(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047130
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ドナー選定装置及びドナー選定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240329BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152575
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】横山 顕士
(72)【発明者】
【氏名】片桐 麻友
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】来場を促すドナーを選定するドナー選定装置及びドナー選定方法を提供する。
【解決手段】献血システム10において、献血管理システム14のドナー選定装置20は、複数のドナーの各々に関して、ドナーの血液型の情報、ドナーの移動範囲に関する範囲情報及びドナーの献血記録に関する献血情報を含むドナー情報52を記憶する記憶装置34と、ドナーの現在位置を示すドナー位置情報66、献血の募集要項を示す募集情報62及び献血会場の位置を示す会場位置情報64を取得する取得部38、ドナー情報52とドナー位置情報66の少なくとも一方と、募集情報62と会場位置情報64とに基づいて、ドナーが献血会場に来場するかを予測するための指標を、ドナー毎に算出する算出部40及び指標が所定値以上である1人以上のドナーを選定する選定部42を含む演算装置32と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
献血経験のある複数のドナーの中から1人以上の前記ドナーを選定するドナー選定装置であって、
複数の前記ドナーの各々に関して、前記ドナーの血液型の情報、前記ドナーの移動範囲に関する範囲情報及び前記ドナーの献血記録に関する献血情報を含むドナー情報を記憶する記憶部と、
前記ドナーの現在位置を示すドナー位置情報、献血の募集要項を示す募集情報及び献血会場の位置を示す会場位置情報を取得する取得部と、
前記ドナー情報と前記ドナー位置情報の少なくとも一方と、前記募集情報と、前記会場位置情報とに基づいて、前記ドナーが前記献血会場に来場するかを予測するための指標を、前記ドナー毎に算出する算出部と、
前記指標が所定値以上である1人以上の前記ドナーを選定する選定部と、
を備える、ドナー選定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドナー選定装置であって、
前記算出部は、前記ドナーの前記血液型の情報及び前記献血情報と前記募集情報との比較結果、及び、前記ドナー位置情報と前記ドナーの前記範囲情報の少なくとも一方と前記会場位置情報との比較結果に基づいて、複数の前記ドナーの中から1人以上の前記ドナーを抽出し、抽出された前記ドナー毎に前記指標を算出する、
ドナー選定装置。
【請求項3】
請求項2に記載のドナー選定装置であって、
前記移動範囲は、前記ドナーの自宅の位置と、前記ドナーが通う場所の位置と、前記ドナーが利用する移動経路の位置とのうちの少なくとも1つを含み、
前記算出部は、前記移動範囲から前記献血会場の位置までの距離が所定距離以内である前記ドナーを抽出する、
ドナー選定装置。
【請求項4】
請求項2に記載のドナー選定装置であって、
前記献血記録は、献血日時を含む1以上の献血履歴を含み、
前記募集要項は、実施希望日及び必要な前記血液型を含み、
前記算出部は、前記ドナーの前記血液型と必要な前記血液型とが一致し、且つ、前回献血日時から前記実施希望日までの日数が所定日数以上である前記ドナーを抽出する、
ドナー選定装置。
【請求項5】
請求項4に記載のドナー選定装置であって、
前記ドナー情報は、更に、前記ドナーの生年月日を含み、
前記算出部は、前回献血日時の時点で年齢が所定年齢に達していない前記ドナーを抽出する、
ドナー選定装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のドナー選定装置であって、
前記献血記録は、献血回数と献血頻度との少なくとも1つを含み、
前記算出部は、前記ドナーの前記献血回数が多いほど前記ドナーの前記指標を大きくし、又は、前記ドナーの前記献血頻度が高いほど前記ドナーの前記指標を大きくする、
ドナー選定装置。
【請求項7】
請求項6に記載のドナー選定装置であって、
前記算出部は、前記ドナーの前記移動範囲から前記献血会場の位置までの距離が近いほど前記ドナーの前記指標が大きくなるように補正し、又は、前記ドナーの前記移動範囲から前記献血会場の位置までの距離が遠いほど前記ドナーの前記指標が小さくなるように補正する、
ドナー選定装置。
【請求項8】
請求項1に記載のドナー選定装置であって、
選定された前記ドナーの通信端末に献血案内を通知する通知部を備える、
ドナー選定装置。
【請求項9】
請求項1に記載のドナー選定装置であって、
前記取得部は、前記ドナーが所有する携帯端末から前記ドナー位置情報を取得する、
ドナー選定装置。
【請求項10】
献血経験のある複数のドナーの中から1人以上の前記ドナーを選定するドナー選定方法であって、
コンピュータは、
複数の前記ドナーの各々に関して、前記ドナーの血液型の情報、前記ドナーの移動範囲に関する範囲情報及び前記ドナーの献血記録に関する献血情報を含むドナー情報を記憶する記憶部と、
1以上のプロセッサと、
備え、
前記プロセッサは、
前記ドナーの現在位置を示すドナー位置情報、献血の募集要項を示す募集情報及び献血会場の位置を示す会場位置情報を取得する工程と、
前記ドナー情報と前記ドナー位置情報の少なくとも一方と、前記募集情報と、前記会場位置情報とに基づいて、前記ドナーが前記献血会場に来場するかを予測するための指標を、前記ドナー毎に算出する工程と、
前記指標が所定値以上である1人以上の前記ドナーを選定する工程と、
を実行する、ドナー選定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、献血経験のある複数のドナーの中から1人以上のドナーを選定するドナー選定装置及びドナー選定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人の中から一部の人を選定する技術がある。例えば、特許文献1には、サービス利用に適合したサービス提供者を選定することが可能なサービス提供者選定装置及びサービス提供者選定方法が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は献血者数が減少している。献血によって集められる血液量が減少すると、血液製剤の安定供給に支障をきたす虞がある。このため、多くのドナーを集めることが望まれる。その一つの手段として、献血事業体が献血経験のあるドナーに来場を促すことが考えられる。但し、献血事業体がドナーに対して無作為に来場を促しても、効果は限定的である。また、献血事業体が全てのドナーに対して来場を促すことは困難であるため、来場を促すドナーを選定する必要がある。
【0005】
本発明は上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の第1の態様は、献血経験のある複数のドナーの中から1人以上の前記ドナーを選定するドナー選定装置であって、複数の前記ドナーの各々に関して、前記ドナーの血液型の情報、前記ドナーの移動範囲に関する範囲情報及び前記ドナーの献血記録に関する献血情報を含むドナー情報を記憶する記憶部と、前記ドナーの現在位置を示すドナー位置情報、献血の募集要項を示す募集情報及び献血会場の位置を示す会場位置情報を取得する取得部と、前記ドナー情報と前記ドナー位置情報の少なくとも一方と、前記募集情報と、前記会場位置情報とに基づいて、前記ドナーが前記献血会場に来場するかを予測するための指標を、前記ドナー毎に算出する算出部と、前記指標が所定値以上である1人以上の前記ドナーを選定する選定部と、を備える。
【0007】
第1の態様によれば、献血事業体の作業者は、献血会場に来場する可能性が高いドナーを選定することができる。これにより、献血会場に効率的にドナーを集めることができる。従って、上記構成によれば、献血によって確保できる血液量を増加させることができる。
【0008】
(2)上記項目(1)に記載のドナー選定装置において、前記算出部は、前記ドナーの前記血液型の情報及び前記献血情報と前記募集情報との比較結果、及び、前記ドナー位置情報と前記ドナーの前記範囲情報の少なくとも一方と前記会場位置情報との比較結果に基づいて、複数の前記ドナーの中から1人以上の前記ドナーを抽出し、抽出された前記ドナー毎に前記指標を算出することが好ましい。
【0009】
(3)上記項目(2)に記載のドナー選定装置において、前記移動範囲は、前記ドナーの自宅の位置と、前記ドナーが通う場所の位置と、前記ドナーが利用する移動経路の位置とのうちの少なくとも1つを含み、前記算出部は、前記移動範囲から前記献血会場の位置までの距離が所定距離以内である前記ドナーを抽出することが好ましい。
【0010】
(4)上記項目(2)に記載のドナー選定装置において、前記献血記録は、献血日時を含む1以上の献血履歴を含み、前記募集要項は、実施希望日及び必要な前記血液型を含み、前記算出部は、前記ドナーの前記血液型と必要な前記血液型とが一致し、且つ、前回献血日時から前記実施希望日までの日数が所定日数以上である前記ドナーを抽出することが好ましい。
【0011】
(5)上記項目(4)に記載のドナー選定装置において、前記ドナー情報は、更に、前記ドナーの生年月日を含み、前記算出部は、前回献血日時の時点で年齢が所定年齢に達していない前記ドナーを抽出することが好ましい。
【0012】
(6)上記項目(1)~(5)のいずれか1項に記載のドナー選定装置において、前記献血記録は、献血回数と献血頻度との少なくとも1つを含み、前記算出部は、前記ドナーの前記献血回数が多いほど前記ドナーの前記指標を大きくし、又は、前記ドナーの前記献血頻度が高いほど前記ドナーの前記指標を大きくすることが好ましい。
【0013】
(7)上記項目(6)に記載のドナー選定装置において、前記算出部は、前記ドナーの前記移動範囲から前記献血会場の位置までの距離が近いほど前記ドナーの前記指標が大きくなるように補正し、又は、前記ドナーの前記移動範囲から前記献血会場の位置までの距離が遠いほど前記ドナーの前記指標が小さくなるように補正することが好ましい。
【0014】
(8)上記項目(1)に記載のドナー選定装置は、選定された前記ドナーの通信端末に献血案内を通知する通知部を備えることが好ましい。
【0015】
(9)上記項目(1)に記載のドナー選定装置において、前記取得部は、前記ドナーが所有する携帯端末から前記ドナー位置情報を取得することが好ましい。
【0016】
(10)本発明の第2の態様は、献血経験のある複数のドナーの中から1人以上の前記ドナーを選定するドナー選定方法であって、コンピュータは、複数の前記ドナーの各々に関して、前記ドナーの血液型の情報、前記ドナーの移動範囲に関する範囲情報及び前記ドナーの献血記録に関する献血情報を含むドナー情報を記憶する記憶部と、1以上のプロセッサと、備え、前記プロセッサは、前記ドナーの現在位置を示すドナー位置情報、献血の募集要項を示す募集情報及び献血会場の位置を示す会場位置情報を取得する工程と、前記ドナー情報と前記ドナー位置情報の少なくとも一方と、前記募集情報と、前記会場位置情報とに基づいて、前記ドナーが前記献血会場に来場するかを予測するための指標を、前記ドナー毎に算出する工程と、前記指標が所定値以上である1人以上の前記ドナーを選定する工程と、を実行する。
【0017】
第2の態様によれば、第1の態様と同じ効果が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、献血会場に来場する可能性が高いドナーを選定することができるため、献血会場に効率的にドナーを集めることができる。従って、献血によって確保できる血液量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図2Aは、ドナー情報に含まれる各々の情報を示す図である。
図2Bは、範囲情報に含まれる各々の情報を示す図である。
図2Cは、献血情報に含まれる各々の情報を示す図である。
図2Dは、履歴情報に含まれる各々の情報を示す図である。
【
図3】
図3は、ドナー選定処理の処理フローである。
【
図4】
図4は、ドナー情報の一部情報と期待値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[1 献血システム10]
図1は、献血システム10の構成図である。本明細書で「ドナー」というのは、献血経験のあるドナーを意味する。また、「ユーザ」というのは、献血事業体(赤十字社等)の作業員を意味する。
【0021】
献血システム10は、複数のドナー端末12と、献血管理システム14とを備える。各々のドナー端末12と献血管理システム14とは、第1通信ネットワーク16を介して互いに通信可能に接続される。ドナー端末12は、ドナーが有するスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末装置である。ドナー端末12が携帯可能な端末装置である場合、ドナー端末12は、衛星航法、慣性航法等の測位装置を有する。第1通信ネットワーク16は、例えばインターネットである。
【0022】
献血管理システム14は、1以上のユーザ端末18と、ドナー選定装置20とを備える。ユーザ端末18とドナー選定装置20とは、第2通信ネットワーク22を介して通信可能に接続される。第2通信ネットワーク22は、例えばLAN、WANである。なお、ユーザ端末18とドナー選定装置20とは、第2通信ネットワーク22の代わりに、第1通信ネットワーク16を介して互いに通信可能に接続されてもよい。
【0023】
ユーザ端末18は、献血事業体が有するスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末装置である。ユーザ端末18は、入力装置24、表示装置26、CPU(不図示)、各種メモリ(不図示)、通信モジュール(不図示)等を有する。
【0024】
ドナー選定装置20は、献血経験のある複数のドナーの中から1人以上のドナーを選定する。ドナー選定装置20は、サーバ等のコンピュータである。ドナー選定装置20は、演算装置32と、記憶装置34と、通信装置36とを有する。
【0025】
演算装置32は、処理回路を有する。処理回路は、CPU等のプロセッサであってもよい。処理回路は、ASIC、FPGA等の集積回路であってもよい。プロセッサは、不揮発性メモリに記憶されるプログラムを実行することによって各種の処理を実行可能である。例えば、プロセッサは、取得部38、算出部40、選定部42及び通知部44として機能する。
【0026】
取得部38は、ドナー端末12、ユーザ端末18等から各種の情報を取得する。算出部40は、ドナーが献血会場に来場するかを予測するための指標を、ドナー毎に算出する。選定部42は、指定された献血会場に来場すると予測されるドナーを選定する。通知部44は、選定部42により選定されたドナーのドナー端末12に献血案内を通知する。
【0027】
記憶装置34は、各種メモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)を有する。揮発性メモリとしては、例えばRAM等が挙げられる。揮発性メモリは、プロセッサのワーキングメモリとして使用される。揮発性メモリは、処理又は演算に必要なデータ等を一時的に記憶する。不揮発性メモリとしては、例えばROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。不揮発性メモリは、保存用のメモリとして使用される。不揮発性メモリは、プログラム、テーブル、マップ等を記憶する。不揮発性メモリは、下記[2]で説明するドナー情報52を記憶する。また、不揮発性メモリは、各種の所定値を記憶する。
【0028】
通信装置36は、各ネットワークを介してドナー端末12及びユーザ端末18と通信を行うための通信モジュールである。
【0029】
[2 ドナー情報52]
図2Aは、ドナー情報52に含まれる各々の情報を示す図である。記憶装置34は、ドナーに関する様々な情報を、ドナー情報52として記憶する。ドナー情報52は、データベース化されている。ドナー情報52は、例えば、氏名、生年月日、性別、体重、連絡先、血液型、休日、移動範囲、献血記録等の情報を含む。連絡先は、メールアドレス、SNSの連絡先等である。ドナー端末12が電話番号を有する携帯端末である場合、連絡先は電話番号であってもよい。移動範囲は、ドナーが日常的に移動する範囲を示す。移動範囲に関する各々の情報をまとめて範囲情報54という。献血記録は、ドナーが過去に行った献血の記録を示す。献血記録に関する各々の情報をまとめて献血情報56という。
【0030】
図2Bは、範囲情報54に含まれる各々の情報を示す図である。範囲情報54は、第1所在地、第2所在地、第1所在地と第2所在地との間の移動経路、第1所在地と第2所在地との間の移動手段等の情報を含む。第1所在地は、自宅の所在地(住所)である。第2所在地は、ドナーが通う場所(勤務地又は学校)の所在地である。
【0031】
図2Cは、献血情報56に含まれる各々の情報を示す図である。献血情報56は、ドナーの献血回数、ドナーの献血頻度、ドナーの献血履歴等の情報を含む。献血回数は、所定期間内の回数である。所定期間は、第1回目の献血日から最新の献血日までの期間でもよいし、一定の期間でもよい。献血頻度は、所定期間の日数をその所定期間内に行われた献血回数で除した数値である。献血履歴は、ドナーがこれまで行った各々の献血の履歴を示す。献血履歴に関する各々の情報をまとめて履歴情報58という。
【0032】
図2Dは、履歴情報58に含まれる各々の情報を示す図である。履歴情報58は、ドナーが行った各回の献血に関する情報として、献血年月日、献血場所、献血種類、副作用の有無等の情報を含む。献血種類は、全血献血と成分献血のいずれかである。全血献血の場合は、献血量の情報も含まれる。
【0033】
[3 ドナー選定処理]
献血管理システム14は、例えば、次のような状況で使用される。献血会場の来場者は、様々な要因で増減する。献血実施中に、献血会場の来場者が予想よりも少ない場合がある。すると、目標量の血液が確保されなくなる。献血事業体のユーザは、献血会場の来場者が予想よりも少ない場合に、献血管理システム14を使用する。なお、献血事業体のユーザは、献血実施前に、献血管理システム14を使用してもよい。
【0034】
図3は、ドナー選定処理の処理フローである。ユーザは、ユーザ端末18の入力装置24を操作することによって、ドナー選定処理に必要な情報、例えば募集情報62(
図1)及び会場位置情報64(
図1)を入力したうえで、ドナー選定装置20に以下の処理を実行させる。
【0035】
ステップS1において、取得部38は、ユーザ端末18から募集情報62及び会場位置情報64を取得する。募集情報62は、献血の募集要項に関する種々の情報を含む。募集情報62は、献血実施日、時間帯、献血種類(全血献血又は成分献血)、必要な血液型、各々の血液型の必要量等の情報を含む。会場位置情報64は、献血会場の位置に関する情報を含む。会場位置情報64は、献血会場の名称又は所在地等の情報を含む。取得部38は、献血会場の名称又は所在地を使用して、記憶装置34(又は外部サーバ)に記憶される位置情報データベース(不図示)から、献血会場の位置を示す位置情報(緯度及び経度等)を取得する。
【0036】
ステップS2において、取得部38は、ドナー端末12からドナー位置情報66(
図1)を取得する。ドナー位置情報66は、ドナーの現在位置を示す情報である。ドナー端末12が測位装置を有する携帯端末である場合、測位装置によって取得される位置は、ドナーの位置に相当する。取得部38は、測位装置を有する各々のドナー情報52から、ドナー位置情報66を取得する。記憶装置34は、取得されたドナー位置情報66を、対応するドナー情報52と紐づけて記憶する。
【0037】
ステップS3において、算出部40は、ドナー情報52が登録されている全てのドナーの中から第1条件を満たすドナーを抽出する。第1条件は、献血会場の位置に関する抽出条件である。第1条件としては、例えば、献血会場の位置を中心とした所定の第1距離内の範囲が設定される。この範囲を「設定範囲」と称する。第1距離は、予め記憶装置34に記憶される。なお、第1条件において、設定範囲の大きさは市街地と郊外とで異なってもよい。この場合、郊外の設定範囲の方が市街地の設定範囲より広くてもよい。
【0038】
ここで、算出部40は、各々のドナーの範囲情報54に含まれる一部情報と設定範囲とを比較することによって、第1条件を満たすドナー(ドナー情報52)を抽出する。言い換えると、算出部40は、移動範囲の一部が設定範囲内に含まれるドナーを抽出する。例えば、算出部40は、第1所在地又は第2所在地が設定範囲内に含まれるドナーを抽出する。又は、算出部40は、移動手段が鉄道であるドナーに関しては、乗車駅、降車駅、乗換駅の少なくとも1つが設定範囲内に含まれるドナーを抽出する。又は、算出部40は、移動手段が車であるドナーに関しては、移動経路が設定範囲内に含まれるドナーを抽出する。但し、献血日時がドナーの休日に該当する場合に、ドナーは第2所在地に移動しないことが予測される。この場合、算出部40は、第1所在地のみを設定範囲と比較する。更に、算出部40は、現在位置が設定範囲内に含まれるドナーを抽出する。
【0039】
ステップS4において、算出部40は、ステップS3で抽出されたドナーの中から第2条件を満たすドナーを抽出する。第2条件は、募集要項及び献血基準に関する抽出条件である。第2条件としては、血液型、献血間隔(日数)、体重、年齢等の条件が設定される。
【0040】
ここで、算出部40は、各々のドナー情報52に含まれる一部情報と、募集要項及び献血基準とを比較することによって、第2条件を満たすドナー(ドナー情報52)を抽出する。算出部40は、第2条件を全て満たすドナーを抽出する。具体的には、算出部40は、血液型が必要な血液型と一致するドナーを抽出する。更に、算出部40は、前回献血日から献血実施日までの間隔が所定日数以上であるドナーを抽出する。更に、算出部40は、体重が所定の基準値以上であるドナーを抽出する。更に、算出部40は、献血実施日の時点で年齢が所定年齢(上限)に達していないドナーを抽出する。
【0041】
ステップS5において、算出部40は、抽出された各々のドナーの期待値を算出する。期待値は、ドナーが献血会場に来場するかを予測するための指標である。期待値が大きいドナーは、献血会場に来場する可能性が高い。算出部40は、ドナー情報52に含まれる一部情報に基づいて期待値を算出する。算出部40は、所定の計算式を使用して期待値を算出してもよいし、所定のテーブルを使用して期待値を算出してもよい。本実施形態では、期待値の算出に献血回数、献血頻度、副作用の有無、体重、献血種類等の情報のうちの少なくとも1つが用いられる。
【0042】
図4は、ドナー情報52の一部情報と期待値との関係を示す図である。算出部40が使用する計算式又はテーブルは、
図4で示されるような結果を算出する。
図4で示されるように、献血回数が多いほど期待値は大きく、献血回数が少ないほど期待値は小さい。また、献血頻度が高いほど期待値は大きく、献血頻度が低いほど期待値は小さい。また、副作用がない場合に期待値は大きく、副作用がある場合に期待値は小さい。また、体重と所定の基準値との差が大きいほど期待値は大きく、体重と基準値との差が小さいほど期待値は小さい。また、ドナーが過去に頻繁に行った献血種類と必要とされる献血種類とが同じである場合に期待値は大きく、ドナーが過去に頻繁に行った献血種類と必要とされる献血種類とが異なる場合に期待値は小さい。なお、算出部40は、全血献血の期待値と成分献血の期待値とを個別に算出してもよい。算出部40は、献血回数、献血頻度、副作用の有無、体重、献血種類等の情報の各々に基づいて算出された1以上の期待値を合算し、そのドナーの期待値とする。
【0043】
更に、算出部40は、会場位置情報64と、ドナー情報52又はドナー位置情報66とに基づいて、算出された期待値を補正してもよい。例えば、算出部40は、自宅、勤務地、学校、経由地等の少なくとも1つと、献血会場との距離が所定の第2距離未満である場合に、期待値を大きくしてもよい。その一方で、算出部40は、自宅、勤務地、学校、経由地等の全てと、献血会場との距離が第2距離以上である場合に、期待値を小さくしてもよい。又は、算出部40は、献血会場が駅に近く、且つ、ドナーの移動手段が鉄道である場合に、期待値を大きくしてもよい。その一方で、算出部40は、献血会場が駅に近く、且つ、ドナーの移動手段が車である場合に、期待値を小さくしてもよい。又は、算出部40は、献血会場が郊外であり、且つ、ドナーの移動手段が車である場合に、期待値を大きくしてもよい。その一方で、算出部40は、献血会場が郊外であり、且つ、ドナーの移動手段が鉄道である場合に、期待値を小さくしてもよい。又は、算出部40は、ドナーの現在位置と献血会場との距離が所定の第3距離未満である場合に、期待値を大きくしてもよい。その一方で、算出部40は、ドナーの現在位置と献血会場との距離が第3距離以上である場合に、期待値を小さくしてもよい。
【0044】
また、算出部40は、他の情報に基づいて期待値を補正してもよい。例えば、献血会場に駐車場がある場合に、算出部40は、移動手段が車であるドナーの期待値を大きくしてもよい。
【0045】
ステップS6において、選定部42は、算出された期待値に基づいて1人以上のドナーを選定する。例えば、選定部42は、期待値が所定値以上のドナーを選定してもよい。又は、選定部42は、期待値に基づいてドナーを順位付けし、所定順位までのドナーを選定してもよい。
【0046】
ステップS7において、通知部44は、通信装置36を介して、選定されたドナーの連絡先に献血案内を通知する。通知部44は、献血会場の所在地、名称等の情報を献血案内に付加する。献血案内は、ドナー情報52に届く。ドナーは、献血案内を確認し、通知された献血会場を訪れることができる。
【0047】
ステップS7が終了すると、ドナー選定処理は終了する。以上の処理により、献血事業体のユーザは、献血会場に来場する可能性が高いドナーを選定することができる。これにより、献血会場に効率的にドナーを集めることができる。更に、ユーザは、献血会場に来場する可能性が高いドナーに献血案内を通知することができる。これにより、より効率的にドナーを集めることができる。従って、本実施形態によれば、献血によって確保できる血液量を増加させることができる。
【0048】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0049】
12…ドナー端末(携帯端末) 20…ドナー選定装置
34…記憶装置(記憶部) 38…取得部
40…算出部 42…選定部
52…ドナー情報 54…範囲情報
56…献血情報 62…募集情報
64…会場位置情報 66…ドナー位置情報