(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047129
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】支持構造
(51)【国際特許分類】
B23K 37/02 20060101AFI20240329BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20240329BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20240329BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B23K37/02 C
E04G21/16
B23K9/00 501B
B25J19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152574
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】305017815
【氏名又は名称】十一屋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 貴久
(72)【発明者】
【氏名】平松 剛
(72)【発明者】
【氏名】大附 和敬
(72)【発明者】
【氏名】田原 健一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一道
【テーマコード(参考)】
2E174
3C707
4E081
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174DA12
2E174DA32
2E174DA52
2E174DA62
2E174EA02
3C707CS10
4E081YB03
(57)【要約】
【課題】支持構造の高さを抑え、高さ方向のコンパクト化を図ることができ、仮設足場等に、第2支持部材の機械的干渉を回避し易くなる支持構造を提供する。
【解決手段】支持構造10の一対の第1支持部材20、20は、水平な第1方向に延びるとともに、下部鋼柱1Aを挟むように下部鋼柱1Aに取り付けられている。一対の第2支持部材30、30は、第1方向と交差する第2方向に延びるとともに、下部鋼柱1Aを挟むように一対の第1支持部材20、20ごとに渡されている。第2支持部材30には、各第1支持部材20が挿通される貫通孔が形成されており、一対の第2支持部材30、30は、各第1支持部材20が貫通孔31に挿通されることで、一対の第1支持部材20、20に支持されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部鋼柱と下部鋼柱との突合せ部分の溶接に用いられるロボットアームを前記下部鋼柱に支持させる支持構造であって、
水平な第1方向に延びるとともに、前記下部鋼柱を挟むように前記下部鋼柱に取り付けられた一対の第1支持部材と、
前記第1方向と交差する第2方向に延びるとともに、前記下部鋼柱を挟むように前記一対の第1支持部材ごとに渡された一対の第2支持部材と、
前記第2方向に延びるとともに、前記第2支持部材ごとに取り付けられ、前記ロボットアームの走行を案内するレール部材と、を備えており、
前記各第2支持部材には、前記各第1支持部材が挿通される貫通孔が形成されており、
前記一対の第2支持部材は、前記各第1支持部材が前記貫通孔に挿通されることで、前記一対の第1支持部材に支持されていることを特徴とする支持構造。
【請求項2】
前記第2支持部材には、前記貫通孔の周縁を周回した補強部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の支持構造。
【請求項3】
前記貫通孔は、断面が異なるサイズの前記下部鋼柱に取り付けられた一対の支持部材に合わせて、水平方向に延在した長孔であることを特徴とする請求項1に記載の支持構造。
【請求項4】
前記第1支持部材の両側には、前記第2支持部材を取り付けるための第1取付孔が、前記第1方向に沿って複数形成されており、
前記第2支持部材には、前記長孔の上縁から外側に向かって張り出し、前記第1支持部材に支持される支持部が形成されており、
前記支持部には、第2取付孔が、前記第2方向に沿って複数形成されており、
複数の前記第1取付孔および複数の前記第2取付孔のうち、前記下部鋼柱の前記サイズに合わせた位置の前記第1および第2取付孔に、固定具を挿通することにより、前記第2支持部材は、前記第1支持部材に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の支持構造。
【請求項5】
前記第1支持部材は、前記下部鋼柱にブラケットを介して取り付けられており、
前記ブラケットは、前記下部鋼柱に固定され、前記第1方向に延在した第1固定部と、
前記第1方向における前記第1固定部の両側から、前記第1方向と交差する方向に延在し、前記第1支持部材が載置された状態で固定される一対の第2固定部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部鋼柱と下部鋼柱との突合せ部分の溶接に用いられるロボットアームを、下部鋼柱に支持させるための支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場などにおいて、上部鋼柱と下部鋼柱の突合せ部分は、溶接により固定される。このような溶接方法として、ロボットアームを用いた溶接方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、下部鋼柱に挟み込むように支持される一対の第1支持部材と、第1部材と交差する方向に延在し、第1支持部材に支持される一対の第2支持部材と、第2支持部材に沿って固定されレール部材と、を備えた支持構造が、提案されている。この支持構造によれば、異なるサイズの下部鋼柱に対してロボットアームを取り付けて、レール部材に沿って、ロボットアームを移動させながら、上部鋼柱と下部鋼柱とを付け合わせ溶接することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す支持構造では、支持片を介して第1支持部材を下部鋼柱に固定し、第1支持部材に載置するように第2支持部材を固定し、さらに第2支持部材の上にレール部材を固定している。このため、上部鋼柱と下部鋼柱との突合せ部分の溶接の際のロボットアームの走行位置は、支持片に対して、第1支持部材の高さと第2支持部材との高さの合計分の高さとなる。したがって、支持構造の上下方向の取り付け範囲が広がってしまい、筋交いや胴縁などの他の鉄骨部材、周辺機器および仮設足場に干渉するおそれもある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、支持構造の上下方向の取り付け範囲をよりコンパクトにし、周辺機器および仮設足場などに干渉し難い支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題に鑑みて、本発明に係る支持構造は、上部鋼柱と下部鋼柱との突合せ部分の溶接に用いられるロボットアームを前記下部鋼柱に支持させる支持構造であって、水平な第1方向に延びるとともに、前記下部鋼柱を挟むように前記下部鋼柱に取り付けられた一対の第1支持部材と、前記第1方向と交差する第2方向に延びるとともに、前記下部鋼柱を挟むように前記一対の第1支持部材ごとに渡された一対の第2支持部材と、前記第2方向に延びるとともに、前記第2支持部材ごとに取り付けられ、前記ロボットアームの走行を案内するレール部材と、を備えており、前記各第2支持部材には、前記各第1支持部材が挿通される貫通孔が形成されており、前記一対の第2支持部材は、前記各第1支持部材が前記貫通孔に挿通されることで、前記一対の第1支持部材に支持されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、一対の第2支持部材の貫通孔に一対の第1支持部材を挿通した状態で、一対の第1支持部材に一対の第2支持部材を支持させるので、支持構造の高さを抑え、高さ方向のコンパクト化を図ることができる。これにより、周辺機器および仮設足場などに、第2支持部材や第1支持部材が機械的干渉することを回避し易くなる。
【0009】
より好ましい態様としては、前記第2支持部材には、前記貫通孔の周縁を周回した補強部材が設けられている。
【0010】
この態様によれば、貫通孔を周回するように、補強部材が取り付けられるので、貫通孔の周りの剛性と強度を高めることができる。この結果、ロボットアームがレール部材を走行しつつ動作したとしても、第1および第2支持部材を介して、ロボットアームを安定して支持することができる。
【0011】
より好ましい態様としては、前記貫通孔は、断面が異なるサイズの前記下部鋼柱に取り付けられた一対の支持部材に合わせて、水平方向に延在した長孔である。
【0012】
この態様によれば、断面が異なるサイズの柱の外面に、一対の第1支持部材を固定した場合であっても、一対の第1支持部材を第2支持部材の貫通孔に挿通することができる。これにより、サイズの異なる柱であっても、このサイズに応じて、第2支持部材の取付位置を設定し、一対の第1支持部材に、各第2支持部材を支持させることができる。
【0013】
より好ましい態様としては、前記第1支持部材の両側には、前記第2支持部材を取り付けるための第1取付孔が、前記第1方向に沿って複数形成されており、前記第2支持部材には、前記長孔の上縁から外側に向かって張り出し、前記第1支持部材に支持される支持部が形成されており、前記支持部には、第2取付孔が、前記第2方向に沿って複数形成されており、複数の前記第1取付孔および複数の前記第2取付孔のうち、前記下部鋼柱の前記サイズに合わせた位置の前記第1および第2取付孔に、固定具を挿通することにより、前記第2支持部材は、前記第1支持部材に取り付けられている。
【0014】
この態様によれば、第1支持部材の複数の第1取付孔と、第2支持部材の複数の第2取付孔から、下部鋼柱のサイズに合わせて、第1および第2取付孔を選択し、選択した第1および第2取付孔に固定具を挿通し、第2支持部材を第1支持部材に固定することができる。このようにして、異なるサイズの柱であっても、第1および第2支持部材を、下部鋼柱に対して所望の取付位置で取り付けることができる。
【0015】
より好ましい態様としては、前記第1支持部材は、前記下部鋼柱にブラケットを介して取り付けられており、前記ブラケットは、前記下部鋼柱に固定され、前記第1方向に延在した第1固定部と、前記第1方向における前記第1固定部の両側から、前記第1方向と交差する方向に延在し、前記第1支持部材が載置された状態で固定される一対の第2固定部と、を備える。
【0016】
この態様によれば、離間した一対の第2固定部に第1支持部材が載置された状態で固定されるので、第1支持部材を離間した2カ所で支持することができる。これにより、第1支持部材に作用する曲げ応力を緩和し、ブラケットを介して、第1支持部材を柱に確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、支持構造の高さを抑え、高さ方向のコンパクト化を図ることができ、仮設足場等に、支持部材の機械的干渉を回避し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る支持構造を用いてロボットアームを柱に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す支持構造の第1支持部材と固定部材の構造を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す支持構造の第2支持部材を示し、(a)は斜視図、(b)は変形例の要部斜視図である。
【
図4】
図1に示す支持構造の第1支持部材の柱に対する取付部分と、第1支持部材と第2支持部材との支持部分を示し、(a)は要部正面図、(b)は(a)のC-C線に沿う断面図である。
【
図5】
図4に示す取付部分の詳細を示し、(a)は要部平面図、(b)は要部正面図、(c)は固定用のナットを含む要部右側面図である。
【
図6】
図5に示す取付部分の要部構成を分解した状態の斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る支持構造の要部を示す平面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る支持構造の要部を示し、(a)は要部平面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(a)のD-D線に沿う断面図である。
【
図9】
図8に示す取付部分の要部構成を示す分解状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る支持構造の第1実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る支持構造を用いて、2つのロボットアームを上部鋼柱と下部鋼柱とからなる柱の下部鋼柱に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0020】
図1に示すように、建設現場等においては、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bとの突合せ部分1aを溶接するために、ロボットアーム80が用いられる。ロボットアーム80を支持する第1及び第2支持部材20、30は、支持構造10を用いて下部鋼柱1Aの外面に着脱可能に取り付けられる。
【0021】
下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの外面は、対向する(互いに反対側に位置する)外面1b、1bと、これらの間に形成された外面1c、1cの4つの外面で構成され、4つの平面部と、隣接した平面部を繋ぐ4つの湾曲部によって形成されている。下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの外面1b、1cの平面部の所定位置には、複数(ここでは4つ)の突片2(エレクションピースともいう)が溶接されている。この突片2は、上下に隣接する下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bを仮固定するために設けられている。上下に配置された2つの突片2には、仮固定治具3が取り付けられている。
【0022】
仮固定治具3は、上下方向に延設されており、上側の端部はボルト4等を用いて上側の突片2に締結されており、下側の端部はボルト4等を用いて下側の突片2に締結されている。仮固定治具3は、ここでは詳細な説明を省略するが、上下に配置された2つの突片2同士の間の距離を調節可能に構成されていてもよい。これにより、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bとの隙間を調節することが可能であるとともに、上部鋼柱1Bの傾きを調節することが可能である。なお、仮固定治具3は、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bの突合せ部分1aの溶接が完了した際、又は突合せ部分1aの溶接途中であっても、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bとの間の接合強度が建設中の建物を支持するのに十分な大きさになった際に、突片2から取り外される。
【0023】
つぎに、支持構造10について、
図1から
図6を参照して説明する。支持構造10は、ロボットアーム80を支持する第1支持部材20が、固定ユニット11を介して、下部鋼柱1Aの外面1bに着脱自在に固定された構造である。
【0024】
支持構造10は、一対の第1支持部材20、20と、一対の第1支持部材20、20に跨って支持される一対の第2支持部材30、30と、一対の第2支持部材30、30に沿ってその上部に取り付けられ、2つのロボットアーム80、80が載置される台車90の走行を案内する一対のレール部材40、40と、を備えている。
【0025】
一対の第1支持部材20、20は、水平な第1方向(矢印A方向)に延びるとともに、柱1を挟むように下部鋼柱1Aに取り付けられている。具体的には、一対の第1支持部材20、20は、水平な第1方向(矢印A方向)に延在するとともに下部鋼柱1Aを挟むように、下部鋼柱1Aの対向する外面1b、1bに固定されている。
【0026】
一対の第2支持部材30、30は、第1方向と交差する水平な第2方向(矢印B方向)に延びるとともに、柱1を挟むように一対の第1支持部材20、20ごとに渡されている。具体的には、一対の第2支持部材30、30は、第1方向と交差(直交)する水平な第2方向(矢印B方向)に延在するとともに下部鋼柱1Aの対向する他の外面1c、1cを挟むように、一対の第1支持部材20、20に跨って支持されている。一対のレール部材40、40は、第2方向に延びるとともに、補強部材ごとに取り付けられ、各ロボットアーム80の走行を案内している。具体的には、一対のレール部材40、40は、一対の第2支持部材30、30上に固定されているとともに、2つのロボットアーム80、80を第2方向(矢印B方向)に案内する。なお、第1方向(矢印A方向)および第2方向(矢印B方向)は、下部鋼柱1Aの外面1b、1cの平面部に平行または垂直な方向である。
【0027】
つぎに、第1支持部材20の詳細構造について、
図2を参照して説明する。第1支持部材20の材質および断面形状は特に限定されるものではないが、軽量化の観点からここではアルミニウム合金が用いられるが、鋼が用いられていてもよい。第1支持部材20は、
図2に示すように、一対のフランジ21、22と、一対のフランジ21、22を接続するウェブ23と、を有する断面H形状に形成されているとともに、第1方向(下部鋼柱1Aに取り付けられた状態では矢印A方向)に延びるように形成されている。フランジ21の長手方向(矢印A方向)両側には、第2支持部材30、30を取り付けるための複数の第1取付孔21a(通し孔ともいう)が第1方向に沿って複数形成されている。複数の第1取付孔21aがフランジ21の長手方向(第1方向)に沿って設けられているため、フランジ21に対する第2支持部材30、30の締結位置をフランジ21の長手方向(矢印A方向)に調整することが可能である。なお、下部鋼柱1Aの断面のサイズごとに用いる各第1取付孔21aに合わせて、下部鋼柱1Aの断面のサイズを第1取付孔21aの周りに記載してもよい。この他にも、第2支持部材30から下部鋼柱1Aまでの設定距離を第1取付孔21aの周りに記載してもよい。これにより、下部鋼柱1Aに対して第2支持部材30を適切な位置で固定することができる。
【0028】
フランジ22の長手方向中央寄りの位置には、フランジ22の長手方向に所定の間隔をおいて、後述する固定ユニット11を構成する固定アングル12を締結するための複数の貫通孔21bが設けられている。貫通孔21bは、断面が異なるサイズの下部鋼柱1Aに取り付けられた一対の第1支持部材20、20に合わせて、水平方向に延在した長孔である。これにより、異なるサイズの下部鋼柱1Aであっても、このサイズに応じて、第2支持部材の取付位置を設定し、一対の第1支持部材に、各第2支持部材を支持させることができる。
【0029】
つぎに、第2支持部材30の詳細構造について、
図3を参照して説明する。第2支持部材30の材質および断面形状は特に限定されるものではないが、軽量化の観点からここではアルミニウム合金が用いられるが、鋼または樹脂が用いられていてもよい。第2支持部材30は、
図3に示すように、断面形状が縦長の長方形状の角パイプで形成されているとともに、第2方向(下部鋼柱1Aに取り付けられた状態では矢印B方向)に延びるように形成されている。第2方向(矢印B方向)と、上述した第1方向(矢印A方向)とは水平に沿った方向である。後述する溶接を行うことができるのであれば、第2方向(矢印B方向)は、第1方向(矢印A方向)に交差していればよく、本実施形態では、これらは直交している。
【0030】
第2支持部材30の長手方向に沿う2個所には、一対の第1支持部材20、20の各々が挿通される貫通孔31が形成されている。貫通孔31は、1つの第2支持部材30の各側面に各々2個所ずつ、合計4個所に形成されている。貫通孔31は、断面が異なるサイズの下部鋼柱1Aに対して、一対の第1支持部材20、20の水平方向の位置が調整可能な位置まで、水平方向に延在した長孔である。より具体的には、貫通孔31は、横長の長方形であり、その幅は挿通される第1支持部材20が、断面が異なるサイズの下部鋼柱1Aに対して、左右方向(水平方向)に移動できる長さに設定されており、その高さは第1支持部材20の上下フランジが接触しないような高さとなっている。貫通孔31は、それぞれA方向に沿って水平方向に貫通している。
【0031】
貫通孔31は、上縁、下縁、および一対の側縁により長方形に形成された長孔である。第2支持部材30には、長孔である貫通孔31の上縁から外側に向かって張り出し、第1支持部材20に支持される支持プレート(支持部)32が形成されている。支持プレート32は、後述する第2支持部材30を構成する管状本体30Aに溶接等で固着されているが、たとえば、支持プレート(支持部)32は、貫通孔31を加工する際に、管状本体30Aの一部を屈曲させることにより形成されてもよい。支持部として、支持プレート32の代わり、支持ブロックを設けてもよい。本例では、支持プレート32は、貫通孔31の上縁に沿って3か所の隅肉溶接で固着されている。支持プレート32には、第2方向(B方向)に沿って複数の第2取付孔33が形成されている。
【0032】
このようにして、複数の第1取付孔21a、21a、…および複数の第2取付孔33、33、…のうち、下部鋼柱1Aの断面のサイズに合わせた位置の第1および第2取付孔21a、33に、固定具を挿通することにより、第2支持部材30は、第1支持部材20に取り付けられている。
【0033】
貫通孔31は、前記のように横方向に長い長方形に形成されており、
図4(b)に示すように、断面形状の異なる下部鋼柱1Aに対して、一対の第1支持部材20、20の水平方向の位置が調整できるように、水平方向に長い長孔となっている。具体的には、下部鋼柱1Aの太さに(水平方向幅)合わせて一対の第1支持部材20、20が水平方向に広がって固定支持されるため、水平方向の長さwを大きく設定して、第1支持部材20の水平方向の位置が調整できるように水平方向に延在した長孔となっている。なお、第1支持部材20の高さh1に対して、貫通孔31の高さh2は大きく設定されており、貫通孔31内で第1支持部材20の水平方向の位置を調整できるようになっている。
【0034】
第2支持部材30は、第2方向(B方向)に沿って延在する管状本体30Aと、管状本体30Aに取り付けられ、貫通孔31の周縁を周回する補強部材として補強プレート30Bと、を備えている。管状本体30Aは、断面が四角形状の管状の部材であるが、断面が、多角形状、円筒状、楕円状などであってもよく、第1支持部材20を挿通して貫通孔31を支持することができるものであれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0035】
補強プレート30Bは、アルミニウム合金製または鋼製等の金属板材で形成され、貫通孔31の周囲に沿って、ロ字状に周回し、貫通孔31の周囲を補強している。補強プレート30Bは必ずしも必要ではないが、貫通孔31周囲を補強することで、第2支持部材の剛性と強度を高めることができるものである。したがって、第2支持部材30に固定されたレール部材40に沿って、重量物であるロボットアーム80が走行しても、第2支持部材30の変形が抑制され、安定した状態で走行させることができる。補強プレート30Bは、管状本体30Aの内部に挿入され、補強プレート30Bの上辺と下辺とが、管状本体30Aの内壁面に溶接されている。
【0036】
第2支持部材30には、管状本体30Aの両端近傍の両側面に、4つの取手35が水平方向に沿って固着されている。取手35は第2支持部材30を手で持って搬送するときに使用するものである。したがって、第2支持部材30は、二人で搬送することができる。第2支持部材30の両端部上面には、端面に沿って切り欠き溝36が形成されている。切り欠き溝36は、
図3(b)に示されるように、工具や小物等を収容する工具袋37の紐37aを引っ掛けることができ、第2支持部材30付近での各種作業に好都合となる。
【0037】
本実施形態では、
図4から
図6に示すように、第1支持部材20は、固定ユニット11を介して下部鋼柱1Aの外面1bに着脱自在に固定されている。固定ユニット11は、一対の第1支持部材20を固定する固定部材としての固定アングル12と、固定アングル12を下部鋼柱1Aに着脱自在に取り付ける着脱ユニット13とを備えている。したがって、2つの固定ユニット11により、下部鋼柱1Aの対向する2つの外面1b、1bに、一対の第1支持部材20、20が着脱自在に固定されている。固定アングル12は、第1支持部材20を支持する上方の支持面が水平になるように固定されている。
【0038】
着脱ユニット13は、
図4から
図6に示すように、下部鋼柱1Aの外面1bに固着され、固定アングル12を介して第1支持部材20を受ける受け具14と、受け具14に固定アングル12を連結する連結具16と、を備えている。受け具14は、鋼板等の金属板材をプレス成形して成形されたものであり、2つの対向した立ち上がり壁14aと、2つの立ち上がり壁14a同士を繋ぐ連結壁14bと、により断面コ字状に形成されている。
【0039】
図5(b)および
図6に示すように、受け具14には、連結壁14bに切り欠き15が形成されている。切り欠き15は、U字状の切り欠きであり、上方が開口している。切り欠き15の縁部15aは、この開口から下方に向かって連続して形成されており、後述するように、下縁部15bにおいて、第1締結具17が当接している。なお、本実施形態では、切り欠き15は、上方に開口しているが、たとえば、水平方向に開口していてもよい。これにより、切り欠き15の縁部は、対向するように上下に一対形成されるため、連結具16の取り付けおよび取り外しがし易くなるばかりでなく、受け具14で、連結具16を安定して受けることができる。
【0040】
連結具16は、第1締結具17と第2締結具18とから構成されており、本実施形態では、その一例として、これらは、六角ボルトとナットである。第1締結具17は、受け具14に着脱自在に係合する頭部17aと、頭部17aから延在する軸部17bと、を備えている。頭部17aは平面視六角形で大径であり、軸部17bは小径の軸になっている。
【0041】
第1締結具17の軸部17bは、その先端から基端部17cに向かって、雄ネジが形成されており、雌ネジが形成された第2締結具18が、第1締結具17の軸部17bに螺着することにより、第1締結具17に締結されている。本実施形態では、第1締結具17の軸部17bの基端部17c(
図5、
図6参照)まで、雄ネジが形成されているが、第2締結具18に螺着することができるのであれば、基端部17cの形状は特に限定されるものではない。
【0042】
本実施形態では、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向の移動を拘束するように、第1締結具17の頭部17aが、受け具14に着脱自在に係止している。さらに、第1締結具17の軸部17bは、切り欠き15から、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に突出している。この状態で、第1締結具17の軸部17bの基端部17cは、切り欠き15の縁部15a(具体的には、下縁部15b)に当接している。
【0043】
より具体的には、
図5に示すように、切り欠き15の幅w1は、軸部17bの直径より大きく、かつ、頭部17aおよび第2締結具18の幅よりも狭く設定されている。すなわち、切り欠き15の幅w1は、切り欠き15内に第1締結具17の軸部17b(具体的には基端部17c)が挿入可能となる幅となっており、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に、第1締結具17が拘束されている。
【0044】
また、
図6に示すように、受け具14の2つの立ち上がり壁14a、14aの幅w2(内壁面同士の距離)は、第1締結具17の頭部17aの幅w3より僅かに大きく設定されている。頭部(六角頭部)17aは、2つの立ち上がり壁14a、14aと連結壁14bで形成される空間内に収容されるように設定されている。頭部17aが受け具14の空間内に収容された状態で、第1締結具17は、回転不能の状態となり、受け具14に対して上方から着脱自在になっている。
【0045】
このように構成された受け具14は、下部鋼柱1Aの対向する外面1b、1bに2つずつ水平方向に並べた状態で、下部鋼柱1Aの4つの平面部の幅に合わせて所定の間隔を空けて溶接等で固着されている。溶接部分は、2つの立ち上がり壁14a、14aの先端と、柱の外面1b、1bとの接触部分であり、溶接部分は図示していないが若干盛り上がって形成される。
【0046】
受け具14は、切り欠き15の開口が上方を向くように下部鋼柱1Aの外面1bに固着され、第1締結具17は頭部17aが受け具14の2つの立ち上がり壁14a、14a間の空間に進入するとともに、軸部17bの基端部17cが切り欠き15内に進入するように装着される。このため、第1締結具17の頭部17aは、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向の移動を拘束するように、受け具14に着脱自在に係止され、軸部17bが、受け具14から下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に突出している。さらに、軸部17bの基端部17cは、切り欠き15の下縁部15bに当接している。
【0047】
図2に示すように、固定ユニット11を構成する固定部材である固定アングル12は、第1支持部材20を載置した状態で支持する機能を有している。固定アングル12の水平部には第1支持部材20の4つの貫通孔21bに対応して、4つの貫通孔12aが形成されている。また、鉛直部には、第1締結具17の軸部17bが挿入される2つの貫通孔12bが形成されている。
【0048】
固定アングル12は、下部鋼柱1Aの外面1bに固着された2つの受け具14から突出する2本の第1締結具17の軸部17bに2つの貫通孔12bを挿通し、第2締結具(ナット)18を螺着させて締結される。このようにして、第1締結具17の頭部17aとナットである第2締結具18とで、固定アングル12と受け具14とを挟持することができ、固定アングル12が、下部鋼柱1Aの外面1bに着脱自在に固定されている。
【0049】
次に、レール部材40について説明する。一対の第2支持部材30上には、
図1に示すように、一対のレール部材40が固定されている。レール部材40の材質は特に限定されるものではないが、例えば鋼材を用いることができる。レール部材40は、
図1に示すように、本体部41と、本体部41の上部にボルト等を用いて固定された一対のレール(リニアガイドレールともいう)42と、を備えている。
【0050】
レール42には、ロボットアーム80の台車90がスライド可能に係合している。レール部材40は、レール固定部材60を介して、第2支持部材30に固定されている。レール固定部材60は、第2支持部材30の上面に取り付けられる取付具(図示せず)と、取付具に固定される支持プレート(図示せず)とを含んでいる。
【0051】
次に、ロボットアーム80の構造について簡単に説明する。ロボットアーム80は、
図1および
図7に示すように、レール部材40上に載置され、レール部材40に沿って走行移動する台車90上に載置される。台車90には、ロボットアーム80の動作のための電力を供給するケーブル89が接続されている。ロボットアーム80は、台車90上に配置され上下方向に延びる軸を中心として旋回可能な旋回台82と、旋回台82上に配置され上方向に延びる基台部83とを備えている。
【0052】
さらに、ロボットアーム80は、基台部83上に配置され水平方向に延びる軸を中心として回動可能な第1アーム84と、第1アーム84に連設され、水平方向に延びる軸を中心として回動可能な第2アーム85とを備えている。
【0053】
第2アーム85は、その軸方向に沿って回転するアーム本体86を備えており、アーム本体86の先端には、第3アーム87が旋回自在に取り付けられている。第3アーム87には、溶接トーチ88が取り付けられており、溶接トーチ88は、ケーブル89に接続されている。
【0054】
ロボットアーム80は、台車90によって所定位置に移動され、旋回台82、第1アーム84、第2アーム85、および第3アーム87を駆動することによって、溶接トーチ88の先端を下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの突合せ部分1aの所望の位置に配置して溶接を行う。なお、ロボットアーム80および台車90は、手動で駆動させるものであってもよいし、自動で駆動するものであってもよい。
【0055】
前記の如く構成された本実施形態の支持構造10の作用について以下に説明する。下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの突合せ部分1aの溶接するため、ロボットアーム80を下部鋼柱1Aに取り付けるときは、まず、支持構造10の第1支持部材20を下部鋼柱1Aの外面1bに固定する。
【0056】
具体的には、下部鋼柱1Aの外面1bに固定ユニット11を構成する受け具14を溶接で固着する。本実施形態では、各外面1bに、2つ受け具14、14が、水平方向に並設されているが、第1支持部材20を安定して固定することができるのであれば、この個数は特に限定されない。受け具14には、対向して平行な2つの立ち上がり壁14a、14aと、これらを繋ぐ連結壁14bと、により空間が形成されており、連結壁14bには切り欠き15が形成されている。
【0057】
ここで、受け具14の空間に、第1締結具(連結ボルト)17の頭部17aが収容されるように、軸部17bの基端部17cを切り欠き15内に挿入する。これにより、基端部17cは、切り欠き15の下縁部15bに当接し、軸部17bは、切り欠き15から、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に沿って突出する。このようにして、第1締結具17は、切り欠き15を介して、受け具14に対して、回転不能に支持される。
【0058】
次に、第1締結具17の軸部17bに、固定アングル12の貫通孔12bを挿通し、軸部17bに第2締結具(ナット)18を締め込む。これにより、固定アングル12と受け具14とを、第1締結具17の頭部17aと第2締結具18とで挟持することができる。これにより、固定アングル12を下部鋼柱1Aに固定することができる。
【0059】
この際、貫通孔12bと軸部17bとの隙間を利用して、固定アングル12が水平になるように、固定アングル12を調整して、第2締結具18を軸部17bに対して締め込む。つぎに、固定アングル12の水平面に形成された貫通孔12aと、第1支持部材20のフランジ22に形成された貫通孔21bと、にボルトを挿通し、ナットをねじ込んでボルトナット25で第1支持部材20を下部鋼柱1Aに水平状態に固定する。対向する他方の外面1bについても、同様にして第1支持部材20を水平状態に固定する。
【0060】
このように、
図1および
図3に示すように、下部鋼柱1AのA方向に沿って、2本の第1支持部材20が固定ユニット11により水平方向に下部鋼柱1Aを挟むように平行に固定される。このあと、
図1および
図7に示すように、一対の第2支持部材30、30は、柱1を挟み、かつ、A方向と交差するB方向に延びるように一対の第1支持部材20、20に支持される。
【0061】
具体的には、下部鋼柱1Aに固定された一対の第1支持部材20、20の両端部に、一対の第2支持部材30、30の貫通孔31、31を挿通する。第2支持部材30およびレール部材40の重量は、1つの貫通孔31に対して、第2支持部材30の両側に形成された一対の支持プレート32、32により安定して受けることができる。これにより、一対の第1支持部材20、20のフランジ21上に一対の第2支持部材30、30の支持プレート32、32を安定して滑らせることができる。この結果、複数の第1取付孔21a、21a、…および複数の第2取付孔33、33、…のうち、下部鋼柱1Aの断面のサイズに合わせた位置にある第1取付孔21aおよび第2取付孔33を選択し、選択した第1取付孔21aと第2取付孔33との位置合わせがし易くなる。このようして、位置合わせした第1取付孔21aと第2取付孔33とに、連結ボルト34(固定具)を挿通し、挿通した連結ボルト34の先端側からナットを締め込むことで第1支持部材20に第2支持部材30を支持させ、固定することができる。
【0062】
さらに、複数の第2取付孔33と複数の第1取付孔21aから、下部鋼柱1Aの断面のサイズに合わせて、第1取付孔21aと第2取付孔33とを選択することで、下部鋼柱1Aから第1支持部材20までの距離と、下部鋼柱1Aから第2支持部材30までの距離と、を適切な距離に設定することができる。一対の第2支持部材30、30に予めレール部材40を固定してもよく、各第2支持部材30を固定してから、一対のレール部材40を固定してもよい。
【0063】
このようにして、各第2支持部材30にレール部材40をB方向に沿って固定したあと、一対のレール部材40にロボットアーム80の台車90を移動可能に設置する。これにより、ロボットアーム80は一対のレール部材40上を台車90で走行することができる。ロボットアーム80は一対のレール部材40上を走行し、下部鋼柱1Aの突合せ部分1aを溶接し、上下に配置された分割状態の下部鋼柱1Aを接合することができる。
【0064】
突合せ部分1aの接合後または接合途中において、4つの突片2に取り付けられた仮固定治具3を取り外す。突合せ部分1aの接合後には、一対のレール部材40に設置されたロボットアーム80とともに、下部鋼柱1Aから支持構造10を構成する一対の第1および第2支持部材20、30を取り外す。
【0065】
まず、一対のレール部材40、40上に設置された台車90とともに、ロボットアーム80、80を取り外し、一対の第2支持部材30、30に固定された一対のレール部材40、40を取り外す。ついで、一対の第2支持部材30、30を一対の第1支持部材20、20から取り外す。一対の第2支持部材30、30は、取手35により人手によって搬送される。
【0066】
このあと、下部鋼柱1Aに固定ユニット11で固定された一対の第1支持部材20、20を取り外す。まず、一対の固定アングル12、12の複数のボルトナット25を緩め、一対の第1支持部材20、20を取り外す。ついで、一対の第2締結具(ナット)18、18を緩め、固定アングル12を一対の第1締結具(連結ボルト)17、17から取り外す。このあと、受け具14の切り欠き15から一対の第1締結具17、17を外すと、下部鋼柱1Aの外面1bには溶接された一対の受け具14、14のみが残る。
【0067】
このように、本実施形態では、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に沿って、切り欠き15から突出した軸部17bに第2締結具(ナット)18を締め込むことで、固定アングル12を固定する。この軸部17bを構成する第1締結具(連結ボルト)17は、その頭部17aが受け具14に着脱自在に係止されている。このため、受け具14から簡単に取り外すことができる。このようにして、支持部材を支持できる程度に、下部鋼柱1Aの外面の法線方向に突出した部材を、下部鋼柱1Aに溶接等で固着する必要がなく、このような部材を下部鋼柱1Aから切断するような撤去作業を要しない。このような結果、ロボットアーム80の取り付けおよび取り外しの作業性を向上させることができる。
【0068】
本実施形態の支持構造10では、ロボットアーム80の台車90を走行させる一対のレール部材40、40を支持する一対の第2支持部材30、30は、下部鋼柱1Aの外面に固定された一対の第1支持部材20、20を、その貫通孔31に挿通した状態で支持される。このように、支持構造10は、従来のように、一対の第1支持部材20、20の上に、一対の第2支持部材30、30を重ねた構造でないため、支持構造10の高さを小さくでき、コンパクトにできる。これにより、仮設足場等において、支持部材の機械的干渉を避けることができる。
【0069】
また、一対の第2支持部材30、30に形成され、一対の第1支持部材20、20が挿通する複数の貫通孔31の周縁を周回する補強部材30Bを備えることで、一対の第2支持部材30、30の剛性を高めることができる。これにより、一対のレール部材の変形を抑制することができ、2つのロボットアーム80、80の走行状態を安定させることができ、突合せ部分1aの溶接の品質を向上させることができる。
【0070】
さらに、一対の第2支持部材30、30の複数の貫通孔31は、一対の第1支持部材20、20を挿通した状態で水平方向の位置が調整できるように、水平方向に延在した貫通孔としたため、断面が異なる柱1であっても、下部鋼柱1Aに本実施形態の支持構造10を取り付けることができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、
図8、
図9に基づき詳細に説明する。
図8は本発明の第2実施形態を示し、(a)は要部平面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(a)のD-D線に沿う断面図、
図9は下部鋼柱と第1支持部材との取付部分の要部構成を示す分解状態の斜視図である。なお、この第2実施形態の支持構造は前記した第1実施形態に対し、下部鋼柱と第1支持部材との支持構造が異なることを特徴とする。他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図8では、第2支持部材に支持されたレール部材を省略している。
図9では、第1支持部材は下部鋼柱の手前側の部分についてのみ示しており、奥側の部分を省略している。
【0072】
図8、
図9において、第2実施形態の支持構造10Aでは、下部鋼柱1Aに取り付けられる第1支持部材20は、ブラケット70を介して取り付けられている。ブラケット70は、3本のアングル材を溶接して構成されている。すなわち、ブラケット70は、柱1の下部鋼柱1Aに水平状態に固定され、第1方向(A方向)に延在する第1固定部71と、第1方向における第1固定部71の両側から、第1方向と交差する方向(B方向)に延在し、第1支持部材20が載置された状態で固定される一対の第2固定部72、72と、を備えている。第1固定部71の両端に第2固定部72、72が溶接で固着されている。
【0073】
第1固定部71を構成するアングル材は、第1実施形態の固定アングル12と同様に、固定ユニット11を介して下部鋼柱1Aに着脱自在に取り付けられている。固定ユニット11は、第1固定部71を下部鋼柱1Aに着脱自在に取り付ける着脱ユニット13を備えている。したがって、第1固定部71の立面には、着脱ユニット13の受け具14に第1固定部71を固定するための連結具16を構成する連結ボルトが貫通する貫通孔が形成されている。一対の第2固定部72、72は、アングル材の上面に、第1支持部材20を固定するための複数の貫通孔73が長手方向に沿って形成されている。第1支持部材20のフランジ22には、複数の貫通孔73と連通するように、複数の貫通孔21cが形成されており、ボルトナット74が挿通できる。
【0074】
第2実施形態の支持構造10Aにおいても、第1実施形態に記載の支持構造10と同様の作用効果を奏するものである。すなわち、一対の第2支持部材30、30は、その貫通孔31に、下部鋼柱1Aの外面に固定された一対の第1支持部材20、20を、挿通した状態で支持されるため、支持構造10Aの高さを小さくでき、コンパクトにできる。このため、仮設足場等において、支持部材の機械的干渉を避けることができる。
【0075】
また、第1支持部材20を支持するブラケット70は、第1固定部71で離間した一対の第2固定部72、72に第1支持部材20が載置された状態で固定される、このため、第1支持部材20を、第1固定部71で離間した2カ所で支持することができ、第1支持部材20に作用する曲げ応力を緩和し、ブラケット70を介して、第1支持部材20を下部鋼柱1Aに確実に保持することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【0077】
例えば、第2支持部材30の貫通孔31の周縁を周回する補強部材を、貫通孔が形成された管状本体の内面に取り付けられた例を示したが、補強部材は管状本体の外面に取り付けてもよい。また、第2実施形態のブラケットとしてアングル材を用いた例を示したが、H鋼で形成したものでもよい。
【符号の説明】
【0078】
1A:下部鋼柱、1B:上部鋼柱、1a:突合せ部分、1b、1c:外面、10、10A:支持構造、11:固定ユニット、12:固定アングル(固定部材)、13:着脱ユニット、14:受け具、15:切り欠き、16:連結具、17:第1締結具(連結ボルト)、17a:六角頭部(頭部)、17b:軸部、17c:基端部、18:第2締結具(ナット)、20:第1支持部材、30:第2支持部材、30A:管状本体、30B:補強プレート(補強部材)、31:貫通孔、32:支持プレート、33:第2取付孔、34:連結ボルト、40:レール部材、70:ブラケット、71:第1固定部、72:第2固定部、80:ロボットアーム、90:台車