(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047128
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】会場選定装置及び会場選定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240329BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152572
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】横山 顕士
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】献血会場の複数の会場候補の中から1つ以上の会場候補を選定する会場選定装置及び会場選定方法を提供する。
【解決手段】献血システム10において、献血管理システム14の会場選定装置20は、献血経験のある複数のドナーの各々について、ドナーの血液型の情報、ドナーの移動範囲に関する範囲情報及びドナーの献血記録に関する献血情報を含むドナー情報52を記憶する記憶装置34と、献血の募集要項を示す募集情報62及び複数の各々の会場候補の位置を示す会場位置情報64を取得する取得部38、ドナー情報52、募集情報62及び会場位置情報64に基づいて、ドナーが会場候補に来場するかを予測するための指標を、ドナー毎及び会場候補毎に算出する算出部40及び指標が所定値以上であるドナーの数が上位の会場候補を選定する選定部42を含む演算装置32と、備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
献血会場の複数の会場候補の中から1つ以上の前記会場候補を選定する会場選定装置であって、
献血経験のある複数のドナーの各々に関して、前記ドナーの血液型の情報、前記ドナーの移動範囲に関する範囲情報及び前記ドナーの献血記録に関する献血情報を含むドナー情報を記憶する記憶部と、
献血の募集要項を示す募集情報及び複数の各々の前記会場候補の位置を示す会場位置情報を取得する取得部と、
前記ドナー情報、前記募集情報及び前記会場位置情報に基づいて、前記ドナーが前記会場候補に来場するかを予測するための指標を、前記ドナー毎及び前記会場候補毎に算出する算出部と、
前記指標が所定値以上である前記ドナーの数が上位の前記会場候補を選定する選定部と、
を備える、会場選定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の会場選定装置であって、
前記算出部は、前記ドナーの前記血液型の情報及び前記献血情報と前記募集情報との比較結果、及び、前記ドナーの前記範囲情報と前記会場位置情報との比較結果に基づいて、複数の前記ドナーの中から1人以上の前記ドナーを抽出し、抽出された前記ドナー毎に前記指標を算出する、
会場選定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の会場選定装置であって、
前記移動範囲は、前記ドナーの自宅の位置と、前記ドナーが通う場所の位置と、前記ドナーが利用する移動経路の位置とのうちの少なくとも1つを含み、
前記算出部は、前記移動範囲から前記会場候補の位置までの距離が所定距離以内である前記ドナーを前記会場候補毎に抽出する、
会場選定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の会場選定装置であって、
前記献血記録は、献血日を含む1以上の献血履歴を含み、
前記募集要項は、献血予定日及び必要な前記血液型を含み、
前記算出部は、前記ドナーの前記血液型と必要な前記血液型とが一致し、且つ、前回献血日から前記献血予定日までの間隔が所定日数以上である前記ドナーを抽出する、
会場選定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の会場選定装置であって、
前記ドナー情報は、更に、前記ドナーの生年月日を含み、
前記算出部は、前記献血予定日の時点で年齢が所定年齢に達していない前記ドナーを抽出する、
会場選定装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の会場選定装置であって、
前記献血記録は、献血回数と献血頻度との少なくとも1つを含み、
前記算出部は、前記ドナーの前記献血回数が多いほど前記ドナーの前記指標を大きくし、又は、前記ドナーの前記献血頻度が高いほど前記ドナーの前記指標を大きくする、
会場選定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の会場選定装置であって、
前記算出部は、前記ドナーの前記移動範囲から前記会場候補の位置までの距離が近いほど前記ドナーの前記指標が大きくなるように補正し、又は、前記ドナーの前記移動範囲から前記会場候補の位置までの距離が遠いほど前記ドナーの前記指標が小さくなるように補正する、
会場選定装置。
【請求項8】
請求項1に記載の会場選定装置であって、
前記会場候補の選定結果をユーザ端末に通知する通知部を備える、
会場選定装置。
【請求項9】
献血会場の複数の会場候補の中から1つ以上の前記会場候補を選定する会場選定方法であって、
コンピュータは、
献血経験のある複数のドナーの各々に関して、前記ドナーの血液型の情報、前記ドナーの移動範囲に関する範囲情報及び前記ドナーの献血記録に関する献血情報を含むドナー情報を記憶する記憶部と、
1以上のプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
献血の募集要項を示す募集情報及び複数の各々の前記会場候補の位置を示す会場位置情報を取得する工程と、
前記ドナー情報、前記募集情報及び前記会場位置情報に基づいて、前記ドナーが前記会場候補に来場するかを予測するための指標を、前記ドナー毎及び前記会場候補毎に算出する工程と、
前記指標が所定値以上である前記ドナーの数が上位の前記会場候補を選定する工程と、
を実行する、会場選定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、献血会場の複数の会場候補の中から1つ以上の会場候補を選定する会場選定装置及び会場選定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの会場の中から一部の会場を選定する技術がある。例えば、特許文献1には、ユーザが結婚披露宴会場、パーティ会場等のイベント会場を選定するための会場選定装置及び会場選定方法が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は献血者数が減少している。献血によって集められる血液量が減少すると、血液製剤の安定供給に支障をきたす虞がある。このため、多くのドナーを集めることが望まれる。その一つの手段として、多くのドナーを集めることが可能な献血会場を選定することが考えられる。
【0005】
本発明は上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の第1の態様は、献血会場の複数の会場候補の中から1つ以上の前記会場候補を選定する会場選定装置であって、献血経験のある複数のドナーの各々に関して、前記ドナーの血液型の情報、前記ドナーの移動範囲に関する範囲情報及び前記ドナーの献血記録に関する献血情報を含むドナー情報を記憶する記憶部と、献血の募集要項を示す募集情報及び複数の各々の前記会場候補の位置を示す会場位置情報を取得する取得部と、前記ドナー情報、前記募集情報及び前記会場位置情報に基づいて、前記ドナーが前記会場候補に来場するかを予測するための指標を、前記ドナー毎及び前記会場候補毎に算出する算出部と、前記指標が所定値以上である前記ドナーの数が上位の前記会場候補を選定する選定部と、を備える。
【0007】
第1の態様によれば、献血事業体の作業者は、ドナーが多く集まる可能性が高い会場候補を選定することができる。これにより、献血者数を増加させることができる。従って、上記構成によれば、献血によって確保できる血液量を増加させることができる。
【0008】
(2)上記項目(1)に記載の会場選定装置において、前記算出部は、前記ドナーの前記血液型の情報及び前記献血情報と前記募集情報との比較結果、及び、前記ドナーの前記範囲情報と前記会場位置情報との比較結果に基づいて、複数の前記ドナーの中から1人以上の前記ドナーを抽出し、抽出された前記ドナー毎に前記指標を算出することが好ましい。
【0009】
(3)上記項目(2)に記載の会場選定装置において、前記移動範囲は、前記ドナーの自宅の位置と、前記ドナーが通う場所の位置と、前記ドナーが利用する移動経路の位置とのうちの少なくとも1つを含み、前記算出部は、前記移動範囲から前記会場候補の位置までの距離が所定距離以内である前記ドナーを前記会場候補毎に抽出することが好ましい。
【0010】
(4)上記項目(2)に記載の会場選定装置において、前記献血記録は、献血日を含む1以上の献血履歴を含み、前記募集要項は、献血予定日及び必要な前記血液型を含み、前記算出部は、前記ドナーの前記血液型と必要な前記血液型とが一致し、且つ、前回献血日から前記献血予定日までの間隔が所定日数以上である前記ドナーを抽出することが好ましい。
【0011】
(5)上記項目(4)に記載の会場選定装置において、前記ドナー情報は、更に、前記ドナーの生年月日を含み、前記算出部は、前記献血予定日の時点で年齢が所定年齢に達していない前記ドナーを抽出することが好ましい。
【0012】
(6)上記項目(1)~(5)のいずれか1項に記載の会場選定装置において、前記献血記録は、献血回数と献血頻度との少なくとも1つを含み、前記算出部は、前記ドナーの前記献血回数が多いほど前記ドナーの前記指標を大きくし、又は、前記ドナーの前記献血頻度が高いほど前記ドナーの前記指標を大きくすることが好ましい。
【0013】
(7)上記項目(6)に記載の会場選定装置において、前記算出部は、前記ドナーの前記移動範囲から前記会場候補の位置までの距離が近いほど前記ドナーの前記指標が大きくなるように補正し、又は、前記ドナーの前記移動範囲から前記会場候補の位置までの距離が遠いほど前記ドナーの前記指標が小さくなるように補正することが好ましい。
【0014】
(8)上記項目(1)に記載の会場選定装置は、前記会場候補の選定結果をユーザ端末に通知する通知部を備えることが好ましい。
【0015】
(9)本発明の第2の態様は、献血会場の複数の会場候補の中から1つ以上の前記会場候補を選定する会場選定方法であって、コンピュータは、献血経験のある複数のドナーの各々に関して、前記ドナーの血液型の情報、前記ドナーの移動範囲に関する範囲情報及び前記ドナーの献血記録に関する献血情報を含むドナー情報を記憶する記憶部と、1以上のプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、献血の募集要項を示す募集情報及び複数の各々の前記会場候補の位置を示す会場位置情報を取得する工程と、前記ドナー情報、前記募集情報及び前記会場位置情報に基づいて、前記ドナーが前記会場候補に来場するかを予測するための指標を、前記ドナー毎及び前記会場候補毎に算出する工程と、前記指標が所定値以上である前記ドナーの数が上位の前記会場候補を選定する工程と、を実行する。
【0016】
第2の態様によれば、第1の態様と同じ効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、多くのドナーを集めることができる献血会場を選定することができるため、献血によって確保できる血液量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】
図2Aは、ドナー情報に含まれる各々の情報を示す図である。
図2Bは、範囲情報に含まれる各々の情報を示す図である。
図2Cは、献血情報に含まれる各々の情報を示す図である。
図2Dは、履歴情報に含まれる各々の情報を示す図である。
【
図4】
図4は、ドナー情報の一部情報と期待値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[1 献血システム10]
図1は、献血システム10の構成図である。本明細書で「ドナー」というのは、献血経験のあるドナーを意味する。また、「ユーザ」というのは、献血事業体(赤十字社等)の作業員を意味する。
【0020】
献血システム10は、複数のドナー端末12と、献血管理システム14とを備える。各々のドナー端末12と献血管理システム14とは、第1通信ネットワーク16を介して互いに通信可能に接続される。ドナー端末12は、ドナーが有するスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末装置である。第1通信ネットワーク16は、例えばインターネットである。
【0021】
献血管理システム14は、1以上のユーザ端末18と、会場選定装置20とを備える。ユーザ端末18と会場選定装置20とは、第2通信ネットワーク22を介して通信可能に接続される。第2通信ネットワーク22は、例えばLAN、WANである。なお、ユーザ端末18と会場選定装置20とは、第2通信ネットワーク22の代わりに、第1通信ネットワーク16を介して互いに通信可能に接続されてもよい。
【0022】
ユーザ端末18は、献血事業体が有するスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末装置である。ユーザ端末18は、入力装置24、表示装置26、CPU(不図示)、各種メモリ(不図示)、通信モジュール(不図示)等を有する。
【0023】
会場選定装置20は、ユーザ端末18により指定された複数の会場候補の中から1つ以上の会場候補を選定する。会場選定装置20は、サーバ等のコンピュータである。会場選定装置20は、演算装置32と、記憶装置34と、通信装置36とを有する。
【0024】
演算装置32は、処理回路を有する。処理回路は、CPU等のプロセッサであってもよい。処理回路は、ASIC、FPGA等の集積回路であってもよい。プロセッサは、不揮発性メモリに記憶されるプログラムを実行することによって各種の処理を実行可能である。例えば、プロセッサは、取得部38、算出部40、選定部42及び通知部44として機能する。
【0025】
取得部38は、ドナー端末12、ユーザ端末18等から各種の情報を取得する。算出部40は、ドナーが会場候補に来場するかを予測するための指標を、ドナー毎及び会場候補毎に算出する。選定部42は、来場すると予測されるドナーの数が多い会場候補を選定する。通知部44は、選定部42による選定結果をユーザ端末18に通知する。
【0026】
記憶装置34は、各種メモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)を有する。揮発性メモリとしては、例えばRAM等が挙げられる。揮発性メモリは、プロセッサのワーキングメモリとして使用される。揮発性メモリは、処理又は演算に必要なデータ等を一時的に記憶する。不揮発性メモリとしては、例えばROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。不揮発性メモリは、保存用のメモリとして使用される。不揮発性メモリは、プログラム、テーブル、マップ等を記憶する。不揮発性メモリは、下記[2]で説明するドナー情報52を記憶する。また、不揮発性メモリは、各種の所定値を記憶する。
【0027】
通信装置36は、各ネットワークを介してドナー端末12及びユーザ端末18と通信を行うための通信モジュールである。
【0028】
[2 ドナー情報52]
図2Aは、ドナー情報52に含まれる各々の情報を示す図である。記憶装置34は、ドナーに関する様々な情報を、ドナー情報52として記憶する。ドナー情報52は、データベース化されている。ドナー情報52は、例えば、氏名、生年月日、性別、体重、連絡先、血液型、休日、移動範囲、献血記録等の情報を含む。連絡先は、メールアドレス、SNSの連絡先等である。ドナー端末12が電話番号を有する携帯端末である場合、連絡先は電話番号であってもよい。移動範囲は、ドナーが日常的に移動する範囲を示す。移動範囲に関する各々の情報をまとめて範囲情報54という。献血記録は、ドナーが過去に行った献血の記録を示す。献血記録に関する各々の情報をまとめて献血情報56という。
【0029】
図2Bは、範囲情報54に含まれる各々の情報を示す図である。範囲情報54は、第1所在地、第2所在地、第1所在地と第2所在地との間の移動経路、第1所在地と第2所在地との間の移動手段等の情報を含む。第1所在地は、自宅の所在地(住所)である。第2所在地は、ドナーが通う場所(勤務地又は学校)の所在地である。
【0030】
図2Cは、献血情報56に含まれる各々の情報を示す図である。献血情報56は、ドナーの献血回数、ドナーの献血頻度、ドナーの献血履歴等の情報を含む。献血回数は、所定期間内の回数である。所定期間は、第1回目の献血日から最新の献血日までの期間でもよいし、一定の期間でもよい。献血頻度は、所定期間の日数をその所定期間内に行われた献血回数で除した数値である。献血履歴は、ドナーがこれまで行った各々の献血の履歴を示す。献血履歴に関する各々の情報をまとめて履歴情報58という。
【0031】
図2Dは、履歴情報58に含まれる各々の情報を示す図である。履歴情報58は、ドナーが行った各回の献血に関する情報として、献血年月日、献血場所、献血種類、副作用の有無等の情報を含む。献血種類は、全血献血と成分献血のいずれかである。全血献血の場合は、献血量の情報も含まれる。
【0032】
[3 会場選定処理]
献血管理システム14は、例えば、次のような状況で使用される。献血は、献血ルームに備え付けられた採血装置の他に、移動式の採血装置(献血バス等)でも行われる。献血事業体のユーザは、移動式の採血装置の訪問地、すなわち献血会場を決めるにあたり、献血管理システム14を使用する。
【0033】
図3は、会場選定処理の処理フローである。ユーザは、ユーザ端末18の入力装置24を操作することによって、会場選定処理に必要な情報、例えば募集情報62(
図1)及び会場位置情報64(
図1)を入力したうえで、会場選定装置20に以下の処理を実行させる。
【0034】
ステップS1において、取得部38は、ユーザ端末18から募集情報62及び会場位置情報64を取得する。募集情報62は、献血の募集要項に関する種々の情報を含む。募集情報62は、献血予定日、予定時間帯、献血種類(全血献血又は成分献血)、必要な血液型、各々の血液型の必要量等の情報を含む。会場位置情報64は、複数の会場候補の各々の位置に関する情報を含む。会場位置情報64は、会場候補の名称又は所在地等の情報を含む。取得部38は、会場候補の名称又は所在地を使用して、記憶装置34(又は外部サーバ)に記憶される位置情報データベース(不図示)から、会場候補の位置を示す位置情報(緯度及び経度等)を取得する。
【0035】
ステップS2において、算出部40は、ドナー情報52が登録されている全てのドナーの中から第1条件を満たすドナーを抽出する。第1条件は、会場候補の位置に関する抽出条件である。第1条件としては、例えば、会場候補の位置を中心とした所定の第1距離内の範囲が設定される。この範囲を「設定範囲」と称する。第1距離は、予め記憶装置34に記憶される。なお、第1条件において、設定範囲の大きさは市街地と郊外とで異なってもよい。この場合、郊外の設定範囲の方が市街地の設定範囲より広くてもよい。
【0036】
ここで、算出部40は、各々の会場候補に対して、各々のドナーの範囲情報54に含まれる一部情報と設定範囲とを比較することによって、第1条件を満たすドナー(ドナー情報52)を抽出する。言い換えると、算出部40は、移動範囲の一部が設定範囲内に含まれるドナーを抽出する。例えば、算出部40は、第1所在地又は第2所在地が設定範囲内に含まれるドナーを抽出する。又は、算出部40は、移動手段が鉄道であるドナーに関しては、乗車駅、降車駅、乗換駅の少なくとも1つが設定範囲内に含まれるドナーを抽出する。又は、算出部40は、移動手段が車であるドナーに関しては、移動経路が設定範囲内に含まれるドナーを抽出する。但し、献血日時がドナーの休日に該当する場合に、ドナーは第2所在地に移動しないことが予測される。この場合、算出部40は、第1所在地のみを設定範囲と比較する。
【0037】
ステップS3において、算出部40は、ステップS2で抽出されたドナーの中から第2条件を満たすドナーを抽出する。第2条件は、募集要項及び献血基準に関する抽出条件である。第2条件としては、血液型、献血間隔(日数)、体重、年齢等の条件が設定される。
【0038】
ここで、算出部40は、各々のドナー情報52に含まれる一部情報と、募集要項及び献血基準とを比較することによって、第2条件を満たすドナー(ドナー情報52)を抽出する。算出部40は、第2条件を全て満たすドナーを抽出する。具体的には、算出部40は、血液型が必要な血液型と一致するドナーを抽出する。更に、算出部40は、前回献血日から献血予定日までの間隔が所定日数以上であるドナーを抽出する。更に、算出部40は、体重が所定の基準値以上であるドナーを抽出する。更に、算出部40は、献血予定日の時点で年齢が所定年齢(上限)に達していないドナーを抽出する。ステップS3の終了時点で、各々の会場候補には、第1条件及び第2条件を満たした複数のドナー(ドナー情報52)が抽出されている。
【0039】
ステップS4において、算出部40は、会場候補毎に、抽出された各々のドナーの期待値を算出する。期待値は、ドナーが会場候補に来場するかを予測するための指標である。期待値が大きいドナーは、会場候補に来場する可能性が高い。算出部40は、ドナー情報52に含まれる一部情報に基づいて期待値を算出する。算出部40は、所定の計算式を使用して期待値を算出してもよいし、所定のテーブルを使用して期待値を算出してもよい。本実施形態では、期待値の算出に献血回数、献血頻度、副作用の有無、体重等の情報のうちの少なくとも1つが用いられる。
【0040】
図4は、ドナー情報52の一部情報と期待値との関係を示す図である。算出部40が使用する計算式又はテーブルは、
図4で示されるような結果を算出する。
図4で示されるように、献血回数が多いほど期待値は大きく、献血回数が少ないほど期待値は小さい。また、献血頻度が高いほど期待値は大きく、献血頻度が低いほど期待値は小さい。また、副作用がない場合に期待値は大きく、副作用がある場合に期待値は小さい。また、体重と所定基準値との差が大きいほど期待値は大きく、体重と基準値との差が小さいほど期待値は小さい。なお、算出部40は、全血献血の期待値と成分献血の期待値とを個別に算出してもよい。算出部40は、献血回数、献血頻度、副作用の有無、体重等の情報の各々に基づいて算出された1以上の期待値を合算し、そのドナーの期待値とする。
【0041】
更に、算出部40は、会場位置情報64とドナー情報52とに基づいて、算出された期待値を補正してもよい。例えば、算出部40は、自宅、勤務地、学校、経由地等の少なくとも1つと、会場候補との距離が所定の第2距離未満である場合に、期待値を大きくしてもよい。その一方で、算出部40は、自宅、勤務地、学校、経由地等の全てと、会場候補との距離が第2距離以上である場合に、期待値を小さくしてもよい。又は、算出部40は、会場候補が駅に近く、且つ、ドナーの移動手段が鉄道である場合に、期待値を大きくしてもよい。その一方で、算出部40は、会場候補が駅に近く、且つ、ドナーの移動手段が車である場合に、期待値を小さくしてもよい。又は、算出部40は、会場候補が郊外であり、且つ、ドナーの移動手段が車である場合に、期待値を大きくしてもよい。その一方で、算出部40は、会場候補が郊外であり、且つ、ドナーの移動手段が鉄道である場合に、期待値を小さくしてもよい。
【0042】
また、算出部40は、他の情報に基づいて期待値を補正してもよい。例えば、会場候補に駐車場がある場合に、算出部40は、移動手段が車であるドナーの期待値を大きくしてもよい。
【0043】
ステップS5において、選定部42は、算出された期待値に基づいて1以上の会場候補を選定する。ここで、選定部42は、会場候補毎に、期待値が所定値以上であるドナーの数を算出する。つまり、選定部42は、会場候補毎に、来場しそうなドナーの数を算出する。選定部42は、ドナーの数が多い順に会場候補を順位付ける。選定部42は、ドナーの数が最多の会場候補を選定する。又は、選定部42は、ドナーの数が多い複数の会場候補を選定してもよい。
【0044】
ステップS6において、通知部44は、選定部42による選定結果を、通信装置36を介してユーザ端末18に通知する。通知部44は、選定された会場候補の情報(名称、所在地、ドナーの数等)をユーザ端末18に送信する。これにより、ユーザ端末18の表示装置26には、多くのドナーが集まる可能性が高い1以上の会場候補が表示される。
【0045】
ステップS6が終了すると、会場選定処理は終了する。以上の処理により、献血事業体のユーザは、ドナーが多く集まる可能性が高い会場候補を容易に選定することができる。これにより、献血者数を増加させることができる。従って、本実施形態によれば、献血によって確保できる血液量を増加させることができる。
【0046】
なお、会場選定装置20は、期待値が所定値以上であるドナーに対して、献血の案内を送ることも可能である。例えば、取得部38は、期待値が所定値以上であるドナーのドナー情報52から連絡先の情報を取得する。通知部44は、取得された連絡先に献血の案内を送信する。ドナーは、ドナー端末12によって献血の案内を確認することができる。
【0047】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0048】
20…会場選定装置 34…記憶装置(記憶部)
38…取得部 40…算出部
42…選定部 52…ドナー情報
54…範囲情報 56…献血情報
62…募集情報 64…会場位置情報