[ステップS4の具体例]
次に、ステップS4の具体例について説明を行う。図7は、ステップS4の具体例について説明する図である。具体的に、図7は、複数の濁度データ131(情報格納領域130に記憶された複数の濁度データ131)のそれぞれが示す濁度の変化を示すグラフである。なお、図7における横軸及び縦軸のそれぞれは、時間及び濁度である。
【0075】
図7に示すグラフは、降雨等によって水処理システム100に流入する被処理水における濁度データ131が大きく3回上昇していることを示している。
【0076】
そして、モデル生成部114は、この場合、ステップS4において、例えば、情報格納領域130に記憶された複数の教師データDTを、濁度が閾値S(以下、第2閾値とも呼ぶ)未満である濁度データ131(図7における(1)に対応する濁度データ131)を含む複数の教師データDT(以下、複数の第1教師データDTとも呼ぶ)と、濁度が閾値S以上であって濁度が上昇しているとき(濁度の変化率が0よりも大きいとき)に取得された濁度データ131(図7における(2)に対応する濁度データ131)を含む複数の教師データDT(以下、複数の第2教師データDTとも呼ぶ)と、濁度が閾値S以上であって濁度が下降しているとき(濁度の変化率が0よりも小さいとき)に取得された濁度データ131(図7における(3)に対応する濁度データ131)を含む複数の教師データDT(以下、複数の第3教師データDTとも呼ぶ)とのそれぞれに分割する。なお、閾値Sは、例えば、10度であってよい。
【0077】
そして、モデル生成部114は、例えば、複数の第1教師データDTを用いた学習モデルMDと、複数の第2教師データDTを用いた学習モデルMDと、複数の第3教師データDTを用いた学習モデルMDとをそれぞれ生成する。
【0078】
すなわち、濁度が上昇している場合とは、例えば、ゲリラ豪雨の発生等によって川底から巻き上げられた土砂等を多く含む被処理水が水処理システム100に流入している場合である。言い換えれば、濁度が上昇している場合とは、濁度が下降している場合と比較して、粒子の大きい懸濁物質が多く含まれている被処理水が水処理システム100に流入する場合である。
【0079】
一方、濁度が下降している場合とは、例えば、巻き上げられた土砂等が川底に再度堆積した後の状態であり、濁度が上昇している場合と比較して、粒子の小さい懸濁物質や有機物が多く含まれる被処理水が水処理システム100に流入する場合である。
【0080】
ここで、粒子の小さい懸濁物質や有機物からフロックを形成するためには、粒子の大きい懸濁物質からフロックを形成する場合よりも多くの凝集剤が必要になる。そのため、水処理システム100では、例えば、濁度が下降している場合、濁度が上昇している場合よりも多くの凝集剤の注入する必要がある。したがって、水処理システム100では、例えば、被処理水の濁度についての変化率に応じて、被処理水に対する凝集剤の注入率の制御を精度よく行うことが好ましい。
【0081】
そこで、本実施の形態における注入率制御システム10(情報処理装置1)は、例えば、情報格納領域130に記憶された複数の教師データDTを、各教師データDTに対応する学習対象の被処理水の濁度についての変化傾向ごとにそれぞれ学習することによって複数の学習モデルMDを生成する。その後、注入率制御システム10は、後述するように、例えば、推定対象の被処理水における濁度についての変化傾向に応じて、凝集剤の注入率の算出(推定)に用いる学習モデルMDを使い分ける。
【0082】
すなわち、本実施の形態における注入率制御システム10では、例えば、被処理水の濁度が同一である場合であっても、濁度の変化率が異なる場合、それぞれ異なる学習モデルMDを用いることによって凝集剤の注入率の推定を行う。
【0083】
これにより、本実施の形態における注入率制御システム10は、後述するように、例えば、推定対象の被処理水に対して注入することが好ましい凝集剤の注入率を精度良く推定することが可能になる。
【0084】
なお、データ生成部113は、ステップS3において、例えば、ステップS2で算出した変化傾向データ132がさらに含まれるように複数の教師データDTのそれぞれを生成するものであってもよい。そして、モデル生成部114は、ステップS4において、例えば、ステップS3で生成した複数の教師データDTを、各教師データDTに含まれる変化傾向データ132を参照することによって複数のグループに分割し、分割した複数のグループごとに、各グループに含まれる複数の教師データDTを用いた機械学習を行うことによって複数の学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0085】
[第1の実施の形態における注入率制御処理]
次に、第1の実施の形態における注入率制御処理について説明する。図8は、第1の実施の形態における注入率制御処理を説明するフローチャート図である。
【0086】
データ取得部111は、例えば、定期的なタイミングにおいて、着水井12に貯留された被処理水(推定対象の被処理水)の濁度を示す濁度データ131を取得する(図8のステップS11)。そして、データ取得部111は、例えば、取得した濁度データ131を情報格納領域130に記憶する。
【0087】
続いて、変化傾向判定部112は、例えば、ステップS11において濁度データ131を取得するごとに、情報格納領域130に記憶された濁度データ131のうち、所定時間帯に取得された濁度データ131を用いて濁度の変化傾向を示す変化傾向データ132を算出する。具体的に、変化傾向判定部112は、例えば、データ取得部111が濁度データ131の取得を行ったことに応じて、変化傾向データ132の算出を行う(図8のステップS12)。
【0088】
その後、注入率制御部115は、例えば、情報格納領域130に記憶された複数の学習モデルMDのうち、ステップS12で算出した変化傾向データ132に対応する学習モデルMDを特定する。そして、注入率制御部115は、例えば、特定した学習モデルMDに対して、ステップS11で取得した濁度データ131を入力する。さらに、注入率制御部115は、例えば、特定した学習モデルMDから出力された注入率データ133を、推定対象の被処理水に対応する注入率データ133として取得する(図8のステップS13)。
【0089】
その後、注入率制御部115は、例えば、取得した注入率データ133に従ってポンプPを制御することによって、推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率とステップS13で取得した注入率データ133が示す注入率とが一致するように制御を行う(図8のステップS14)。
【0090】
このように、本実施の形態における注入率制御システム10(情報処理装置1)は、例えば、第1タイミングにおける推定対象の被処理水の濁度についての第1変化傾向を取得する変化傾向判定部112と、複数の第2タイミングのそれぞれにおける学習対象の被処理水の濁度と学習対象の被処理水に対する凝集剤の注入率とを含む複数の教師データDTを、各教師データDTに対応する第2タイミングにおける学習対象の被処理水の濁度についての第2変化傾向ごとにそれぞれ学習させた複数の学習モデルMDのうち、第1変化傾向に対応する学習モデルMDを用いることによって、推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御する注入率制御部115と、を有する。
【0091】
具体的に、複数の学習モデルMDは、例えば、各教師データDTに対応する第2変化傾向が第1傾向である複数の教師データDTを学習させた第1学習モデルMDと、各教師データDTに対応する第2変化傾向が第2傾向である複数の教師データDTを学習させた第2学習モデルMDと、を含むものであってよい。そして、注入率制御部115は、例えば、第1変化傾向が第1傾向である場合、第1学習モデルMDを用いることによって推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御し、第1変化傾向が第2傾向である場合、第2学習モデルMDを用いることによって推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御するものであってよい。
【0092】
さらに具体的に、第1学習モデルMDは、例えば、第2変化傾向が第1傾向である複数の教師データDTのうち、各教師データDTに含まれる学習対象の被処理水の濁度が第2閾値以上である複数の教師データDTを学習させた学習モデルMDであり、第2学習モデルMDは、第2変化傾向が第2傾向である複数の教師データDTのうち、各教師データDTに含まれる学習対象の被処理水の濁度が第2閾値以上である複数の教師データDTを学習させた学習モデルMDであってよい。また、複数の学習モデルMDは、例えば、各教師データDTに含まれる学習対象の被処理水の濁度が第2閾値未満である複数の教師データDTを学習させた学習モデルMD(以下、第3学習モデルMDとも呼ぶ)を含むものであってよい。
【0093】
そして、注入率制御部115は、例えば、推定対象の被処理水の濁度が第2閾値以上であって第1変化傾向が第1傾向である場合、第1学習モデルMDを用いることによって推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御し、推定対象の被処理水の濁度が第2閾値以上であって第1変化傾向が第2傾向である場合、第2学習モデルMDを用いることによって推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御し、推定対象の被処理水の濁度が第2閾値未満である場合、第3学習モデルMDを用いることによって推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御するものであってよい。
【0094】
また、複数の学習モデルMDは、例えば、複数の教師データDTを、各教師データDTに含まれる学習対象の被処理水の濁度の範囲ごとであって各教師データDTに対応する第2タイミングにおける学習対象の被処理水の濁度についての第2変化傾向ごとにそれぞれ学習させた複数の学習モデルMDであってもよい。そして、注入率制御部115は、例えば、複数の学習モデルMDのうち、推定対象の被処理水の濁度を含む範囲と第1変化傾向とのそれぞれに対応する学習モデルMDを用いることによって、推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を制御するものであってもよい。
【0095】
これにより、本実施の形態における注入率制御システム10(情報処理装置1)は、例えば、推定対象の被処理水に対して注入することが好ましい凝集剤の注入率を精度良く推定することが可能になる。
【0096】
そのため、注入率制御システム10は、例えば、推定対象の被処理水に対して必要以上の凝集剤が注入されることの防止が可能になり、凝集剤のコストを抑制することが可能になる。
【0097】
また、注入率制御システム10は、例えば、推定対象の被処理水に対して注入する凝集剤の注入率が不足する状況の発生を防止することが可能になり、被処理水の処理品質を向上させることが可能になる。
【0098】
また、注入率制御システム10は、例えば、水処理システム100においてUV計(紫外線吸光度計)やTOC計(全有機体炭素計)や色度計等の測定機器が備え付けられていない場合であっても、推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を精度良く推定することが可能になる。
【0099】
さらに、注入率制御システム10は、例えば、学習処理において学習した学習モデルMDを用いることで、推定対象の被処理水に対する凝集剤の注入率を迅速に算出することが可能になる。そのため、注入率制御システム10は、例えば、被処理水における濁度が急激に変化した場合においても、被処理水の濁度の変化に応じた凝集剤の注入率を迅速に算出することが可能になる。
【0100】
なお、モデル生成部114は、ステップS4において、例えば、情報格納領域130に記憶された複数の教師データDTを、濁度が閾値S(第2閾値)よりも大きい他の閾値(以下、単に他の閾値とも呼ぶ)によって複数のグループにさらに分割するものであってもよい。そして、モデル生成部114は、例えば、他の閾値によってさらに分割した複数のグループごとに、各グループに対応する複数の教師データDTを用いることによって学習モデルMDをそれぞれ生成するものであってもよい。
【0101】
これにより、本実施の形態における注入率制御システム10は、例えば、推定対象の被処理水に対して注入することが好ましい凝集剤の注入率をより精度良く推定することが可能になる。
【0102】
また、データ生成部113は、例えば、注入率制御処理の実行時において、推定対象の被処理水の濁度と、その推定対象の被処理水に対して実際に注入された凝集剤の注入率(すなわち、学習モデルMDによって推定された凝集剤の注入率)とを含む新たな教師データDTを生成するものであってもよい。そして、モデル生成部114は、例えば、注入率制御処理の実行時において、新たな教師データDTを学習モデルMDにさらに学習させるものであってもよい。
【0103】
これにより、本実施の形態における注入率制御システム10は、例えば、注入率制御処理の実行時においても、学習モデルMDの推定精度をより向上させることが可能になる。
【0104】
この点、水処理システム100に流入する被処理水の濁度が第2閾値以上である期間は、通常、水処理システム100に流入する被処理水の濁度が第2閾値未満である期間よりも短く、図7で説明した複数の第1教師データDTや複数の第2教師データDTの生成数は、複数の第3教師データDTの生成数よりも少なくなる傾向にある。そのため、複数の第1教師データDTを用いて生成される学習モデルMDや複数の第2教師データDTを用いて生成される学習モデルMDの推定精度は、例えば、複数の第3教師データDTを用いて生成される学習モデルMDの推定精度よりも低くなる可能性がある。したがって、モデル生成部114は、例えば、注入率制御処理の実行時においても、複数の第1教師データDTを用いて生成される学習モデルMDや複数の第2教師データDTを用いて生成される学習モデルMDのさらなる学習を行うことにより、これらの学習モデルMDについても推定精度を十分に向上させることが可能になる。
【0105】
[第1の実施の形態における変形例]
次に、第1の実施の形態における変形例について説明を行う。図7で説明した例では、濁度の変化率についての第1閾値(すなわち、単一の閾値)を用いることによって複数の教師データDTを複数のグループに分割し、分割した複数のグループごとに複数の学習モデルMDを生成する場合について説明を行ったが、これに限られない。情報処理装置1は、例えば、濁度の変化率についての複数の閾値を用いることによって複数の教師データDTを複数のグループに分割し、分割した複数のグループごとに複数の学習モデルMDを生成するものであってもよい。以下、第1の実施の形態における変形例の具体例について説明を行う。
【0106】
[第1の実施の形態における変形例の具体例]
図9は、第1の実施の形態における変形例の具体例について説明する図である。具体的に、図9は、濁度データ131(情報格納領域130に記憶された濁度データ131)が示す濁度の変化を示すグラフである。なお、図9における横軸及び縦軸のそれぞれは、時間及び濁度である。
【0107】
図9に示すグラフは、図7における場合と同様に、降雨等によって水処理システム100に流入する被処理水における濁度データ131が大きく3回上昇していることを示している。
【0108】
そして、モデル生成部114は、この場合、ステップS4において、例えば、情報格納領域130に記憶された複数の教師データDTを、濁度が閾値S未満である濁度データ131(図9における(1)に対応する濁度データ131)を含む複数の教師データDT(複数の第1教師データDT)と、濁度が閾値S以上であって濁度が緩やかに上昇しているときに取得された濁度データ131(図9における(4)に対応する濁度データ131)を含む複数の教師データDT(以下、複数の第4教師データDTとも呼ぶ)と、濁度が閾値S以上であって濁度が急激に上昇しているときに取得された濁度データ131(図9における(5)に対応する濁度データ131)を含む複数の教師データDT(以下、複数の第5教師データDTとも呼ぶ)と、濁度が閾値S以上であって濁度が緩やかに下降しているときに取得された濁度データ131(図9における(6)に対応する濁度データ131)を含む複数の教師データDT(以下、複数の第6教師データDTとも呼ぶ)と、濁度が閾値S以上であって濁度が急激に下降しているときに取得された濁度データ131(図9における(7)に対応する濁度データ131)を含む複数の教師データDT(以下、複数の第7教師データDTとも呼ぶ)とのそれぞれに分割する。
【0109】
そして、モデル生成部114は、例えば、複数の第1教師データDTを用いた学習モデルMDと、複数の第4教師データDTを用いた学習モデルMDと、複数の第5教師データDTを用いた学習モデルMDと、複数の第6教師データDTを用いた学習モデルMDと、複数の第7教師データDTを用いた学習モデルMDとをそれぞれ生成する。
【0110】
すなわち、ゲリラ豪雨の発生時のように濁度が急激に上昇する場合と、通常の降雨時のように濁度が緩やかに上昇する場合とでは、水処理システム100に流入する被処理水の水質が異なる場合がある。そのため、水処理システム100では、例えば、被処理水の濁度の上昇ペースや下降ペースによって、被処理水に注入する必要がある凝集剤の注入率が異なる可能性がある。
【0111】
そのため、本変形例における情報処理装置1は、例えば、濁度が急激に上昇する場合に測定された濁度データ131を含む複数の教師データDTを用いた学習モデルMDと、濁度が緩やかに上昇する場合に測定された濁度データ131を含む複数の教師データDTを用いた学習モデルMDとをそれぞれ生成する。同様に、本変形例における情報処理装置1は、例えば、濁度が急激に下降する場合に測定された濁度データ131を含む複数の教師データDTを用いた学習モデルMDと、濁度が緩やかに下降する場合に測定された濁度データ131を含む複数の教師データDTを用いた学習モデルMDとをそれぞれ生成する。
【0112】
これにより、本実施の形態における注入率制御システム10(情報処理装置1)は、例えば、推定対象の被処理水に対して注入することが好ましい凝集剤の注入率をより精度良く推定することが可能になる。
【0113】
[第1の実施の形態において生成した学習モデルについての実験結果]
次に、第1の実施の形態において生成した学習モデルMDについての実験結果について説明を行う。図10及び図11は、第1の実施の形態において生成した学習モデルMDについての実験結果を示す図である。
【0114】
図10に示す実験結果ER1は、被処理水に対する凝集剤の注入率の推定を、注入率式と、ニューラルネットワークを用いた深層学習による学習モデル(以下、深層学習モデルとも呼ぶ)と、LightGBM(Light Gradient Boosting Machine)を用いた学習モデル(以下、LightGBMモデルとも呼ぶ)とのそれぞれによって行った場合における推定結果を示している。以下、注入率式と深層学習モデルとLightGBMモデルとを総称して単に注入率式等とも呼ぶ。
【0115】
また、図11に示す実験結果ER2は、被処理水に対する凝集剤の注入率の推定を、本実施の形態の学習処理によって生成されたLightGBMモデルによって場合における推定結果を示している。
【0116】
なお、図10及び図11に示す実験は、予め用意された教師データを用いることによって注入率式等の生成を行った後、予め用意されたテストデータを用いることによってMAPE(Mean Absolute Percentage Error)の算出を行ったものである。
【0117】
具体的に、図10に示す実験結果ER1は、全てのテストデータを対象とし、全ての教師データから生成された注入率式を用いた場合におけるMAPEが「26.7(%)」であるのに対し、全てのテストデータを対象とし、全ての教師データから生成された深層学習モデルを用いた場合におけるMAPEが「14.7(%)」であり、さらに、全てのテストデータを対象とし、全ての教師データから生成されたLightGBMモデルを用いた場合におけるMAPEが「13.5(%)」であることを示している。
【0118】
すなわち、図10に示す実験結果ER1は、例えば、注入率式を用いる場合の推定精度よりも、深層学習モデルやLightGBMモデルを用いる場合の推定精度の方が高いことを示している。
【0119】
また、図10に示す実験結果ER1は、濁度が10度未満の被処理水に基づいて生成されたテストデータを対象とし、全ての教師データから生成されたLightGBMモデルを用いた場合におけるMAPEが「12.6(%)」であり、濁度が10度以上の被処理水に基づいて生成されたテストデータを対象とし、全ての教師データから生成されたLightGBMモデルを用いた場合におけるMAPEが「21.4(%)」であることを示している。
【0120】
すなわち、図10に示す実験結果ER1は、例えば、濁度が10度以上の被処理水に基づいて生成されたテストデータを対象とし、全ての教師データから生成されたLightGBMモデルを用いた場合、濁度が10度未満の被処理水に基づいて生成されたテストデータを対象とし、全ての教師データから生成されたLightGBMモデルを用いた場合よりも推定精度が低くなることを示している。
【0121】
これに対し、図11に示す実験結果ER2は、濁度が10度以上の被処理水に基づいて生成されたテストデータを対象とし、全ての教師データから生成されたLightGBMモデルを用いた場合におけるMAPEが「21.4(%)」であるのに対し、濁度が10度以上の被処理水に基づいて生成されたテストデータを対象とし、濁度が10度以上の被処理水に基づいて生成された教師データから生成されたLightGBMモデルを用いた場合におけるMAPEが「20.6(%)」であることを示している。
【0122】
すなわち、図11に示す実験結果ER2は、濁度が10度以上の被処理水に基づいて生成されたテストデータを対象とし、濁度が10度以上の被処理水に基づいて生成された教師データを学習したLightGBMモデルを用いた場合、濁度が10度以上の被処理水に基づいて生成されたテストデータを対象とし、全ての教師データを学習したLightGBMモデルを用いた場合よりも推定精度を向上させることが可能になることを示している。
【0123】
さらに、図11に示す実験結果ER2は、濁度が10度以上であって濁度が上昇していたときの被処理水に基づいて生成されたテストデータを対象とし、濁度が10度以上であって濁度が上昇していたときの被処理水に基づいて生成された教師データを学習したLightGBMモデルを用いた場合におけるMAPEが「20.1(%)」であり、濁度が10度以上であって濁度の変化率が下降していたときの被処理水に基づいて生成されたテストデータを対象とし、濁度が10度以上であって濁度の変化率が下降していたときの被処理水に基づいて生成された教師データを学習したLightGBMモデルを用いた場合におけるMAPEが「19.5(%)」であることを示している。
【0124】
すなわち、図11に示す実験結果ERは、例えば、本実施の形態における学習処理のように、濁度の変化傾向に応じて教師データを分割し、分割された教師データごとに複数の学習モデルを生成することによって、各学習モデルの推定精度がより向上することを示している。
【符号の説明】
【0125】
1:情報処理装置 2:貯留槽
10:注入率制御システム 11:沈砂池
12:着水井 13:混和池
14:フロック形成池 15:沈殿池
16:濾過池 17:浄水池
18:配水池 100:水処理システム
101:CPU 102:メモリ
103:通信装置 104:記憶媒体
105:バス 111:データ取得部
112:変化傾向判定部 113:データ生成部
114:モデル生成部 115:注入率制御部
130:記憶部 131:濁度データ
132:変化傾向データ 133:注入率データ
DT:教師データ MD:学習モデル
M:測定機器 P:ポンプ
NW:ネットワーク
図1
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図11